以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷方法の第1の例について、説明をする図である。本例において、この印刷方法は、例えば、塗布部100及び転写部200を備え、転写媒体に塗布したインクを印刷対象物に転写することで印刷を行う印刷装置を用いて行う。尚、インクを転写するとは、例えば、インクで描かれた画像等を転写することである。
図1(a)は、インク塗布部100の構成及び動作の一例を示す。インク塗布部100は、転写媒体10に対してインクの塗布を行う構成であり、インクジェットヘッド102、仮硬化用紫外線照射部104、プラテン106、及びヒータ108を有する。尚、インク塗布部100は、例えば公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を有してよい。
インクジェットヘッド102は、転写媒体10へ向けてインクジェット方式でインク滴を吐出する印刷ヘッドであり、例えば主走査動作及び副走査動作を繰り返すことにより、転写媒体10の各位置へインク滴を吐出する。主走査動作とは、例えば、インクジェットヘッド102が所定の主走査方向へ移動しつつインク滴を吐出する動作である。また、副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する転写媒体10に対して相対的にインクジェットヘッド102が移動する動作である。これにより、インク塗布部100は、転写媒体10にインクを塗布する塗布段階の動作を行い、転写媒体10上にインク層302を形成する。インク層302は、後に転写される画像が描かれたインクの層である。
ここで、本例において、インクジェットヘッド102は、ソルベントUVインクのインク滴を吐出する。ソルベントUVインクとは、例えば、紫外線の照射により重合する物質と、有機溶剤とを含むインクである。また、より具体的に、ソルベントUVインクとは、例えば、紫外線硬化型のモノマー又はオリゴマーと、溶媒である有機溶剤とを含むインクであるとも言える。この場合、有機溶剤は、例えば、水に対して非相溶性の有機溶剤である。また、この有機溶剤は、揮発性有機溶剤であってよい。また、ソルベントUVインクは、例えば、紫外線硬化型インクを有機溶剤で希釈したインクであってよい。
仮硬化用紫外線照射部104は、インク層302におけるインクを仮硬化の状態にまで硬化させるための紫外線光源であり、例えば主走査方向においてインクジェットヘッド102と隣接する位置に配設され、インクジェットヘッド102の主走査動作時に弱い紫外線を照射することにより、転写媒体10上に着弾したインクに対し、インクが完全には硬化しない積算光量の紫外線を照射する。仮硬化用紫外線照射部104は、例えば、図中に破線で示すように、インクジェットヘッド102と共にキャリッジに保持されることにより、主走査動作時において、インクジェットヘッド102と共に移動する。また、仮硬化の状態とは、例えば、インクが完全には硬化せずに、粘度が高まった状態である。より具体的に、仮硬化の状態は、例えば、インクがゲル状になり、転写媒体上において滲みが発生しない粘度にまでインクの粘度が高まった状態であってよい。
尚、本例において、ソルベントUVインクとしては、それぞれ異なる波長の紫外性に応じて硬化する複数種類のモノマー又はオリゴマーを含むインクを用いてもよい。この場合、仮硬化用紫外線照射部104は、例えば、全ての種類のモノマー又はオリゴマーを硬化させずに、一部のモノマー又はオリゴマーのみを硬化させる波長の紫外線を照射してもよい。
プラテン106は、インクジェットヘッド102と対向させて転写媒体10を保持する台状部材である。また、ヒータ108は、転写媒体10を加熱するヒータであり、例えばプラテン106内に配設されることにより、インクジェットヘッド102と対向する位置において、転写媒体10を加熱する。これにより、ヒータ108は、転写媒体10に塗布されたインクを加熱して、インクに含まれる有機溶剤を揮発除去する。ヒータ108による加熱温度は、例えば40〜70℃とすることが好ましい。加熱時間は、例えば5秒以上、5分以下、より好ましくは、1分以下である。
尚、ヒータ108は、例えば、プラテン106内以外の場所に配設されてもよい。この場合、例えば、仮硬化用紫外線照射部104による紫外線の照射によりインクが仮硬化の状態になった後、転写媒体10をヒータ108の位置へ移動させ、ヒータ108により転写媒体10を加熱してもよい。
ここで、本例において、インク塗布部100は、例えば、仮硬化用紫外線照射部104による紫外線の照射と、ヒータ108による転写媒体10の加熱により、転写媒体10に塗布されたインクの粘度を高める増粘段階の動作を行う。これにより、インク塗布部100は、転写媒体10上のインクの粘度を、滲みが発生せず、かつ、転写に適した粘度にまで高める。より具体的に、インク塗布部100は、例えば、増粘段階において、インクの粘度を、少なくとも表面が粘着性を有し、かつ、転写媒体から剥離可能な粘度に高める。また、増粘段階においては、例えば、転写媒体10上でインクの滲みが発生しない粘度にまでインクの粘度を高めることが好ましい。より具体的に、インク塗布部100は、増粘段階において、例えば、25℃において1000mPa・s以上、20000mPa・s以下の粘度、より好ましくは、4000mPa・s以上、5000mPa・s以下の粘度に増粘させることが好ましい。このようにすれば、例えば、インクの状態を転写に適した状態にすることができる。尚、増粘段階でインクの粘度を高める前、より具体的には、例えば、インクジェットヘッド102からインク滴を吐出する時点において、インクの粘度は、例えば3mPa・s以上、20mPa・s以下であってよい。
また、上記のように、本例のインク塗布部100は、増粘段階において、仮硬化用紫外線照射部104及びヒータ108により、インクの粘度を高めている。このように構成すれば、例えば、インクの粘度をより短時間で十分に高めることができる。しかし、本例のようにソルベントUVインクを用いる場合、例えば、仮硬化用紫外線照射部104を用いずに、ヒータ108のみを用いても、増粘段階において、インクの粘度を十分に高めることができる。そのため、インク塗布部100の構成の変形例においては、例えば、仮硬化用紫外線照射部104を省略してもよい。
また、本例において、転写媒体10は、非伸縮性のシート状部材である。この場合、非伸縮性であるとは、例えば、全く伸縮しない場合に限らず、求められる印刷の精度を満たす範囲で、実質的に伸縮しないことであってよい。また、シート状部材とは、例えば、可とう性の平面状部材である。シート状部材は、例えばフィルムや紙等であってよい。転写媒体10としては、例えば、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。また、転写媒体10としては、例えば各種の薄膜や、布地等を用いることも考えられる。
また、インク塗布部100は、複数のインクジェットヘッド102を有してもよい。例えば、インク塗布部100は、CMYKインクの各色のインクをそれぞれ吐出する複数のインクジェットヘッド102を有してもよい。このように構成すれば、例えば、転写媒体10上にカラー印刷等を適切に行うことができる。複数のインクジェットヘッド102は、例えば、主走査方向に並べて配設される。
尚、インク塗布部100が複数のインクジェットヘッド102を有する場合、転写については、例えば1色ずつ順番に行ってもよく、例えば2色ずつ、4色ずつ、6色ずつ等の複数色について同時に行ってもよい。この場合、各回の転写を行う毎に、インク塗布部100は、同時に転写を行う色に対応するインクジェットヘッド102を用いて、塗布段階及び増粘段階の動作を行う。
また、上記のように、インク塗布部100は、例えば公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を有してよい。そのため、インク塗布部100としては、例えば、公知のインクジェットプリンタを用いることも考えられる。この場合、例えば、以下において説明をする転写部200とインクジェットプリンタとを組み合わせることにより、転写媒体に塗布したインクを印刷対象物に転写することで印刷を行う印刷装置としての動作を行う。また、例えば、転写部200の部分のみについて、転写媒体に塗布したインクを印刷対象物に転写することで印刷を行う印刷装置と考えることもできる。
図1(b)、(c)は、転写部200の構成及び動作の一例を示す。転写部200は、転写媒体10上のインクを印刷対象物20へ転写する構成であり、減圧容器202、弾性シート部材204、及びホルダ206を有する。また、これらの構成により、転写部200は、インク塗布部100において行われる増粘段階の後の各段階の動作を行う。また、本例において、転写媒体10からの転写先である印刷対象物20は、転写が行われる被転写面が非平面状の立体物である。
尚、図1(b)、(c)において、印刷対象物20としては、球状体を図示している。しかし、印刷対象物20の形状は、球状に限らず、様々な形状であってもよい。また、図の簡略化のために図示は省略したが、転写部200は、例えば、減圧容器202内で印刷対象物20を保持する保持部材等を更に有してよい。
減圧容器202は、印刷対象物20を内部に収容する真空チャンバである。本例において、減圧容器202は、弾性シート部材204により塞がれる開口部と、減圧容器202内の空気を排気する排気口とを有する容器であり、印刷対象物20における被転写面を開口部の側に向けて、印刷対象物20を保持する。
弾性シート部材204は、弾性を有するシート状部材であり、減圧容器202の開口部を覆うようにして、ホルダ206により保持される。また、本例において、弾性シート部材204は、転写部200において転写媒体10を保持する部材であり、インク層302を印刷対象物20へ向けた状態で、一方の面において、転写媒体10を保持する。より具体的に、転写媒体10は、例えば、弾性シート部材204と重なり、かつ、両者が重なっている領域中の一点で、弾性シート部材204に接着される。この一点は、例えば、弾性シート部材204の略中央部の一点である。弾性シート部材204の略中央部の一点とは、例えば、弾性シート部材204において印刷対象物20と対向している領域内の一点であってよい。
ホルダ206は、弾性シート部材204を保持する保持部材である。本例において、ホルダ206は、例えば、減圧容器202の開口部の縁部に沿った位置で弾性シート部材204の周縁部を保持することにより、弾性シート部材204に減圧容器202の開口部を覆わせる。また、これにより、例えば、減圧容器202内の気圧が大気圧の状態において、弾性シート部材204の平面性を保ち、転写部200の操作性を高める
ここで、このように構成した場合、弾性シート部材204は、減圧容器202の内部と外部との気圧差に応じて、変形する。そのため、例えば減圧容器202の排気口から空気を排気した場合、弾性シート部材204は、減圧容器202の内部の印刷対象物20へ向かって変形する。また、減圧容器202内の空気を十分に排気した場合、弾性シート部材204は、例えば図1(c)に示すように、間に転写媒体10を挟んだ状態で、印刷対象物20の形状に従って変形する。また、この状態において、減圧容器202の外部の大気は、減圧容器202の内外の気圧差により、弾性シート部材204を印刷対象物20へ向かって押圧する。
このように、本例の転写部200は、減圧容器202内の空気を排気を排気することで、印刷対象物20と弾性シート部材204との間に転写媒体10を挟んだ状態で、弾性シート部材204を押圧する。また、これにより、転写部200は、弾性シート部材204を用いて転写媒体10上のインクを印刷対象物20に転写する転写段階の動作を行う。
尚、弾性シート部材204としては、例えば、転写媒体10と重なった状態において、転写媒体10に対して滑性を有する部材を用いることが好ましい。このように構成すれば、例えば、転写媒体10と印刷対象物20とをより適切に密着させることができる。より具体的に、例えば、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムを転写媒体10として用いる場合等において、弾性シート部材204としては、例えば、シリコンゴムシート等を用いることが考えられる。また、転写段階においては、弾性シート部材204を変形させることに加え、例えば、印刷対象物20を保持する保持部材等を移動させることにより、印刷対象物20を弾性シート部材204へ近づけてもよい。このようにすれば、例えば、弾性シート部材204を印刷対象物20へ向かってより適切に押圧できる。
尚、弾性シート部材204としては、シリコンゴム以外に、例えば、フッ素ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ネオプレン、EPDM等のゴム、エラストマー樹脂の単体又はこれらを組み合わせた複合材料等で形成された部材を用いることが考えられる。また、例えば、シリコン樹脂コートされた柔軟性のフィルム等を用いることも考えられる。
本硬化用紫外線照射部208は、印刷対象物20へ転写されたインクを硬化させるための紫外線光源であり、例えば強い紫外線を照射することにより、インクが完全に硬化する積算光量以上の紫外線を照射する。これにより、転写部200は、インクを印刷対象物20に定着させる定着段階の動作を行う。また、定着段階の完了後、最後には、減圧容器202の減圧を解除する。これにより、弾性シート部材204が印刷対象物20から取り除かれ、インク層302において描かれた画像(カラー画像等)の転写が完了する。
以上のように、本例によれば、例えば、インク塗布部100及び転写部200を用い、インク塗布段階、増粘段階、転写段階、及び定着段階等の各段階の動作を行うことができる。また、例えば、転写段階の前にインクの粘度を高めることにより、滲みの発生等を適切に押さえることができる。
また、本例においては、例えば、非伸縮性のシート状部材を転写媒体10として用いることにより、例えば立体物等の印刷対象物20を用いる場合にも、印刷対象物20の形状に従って転写媒体10が伸縮することを適切に防ぐことができる。また、これにより、転写により印刷対象物20に描かれる画像に歪み等が生じることを適切に防ぐことができる。
また、例えば、転写媒体10を直接押圧して転写を行うのではなく、弾性シート部材204と印刷対象物20との間に転写媒体10を挟んで押圧することにより、立体物等の印刷対象物20を用いる場合にも、転写媒体10を伸縮させることなく、印刷対象物20の形状に従って弾性シート部材204を変形させることができる。また、これにより、弾性シート部材204と印刷対象物20との間にある転写媒体10についても、印刷対象物20に適切に密着させることができる。
また、上記のように、本例において、転写媒体10は、例えば、弾性シート部材204に対し、両者が重なっている領域中の一点で接着される。そのため、本例によれば、例えば、転写段階における押圧時において、弾性シート部材204と転写媒体10とが重なった状態で、転写媒体10を伸縮させることなく、弾性シート部材204のみを適切に伸縮させることができる。また、これにより、例えば、転写媒体10については、伸縮させずに、印刷対象物20と適切に密着させることができる。そのため、本例によれば、例えば、印刷対象物20に描かれる画像に歪み等が生じることをより適切に防ぎつつ、高い精度で適切に転写を行うことができる。
また、本例のように、非伸縮性の転写媒体10を用いる場合、上記においても説明をしたように、転写媒体10として、例えば樹脂フィルム等を好適に用いることができる。そのため、例えばゴム等の弾性部材を転写媒体として用いる場合と比べ、使用するインクに合わせて、インクの塗布により適した素材の転写媒体10を選択することができる。また、例えば安価な転写媒体10を使用することが可能になるため、転写媒体10を使い捨てにすること等も考えられる。そのため、例えば、転写媒体のクリーニング等を行うことも不要にすることもできる。
また、インクを転写する場合、一般的に、インクに含まれる気泡の影響で、転写後の画像の品質が低下する場合がある。これに対し、本例の転写段階において、転写媒体10から印刷対象物20へのインクの転写は、減圧容器202内の減圧環境で行う。そのため、例えば転写前の段階でインクに気泡が含まれていた場合にも、減圧環境により、インク中の気泡を適切に除去できる。従って、本例によれば、例えば、インク中の気泡の影響で転写後の画像の品質が低下すること等も適切に防ぐことができる。
また、本例においては、例えば、転写時の押圧の圧力により、転写後のインクを平坦化することができる。そのため、本例によれば、例えば、転写後の画像の光沢性を適切に高めることもできる。尚、光沢感を出すのではなく、例えばマット感のある画像を印刷したい場合には、例えば、転写媒体10の表面をマット状にしてもよい。
続いて、インク塗布部100及び転写部200の構成について、変形例等を説明する。図1(a)に示した構成において、インク層302の形成は、インクジェットヘッド102から転写媒体10へ直接インク滴を吐出することで行う。しかし、インク塗布部100の変形例においては、例えば、転写媒体10へのインクの塗布についても、転写により行うこと等も考えられる。この場合、例えば、インクジェットヘッド102により一旦他の媒体へインク滴を吐出することで、他の媒体上にインク層302を形成し、その後、インク層302を他の媒体から転写媒体10へ転写すること等が考えられる。
また、図1(c)に示した構成において、本硬化用紫外線照射部208は、例えば、弾性シート部材204が印刷対象物20に向かって押圧されているタイミングにおいて、弾性シート部材204及び転写媒体10を挟んで印刷対象物20と対向する位置から、紫外線を照射する。しかし、転写部200の構成の変形例においては、例えば、転写段階の終了後、例えば弾性シート部材204及び転写媒体10を印刷対象物20から離した後に、印刷対象物20へ直接紫外線を照射してもよい。
また、図1(b)、(c)においては、弾性シート部材204と転写媒体10との位置関係について、図示の便宜上、図中において転写媒体10が弾性シート部材204の下側に保持されている構成を示している。また、図中の上下は、例えば重力方向の上下と同じであってよい。この場合、例えば、印刷対象物20へ向かう方向の重力が転写媒体10及び弾性シート部材204に加わるため、転写段階において、弾性シート部材204等を印刷対象物20の側へより適切に変形させることができる。
また、図中の上下は、例えば、重力方向の上下と反対であってもよい。例えば、重力方向において、弾性シート部材204の上側に転写媒体10が保持される。そのため、例えば弾性シート部材204と転写媒体10とを一点のみで接着する場合にも、より高い精度でより適切に転写媒体10を保持できる。
また、転写媒体10に塗布するインクについて、ソルベントUVインクに限らず、その他のインクを用いることも考えられる。例えば、インクとして、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクを用いることも考えられる。この場合、インク塗布部100としては、例えば、図1(a)に示した構成からヒータ108を省略した構成を好適に用いることができる。また、転写部200としては、図1(b)、(c)に示した構成と同一又は同様の構成を好適に用いることができる。
また、この場合、増粘段階において、インク塗布部100は、仮硬化用紫外線照射部104により、インクが完全には硬化しない積算光量の紫外線を照射することで、インクを、仮硬化の状態にまで硬化させる。また、定着段階において、転写部200は、印刷対象物20に転写された仮硬化の状態のインクに対して本硬化用紫外線照射部208により紫外線を照射することにより、インクを印刷対象物20に定着させる。
このようにすれば、例えば、紫外線硬化型インクを用いる場合に、増粘段階において、インクの粘度を適切に高めることができる。また、定着段階において、印刷対象物20に適切にインクを定着させることができる。また、これにより、例えば、紫外線硬化型インクを用いて、転写による印刷を、高い精度で適切に行うことができる。
また、インクとして、例えば、ポリマー素材と溶媒とを含むラテックスインクを用いることも考えられる。この場合、インク塗布部100としては、例えば、図1(a)に示した構成から仮硬化用紫外線照射部104を省略した構成を好適に用いることができる。また、転写部200としては、図1(b)、(c)に示した構成に対し、本硬化用紫外線照射部208に代えてヒータを有する構成を好適に用いることができる。
また、この場合、増粘段階において、インク塗布部100は、転写媒体10に塗布されたインクをヒータ108により加熱して、インクに含まれている溶媒の一部を除去し、インクの粘度を高める。また、定着段階において、転写部200は、印刷対象物20に転写されたインクをヒータにより加熱して、インクに含まれている溶媒を更に除去し、インクを印刷対象物20に定着させる。
このようにすれば、例えば、ラテックスインクを用いる場合に、増粘段階において、インクの粘度を適切に高めることができる。また、定着段階において、印刷対象物20に適切にインクを定着させることができる。また、これにより、例えば、ラテックスインクを用いて、転写による印刷を、高い精度で適切に行うことができる。
また、塗布段階において、例えば、複数のインク層を形成すること等も考えられる。この場合、例えば、印刷対象物に転写される画像が描かれたインクの層(以下、画像層という)と、画像層を印刷対象物20に接着するためのインクの層(以下、接着層という)とを形成すること等が考えられる。そこで、続いて、本発明に係る印刷方法の第2の例(以下、第2例という)として、塗布段階において画像層及び接着層を形成する場合の例を説明する。
図2は、印刷方法の第2例について説明をする図である。図2(a)、(b)は、第2例におけるインク塗布部100の構成及び動作の一例を示す。図2(c)、(d)は、第2例における転写部200の構成及び動作の一例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図2において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
第2例において、インク塗布部100は、図1(a)に示した構成におけるインクジェットヘッド102に代えて、インクジェットヘッド102aを有する。また、図1(a)に示した構成における仮硬化用紫外線照射部104に代えて、画像層用紫外線照射部110を有する。更に、第2の例において、インク塗布部100は、インクジェットヘッド102bを更に有する。また、インクジェットヘッド102a、bは、例えば、ソルベントUVインクのインク滴を吐出する。
インクジェットヘッド102aは、印刷対象物20へ転写される画像を描くためのインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド102aは、画像描画用の第1のインクのインク滴を吐出することにより、第1のインクが塗布された画像層である第1のインク層302aを転写媒体10上に形成する。
尚、画像描画用の第1のインクは、例えばCMYKインクの各色のインク等の、有色のインクである。また、インク塗布部100は、例えば、複数のインクジェットヘッド102aを有してもよい。例えば、インク塗布部100は、CMYKインクの各色のインクをそれぞれ吐出する複数のインクジェットヘッド102aを有してもよい。この場合、複数のインクジェットヘッド102aは、例えば、主走査方向に並べて配設される。
画像層用紫外線照射部110は、インクジェットヘッド102aにより形成される第1のインク層302aにおけるインク(第1のインク)を硬化させるための紫外線光源である。画像層用紫外線照射部110は、例えば主走査方向においてインクジェットヘッド102aと隣接する位置に配設され、インクジェットヘッド102aの主走査動作時に紫外線を照射することにより、その主走査動作においてインクジェットヘッド102aから吐出され、転写媒体10上に着弾したインクを硬化させる。
尚、第2例においても、インク塗布部100は、ヒータ108を有する。また、これにより、ヒータ108は、転写媒体10上に着弾した第1のインクから、有機溶剤を揮発除去する。また、第2例において、画像層用紫外線照射部110は、第1のインク層302aにおけるインクが完全に硬化する積算光量以上の紫外線を照射し、インクの硬化を完了させる。更なる変形例において、画像層用紫外線照射部110は、例えば、第1のインク層302aにおけるインクを仮硬化の状態にまで硬化させてもよい。
インクジェットヘッド102bは、第1のインク層302aの上に接着層を形成するためのインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド102bは、接着層形成用の第2のインクのインク滴を第1のインク層302a上に吐出することにより、第2のインクが塗布された接着層である第2のインク層302bを第1のインク層302a上に形成する。
また、インクジェットヘッド102bは、例えば、インクジェットヘッド102a及び画像層用紫外線照射部110と、副走査方向の位置をずらして配設される。これにより、各回の主走査動作において、インクジェットヘッド102bは、インクジェットヘッド102aにより第1のインク層302aが形成されている領域に対し、インク滴を吐出する。また、第2のインク層302bにおけるインクは、画像層用紫外線照射部110による紫外線の照射を受けず、ヒータ108による加熱の影響のみを受ける。ヒータ108は、第1のインク層302a上に着弾した第2のインクから、有機溶剤を揮発除去する。これにより、インク塗布部100は、第2のインク層302bにおける第2のインクについて、完全に硬化はさせずに、転写に適した粘度に粘度を高める。
尚、第2例において、第2のインク層302bは、転写時に印刷対象物20と接するインク層である。また、第2のインク層302bは、第1のインク層302aを覆うように形成されることにより、第1のインク層302aを印刷対象物20に接着する接着層として機能する。第2のインク層302b用の第2のインクとしては、単一色のインクを好適に用いることができる。例えば、第2のインクとしては、無色透明のクリアインク(ソルベントUVインクのクリアインク)等を好適に用いることができる。
以上の動作により、第2例において、インク塗布部100は、インク塗布段階において、転写媒体10上に、画像層である第1のインク層302aと、接着層である第2のインク層302bとを形成する。また、画像層用紫外線照射部110により紫外線を照射することにより、第1のインク層302aにおける第1のインクを完全に硬化させる。また、増粘段階において、ヒータ108により、第2のインク層302bにおける第2のインクの粘度を高める。このようにすれば、例えば、接着層として用いる第2のインク層302bにおいて、転写に適した粘度にインクの粘度を適切に高めることができる。
尚、第2のインクとしては、上記のように、クリアインク等の単一色のインクを用いることができる。そして、この場合、第2のインクについて、色間滲み等の滲みの問題は生じない。そのため、この場合、第2のインクの粘度については、例えば滲みの問題を考慮せず、転写に適した粘度のみを考慮して決めることができる。また、これにより、例えば、弱い紫外線の照射によりインクを仮硬化させること等を行わなくても、短時間の加熱により、インクの粘度を適切かつ十分に高めることができる。増粘段階で高める第2のインクの粘度については、後に更に詳しく説明をする。
また、第2例においても、増粘段階に続き、転写部200により、転写段階及び定着段階の動作を行う。これらの工程については、図2(c)、(d)に示したように、転写媒体10上に複数のインク層302a、bが形成されている点以外は、図1(b)、(c)を用いて説明した構成及び動作と同一又は同様である。そのため、図1(b)、(c)を用いて説明した場合と同一又は同様にして、転写段階及び定着段階等の動作を行うことができる。
以上のように、第2例によれば、接着層である第2のインク層302bと、画像層である第1のインク層302aとを、印刷対象物20に適切に転写し、定着させることができる。また、これにより、例えば、第1のインク層302aにおいて描かれた画像を、印刷対象物20に適切に転写できる。また、この場合、第1のインク層302aについては、例えば、転写の条件等に制限されることなく形成することができる。そのため、第1のインク層302aにおいては、例えば、より高い精度で画像を描くこと等が可能になる。また、これにより、転写による印刷を、より高い精度で適切に行うことができる。
尚、第2例においても、インクとして、ソルベントUVインク以外のインクを用いることもできる。例えば、画像層形成用の第1のインクとして、紫外線硬化型インクを用いてもよい。この場合、例えば、転写段階を行う前に、第1のインクを完全に硬化させてもよい。また、第1のインクとして、ラテックスインクを用いてもよい。この場合、転写段階を行う前に、第1のインクを完全に乾燥させてよい。
また、第2のインクとしても、例えば、紫外線硬化型インクやラテックスインク等を用いてもよい。この場合、増粘段階において、第2のインクについては、ソルベントUVインクを用いる場合と同様に、転写に適した粘度に粘度を高めるのみであり、完全に硬化や乾燥はさせない。これらの場合にも、第1のインク層302aにおいて描かれた画像を、印刷対象物20に適切に転写できる。
続いて、増粘段階で高める第2のインクの粘度について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、接着層となる第2のインク層302bを形成する第2のインクの粘度については、例えば滲みの問題を考慮せず、転写に適した粘度のみを考慮して決めることができる。そのため、例えば滲みの問題を考慮する場合と比べ、増粘後の粘度を低くすることも考えられる。しかし、本願の発明者は、鋭意研究により、増粘後の第2のインクの粘度が低すぎる場合、転写段階における押圧時に第2のインクが印刷領域外等に流失し、転写不良が生じる場合があることが見出した。そこで、本願の発明者は、増粘後の第2のインクの粘度について、好ましい粘度を見出すために、更なる鋭意研究を行い、各種の実験等を行った。
図3は、第2のインクの粘度に関する実験結果を示す。図3(a)は、ヒータ上での転写媒体10の乾燥時間と、インクの流失距離との関係についての実験結果を示すグラフである。
この実験において、ヒータの温度は、65℃とした。また、第2のインクとしては、ソルベントUVインクのクリアインクを用いた。インクの流失距離とは、転写段階における押圧時に生じる第2のインクの流失における、印刷領域外への流失距離である。図からわかるように、乾燥時間を420秒以上とする場合に、インクの流失距離がゼロになる。すなわち、乾燥時間を420秒以上とすれば、第2のインクが印刷領域内のみに存在する状態にできることがわかる。
次に、第2のインクの粘度の制御に必要な情報を得るために、ヒータ上でのインクの粘度を測定した。図3(b)は、乾燥によるインクの減少率に対し、インクの粘度(25℃)と乾燥時間とを示すグラフである。尚、以下に説明をする点を除き、実験条件は、図3(a)を用いて説明をした実験と同じである。
図からわかるように、図3(a)において乾燥時間が420秒になる点は、図3(b)においてインクの減少率が30%になる点に相当する。また、インクの減少率が30%になる点において、インクの粘度は、61mPa・sである。そのため、図3(a)において乾燥時間を420秒以上とした場合と同様に、インクの流失距離をゼロにするためには、インクの粘度を61mPa・s以上にすればよいと言える。
ここで、図3(a)に示したような、乾燥時間と流失距離との関係は、例えばヒータの温度や、インクの種類等に依存するとも考えられる。しかし、図3(a)、(b)から導かれる、インクの粘度と、流失距離との関係は、ヒータの温度やインクの種類に依存せず、一般化できるものと考えられる。
そのため、上記の実験結果から、接着層となる第2のインク層302bを形成する第2のインクの粘度について、増粘段階において、61mPa・s以上にすることが好ましいと言える。このようにすれば、例えば、転写段階における押圧時に第2のインクが印刷領域外等に流失することを適切に防ぐことができる。また、これにより、転写不良が生じることを適切に防ぐことができる。
続いて、本発明に係る印刷方法の更なる変形例について、説明をする。図4は、本発明に係る印刷方法の第3の例(以下、第3例という)について説明をする図である。尚、以下に説明をする点を除き、図4において、図1〜3と同じ符号を付した構成は、図1〜3における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
また、第3例において、塗布段階及び増粘段階は、例えば図1又は図2に示したインク塗布部100と同一又は同様の装置を用い、図1又は図2と同様に行ってよい。図4においては、図示の便宜上、図1を用いて説明した場合と同様に、転写媒体10上に1層のインク層302を形成した場合の例を示す。第3例においても、図2を用いて説明した場合と同様に、転写媒体10上に複数のインク層を形成してもよい。
図4(a)〜(c)は、第3例における転写部200の構成及び動作の一例を示す。図4(a)は、転写部200に印刷対象物20及び転写媒体10を設置した状態の一例を示す。
第3例において、減圧容器202は、第1室402及び第2室404を有する。第1室402及び第2室404のそれぞれは、ホルダ206により保持される弾性シート部材204を境界にして分かれる空間部分である。第1室402は、図1又は図2を用いて説明をした減圧容器202に相当する気密室であり、弾性シート部材204において転写媒体10が保持されている面の側に設けられる。また、第1室402は、内部に印刷対象物20を収容することにより、転写媒体10上のインク層302と、印刷対象物20とを対向させる。
第2室404は、弾性シート部材204において転写媒体10が保持されている面と反対側に設けられる空間部分である。また、第3例において、第2室404は、蓋状部材で囲まれる空間であり、この蓋状部材を第1室402に近づける方向(図中の下側)へ移動させ、弾性シート部材204を覆うことにより、第1室402とは独立に排気排気可能な気密室になる。
図4(b)、(c)は、転写段階及び定着段階における転写部200の動作の一例を示す。上記のように、第3例においては、蓋状部材で弾性シート部材204を覆うことにより、第1室402及び第2室404は、互いに独立に排気可能な気密室になる。より具体的に、第3例において、第1室402及び第2室404のそれぞれは、空気流路406及び空気流路408のそれぞれを介してポンプ等と接続されており、互いに独立に排気可能になっている。
そして、転写段階において、転写部200は、先ず、図4(b)に示すように、空気流路406及び空気流路408の両方から排気を行うことにより、第1室402及び第2室404を、共に減圧する。また、この時点において、第1室402及び第2室404は、圧力が釣り合うように減圧される。そのため、弾性シート部材204の一方側及び他方側の圧力に差は生じない。また、その結果、弾性シート部材204は、両面が受ける圧力差による変形をせずに、初期の状態を保つ。尚、第1室402及び第2室404の減圧は、より具体的に、例えば、70kPa程度にまで行うことが考えられる。
また、第3例の転写段階においては、その後、図4(c)に示すように、第2室404の側のみ減圧を解除し、空気流路408を介して、第2室404へ空気を流入させる。これにより、第2室404内の気圧が高まり、弾性シート部材204の両面が受ける圧力に差が生じる。
また、その結果、弾性シート部材204は変形し、間に転写媒体10を挟んだ状態で、印刷対象物20と接触する。また、弾性シート部材204は、印刷対象物20の形状に従って変形し、印刷対象物20へ向かって転写媒体10を押圧する。これにより、インク層302を構成するインクは、転写媒体10から、印刷対象物20へ転写される。そのため、第3例のように構成した場合も、転写媒体10から印刷対象物20へのインクの転写を、適切に行うことができる。また、この場合も、非伸縮性の転写媒体10を用い、弾性シート部材204と印刷対象物20との間に転写媒体10を挟んで転写を行うことにより、例えば、印刷対象物20に描かれる画像に歪み等が生じることを適切に防ぐことができる。
また、転写段階の後には、本硬化用紫外線照射部208により、インクに紫外線を照射する。これにより、転写後のインクを印刷対象物20に適切に定着させることができる。そのため、第3例においても、転写による印刷を適切に行うことができる。
また、第3例において、本硬化用紫外線照射部208は、例えば、第2室404の外部に配設される。また、第2室404には、例えば、本硬化用紫外線照射部208が照射する紫外線の経路中に、第2室404の気密を保ちつつ紫外線を透過する窓部を有する。このように構成すれば、例えば、第2室404の外部に設けた本硬化用紫外線照射部208により、印刷対象物20上のインクへ、適切に紫外線を照射できる。
また、第3例においては、第2室404の減圧を解除するまでの間、転写媒体10上のインク層302は、減圧された第1室402中において、印刷対象物20へ接触しない状態で保たれる。また、この状態を保つ時間を、必要に応じて、適宜調整することもできる。そのため、第3例のようにすれば、例えば、インク層302と印刷対象物20とが接触する前に、インクに含まれる気泡を適切かつ十分に除去することができる。また、これにより、例えば、インク中の気泡の影響で転写後の画像の品質が低下すること等をより適切に防ぐことができる。
ここで、以上のように、図1〜4を用いて説明をした各構成においては、両面の気圧差により弾性シート部材204を変形させる方法により、転写段階の動作を行った。しかし、転写段階の動作は、例えば、両面の気圧差により弾性シート部材204を変形させる方法以外の方法で行うこともできる。より具体的には、例えば、パッドを用いて弾性シート部材204を押圧する方法により、転写を行うこと等も考えられる。
図5は、本発明に係る印刷方法の第4の例(以下、第4例という)について説明をする図であり、パッドを用いて転写を行う場合の転写部200の構成及び動作の一例を示す。
尚、以下に説明をする点を除き、図5において、図1〜4と同じ符号を付した構成は、図1〜4における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。また、第4例において、塗布段階及び増粘段階は、例えば図1又は図2に示したインク塗布部100と同一又は同様の装置を用い、図1又は図2と同様に行ってよい。図5においては、図示の便宜上、図1を用いて説明した場合と同様に、転写媒体10上に1層のインク層302を形成した場合の例を示す。第4例においても、図2を用いて説明した場合と同様に、転写媒体10上に複数のインク層を形成してもよい。
図5(a)は、転写部200の構成の一例を示す。第4例において、転写部200は、印刷対象物20に向かって弾性シート部材204を押圧するための部材として、弾性シート部材204の両面の気圧差を生じさせるための構成である減圧容器202(図1参照)等に代えて、パッド220を有する。パッド220は、印刷対象物20の形状に従って変形可能な弾性部材で形成されたパッドである。パッド220としては、例えば、ゴムのパッド等を好適に用いることができる。また、例えば、スポンジや、袋に液体、粉体又は気体を入れた物等を用いることも考えられる。
図5(b)は、転写段階及び定着段階における転写部200の動作の一例を示す。第4例の転写段階において、転写部200は、図中に矢印で示すように、印刷対象物20へ向けてパッド220を移動させる。そして、パッド220と印刷対象物20との間に弾性シート部材204及び転写媒体10を挟み、印刷対象物20に向かって弾性シート部材204を押圧する。これにより、パッド220及び弾性シート部材204等は、印刷対象物20の形状に従って変形する。また、パッド220により押圧された弾性シート部材204は、その押圧の圧力により、印刷対象物20へ向かって転写媒体10を押圧する。また、これにより、インク層302を構成するインクは、転写媒体10から、印刷対象物20へ転写される。
そのため、第4例のように構成した場合も、転写媒体10から印刷対象物20へのインクの転写を、適切に行うことができる。また、この場合も、非伸縮性の転写媒体10を用い、弾性シート部材204と印刷対象物20との間に転写媒体10を挟んで転写を行うことにより、例えば、印刷対象物20に描かれる画像に歪み等が生じることを適切に防ぐことができる。
また、転写段階の後には、本硬化用紫外線照射部208により、インクに紫外線を照射する。これにより、転写後のインクを印刷対象物20に適切に定着させることができる。そのため、第4例においても、転写による印刷を適切に行うことができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。