JP2015101782A - 水性銀コロイド液及びその製造方法、並びに水性銀コロイド液を用いたインク - Google Patents

水性銀コロイド液及びその製造方法、並びに水性銀コロイド液を用いたインク Download PDF

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Abstract

【課題】 高い分散性と高い保存安定性を有し、更には優れた低温焼結性を示す水性銀コロイド液を提供する。
【解決手段】 ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを少なくとも有する有機物が表面に付着した平均粒径(D50)が15〜45nmで好適には略球状で最大粒径(Dmax)が80nm以下の銀微粒子と、不可避不純物を含んだ溶媒としての水とからなる水性銀コロイド液であって、該有機物の付着量が銀微粒子に対して0.03〜5質量%であり、該不可避不純物の総量が水性銀コロイド液に対して1質量%以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品の配線形成や微細回路形成に用いるインクの原料として好適に使用できる銀微粒子を含んだ水性銀コロイド液及びその製造方法に関する。
水溶液に銀微粒子を含有させたインク(以下、水性インクとも称する)は、プラズマディスプレイパネル等の電子機器に用いる電子部品の配線形成や微細回路形成用の材料として利用されており、具体的にはプリント配線板、フレキシブル基板、ICカードなどの基板上の配線回路やビアホール充填、半導体デバイスの内部配線、電子部品の実装などに利用されている。例えば基板に配線回路を形成する場合、水性インクを基板に吹き付けて回路パターンを形成し、UV照射あるいは焼き付け等によって溶液を蒸発させながら水性インクに含まれる銀微粒子を焼結させることで回路を形成することができる。
近年、粒径100nm以下の金属微粒子を用いた配線形成材料への応用が進んでおり、例えば幅50μm以下の微細配線が製造可能となってきた。粒径100nm以下の金属微粒子は、通常のサブミクロン以上の粒子と異なり焼結温度が極めて低く、中には常温焼結可能なものもある。しかし、微細になればなるほど均質な配線を形成するためには金属微粒子の分散性がより良好でなければならず、そのために付着させる有機物の付着量は相対的に多くなる。例えば粒径50nm以下の金属微粒子のインクでは、有機物付着量は金属微粒子に対して10%程度にまで高くなる。その結果、焼結時には有機物由来のガスが多量に発生するため、このガスが十分に抜けるように、配線厚みを薄くしなければならないのが現状である。一方、配線を微細化すればその分だけ抵抗が上昇するため、配線厚みを厚くするか配線形成材料の体積抵抗率を低下させることが必要になるが、上記の理由から配線厚みを厚くするのは困難であった。
そこで特許文献1には、高い分散性を有するセグメントと、金属ナノ粒子を固定化、還元することが可能なセグメントと、会合体の会合力を長く保持することに寄与するセグメントとの3つのセグメントを有する高分子化合物を用いた分散体を有する溶媒中に金属ナノ粒子を含有させる技術が提案されている。すなわち、分岐状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、疎水性セグメント(c)とを有する高分子化合物(X)によって溶媒中に分散体を形成し、その中に金属ナノ粒子(Y)を含有させることで、該分散体中に金属ナノ粒子を安定して存在させることができ、これにより高い保存安定性と優れた分散安定性とを有する金属ナノ粒子分散体が得られると記載されている。
また特許文献2には、銀の原料として容易に入手でき、固体として管理も容易な不溶性のハロゲン化銀を還元することで銀粒子を含む分散液を得る方法が記載されている。この方法は銀に対して配位性をもち、溶媒に溶解する化合物からなる保護剤の存在下で還元を行なうことにより、効果的にハロゲン化銀を還元して均一な銀のナノ粒子を含む分散液が得られると記載されている。
また特許文献3には、炭素数が6以上のアルキルアミン及び炭素数が5以下のアルキルアミンを含むアミン混合液と、シュウ酸銀等の銀を含む金属化合物とを混合して錯化合物を生成し、これを加熱することでアルキルアミンの保護被膜が表面に緻密に形成された被覆金属微粒子を作製する方法が記載されている。そして、この被覆金属微粒子は、有機溶媒中に高濃度で分散可能であって清浄な表面を有すると共に保存安定性に優れ、アルキルアミン分子被膜が室温付近の極めて低温で脱離することから耐熱性の低いプラスチック基板等にも良好な導電膜を形成できると記載されている。
また特許文献4には、アンモニア水に塩化銀を溶解して30〜45℃に保持した銀溶液を用意し、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンからなる分散剤と還元剤とを混合してなる還元剤混合液を該銀溶液に添加して50℃以下の温度で保持することで銀粉を作製する方法が示されている。そして、これにより得られる銀粉は、全体に対して50%以上の粒子が結晶粒径の最小値0.3μm以上の結晶粒を少なくとも1個含み、且つ銀粉のタップ密度が4g/cm以上であると記載されている。また、この銀粉は結晶粒界から溶融はんだへの溶解、即ちはんだ食われを抑制できると記載されている。
また特許文献5には、銀ナノ粒子と、これを分散させる分散媒と、該分散媒に添加された有機高分子とからなる電極形成用の組成物が開示されている。そして、この銀ナノ粒子は分散媒を除く組成物中に72〜99質量%含まれており、有機高分子はポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリビニルアルコール、及びセルロースエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上からなり、該有機高分子を金属ナノ粒子に対して0.1〜20質量%添加することが記載されている。
特開2008−037884号公報 特許4108350号公報 特開2012−162767号公報 特開2011−001581号公報 特許5309521号公報
しかしながら、上記した特許文献1の金属ナノ粒子分散体では、その応用例に記載のとおり、得られた銀ナノ粒子分散体を200℃で30分熱処理した場合の体積抵抗率が8.7×10−4Ω・cmと銀自体の比抵抗率と比較して非常に高い。これは、分散体として用いる分岐状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、疎水性セグメント(c)とを有する高分子化合物(X)は分子量が大きく低温分解性に乏しいことから、この焼結温度では十分に分解されずに残存し、これにより抵抗の増大を引き起こしたと考えられる。
また、特許文献2に用いられているチオールは一般的に熱分解性が悪いため、焼結時に抵抗増大を引き起こす要因となる。特許文献3の被覆銀微粒子は、表3に記載のとおり100℃で良好な体積抵抗値を示しているものの、160℃でも依然として被覆成分の分解率が低いため、残存物質との相性によっては用途が制限されるという問題がある。特許文献4の銀粉は、結晶粒径の最小値が0.3μm以上であることからナノサイズよりはるかに大きく焼結温度が高くなるため、本発明が対象としている用途には適さない。また、特許文献5の電極形成用組成物は、焼成物にテクスチャ構造を持たせるべく、焼結時にある程度焼結を抑制するための有機高分子を添加している。したがってこの特許文献5の組成物も本発明が対象としている用途には適さない。
上記の通り、高い保存安定性や優れた分散安定性を有する銀微粒子を得ようとすると、焼結後に体積抵抗率が高くなったり、分散性を得るために被覆した成分が残存したりなどの問題があった。本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、高い分散性と優れた保存安定性とを有し、且つ優れた低温焼結性を示す水性銀コロイド液及びその製造方法、ならびに該水性銀コロイド液を用いた水性インクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する水性コロイド液は、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを少なくとも有する有機物が表面に付着した平均粒径(D50)15〜45nmの銀微粒子と、不可避不純物を含んだ溶媒としての水とからなる水性銀コロイド液であって、前記有機物の付着量が銀微粒子に対して0.03〜5質量%であり、前記不可避不純物の総量が水性銀コロイド液に対して1質量%以下であることを特徴としている。上記した本発明の水性銀コロイド液は、銀微粒子の最大粒径(Dmax)が80nm以下であるのが好ましく、また、実質的に球状であることが好ましい。更に、本発明は上記した水性銀コロイド液を用いた水性インクを提供する。
また、本発明が提供する水性銀コロイド液の製造方法は、銀化合物をアンモニア水溶液で溶解して生成される銀アンミン錯体塩を含んだ水溶液と、還元剤としてのヒドラジンと、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの少なくとも2種類の分散剤とを混合することで銀微粒子を還元析出させる工程と、析出した銀微粒子を含む水溶液を濾過及び洗浄する工程とからなり、上記混合の際、銀に対してポリビニルピロリドンが10〜40質量%、ポリビニルアルコールが1〜40質量%となるように調整することを特徴としている。
上記した水性銀コロイド液の製造方法においては、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの分子量が3,000〜25,000であるのが好ましい。また、上記した水性銀コロイド液の製造方法においては、銀化合物は塩化銀であり、濾過には限外濾過装置を使用し、前記析出した銀微粒子を含む水溶液を濾過及び洗浄する工程には純水を用いることが好ましい。
本発明によれば、高い分散性と優れた保存安定性とを有し、且つ水性インクに適用した時に優れた低温焼結性を示す水性銀コロイド液を提供することができる。
実施例の試料1の水性銀コロイド液中の銀微粒子を走査型電子顕微鏡(倍率10,000倍)で観察したSEM像である。 実施例の試料2の水性銀コロイド液中の銀微粒子を走査型電子顕微鏡(倍率5,000倍)で観察したSEM像である。
(水性銀コロイド液)
以下、本発明の水性銀コロイド液の実施形態について詳述するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態の水性銀コロイド液は、平均粒径(D50)15〜45nmの銀微粒子と、製造上不可避的に混入する不純物を含んだ溶媒としての水とからなる。この銀微粒子は好適には形状が略球状であり、その表面がポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの少なくとも2種類の有機物で被覆されている。該有機物の量は銀微粒子に対して0.03〜5質量%であり、不可避不純物の量は水性銀コロイド液に対して1質量%以下である。なお、有機物で被覆されているとは、その有機物由来の変性物で被覆されている場合も含む。
ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールは、ともに銀微粒子表面に吸着しやすい性質を有している。特にポリビニルピロリドンはポリビニルアルコールと比較して銀微粒子表面に吸着しやすい性質を有しているが、反面、残留しづらい特性も有するため、保存安定性に問題がある。すなわち、ポリビニルピロリドン単独で銀微粒子に付着させた場合、この付着後の純水等による洗浄処理により銀微粒子に対して有機物の付着量が0.03質量%未満になる。銀微粒子に対する有機物の付着量が0.03質量%程度であればポリビニルピロリドンの初期の付着量としては問題ないが、ポリビニルピロリドンは時間経過とともに徐々に乖離するため、長期間保存しているうちに徐々に凝集が進行する。
一方、ポリビニルアルコール単独では、ポリビニルピロリドンほどではないものの銀微粒子の表面に吸着し、この場合は残留しやすい特性を有している。しかしポリビニルアルコールは多量に吸着させると焼結時にポリビニルアルコールがいったん膨張する性質があるため、配線厚みが不均一になるなどの問題を引き起こすおそれがある。
しかるに、塩化銀をアンモニア水に溶解した銀錯塩水溶液に対して、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの少なくとも2種類を含む分散剤並びにヒドラジンを混合して塩化銀を還元すると、銀微粒子が生成する際に吸着性のより高いポリビニルピロリドンが優先的に銀微粒子に吸着し、ポリビニルアルコールはその外側の位置に吸着する。これによりポリビニルピロリドンが銀微粒子の表面から乖離しても、その周囲のポリビニルアルコールが該ポリビニルピロリドンの遊離を阻害し、乖離したポリビニルピロリドンをまたすぐに銀微粒子表面に吸着させるため、分散性及び保存安定性に優れた水性銀コロイド液が得られる。
また、ポリビニルアルコールは水で膨潤する性質があるため、このポリビニルアルコールがポリビニルピロリドンの外側に位置することで乾燥がある程度進んでも分散性が維持される。この水性銀コロイド液を水性インクに適用した場合には、その乾燥時に乾燥速度の局所的なばらつきに由来する銀微粒子の配列ムラを防止できる。すなわち、ポリビニルピロリドンが乾燥した状態では良好な分散性が得られにくいが、周囲を占めるポリビニルアルコールが膨潤している間は分散性が維持され、銀微粒子が配列できる時間が延長されることで配列ムラが減少する。
尚、これらの特性を得るには、水性銀コロイド液中の銀微粒子にポリビニルピロリドンを優先的に吸着させ、ポリビニルアルコールをその外側に位置するように吸着させるのが望ましいが、還元による銀微粒子形成時にポリビニルアルコールを添加せず、銀コロイドを形成した後でポリビニルアルコールを添加した場合は、上記した良好な分散性及び保存安定性はあまり得られない。また、焼結後にはポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールは分解や揮発により残存しないため、後述する水性インクにより形成した配線回路等は強固に固定され、水などが付着しても再配列することはない。なお、本発明において水性銀コロイド液中の銀微粒子とは、単結晶粒子、多結晶粒子、あるいはそれらが混在した集合体のいずれをも指している。
水性銀コロイド液に含まれる不可避不純物(すなわち、有機物が付着した銀微粒子、及び溶媒としての水以外の成分)は、水性銀コロイド液を水性インクの形態で塗布後、焼結時に、銀微粒子の焼結阻害、当該不可避不純物の揮発、分解等によるガス発生量の増加、分解生成物の残留等を招き、焼結性の悪化や体積抵抗率増大の原因となる。従って不純物の総量は上記した悪影響を及ぼさない程度にまで低減するのが好ましい。具体的には、不可避不純物の総量を水性銀コロイド液に対して1質量%以下にすることが必要である。
(球状)
本発明の実施形態の水性銀コロイド液に含まれる銀微粒子は、FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、日立製作所製、型式S−4700)を用いたSEM像(例えば10,000倍)で観察した際の形状が略球状であることが好ましい。銀微粒子が略球状であれば、焼結時の緻密性が高くなって高い導電性が得られる上、より低温での焼結が可能になる。その結果、水性銀コロイド液を水性インクや導電性ペーストの原料として用いることが可能になり、特に水性インクの原料として好適に用いることができる。
なお、上記した略球状の銀微粒子により得られる作用効果を妨げない範囲であれば、デンドライト状(樹葉状、針枝状を含む)、針状、アスペクト比(長径/短径)が1.5以上の楕円体、片状の微粒子、あるいは測定困難なものなどの非球状の銀微粒子を含んでいても構わない。このような観点から、略球状の銀粉粒子が、全粒子の80質量%以上を占めることが好ましく、90%質量以上を占めるのがより好ましく、ほぼ100質量%を占めるのが最も好ましい。なお、還元液と分散液の投入時間を調整することでより多くの略球状の銀微粒子を含んだ水性銀コロイド液を作製することができる。
(平均粒径:D50)
本発明の実施形態の水性銀コロイド液に含まれる銀微粒子は、平均粒径(D50)が15〜45nmであることが必要であり、30〜45nmであるのが好ましい。なお、ここでいう平均粒径(D50)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50である。このD50が45nmより大きいと低温焼結特性が十分に得られない。一方、このD50が15nmより小さいと、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールが表面に吸着していても凝集を生じるおそれがある。
なお、上記した銀微粒子の平均粒径は還元時の銀に対するポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールそれぞれの濃度により調整することができる。具体的には、ポリビニルピロリドンの濃度を高くすることで銀微粒子の平均粒径を小さくすることができ、逆にポリビニルアルコールの濃度を高くすることで銀微粒子の平均粒径を大きくすることができる。これらのうち、銀微粒子の平均粒径に対する寄与度はポリビニルピロリドンの方が高い。もちろんポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールの濃度は後述するように有機物付着量にも密接に影響する為、所望の有機物付着量と平均粒径とを勘案しながらポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの濃度をそれぞれ調整する。
(最大粒径:Dmax)
本発明の実施形態の水性銀コロイド液に含まれる銀微粒子は、最大粒径(Dmax)が80nm以下であるのが好ましく、60nm以下であるのがより好ましい。このDmaxが80nmより大きくなると、例えば水性銀コロイド液の用途であるコロイド粒子(銀微粒子)を含む水性インクで回路を形成する際に焼結性が悪くなって、該回路の抵抗値が高くなるおそれがある。
(非沈降性)
本発明の実施形態の水性銀コロイド液は、前述した通り分散性及び保存安定性に優れている。これらの特性を測る指標として非沈降性がある。例えば水性銀コロイド液を適量の常温の純水で希釈して攪拌した後、1週間以上、望ましくは3週間以上静置させても銀微粒子がコロイド粒子のまま沈まないような非沈降性を有していることが好ましい。これは前述したように銀微粒子を略球状の微粒子とすることでより確実に実現できる。すなわち、球状にすることで銀微粒子の粒子の見掛けの大きさ(粒径とも言える)に対する密度(かさ密度)は大きくなるが、表面にポリビニルアルコールを十分に存在させることができるので、ポリビニルピロリドンの分散効果をより良好に発揮させることができる。これにより、液中に分散した銀微粒子の沈降速度を遅くすることができ、長時間浮遊可能な特性が得られる。
(有機物付着量)
上記した銀微粒子を含む水性銀コロイド液は、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの少なくとも2種類からなる分散剤と、ヒドラジンとを銀錯塩水溶液に混合し、銀錯体を還元することで作製することができる。その際、生成した銀微粒子には上記した有機物であるポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールが特に付着し易いので、これら有機物が多量に付着した銀微粒子が得られる。これら有機物の銀微粒子に対する付着量は前述したように銀微粒子に対して0.03〜5質量%の範囲内にあることが必要であるが、0.03〜3質量%の範囲内が好ましく、0.03〜1質量%の範囲内がより好ましい。
これら有機物の付着量が0.03〜5質量%の範囲内では、焼結時の導電性を著しく損なうことなく水性銀コロイド液における非沈降性すなわち分散性を高めることができる。この付着量が0.03質量%未満では分散性が低下して凝集を起こすことがあり、逆に5質量%を超えると水性銀コロイド液を水性インクの形態で塗布して焼結させた場合、焼結後の導電性が低下したり、焼結時に有機物由来のガスが過剰に発生して表面の平滑性を低下させることがある。
(用途)
本発明の実施形態の水性銀コロイド液は、前述したように非沈降性に優れ、さらに低温焼結性にも優れているため、導電性に優れた導電体を形成することができる。よって、導電性ペーストの原料として用いることも可能であるが、水性インクの原料として用いることが特に好ましい。水性インクは、例えばプリント配線板の配線回路、半導体素子の内部配線やビアホール充填、電子部品の実装などの導電部分の形成材料として好適に用いることができる。
(製造方法)
本発明の実施形態の水性銀コロイド液は、限定するものではないが、例えば下記の方法で作製することができる。すなわち、銀化合物をアンモニア水に溶解して銀アンミン錯塩を有する水溶液(銀アンミン錯塩水溶液又は銀錯塩水溶液とも称する)を用意し、これにポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの少なくとも2種類からなる分散剤が添加されたヒドラジン溶液を加えることにより銀化合物を還元し、銀微粒子を析出させる。得られた銀微粒子を含む水溶液を濾過及び洗浄することにより水性銀コロイド液を得ることができる。還元される銀化合物には塩化銀、酸化銀、硝酸銀、炭酸銀等を使用することができるが、これらの中では塩化銀が好ましい。その理由は、塩化銀を原料として使用した場合、他の銀化合物と比較して還元反応が遅くなるため、平均粒径15nm以下の微粒の生成が抑えられ、粒度分布がより安定するからである。
銀化合物に塩化銀を使用する場合は、アンモニア水に溶解して得られる銀錯塩水溶液中の銀濃度を0.1〜30g/Lに調整するのが好ましく、1〜15g/Lに調整するのがより好ましい。この銀濃度が0.1g/L未満になると、生産性が悪化して効率的に銀粉を得るのが困難になる。一方、この銀濃度が30g/Lより高くなると、生成する銀微粒子の形状が不安定になり、特に粒度分布が安定しなくなるため好ましくない。
塩化銀をアンモニア水に溶解して得られる銀錯塩水溶液のpHは10〜13に調整するのが好ましく、pH12程度に調整するのがより好ましい。このpHが10よりも低いと塩化銀が析出してしまい、製品の特性が安定しない。一方、pHが13を超えても生成する銀微粒子の特性が特に向上しないばかりか、多量のアンモニアガスが揮発して悪臭を引き起こすおそれがある。特に銀錯塩水溶液のpHを12程度に調整することにより、形状及び粒度分布の均一性の点で一層安定した水性銀コロイド液を作製することができる。
本発明の実施形態で使用する分散剤は、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの2種類が必須であるが、長期保存してもインク中に析出しないものであれば、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンに更に別の物質を添加しても構わない。この別の物質には、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸、ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、コハク酸、乳酸、蟻酸などのカルボン酸、イミダゾール、ベンゾトリアゾール等のアゾ化合物、ジエタノールアミン、ポリエチレンイミン等のアミノ化合物、又は界面活性剤の類を挙げることができる。これらの内の1又は複数を添加することにより分散性を更に向上させることができる。
上記分散剤に使用するポリビニルピロリドンの分子量は3,000〜25,000であることが好ましい。この分子量が3,000未満では立体障害としての機能が乏しくなり、結果として分散性が悪化するおそれがあるからであり、一方、分子量が25,000を超えると燃焼温度や分解温度が高くなり、焼結性が低下するおそれがあるからである。上記分散剤に使用するポリビニルアルコールについては、前述したように膨潤していることが望ましく、そのためには親水性が高いこと、すなわち分子量が比較的小さいことが好ましく、また、銀粒子表面に吸着しつつポリビニルピロリドンの周囲を占めるため、必然的にポリビニルピロリドンと同程度の分子量であることが好ましい。
ポリビニルピロリドンは、銀に対して10〜40質量%となるように添加する。この量が10質量%未満であると、銀微粒子の表面に吸着させる量が不十分となり、その結果、銀微粒子の平均粒径が45nmを超えて大きくなって焼結性の悪化を招く恐れがあるからである。一方、この量が40質量%より多くなると、ポリビニルアルコールの吸着を妨げて乾燥時にムラができやすくなり、結果的に不均一な焼結膜となり抵抗値の増大を招くおそれがある。
ポリビニルアルコールは、銀に対して1〜40質量%となるように添加する。この量が1質量%未満であると銀微粒子表面のポリビニルピロリドンの周囲に十分に存在できなくなって乾燥時にムラができやすくなり、結果的に不均一な焼結膜となり抵抗値の増大を招くおそれがある。一方、この量が40質量%より多くなると、銀微粒子の洗浄に時間がかかりすぎて生産性が低下するため好ましくない。
上記還元剤として使用するヒドラジンは、銀化合物に対してモル比で0.6以上に調整するのが好ましく、1〜3の範囲内に調整するのがより好ましい。このモル比が0.6未満であると還元が不十分となり、還元後の水性銀コロイド液中に未還元の銀が析出することがある。一方、このモル比が3より大きくなると不経済になる上、ヒドラジンガスの発生により作業環境が悪化するおそれがある。
上記説明した方法ではポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを少なくとも含む分散剤を還元液に添加した後、塩化銀などの銀化合物をアンモニア水に溶解した銀錯塩水溶液に対して、該分散剤を含む還元液を添加したが、この方法に限定されるものではなく、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを少なくとも含む分散剤を還元剤と共にあるいは別々に銀錯塩水溶液に添加してもよいし、還元剤及び銀錯塩のいずれも含まない第3液にポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを少なくとも含む分散剤を溶解し、この第3液を還元液と共にあるいは別々に銀錯塩水溶液に添加して混合することで銀粒子を生成させてもよい。
いずれの場合においても、還元条件として、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを少なくとも含む分散剤並びに還元液を銀錯塩水溶液に混合して得られる混合液の温度は15〜50℃が好ましく、20〜45℃がより好ましく、25〜40℃がさらに好ましい。この温度が15℃未満ではヒドラジンの還元性能が低下して銀微粒子の生成が遅くなることで還元時間が長くなり、生産性が低下する。一方、この温度が50℃より高くなると、アンモニアの揮発量が増加するだけでなく、銀粉の粒径にばらつきが生じるおそれがある。
上記還元反応が終了したことを還元反応による発泡が終了していること、あるいは酸化還元電位の低下等で確認した後、析出した銀微粒子を含む水溶液の濾過及び洗浄を行い、最後に銀微粒子の濃度調整等を行うことで水性銀コロイド液が得られる。これら濾過及び洗浄処理、並びに濃度調整処理等の具体的な方法については、銀微粒子が溶解したり、銀微粒子の表面に吸着しているポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールが除去されたりすることがなければ特に制約はなく、一般的な方法を採用することができる。
例えば、銀微粒子は平均粒径が45nm以下であることから、分画分子量が25,000〜50,000程度の限外濾過装置を用いた濃縮と、これにより得られる濃縮液の純水による希釈とを繰り返すことで濾過及び洗浄処理を行うことができる。これにより銀微粒子表面に吸着せずに液中に溶解しているポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール、アンモニア、ヒドラジン、界面活性剤等の不純物を十分に除去することができる。その後、銀濃度を例えば1g/mLに調整することで水性銀コロイド液を得ることができる。なお、銀微粒子に吸着していないポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールの除去を促進するため、上記洗浄に使用する純水にエタノールなどのアルコールを添加するのが効果的である。
銀微粒子表面に吸着されているポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールは、焼結時には銀の触媒効果によってそれぞれ単体での燃焼温度や分解温度以下で容易に分解される。一方、液中に残留しているポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール、及び界面活性剤等は銀微粒子の表面とほとんど接することがないので銀の触媒効果が得られず、各々が単独で燃焼あるいは分解する。それが完了するまで焼結性を阻害するため、焼結性の悪化を招く。従って水性銀コロイド液の作製の際は、銀微粒子表面に吸着せずに液中に残留しているポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールなどの不純物を水洗で十分に除去し、水に含まれる不純物の総量が水性コロイド液に対して1質量%以下となるようにする。
(水性インク)
上記した本発明の実施形態の水性銀コロイド液を用いて水性インクを作製することができる。具体的には、低温焼結性を損なわない範囲内で、水性銀コロイド液に有機添加剤、界面活性剤、アルコール類、グリコール類などの水との親和性の高い溶媒などを適宜添加することで水性インクが得られる。また、水性銀コロイド液に含まれる銀微粒子に対してさらに有機表面処理を施してもよい。銀微粒子に有機表面処理を施すことにより、凝集性を更に抑制することができる。更に有機表面処理剤の種類を適宜選択することにより、他材料との親和性をコントロールすることも可能になる。
この有機表面処理剤には、例えば界面活性剤、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、シランカップリング剤等の有機化合物が利用できる。前述したように銀微粒子の表面は親水性の高いポリビニルアルコールが占めていることから、水中でこれら有機表面処理剤の皮膜を形成するのは困難である。そのため、たとえば上記有機化合物としてオレイン酸、カプリン酸又はステアリン酸を用いる場合は、この有機化合物を水性銀コロイド液と共にインクに混合し、インクを塗布後、乾燥時に粒子表面に形成させて親和性を発揮させる方法がある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における粒度測定、有機物付着量の測定、沈降性の評価、及び焼結性の評価は、それぞれ下記に示す要領で行った。
<粒度測定>
水性銀コロイド液に含まれる銀微粒子の粒度測定は、少量の水性銀コロイド液をビーカーに取り、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液50mLを添加した。その後、超音波分散器US−300T(日本精機製作所製、OUTPUT:6、TUNING:5)を用いて10秒間分散処理して測定用サンプルを調製した。この測定用サンプルを、動的光散乱式粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装製)に導入して体積累積平均粒径D50及びDmaxを測定した。
<有機物付着量の測定>
銀微粒子の表面に付着している有機物の付着量の測定は、熱重量・熱示差分析装置(BrukerAXS社製、TG−DTA2000SR)を用いて、乾燥空気100mL/min、昇温速度10℃/minで室温から1,000℃まで昇温させることにより測定した。本発明の水性銀コロイド液は、この測定方法においては、室温〜200℃の大きな質量減少領域と、220℃〜400℃の小さな質量減少領域とを示した。室温〜200℃の質量減少量はコロイド中の水分の蒸発によるものであり、220℃〜1,000℃の質量減少量は付着有機物及びその水和物の分解や揮発によるものであり、1,000℃での残質量は銀微粒子単体であるとみなすことができる。よって、220℃〜1,000℃の質量減少量を1000℃での残質量で割ったものを銀に対する有機物の付着量の割合とした。
<沈降性の評価>
室温において水性銀コロイド液25gを純水30mLで希釈して1分間撹拌後、ガラスビーカーに分取し、その後、銀微粒子の沈降の様子を肉眼で観察し、次の基準で評価した。
○:3週間以上沈まなかった。
△:1週間〜3週間後に沈降が観察された。
×:1週間のうちに沈降が観察された。
<焼結性の評価>
室温において水性銀コロイド液を幅2cm、厚さ10μmとなるように平滑なガラス面に塗布し、150℃で20分間保持して焼結させた後、抵抗率計(三菱化学製、ロレスタGP MCP−T600型)を用いて4端子法により表面抵抗率を測定後、FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、日立製作所製、型式S−4700)によるSEM像(50,000倍)により破断面の膜厚を測定することで体積抵抗率を測定した。
[実施例]
下記の方法で試料1〜5の水性銀コロイド液を作製した。先ず、6.65Lの純水に塩化銀35gと25%アンモニア水0.35Lとを添加して溶解し、銀アンミン錯塩水溶液を調製した(銀濃度3.8g/L、35℃、pH12.23)。一方、ヒドラジン一水和物(関東化学製、鹿1級)7mLを純水1.8Lで希釈し、この液にポリビニルアルコールとしてポバール203(クラレ製)10g、及びポリビニルピロリドンK15(東京化成製)3.5gを溶解し、還元液とした。なおポバール203の分子量は13,000、ポリビニルピロリドンK15の分子量は10,000であった。
攪拌機を用いて銀アンミン錯塩水溶液を300rpmで攪拌しつつ、還元液を添加した。1時間攪拌保持して還元を終了させた後、限外濾過キットのビバフロー200 VF20P3(ザルトリウス・メカトロニクス製、分画分子量50,000)を用いて純水による洗浄と濃縮とを繰り返すことで不純物を取り除いた。これにより銀濃度が1g/mL、不純物の総量が0.17質量%の試料1の水性銀コロイド液を得た。得られた試料1の水性銀コロイド液中の銀微粒子の走査型電子顕微鏡(FE−SEM)観察像を図1に示す。
次に、1.65Lの純水に塩化銀35gと25%アンモニア水0.35Lとを添加して溶解し、銀アンミン錯塩水溶液を調製した(銀濃度13.2g/L、35℃、pH12.93)。一方、ヒドラジン一水和物(関東化学製、鹿1級)7mLを純水1.8Lで希釈して還元液とした。更にポリビニルアルコールとしてポバール203(クラレ製)7g、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)2.7g、及びポリオキシエチレン(7)ステアリルエーテル(和光純薬製)9gを5Lの純水に溶解して分散液とした。
攪拌機を用いて銀アンミン錯塩水溶液を300rpmで攪拌しつつ、分散液及び還元液を添加した。1時間攪拌保持して還元を終了させた後、限外濾過キットのビバフロー200 VF20P3(ザルトリウス・メカトロニクス製、分画分子量50,000)を用いて、純水による洗浄と濃縮とを繰り返すことで不純物を取り除いた。これにより銀濃度が1g/mL、不純物の総量が0.12質量%の試料2の水性銀コロイド液を得た。得られた試料2の水性銀コロイド液中の銀微粒子の走査型電子顕微鏡(FE−SEM)観察像を図2に示す。
次に、ポバール203(クラレ製)の添加量を10gに代えて0.3gとし、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)の添加量を3.5gに代えて10gとした以外は上記した試料1の場合と同様にして試料3の水性銀コロイド液を作製した。この試料3の水性銀コロイド液は、銀濃度が1g/mL、不純物総量が0.19質量%であった。
次に、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)の添加量を3.5gに代えて1.7gを溶解し、限外濾過キットに分画分子量100,000のVF20P4を用いた以外は上記した試料1の場合と同様にして試料4の水性銀コロイド液を作製した。この試料4の水性銀コロイド液は銀濃度が1g/mL、不純物総量が0.15質量%であった。
次に、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)の添加量を3.5gに代えて15gとし、更に還元液にポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(和光純薬製)9gを加えた以外は上記した試料1の場合と同様にして試料5の水性銀コロイド液を作製した。この試料5の水性銀コロイド液は銀濃度が1g/mL、不純物総量が0.19質量%であった。
上記した試料1〜5の水性銀コロイド液の作製条件をまとめたものを下記表1に示す。また、これにより得られた試料1〜5の水性銀コロイド液中の銀微粒子に対して行った有機物付着量の測定結果、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いた平均粒径D50及びDmax、沈降性、並びに体積抵抗率の評価結果を下記表2に示す。
上記表2の結果より、試料1〜3の水性銀コロイド液では電子顕微鏡観察による形状が球形であり、平均粒径(D50)が15〜45nmで均一性高く、且つ、有機物付着量が銀に対して0.03〜1質量%の銀微粒子が得られることが分かった。また、試料1〜3の水性銀コロイド液に含まれる銀微粒子は、室温において希釈した水性銀コロイド液をガラスビーカーに分取し、その後、銀微粒子の沈降の様子を肉眼で観察し、3週間以上沈まない優れた非沈降性を備えていることが分った。中でも、平均粒径(D50)が45nm以下、或いは有機物付着量が0.03質量%以上の銀微粒子は特に非沈降性が、有機物付着量1質量%以下の銀微粒子は焼結性に優れていた。
これに対して試料4の水性銀コロイド液では、銀に対するポリビニルピロリドン添加量の不足から銀微粒子径が45nmを超えると共にDmaxが80nmを超え、更に付着有機物量が多くなって焼結性が悪化した。また、試料5の水性銀コロイド液では、反対に銀に対するポリビニルピロリドン添加量が過剰であり、ポリビニルピロリドンの過剰な吸着がポリビニルアルコールの付着を阻害し、有機物付着量が0.03%以下となり、非沈降性が悪化した。

Claims (8)

  1. ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールを少なくとも有する有機物が表面に付着した平均粒径(D50)15〜45nmの銀微粒子と、不可避不純物を含んだ溶媒としての水とからなる水性銀コロイド液であって、
    前記有機物の付着量が銀微粒子に対して0.03〜5質量%であり、前記不可避不純物の総量が水性銀コロイド液に対して1質量%以下であることを特徴とする水性銀コロイド液。
  2. 前記銀微粒子の最大粒径(Dmax)は80nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の水性銀コロイド液。
  3. 前記銀微粒子は実質的に球状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性銀コロイド液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性銀コロイド液を用いることを特徴とする水性インク。
  5. 銀化合物をアンモニア水溶液で溶解して生成される銀アンミン錯体塩を含んだ水溶液と、還元剤としてヒドラジンと、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの少なくとも2種類の分散剤とを混合することで銀微粒子を還元析出させる工程と、析出した銀微粒子を含む水溶液を濾過及び洗浄する工程とからなる水性銀コロイド液の製造方法であって、
    前記混合の際、銀に対して前記ポリビニルピロリドンが10〜40質量%、前記ポリビニルアルコールが1〜40質量%となるように混合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性銀コロイド液の製造方法。
  6. 前記ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの分子量が3,000〜25,000であることを特徴とする、請求項5に記載の水性銀コロイド液の製造方法。
  7. 前記銀化合物は塩化銀であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の水性銀コロイド液の製造方法。
  8. 前記濾過には限外濾過装置を使用し、前記洗浄には純水を用いることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の水性銀コロイド液の製造方法。
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