JP2015101756A - アルミニウム合金材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム合金材の強度を高めつつ、より短時間で時効処理を行うことができるアルミニウム合金材の製造方法を提供する。【解決手段】Al−Cu−Mg系のアルミニウム合金材に対して溶体化処理を行う工程と、該溶体化処理されたアルミニウム合金材を冷却する前に、該アルミニウム合金材に対して塑性加工を行う工程と、該塑性加工が終了したタイミングでアルミニウム合金材を冷却し、該冷却後のアルミニウム合金材に時効処理を行う工程と、を少なくとも含み、加熱温度295〜310℃の温度範囲で加熱時間30〜120秒間保持することにより、前記アルミニウム合金材に対して前記時効処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金材の製造方法に係り、特に、溶体化処理及び時効処理を含むAl−Cu−Mg系の熱処理型のアルミニウム合金材の製造方法に関する。
近年地球環境保護の観点から、自動車用構造用部材などの材料としてアルミニウム合金材が注目されている。例えば、Al−Cu−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、またはAl−Zn−Mg系合金の熱処理型のアルミニウム合金材を用いて、製品を製造する場合には、まず、アルミニウム合金材に対して所望の形状にプレス成形などを利用した塑性加工を行う。次に、該塑性加工されたアルミニウム合金材に対して、アルミニウム合金材内の析出強化元素が固溶するように、溶体化処理を行い、その後、アルミニウム合金材内に、析出物を析出させ、アルミニウム合金材を硬化させるべく、再結晶温度よりも低い温度で長時間、時効処理を行なう。
たとえば、特許文献1には、Al−Cu−Mg系のアルミニウム合金材を450〜540℃に加熱し、押出ダイスから出た直後のアルミニウム合金材の温度が520〜570℃となるように押出ダイスでアルミニウム合金材を押し出し、520〜560℃の範囲にアルミニウム合金材を維持して保温槽を通過させた後、アルミニウム合金材を冷却槽で焼き入れるアルミニウム合金材の製造方法が開示されている。このアルミニウム合金の製造方法では、さらに、得られたアルミニウム合金材に対して155〜190℃、2〜20時間の加熱条件下で時効処理を行う点が開示されている。
特開2000−239810号公報
しかしながら、特許文献1に係るアルミニウム合金材の製造方法では、アルミニウム合金材を押出し成形後、保温槽によりアルミニウム合金材の温度を維持されるため、押出し成形後も溶体化処理が継続されている。これにより、アルミニウム合金材に所望の強度が得られないことがあった。さらに、溶体化処理後、アルミニウム合金材を時効処理する際には、低温で長時間の時効処理を行う必要があった。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とすることころは、アルミニウム合金材の強度を高めつつ、より短時間で時効処理を行うことができるアルミニウム合金材の製造方法を提供することにある。
前記課題を鑑みて、発明者は鋭意検討を重ねた結果、微細な亜結晶粒と組織に転位を有した状態のアルミニウム合金材に対して時効処理を行えば、高温かつ短時間で析出物が析出しやすくなると考えた。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法はAl−Cu−Mg系のアルミニウム合金材に対して溶体化処理を行う工程と、該溶体化処理されたアルミニウム合金材を冷却する前に、前記アルミニウム合金材に対して塑性加工を行う工程と、該塑性加工が終了したタイミングでアルミニウム合金材を冷却し、該冷却後のアルミニウム合金材に時効処理を行う工程と、を少なくとも含み、加熱温度295〜310℃の温度範囲で加熱時間30〜120秒間保持することにより、前記アルミニウム合金材に対して前記時効処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、溶体化処理されたアルミニウム合金材を冷却する前、溶体化処理時の加熱温度を保持したままアルミニウム合金材に対して塑性加工を行い、その後、塑性加工が終了したタイミングで、温度保持による溶体化処理を行わず冷却する。これにより、アルミニウム合金材の組織には、微細な亜結晶粒と組織に転位を有した状態となる。この結果、従来ならば数十時間という長時間、200℃以下の低温で時効処理を行うところ、本発明では、加熱温度295〜310℃の高温で、加熱時間30〜120秒間という短時間で、時効処理を行うことができ、これまでに比べて高い強度のアルミニウム合金材を得ることができる。
ここで、時効処理における加熱温度が295℃未満の場合、上述した加熱時間範囲では時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができない。一方、時効処理における加熱時間が310℃超えの場合、過時効によりアルミニウム合金材の硬さが低下してしまう。
また、時効処理のおける加熱時間が30秒未満の場合、時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができない。一方、時効処理における加熱時間が120秒を超えた場合には、過時効によりアルミニウム合金材の硬さが低下してしまう。
また、より好ましい態様としては、加熱温度500℃〜530℃の温度範囲で加熱時間9〜600秒間保持することにより、前記溶体化処理を行う。これにより、アルミニウム合金材の時効処理後の強度を確保しつつ、塑性加工時の割れを抑えることができる。
ここで、溶体処理における加熱温度が500℃未満の場合、上述した加熱時間範囲では時効処理後に、所望の強度を得ることができないことがある。一方、溶体化処理における加熱時間が530℃超えの場合、塑性加工時の加工発熱によりアルミニウム合金材に割れが生じる。
また、溶体化処理のおける加熱時間が9秒未満の場合、時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができない。一方、時効処理における加熱時間が600秒を超えたとしても、溶体化処理による効果をそれ以上期待することができない。
本発明によれば、アルミニウム合金材の強度を高めつつ、より短時間で時効処理を行うことができる。
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金材の製造方法を説明するための温度と時間との関係を示した図。 実施例1〜4および比較例1〜6に係るアルミニウム合金材の時効処理時の加熱温度とビッカース硬さとの関係を示した図。 実施例2に係るアルミニウム合金材の組織写真。 実施例5〜8および比較例7〜9に係るアルミニウム合金材の時効処理時の加熱時間とビッカース硬さとの関係を示した図。 実施例9〜12および比較例10,11に係るアルミニウム合金材の溶体化処理時の加熱温度とビッカース硬さとの関係を示した図。 実施例13〜16および比較例14に係るアルミニウム合金材の溶体化処理時の加熱時間とビッカース硬さとの関係を示した図。 (a)は、実施例17に係るアルミニウム合金材の組織写真、(b)は、比較例15に係るアルミニウム合金材の組織写真。 (a)は、実施例17に係るアルミニウム合金材の結晶粒界写真、(b)は、比較例15に係るアルミニウム合金材の結晶粒界写真。 (a)は、実施例17に係るアルミニウム合金材のEBSDによる写真、(b)は、比較例15に係るアルミニウム合金材のEBSDによる写真。
以下、図1を参照して、本実施形態に基づき本発明を説明する。
本実施形態では、まず、Al−Cu−Mg系のアルミニウム合金材を準備する。具体的には、Al−Cu−Mg系のアルミニウム合金材とは、JIS規格でいう2000系の熱処理型のアルミニウム合金材であり、時効処理時にAl−Cu−Mg系析出物が析出するものである。
このアルミニウム合金材に対して、図1に示すよう溶体化処理を行う。この溶体化処理では、前記熱処理型のアルミニウム合金材を固溶限温度以上の適温に加熱し、合金成分を十分に固溶させた後、急冷させて過飽和固溶状態にする熱処理を行う。
溶体化処理におけるアルミニウム合金材の加熱温度は、析出強化元素(固溶元素)を飽和固溶状態まで固溶させ拡散することができる温度以上であり、かつ、アルミニウム合金材がバーニングし始める温度以下である。前記温度未満の場合には、元素の固溶が充分でないため、時効処理によりアルミニウム合金材の強度を向上させることができず、前記温度を超えた場合には、融点の低い共晶元素が溶融し、欠陥となるので強度低下を招く。
具体的には、本実施形態では、アルミニウム合金材を加熱温度500℃〜530℃の温度範囲で加熱時間9〜600秒間保持することにより溶体化処理を行う。
これにより、アルミニウム合金材の時効処理後の強度を確保しつつ、塑性加工時の割れを抑えることができる。ここで、発明者らが行った後述する実施例からも明らかなように、溶体処理における加熱温度が500℃未満の場合、上述した加熱時間範囲では時効処理後に、所望の強度を得ることができないことがある。一方、溶体化処理における加熱時間が530℃超えの場合、塑性加工時の加工発熱によりアルミニウム合金材に割れが生じる。
また、さらに、発明者らが行った後述する実施例からも明らかなように、溶体化処理のおける加熱時間が9秒未満の場合、時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができない。一方、時効処理における加熱時間が600秒を超えたとしても、溶体化処理による効果をそれ以上期待することができない。
さらに、溶体化処理を行う際に、上述した溶体化処理の加熱温度まで昇温する時間は60秒以内であることが好ましく、高周波加熱またはソルトバス等により昇温速度は10℃/秒以上で行うことがより好ましい。
次に、図1に示すように、溶体化処理されているアルミニウム合金材を冷却する前(具体的には水冷による焼き入れをする前)、溶体化処理時の加熱温度を保持したままアルミニウム合金材に対して塑性加工を行う。本実施形態では、100℃〜200℃に温調された金型プレスを用いて、成形速度30mm/秒以下でアルミニウム合金材を鍛造する。すなわち、本実施形態では、溶体化処理を終了する前にアルミニウム合金材に対して熱間鍛造を行う。これにより、微細な亜結晶粒を有した組織であり、組織に転位を有した状態のアルミニウム合金材を得ることができる。
このようなタイミングで塑性加工を行うことにより、(1)アルミニウム合金材の再結晶の粗大化の防止、(2)金型焼き入れによる過飽和固溶体(Al−Cu,Mg)の生成、(3)加工硬化(転位の回復の抑制)、亜結晶粒化を期待することができる。また、塑性加工時に、成形速度30mm/秒を超えた場合には、アルミニウム合金材に割れが発生することがある。
次に、塑性加工が終了したタイミングでアルミニウム合金材を水冷により冷却し、冷却後のアルミニウム合金材に時効処理を行う。時効処理では、溶体化処理したアルミニウム合金材内の析出強化元素(固溶元素)を加熱することにより析出物として析出させる処理を行う。具体的には、本実施形態では、加熱温度295〜310℃の温度範囲で加熱時間30〜120秒間保持することにより、アルミニウム合金材に対して時効処理を行う。
このようにして、アルミニウム合金材の組織には、30μm以下の微細な亜結晶粒と組織に転位を有した状態を維持することができる。この結果、従来ならば数十時間という長時間、200℃以下の低温で時効処理を行うところ、本実施形態では、加熱温度295〜310℃の高温で、加熱時間30〜120秒間という短時間で、時効処理を行うことができ、これまでに比べて高い強度のアルミニウム合金材を得ることができる。
ここで、発明者らが行った後述する実施例からも明らかなように、時効処理における加熱温度が295℃未満の場合、上述した加熱時間範囲では時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができない。一方、時効処理における加熱時間が310℃超えの場合、過時効によりアルミニウム合金材の硬さが低下してしまう。
また、発明者らが行った後述する実施例からも明らかなように、時効処理における加熱時間が30秒未満の場合、時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができない。一方、時効処理における加熱時間が120秒を超えた場合には、過時効によりアルミニウム合金材の硬さが低下してしまう。
さらに、時効処理を行う際に、上述した時効処理の加熱温度まで昇温する時間は60秒以内であることが好ましく、高周波加熱またはソルトバス等により昇温速度は10℃/秒以上で行うことがより好ましい。このような昇温速度で昇温することにより、過時効によるアルミニウム合金材の硬さの低下を抑制することができる。すなわち、昇温速度が10℃/秒未満である場合には、昇温中も時効が進む場合があり、昇温後加熱温度を保持中に過時効により、アルミニウム合金材の硬さが低下することがある。
(実施例1)
出発材料として、以下の表1に示す成分の直径42mm、長さ30mmの押出棒からなる熱処理型アルミニウム合金材(JIS規格:A2618)を準備した。
Figure 2015101756
次に、図1及び表2に示すような工程により、アルミニウム合金材の溶体化処理を行った。まず、昇温速度15℃/秒で、アルミニウム合金材を525℃に加熱、60秒間保持することにより、アルミニウム合金材中の析出強化元素を固溶させた。
この状態で、次に、溶体化処理されているアルミニウム合金材を水却する前に、120℃の型温に温調した金型で成形速度15mm/秒で熱間鍛造を行った。熱間鍛造後のアルミニウム合金材を水冷した。次に、昇温速度15℃/秒で、295℃に加熱、30秒間保持することにより時効処理を行った。
(実施例2〜4)
実施例1と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例1と相違する点は、時効処理における加熱温度(時効処理温度)を、それぞれ順次、300℃(実施例2)、305℃(実施例3)、310℃(実施例4)にした点である。
(比較例1〜6)
実施例1と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例1と相違する点は、時効処理における加熱温度(時効処理温度)を、それぞれ順次、270℃(比較例1)、280℃(比較例2)、290℃(比較例3)、315℃(比較例4)、320℃(比較例5)、および330℃(比較例6)にした点である。
<硬さ試験および組織観察>
実施例1〜4および比較例1〜6に係るアルミニウム合金材に対して、時効処理後30時間後において、ビッカース硬度計(Hv5)により硬さを測定した。この結果を表2および図2に示す。図2は、実施例1〜4および比較例1〜6に係るアルミニウム合金材の時効処理時の加熱温度とビッカース硬さとの関係を示した図である。さらに、実施例2に係るアルミニウム合金材の組織観察を行った。図3は、実施例2に係るアルミニウム合金材の組織写真である。
Figure 2015101756
<結果1およびその考察>
図2および表2に示すように、実施例1〜4に係るアルミニウム合金材のビッカース硬さは、比較例1〜6のものに比べて硬かった。これは、比較例1〜3の場合、時効処理における加熱温度が295℃未満であるので、時効処理が十分に進まず、比較例4〜6の場合、時効処理における加熱時間が310℃超えたため、過時効によりアルミニウム合金材の硬さが低下してしまったからであると考えられる。なお、図3から、実施例2のアルミニウム合金材では、時効析出が生じていることが確認できる。
(実施例5〜8)
実施例2と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例2と相違する点は、時効処理における加熱時間(時効処理時間)を、それぞれ順次、30秒(実施例5)、60秒(実施例6)、90秒(実施例7)、120秒(実施例8)にした点である。
(比較例7〜9)
実施例5と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例5と相違する点は、時効処理における加熱時間(時効処理時間)を、それぞれ順次、0秒(比較例7)、180秒(比較例8)、600秒(比較例9)にした点である。
実施例5〜8および比較例7〜9に係るアルミニウム合金材に対して、実施例2と同様にビッカース硬度計により表面硬さを測定した。この結果を表3および図4に示す。図4は、実施例5〜8および比較例7〜9に係るアルミニウム合金材の時効処理時の加熱時間とビッカース硬さとの関係を示した図である。
Figure 2015101756
<結果2およびその考察>
図4および表3に示すように、実施例5〜8に係るアルミニウム合金材のビッカース硬さは、比較例7〜9のものに比べて硬かった。これは、比較例7の場合、時効処理のおける加熱時間が30秒未満であるので、時効処理が十分に進まず、比較例8,9の場合、時効処理における加熱時間が120秒を超えたため、過時効によりアルミニウム合金材の硬さが低下してしまったと考えられる。
このように、結果1および2から、溶体化処理およびその焼き入れ時に塑性加工を行うことを前提に、加熱温度295〜310℃の高温で、加熱時間30〜120秒間という短時間で、時効処理を行うことができ、これまでに比べて高い強度のアルミニウム合金材を得ることができる。
(実施例9〜12)
実施例2と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例2と相違する点は、溶体処理における保持時間を9秒とした点と、加熱温度(溶体処理温度)を、それぞれ順次、500℃(実施例9)、510℃(実施例10)、520℃(実施例11)、530℃(実施例12)にした点である。
(比較例10〜13)
実施例9と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例9と相違する点は、溶体化処理における加熱温度(溶体化処理温度)を、それぞれ順次、480℃(比較例10)、490℃(比較例11)、540℃(比較例12)、550℃(比較例13)にした点である。なお、比較例12および13に係るアルミニウム合金材は、鍛造時に割れが生じた。
実施例9〜12および比較例10,11に係るアルミニウム合金材に対して、実施例2と同様にビッカース硬度計により表面硬さを測定した。この結果を表4および図5に示す。図5は、実施例9〜12および比較例10,11に係るアルミニウム合金材の溶体化処理時の加熱温度とビッカース硬さとの関係を示した図である。
Figure 2015101756
<結果3およびその考察>
図5および表4に示すように、実施例9〜12に係るアルミニウム合金材のビッカース硬さは、比較例10、11のものに比べて硬かった。これは、比較例10,11の場合、溶体化処理のおける加熱温度が500℃未満であるので、十分に析出元素が基地に固溶せずに時効処理時に十分な析出物が析出しなかったものと考えられる。
一方、比較例12,13の場合、溶体化処理における加熱温度が530℃を超えたため、塑性加工時の加工発熱が生じたことにより、アルミニウム合金材に割れが生じたものと考えられる。したがって、溶体化処理時における好ましい加熱温度は、500℃〜530℃であると考えられる。
(実施例13〜16)
実施例2と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例2と相違する点は、溶体化処理における加熱時間(溶体化処理時間)を、それぞれ順次、9秒(実施例13)、60秒(実施例14)、180秒(実施例15)、600秒(実施例16)にした点である。
(比較例14)
実施例13と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例13と相違する点は、時効処理における加熱時間(時効処理時間)を、0秒(比較例14)にした点である。
実施例13〜16および比較例14に係るアルミニウム合金材に対して、実施例2と同様にビッカース硬度計により表面硬さを測定した。この結果を表5および図6に示す。図6は、実施例13〜16および比較例14に係るアルミニウム合金材の溶体化処理時の加熱時間とビッカース硬さとの関係を示した図である。
Figure 2015101756
<結果4およびその考察>
図6および表5に示すように、実施例13〜16に係るアルミニウム合金材のビッカース硬さは、比較例14のものに比べて硬かった。これは、比較例14の場合、溶体化処理のおける加熱時間が0秒であるので(すなわち溶体化処理を行っていないので)、十分に析出元素が基地に固溶せず、時効処理時に十分な析出物が析出しなかったものと考えられる。
このような結果から、溶体化処理のおける加熱時間が9秒未満の場合、時効処理が十分に進まず、所望の強度を得ることができないことがあると考えられる。さらに、時効処理における加熱時間が600秒を超えたとしても、溶体化処理による効果をそれ以上期待することができないと考えられる。
(実施例17)
実施例2と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。
(比較例15)
実施例17と同様にしてアルミニウム合金材を作製した。実施例17と相違する点は、鍛造処理に続いて加熱温度525℃、加熱時間3時間で溶体化処理を行った点である(通常のT6処理を想定した熱処理)。
実施例17および比較例15に係るアルミニウム合金材のミクロ組織を観察した。図7(a)は、実施例17に係るアルミニウム合金材の組織写真、図7(b)は、比較例15に係るアルミニウム合金材の組織写真である。
また、実施例17および比較例15に係るアルミニウム合金材に対して、500μm×500μmの領域について結晶粒界のプロファイルを抽出し、画像解析をおこなって平均結晶粒径を測定した。この結果を表6に示す。図8(a)は、実施例17に係るアルミニウム合金材の結晶粒界写真、図8(b)は、比較例15に係るアルミニウム合金材の結晶粒界写真である。
Figure 2015101756
さらに、実施例17および比較例15に係るアルミニウム合金材に対して、EBSDにより結晶粒の方位差を測定した。図9(a)は、実施例17に係るアルミニウム合金材のEBSDによる写真、図9(b)は、比較例15に係るアルミニウム合金材のEBSDによる写真である。
<結果5および考察>
図7(a),(b)から、実施例17に係るアルミニウム合金材では、鍛造後に溶体化処理を行っていないため、再結晶粗大化を起らず、亜結晶粒が残存していることがわかる。さらに、図8(a),(b)に示すように、実施例17に係るアルミニウム合金材の結晶粒は、比較例15のものに比べて微細であり、表6に示すように、実施例17に係るアルミニウム合金材の平均結晶粒径は、30μm以下であった。
さらに、図9(a),(b)の測定結果から、結晶粒の方位差2〜15°における、実施例17に係るアルミニウム合金材の総転位長さは、4.26cmであり、比較例15に係るアルミニウム合金材の総転位長さは、2.25cmであった。この結果から、実施例17に係るアルミニウム合金材は、比較例15のものに比べて転位が回復しなかったと考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。

Claims (2)

  1. Al−Cu−Mg系のアルミニウム合金材に対して溶体化処理を行う工程と、
    該溶体化処理されたアルミニウム合金材を冷却する前に、該アルミニウム合金材に対して塑性加工を行う工程と、
    該塑性加工が終了したタイミングでアルミニウム合金材を冷却し、該冷却後のアルミニウム合金材に時効処理を行う工程と、を少なくとも含み、
    加熱温度295〜310℃の温度範囲で加熱時間30〜120秒間保持することにより、前記アルミニウム合金材に対して前記時効処理を行うことを特徴とするアルミニウム合金材の製造方法。
  2. 加熱温度500℃〜530℃の温度範囲で加熱時間9〜600秒間保持することにより、前記溶体化処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金材の製造方法。
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