以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例を示すインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの断面図であり、図3は、図2のA−A′線断面図であり、図4は、図3のB−B′線断面図である。
図示するように、インクジェット式記録ヘッド1は、ヘッド本体11、ケース40等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されている。本実施形態では、ヘッド本体11は、流路形成基板10と、連通板15と、ノズルプレート20と、保護基板30と、コンプライアンス基板91と、を具備する。
ヘッド本体11を構成する流路形成基板10には、複数の圧力発生室12が複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。なお、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された2列は、一方の圧力発生室12の列に対して、他方の圧力発生室12の列が第1の方向Xで隣り合う圧力発生室12の間隔の半分だけ第1の方向Xにずれた位置に配置されている。これにより、詳しくは後述するノズル開口21も同様に、ノズル開口21の2列が半分の間隔だけ第1の方向Xにずれて配置されて、第1の方向Xの解像度を2倍にしている。また、本実施形態では、第1の方向X及び第2の方向Yに直交する方向を第3の方向Zと称する。本実施形態では、第1の方向Xにおいて、詳しくは後述する流入路44側をX1、流出路45側をX2と称する。また、第2の方向Yにおいて、一方側をY1側、他方側をY2側と称する。なお、第2の方向Yにおいては、詳しくは後述するが、Y1側に設けられた圧力発生室12の列には、当該圧力発生室12の列よりもY1側に設けられたマニホールド100からインクが供給され、Y2側に設けられた圧力発生室12の列には、当該圧力発生室12の列よりもY2側に設けられたマニホールド100からインクが供給される。さらに、第3の方向Zにおいて、液体噴射方向側(記録シートS側)をZ1側、反対側をZ2側と称する。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に当該圧力発生室よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
流路形成基板10の一方の面には、連通板15が接合されている。また、連通板15には、ノズル開口21が設けられたノズルプレート20が接合されている。本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口が開口する第3の方向ZのZ1側が液体噴射面20aとなっている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を第3の方向Zに貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して第3の方向Zの途中まで設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、各圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板が形成されている。また、振動板上には、第1電極と圧電体層と第2電極とが順次積層されることで、本実施形態の圧力発生手段である圧電アクチュエーター300が構成されている。一般的には圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。また、保護基板30には、第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出されたリード電極90の端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極と駆動IC等の駆動回路120を実装した配線基板121とが、貫通孔32内で電気的に接続されている。
また、保護基板30及び連通板15には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体11と共に画成するケース40が固定されている。ケース40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース40とヘッド本体11とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース40とヘッド本体11とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。なお、本実施形態では、ヘッド本体11の第2の方向Yを挟んだ両側にマニホールド100を形成するようにした。
また、ケース40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板121が挿通される接続口43が設けられている。
さらに、図3及び図4に示すように、ケース40には、マニホールド100に連通してマニホールド100にインクを供給する流入路44と、マニホールド100に連通してマニホールド100内のインクを流出させる流出路45と、が設けられている。このような流入路44は、ヘッド本体11の第1の方向Xの一方側に設けられており、流出路45は、ヘッド本体11の第1の方向Xの他方側に設けられている。本実施形態の流入路44は、インクジェット式記録ヘッド1の外部に設けられた液体貯留手段5に供給管8を介して接続される側は1カ所で接続されており、当該流入路44は途中で2つに分岐されてヘッド本体11の第2の方向Yの両側のマニホールド100にそれぞれ連通する。また、2つのマニホールド100にそれぞれ連通する2つの流出路45は、途中で1つに合流して回収管9に接続されている。すなわち、同じインクが供給された流入路44は、途中で2つに分岐して同じインクを2つのマニホールド100に供給する。また、マニホールド100内のインクは、それぞれに連通する流出路45が途中で合流して1つの出口から流出される。もちろん、流入路44を途中で分岐することなく、各マニホールド100毎に独立して設けるようにしてもよく、流出路45を途中で合流することなく、各マニホールド100毎に独立して設けるようにしてもよい。
また、図2に示すように、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板91が設けられている。このコンプライアンス基板91が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板91は、本実施形態では、封止膜92と、固定基板93と、を具備する。封止膜92は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成されている。また、固定基板93は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板93のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部94となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜92のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部となっている。
ここで、マニホールド100にインクを供給する流入路44は、図4に示すように、マニホールド100の第3マニホールド部42に連通する側に傾斜流路46を有する。
傾斜流路46は、少なくとも液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ1側の第1の面46aの面方向が、液体噴射面20aに直交する方向であって流入路44から液体噴射面20aに向かう第1の成分201と、液体噴射面20aの面内方向であって流入路44から流出路45に向かう第2の成分202と、を有する第1のベクトル方向200となるように傾斜して形成されたものである。なお、本実施形態の第1の成分201は、第3の方向ZであってZ2側からZ1側に向かう成分のことである。また、第2の成分202は、第1の方向Xであって流入路44側であるX1側から流出路45側であるX2側に向かう成分のことである。そして、傾斜流路46は、少なくとも液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ1側の第1の面46aの面方向が、これら第1の成分201と第2の成分202とが合成された第1のベクトル方向200となるように傾斜されて形成されている。また、本実施形態の傾斜流路46は、さらに液体噴射面20aとは反対側、すなわち第3の方向ZのZ2側の第2の面46bの面方向が第1のベクトル方向200となるように傾斜して形成されている。
このように、傾斜流路46の少なくとも第1の面46aを第1のベクトル方向200となるように傾斜して設けることで、傾斜流路46からマニホールド100内に供給されたインクは第1のベクトル方向200への流れが形成される。また、本実施形態では、傾斜流路46の第2の面46bを第1のベクトル方向200となるように傾斜して設けることで、マニホールド100内に供給されたインクの流れを拡散させることなく液体噴射面20a側に向かって流すことができる。ちなみに、傾斜流路46の開口面積がマニホールド100側に向かって徐々に拡大される場合、マニホールド100内に供給されたインクの流れが拡散する。本実施形態では、傾斜流路46の第1の面46a及び第2の面46bを同じ第1のベクトル方向200となるように設けることで、開口面積がマニホールド100側に向かって徐々に拡大されることなく、インクの流れを拡散させるのを抑制することができる。なお、傾斜流路46の第2の方向Yの幅についても同様に、第2の方向Yの幅がマニホールド100に向かって徐々に拡大していても、また、拡大していなくてもよいが、インクの流れが拡散するのを抑制するためには、傾斜流路46の第2の方向Yの幅は同じ幅で設けるのが好ましい。このように、インクの流れが拡散し過ぎると、傾斜流路46の機能が発揮されず、マニホールド100内において流入路44側と流出路45側とで温度勾配が生じてしまうため、なるべく拡散しないように傾斜流路46を形成するのが好適である。
ちなみに、傾斜流路46は、第2の面46bのみを第1のベクトル方向200となるように傾斜させて、第1の面46aを傾斜させずに第1の方向X又は第2の方向Yとなるように形成することも考えられるものの、このように第2の面46bのみを傾斜面とした傾斜流路ではマニホールド100内に供給されたインクを第1のベクトル方向200に向かって流すことが困難である。つまり、傾斜流路46は、少なくとも液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ1側の第1の面46aの面方向を第1のベクトル方向200となるように傾斜して設けることで、傾斜流路46からマニホールド100内に供給されたインクは第1のベクトル方向200への流れが形成される。したがって、傾斜流路46の第2の面46bは、第1の方向X又は第2の方向Yとなっていても、傾斜流路46によってマニホールド100内に供給されたインクに第1のベクトル方向200への流れを形成することができる。
このような傾斜流路46の第2の面46bは、本実施形態では、傾斜流路46とマニホールド100との接続部分において、液体噴射面20aとは反対面側から第3の方向ZのZ1側に向かって突出して設けられた傾斜流路用突起部47によって形成されている。すなわち、本実施形態の傾斜流路46は、マニホールド100の第3の方向ZのZ2側と同じ高さで設けられており、傾斜流路用突起部47によって傾斜した第2の面46bが形成されることで、傾斜流路46はマニホールド100と同じ第3の方向Zの高さであっても、第2の面46bが傾斜して形成されている。このように、傾斜流路46をマニホールド100の第3の方向ZのZ2側の高さと同じ高さとすることで、ケース40が第3の方向Zに大型化するのを抑制することができる。
なお、傾斜流路用突起部47は、第1の方向Xにおいて、圧力発生室12に連通する領域の外側、すなわち、X1側に設けられているのが好ましい。これにより、各圧力発生室12に連通するマニホールド100の容積にばらつきが生じて、インクの吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。つまり、圧力発生室12の第2の方向Yに対向する位置に傾斜流路用突起部47が設けられていると、傾斜流路用突起部47が存在することで第2の方向Yで対向するマニホールド100の第3の方向Zの容積が減少した圧力発生室12と、傾斜流路用突起部47が存在しない第2の方向Yで対向するマニホールド100の第3の方向Zの容積とに差が生じてしまうからである。もちろん、傾斜流路用突起部47は、第1の方向Xにおいて、圧力発生室12に連通する領域に形成されていてもよい。
このような傾斜流路46は、本実施形態では、第3の方向Zにおいて、マニホールド100の液体噴射面20aとは反対側、すなわち、Z2側に連通して設けられている。
このように流入路44のマニホールド100に連通する側に、傾斜流路46を設けることにより、マニホールド100内で加温されたインクを液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ2側からZ1側に流すことができる。したがって、マニホールド100内のインクの第3の方向Zの温度勾配、すなわち、マニホールド100のZ1側のインク温度とZ2側のインク温度の差を減少することができる。また、傾斜流路46を設けることで、マニホールド100内で加温されたインクをZ1側で流入路44に連通する側である第1の方向XのX1側から流出路45に連通する側であるX2側に向かって流すことができる。したがって、マニホールド100内のインクのZ1側における第1の方向Xでの温度勾配、すなわち、流入路44に連通する側であるX1側のインク温度と、マニホールド100の流出路45に連通する側であるX2側のインク温度との差を減少させることができる。
ここで、傾斜流路46を設けた本実施形態のインクの流れと、傾斜流路46を設けずに流入路を第1の方向X又は第2の方向Yに沿って設けた比較例のインクの流れとを図5に示す。
図5(a)に示すように、本実施形態のように流入路44に傾斜流路46を設けた場合にマニホールド100内に供給されたインクは、加温されたインク500が第3の方向Z及び第1の方向Xに亘って広がって流れている。これにより、マニホールド100の全体に亘って温度勾配が低減される。
これに対して、図5(b)に示すように、傾斜流路46を設けずに流入路144を第1の方向Xに沿って設けた構成では、マニホールド100内に供給された加温されたインク501は、第3の方向ZのZ2側に偏って流れてしまう。ちなみに、図5(b)に示す例では、流入路144がマニホールド100のZ2側に連通しているが、例えば、流入路144をマニホールド100のZ1側に連通させた場合には、加温されたインク501はZ1側に偏って流れて、マニホールド100全体のインクの温度勾配、特に第3の方向Zの温度勾配を減少させることができない。そして、インクの吐出の際などにマニホールド100内のインクが攪拌されると、温度勾配が大きい場合には攪拌前の温度と、攪拌後の温度とに大きな温度差が生じてしまうという問題がある。図5(a)に示す本実施形態の構成では、マニホールド100全体の温度勾配を減少させることができるため、マニホールド100内のインクが攪拌されたとしても、攪拌前の温度と、攪拌後の温度との温度差を減少させることができる。
また、図5(c)に示すように、傾斜流路46を設けずに流入路144Aを第3の方向Zに沿って設けた構成では、マニホールド100内に供給された加温されたインク502は、流入路144A側であるX1側ではZ2からZ1側に向かって流れるものの、インク502の第3の方向Zの流れは、コンプライアンス基板に反射することで、第3の方向Zに波打ってX2側に流れる。したがって、マニホールド100全体、特に第1の方向Xの温度勾配が大きくなってしまう。
以上説明したように、流入路44のマニホールド100に連通する側に傾斜流路46を設けることにより、マニホールド100内で加温されたインクを液体噴射面20a側である第3の方向ZのZ2側からZ1側に流すことができると共に、Z1側において第1の方向Xの流入路44に連通する側であるX1側から流出路45に連通する側であるX2側に向かって流すことができる。したがって、マニホールド100全体の温度勾配、特に第3の方向Z及び第1の方向Xの温度勾配を減少させることができる。なお、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、マニホールド100と圧力発生室12とは、マニホールド100全体から見ると第3の方向ZのZ1側で連通して設けられている。このため、マニホールド100内を循環するインクの流れがZ2側に偏ると、Z2側のインク温度と圧力発生室12に供給されるZ1側のインク温度とに差が生じ、意図する温度のインクを吐出させることができない。また、Z1側で第1の方向XのX1側とX2側とで温度勾配が生じると、各圧力発生室12に供給されるインクの温度にばらつきが生じ、インクの吐出特性にばらつきが生じてしまう。つまり、第1の方向XのX1側とX2側とでインク温度に差が生じた場合、マニホールド100にX1側で連通する圧力発生室12から吐出されるインクの温度と、X2側で連通する圧力発生室12から吐出されるインクの温度とに差が生じるということになる。そして、インクは温度によって粘度が変化することから、粘度の異なるインクが吐出されることになり、吐出特性にばらつきが生じてしまう。
本実施形態では、傾斜流路46を設けることで、マニホールド100内の加温されたインクの流れを第1のベクトル方向200に傾斜させて、マニホールド100内のインクの第3の方向Zでの温度勾配を減少させると共に、第1の方向Xの温度勾配を減少させることができる。したがって、各圧力発生室12に供給されるインクの温度にばらつきが生じるのを抑制して、インクの吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、傾斜流路46を設けるだけでインクの流れを形成してマニホールド100内のインクの温度勾配を減少させることができるため、マニホールド100の容積を減少させることがない。したがって、マニホールド100の容積を減少させたことによる圧力損失の増大を抑制することができ、マニホールド100の容積不足による供給不良や、圧電アクチュエーター300の駆動によってマニホールド100側にインクが移動して発生するクロストークなどが生じるのを抑制することができる。
なお、このような傾斜流路46を規定する第1のベクトル方向200は、マニホールド100の第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zの大きさや、インクの流速等によって適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、図4に示すように、第1の方向Xにおいて、ノズル開口21は、傾斜流路46のマニホールド100に連通する開口を第1のベクトル方向200に向かって液体噴射面20aに射影した領域400を含む流出路側の領域401に設けられている。すなわち、ノズル開口21を領域401に設けることで、各ノズル開口21に連通する圧力発生室12に供給されるインクの温度にばらつきが生じるのを抑制してインクの吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。ちなみに、ノズル開口21が領域401の外側に設けられていると、領域401の外側と内側とではインクに温度差が生じてしまうため、領域401内に設けられたノズル開口21に連通する圧力発生室12に供給されるインク温度と、領域401外に設けられたノズル開口21に連通する圧力発生室12に供給されるインク温度とに温度差が生じてしまう。これにより、領域401内のノズル開口21から吐出されるインクと、領域401外のノズル開口21から吐出されるインクとの噴射特性にばらつきが生じてしまう。
また、第1の方向Xで並設されたノズル開口21のうち、端であるX1側のノズル開口21は、射影した領域400内に形成されているのが好ましい。これにより、インクジェット式記録ヘッド1が第1の方向Xに大型化するのを抑制して第1の方向Xに小型化することができる。ちなみに、インクの吐出に用いないダミーノズルが形成されている場合には、ダミーノズルは、領域401外、すなわち領域401よりもX1側に形成されているのが好ましい。これによっても、インクジェット式記録ヘッドが第1の方向Xに大型化するのを抑制して、第1の方向Xに小型化することができる。もちろん、ノズル開口21及びダミーノズルの位置は、上述したものに限定されず、ノズル開口21は、射影した領域400の外側、つまり領域400よりもX1側に設けられていてもよく、ダミーノズルが、領域401内に設けられていてもよい。
なお、本実施形態の領域401は、流出路45側では、詳しくは後述するが流出路45のマニホールド100側に流出路用傾斜流路48のマニホールド100に連通する開口を第2のベクトル方向210とは反対方向に向かって液体噴射面20aに射影した領域402までの領域を含む領域のことである。すなわち、流出路45側においても、ノズル開口21を領域401内に設けることで、各ノズル開口21に連通する圧力発生室12に供給されるインクの温度にばらつきが生じるのを抑制してインクの吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。また、流出路45側の端のノズル開口21、すなわち、第1の方向Xで並設されたノズル開口21のうちX2側のノズル開口21についても、射影した領域402内に形成されているのが好ましい。これにより、インクジェット式記録ヘッドが第1の方向Xに大型化するのを抑制して第1の方向Xに小型化することができる。さらに、ダミーノズルを設ける場合には、流出路45側においても、ダミーノズルは、領域401よりも外側、すなわちX2側に形成されているのが好ましい。これによっても、インクジェット式記録ヘッドが第1の方向Xに大型化するのを抑制して、第1の方向Xに小型化することができる。
また、マニホールド100からインクを流出させる流出路45は、図4に示すように、マニホールド100の第3マニホールド部42に連通する側に流出路用傾斜流路48を有する。
流出路用傾斜流路48は、少なくとも液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ1側の第1の面48aの面方向が、液体噴射面20aに直交する方向であって液体噴射面20aから流出路45に向かう第3の成分211と、液体噴射面20aの面内方向であって流入路44から流出路45に向かう第4の成分212と、を有する第2のベクトル方向210となるように傾斜して形成されたものである。なお、本実施形態の第3の成分211は、第3の方向ZであってZ1側からZ2側に向かう成分のことである。また、第4の成分212は、流入路44に設けられた傾斜流路46の第1のベクトル方向200を構成する第2の成分202と同じ方向であって、第1の方向XにおけるX1側からX2側に向かう成分のことである。そして、流出路用傾斜流路48は、少なくとも液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ1側の第1の面48aの面方向が、これら第3の成分211と第4の成分212とが合成された第2のベクトル方向210となるように傾斜されて形成されている。また、本実施形態の流出路用傾斜流路48は、さらに液体噴射面20aとは反対側、すなわち第3の方向ZのZ2側の第2の面48bが第2のベクトル方向210に向かう面方向となるように傾斜して形成されている。
このように、流出路用傾斜流路48の少なくとも第1の面48aを第2のベクトル方向210となるように傾斜して設けることで、マニホールド100内の液体噴射面20a側、すなわちZ1側のインクを流出路用傾斜流路48を介して流出させることができるので、マニホールド100全体の温度勾配、特に第3の方向Zの温度勾配及び第1の方向Xの温度勾配をさらに減少させることができる。
このような流出路用傾斜流路48の第2の面48bは、本実施形態では、流出路用傾斜流路48とマニホールド100との接続部分において、液体噴射面20aとは反対面側から第3の方向ZのZ1側に向かって突出して設けられた流出路45用の傾斜流路用突起部49によって形成されている。すなわち、本実施形態の流出路用傾斜流路48は、マニホールド100の第3の方向ZのZ2側と同じ高さで設けられており、流出路45用の傾斜流路用突起部49によって傾斜した第2の面48bが形成されることで、流出路用傾斜流路48はマニホールド100と同じ第3の方向Zの高さであっても、第2の面48bが傾斜して形成されている。このように、流出路用傾斜流路48をマニホールド100の第3の方向ZのZ2側の高さと同じ高さとすることで、ケース40が第3の方向Zに大型化するのを抑制することができる。
なお、流出路45用の傾斜流路用突起部49は、流入路44用の傾斜流路用突起部47と同様に、第1の方向Xにおいて、圧力発生室12に連通する領域の外側、すなわち、X2側に設けられているのが好ましい。これにより、各圧力発生室12に連通するマニホールド100の容積にばらつきが生じて、インク吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
このような流出路用傾斜流路48は、本実施形態では、第3の方向Zにおいて、マニホールド100の液体噴射面20aとは反対側、すなわち、Z2側に連通して設けられている。
このように流出路45のマニホールド100に連通する側に、流出路用傾斜流路48を設けることにより、マニホールド100内でX1からX2に流れるインクを液体噴射面20a側、すなわち第3の方向ZのZ1側から流出することができる。したがって、マニホールド100内のインクの第3の方向Zの温度勾配、すなわち、マニホールド100のZ1側のインク温度とZ2側のインク温度の差を減少することができる。また、流出路45に流入路44の傾斜流路46と同様の流出路用傾斜流路48を設けることで、インクジェット式記録ヘッドを第1の方向Xで対称構造とすることができる。したがって、インクを逆流、すなわち、流出路45からマニホールド100にインクを供給し、流入路44からマニホールド100内のインクを流出させたとしても、マニホールド100内のインクの温度勾配を減少させることができる。つまり、インクジェット式記録ヘッド1の流路の向きを自由に選択することができ、インクジェット式記録ヘッド1をインクジェット式記録ヘッドユニット等に組み付ける際の方向に規制がなくなり、組み立て工程を簡略化することができる。
さらに、本実施形態では、図2及び図3に示すように、マニホールド100には、流入路44から流出路45に向かう途中に、マニホールド100内を流れるインクの流れる方向に交差する方向に突出する突起部110が設けられている。本実施形態では、1つのマニホールド100に第1の方向Xに向かって一定の間隔で複数、本実施形態では4個の突起部110を設けた。
なお、マニホールド100は、ヘッド本体11とは反対側、すなわち第3の方向ZのZ2側に拡幅された部分が設けられている。このため、本実施形態の突起部110は、この拡幅された部分を埋めるように液体噴射面20aとは反対側であるZ2側から液体噴射面20a側であるZ1側に向かって突出して設けられた第1突出部111と、第1突出部111に連続して第2の方向Yにおいてノズル開口21とは反対側からノズル開口21側に向かって突出して設けられた第2突出部112と、を具備する。なお、第2の方向YのY1側に設けられたマニホールド100の第2突出部112は、マニホールド100側であるY1側から圧力発生室12側であるY2側に向かって突出して設けられ、第2の方向YのY2側に設けられたマニホールド100の第2突出部112は、マニホールド100側であるY2側から圧力発生室12側であるY1側に向かって突出して設けられている。
すなわち、突起部110は、マニホールド100の圧力発生室12に連通する側である第3の方向Z及び第2の方向Yの角部に対して対角となる角部に跨って設けられており、突起部110は、圧力発生室12のマニホールド100に連通する側に向かって突出しているといえる。
このようにマニホールド100のインクの流れる方向、すなわち循環方向である第1の方向Xに亘ってインクの流れる方向と直交する方向に突出した複数の突起部110を設けることで、マニホールド100の容積を著しく減少させることなく、マニホールド100内を流れるインクの流れの中心、すなわち、流速が最大となる中心を圧力発生室12に連通する側に移動することができる。つまり、突起部110を設けることで、傾斜流路46によってX1側においてZ1側に形成されたインクの流れが、X2側に行くに従いZ2側に移動してしまうのを抑制して、第1の方向Xに亘ってZ2側でのインクの流れを維持することができる。したがって、マニホールド100内を流れるインクを圧力発生室12に供給する際に、マニホールド100内を循環しているインクの温度と、圧力発生室12に供給されたインクの温度との温度差を低減することができる。すなわち、マニホールド100内を循環している所望の温度のインクを圧力発生室12に温度が低下するのを抑制した状態で供給することができ、所望の温度でインクを吐出させることができるため、インク吐出特性が低下するのを抑制することができる。
つまり、図6(a)に示すように、マニホールド100内に突起部110を設けない場合、マニホールド100を流れるインクの流れの中心C1となるのに対し、本実施形態のマニホールド100内に突起部110を設けた場合、図6(b)に示すように、マニホールド100を流れるインクの流れの中心C2は、突起部110を設けない中心C1よりも圧力発生室12に連通する側に移動する。なお、図6(a)は比較例の要部断面図、図6(b)は本実施形態の記録ヘッドの要部断面図である。
したがって、マニホールド100内に突起部110を設けることで、マニホールド100内を流れるインクの流れの中心C2を圧力発生室12に連通する側にすることができ、圧力発生室12に供給されるインクが、マニホールド100内を流れる中心C2のインクに近くなり、マニホールド100内のインクの第3の方向Zの温度勾配を減少することができると共に第2の方向Yの温度勾配を減少することができる。
また、突起部110は、マニホールド100の容積を著しく減少させることがないため、圧力損失の増大を抑制することができ、マニホールド100の容積不足による供給不良や、圧電アクチュエーター300の駆動によってマニホールド100側にインクが移動して発生するクロストークなどが生じるのを抑制することができる。
さらに、突起部110を流入路から流出路に亘って所定の間隔で複数個設けることで、マニホールド100のように長い空間が画成されたケース40の剛性を向上して、変形し難くすることができる。
なお、本実施形態の突起部110は、第1突出部111と第2突出部112とを有するが、突起部の形状は特にこれに限定されず、突起部110が第1突出部111及び第2突出部112の何れか一方のみで構成されていてもよい。また、突起部110は、第1突出部111及び第2突出部112を有するものに限定されるものではない。ここで、突起部の他の例を図7及び図8に示す。なお、図7及び図8は、突起部の変形例を示すインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
図7に示すように、突起部110Aは、第3の方向ZにZ2側からZ1側に向かって突出して設けられている。また、突起部110Aは、マニホールド100の第2の方向Yの壁面との間に所定の空間を画成して配置されている。
また、図8に示すように、突起部110Bは、マニホールド100の第2の方向Yの壁面からノズル開口21側に向かって突出して設けられた第2突出部112で構成されている。
このような図7及び図8に示す突起部110A、110Bであっても、マニホールド100内を流れるインクの流れの中心は、圧力発生室12に連通する側に移動されるため、上述した突起部110と同様の効果を奏することができる。
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図9に示すように、流入路のマニホールド側には、傾斜流路46Aが設けられている。
傾斜流路46Aは、液体噴射面20a側であるZ1側の内面の面方向が第1のベクトル方向200となるように形成されている。
また、傾斜流路46Aは、液体噴射面20aとは反対側であるZ2側の内面の面方向が、傾斜流路用突起部47によって第1のベクトル方向200となるように形成されている。
このような傾斜流路46Aは、マニホールド100に液体噴射面20a側であるZ1側で連通して設けられている。すなわち、傾斜流路46AのZ1側の内面は、マニホールド100のZ1側の壁面又はコンプライアンス基板91側に連続して設けられている。
これにより、傾斜流路46Aからマニホールド100に流入したインクの流れが、マニホールド100のZ1方向のX1側の端部に滞留するのを抑制して、気泡排出性等を向上することができる。
なお、本実施形態では、上述した実施形態1と同様に、インクジェット式記録ヘッド1が第1の方向Xで対称構造となるように、流出路にも本実施形態の傾斜流路46Aと同様の構成となる流出路用傾斜流路48Bを設けている。このため、インクを逆方向に流したとしても、マニホールド100内のインクの温度勾配を減少させることができる。
(実施形態3)
図10は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図10に示すように、流入路のマニホールド側には、傾斜流路46Bが設けられている。
傾斜流路46Bは、液体噴射面20a側であるZ1側の内面の面方向が第1のベクトル方向200となるように形成されている。
また、傾斜流路46Bは、液体噴射面20aとは反対側であるZ2側の内面の面方向が、第1のベクトル方向200となるように形成されている。
そして、このような傾斜流路46Bは、第3の方向Zにおいて、マニホールド100のZ2側よりも外側に延設されて形成されている。すなわち、本実施形態では、傾斜流路用突起部47を設けることなく、傾斜流路46Bが形成されている。このような構成であっても、上述した実施形態1と同様に、マニホールド100内のインクの温度勾配を減少させることができる。
なお、本実施形態では、上述した実施形態1と同様に、インクジェット式記録ヘッド1が第1の方向Xで対称構造となるように、流出路45にも本実施形態の傾斜流路46Bと同様の構成となる流出路用傾斜流路48Bを設けている。このため、インクを逆方向に流したとしても、マニホールド100内のインクの温度勾配を減少させることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1〜3では、傾斜流路46〜46B及び流出路用傾斜流路48〜48Bを形成する第1の面46a、48a、第2の面46b、48bは、第1のベクトル方向200又は第2のベクトル方向210に向かって面方向を有する平坦面となっているが、特にこれに限定されず、例えば、傾斜流路46〜46B及び流出路用傾斜流路48〜48Bを形成する第1の面46a、48a、第2の面46b、48bは、階段状に形成されていてもよく、曲面状に形成されていてもよい。なお、第1の面46a、48a、第2の面46b、48bが階段状に形成されている場合には、傾斜流路46〜46B及び流出路用傾斜流路48〜48Bの内部のインクの流れが第1のベクトル方向200又は第2のベクトル方向210となっていればよい。また、第1の面46a、48a、第2の面46b、48bが曲面状に形成されている場合には、傾斜流路46〜46B及び流出路用傾斜流路48〜48Bがマニホールド100に開口する部分における接線方向が第1のベクトル方向200又は第2のベクトル方向210となっていればよい。
また、上述した実施形態1〜3では、流出路45にも流出路用傾斜流路48〜48Bを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、流出路45には流出路用傾斜流路48〜48Bを設けなくても、流入路44に傾斜流路46〜46Bが設けられていれば、マニホールド100内のインクの温度勾配を減少させることができる。
さらに、上述した実施形態1〜3の流入路44の傾斜流路46〜46Bと、流出路45の流出路用傾斜流路48〜48Bとを組み合わせることも可能である。
また、上述した実施形態1〜3では、連通板15を有するインクジェット式記録ヘッド1の構成及びコンプライアンス基板91が連通板15のZ1側の面に配置された構成を例示したが、連通板15の有無は特にこれに限定されず、また、コンプライアンス基板91の位置も特にこれに限定されない。例えば、コンプライアンス基板91は、マニホールド100に対して第2の方向Yの壁面側に設けられていてもよく、第3の方向ZのZ2側に設けられていてもよい。
また、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、圧電アクチュエーター300は、例えば、成膜及びリソグラフィー法によって形成される薄膜型であっても、また、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型であってもよい。また、電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターを用いることもできる。さらに、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、これら上述したインクジェット式記録ヘッド1は、インクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図11は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
本実施形態のインクジェット式記録装置Iは、装置本体にインクジェット式記録ヘッド1を固定し、ノズル開口21の並設方向に対して直交する方向に記録用紙等の被噴射媒体を搬送することで被噴射媒体への印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット式記録装置である。
具体的には、図11に示すように、インクジェット式記録装置Iは、インクジェット式記録ヘッド1を具備するインクジェット式記録ヘッドユニット2と、装置本体3と、被記録媒体である記録シートSを給紙するローラー4と、液体貯留手段5とを備えている。
インクジェット式記録ヘッドユニット2(以下、ヘッドユニット2とも言う)は、複数のインクジェット式記録ヘッド1と、複数のインクジェット式記録ヘッド1を保持する板状のベースプレート6と、を具備する。このヘッドユニット2は、ベースプレート6に取り付けられたフレーム部材7を介して装置本体3に固定されている。
また、装置本体3にはローラー4が設けられている。ローラー4は、装置本体3に給紙された被噴射媒体である紙等の記録シートSを搬送し、記録シートSをインクジェット式記録ヘッド1の液体噴射面20aに相対向させて通過させる。
また、各インクジェット式記録ヘッド1には、装置本体3に固定されてインクを貯留する液体貯留手段5がフレキシブルチューブ等の供給管8及び回収管9を介して接続されている。液体貯留手段5からのインクは、供給管8を介して各インクジェット式記録ヘッド1の流入路に供給され、インクジェット式記録ヘッド1で吐出されなかったインクは流出路から回収管9を介して液体貯留手段5に回収される。また、回収管9の途中にはポンプ9aが設けられており、液体貯留手段5からのインクは、ポンプ9aの圧力によってインクジェット式記録ヘッド1内の流入路、マニホールド100及び流出路を通過して通過して循環する。さらに、特に図示していないが、液体貯留手段5には貯留されたインクを加熱するヒーター等の加熱手段が設けられている。もちろん、加熱手段は、供給管8やインクジェット式記録ヘッド1に設けられていてもよい。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、ローラー4により搬送方向に記録シートSが搬送されると共に、ヘッドユニット2のインクジェット式記録ヘッド1によってインクが吐出されて記録シートSに画像等が印刷される。
なお、上述した例では、複数のインクジェット式記録ヘッド1を具備するヘッドユニット2をインクジェット式記録装置Iに1つだけ設けるようにしたが、インクジェット式記録装置Iに搭載するヘッドユニット2を2つ以上設けてもよい。また、インクジェット式記録装置Iに直接インクジェット式記録ヘッド1を搭載するようにしてもよい。また、液体貯留手段5はインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよく、液体貯留手段5等に設けた加熱手段についてもインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。つまり、本が発明のインクジェット式記録ヘッド1は、加温されたインクが供給されるものであれば、加熱手段の有無については特に限定されない。
また、上述した例では、インクジェット式記録ヘッド1が固定されて記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット式記録装置Iを例示したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、記録シートSの搬送方向と交差する主走査方向に移動するキャリッジにインクジェット式記録ヘッド1を搭載し、インクジェット式記録ヘッド1を主走査方向に移動させながら印刷を行う、いわゆるシリアル型のインクジェット式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、本実施形態では、液体貯留手段5が装置本体3に固定されたタイプのインクジェット式記録装置Iを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクカートリッジ等の液体貯留手段を各インクジェット式記録ヘッド1、インクジェット式記録ヘッドユニット2又はキャリッジ等に固定するタイプのインクジェット式記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに本実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。