以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
〈実施形態1〉
本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。インクジェット式記録ヘッドは液体噴射ヘッドの一例であり、単に記録ヘッドともいう。インクジェット式記録ヘッドユニットは、液体噴射ヘッドユニットの一例であり、単にヘッドユニットともいう。インクジェット式記録装置は、液体噴射装置の一例である。図1は、本実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、インクジェット式記録装置1は、ヘッドユニット101を備え、被噴射媒体である紙などの記録シートSを搬送することで印刷を行う、所謂ライン式記録装置である。
具体的には、インクジェット式記録装置1は、装置本体2と、複数の記録ヘッド100を有するヘッドユニット101と、記録シートSを搬送する搬送手段4と、ヘッドユニット101と相対向する記録シートSを支持する支持部材7とを具備する。なお、本実施形態では、記録シートSの搬送方向をX方向とする。また、ヘッドユニット101のノズル開口が設けられた液体噴射面内において、X方向と直交する方向をY方向とする。さらに、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。また、X方向において、記録シートSを搬送する上流側をX1側、下流側をX2側とし、Y方向において一方をY1側、他方をY2側とし、Z方向において液体噴射方向側(記録シートS側)をZ1側、反対側をZ2側とする。
ヘッドユニット101は、複数の記録ヘッド100と、複数の記録ヘッド100を保持するヘッド固定基板102とを具備する。
複数の記録ヘッド100は、搬送方向であるX方向に交差する方向であるY方向に並設されてヘッド固定基板102に固定されている。なお、本実施形態では、複数の記録ヘッド100は、Y方向の直線上に並設されている。すなわち、複数の記録ヘッド100は、X方向にずれて配置されていない。これにより、ヘッドユニット101のX方向の幅を狭くして、ヘッドユニット101の小型化を図ることができる。
ヘッド固定基板102は、複数の記録ヘッド100のノズル開口が記録シートS側に向くように、複数の記録ヘッド100を保持するものであり、装置本体2に固定されている。
搬送手段4は、記録シートSをヘッドユニット101に対して、X方向に搬送する。搬送手段4は、例えば、ヘッドユニット101に対して記録シートSの搬送方向であるX方向の両側に設けられた第1の搬送ローラー5と、第2の搬送ローラー6とを具備する。このような第1の搬送ローラー5と第2の搬送ローラー6とによって、記録シートSをX方向に搬送する。なお、記録シートSを搬送する搬送手段4は、搬送ローラーに限定されず、ベルトやドラム等であってもよい。
支持部材7は、ヘッドユニット101に相対向する位置で、搬送手段4によって搬送される記録シートSを支持する。支持部材7は、例えば、断面が矩形状を有する金属又は樹脂等からなり、第1の搬送ローラー5と第2の搬送ローラー6との間にヘッドユニット101に相対向して設けられている。
なお、支持部材7には、搬送された記録シートSを支持部材7上で吸着する吸着手段が設けられていてもよい。吸着手段としては、例えば、記録シートSを吸引することで吸引吸着するものや、静電気力で記録シートSを静電吸着するもの等が挙げられる。また、例えば、搬送手段4がベルトやドラムである場合、支持部材7は、ヘッドユニット101に相対向する位置で、ベルト上やドラム上に記録シートSを支持する。
ヘッドユニット101の各記録ヘッド100には、図示していないが、インクが貯留されたインクタンクやインクカートリッジなどの液体貯留手段がインクを供給可能に接続されている。液体貯留手段は、例えば、ヘッドユニット101上に保持されていても、また、装置本体2内のヘッドユニット101とは異なる位置に保持されていてもよい。また、液体貯留手段から供給されたインクを記録ヘッド100に供給するための流路等をヘッド固定基板102の内部に設けるようにしてもよく、ヘッド固定基板102にインク流路部材を設け、インク流路部材を介して液体貯留手段からのインクを記録ヘッド100に供給するようにしてもよい。もちろん、液体貯留手段からヘッド固定基板102又はヘッド固定基板102に固定されたインク流路部材等を介さずに、記録ヘッド100に直接インクが供給されてもよい。
このようなインクジェット式記録装置1では、第1の搬送ローラー5によって記録シートSがX方向に搬送され、ヘッドユニット101によって支持部材7上で支持された記録シートSに印刷が実行される。印刷された記録シートSは、第2の搬送ローラー6によってX方向に搬送される。
ヘッドユニット101について図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は本実施形態に係るヘッドユニットを示す分解斜視図であり、図3はヘッドユニットの液体噴射面側の底面図である。
本実施形態のヘッドユニット101は、複数の記録ヘッド100と、複数の記録ヘッド100を保持するヘッド固定基板102とを具備する。記録ヘッド100は、ノズル開口21が設けられた液体噴射面20aをZ方向のZ1側に有する。各記録ヘッド100は、ヘッド固定基板102の記録シートSに相対向する面側、すなわち、Z方向の記録シートS側であるZ1側に固定されている。
前述のように、複数の記録ヘッド100は、搬送方向であるX方向に直交するY方向に直線上に並設されてヘッド固定基板102に固定されている。すなわち、複数の記録ヘッド100は、X方向にずれて配置されていない。これにより、ヘッドユニット101のX方向の幅を狭くして、ヘッドユニット101の小型化を図ることができる。もちろん、Y方向に並設された記録ヘッド100をX方向にずらして配置するようにしてもよいが、記録ヘッド100をX方向に大きくずらすと、ヘッド固定基板102等のX方向の幅が広くなってしまう。このようにヘッドユニット101のX方向の大きさが大きくなると、インクジェット式記録装置1における第1の搬送ローラー5と第2の搬送ローラー6とのX方向の距離が遠くなり、記録シートSの姿勢の固定が困難になる。また、ヘッドユニット101及びインクジェット式記録装置1が大型化してしまう。
なお、本実施形態では、ヘッド固定基板102に4個の記録ヘッド100を固定するようにしたが、記録ヘッド100の数は2個以上であれば、特にこれに限定されるものではない。
図2、図4〜図6を用いて記録ヘッド100について説明する。図4は記録ヘッドの平面図であり、図5は記録ヘッドの底面図であり、図6は図4のA−A’線断面図である。なお、図4は記録ヘッド100のZ方向のZ2側の平面図であり、保持部材120の図示を省略している。
記録ヘッド100は、複数のヘッド本体110と、各ヘッド本体110に接続されたCOF基板98と、各ヘッド本体にインクを供給する流路が設けられた流路部材200とを備えている。さらに、本実施形態では、記録ヘッド100は複数のヘッド本体110を保持する保持部材120と、ヘッド本体110の液体噴射面20a側に設けられた固定板130と、中継基板140とを備えている。
ヘッド本体110は、インクの流路が設けられた保持部材120及び流路部材200からインクが供給され、インクジェット式記録装置1に設けられた制御部(図示せず)から中継基板140及びCOF基板98を介して制御信号が伝達され、該制御信号に基づいてインク滴を吐出するものである。ヘッド本体110の詳細な構成は後述する。
各ヘッド本体110は、Z方向のZ1側にノズル開口21が設けられた液体噴射面20aを有する。また、複数のヘッド本体110のZ2側が、流路部材200のZ1側の面に接着されている。
流路部材200は、ヘッド本体110に供給されるインクの液体流路が設けられた部材である。流路部材200の詳細な構成は後述するが、流路部材200には、Z1側の面に、複数のヘッド本体110がY方向に並設されて接着されている。また、流路部材200に設けられた液体流路は、各ヘッド本体110の液体流路に連通しており、流路部材200から各ヘッド本体110にインクが供給されるようになっている。
本実施形態では、1つの流路部材200に6個のヘッド本体110が接着されている。もちろん、1つの流路部材200に固定するヘッド本体110の数は上述したものに限定されず、1つの流路部材200に対してヘッド本体110が1個であっても、また、2個以上の複数であってもよい。
また、流路部材200には、Z方向に貫通した開口部201が設けられており、該開口部201には、一端がヘッド本体110に接続されたCOF基板98が挿通している。
COF基板98は、フレキシブル配線基板の一例である。フレキシブル配線基板は、可撓性を有する基板上に配線が形成されたものである。また、COF基板98は、ヘッド本体110に設けられた圧力発生手段を駆動する駆動回路97(図7参照)を備えている。
中継基板140は、表面に配線、IC、抵抗等の電装部品が実装された基板であり、保持部材120と流路部材200との間に配置されている。中継基板140には、流路部材200に設けられた開口部201と連通した貫通部141が形成されている。各貫通部141の開口形状は、流路部材200の開口部201よりも大きく形成されている。
ヘッド本体110の圧力発生手段に接続されたCOF基板98は、開口部201及び貫通部141を挿通し、中継基板140のZ2側の面に設けられた端子(図示せず)に接続されている。すなわち、COF基板98は、各ヘッド本体110に対して1枚ずつ接続されてZ方向のZ1側からZ2側に延設されている。また、複数のヘッド本体110に接続されたCOF基板98は、Y方向に見て、全てオーバーラップした位置に設けられている。なお、後述するように、本実施形態のCOF基板98は傾斜して設けられているものの、COF基板98と電気的に接続されるリード電極90及び中継基板140はZ方向に離間しているので、このような場合も含めて、COF基板98はZ方向に延設されているとする。
特に図示しないが、中継基板140には、インクジェット式記録装置1の制御部に接続されている。このため、当該制御部から送られる駆動信号等を中継基板140を通じてCOF基板98の駆動回路97に伝達され、駆動回路97によりヘッド本体110の圧力発生手段が駆動されるようになっている。これにより、記録ヘッド100のインクの噴射動作が制御されている。
保持部材120は、Z1側に溝状の空間を形成する保持部121を有する。保持部121は、保持部材120のZ1側の面に、Y方向に亘って連続して設けられることで、Y方向の両側面に開口して設けられている。また、保持部材120は、保持部121をX方向の略中央部に設けることで、当該保持部121のX方向の両側には、足部122が形成されている。すなわち、足部122は、保持部材120のZ1側の面に、X方向の両端部のみに設けられており、Y方向の両端部には設けられていない。なお、本実施形態では保持部材120は一部材からなるが、このような態様に限定されず、複数の部材がZ方向に積層されて構成されていてもよい。
このような保持部121内に、中継基板140、流路部材200、複数のヘッド本体110が収容されている。具体的には、流路部材200のZ1側の面に各ヘッド本体110が接着剤等で接合され、流路部材200のZ2側の面に中継基板140が固定されている。このように一体的に構成された中継基板140、流路部材200及び複数のヘッド本体110が保持部121内に収容されている。
保持部材120と流路部材200とは、保持部121及び流路部材200のZ方向で相対向する面同士が接着剤によって接着されている。中継基板140は、保持部121と流路部材200とで挟まれた空間に収容されている。なお、接着剤による接着に代わり、ネジなどの固定手段により保持部材120と流路部材200とを一体化してもよい。
また、保持部材120には、特に図示しないが、インクが流通する流路や異物等を捕獲するフィルター等が形成されている。これらの保持部材120の流路は、流路部材200の液体流路に連通している。これにより、インクジェット式記録装置1に設けられた液体貯留手段からのインクが保持部材120及び流路部材200を介してヘッド本体110に供給されるようになっている。
固定板130は、記録ヘッド100の液体噴射面20a側、すなわち、記録ヘッド100のZ方向のZ1側に設けられ、各記録ヘッド100を保持する部材である。固定板130は、例えば、金属等の板状部材を折り曲げることで形成されたものである。具体的には固定板130は、液体噴射面20a側に設けられたベース部131と、ベース部131のY方向の両端部がZ方向のZ2側に屈曲して設けられた折り曲げ部132とを具備する。
また、ベース部131には、各ヘッド本体110のノズル開口21を露出するための開口である露出開口部133が設けられている。本実施形態では、露出開口部133は、ヘッド本体110毎に独立して開口するように設けられている。すなわち、本実施形態の記録ヘッド100は、6個のヘッド本体110を有するため、ベース部131には6個の独立した露出開口部133が設けられている。もちろん、ヘッド本体110の構成等によっては、複数のヘッド本体110で構成されるヘッド本体群に対して1つの共通する露出開口部133を設けるようにしてもよい。
このようなベース部131によって、保持部材120の保持部121のZ1側が覆われている。ベース部131は、図6に示すように、保持部材120のZ方向のZ1側の面、すなわち、足部122のZ1側の端面に接着剤を介して接合されている。
また、折り曲げ部132は、ベース部131のY方向の両端部に設けられており、保持部121のY方向の側面に開口する開口面積を覆う大きさで形成されている。すなわち、折り曲げ部132は、ベース部131のY方向の端部から固定板130の縁部までの領域のことである。そして、このような折り曲げ部132は、保持部材120のY方向の側面に接着剤を介して接合されている。これにより、保持部121のY方向の側面への開口は、折り曲げ部132によって覆われて封止されている。
このように、固定板130が保持部材120に接着剤により接着されることで、保持部材120と固定板130との間の空間である保持部121内にヘッド本体110が配置される。
上述したように、本実施形態に係る記録ヘッド100は、1つの記録ヘッド100に対して複数のヘッド本体110を設けてノズル列の多列化を図ることで、1つの記録ヘッド100に対して1つのヘッド本体110のみにノズル列を複数列設けて多列化する場合に比べて、歩留まりを向上することができる。すなわち、単体のヘッド本体110でのノズル列の多列化を行うのは、ヘッド本体110の歩留まりが低下すると共に製造コストが高価になってしまう。これに対して、複数のヘッド本体110によってノズル列の多列化を行うことで、ヘッド本体110の歩留まりを向上して製造コストを低減することができる。
また、保持部材120のY方向の側面の開口は、固定板130の折り曲げ部132により封止される。これにより、保持部材120のY方向の両側(図3に示したハッチ部分)に固定板130のベース部131と接着するための足部122がなくても、保持部121のY方向の側面に設けられた開口からの水分蒸発を抑制することができる。
したがって、Y方向に記録ヘッド100を並設したヘッドユニット101は、Y方向において隣り合う記録ヘッド100側に足部122が存在しないことから、Y方向で隣り合う記録ヘッド100の間隔を狭くすることができる。これにより、Y方向で隣り合う記録ヘッド100のヘッド本体110同士を近接して設けることができ、隣り合う記録ヘッド100の各ヘッド本体110に設けられたノズル開口21をY方向で近接させて設けることができる。
なお、本実施形態に係る記録ヘッド100は、保持部材120のX方向の両側に足部122を設けるようにしたが、足部122を設けないようにしてもよい。すなわち、保持部材120のZ1側の面にヘッド本体110が接着され、固定板130のX方向及びY方向の両側に折り曲げ部132を設けるようにしてもよい。すなわち、固定板130には、液体噴射面20aの面内方向における全周に亘って折り曲げ部132が設けられており、保持部材120の側面の全周に亘って固定板130が接着されていてもよい。ただし、本実施形態のように保持部材120のX方向の両側に足部122を設けることで、足部122のZ1側の端面を固定板130のベース部131に接着することにより、インクジェット式記録ヘッド100のZ方向の強度を向上することができるとともに、足部122からの水分蒸発を抑制することができる。
図7及び図8を用いて、ヘッド本体110について説明する。図7は本実施形態に係るヘッド本体の斜視図であり、図8はヘッド本体のY方向の断面図である。もちろん、ヘッド本体110の構成は以下の構成に限定されない。
本実施形態のヘッド本体110は、圧力発生室12、ノズル開口21、マニホールド95、圧力発生手段等を備える。そのために、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、コンプライアンス基板45、ケース40等の複数の部材が接着剤等によって接合されている。
流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が複数のノズル開口21の並設方向に沿って並設されている。なお、本実施形態では、この圧力発生室12の並設方向を、Xa方向と称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12がXa方向に並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、Ya方向と称する。なお、本実施形態では、Xa方向及びYa方向に直交する方向は、Z方向と一致する。また、本実施形態のヘッド本体110は、ノズル開口21の並設方向であるXa方向が、記録シートSの搬送方向であるX方向に対して傾斜した方向となるようにヘッドユニット101に搭載される。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12のYa方向の一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
流路形成基板10の一方面側には、連通板15が接合されている。また、連通板15には、各圧力発生室12に連通する複数のノズル開口21が設けられたノズルプレート20が接合されている。本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口するZ方向のZ1側が液体噴射面20aとなっている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。
また、連通板15には、マニホールド95の一部を構成する第1マニホールド17と、第2マニホールド18とが設けられている。第1マニホールド17は、連通板15をZ方向に貫通して設けられている。第2マニホールド18は、連通板15をZ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口してZ方向の途中まで設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12のY方向の一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド18と圧力発生室12とを連通する。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。複数のノズル開口21がXa方向に並設され、それぞれの並設されたノズル開口21が2つのノズル列a及びノズル列bをなし、このノズル列a、ノズル列bがYa方向に並設されている。なお、本実施形態では、詳細は後述するが、ノズル列a及びノズル列bのそれぞれは、2つに分割して1列で2種類の液体を噴射できるようになっている。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。また、振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが順次積層されることで、本実施形態の圧力発生手段である圧電アクチュエーター300が構成されている。一般的には圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。また、保護基板30には、Z方向に貫通する貫通孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出されたリード電極90の端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90とCOF基板98とが、貫通孔32内で電気的に接続されている。
また、保護基板30及び連通板15には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド95を画成するケース40が固定されている。ケース40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース40と流路形成基板10及び保護基板30とによって第3マニホールド42が画成されている。そして、この第3マニホールド42と、連通板15に設けられた第1マニホールド17及び第2マニホールド18とによって本実施形態のマニホールド95が構成されている。なお、上述したように1列のノズル列で2種類の液体を噴射できるようになっているので、マニホールド95を構成する第1マニホールド17、第2マニホールド18及び第3マニホールド42は、それぞれノズル列方向、すなわち、Xa方向で2つに分割されている。例えば、第1マニホールド17は、図7に示すように、第1マニホールド17aと第1マニホールド17bとからなる。第2マニホールド18及び第3マニホールド42も同様に2つに分割され、マニホールド95全体としてもXa方向に2つ分割されている。
本実施形態では、マニホールド95を構成する第1マニホールド17、第2マニホールド18及び第3マニホールド42は、それぞれノズル列a及びノズル列bを挟んで対称に配置されている。これによれば、ノズル列a及びノズル列b毎に異なる液体を噴射することも可能となる。勿論、マニホールドの配置はこれに限定されるものではない。
また、本実施形態では、後述するように4種の液体を噴射できるように、各ノズル列に対応するマニホールドをXa方向で2つに分割して合計4つのマニホールド95としているが、ノズル列a及びノズル列b毎に形成されたマニホールドとしてもよいし、また、ノズル列a及びノズル列bの2列に対して共通の1つのマニホールドとしてもよい。
また、連通板15の第1マニホールド17及び第2マニホールド18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド17と第2マニホールド18の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47とを具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成されている。また、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド95に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド95の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
また、固定板130は、コンプライアンス基板45の連通板15とは反対面側に接着される。すなわち、固定板130のベース部131に設けられた露出開口部133は、ノズルプレート20の面積よりも広い開口面積を有し、露出開口部133内でノズルプレート20の液体噴射面20aを露出する。もちろん、固定板130は、これに限定されず、例えば、固定板130の露出開口部133をノズルプレート20の外形よりも小さな開口面積とし、固定板130をノズルプレート20の液体噴射面20aに当接又は接着するようにしてもよい。また、固定板130の露出開口部133をノズルプレート20の外形よりも小さな開口面積とした場合であっても、固定板130と液体噴射面20aとが接しないように設けるようにしてもよい。すなわち、固定板130が液体噴射面20a側に設けられているとは、液体噴射面20aに接していないものも、また、液体噴射面20aに接するものも含むものである。
なお、ケース40には、マニホールド95に連通して各マニホールド95にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース40には、保護基板30の貫通孔32に連通してCOF基板98が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成のヘッド本体110では、インクを噴射する際に、貯留手段から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド95からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路97からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
ここで、図5及び図9を用いて、ヘッド本体110のノズル列を構成するノズル開口21の並設方向が、記録シートSの搬送方向であるX方向に対して傾斜して設けられている点について詳細に説明する。図9は本実施形態に係るヘッド本体のノズル開口の配置を模式的に示した説明図である。
複数のヘッド本体110は、液体噴射面20aの面内方向において、記録シートSの搬送方向であるX方向に対してノズル列a、ノズル列bが傾斜するように固定されている。ここでいうノズル列は複数のノズル開口21が所定の方向に並設されたものをいう。本実施形態では、液体噴射面20aには、所定の方向としてXa方向に複数のノズル開口21が並設された2列のノズル列a及びノズル列bが液体噴射面20aに設けられている。Xa方向は、前記X方向に対して、0度より大きく90度未満の角度で交差した方向となっている。ここで、X方向とXa方向とは、0度より大きく45度未満の角度で交差することが好ましい。これによると、45度より大きく90度未満の角度で交差する場合と比較すると、Y方向におけるノズル開口21同士の間隔D1をより小さくでき、Y方向に高解像度の記録ヘッド100を実現することができる。もちろん、X方向とXa方向とを、45度より大きく90度未満の角度で交差するようにしてもよい。
なお、X方向とXa方向とが0度より大きく45度未満の角度で交差するとは、液体噴射面20aの面内においてX方向と45度で交差する直線よりも、ノズル列がX方向に向けてより傾斜している状態をいう。また、ここでいう間隔D1は、ノズル列a及びノズル列bのノズル開口21を、Y方向の仮想線に対して、X方向に投影した場合のノズル開口21同士の間隔である。また、ノズル列a及びノズル列bのノズル開口21をX方向の仮想線に対して、Y方向に投影した場合のノズル開口21同士の間隔をD2とする。
また、図9に示すように、本実施形態では、1つのノズル列で2種類、2つのノズル列で4種類の液体を噴射できるようになっている。すなわち、4色のインクを使用すると仮定すると、例えば、ノズル列aでは、ブラックBkとマゼンタM、ノズル列bでは、シアンCとイエローYを噴射できるようになっている。また、ノズル列aとノズル列bとは同じ数のノズル開口21を有し、ノズル列aのノズル開口21のY方向の位置と、ノズル列bのノズル開口21のY方向の位置とは、X方向で重なっている。
ヘッド本体110a〜110cは、同様なノズル列a、bを有しており、ヘッド本体110a〜110cがY方向に近接して設けられることにより、Y方向に隣接するヘッド本体110の各ノズル開口21が、互いにX方向で重なるように並設されている。よって、例えばヘッド本体110aのマゼンタMのノズル列aとイエローYのノズル列bとが、ヘッド本体110bのブラックBkのノズル列aとシアンCのノズル列bとにX方向で重なることで、X方向の一列に4色が並ぶようになり、カラーイメージを印刷することができる。また、Y方向に隣接するヘッド本体110bとヘッド本体110cについても、同様に、各ノズル開口21が、互いにX方向で重なるように並設されている。
さらに、隣接するヘッド本体110が有する同じ色のノズル列のうち少なくとも一部のノズル開口21が互いにX方向で重なるように配置されていることで、ヘッド本体110間のつなぎ目の画質を向上することができる。すなわち、例えば、ヘッド本体110aのマゼンタMのノズル列aの1つのノズル開口21とヘッド本体110bのマゼンタMのノズル列aの1つのノズル開口21とが、互いにX方向で重なるように配置されており、この互いに重なる2つのノズル開口21からの噴射を制御することにより、隣接するヘッド本体110間のつなぎ目においてバンディングや筋といった画質の劣化を防ぐことができる。また、図9に示す例では、1つのノズル開口21のみがX方向に重なっているが、2つ以上のノズル開口21がX方向に重なっていてもよい。
このような色の配置は、勿論これに限定されるものではない。例えば、特に図示しないが、1つのノズル列で、ブラックBk、マゼンタM、シアンC及びイエローYの4色を噴射できるように配置してもよい。
上述したように、ヘッド本体110を複数有する記録ヘッド100をヘッド固定基板102に4個固定してヘッドユニット101を構成しているが、図5の直線Lに示すように、隣接する記録ヘッド100同士でノズル列の一部がX方向で重なるように配置されている。すなわち、1つの記録ヘッド100において隣接するヘッド本体110の関係と同様に、Y方向に隣接する記録ヘッド100間において隣接するヘッド本体110がY方向に近接して設けられることにより、隣接する記録ヘッド100間において、カラーイメージを印刷できるとともに、隣接する記録ヘッド100間のつなぎ目の画質を向上することができる。もちろん、隣接する記録ヘッド100間においてX方向に重なるノズル開口21の数は、1つの記録ヘッド100におけるヘッド本体110間においてX方向に重なるノズル開口21の数と同じである必要はない。
このように、ヘッド本体110間のノズル列と、記録ヘッド100間のノズル列とがX方向で一部重なることにより、つなぎ目の画質を向上することができる。
また、各ノズル列のXa方向において隣接するノズル開口21間において、X方向の間隔D1とY方向の間隔D2とは整数比となるように、ノズルピッチやX方向とXa方向の角度を設定するのが好ましい。これによれば、X方向及びY方向にマトリクス状に配置された画素から構成されるイメージデータを印刷する場合に、各ノズルと画素との対応付けが容易となる。なお、もちろん、このような整数比に限定されるものではない。
本実施形態の記録ヘッド100は、図5に示すように、液体噴射面20a側から平面視した際に、略平行四辺形となる形状を有する。これは、上述したように、各ヘッド本体110のノズル列a、ノズル列bを構成するノズル開口21の並設方向であるXa方向が、記録シートSの搬送方向であるX方向に対して傾斜して設けられており、このノズル列a、ノズル列bの傾斜する方向であるXa方向と同じように記録ヘッド100の外形、すなわち、固定板130を略平行四辺形となるように形成したからである。もちろん、記録ヘッド100の液体噴射面20a側から平面視した際の形状は、略平行四辺形に限定されず、台形の矩形状や多角形状等であってもよい。
なお、以上説明した実施形態では、1つのヘッド本体に2列のノズル列を設けた例を説明したが、3列以上のノズル列を有するものであっても同様に上述した効果を奏することはいうまでもない。なお、本実施形態のように、1つのヘッド本体110に設けられたノズル列が2列であれば、図8のように、それぞれのノズル列に対応した2つのマニホールド95の間に、それぞれのノズル列のノズル開口21を配置することができるので、複数のノズル列のノズル開口21がそれぞれのノズル列に対応したマニホールドに対して同じ側に配置される場合と比較すると、2列のノズル列のYa方向の間隔を狭めることができる。ゆえに、2列のノズル列に対して1つのノズルプレート20に要する面積を小さくすることができる。また、2列のノズル列のそれぞれの圧電アクチュエーター300とCOF基板98との接続も容易になる。
また、本実施形態では、各ノズル列a、bは、同じ数のノズル開口21を有している。これによれば、各ノズル列間のX方向におけるオーバーラップ数を同じにでき、効率的な液体噴射ができる。しかしながら、各ノズル列のノズル開口の数は、必ずしも同じである必要はない。さらに、ノズル列a,bが噴射する液体の種類は全て同じであってもよく、例えば全て同じ色のインクを使用してもよい。
また、本実施形態では、ヘッド本体110は、2列のノズル列に対して1つのノズルプレート20を有することが好ましい。これによれば、各ノズル列の配置がさらに高精度に実現できる。もちろん、ノズル列毎に別のノズルプレート20を設けてもよい。なお、ノズルプレート20は、ステンレス鋼(SUS)板やシリコン基板などから構成される。
図10〜図16を用いて、本実施形態に係る流路部材200について詳細に説明する。図10は流路部材200としての第1流路部材210の平面図であり、図11は流路部材200としての第2流路部材220の平面図であり、図12は流路部材200としての第3流路部材230の平面図であり、図13は第3流路部材230の底面図であり、図14は図10〜図13のB−B’線断面図であり、図15は図10〜図13のC−C’線断面図であり、図16は図10〜図15のD−D’線断面図である。なお、図10〜図12はZ2側の平面図であり、図13はZ1側の底面図である。
流路部材200は、インクが流通する流路240が設けられた部材である。本実施形態では、Z方向に積層された3つの第1流路部材(本発明の第1部材に対応する)210、第2流路部材(本発明の第2部材に対応する)220及び第3流路部材(本発明の第3部材に対応する)230と、複数の流路240とを備えている。Z方向において、保持部材120側(図2参照)からヘッド本体110側に向かって、第1流路部材210、第2流路部材220、第3流路部材230の順で積層されている。特に図示しないが、接着剤により第1流路部材210、第2流路部材220及び第3流路部材230は接着固定されているが、このような態様に限定されず、例えばネジなどの固定手段により第1流路部材210、第2流路部材220及び第3流路部材230を一体化してもよい。また、特に材料の限定はないが、例えばSUSなどの金属や樹脂により形成することができる。
流路240は、上流の部材(本実施形態では保持部材120)から供給されるインクが導入される導入流路280と、該インクをヘッドに供給する出口となる接続部290とを両端とする流路である。本実施形態では、4つの流路240が形成されており、各流路240は、一つの導入流路280にインクが供給され、途中で分岐して複数の接続部290からインクがヘッド本体110に供給するように構成されている。
4つの流路240のうち一部は第1流路241、残りは第2流路242とされている。本実施形態では、第1流路241及び第2流路242は2つずつ形成されている。2つの第1流路241のそれぞれを第1流路241a、第1流路241bとする。以降、第1流路241と記載した際には、第1流路241a及び第1流路241bの双方を指しているものとする。第2流路242についても同様である。
第1流路241は、第1導入流路281を備えている。第1導入流路281は、第1流路241のうち、後述する第1分配流路251と、流路部材200よりも上流の流路(本実施形態では保持部材120が有する流路)とを接続する流路である。本実施形態では、2つの第1流路241a及び第1流路241bは、それぞれ第1導入流路281a及び第1導入流路281bを有している。
具体的には、第1導入流路281aは、第1流路部材210のZ2側の表面に設けられた突部212の頂面に開口してZ方向に貫通した貫通孔211と、第2流路部材220のZ方向に貫通した貫通孔221とが連通したものである。第1導入流路281bも同様である。以降、第1導入流路281と記載した際には、第1導入流路281a及び第1導入流路281bを指すものとする。
第2流路242は、第2導入流路282を備えている。第2導入流路282は、第2流路242のうち、後述する第2分配流路252と、流路部材200よりも上流の流路(本実施形態では保持部材120が有する流路)とを接続する流路である。本実施形態では、2つの第2流路242a及び第2流路242bは、それぞれ第2導入流路282a及び第2導入流路282bを有している。
具体的には、第2導入流路282aは、第1流路部材210のZ2側の表面に設けられた突部213の頂面に開口してZ方向に貫通した貫通孔である。第2導入流路282bも同様である。以降、第2導入流路282と記載した際には、第2導入流路282a及び第2導入流路282bを指すものとする。
さらに、導入流路280と記載した際には、上述した4つの導入流路の全てを指しているものとする。なお、導入流路280は、本発明の流入口に相当する。
本実施形態では、図10に示す平面視においては、第1流路部材210の左上隅の近傍に第1導入流路281aが配置され、第1流路部材210の右下隅の近傍に第1導入流路281bが配置されている。また、図10に示す平面視においては、第1流路部材210の右上隅の近傍に第2導入流路282aが配置され、第1流路部材210の左下隅の近傍に第2導入流路282bが配置されている。
第1流路241は、第2流路部材220と第3流路部材230とで形成された第1分配流路251を含む。第1分配流路251は、第1流路241のうち、液体噴射面20aに平行な方向にインクを流通させる一部分である。本実施形態では、2つの第1流路241が形成されているため、第1分配流路251も2つ形成されている。2つの第1分配流路251のそれぞれを第1分配流路251a、第1分配流路251bとする。
第1分配流路251aは、第2流路部材220のZ1側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部231aと、第3流路部材230のZ2側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部231aとを合わせて封止することにより形成されている。第1分配流路251bは、第2流路部材220のZ1側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部231bと、第3流路部材230のZ2側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部231bとを合わせて封止することにより形成されている。
いずれの第1分配流路251a、251bについても、第2流路部材220及び第3流路部材230に分配溝部226a、226b、231a、231bをそれぞれ形成することで、第1分配流路251a、251bそれぞれの断面積を広げ、第1分配流路251a、251bにおける圧力損失を低減させている。なお、第1分配流路251a、251bは、第2流路部材220のみに形成された分配溝部226a、226bにより形成されていてもよいし、又は第3流路部材230のみに形成された分配溝部231a、231bにより形成されていてもよい。例えば、Z2側にある第2流路部材220のみに分配溝部226a、226bを形成することで、後述するように、Xa方向の幅がZ1側からZ2側に向けて狭くなるCOF基板98と、これらの第1分配流路251a、251bとの干渉を防ぎつつ、第1流路241を配置する自由度を向上させることができる。
第1分配流路251aと第1分配流路251bとは、COF基板98が挿通する開口部201(第3開口部235)のX方向における両外側に配置されている。
第2流路242は、第1流路部材210と第2流路部材220とで形成された第2分配流路252を含む。第2分配流路252は、第2流路242のうち、液体噴射面20aに平行な方向にインクを流通させる一部分である。本実施形態では、2つの第2流路242が形成されているため、第2分配流路252も2つ形成されている。2つの第2分配流路252のそれぞれを第2分配流路252a、第2分配流路252bとする。
第2分配流路252aは、第1流路部材210のZ1側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部213aと、第2流路部材220のZ2側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部222aとを合わせて封止することにより形成されている。第2分配流路252bは、第1流路部材210のZ1側の表面に形成された分配溝部213bと、第2流路部材220のZ2側の表面にY方向に沿って形成された分配溝部222bを合わせて封止することにより形成されている。
いずれの第2分配流路252a、252bについても、第1流路部材210及び第2流路部材220に分配溝部213a、213b、222a、222bをそれぞれ形成することで、第2分配流路252a、252bそれぞれの断面積を広げ、第2分配流路252a、252bにおける圧力損失を低減させている。なお、第2分配流路252a、252bは、第1流路部材210のみに形成された分配溝部213a、213bにより形成されていてもよいし、又は、第2流路部材220のみに形成された分配溝部222a、222bにより形成されていてもよい。例えば、Z2側にある第1流路部材210のみに分配溝部222a、222bを形成することで、上述した第1分配流路251a、251bと同様に、COF基板98との干渉を防ぎつつ、第2流路242を配置する自由度を向上させることができる。
第2分配流路252aと第2分配流路252bとは、COF基板98が挿通する開口部201(第2開口部225)のX方向における両外側に配置されている。
以降、第1分配流路251と記載した際には、第1分配流路251a及び第1分配流路251bの双方を指しているものとする。第2分配流路252と記載した際には、第2分配流路252a及び第2分配流路252bの双方を指しているものとする。また、分配流路250と記載した際には、上述した4つの分配流路の全てを指しているものとする。
また、本実施形態では、第1流路241は一つの導入流路280から複数の接続部290に分岐するように構成されている。すなわち、第1分配流路251から、複数の第1分岐流路(本発明の第1流路に対応する)261が第1分配流路251と同じ平面(第2流路部材220と第3流路部材230とが接合された境界面)において分岐している。
本実施形態では、液体噴射面20aに平行な平面内(第2流路部材220と第3流路部材230との境界面)において、第1分配流路251から6つの第1分岐流路261が分岐している。第1分配流路251aから分岐した6つの第1分岐流路261のそれぞれを第1分岐流路261a1〜第1分岐流路261a6とする。以降、第1分岐流路261aと記載した際には、第1分岐流路261aに接続された6つの分岐流路の全てを指しているものとする。
同様に、第1分配流路251bから分岐した6つの第1分岐流路261のそれぞれを第1分岐流路261b1〜第1分岐流路261b6とする。以降、第1分岐流路261bと記載した際には、第1分岐流路261bに接続された6つの分岐流路の全てを指しているものとする。さらに、第1分岐流路261と記載した際には、第1分岐流路261a及び第1分岐流路261bに接続された12個の分岐流路の全てを指しているものとする。
なお、図ではY方向に並んだ6つの第1分岐流路261a1〜第1分岐流路261a6のうち、第1分岐流路261a2〜第1分岐流路261a5の符号の図示は省略しているが、Y1側からY2側に順番に並んでいるものとする。第1分岐流路261b1〜第1分岐流路261b6についても同様である。
具体的には、第3流路部材230のZ2側の表面には、分配溝部231aに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部232aが設けられている。第2流路部材220のZ1側の表面には、分配溝部226aに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部227aが設けられている。第1分岐流路261aは、分岐溝部227aと分岐溝部232aとが互いに相対向して封止されることにより形成されている。
第3流路部材230のZ2側の表面には、分配溝部231bに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部232bが設けられている。第2流路部材220のZ1側の表面には、分配溝部226bに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部227bが設けられている。第1分岐流路261bは、分岐溝部227bと分岐溝部232bとが互いに相対向して封止されることにより形成されている。
いずれの第1分岐流路261a、261bについても、第2流路部材220及び第3流路部材230に分岐溝部227a、227b、232a、232bをそれぞれ形成することで、第1分岐流路261a、261bそれぞれの断面積を広げ、第1分岐流路261a、261bにおける圧力損失を低減させている。なお、第1分岐流路261a、261bは、第2流路部材220のみに形成された分岐溝部227a、227bにより形成されていてもよいし、又は、第3流路部材230のみに形成された分岐溝部232a、232bにより形成されていてもよい。例えば、後述するように、Ya方向に傾斜することでZ1側からZ2側に向けてYa方向の幅が広がる領域Qにおいて、Z2側にある第2流路部材220のみに分岐溝部227a、227bを形成することで、COF基板98との干渉を防ぎつつ、第1流路241を配置する自由度を向上させることができる。また、Z2側からZ1側に向けてYa方向の幅が広がる領域Pにおいて、Z1側にある第3流路部材230のみに分岐溝部232a、232bを形成することで、COF基板98との干渉を防ぎつつ、第1流路241を配置する自由度を向上させることができる。
また、第2流路242は一つの導入流路280から複数の接続部290に分岐するように構成されている。詳細は後述するが、第2分配流路252から、複数の第2分岐流路(本発明の第1流路に対応する)262が第2分配流路252と同じ平面(第1流路部材210と第2流路部材220とが接合された境界面)において分岐している。
本実施形態では、液体噴射面20aに平行な平面内(第1流路部材210と第2流路部材220との境界面)において、第2分配流路252から6つの第2分岐流路262が分岐している。第2分配流路252aから分岐した6つの第2分岐流路262のそれぞれを第2分岐流路262a1〜第2分岐流路262a6とする。
同様に、第2分配流路252bから分岐した6つの第2分岐流路262のそれぞれを第2分岐流路262b1〜第2分岐流路262b6とする。
以降、第2分岐流路262aと記載した際には、第2分岐流路262aに接続された6つの分岐流路の全てを指しているものとする。第2分岐流路262bと記載した際には、第2分岐流路262bに接続された6つの分岐流路の全てを指しているものとする。また、第2分岐流路262と記載した際には、第2分岐流路262a及び第2分岐流路262bに接続された12個の分岐流路の全てを指しているものとする。さらに、分岐流路260と記載した際には、上述した24個の分岐流路の全てを指しているものとする。
なお、図ではY方向に並んだ6つの第2分岐流路262a1〜第2分岐流路262a6のうち、第2分岐流路262a2〜第2分岐流路262a5の符号の図示は省略しているが、Y1側からY2側に順番に並んでいるものとする。第2分岐流路262b1〜第2分岐流路262b6についても同様である。
具体的には、第2流路部材220のZ2側の表面には、分配溝部222aに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部223aが設けられている。第1流路部材210のZ1側の表面には、分配溝部213aに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部214aが設けられている。第2分岐流路262aは、分岐溝部214aと分岐溝部223aとが互いに相対向して封止されることにより形成されている。
第2流路部材220のZ2側の表面には、分配溝部222bに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部223bが設けられている。第1流路部材210のZ1側の表面には、分配溝部213bに連通して開口部201側に向けて延設された複数の分岐溝部214bが設けられている。第2分岐流路262bは、分岐溝部214bと分岐溝部223bとが互いに相対向して封止されることにより形成されている。
いずれの第2分岐流路262a、262bについても、第1流路部材210及び第2流路部材220に分岐溝部214a、214b、223a、223bをそれぞれ形成することで、第2分岐流路262a、262bそれぞれの断面積を広げ、第2分岐流路262a、262bにおける圧力損失を低減させている。なお、第2分岐流路262a、262bは、第1流路部材210のみに形成された分岐溝部214a、214bにより形成されていてもよいし、又は、第2流路部材220のみに形成された分岐溝部223a、223bにより形成されていてもよい。例えば、後述するように、Ya方向に傾斜することでZ1側からZ2側に向けてYa方向の幅が広がる領域Qにおいて、Z2側にある第1流路部材210のみに分岐溝部214a、214bを形成することで、COF基板98との干渉を防ぎつつ、第2流路242を配置する自由度を向上させることができる。また、Z2側からZ1側に向けてYa方向の幅が広がる領域Pにおいて、Z1側にある第2流路部材220のみに分岐溝部223a、223bを形成することで、COF基板98との干渉を防ぎつつ、第2流路242を配置する自由度を向上させることができる。
第1分岐流路261には、第1分配流路251とは反対側の端部に第1垂直流路(本発明の第2流路)271が接続されている。具体的には、第3流路部材230をZ方向に貫通した貫通孔として第1垂直流路271が形成されている。
本実施形態では、第1分岐流路261a1〜261a6、第1分岐流路261b1〜261b6のそれぞれに対して1個ずつ、すなわち全体として12個の第1垂直流路271a1〜271a6、第1垂直流路271b1〜271b6が接続されている。
同様に、第2分岐流路262には、第2分配流路252とは反対側の端部に第2垂直流路(本発明の第2流路)272が接続されている。具体的には、第2流路部材220には、Z方向に貫通した貫通孔224が設けられ、第3流路部材230にはZ方向に貫通した貫通孔233が設けられている。これらの貫通孔224及び貫通孔233が連通して第2垂直流路272が形成されている。
本実施形態では、第2分岐流路262a1〜262a6、第2分岐流路262b1〜262b6のそれぞれに対して1個ずつ、すなわち全体として12個の第2垂直流路272a1〜272a6、第2垂直流路272b1〜272b6が接続されている。
以降、第1垂直流路271aと記載した際には、第1垂直流路271a1〜271a6を指し、第1垂直流路271bと記載した際には、第1垂直流路271b1〜271b6を指し、第1垂直流路271と記載した際には、第1垂直流路271a及び第1垂直流路271bの全てを指すものとする。
同様に、第2垂直流路272aと記載した際には、第2垂直流路272a1〜272a6を指し、第2垂直流路272bと記載した際には、第2垂直流路272b1〜272b6を指し、第2垂直流路272と記載した際には、第2垂直流路272a及び第2垂直流路272bの全てを指すものとする。
さらに、垂直流路270と記載した際には、上述した24個の垂直流路の全てを指しているものとする。
なお、図ではY方向に並んだ6つの第1垂直流路271a1〜第1垂直流路271a6のうち、第1垂直流路271a2〜第1垂直流路271a5の符号の図示は省略しているが、Y1側からY2側に順番に並んでいるものとする。第1垂直流路271b1〜第1垂直流路271b6、第2垂直流路272a1〜第2垂直流路272b6、第2垂直流路272b1〜第2垂直流路272b6についても同様である。
上述した垂直流路270は、第3流路部材230のZ1側の開口である接続部290を有している。詳細は後述するが、接続部290は、ヘッド本体110に設けられた導入路44に連通している。
本実施形態では、第1垂直流路271a1〜271a6、第1垂直流路271b1〜271b6は、第3流路部材230のZ1側の開口である第1接続部291a1〜291a6、第1接続部291b1〜291b6をそれぞれ有している。同様に、第2垂直流路272a1〜272a6、第2垂直流路272b1〜272b6は、第3流路部材230のZ1側の開口である第2接続部292a1〜292a6、第2接続部292b1〜292b6をそれぞれ有している。
第1接続部291a1、第1接続部291b1、第2接続部292a1、第2接続部292b1は、6つのヘッド本体110のうちの一つに接続される。その他、第1接続部291a2〜291a6、第1接続部291b2〜291b6、第2接続部292a2〜292a6、第2接続部292b2〜292b6についても同様である。すなわち、一つのヘッド本体110に対して、第1流路241a、第1流路241b、第2流路242a及び第2流路242bが接続されている。
以降、第1接続部291aと記載した際には、第1接続部291a1〜291a6を指し、第1接続部291bと記載した際には、第1接続部291b1〜291b6を指し、第1接続部291と記載した際には、第1接続部291a及び第1接続部291bの全てを指すものとする。
同様に、第2接続部292aと記載した際には、第2接続部292a1〜292a6を指し、第2接続部292bと記載した際には、第2接続部292b1〜292b6を指し、第2接続部292と記載した際には、第2接続部292a及び第2接続部292bの全てを指すものとする。
さらに、接続部290と記載した際には、上述した24個の接続部の全てを指しているものとする。
上述したように、本実施形態に係る流路部材200は、4つの流路240、すなわち第1流路241a及び第1流路241bと、第2流路242a及び第2流路242bとを備えている。そして、各流路240は、インクの入口となる導入流路280から分配流路250までが一本の流路として構成され、分配流路250から分岐流路260に分岐し、垂直流路270及び接続部290を経由して複数のヘッド本体110に接続されている。
本実施形態では、ブラックBk、マゼンタM、シアンC、イエローYの4色のインクを用いる。図示しない液体貯留手段から、シアンCは第1流路241aに、イエローYは第1流路241bに、ブラックBkは第2流路242aに、マゼンタMは第2流路242bに供給される。そして、各色のインクは第1流路241a、第1流路241b、第2流路242a及び第2流路242bを流通し、各ヘッド本体110に供給される。
ここで、分岐流路260と垂直流路270との接続部分について、図17を参照しながら詳細に説明する。
分岐流路260は上述したように、鉛直方向に延びる垂直流路270と交差する方向、本実施形態では、鉛直方向に直交する方向に延びる。ここで、分岐流路260を延ばした流路と垂直流路270を延ばした流路とが交わる部分を接続部分275とすると、接続部分275の鉛直方向上側の面の形状について、分岐流路260を延ばした方向と垂直流路270を延ばした方向とを含む断面を平面視した見た場合に、分岐流路260の面と垂直流路270の面とを接続する面401が曲線になっている。これは、接続部分275の鉛直方向上側における接続する面401に沿って気泡403が流れやすくなり、鉛直方向上側に気泡403が残留するのを防止するためのものである。なお、気泡403の残留を防止できれば、接続部分275の鉛直方向上側の面の形状は曲面に限らず、傾斜面、あるいは連続する複数の傾斜面(多角形状)などで形成されていてもよい。例えば、分岐流路260が延びる方向と垂直流路270が延びる方向とを延長した仮想線が成す角度402よりも大きい角度で、分岐流路260の面と垂直流路270の面とに交差する面で構成されていてもよい。
また、分岐流路260の垂直流路270の近傍には、交差部分410を具備する。交差部分410は、分岐流路260内の流れの方向に沿って、開始位置411から終了位置412までの領域であり、本実施形態では、傾斜面からなる交差する面415を具備する。このような交差する面415を設け、接続部分275に向けて下流側ほど流路断面を小さくすることにより、流速を徐々に高くし、接続部分275での気泡の流れを向上させ、気泡403の滞留を防止することができる。
こうした交差部分410を第1分岐流路261に設けるには、第3流路部材230のZ2側の表面の分岐溝部232a、232bのZ方向の深さを、それぞれ分配溝部231a、231bと連通する側から第1垂直流路271の貫通口が設けられた側に向けて浅くすればよい。具体的には、第3流路部材230のZ2側の表面の分岐溝部232a、232bのZ方向の深さを、それぞれ分配溝部231a、231bと連通する側においては分配溝部231a、231bのZ方向の深さと同じにし、第1垂直流路271の貫通口が設けられた側においてはそれよりも浅くすればよい。交差部分410を第2分岐流路262に設けるには、第3流路部材230に代えて第2流路部材220に対して同様に行えばよい。特に、交差部分410を鉛直方向下側に配置することで、接続部分275の鉛直方向上側における接続する面401に向けての流れを向上させ、接続部分275の鉛直方向上側における接続する面401に沿って気泡403が垂直流路270へ向けて流れる結果、気泡403が残留するのを防止することができる。
さらに、垂直流路270の断面積は、分岐流路260の断面積よりも小さい方が好ましい。その場合には、垂直流路270の流速を向上させ、鉛直方向下側へ向けて気泡403を効果的に流すことができる。加えて、分岐流路260の断面積のうち、交差部分410から接続部分275までの断面積よりも垂直流路270の断面積の方が小さい方が好ましい。垂直流路270の流速をより向上させ、鉛直方向下側へ向けて気泡403をより効果的に流すことができる。
交差する面415は、傾斜の傾き、傾斜面の長さなどを適宜設定することにより、流速の向上、圧力損失の低下の度合い、及び、気泡403の排出性を調整することができる。
また、交差する面415は、傾斜面に限定されず、例えば、図18に示すように階段状の面からなる交差する面415Aとしてもよい。
また、交差部分410は、流路の断面積を変化させるものであればよいので、流路の幅(図17の紙面に直交する方向の寸法)を変更して断面積を変化させるようにしてもよい。
また、交差部分410、すなわち、交差する面415は、分岐流路260の鉛直方向下側に設けるのが好ましいが、上側や側面に設けてもよい。但し、本実施形態のように下側に設けることにより、交差部分410を通過した流れは接続する面401に向かっていくので、接続する面401近傍に気泡403が存在しても、交差部分410を通過した流れにより気泡403は確実に排出されるようになる。また、断面積の広狭を設けるために、図17の奥行き方向の幅を広くしたり狭くしたりする必要がないので、図面の奥行き方向に複数の流路を並べようとした場合に、流路間の間隔を狭くできるという利点もある。すなわち、例えば、第1分岐流路261a1〜第1分岐流路261a6のY方向の間隔を狭くできる。他の分岐流路260についても同様に、Y方向の間隔を狭くできる。
また、このような交差部分410を設けることで、交差部分410までの流路の圧力損失を極力小さくすることができ、全体の圧力損失の低減を図ることができる。すなわち、分配流路250および分岐流路260において、交差部分410までの流路の圧力損失を極力小さくするが、交差部分410で流速を高めて接続部分275での気泡の排出性を向上させており、全体として圧力損失の低減と、気泡排出性の両立を図っている。
分岐流路260及び垂直流路270の組は、上述したように、1つの流路240に本実施形態では6組存在し、導入流路280からそれぞれの組の垂直流路270までの距離は異なっている。流路240のうち、第1流路241a及び第2流路242aの斜視を図19に模式的に示す。
図19に示すように、第1分岐流路261a1〜261a6及び第1垂直流路271a1〜271a6の各組は、第1導入流路281aに連通する第1分配流路251aに連通しており、第1導入流路281aからそれぞれの組の第1垂直流路271a1〜271a6までの距離が異なっている。また、第2分岐流路262a1〜262a6及び第2垂直流路272a1〜272a6の各組は、第2導入流路282aに連通する第2分配流路252aに連通しており、第2導入流路282aからそれぞれの組の第2垂直流路272a1〜272a6までの距離が異なっている。
このような導入流路280からそれぞれの組の垂直流路270までの距離が異なる分岐流路260においては、交差部分410までの圧力損失のバラツキが生じるが、交差部分410の開始位置411及び、又は終了位置412や交差する面415の交差する程度を変更することにより、気泡排出性と共に、交差部分410における圧力損失の低下の程度を変更することができ、分岐流路260間の圧力損失のバラツキを低減することができる。
このような例を模式的に示した図を図20に示す。
図20に示すように、例えば、導入流路280からそれぞれの組の垂直流路270までの距離が異なる分岐流路260の複数の組において、遠い組の方が圧力損失は大きくなる。そこで、この組間における圧力損失のバラツキを低減させるためには、遠い組の交差部分410の開始位置411から垂直流路270までの距離L1(図20(a))が、近い組の交差部分410の開始位置411から垂直流路270までの距離L2(図20(b))よりも小さくなるように、すなわちL1<L2となるように、各組の交差部分410を設ければよい。
あるいは、例えば、遠い組の交差部分410の終了位置412から垂直流路270までの距離L3(図20(a))が、近い組の交差部分410の終了位置412から垂直流路270までの距離L4(図20(b))よりも小さくなるように、すなわちL3<L4となるように、各組の交差部分410を設ければよい。
一方、図19を参照すると、各垂直流路270への流量は一定とする前提とすると、分配流路250の流量及び流速は、分岐の数によって変化する。よって、この分配流路250と接続される各組の分岐流路260における流速のバラツキを低減するためには、分配流路250の断面積を分配点の数に応じて小さくすることで、流速のバラツキを低減することができる。
すなわち、分配流路の導入流路280から最初に分岐する分岐流路までの断面積を最も大きくし、次に分岐する分岐流路までの断面積をそれよりも小さくし、分岐流路毎に段々と断面積を小さくしていくことで、流速のバラツキを低減することができる。
また、図20に示すように、第2分岐流路262は、第1流路部材210及び第2流路部材220との境界面に形成されているが、交差部分410の終了位置412は、第2流路部材220のみで形成され、第1流路部材210や他の部材を用いずに形成されるのが好ましい。すなわち、図21に示すように、終了位置412が第1流路部材210側に位置する交差部分410Bとすると、第1流路部材210への分岐溝部223a、223b、232a、232bだけで交差部分410Bを形成することができず、Z方向に直交する方向に第1流路部材210内を貫通する貫通口を設ける必要があり、加工が難しくなる。また、図示はしないが、第1流路部材210及び他の部材で交差部分を形成すると部品点数が増加してしまい、加工上好ましくない。第2流路部材220及び第3流路部材230との境界面に形成される第1分岐流路261についても同様である。
さらに好ましくは、図22に示すように、交差部分410Cを第1流路部材210のみで形成するとともに、終了位置412が第1流路部材210と第2流路部材22との界面より第2流路部材220側に存在する交差部分410Cとするのがよい。言い換えると、交差部分における流路の断面積を形成する部位は、第1流路部材210と第2流路部材22との界面より第2流路部材220側に位置するのがよい。終了位置412が第1流路部材210と第2流路部材22との界面上にあると、接着面の管理(表面粗さや基準面の管理)が大変となる。例えば、接着面の加工精度を流路表面の加工精度よりも上げる場合には、当該構成になっていないと、同一平面上に、接着面と流路表面とが隣接してしまい、管理が煩雑になり加工が難しくなるという問題が生じる。よって、図22のように、第2分岐流路262の交差部分410Cを第1流路部材210のみで形成する構成が好ましい。第2流路部材220及び第3流路部材230との境界面に形成される第1分岐流路261についても同様である。
また、上述したように、分岐流路260及び分配流路250は、第1流路部材210と第2流路部材220との間と、第2流路部材220と第3流路部材230との間とで、2段に形成されている。
これを模式的に示すと、図23となる。第1段目の流路A1と第2段目の流路A2とを鉛直方向に投影した場合、図23(a)のように、相互に重ならないようにすれば、厚さ方向である鉛直方向の部材寸法を低減することができる。また、図23(b)のように、相互に重なるようにすることで、流路の幅方向であるX方向またはY方向の寸法を低減できる。本発明では、何れの構成を採用してもよい。なお、第1段目の流路A1と第2段目の流路A2とは、いずれも分配流路250であってもよいし、いずれも分岐流路260であってもよい。
さらに、上述した4つの流路240においては、第1段目の流路A1と第2段目の流路A2とで、導入流路280の入口から分配流路250までの距離が異なり、圧力損失にバラツキが生じる。よって、圧力損失のバラツキを低減するために、第1段目の流路A1と第2段目の流路A2との間で導入流路280の流路径や分配流路250の交差部分410までの断面積を変化させるのが好ましい。具体的には、第1流路241の第1分配流路251の交差部分410までの断面積を、第2流路242の第2分配流路252の交差部分410までの断面積よりも大きくしてもよい。また、導入流路280は、気泡を下方に流すために流路をできるだけ小さくするのが好ましいが、導入流路280の長さが長いほど、流路断面積を若干大きくすることで、圧力損失のバラツキを低減することができる。
ここで、流路部材200には、ヘッド本体110に設けられたCOF基板98が挿通する開口部201が設けられている。本実施形態では、第1流路部材210には、Z方向に対して傾斜し、かつ貫通した第1開口部215が形成されている。第2流路部材220には、Z方向に対して傾斜し、かつ貫通した第2開口部225が形成されている。第3流路部材230には、Z方向に対して傾斜し、かつ貫通した第3開口部235が形成されている。
これらの第1開口部215、第2開口部225及び第3開口部235は互いに連通しており、一つの開口部201を構成している。開口部201は、Xa方向に長尺な開口形状を有しており、6個の開口部201がY方向に並設されている。
ここで、図16に示すように、本実施形態に係るCOF基板98は、Z方向においてヘッド本体110に近い一端部である下側端部98cと、Z方向においてヘッド本体110から遠い他端部である上側端部98dとを有している。上側端部98dのXa方向の幅は、下側端部98cのXa方向の幅よりも狭くなるように形成されている。
本実施形態では、COF基板98の第1開口部215及び第3開口部235に挿通された部分はXa方向の幅は一定の矩形状であり、第2開口部225に挿通された部分はZ1側からZ2側に向けてXa方向の幅が狭くなるように形成された台形状に形成されている。
一方、流路部材200の開口部201は、液体噴射面20aに垂直なZ方向においてヘッド本体110に近い第1開口236(すなわち、第3開口部235のZ1側の開口)及びヘッド本体110から遠い第2開口216(すなわち、第1開口部215のZ2側の開口)を有している。
第2開口216は、第1開口236よりもXa方向に狭く形成されている。すなわち、開口部201としては、Z方向のZ1からZ2に向けてXa方向の幅が狭くなっている。具体的には、開口部201は、COF基板98が収容される形状とされており、開口部201のXa方向の幅がCOF基板98のXa方向の幅よりも若干広く形成されている。
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、実施形態1に係る記録ヘッド100は、第1流路241及び第2流路242を有し、それぞれがZ方向に異なる位置で第1分配流路251及び第2分配流路252を有していたが、このような態様に限定されない。例えば、液体噴射面20aに平行な流路は同一平面にのみ設けられた流路部材を備えた記録ヘッドであってもよい。例えば、上述した実施形態であれば、第1流路部材210及び第2流路部材220を備えた流路部材に第2流路のみを設けた記録ヘッドであってもよい。このように、第1流路241と第2流路242とのいずれかを設けない記録ヘッドであれば、記録ヘッド100をZ方向に小型化することができる。
また、実施形態1に係る記録ヘッド100では、第1流路241a,第1流路241b、第2流路242a、第2流路242bに対して、それぞれ導入路44c、44d、44a、44bが接続されていたが、このような態様に限定されない。例えば、第1流路241a、第1流路241bに対して、それぞれ導入路44c、44bが接続され、第2流路242a、242bに対して、それぞれ導入路44a、44dが接続されてもよい。また、この場合に、上述のように第2流路のみを有し、第1流路を有さない記録ヘッドであってもよい。ヘッド本体110の配置などに応じた最適な流路を構成することができる。
また、第1流路部材210及び第2流路部材220を接着して第2流路242を形成し、第2流路部材220及び第3流路部材230を接着して第1流路241を形成したが、第1流路241及び第2流路242を形成する方法はこれらに限られない。例えば、三次元造型が可能な積層造形法により、2つ以上の流路部材を接着することなく一体的に造形してもよい。あるいは、個々の流路部材を三次元造型、金型成形(射出成形等)、切削加工、プレス加工により形成してもよい。
また、流路部材200には、第1流路241として2つの第1流路241a及び第1流路241bを有していたが、2つに限定されず、1本又は3本以上であってもよい。第2流路242についても同様である。
第1分配流路251aは6つの第1分岐流路261aに分岐していたがこれに限定されず、分岐せずに一つのヘッド本体110に接続されていてもよいし、分岐する数も6つに限定されず2つ以上の複数に分岐してもよい。第1分配流路251b、第2分配流路252a及び第2分配流路252bについても同様である。
また、分配流路250の断面積を分配点の数に応じて小さくしたが、小さくせずに一定の断面積としてもよい。さらに、第1段目の流路A1と第2段目の流路A2との間で導入流路280の流路径や分配流路250の交差部分410までの断面積を変化させたが、変化させずに第1段目の流路A1と第2段目の流路A2との間で同じ断面積としてもよい。
さらに、いずれの場合であっても、垂直流路270の断面積が分岐流路260の断面積よりも小さくなるようにすれば、鉛直方向下側へ向けて気泡403をより効果的に流すことができる。
また、第1分配流路251aは、第2流路部材220と第3流路部材230との間で水平にインクを流通させる流路としたがこのような態様に限定されない。すなわち、Z平面に対して傾斜した流路としてもよい。第1分配流路251b、第2分配流路252a及び第2分配流路252bについても同様である。
さらに、第1垂直流路271aは液体噴射面20aに対して垂直に形成されていたがこのような態様に限定されない。すなわち、液体噴射面20aに対して傾斜していてもよい。第1垂直流路271b、第2垂直流路272a及び第2垂直流路272bについても同様である。
流路部材200に形成された開口部201の第2開口216は、第1開口236よりもXa方向の幅が狭くなっている必要はない。第2開口216と第1開口236のXa方向の幅をほぼ等しくし、長方形状のCOF基板98が収容されるような開口部であってもよい。また、逆に、第2開口216は、第1開口236よりもXa方向の幅が広くなっていてもよい。
また、フレキシブル配線基板としてCOF基板98を備えていたが、フレキシブルプリント基板(FPC)であってもよい。
また、実施形態1では、ヘッド本体110をY方向に併設して、複数のヘッド本体110により記録ヘッド100を構成したが、1つのヘッド本体110により記録ヘッド100を構成してもよい。また、ヘッドユニット101に含まれる記録ヘッド100の個数についても特に限定はなく、2個以上を搭載してあってもよいし、一つの記録ヘッド100を単体でインクジェット式記録装置1に搭載してもよい。
また、実施形態1では、保持部材120と流路部材200とを接着剤などにより固定したが、一体化してもよい。すなわち、流路部材200のZ1側に保持部121と足部122とを設けてもよい。これにより、保持部材120をZ方向に積層しない分だけZ方向に小型化できる。また、保持部121が流路部材200に設けられることにより、流路部材200が複数のヘッド本体110を収容できればよく、中継基板140を収容しなくてもよいので、XY方向にも小型化できる。さらに、複数の部材を一体化することで、部品点数を減らすことができる。なお、流路部材200を第1流路部材210、第2流路部材220及び第3流路部材230により構成する場合には、第3流路部材230のZ1側に保持部121と足部122とを設ければよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置1では、ヘッドユニット101が固定されて記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、所謂ライン型記録装置であるが、特にこれに限定されず、ヘッドユニット101や1つ又は複数の記録ヘッド100をキャリッジに搭載して、当該ヘッドユニット101又は記録ヘッド100を記録シートSの搬送方向と交差する主走査方向に移動させると共に、記録シートSを搬送して印刷を行う所謂シリアル型記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッドユニット全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を具備する液体噴射ヘッドユニットにも適用することができる。
また、本発明の配線基板は、液体噴射ヘッドに用いられる場合に限定されず、任意の電子回路等に適用することもできる。