JP2015102117A - ローラユニットおよびトリポード型等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
【課題】組付時においてローラユニット内部のグリース量を管理しなくても、使用時においてグリース量を適量にすることができるローラユニットおよびトリポード型等速ジョイントを提供する。
【解決手段】ローラユニット130は、外ローラ140の内周転動面141bより径方向内方に張り出すように外ローラ140に配置されると共に、さらに転動体160に対して係止する鍔部170を備える。鍔部170において内周転動面141bと外周転動面151との径方向間の対応する位置には、内周転動面141bと外周転動面151との対向空間に存在するグリースを、ローラユニット130の外部へ排出可能な貫通孔172が形成される。
【選択図】図3
【解決手段】ローラユニット130は、外ローラ140の内周転動面141bより径方向内方に張り出すように外ローラ140に配置されると共に、さらに転動体160に対して係止する鍔部170を備える。鍔部170において内周転動面141bと外周転動面151との径方向間の対応する位置には、内周転動面141bと外周転動面151との対向空間に存在するグリースを、ローラユニット130の外部へ排出可能な貫通孔172が形成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、トリポード型等速ジョイントのトリポードに回転可能に支持されるローラユニット、および、当該ローラユニットを備えるトリポード型等速ジョイントに関するものである。
トリポード型等速ジョイントのトリポードに回転可能に支持されるローラユニットは、例えば、特許文献1に記載されたものがある。このローラユニットにおいては、外ローラが一端に一体形成された鍔部を有し、外ローラの他端には止め輪が装着されることで、鍔部と止め輪とによってニードルの抜け止めを行っている。
また、トリポード型等速ジョイントとは異なる装置において、種々の形状の止め輪が、特許文献2〜4に記載されている。
ところで、特許文献1に記載のトリポード型等速ジョイントにおいて、ローラユニットの内部、すなわち外ローラと内ローラとの間には、転動抵抗を小さくするために、グリースが封入されている。しかし、内部のグリース量が多い場合には、グリースの撹拌抵抗によって、ローラユニットの回転トルクが変動することがある。従って、ローラユニットの内部に封入するグリース量は、適量にする必要がある。そこで、ローラユニットの組付時に、適量のグリースを内部に封入することが考えられる。しかし、組付時にグリース量を管理することは、組付作業性を悪くすることにつながる。つまり、組付時において、グリース量を適量にしなくて済むのであれば、組付作業性が向上する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、組付時においてローラユニット内部のグリース量を管理しなくても、使用時においてグリース量を適量にすることができるローラユニットおよびトリポード型等速ジョイントを提供することを目的とする。
(ローラユニット)
(請求項1)本手段に係るローラユニットは、トリポード型等速ジョイントのトリポードに回転可能に支持されるローラユニットであって、外ローラと、内ローラと、前記外ローラの内周転動面と前記内ローラの外周転動面とを転動する転動体と、前記外ローラの内周転動面より径方向内方に張り出すように前記外ローラに配置され、または、前記内ローラの外周転動面より径方向外方に張り出すように前記内ローラに配置されると共に、さらに前記転動体に対して係止する鍔部と、を備え、前記鍔部において前記内周転動面と前記外周転動面との径方向間の対応する位置には、前記内周転動面と前記外周転動面との対向空間に存在するグリースを、前記ローラユニットの外部へ排出可能な貫通孔が形成される。
(請求項1)本手段に係るローラユニットは、トリポード型等速ジョイントのトリポードに回転可能に支持されるローラユニットであって、外ローラと、内ローラと、前記外ローラの内周転動面と前記内ローラの外周転動面とを転動する転動体と、前記外ローラの内周転動面より径方向内方に張り出すように前記外ローラに配置され、または、前記内ローラの外周転動面より径方向外方に張り出すように前記内ローラに配置されると共に、さらに前記転動体に対して係止する鍔部と、を備え、前記鍔部において前記内周転動面と前記外周転動面との径方向間の対応する位置には、前記内周転動面と前記外周転動面との対向空間に存在するグリースを、前記ローラユニットの外部へ排出可能な貫通孔が形成される。
鍔部に貫通孔を形成することにより、組付時にローラユニットの内部に適量より多い量のグリースを封入したとしても、使用時においてグリースが貫通孔から外部へ排出される。従って、グリースの撹拌抵抗を早期に安定することができ、結果としてローラユニットの回転トルクを早期に安定させることができる。そして、組付時にローラユニットの内部に封入するグリース量を管理する必要がないため、組付作業性が向上する。
本手段に係るローラユニットの好適な実施態様について以下に説明する。
(請求項2)好ましくは、前記貫通孔は、前記内周転動面と前記外周転動面との径方向中央を除き、前記径方向中央より前記内周転動面側または前記外周転動面側に形成される。鍔部において内周転動面と外周転動面との径方向中央には、転動体が接触または近接しているため、内部のグリースが排出されにくい。これに対して、上記のように、径方向中央を除く位置に貫通孔を形成することで、外ローラと内ローラとの間に存在するグリースが、ローラユニットの外部へ確実に排出される。
(請求項2)好ましくは、前記貫通孔は、前記内周転動面と前記外周転動面との径方向中央を除き、前記径方向中央より前記内周転動面側または前記外周転動面側に形成される。鍔部において内周転動面と外周転動面との径方向中央には、転動体が接触または近接しているため、内部のグリースが排出されにくい。これに対して、上記のように、径方向中央を除く位置に貫通孔を形成することで、外ローラと内ローラとの間に存在するグリースが、ローラユニットの外部へ確実に排出される。
(請求項3)好ましくは、前記鍔部には、周方向に複数の前記貫通孔が形成される。これにより、ローラユニット130の全周に亘って、グリース量の偏りを小さくできる。従って、早期に回転トルクを安定させることができる。
(請求項4)また、好ましくは、前記鍔部は、前記外ローラおよび前記内ローラに対して別体に形成され、前記外ローラまたは前記内ローラに装着される止め輪であり、前記止め輪に、前記貫通孔が形成される。外ローラおよび内ローラは、トルク伝達部材であるため、十分に高い剛性を有しつつ、高精度に形成される部材である。これに対して、止め輪は、外ローラおよび内ローラに比べると、低い剛性で十分である。従って、止め輪は、外ローラおよび内ローラに比べて、薄肉にすることができ、かつ、柔軟な材料を適用可能である。つまり、貫通孔を止め輪に形成することは、貫通孔を外ローラまたは内ローラに直接形成する場合に比べて容易となる。
(請求項5)また、好ましくは、前記止め輪は、強化プラスチックにより形成される。これにより、貫通孔を容易に形成できると共に、転動体の係止力を十分に発揮できる。さらに、止め輪を外ローラまたは内ローラに装着する際に、止め輪が外ローラまたは内ローラとの接触によって削れたとしても、強化プラスチックによる削れ粉が、転動面への悪影響を及ぼすことを防止できる。
(請求項6)また、好ましくは、前記ローラユニットは、前記外ローラの内周転動面より径方向内方に張り出すように前記外ローラに配置され、または、前記内ローラの外周転動面より径方向外方に張り出すように前記内ローラに配置されると共に、さらに前記転動体に対して前記等速ジョイントの径方向外方に係止する第一の鍔部と、前記等速ジョイントの中心側に位置し、前記鍔部としての第二の鍔部と、を備え、前記第一の鍔部は、貫通孔が形成されていない円環状に形成される。
ここで、等速ジョイントの外輪の内部であってローラユニットの外部にもグリースが入れられている。つまり、グリースは、外輪の内部であってローラユニットの外部、および、ローラユニットの内部に存在する。ここで、等速ジョイントが回転するために、外輪の内部であってローラユニットの外部に存在するグリースは、遠心力によって径方向外方へ移動する。つまり、外輪の内部のうち径方向外方ほどグリースによる圧力が高くなる。
そうすると、ローラユニットの周囲において、等速ジョイントの中心側よりも等速ジョイントの径方向外方におけるグリースによる圧力が高くなる。仮に、貫通孔が径方向外方に位置する第一の鍔部に形成されるとした場合、高圧のグリースがローラユニットの内部に進入するおそれがある。これに対して、上記のように、貫通孔を中心側に位置する第二の鍔部に形成することで、貫通孔付近のグリースは比較的低圧であるため、グリースがローラユニットの内部に進入することを抑制できる。つまり、使用時において、ローラユニットの内部におけるグリースによって回転トルクの変動が生じることを抑制できる。
(トリポード型等速ジョイント)
本手段に係るトリポード型等速ジョイントは、軸方向に延びる3つの軌道溝が形成される外輪と、3つの軸部を備えるトリポードと、前記トリポードの各前記軸部に回転可能に支持され、前記軌道溝を転動し、上述したローラユニットとを備える。これにより、上記ローラユニットと同様の効果を奏する。
本手段に係るトリポード型等速ジョイントは、軸方向に延びる3つの軌道溝が形成される外輪と、3つの軸部を備えるトリポードと、前記トリポードの各前記軸部に回転可能に支持され、前記軌道溝を転動し、上述したローラユニットとを備える。これにより、上記ローラユニットと同様の効果を奏する。
<第一実施形態>
(1.等速ジョイント組立体の説明)
第一実施形態の等速ジョイント組立体1について、図1を参照して説明する。等速ジョイント組立体1は、例えば、車両の動力伝達シャフトに用いられる。等速ジョイント組立体1は、ディファレンシャル(図示せず)と車輪(図示せず)との連結部位に用いられる。
(1.等速ジョイント組立体の説明)
第一実施形態の等速ジョイント組立体1について、図1を参照して説明する。等速ジョイント組立体1は、例えば、車両の動力伝達シャフトに用いられる。等速ジョイント組立体1は、ディファレンシャル(図示せず)と車輪(図示せず)との連結部位に用いられる。
等速ジョイント組立体1は、図1に示すように、トリポード型等速ジョイント10(以下、「等速ジョイント」と称する)と、シャフト20と、ブーツ30とを備える。等速ジョイント10は、外輪110と、トリポード120と、3つのローラユニット130とを備える。トリポード120は、外輪110に対して、外輪軸方向に移動可能であると共に、首振り可能である。
外輪110は、有底筒状に形成され、外輪110の底面外側は、ディファレンシャルに連結されている。外輪110の内周面には、外輪110の軸方向に延びる軌道溝111が周方向に等間隔に3本形成されている。
トリポード120は、ボス121と、ボス121から径方向外方に延びる3本のトリポード軸部122とを備える。各トリポード軸部122の外周面は、部分球面凸状に形成されている。つまり、トリポード軸部122の外周面の軸方向断面形状は、円弧凸状に形成されている。
各ローラユニット130は、全体としては、円環状に構成されている。各ローラユニット130は、各トリポード軸部122の外周側に回転可能であり、各トリポード軸部122の軸方向に摺動可能であり且つ首振り可能に支持されている。さらに、各ローラユニット130は、各軌道溝111に沿って転動可能に配置されている。ローラユニット130の詳細は後述する。
シャフト20は、トリポード120のボス121に連結される。つまり、シャフト20と外輪110とに角度を付与した状態で、トリポード120およびローラユニット130により両者間でトルクが伝達される。
ブーツ30は、中心軸方向に伸縮可能で、かつ、中心軸を屈曲可能となるように、蛇腹筒状に形成されている。ブーツ30の一端が外輪110の外周面の開口側に取り付けられ、ブーツ30の他端がシャフト20の外周面に取り付けられる。このようにして、ブーツ30は、外輪110の開口側を閉塞する。外輪110の内部領域にはグリースが封入されており、ブーツ30は、グリースが外輪110の開口部から漏出しないようにシールする。
(2.ローラユニットの構成)
次に、ローラユニット130の詳細構成について、図2〜図5を参照して説明する。図2に示すように、ローラユニット130は、外ローラ140と、内ローラ150と、外ローラ140と内ローラ150との径方向間に挟まれるニードル160(転動体)と、止め輪170とを備える。
次に、ローラユニット130の詳細構成について、図2〜図5を参照して説明する。図2に示すように、ローラユニット130は、外ローラ140と、内ローラ150と、外ローラ140と内ローラ150との径方向間に挟まれるニードル160(転動体)と、止め輪170とを備える。
外ローラ140は、図3および図4に示すように、筒部141と、第一の鍔部142とを備える。筒部141は、軌道溝111を転動する外周面141a、ニードル160を転動させる内周転動面141b、および、周溝141cを備える。図3に示すように、内周転動面141bの内径は、D1である。周溝141cは、径方向内方に開口し、内周転動面141bより等速ジョイント10の中心側の端部(第一の鍔部142とは反対側の端部)に全周に亘って形成される。
第一の鍔部142は、等速ジョイント10の径方向外方(図2および図3の上方)に位置する筒部141の軸方向端に、内周転動面141bより径方向内方に張り出す。第一の鍔部142は、円環状に形成されている。そして、第一の鍔部142の内周縁から内周転動面141bに至る径方向全範囲において、全周に亘って貫通孔が形成されていない。第一の鍔部142は、外ローラ140に一体的に形成される。この第一の鍔部142は、ニードル160に対して等速ジョイント10の径方向外方に係止する。
内ローラ150は、円筒状に形成されている。内ローラ150は、ニードル160を転動させる外周転動面151、トリポード軸部122に接触する内周面152を備える。内ローラ150の外周転動面151は、外ローラ140の内周転動面141bに対して径方向に対向している。外周転動面151の外径は、D2である。内ローラ150は、外ローラ140の第一の鍔部142によって、等速ジョイント10の径方向外方へ係止される。
ニードル160は、外ローラ140の内周転動面141bと内ローラ150の外周転動面151との径方向間に挟まれ、両面を転動する。ニードル160は、円柱状に形成されている。ただし、ニードル160の両端面は、湾曲凸面状に形成されている。つまり、ニードル160の端面において、中心軸付近が最も軸方向に突出している。
止め輪170は、図3および図5に示すように、強化プラスチック製であって、縮径可能となるように、切込部分171を有するC字型形状に形成される。つまり、止め輪170は、外ローラ140および内ローラ150に対して別体に形成される。止め輪170は、外ローラ140の周溝141cに嵌め込まれる。つまり、止め輪170は、外ローラ140のうち等速ジョイント10の中心側の端部に設けられる。従って、止め輪170が外ローラ140に装着された状態において、止め輪170は、外ローラ140における第一の鍔部142とは軸方向の反対側に位置する第二の鍔部を構成する。
このように、止め輪170は、外ローラ140の内周転動面141bより径方向内方に張り出すように外ローラ140に設けられる。そして、止め輪170は、ニードル160および内ローラ150に対して等速ジョイント10の径方向内方に係止する。
さらに、止め輪170には、図3および図5に示すように、周方向に複数の貫通孔172が形成されている。貫通孔172は、外ローラ140の内周転動面141bと内ローラ150の外周転動面151との径方向間に対応する位置に形成される。より詳細には、内周転動面141bと外周転動面151との径方向中央の直径をD3とした場合に、貫通孔172は、直径D3となる径方向中央を除く位置に設けられる。本実施形態においては、貫通孔172は、直径D3となる径方向中央より内周転動面141b側に形成される。なお、貫通孔172は、円弧状に形成しているが、直線状に形成することもできる。
(3.グリースの状態説明)
等速ジョイント10の内部であってローラユニット130の外部、および、ローラユニット130の内部には、グリースが封入されている。以下に、等速ジョイント組立体1の組付時、および、使用時のそれぞれにおいて、グリースの状態について説明する。
等速ジョイント10の内部であってローラユニット130の外部、および、ローラユニット130の内部には、グリースが封入されている。以下に、等速ジョイント組立体1の組付時、および、使用時のそれぞれにおいて、グリースの状態について説明する。
ローラユニット130の組付時には、外ローラ140の内周転動面141bにグリースを塗布した後に、ニードル160を内周転動面141bに沿って配置する。その後に、内ローラ150をニードル160の内周側に配置し、最後に止め輪170を外ローラ140に装着する。このようにして組み付けられたローラユニット130において、内周転動面141bと外周転動面151との対向空間には、グリースが存在する。
ここで、上述したように、グリースは、ローラユニット130の組付初期において、外ローラ140に塗布する。このとき、塗布するグリース量は、ローラユニット130の内部に存在させる所望量より多くする。ただし、グリース量をそれほど高精度に管理する必要はない。従って、組み付けられた状態のローラユニット130において、内部のグリース量は、適量より多くなっている。
続いて、等速ジョイント組立体1を組み付けるときには、まず、外輪110の内部にグリースを封入させておく。続いて、ローラユニット130をトリポード軸部122に外装した状態で、外輪110の内部に挿入する。最後に、シャフト20およびブーツ30を装着する。このように、グリースは、外輪110の内部において、ローラユニット130の外部と内部のそれぞれに存在する。
次に、上記のようにして組み付けられた等速ジョイント組立体1を使用する際において、グリースの動作を説明する。等速ジョイント組立体1の回転に伴って、ローラユニット130は外輪110の軌道溝111に対して転動する。つまり、外ローラ140と内ローラ150とが相対回転しつつ、ニードル160が外ローラ140の内周転動面141bおよび内ローラ150の外周転動面151を転動する。
ここで、組付時において、ローラユニット130の内部に適量より多い量のグリースが封入されている。そのため、使用時において、外ローラ140、内ローラ150およびニードル160の動きに伴って、内部のグリースは、止め輪170の貫通孔172からローラユニット130の外部へ排出される。このように、使用時に、ローラユニット130の内部に存在するグリース量が早期に適用に安定する。その結果、ローラユニット130の内部のグリースの攪拌抵抗が早期に安定すると共に、ローラユニット130の回転トルクを早期に安定させることができる。
従って、組付時にローラユニット130の内部に封入するグリース量を管理しないとしても、使用時においてローラユニット130の内部に適量のグリースが存在する状態になる。そのため、組付時に封入するグリース量を管理する必要がないため、組付作業性が向上する。
特に、貫通孔172は、止め輪170のうち内周転動面141bと外周転動面151との径方向中央を除き、当該径方向中央より内周転動面141b側に形成されている。ここで、ニードル160の端面において、中心付近が最も軸方向に突出している。そのため、止め輪170において当該径方向中央には、ニードル160が接触または近接している。仮に、貫通孔172が当該径方向中央に形成されている場合には、ローラユニット130の内部のグリースが排出されにくくなるおそれがある。しかし、上記の通り、貫通孔172は当該径方向中央からずれた位置に形成されているため、ローラユニット130の内部のグリースが外部へ確実に排出される。
さらに、止め輪170には、周方向に複数の貫通孔172が形成されている。そのため、ローラユニット130の全周に亘って、グリース量の偏り小さくできる。従って、このことからも、早期に回転トルクを安定させることができる。
また、貫通孔172が形成されている止め輪170は、ローラユニット130において、等速ジョイント10の中心側に位置している。一方、ローラユニット130において、等速ジョイント10の径方向外方には、貫通孔が形成されていない第一の鍔部142が存在する。従って、ローラユニット130の内部に存在するグリースは、ローラユニット130から等速ジョイント10の径方向外方へ排出されず、ローラユニット130から等速ジョイント10の中心側に排出されようとする。
ところで、使用時においては、等速ジョイント組立体1は回転している。そのため、外輪110の内部であってローラユニット130の外部に存在するグリースは、遠心力によって、等速ジョイント10の径方向外方に移動する。つまり、ローラユニット130の周囲において、等速ジョイント10の径方向外方に存在するグリースによる圧力は、中心側に存在するグリースによる圧力より高くなる。
そのため、ローラユニット130の周囲において等速ジョイント10の径方向外方に存在するグリースが、ローラユニット130に進入しようとする。しかし、外ローラ140の第一の鍔部142は、貫通孔が形成されておらず、周方向全体に亘って、かつ、径方向の隙間全体に亘って閉塞している。従って、グリースは、第一の鍔部142からローラユニット130の内部に進入することはほとんどない。つまり、第一の鍔部142を介したローラユニット130の内部と外部とにおいては、グリースが流通されることはほとんどない。
一方、ローラユニット130の周囲において等速ジョイント10の中心側に存在するグリースは、比較的低圧である。そして、ローラユニット130における等速ジョイント10の中心側に配置されている止め輪170には、貫通孔172が形成されている。そのため、貫通孔172を介して、ローラユニット130の内部と外部との間においてグリースが流通し得る。しかし、上記の通り、止め輪170より外部に存在するグリースは比較的低圧であるため、ローラユニット130の内部に進入することを抑制できる。
さらに、一旦、ローラユニット130の内部に存在するグリースが適量になった後には、等速ジョイント10の回転によって、ローラユニット130の内部のグリースには、止め輪170側ではなく、第一の鍔部142側へ移動する力が生じる。
このように、一旦、ローラユニット130の内部に存在するグリースが外部へ排出された後において、貫通孔172が存在するとしても、ローラユニット130の内部と外部とにおいて貫通孔172を介して大量にグリースが流通することはない。従って、ローラユニット130の内部に存在するグリース量は、適量に維持される。つまり、使用時において、ローラユニット130の内部におけるグリースによって回転トルクの変動が生じることを抑制できる。
また、止め輪170は、外ローラ140および内ローラ150に対して別体に形成している。外ローラ140および内ローラ150は、トルク伝達部材であるため、十分に高い剛性を有しつつ、高精度に形成される部材である。これに対して、止め輪170は、外ローラ140および内ローラ150に比べると、低い剛性で十分である。従って、止め輪170は、外ローラ140および内ローラ150に比べて、薄肉にすることができ、かつ、柔軟な材料を適用可能である。つまり、貫通孔172を止め輪170に形成することは、貫通孔を外ローラ140または内ローラ150に直接形成する場合に比べて容易となる。
さらに、止め輪170は、トルク伝達部材ではないため、それほど高剛性ではない強化プラスチックを適用できる。これにより、止め輪170に貫通孔172を容易に形成できる。ただし、止め輪170は、強化プラスチックを用いることにより、ニードル160の係止力を十分に発揮できる。さらに、止め輪170を外ローラ140に装着する際に、止め輪170が外ローラ140との接触によって削れたとしても、強化プラスチックによる削れ粉が、内周転動面141bおよび外周転動面151への悪影響を及ぼすことを防止できる。
<第二実施形態>
第二実施形態のローラユニット230について、図6および図7を参照して説明する。以下に、本実施形態のローラユニット230について、第一実施形態のローラユニット130に対して、止め輪270のみ相違する。他は、同一符号を付して説明を省略する。
第二実施形態のローラユニット230について、図6および図7を参照して説明する。以下に、本実施形態のローラユニット230について、第一実施形態のローラユニット130に対して、止め輪270のみ相違する。他は、同一符号を付して説明を省略する。
止め輪270は、図6および図7に示すように、切込部分271を有するC字型形状に形成される。さらに、止め輪270には、周方向に複数の貫通孔272が形成されている。貫通孔272は、外ローラ140の内周転動面141bと内ローラ150の外周転動面151との径方向間に対応する位置に形成される。より詳細には、内周転動面141bと外周転動面151との径方向中央の直径をD3とした場合に、貫通孔272は、直径D3となる径方向中央を除く位置に設けられる。本実施形態においては、貫通孔272は、直径D3となる径方向中央より外周転動面151側に形成される。なお、貫通孔272は、円弧状に形成しているが、直線状に形成することもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏する。
<第三実施形態>
次に、第三実施形態のローラユニット330について、図8を参照して説明する。第一、第二実施形態においては、第一の鍔部142は外ローラ140に一体的に形成し、第二の鍔部を構成する止め輪170,270は外ローラ140に対して装着するものとした。そして、第一の鍔部142と止め輪170,270によって、内ローラ150およびニードル160に対して係止した。
次に、第三実施形態のローラユニット330について、図8を参照して説明する。第一、第二実施形態においては、第一の鍔部142は外ローラ140に一体的に形成し、第二の鍔部を構成する止め輪170,270は外ローラ140に対して装着するものとした。そして、第一の鍔部142と止め輪170,270によって、内ローラ150およびニードル160に対して係止した。
本実施形態においては、内ローラ350が、筒部351と、筒部351に一体的に形成された第一の鍔部352とを備え、第二の鍔部を構成する止め輪170が、内ローラ350の周溝351cに装着される。内ローラ350の筒部351は、外周転動面351a、内周面351bおよび周溝351cを備える。
一方、外ローラ340は、外周面341、内周転動面342、および、内周転動面342の両端に、第一の鍔部352および止め輪170に係止される切欠部343,344を有する。そして、止め輪170は、貫通孔172が形成されている。このような構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
<その他>
なお、上記実施形態においては、外ローラ140または内ローラ350を構成する第一の鍔部142,352には、貫通孔を形成せず、止め輪170,270に、貫通孔172,272を形成した。
なお、上記実施形態においては、外ローラ140または内ローラ350を構成する第一の鍔部142,352には、貫通孔を形成せず、止め輪170,270に、貫通孔172,272を形成した。
この他に、止め輪170,270が貫通孔172,272を形成しないC字型形状に形成され、外ローラ140または内ローラ350に一体的に形成される第一の鍔部142,352に、貫通孔172,272に相当する貫通孔を形成することもできる。この場合、第一の鍔部142,352が等速ジョイント10の中心側に位置するようにするとよい。ただし、上述したように、止め輪170,270に貫通孔172,272を形成する方が良い。
1:等速ジョイント組立体、 10:トリポード型等速ジョイント、 20:シャフト、30:ブーツ、 110:外輪、 111:軌道溝、 120:トリポード、 121:ボス、 122:トリポード軸部、 130,230,330:ローラユニット、 140,340:外ローラ、 141:筒部、 141b、342:内周転動面、 141c:周溝、 142:第一の鍔部、 150,350:内ローラ、 151:外周転動面、 160:ニードル(転動体)、 170,270:止め輪(第二の鍔部)、 171,271:切込部分、 172,272:貫通孔、 343,344:切欠部、 351:筒部、 351c:周溝、 352:第一の鍔部、 D1:内周転動面141bの直径、 D2:外周転動面151の直径、 D3:D1とD2の中間直径
Claims (7)
- トリポード型等速ジョイントのトリポードに回転可能に支持されるローラユニットであって、
外ローラと、
内ローラと、
前記外ローラの内周転動面と前記内ローラの外周転動面とを転動する転動体と、
前記外ローラの内周転動面より径方向内方に張り出すように前記外ローラに配置され、または、前記内ローラの外周転動面より径方向外方に張り出すように前記内ローラに配置されると共に、さらに前記転動体に対して係止する鍔部と、
を備え、
前記鍔部において前記内周転動面と前記外周転動面との径方向間の対応する位置には、前記内周転動面と前記外周転動面との対向空間に存在するグリースを、前記ローラユニットの外部へ排出可能な貫通孔が形成される、
ローラユニット。 - 前記貫通孔は、前記内周転動面と前記外周転動面との径方向中央を除き、前記径方向中央より前記内周転動面側または前記外周転動面側に形成される、
請求項1に記載のローラユニット。 - 前記鍔部には、周方向に複数の前記貫通孔が形成される、
請求項1または2に記載のローラユニット。 - 前記鍔部は、前記外ローラおよび前記内ローラに対して別体に形成され、前記外ローラまたは前記内ローラに装着される止め輪であり、
前記止め輪に、前記貫通孔が形成される、
請求項1〜3の何れか一項に記載のローラユニット。 - 前記止め輪は、強化プラスチックにより形成される、
請求項4に記載のローラユニット。 - 前記ローラユニットは、
前記外ローラの内周転動面より径方向内方に張り出すように前記外ローラに配置され、または、前記内ローラの外周転動面より径方向外方に張り出すように前記内ローラに配置されると共に、さらに前記転動体に対して前記等速ジョイントの径方向外方に係止する第一の鍔部と、
前記等速ジョイントの中心側に位置し、前記鍔部としての第二の鍔部と、
を備え、
前記第一の鍔部は、貫通孔が形成されていない円環状に形成される、
請求項1〜5の何れか一項に記載のローラユニット。 - 軸方向に延びる3つの軌道溝が形成される外輪と、
3つの軸部を備えるトリポードと、
前記トリポードの各前記軸部に回転可能に支持され、前記軌道溝を転動し、請求項1〜6の何れか一項に記載のローラユニットと、
を備えるトリポード型等速ジョイント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013241603A JP2015102117A (ja) | 2013-11-22 | 2013-11-22 | ローラユニットおよびトリポード型等速ジョイント |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015102117A true JP2015102117A (ja) | 2015-06-04 |
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ID=53377996
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JP2013241603A Pending JP2015102117A (ja) | 2013-11-22 | 2013-11-22 | ローラユニットおよびトリポード型等速ジョイント |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160135009A (ko) * | 2015-05-14 | 2016-11-24 | 자동차부품연구원 | 등속 조인트 |
JP2020190250A (ja) * | 2019-05-17 | 2020-11-26 | トヨタ自動車株式会社 | トリポード型等速継手 |
EP3799804A1 (en) | 2015-05-19 | 2021-04-07 | Olympus Corporation | Clip device |
-
2013
- 2013-11-22 JP JP2013241603A patent/JP2015102117A/ja active Pending
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JP7211261B2 (ja) | 2019-05-17 | 2023-01-24 | 株式会社ジェイテクト | トリポード型等速継手 |
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