JP2015101482A - 媒体搬送装置およびシリアルプリンター - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の搬送ローラーの駆動源となっている搬送モーターの起動時に搬送モーターにかかる負荷を低減できるシリアルプリンターを提供すること。
【解決手段】シリアルプリンター1の搬送機構16は下流側搬送ローラー21a、上流側搬送ローラー20a、搬送モーター17および搬送モーター17の駆動力を下流側搬送ローラー21aを介して上流側搬送ローラー20aに伝達する駆動力伝達機構18を備える。駆動力伝達機構18は遊星歯車機構39を備えており、遊星歯車機構39は搬送モーター17が駆動されて遊星歯車45と上流側搬送ローラー20aを駆動する駆動歯車40が噛合している状態から搬送モーター17が停止すると、上流側搬送ローラー20aの慣性力によって遊星歯車45を駆動歯車40から離間させる方向に移動させて下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41を遮断する。
【選択図】図5
【解決手段】シリアルプリンター1の搬送機構16は下流側搬送ローラー21a、上流側搬送ローラー20a、搬送モーター17および搬送モーター17の駆動力を下流側搬送ローラー21aを介して上流側搬送ローラー20aに伝達する駆動力伝達機構18を備える。駆動力伝達機構18は遊星歯車機構39を備えており、遊星歯車機構39は搬送モーター17が駆動されて遊星歯車45と上流側搬送ローラー20aを駆動する駆動歯車40が噛合している状態から搬送モーター17が停止すると、上流側搬送ローラー20aの慣性力によって遊星歯車45を駆動歯車40から離間させる方向に移動させて下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41を遮断する。
【選択図】図5
Description
本発明は、複数の搬送ローラーを搬送モーターにより駆動してシート状の媒体を搬送する媒体搬送装置およびシリアルプリンターに関する。
印刷用紙などのシート状の媒体を複数の搬送ローラーによって搬送する搬送装置は特許文献1に記載されている。搬送装置は複数の搬送ローラーと、駆動源としての搬送モーターと、搬送モーターの駆動力を搬送ローラーに伝達する駆動力伝達機構を備えている。駆動力伝達機構は、搬送モーターから複数の搬送ローラーに至る駆動力伝達経路の途中に、駆動力伝達経路を継断することが可能な遊星歯車機構を備えている。遊星歯車機構は、搬送モーターの側から駆動力が伝達される太陽歯車と、太陽歯車と同軸状態で当該太陽歯車に対して相対回転可能に支持されている遊星キャリアと、太陽歯車と噛合した状態で遊星キャリアに回転可能に支持されており、搬送ローラーを駆動させるための駆動歯車と噛合可能な遊星歯車を備えている。
遊星歯車機構は媒体を搬送するために搬送モーターが正方向に駆動されると駆動力伝達経路を接続する。すなわち、搬送モーターが正方向に駆動されると遊星歯車と駆動歯車が噛み合った状態となり、搬送モーターの駆動力が複数の搬送ローラーに伝達される。この一方で、遊星歯車機構は搬送モーターが逆方向に駆動されると駆動力伝達経路を切断する。すなわち、搬送モーターが逆方向に駆動されると、太陽歯車の逆方向への自転によって遊星歯車が太陽歯車の回りを駆動歯車から離れる方向に移動して、遊星歯車機構から駆動歯車に搬送モーターの駆動力が伝達されなくなる。
駆動力伝達機構に遊星歯車機構を備える搬送機構では搬送モーターが停止した場合でも遊星歯車と駆動歯車の噛み合い状態は維持されている。すなわち、搬送モーターを間欠的に駆動して媒体を所定の送り量毎に間欠的に搬送する場合でも、搬送モーターが停止している間に遊星歯車と駆動歯車の噛み合いが解除されることはなく、駆動力伝達経路は常に接続された状態となっている。従って、搬送モーターには、その駆動が繰り返される毎に、その駆動開始時点で常に複数の搬送ローラーを動かすための負荷がかかる。
ここで、搬送モーターなどのモーターでは、駆動電力が供給された駆動開始時点から一定の回転速度に到達するまでの立ち上がり時間中に負荷がかかると、立ち上がり時間が延びるという問題がある。搬送モーターの立ち上がり時間が延びると、搬送モーターを間欠的に駆動して媒体を間欠的に搬送している搬送装置では、搬送速度が低下してしまう。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、複数の搬送ローラーによってシート状の媒体を間欠的に搬送する際に、複数の搬送ローラーの駆動源となっている搬送モーターの起動時に当該搬送モーターにかかる負荷を低減できる搬送装置およびシリアルプリンターを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の媒体処理装置は、搬送路に沿ってシート状の媒体を搬送する搬送機構を有し、前記搬送機構は、第1搬送ローラー、前記第1搬送ローラーの搬送方向の上流側に配置された第2搬送ローラー、搬送モーター、並びに、前記搬送モーターの駆動力を前記第1搬送ローラーおよび前記第2搬送ローラーに伝達する駆動力伝達機構を備え、前記駆動力伝達機構は、前記第1搬送ローラーを介して前記第2搬送ローラーに伝達される前記搬送モーターの駆動力を、前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間の駆動力伝達経路の途中で継断可能な遊星歯車機構を備え、前記遊星歯車機構は、前記第1搬送ローラーの側から前記駆動力が伝達される太陽歯車、前記太陽歯車と同軸状態で当該太陽歯車に対して相対回転可能に支持されている遊星キャリア、および、前記太陽歯車と噛合した状態で前記遊星キャリアに回転可能に支持されており、前記第2搬送ローラーを駆動するための駆動歯車と噛合可能な遊星歯車を備え、前記遊星歯車は、前記搬送モーターが駆動されて当該遊星歯車と前記駆動歯車とが噛合している状態で当該搬送モーターが停止すると、前記第2搬送ローラーの慣性力によって前記太陽歯車回りを前記駆動歯車から離間する方向に移動して前記駆動力伝達経路を遮断し、前記搬送モーターを正方向へ駆動させると、前記太陽歯車の自転により前記遊星歯車が当該太陽歯車回りを前記駆動歯車に接近する方向に移動して前記駆動歯車と噛み合う状態となることを特徴とする。
本発明によれば、搬送モーターが停止すると、それまで搬送モーターの駆動力により駆動されていた第2搬送ローラーが自己の回転の慣性力によって遊星歯車を駆動歯車から離間させ、これにより、搬送モーターから上流側搬送ローラーに至る駆動力伝達経路を切断する。従って、次に、搬送モーターが駆動されて媒体を搬送する際には、搬送モーターの駆動開始の時点で、搬送モーターには第2搬送ローラーを回転させるための負荷がかからない。よって、搬送モーターの立ち上がり時間が延びてしまうことを防止或いは抑制できる。これにより、媒体の搬送速度の低下を回避できる。ここで、部品の寸法公差などに起因して第1搬送ローラーと第2搬送ローラーの周速度が完全に一致しない場合がある。このような場合に、第2搬送ローラーによる搬送量が第1搬送ローラーによる搬送量よりも大きければ、搬送モーターが停止したときに媒体が第1搬送ローラーの側に押し込まれ、これにより媒体の搬送精度が低下することがある。また、第2搬送ローラーによる搬送量が第1搬送ローラーによる搬送量よりも小さければ、第2搬送ローラーが媒体を引っ張る状態が形成され、これにより媒体の搬送精度が低下することがある。これらの問題に対して、本発明では間欠的な搬送動作において搬送モーターが停止すると第2搬送ローラーへ駆動力が伝達されなくなるので、媒体が第1搬送ローラーの側に押し込まれることを防止できる。また、搬送モーターが停止すると第2搬送ローラーへ駆動力が伝達されなくなるので、第2搬送ローラーが媒体を引っ張るような状態が解消される。従って、媒体を搬送する搬送精度を維持できる。
本発明において、前記搬送モーターは、間欠的に駆動され、前記搬送機構は、前記媒体を予め定めた送り量毎に間欠的に搬送し、前記遊星歯車機構は、前記遊星キャリアの回転範囲を規制することにより前記遊星歯車が前記駆動歯車から離間する離間距離を規制する規制機構を備え、前記規制機構は、前記遊星歯車の前記離間距離を、前記搬送機構が前記媒体を前記送り量だけ搬送する際の太陽歯車の自転量によって前記遊星歯車が太陽歯車回りを移動可能な距離よりも短くすることが望ましい。このようにすれば、所定の送り量の搬送を行う間に遊星歯車と駆動歯車を噛合させることができる。すなわち、所定の送り量の搬送動作の途中で一旦切断された駆動力伝達経路を接続することが可能となり、所定の送り量の搬送動作の途中から媒体を第1搬送ローラーおよび第2搬送ローラーによって搬送できる。
本発明において、前記規制機構は、前記遊星歯車の前記離間距離を、前記搬送モーターの立ち上がり時間と同一の時間だけ当該搬送モーターを駆動した場合の太陽歯車の自転量によって前記遊星歯車が太陽歯車回りを移動可能な距離以上とすることが望ましい。このようにすれば、搬送モーターの立ち上がり時間が経過した後に遊星歯車と駆動歯車が噛合して駆動力伝達経路が接続される。従って、第1搬送ローラーおよび第2搬送ローラーの両方を回転させる負荷により搬送モーターの立ち上がり時間が延びることを回避できる。また、第1搬送ローラーおよび第2搬送ローラーの両方を回転させる負荷により搬送モーターの立ち上がり時間が延びることがないので、搬送モーターとして比較的廉価なものを用いた場合でも、媒体の搬送精度を維持することができる。
次に、本発明のシリアルプリンターは、上記の媒体搬送装置と、印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷位置を経由して延びる媒体搬送路と、を有し、前記搬送機構は、前記媒体を前記媒体搬送路に沿って搬送し、前記第1搬送ローラーおよび前記第2搬送ローラーは、前記搬送方向で前記印刷位置の上流側に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1搬送ローラーおよび第2搬送ローラーを用いてシート状の媒体を間欠的に搬送して印刷する際に、搬送ローラーの駆動源となっている搬送モーターの立ち上がり時間の延長を防止或いは抑制できる。これにより、媒体の搬送速度の低下を回避できるので、媒体の搬送速度の低下に起因する印刷速度の低下を防止できる。また、搬送モーターが停止すると第2搬送ローラーへ駆動力が伝達されなくなるので、搬送モーターの停止時点で第2搬送ローラーによって媒体が第1搬送ローラーの側に押し込まれることを防止できる。これにより、媒体の搬送精度が低下することを防止できるので、搬送精度の低下によって印刷の品質が低下することを防止できる。
本発明によれば、第1搬送ローラーおよび第2搬送ローラーを用いてシート状の媒体を間欠的に搬送して印刷する際に、搬送ローラーの駆動源となっている搬送モーターの立ち上がり時間の延長を防止或いは抑制できる。これにより、媒体の搬送速度の低下を回避できる。また、搬送モーターが停止すると第2搬送ローラーへ駆動力が伝達されなくなるので、搬送モーターの停止時点で第2搬送ローラーによって媒体が第1搬送ローラーの側に押し込まれることを防止できる。また、第2搬送ローラーが媒体を引っ張るような状態が解消される。これにより、媒体の搬送精度を維持できる。
以下に、図面を参照して、本発明を適用したシリアルプリンターを説明する。
(全体構成)
図1は本実施の形態に係るプリンターを前方から見た場合の斜視図である。シリアルプリンター1は、全体としてプリンター幅方向Xに長い直方体形状のプリンター本体2を有している。プリンター本体2の前面には、給紙カセット装着部5が設けられている。給紙カセット装着部5は、プリンター本体2の前面におけるプリンター上下方向Zの下側部分において、プリンター前方Y1(プリンター前後方向Yの前方)に開口している。給紙カセット装着部5には、プリンター前方Y1から給紙カセット6が着脱可能に装着されている。給紙カセット6には所定寸法の印刷用紙(媒体)Pが積層状態で収納されている。給紙カセット装着部5の上側には排紙トレイ7が取り付けられている。排紙トレイ7の前端部分はプリンター本体2からプリンター前方Y1に突出している。排紙トレイ7の上側には、プリンター後方Y2(プリンター前後方向Yの後方)に延びる矩形の排紙口8が形成されている。
図1は本実施の形態に係るプリンターを前方から見た場合の斜視図である。シリアルプリンター1は、全体としてプリンター幅方向Xに長い直方体形状のプリンター本体2を有している。プリンター本体2の前面には、給紙カセット装着部5が設けられている。給紙カセット装着部5は、プリンター本体2の前面におけるプリンター上下方向Zの下側部分において、プリンター前方Y1(プリンター前後方向Yの前方)に開口している。給紙カセット装着部5には、プリンター前方Y1から給紙カセット6が着脱可能に装着されている。給紙カセット6には所定寸法の印刷用紙(媒体)Pが積層状態で収納されている。給紙カセット装着部5の上側には排紙トレイ7が取り付けられている。排紙トレイ7の前端部分はプリンター本体2からプリンター前方Y1に突出している。排紙トレイ7の上側には、プリンター後方Y2(プリンター前後方向Yの後方)に延びる矩形の排紙口8が形成されている。
プリンター本体2の前面の排紙口8の上側部分は操作面9となっている。操作面9には、電源スイッチ9aや操作ボタン9bが配列されている。プリンター本体2の前面の排紙トレイ7および排紙口8の両側には、矩形の開閉扉10a、10bが取り付けられている。これらの開閉扉10a、10bを開けると、インクカートリッジ装着部(図示せず)が開口し、インクカートリッジ(図示せず)の交換等を行うことができる。
(内部構成)
図2はシリアルプリンター1の内部構成を示す概略縦断面図である。シリアルプリンター1の内部には印刷用紙Pを搬送するための搬送路(媒体搬送路)13が形成されている。搬送路13は給紙カセット6の後端から、プリンター後方Y2に向けて斜め上方に延びる傾斜搬送路部分13a、傾斜搬送路部分13aの後端から連続して上方に向かってプリンター前方Y1に湾曲する湾曲搬送路部分13b、および、湾曲搬送路部分13bの上側の前端からプリンター前方Y1に向かって略水平に延びて排紙口8に達する水平搬送路部分13cを備えている。また、シリアルプリンター1の内部には、搬送路13に沿って印刷用紙Pを搬送するための給紙機構14、給紙モーター15、搬送機構16が配置されている。
図2はシリアルプリンター1の内部構成を示す概略縦断面図である。シリアルプリンター1の内部には印刷用紙Pを搬送するための搬送路(媒体搬送路)13が形成されている。搬送路13は給紙カセット6の後端から、プリンター後方Y2に向けて斜め上方に延びる傾斜搬送路部分13a、傾斜搬送路部分13aの後端から連続して上方に向かってプリンター前方Y1に湾曲する湾曲搬送路部分13b、および、湾曲搬送路部分13bの上側の前端からプリンター前方Y1に向かって略水平に延びて排紙口8に達する水平搬送路部分13cを備えている。また、シリアルプリンター1の内部には、搬送路13に沿って印刷用紙Pを搬送するための給紙機構14、給紙モーター15、搬送機構16が配置されている。
給紙機構14は、給紙カセット6に収納された印刷用紙Pを搬送路13に送り出す給紙動作を行う。給紙機構14は給紙カセット6の後端部分の上方に配置された給紙ローラー19を備えている。給紙機構14の駆動源は給紙モーター15である。給紙モーター15は、DCモーターであり、湾曲搬送路部分13bの下方に配置されている。
搬送機構16は搬送路13に送り出された印刷用紙Pを搬送路13に沿って搬送する搬送動作を行う。搬送機構16は搬送路13に沿って配置された上流側搬送ローラー対20、下流側搬送ローラー対21、上流側排出ローラー対22および下流側排出ローラー対23を備えている。上流側搬送ローラー対20、下流側搬送ローラー対21、上流側排出ローラー対22および下流側排出ローラー対23は、給紙カセット6から排紙口8に向かう搬送方向M1の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。上流側搬送ローラー対20は湾曲搬送路部分13bに配置されており、下流側搬送ローラー対21、上流側排出ローラー対22および下流側排出ローラー対23は水平搬送路部分13cに配置されている。
また、搬送機構16は駆動源として搬送モーター17を備えている。搬送モーター17は、DCモーターであり、給紙カセット6のプリンター幅方向Xの側方に配置されている。さらに、搬送機構16は、搬送モーター17の駆動力を上流側搬送ローラー対20、下流側搬送ローラー対21、上流側排出ローラー対22および下流側排出ローラー対23に伝達する駆動力伝達機構18(図4参照)を備えている。
また、シリアルプリンター1の内部には、用紙検出器25、印刷ヘッド26が配置されている。用紙検出器25は、搬送路13の上流側搬送ローラー対20と下流側搬送ローラー対21の間に設定された検出位置Aにおいて、印刷用紙Pの有無を出力する。検出位置Aは水平搬送路部分13cの後側部分に設けられており、用紙検出器25は水平搬送路部分13cの上方に配置されている。用紙検出器25は搬送路13を搬送される印刷用紙Pによって操作される検出レバー25aを備えており、検出レバー25aの移動に基づいて印刷用紙Pを検出する。
印刷ヘッド26はインクジェットヘッドである。印刷ヘッド26は搬送路13の下流側搬送ローラー対21と上流側排出ローラー対22の間に設定された印刷位置Bを搬送方向M1に搬送される印刷用紙Pに印刷を施す。印刷位置Bは水平搬送路部分13cにおいて検出位置Aの下流側に位置している。印刷ヘッド26のノズル面と対向する位置には一定のギャップを開けてプラテン29が配置されている。プラテン29は印刷位置Bを規定している。
印刷ヘッド26はキャリッジ移動機構30によってプリンター幅方向Xに往復移動させられる。キャリッジ移動機構30は、印刷ヘッド26を搭載しているキャリッジ31と、プリンター前後方向Yでキャリッジ31を間に挟んでプリンター幅方向Xに平行に延びている一対のキャリッジガイド軸32と、キャリッジ31を一対のキャリッジガイド軸32に沿って往復移動させるキャリッジ駆動機構33を備える。キャリッジ駆動機構33は駆動源としてキャリッジモーター34を備えている。ここで、シリアルプリンター1における印刷処理では、キャリッジモーター34を駆動することにより印刷ヘッド26をプリンター幅方向Xに移動させながら当該印刷ヘッド26を駆動して印刷位置Bに配置された印刷用紙Pに印刷を施す印刷動作と、搬送モーター17を駆動して搬送機構16により所定の紙送り量だけ印刷用紙Pを搬送する搬送動作が交互に繰り返される。
(給紙機構)
図3に示すように、給紙ローラー19は、その回転中心軸線19aをプリンター幅方向Xに向けた状態で配置されている。給紙ローラー19は、外周面の一部分をその回転中心軸線19aと平行な平面によって切り欠いた形状をしており、プリンター幅方向Xから見たときに円弧形状の第1外周面部分19bと、第1外周面部分19bの周方向の両端を連続させている平坦な第2外周面部分19cを備えている。給紙ローラー19は、給紙モーター15によって1回転駆動される間に給紙カセット6に収納されている印刷用紙Pを搬送路13に送り出す。
図3に示すように、給紙ローラー19は、その回転中心軸線19aをプリンター幅方向Xに向けた状態で配置されている。給紙ローラー19は、外周面の一部分をその回転中心軸線19aと平行な平面によって切り欠いた形状をしており、プリンター幅方向Xから見たときに円弧形状の第1外周面部分19bと、第1外周面部分19bの周方向の両端を連続させている平坦な第2外周面部分19cを備えている。給紙ローラー19は、給紙モーター15によって1回転駆動される間に給紙カセット6に収納されている印刷用紙Pを搬送路13に送り出す。
図3(a)に示すように、シリアルプリンター1が待機状態となっている時点では、給紙ローラー19は平坦な第2外周面部分19cを下方に向けて給紙カセット6内の印刷用紙Pに対向させた初期位置19Aに配置されている。新たな印刷用紙Pが搬送路13に向かって送り出される際には、給紙モーター15が駆動されて給紙ローラー19が回転し、給紙ローラー19の第1外周面部分19bが印刷用紙Pに接触する。これにより印刷用紙Pが搬送路13に送り出される。
(搬送機構)
図3に示すように、上流側搬送ローラー対20は上流側搬送ローラー(第2搬送ローラー)20aと、上流側搬送ローラー20aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー20bから構成されている。下流側搬送ローラー対21は下流側搬送ローラー(第1搬送ローラー)21aと、下流側搬送ローラー21aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー21bから構成されている。上流側排出ローラー対22は上流側排出ローラー22aと、上流側排出ローラー22aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー22bから構成されている。下流側排出ローラー対23は下流側排出ローラー23aと、下流側排出ローラー23aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー23bから構成されている。上流側搬送ローラー20a、下流側搬送ローラー21a、上流側排出ローラー22aおよび下流側排出ローラー23aには駆動力伝達機構18を介して搬送モーター17の駆動力が伝達される。下流側搬送ローラー21aは、表面に無機粒子が分散された摩擦層を備えるものである。
図3に示すように、上流側搬送ローラー対20は上流側搬送ローラー(第2搬送ローラー)20aと、上流側搬送ローラー20aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー20bから構成されている。下流側搬送ローラー対21は下流側搬送ローラー(第1搬送ローラー)21aと、下流側搬送ローラー21aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー21bから構成されている。上流側排出ローラー対22は上流側排出ローラー22aと、上流側排出ローラー22aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー22bから構成されている。下流側排出ローラー対23は下流側排出ローラー23aと、下流側排出ローラー23aに所定の付勢力で押圧された従動ローラー23bから構成されている。上流側搬送ローラー20a、下流側搬送ローラー21a、上流側排出ローラー22aおよび下流側排出ローラー23aには駆動力伝達機構18を介して搬送モーター17の駆動力が伝達される。下流側搬送ローラー21aは、表面に無機粒子が分散された摩擦層を備えるものである。
搬送モーター17は正方向および逆方向に駆動される。また、搬送モーター17は、正方向への駆動に際して予め設定された第1速度V1で駆動される。搬送機構16は搬送モーター17の正方向への駆動により、印刷用紙Pを搬送方向M1に搬送する。
(駆動力伝達機構)
図4は搬送機構16を取り出してプリンター幅方向Xの一方側の後方から見た場合の斜視図である。図5は搬送機構16が搭載する遊星歯車機構の説明図である。図5(a)は搬送モーター17が正方向に駆動されている状態を示し、図5(b)は正方向に駆動されていた搬送モーター17が停止した後の遊星歯車機構の状態を示す。図6は搬送モーター17の駆動状態と上流側搬送ローラー20aの回転の関係を説明するタイミングチャートである。図4に示すように、駆動力伝達機構18は、ベルトプーリー機構35、第1歯車機構36、第2歯車機構(駆動力伝達機構)37を備えている。
図4は搬送機構16を取り出してプリンター幅方向Xの一方側の後方から見た場合の斜視図である。図5は搬送機構16が搭載する遊星歯車機構の説明図である。図5(a)は搬送モーター17が正方向に駆動されている状態を示し、図5(b)は正方向に駆動されていた搬送モーター17が停止した後の遊星歯車機構の状態を示す。図6は搬送モーター17の駆動状態と上流側搬送ローラー20aの回転の関係を説明するタイミングチャートである。図4に示すように、駆動力伝達機構18は、ベルトプーリー機構35、第1歯車機構36、第2歯車機構(駆動力伝達機構)37を備えている。
ベルトプーリー機構35は、搬送モーター17の駆動力を下流側搬送ローラー21aおよび上流側排出ローラー22aに伝達する。ベルトプーリー機構35は搬送モーター17の出力軸に取り付けられた第1タイミングプーリー35a、下流側搬送ローラー21aの駆動軸に同軸に固定された第2タイミングプーリー35b、上流側排出ローラー22aの駆動軸に同軸に固定された第3タイミングプーリー35c、および、第1〜第3タイミングプーリー35a〜35cに架け渡されたタイミングベルト35dを備えている。
第1歯車機構36は、複数の歯車から構成された輪列であり、上流側排出ローラー22aに伝達された駆動力を下流側排出ローラー23aに伝達し、上流側排出ローラー22aと下流側排出ローラー23aを同一方向に同一速度で回転させる。
第2歯車機構37は、複数の歯車から構成された輪列であり、下流側搬送ローラー21aに伝達された駆動力を上流側搬送ローラー20aに伝達する。第2歯車機構37は、図5に示すように、搬送モーター17の駆動力が下流側搬送ローラー21aの駆動軸を介して伝達される中間歯車38と、遊星歯車機構39と、上流側搬送ローラー20aの駆動軸に同軸に取り付けられた駆動歯車40を備えている。遊星歯車機構39は、下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41を中間歯車38と駆動歯車40の間で継断する。
遊星歯車機構39は、図5に示すように、太陽歯車43と、太陽歯車43と同軸状態で当該太陽歯車43に対して相対回転可能に支持されている遊星キャリア44と、遊星キャリア44に回転可能に支持されている遊星歯車45を備えている。また、遊星歯車機構39には、遊星キャリア44の回転範囲を規制する規制機構46が設けられている。
太陽歯車43は、中間歯車38と噛合する大径歯車部分43aと、この大径歯車部分43aよりも小径で大径歯車部分43aと同軸に設けられた小径歯車部分43bを備える複合歯車である。遊星歯車45は、太陽歯車43の小径歯車部分43bと噛合する小径歯車部分45aと、この小径歯車部分45aよりも大径で駆動歯車40と噛合可能な大径歯車部分45bを備える複合歯車である。搬送モーター17が正方向に駆動されたときに下流側搬送ローラー21aに伝達された駆動力は、図5(a)に矢印で示すように、中間歯車38から太陽歯車43、遊星歯車45、駆動歯車40を介して上流側搬送ローラー20aに伝達される。
遊星キャリア44は、遊星歯車45を支持している支持部44bと、その回転中心軸44aを間に挟んで支持部44bとは反対側に延びる腕部44cを備えている。腕部44cには、回転中心軸44aと支持部44bとを通過する仮想の直線とは交差する方向に突出する回転規制用突起44dが設けられている。回転規制用突起44dは、中間歯車38を回転可能に支持している支軸38aとともに規制機構46を構成している。
規制機構46は、遊星歯車45と駆動歯車40との間の距離が予め設定した離間距離Lを越えることがないように遊星キャリア44の回転範囲を規制する。より詳細には、図5(b)に示すように、遊星キャリア44は、遊星歯車45と駆動歯車40との間の距離が離間距離Lとなると、その回転規制用突起44dが中間歯車38の支軸38aに当接して、それ以上の回転が阻止される。
離間距離Lは、搬送機構16が印刷用紙Pを所定の紙送り量だけ搬送する際の太陽歯車43の自転量によって遊星歯車45が太陽歯車43の回りを移動可能な距離よりも短く設定されている。従って、搬送モーター17の駆動開始時点t0で遊星歯車45と駆動歯車40の間の距離が離間距離Lとなっている場合には、図6に示すように、搬送機構16が所定の紙送り量の搬送動作を行う間(t0〜t1)に遊星歯車45と駆動歯車40が噛合して、下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41が接続された状態となる。
また、離間距離Lは、搬送モーター17の立ち上がり時間Tと同一の時間だけ当該搬送モーター17を駆動した場合の太陽歯車43の自転量によって遊星歯車45が太陽歯車43の回りを移動可能な距離以上とされている。従って、搬送モーター17の駆動開始時点t0で遊星歯車45と駆動歯車40の間の距離が離間距離Lとなっている場合には、搬送モーター17の立ち上がり時間T中における太陽歯車43の自転によって遊星歯車45が時点しながら公転して駆動歯車40に接近する方向に移動する。そして、遊星歯車45は、搬送モーター17の立ち上がり時間Tの経過後のt2の時点で駆動歯車40に噛合して、下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41を接続する。
ここで、遊星歯車機構39は、印刷処理中に間欠的に行われる搬送動作に際して、搬送モーター17の駆動および停止のタイミングに対応したタイミングで下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41を継断する。
より詳細には、遊星歯車機構39では、搬送モーター17が駆動されて遊星歯車45と駆動歯車40が噛合して回転している状態から搬送モーター17が停止すると、それまで搬送モーター17の駆動力により高速で回転していた下流側搬送ローラー21aが自己の回転の慣性力によって搬送モーター17の停止時点t1の後も一定時間回転する。すなわち、遊星歯車機構39では、搬送モーター17が停止したときの下流側搬送ローラー21aの回転の慣性力が下流側搬送ローラー21aに押圧されている従動ローラー21bからの負荷を超えるものとなり、下流側搬送ローラー21aが搬送モーター17の停止時点t1では停止しない(図6参照)。この結果、搬送モーター17の停止時点t1の後に駆動歯車40が回転するので、駆動歯車40が遊星歯車45を弾き遊星歯車45を太陽歯車43回りで駆動歯車40から離れる方向に移動させ、駆動力伝達経路41を切断する。ここで、搬送モーターの駆動時の第1速度V1は、搬送モーター17を停止させた時に下流側搬送ローラー21aの慣性力によって遊星歯車45を少なくとも離間距離L以上の距離を駆動歯車40から離間させることが可能な速度に設定されている。従って、搬送モーター17が停止すると、遊星歯車45は、図5(b)に示すように、駆動歯車40から離間距離Lだけ離れる。
その後、搬送モーター17が駆動されるときには、搬送モーター17の駆動力が伝達される太陽歯車43の自転によって遊星歯車45が太陽歯車43の回りを自転しながら公転して駆動歯車40に接近する方向に移動する。そして、搬送動作中に遊星歯車45と駆動歯車40とが噛合して、下流側搬送ローラー21aから上流側搬送ローラー20aに至る搬送モーター17の駆動力伝達経路41を接続する。
また、遊星歯車機構39は、搬送モーター17が逆方向に駆動されると、下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの間の駆動力伝達経路41を遮断する。より詳細には、搬送モーター17が逆方向に駆動されると、太陽歯車43の回転によって遊星歯車45が自転しながら公転して太陽歯車43の回りを駆動歯車40から離れる方向に移動する。この結果、遊星歯車45と上流側搬送ローラー20aの駆動歯車40との噛合が解除される。これにより、搬送モーター17の駆動力は上流側搬送ローラー20aに伝達されなくなる。
(制御系)
図7に示すように、シリアルプリンター1の制御系はCPUを備える制御部61を中心に構成されている。制御部61の入力側には、コンピューターなどの外部の機器とシリアルプリンター1を通信可能に接続する通信部62と、用紙検出器25が接続されている。制御部61の出力側には、印刷ヘッド26、給紙モーター15、搬送モーター17およびキャリッジモーター34が接続されている。通信部62は外部の機器から供給された印刷データを逐次に制御部61に入力し、制御部61は印刷データを逐次に解釈して印刷を行う。
図7に示すように、シリアルプリンター1の制御系はCPUを備える制御部61を中心に構成されている。制御部61の入力側には、コンピューターなどの外部の機器とシリアルプリンター1を通信可能に接続する通信部62と、用紙検出器25が接続されている。制御部61の出力側には、印刷ヘッド26、給紙モーター15、搬送モーター17およびキャリッジモーター34が接続されている。通信部62は外部の機器から供給された印刷データを逐次に制御部61に入力し、制御部61は印刷データを逐次に解釈して印刷を行う。
制御部61は用紙検出器25からの出力に基づいて搬送路13上の印刷用紙Pの位置を取得する位置取得部65を備えている。すなわち、位置取得部65は、用紙検出器25が印刷用紙Pを検出した時点から印刷用紙Pの搬送方向M1への累積搬送量を算出しており、累積搬送量と印刷用紙Pの搬送方向M1の長さ寸法とに基づいて印刷用紙Pの搬送方向の前端および後端の位置を取得する。ここで、累積搬送量は、搬送モーター17への駆動電流の印加時間等に基づいて算出することができる。また、印刷用紙Pの長さ寸法は、印刷データなどに含まれている用紙サイズ情報、あるいはシリアルプリンター1に対して設定されている印刷用紙Pの用紙サイズ情報に基づいて取得することができる。
また、制御部61は印刷制御部66と給紙制御部67を備えている。印刷制御部66は印刷用紙Pを搬送路13に沿って搬送し、位置取得部65が取得している位置情報に基づいて印刷用紙Pを印刷位置Bに位置決めする。そして、印刷制御部66は印刷用紙Pに到達した印刷用紙Pに印刷処理を施す。印刷処理では印刷制御部66は印刷動作と搬送動作を交互に繰り返す。印刷動作では、印刷制御部66は、キャリッジモーター34を駆動することにより印刷ヘッド26をプリンター幅方向Xに移動させながら当該印刷ヘッド26を駆動して印刷位置Bに配置された印刷用紙Pに印刷を施す。搬送動作では、印刷制御部66は、搬送モーター17を駆動して搬送機構16により所定の紙送り量だけ印刷用紙Pを搬送する。給紙制御部67は、通信部62が外部の機器から印刷データの供給を受けると、印刷制御部66が給紙モーター15を駆動して新たな印刷用紙Pを給紙カセット6から搬送路13に送り出す。
(印刷処理)
外部の機器からシリアルプリンター1に印刷用の印刷データが供給されると、給紙制御部67は給紙モーター15を駆動して給紙ローラー19を回転させ、これにより印刷用紙Pを給紙カセット6から搬送路13に送り出す。また、印刷制御部66は搬送モーター17を正方向に駆動して搬送路13に送り出された印刷用紙Pを搬送機構16により搬送路13に沿って搬送する。印刷用紙Pの搬送方向M1の前端が検出位置Aを通過すると、用紙検出器25により印刷用紙Pが検出される。印刷用紙Pが検出されると、それ以降は位置取得部65が搬送路13上の印刷用紙Pの位置を取得する状態となるので、印刷制御部66は位置取得部65が取得している位置情報に基づいて印刷用紙Pを印刷位置Bに位置決めする。そして、印刷位置Bに到達した印刷用紙Pに印刷処理を施す。
外部の機器からシリアルプリンター1に印刷用の印刷データが供給されると、給紙制御部67は給紙モーター15を駆動して給紙ローラー19を回転させ、これにより印刷用紙Pを給紙カセット6から搬送路13に送り出す。また、印刷制御部66は搬送モーター17を正方向に駆動して搬送路13に送り出された印刷用紙Pを搬送機構16により搬送路13に沿って搬送する。印刷用紙Pの搬送方向M1の前端が検出位置Aを通過すると、用紙検出器25により印刷用紙Pが検出される。印刷用紙Pが検出されると、それ以降は位置取得部65が搬送路13上の印刷用紙Pの位置を取得する状態となるので、印刷制御部66は位置取得部65が取得している位置情報に基づいて印刷用紙Pを印刷位置Bに位置決めする。そして、印刷位置Bに到達した印刷用紙Pに印刷処理を施す。
印刷処理において、印刷制御部66は搬送モーター17を第1速度V1で間欠的に正方向に駆動して印刷用紙Pを搬送する。間欠的に行われる搬送動作では、搬送モーター17が停止する毎に遊星歯車45が駆動歯車40から離間距離Lだけ離間する。これにより、搬送モーター17から上流側搬送ローラー20aに至る駆動力伝達経路41は搬送モーター17が停止する毎に一旦切断される。そして、次に搬送モーター17が駆動される際には、搬送モーター17の立ち上がり時間Tの経過後であって、次の紙送り量の搬送が行われる間に遊星歯車45と駆動歯車40が噛合する。これにより、一旦切断された駆動力伝達経路41は次の搬送動作の途中で接続される。従って、搬送動作では、印刷用紙Pは、搬送モーター17の駆動開始時点では下流側搬送ローラー21aによって搬送され、搬送モーター17の立ち上がり時間Tの経過後からは下流側搬送ローラー21aおよび上流側搬送ローラー20aによって搬送される。
その後、印刷処理が終了すると、印刷制御部66は搬送モーター17を駆動して印刷用紙Pを搬送方向M1に搬送して、排紙口8から排出する。
(作用効果)
本例によれば、下流側搬送ローラー21aによる印刷用紙Pの搬送に対する上流側搬送ローラー20aの影響を低減できる。例えば、部品の寸法公差などに起因して下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの周速度が完全に一致しておらず、上流側搬送ローラー20aによる搬送量が下流側搬送ローラー21aによる搬送量よりも大きい場合には、搬送モーター17が停止したときに印刷用紙Pが下流側搬送ローラー21aの側に押し込まれ、これにより印刷用紙Pの搬送精度が低下することがある。また、上流側搬送ローラー20aによる搬送量が下流側搬送ローラー21aによる搬送量よりも小さい場合には、上流側搬送ローラー20aが印刷用紙Pを引っ張る状態が形成され、これにより印刷用紙Pの搬送精度が低下することがある。これに対して、本例では、搬送モーター17が停止する毎に上流側搬送ローラー20aへの搬送モーター17の駆動力の伝達が一時的に遮断される。この結果、上流側搬送ローラー20aが下流側搬送ローラー21aの側に印刷用紙Pを押し込むことを防止できる。また、搬送モーター17が停止する毎に上流側搬送ローラー20aへの搬送モーター17の駆動力の伝達が一時的に遮断されるので、上流側搬送ローラー20aが印刷用紙Pを引っ張るような状態が解消される。従って、下流側搬送ローラー21aによる印刷用紙Pの搬送に対する上流側搬送ローラー20aの影響を低減でき、印刷用紙Pの搬送精度を維持できる。この結果、搬送精度の低下によって印刷の品質が低下することを防止できる。
本例によれば、下流側搬送ローラー21aによる印刷用紙Pの搬送に対する上流側搬送ローラー20aの影響を低減できる。例えば、部品の寸法公差などに起因して下流側搬送ローラー21aと上流側搬送ローラー20aの周速度が完全に一致しておらず、上流側搬送ローラー20aによる搬送量が下流側搬送ローラー21aによる搬送量よりも大きい場合には、搬送モーター17が停止したときに印刷用紙Pが下流側搬送ローラー21aの側に押し込まれ、これにより印刷用紙Pの搬送精度が低下することがある。また、上流側搬送ローラー20aによる搬送量が下流側搬送ローラー21aによる搬送量よりも小さい場合には、上流側搬送ローラー20aが印刷用紙Pを引っ張る状態が形成され、これにより印刷用紙Pの搬送精度が低下することがある。これに対して、本例では、搬送モーター17が停止する毎に上流側搬送ローラー20aへの搬送モーター17の駆動力の伝達が一時的に遮断される。この結果、上流側搬送ローラー20aが下流側搬送ローラー21aの側に印刷用紙Pを押し込むことを防止できる。また、搬送モーター17が停止する毎に上流側搬送ローラー20aへの搬送モーター17の駆動力の伝達が一時的に遮断されるので、上流側搬送ローラー20aが印刷用紙Pを引っ張るような状態が解消される。従って、下流側搬送ローラー21aによる印刷用紙Pの搬送に対する上流側搬送ローラー20aの影響を低減でき、印刷用紙Pの搬送精度を維持できる。この結果、搬送精度の低下によって印刷の品質が低下することを防止できる。
また、本例によれば、間欠的に駆動される搬送モーター17の各立ち上がり時間T中には、下流側搬送ローラー21aから上流側搬送ローラー20aに至る搬送モーター17の駆動力伝達経路41が切断されている。この結果、搬送モーター17の各立ち上がり時間T中に搬送モーター17には上流側搬送ローラー20aを回転させるための負荷がかからない。従って、搬送モーター17の立ち上がり時間Tが延びてしまうことを防止或いは抑制でき、印刷用紙Pの搬送速度の低下を回避することができる。よって、搬送速度の低下に起因する印刷速度の低下を防止できる。さらに、本例によれば、上流側搬送ローラー20aおよび下流側搬送ローラー21aの両方を回転させる負荷により搬送モーターの立ち上がり時間Tが延びることがないので、搬送モーター17として比較的廉価なものを用いた場合でも、印刷用紙Pの搬送精度を維持することができる。
(その他の実施の形態)
上記の例では、離間距離Lは、搬送モーター17の立ち上がり時間Tと同一の時間だけ当該搬送モーター17を駆動した場合の太陽歯車43の自転量によって遊星歯車45が太陽歯車43の回りを移動可能な距離以上とされているが、それよりも短い距離としてもよい。このようにした場合でも、搬送モーター17の駆動開始時点t0では遊星歯車45と駆動歯車40が噛合せず、駆動開始時点t0において搬送モーター17には上流側搬送ローラー20aを回転させるための負荷がかからないので、立ち上がり時間Tが延びることを抑制できる。
上記の例では、離間距離Lは、搬送モーター17の立ち上がり時間Tと同一の時間だけ当該搬送モーター17を駆動した場合の太陽歯車43の自転量によって遊星歯車45が太陽歯車43の回りを移動可能な距離以上とされているが、それよりも短い距離としてもよい。このようにした場合でも、搬送モーター17の駆動開始時点t0では遊星歯車45と駆動歯車40が噛合せず、駆動開始時点t0において搬送モーター17には上流側搬送ローラー20aを回転させるための負荷がかからないので、立ち上がり時間Tが延びることを抑制できる。
また、上記の例は、搬送機構16の駆動力伝達機構18に遊星歯車機構を備える搬送装置をシリアルプリンター1に適用したものであるが、本発明の搬送装置をスキャナー、ファクシミリ等にも同様に適用することができる。
1・・シリアルプリンター、2・・プリンター本体、5・・給紙カセット装着部、6・・給紙カセット、7・・排紙トレイ、8・・排紙口、9・・操作面、9a・・電源スイッチ、9b・・操作ボタン、10a・10b・・開閉扉、13・・搬送路(媒体搬送路)、13a・・傾斜搬送路部分、13b・・湾曲搬送路部分、13c・・水平搬送路部分、14・・給紙機構、15・・給紙モーター、16・・搬送機構、17・・搬送モーター、18・・駆動力伝達機構、19・・給紙ローラー、19a・・給紙ローラー回転中心軸線、19b・・給紙ローラーの外周面部分、19b・・給紙ローラー外周面部分、19A・・給紙ローラーの初期位置、20・・上流側搬送ローラー対、20a・・上流側搬送ローラー(第2搬送ローラー)、20b・・従動ローラー、21・・下流側搬送ローラー対、21a・・下流側搬送ローラー(第1搬送ローラー)、21b・・従動ローラー、22・・上流側排出ローラー対、22a・・上流側排出ローラー、22b・・従動ローラー、23・・下流側排出ローラー対、23a・・下流側排出ローラー、23b・・従動ローラー、25・・用紙検出器、25a・・検出レバー、26・・印刷ヘッド、29・・プラテン、30・・キャリッジ移動機構、31・・キャリッジ、32・・キャリッジガイド軸、33・・キャリッジ駆動機構、34・・キャリッジモーター、35・・ベルトプーリー機構、35a・・タイミングプーリー、35b・・タイミングプーリー、35c・・タイミングプーリー、35d・・タイミングベルト、36・・第1歯車機構、37・・第2歯車機構(駆動力伝達機構)、38・・中間歯車、38a・・支軸、39・・遊星歯車機構、40・・駆動歯車、41・・駆動力伝達経路、43・・太陽歯車、43a・・大径歯車部分、43b・・小径歯車部分、44・・遊星キャリア、44a・・回転中心軸、44b・・支持部、44c・・腕部、44d・・回転規制用突起、45・・遊星歯車、45a・・小径歯車部分、45b・・大径歯車部分、46・・規制機構、61・・制御部、62・・通信部、65・・位置取得部、66・・印刷制御部、67・・給紙制御部、A・・検出位置、B・・印刷位置、L・・離間距離、M1・・搬送方向、P・・印刷用紙、T・・搬送モーターの立ち上がり時間、t0・・搬送モーターの駆動開始時点、t1・・搬送モーターの停止時点、V1・・搬送モーターの速度、X・・プリンター幅方向、Y・・プリンター前後方向、Y1・・プリンター前方、Y2・・プリンター後方、Z・・プリンター上下方向
Claims (4)
- 搬送路に沿ってシート状の媒体を搬送する搬送機構を有し、
前記搬送機構は、第1搬送ローラー、前記第1搬送ローラーの搬送方向の上流側に配置された第2搬送ローラー、搬送モーター、並びに、前記搬送モーターの駆動力を前記第1搬送ローラーおよび前記第2搬送ローラーに伝達する駆動力伝達機構を備え、
前記駆動力伝達機構は、前記第1搬送ローラーを介して前記第2搬送ローラーに伝達される前記搬送モーターの駆動力を、前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間の駆動力伝達経路の途中で継断可能な遊星歯車機構を備え、
前記遊星歯車機構は、前記第1搬送ローラーの側から前記駆動力が伝達される太陽歯車、前記太陽歯車と同軸状態で当該太陽歯車に対して相対回転可能に支持されている遊星キャリア、および、前記太陽歯車と噛合した状態で前記遊星キャリアに回転可能に支持されており、前記第2搬送ローラーを駆動するための駆動歯車と噛合可能な遊星歯車を備え、
前記遊星歯車は、前記搬送モーターが駆動されて当該遊星歯車と前記駆動歯車とが噛合している状態で当該搬送モーターが停止すると、前記第2搬送ローラーの慣性力によって前記太陽歯車回りを前記駆動歯車から離間する方向に移動して前記駆動力伝達経路を遮断し、前記搬送モーターを正方向へ駆動させると、前記太陽歯車の自転により前記遊星歯車が当該太陽歯車回りを前記駆動歯車に接近する方向に移動して前記駆動歯車と噛み合う状態となることを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1において、
前記搬送モーターは、間欠的に駆動され、
前記搬送機構は、前記媒体を予め定めた送り量毎に間欠的に搬送し、
前記遊星歯車機構は、前記遊星キャリアの回転範囲を規制することにより前記遊星歯車が前記駆動歯車から離間する離間距離を規制する規制機構を備え、
前記規制機構は、前記遊星歯車の前記離間距離を、前記搬送機構が前記媒体を前記送り量だけ搬送する際の太陽歯車の自転量によって前記遊星歯車が太陽歯車回りを移動可能な距離よりも短くすることを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2において、
前記規制機構は、前記遊星歯車の前記離間距離を、前記搬送モーターの立ち上がり時間と同一の時間だけ当該搬送モーターを駆動した場合の太陽歯車の自転量によって前記遊星歯車が太陽歯車回りを移動可能な距離以上とすることを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2または3に記載の媒体搬送装置と、
印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる印刷位置を経由して延びる媒体搬送路と、を有し、
前記搬送機構は、前記媒体を前記媒体搬送路に沿って搬送し、
前記第1搬送ローラーおよび前記第2搬送ローラーは、前記搬送方向で前記印刷位置の上流側に配置されていることを特徴とするシリアルプリンター。
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Family Applications (1)
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