JP2015099049A - 標準ゲージ、三次元測定装置、及び、三次元測定装置のキャリブレーション方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の装置では、高精度の計測を実現するためにキャリブレーションを行っている。具体的には、特許文献1に記載の装置では、第1の平面部と、第1の平面部に平行な第2の平面部とが一方向に交互に配置され、かつ、これら第1の平面部と第2の平面部とに少なくとも6以上の校正用指標が離散して配置された校正用治具(標準ゲージ)を測定対象としてキャリブレーションを行う。
すなわち、上記標準ゲージにパターン光を投光した際の撮像画像から、校正用指標の位置を検出し、検出結果に基づいて、キャリブレーションを行う。
そして、本発明では、第1面及び第2面が、三次元測定を実施する単波長レーザー光の波長に対して所定の第1閾値以上の反射率を有している。このような標準ゲージでは、三次元形状測定を実施する際に、第1面及び第2面に照射されたレーザー光の殆どが標準ゲージに吸収されることなく反射され、精度の高い測定結果を得ることができる。
一方、三次元測定装置のキャリブレーションを実施するには、標準ゲージを三次元測定装置により測定した結果と、より計測精度の高い光学顕微鏡により測定した結果とを対応付ける必要がある。ここで、光学顕微鏡により標準ゲージを撮像、観察し、第1面と第2面との境界を判別するには、第1面及び第2面において輝度差を判別する必要がある。これに対して、本発明では、第1面及び第2面のうち、いずれか一方がレーザー光の波長以外の所定の波長の光に対して第2閾値以上の反射率で、他方が当該光に対して第2閾値未満となる。したがって、光学顕微鏡を用いて標準ゲージの二次元画像を撮像する際に、当該所定波長の光を用いることで、撮像画像から第1面及び第2面の境界を精度よく判別することができる。
本発明の標準ゲージでは、ユニットは、角錐台であり、第1面は多角形状であり、第1面の外周部を構成し、隣接する2辺のそれぞれに少なくとも連続する第2面を有する。
このような構成では、第1面と第2面とが交差する上記2辺が上記境界に相当する。従って、多角形の2辺に対応する直線を境界として検出することができ、境界の検出精度を向上させることができる。また、これら2辺が交わる点(つまり、多角形状の第1面における1つの頂点)を特徴点として検出することができる。この場合、三次元測定装置により測定された特徴点と、光学顕微鏡により得られた特徴点とを対応付けることで高精度なキャリブレーションを実施できる。
また、上記ユニットでは、三角錐台や四角錐台等のように頂点の数がより少ない角錐台を採用することにより、境界の検出精度を低下させることなく、ユニットの形状をより簡易な構成とすることができ、標準ゲージの簡略化を図ることができる。
本発明の標準ゲージでは、基準面と直交する方向に見た平面視において、ユニットが上記第1方向及び第2方向に沿うよう配列されている。このため、複数のユニットの位置関係を用いてキャリブレーションを実施する際に、対応づける特徴点の数を増やすことができ、より高精度なキャリブレーションが実施可能となる。
本発明の標準ゲージでは、基準面に対する高さが異なる複数の平面部を有し、この平面部のそれぞれにユニットが設けられている。このような構成では、各ユニット間で、第1面の基準面に対する高さを異なるようにする際に、ユニットの高さを変えなくてもよい。一般に、標準ゲージとしては、寸法が設計値に近い値であることが望ましく、例えば金属部材を切削、研磨等することで製造される。この場合、同一平面上に、高さが異なる複数のユニットを形成することは、製造上困難となる。これに対して、本発明のように、高さの異なる平面部のそれぞれに、同一高さのユニットを設ける構成では、切削や研磨等により容易に製造が可能となり、製造効率性を向上できる。
また、標準ゲージの二次元画像における、第1面に対応する第1領域と、第2面に対応する第2領域との間の輝度差に基づいて、第1面の外周部の少なくとも一部に対応する、第1領域と第2領域との境界を検出する第2エッジ検出手段と、第2エッジ検出手段による検出結果に基づいて特徴点を検出する第2特徴点検出手段と、を備え、二次元画像に基づいて各ユニットの特徴点を検出している。
このような構成では、点群データに基づく特徴点の検出結果とは別に、標準ゲージを撮像して取得された二次元画像に基づく特徴点の検出結果を取得できる。これらの特徴点をそれぞれ対応付けることで、三次元測定装置のキャリブレーションを実施できる。
また、上述のように、単波長レーザー光を用いて三次元形状測定を実施する際に、第1面及び第2面に照射されたレーザー光の殆どが標準ゲージに吸収されることなく反射され、精度の高い測定結果を得ることができる。
また、上述のように、レーザー光の波長以外の波長を含む光を用いて撮像された当該二次元画像に基づいて境界を判別する際に、第1面及び第2面のいずれか一方の面で、レーザー光の波長以外の波長が反射されず、第1面及び第2面の輝度差が大きくなる。このため、第1面の外周部をより検出し易くできる。従って、第2エッジ検出手段及び第2特徴点検出手段によって、高精度に特徴点を検出することができる。従って、本発明では、高精度なキャリブレーションを実施することができる。
また、標準ゲージを撮像し、二次元画像を取得する二次元画像撮像手段を採用するという簡易な構成を採用し、標準ゲージを撮像した二次元画像を用いて、キャリブレーションを実施できる。すなわち、簡易な構成で高精度のキャリブレーションを実施できる。
本発明においても、ユニットの第1面を多角形とすることで、第1面と第2面との境界を直線とすることができ、直線近似という簡単な方法で、境界に対応する第1近似直線を取得でき、境界を検出できる。
このような構成では、例えば、光切断方式等を採用してスリット光を標準ゲージに投射し、これを一方向に走査した場合に、スリット光の照射位置における複数点の三次元位置が取得できる。これら複数点から、当該照射位置における境界の位置(各辺に対応する2つの境界の位置)を近似的に取得することができる。同様に、異なる交差面に対応する境界の位置を複数取得することで、2つの境界のそれぞれに対して、境界に対応する点を複数取得できる。取得した複数点について第1近似直線を取得でき、境界を検出できる。
ここで、ユニットの第1面を多角形とすることで明暗の境界を略直線状とすることができるので、直線近似という簡単な方法で、境界に対応する第2近似直線を取得し、境界を検出できる。また、このようにして検出された境界に対応する2つの第2近似直線の交点を取得することで、特徴点を検出することができる。以上のように、本発明によれば、直線近似を用いた簡単な処理で特徴点を検出することができる。
また、標準ゲージの二次元画像における、第1面に対応する第1領域と、第2面に対応する第2領域との間の輝度差に基づいて、第1面の外周部の少なくとも一部に対応する、第1領域と第2領域との境界を検出し、検出結果に基づいて特徴点を検出している。このようにして、二次元画像に基づいて各ユニットの特徴点を検出している。
このような構成では、点群データに基づく特徴点の検出結果とは別に、標準ゲージを撮像して取得された二次元画像に基づく特徴点の検出結果を取得できる。これら特徴点を対応付けることで、三次元測定装置のキャリブレーションを実施できる。
また、上述のように、単波長レーザー光を用いて三次元形状測定を実施する際に、第1面及び第2面に照射されたレーザー光が標準ゲージに吸収されることなく反射され、精度の高い測定結果を得ることができる。
また、上述のように、レーザー光の波長以外の波長を含む光を用いて撮像された二次元画像に基づいて境界を判別する際に、第1面及び第2面のいずれか一方の面で、レーザー光の波長以外の波長が反射されず、第1面及び第2面の輝度差が大きくなる。このため、第1面の外周部をより検出し易くでき、高精度に特徴点を検出することができる。従って、本発明では、高精度なキャリブレーションを実施することができる。
また、標準ゲージを撮像し、二次元画像を取得する二次元画像撮像手段を採用するという簡易な構成を採用し、標準ゲージを撮像した二次元画像を用いて、キャリブレーションを実施できる。すなわち、簡易な構成で高精度のキャリブレーションを実施できる。
図1は、本実施形態の三次元測定装置1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の三次元測定装置1は、測定対象の三次元形状を測定するための装置である。三次元測定装置1は、図1に示すように、計測部10と、制御部20と、を備えている。この三次元測定装置1は、制御部20の制御に基づいて、計測部10により測定対象Xの三次元形状を測定するための測定用データを取得し、制御部20は、測定データに基づいて測定対象Xの三次元形状を測定する。また、三次元測定装置1は、後述する標準ゲージを測定した測定結果に基づいて、三次元形状測定結果の誤差を補正するための補正値を設定するキャリブレーションを実施する。
なお、三次元測定装置1は、図示しない、ユーザーの操作を受けつけるための操作部(例えばキーボードやマウス等)や、測定結果等の各種情報を出力する出力部(例えば映像を表示するディスプレイや、データをプリントするプリンター等)を備えている。
三次元測定装置1は、計測部10によって取得された、三次元形状を測定するための測定用データに誤差が存在する場合、当該誤差を校正するキャリブレーションを実施する。
図2は、キャリブレーションの際に測定対象となる標準ゲージ5の一例を示す斜視図である。
標準ゲージ5は、図2に示すように、後述するステージ面11(図1参照)に載置され、基準面を有する基部51と、高さ寸法の異なる複数の平面部52,53,54と、各平面部52,53,54に設けられた複数の突出部55(本発明のユニットに相当)と、を備えている。基部51は、直方体状を有し、基準面としての底面51Aがステージ面11に接触した状態でステージ面11に載置される。なお、図2に示すように、以下、直方体状の基部の底面51Aの長手方向に沿ってX1軸を、X1軸に直交するY1軸を設定し、底面51Aから基部の天面51Bに向かう方向(上方に向かって)にX1軸及びY1軸に直交するZ1軸を設定する。
第1平面部52は、第2平面部53よりも低い位置に存在し、Z1軸方向に沿う側面によって第2平面部53と連続している。第2平面部53は、第3平面部54よりも低い位置に存在し、Z1軸方向に沿う側面によって第3平面部54と連続している。
換言すると、標準ゲージ5は、X1軸方向に中心に向かう(仮想線L1に向かう)につれて、高さが高くなる複数の段部が形成されている。これら各平面部52,53,54は、それぞれ複数の突出部55(図2では3個ずつ)が設けられている。
突出部55は、図3に示すように、三角錐台であり、各平面部52,53,54から突出している。突出部55は、基準面に平行な頂面551と、頂面551に連続する側面552,553,554と、を備えている。
頂面551は、本発明の第1面に相当し、基準面、及び各平面部52,53,54に平行な面である。本実施形態では、頂面551は、辺551A,551B,551Cの3辺によって外周が構成され、辺551A,551Bの長さが等しい、二等辺三角形状である。
側面552は、頂面551と辺551Aを共有し、頂面551に連続する。
側面553は、側面552と同一の形状を有し、頂面551と辺551Bを共有し、頂面551に連続する。
側面554は、頂面551と辺551Cを共有し、頂面551に連続する。
なお、側面552,553,554は、本発明の第2面に相当する。
図4に示すように、頂面551と側面552とは、その成す角αが90度よりも大きい所定の角度となっている。頂面551と側面553との成す角も同様である。
本実施形態では、詳細は後述するが、三次元測定装置1の三次元形状計測手段12における第1光源部121は、単波長(レーザー発振波長)のレーザー光を出射させ、二次元画像撮像手段13の第2光源部131は、白色光源であり、レーザー発振波長以外の波長を多数含む白色光を出射させる。
そして、頂面551及び側面552,553,554は、第1光源部121から出射されたレーザー光のレーザー発振波長に対して所定の第1閾値以上の反射率(例えば80%以上)で反射させる。また、頂面551は、第2光源部から射出された白色光に含まれ、レーザー発振波長以外の所定波長の光に対して、第2閾値以上の反射率(例えば80%以上)で反射させる。一方、側面552,553,554は、第2光源部から射出されたレーザー発振波長以外の所定波長の光に対して、第2閾値未満の反射率(例えば20%未満)で反射させる。
つまり、頂面551は、レーザー発振波長を含む白色光の各波長に対して、高い反射率を有し、側面552,553,554は、レーザー発振波長に対しては高い反射率を有するが、その他の波長の光に対しては低い反射率を有する。
具体的には、頂面551が、銀白色や白色等の色となり、側面552,553,554が第1光源部121のレーザー光の色と近い色に着色されている。例えば、レーザー光が青色レーザー光であれば、側面552,553,554は、青系色に着色される。
上述のように、頂面551及び側面552,553は、単波長レーザー光に対して所定の第1閾値以上の反射率(例えば80%以上)を有している。従って、図5(A)に示すように、単波長レーザー光による輝線位置における輝度は、頂面551及び側面552(側面553)において、入射光量の80%以上の反射光量に対応する輝度を示し、略同一の値となっている。
一方、側面552,553は、第2光源部131から射出されたレーザー発振波長以外の所定波長の光に対して、第2閾値未満の反射率(例えば20%未満)を有している。このため、側面552,553では、レーザー発振波長以外の所定波長の光の反射光量が20%未満となる。一方、頂面551では、レーザー発振波長以外の所定波長の光の反射率は、少なくとも第2閾値以上であり(例えば第1閾値以上であり)、当該波長における反射光量が20%以上となる。従って、図5(B)に示すように、第2光源部131からの光による頂面551の輝度は、側面552(側面553)における輝度よりも大きくなっている。
換言すると、頂点Pは、頂面551、側面552、及び側面553が交差する頂点である。
また、Z1−X1平面に沿って、仮想線L1に向かって斜め上方から標準ゲージ5を見たときに、頂面551、側面552、側面553、及び頂点Pが見えるように、突出部55が、各平面部52,53,54に配置されている。
また、突出部55は、基準面に向かって、基準面と直交する方向に標準ゲージを見た平面視において、X1軸方向及びY1軸方向に等間隔に配置され、マトリクス状に配置されている。
また、各平面部52,53,54のうち同一の平面部に設けられた突出部55は、頂面551及び頂点Pの高さが同一である。また、異なる平面部間では、頂面551及び頂点Pの高さが異なっている。このように構成された標準ゲージ5は、少なくとも2つの突出部55において、頂面551及び頂点Pの高さが互い異なっている。
すなわち、金属材料を用いて、複数の平面部52,53,54のそれぞれに複数の三角錐が配置された中間構造体を形成する。そして、中間構造体の表面を、当該金属材料よりも、分光反射率が低い塗料(例えば黒色の塗料)で着色する。その後、上記複数の三角錐の一部を除去(例えば研磨等)して、側面552,553,554とは分光反射率が異なる頂面551を有する三角錐台形状の突出部55を、各平面部52,53,54に形成する。
図1に戻り、三次元測定装置1の構成について説明する。
計測部10は、測定対象Xを載置可能なステージ面11と、ステージ面11に載置された測定対象Xの三次元形状を測定する三次元形状計測手段12と、測定対象Xの二次元画像を撮像する二次元画像撮像手段13と、測定対象Xに対する三次元形状計測手段12及び二次元画像撮像手段13の相対的位置を変更する走査手段14と、を備えている。
ステージ面11は、測定対象Xが載置される面であり、三次元測定装置1における基準面を提供する。すなわち、三次元測定装置1におけるマシン座標系は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を含み、基準面であるステージ面11がXY平面に平行となる。
また、走査手段14は、三次元形状計測手段12及び二次元画像撮像手段13に対して、測定対象Xを載置するステージ面11を移動可能に構成されていてもよい。
第1光源部121は、例えば、スリット光を射出するスリット光源である。スリット光を発生させる光源としては、レーザー光源であり、上述したように、単一のレーザー発振波長(シングルモード)でレーザー光を出射させる。なお、本実施形態では、第1光源部121は、スリット光の中心光軸が、ステージ面11による基準面と略直交するように配置される。
第1撮像部122は、第1光源部121からのスリット光が照射された測定対象Xを撮像し、三次元測定用画像を取得する。第1撮像部122は、撮像光の中心光軸が、第1光源部121からのスリット光の中心光軸に対して所定の角度となるように配置される。光切断法を用いる本実施形態では、スリット光の照射箇所が輝線として可視化される。第1撮像部122は、スリット光による輝線が照射された測定対象Xを撮像し、三次元測定用画像を取得する。第1撮像部122は、三次元測定用画像を制御部20に供給する。
第2光源部131は、例えば、測定対象Xに対して白色光を照射する光源であり、例えば、タングステン光源、LED光源、レーザー光源等の各種の光源を用いることができる。なお、第2光源部131は、頂面551では反射率が高く、側面552及び側面553では反射率が低い波長を少なくとも含む光を出射する。これにより、第2光源部131によって、上述の標準ゲージ5を照明した際に、頂面551と、側面552及び側面553との間で、反射光の光量を異ならしめることができる。
第2撮像部132は、第2光源部131からの光によって照明された測定対象Xを撮像し、キャリブレーション用の二次元画像を取得する。また、第2撮像部132は、第1光源部121からのスリット光の中心光軸に平行な(ステージ面11の基準面に直交する)仮想線に対して、第1撮像部122と線対称となる位置に配置される。この第2撮像部132は、二次元画像を制御部20に供給する。
制御部20は、例えばCPUやメモリー等が組み合わされることで構成され、三次元測定装置1の全体の動作を制御する。この制御部20は、図1に示すように、位置設定手段21と、形状測定用データ取得手段22と、三次元形状取得手段23と、第1エッジ検出手段24と、第1特徴点検出手段25と、二次元画像取得手段26と、第2エッジ検出手段27と、第2特徴点検出手段28と、校正手段29と、記憶手段30と、を備える。
記憶手段30は、三次元測定装置1を制御するための各種データやプログラム等を記憶する。
なお、第1光源部121からのスリット光の照射面が、本発明の仮想交差面に相当する。また、スリット光によって突出部55に形成された輝線が、本発明の交線に相当する。また、上記エッジ点が、本発明における各辺と仮想交差面との交点に相当する。
校正手段29は、第1特徴点検出手段25及び第2エッジ検出手段27のそれぞれで検出された複数の特徴点Pの検出結果に基づいて、三次元形状取得手段23の三次元形状の取得結果を校正する校正条件(補正値)を設定するキャリブレーションを実施する。
以下、三次元測定装置1によるキャリブレーション処理について、図面に基づいて以下に説明する。
図6は、キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。
キャリブレーション処理では、ステージ面11に載置された標準ゲージ5の三次元形状を計測するために、三次元測定装置1は、形状測定用データを取得する(ステップS1)。なお、標準ゲージ5は、標準ゲージ5に設定されたX1軸、Y1軸及びZ1軸が、マシン座標系のX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに一致するように、ステージ面11に載置されている。
例えば、図2において、基準面に対して輝線がY軸(Y1軸)方向に沿うように、第1光源部121にスリット光を照射させる。そして、位置設定手段21は、標準ゲージ5を上方から見た平面視において仮想線L1に一致する位置からX軸(X1軸)方向に輝線が移動するように、走査手段14の制御に基づき、ステージ面11と三次元形状計測手段12との相対的な位置を変更する。
形状測定用データ取得手段22は、三次元形状計測手段12の測定位置が変更される度に、第1撮像部122に標準ゲージ5を撮像させ、三次元測定用画像を取得する。形状測定用データ取得手段22は、このようにして取得した複数の三次元測定用画像を取得順に対応づけた形状測定用データとして記憶手段30に記憶させる。
図7は、輝線が形成されている突出部55の1つを模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示す輝線に基づいて取得された点群データを示すグラフである。なお、図8では、横軸にY座標、縦軸にZ座標の値を示している。なお、図8に示す各点は、Y方向に沿って存在する輝線をX方向に走査させた際の、あるX座標における三次元測定用画像から取得された点群データを構成しており、X座標が同一である。
図7には、ある測定位置(すなわち、輝線のX座標)における、各エッジ点e1,e2を示す。エッジ点e1は辺551Aにおいて、エッジ点e2は辺551Bにおいて、それぞれ輝線が通過する点である。この、第1エッジ検出手段24は、図8に示す走査位置における各測定点の三次元位置に基づいて、各エッジ点e1,e2の位置(座標)を近似的に算出する。本実施形態では、第1エッジ検出手段24は、図8に示すように一例として二次関数F1,F2を用いて近似する。すなわち、頂面551と側面552とに関する複数の測定点に対して、二次関数F1による近似を適用し、例えば当該二次関数F1の底に相当する座標をエッジ点e1の座標とする。同様に、頂面551と側面553とに関する複数の測定点に対して、二次関数F2を適用し、二次関数F2の底に相当する座標をエッジ点e2の座標とする。第1エッジ検出手段24は、複数の測定位置、すなわち、他のX座標に対しても、同様に、各エッジ点e1,e2の位置(座標)を近似的に算出する。
ここで、図9には、第1エッジ検出手段24によって近似的に算出された各測定位置について算出された各エッジ点e1,e2の座標を示す。図9では、横軸をY軸、縦軸をX軸として図示している。
第1エッジ検出手段24は、図9に一例として示すように、複数のエッジ点e1に対して直線近似を適用することにより、辺551Aに対応するエッジE1(第1近似直線)を近似的に算出している。同様に、第1エッジ検出手段24は、複数のエッジ点e2に対して直線近似を適用することにより、辺551Bに対応するエッジE2(第1近似直線)を近似的に算出している。
第1エッジ検出手段24は、上述のようにして、三次元形状取得手段23によって取得された点群データに基づいて突出部55のエッジを検出する。第1エッジ検出手段24は、このエッジの検出を、標準ゲージ5に設けられた複数の突出部55に対して実施する。
具体的には、二次元画像取得手段26は、第2光源部131を点灯させて照明光を出射させ、第2撮像部132に、二次元画像を撮像させ、撮像された二次元画像を取得する。
なお、キャリブレーションを実施する際に、測定対象としてステージ面11に載置された標準ゲージ5が第2撮像部132によって撮像可能な位置となるように、位置設定手段21が走査手段14に標準ゲージ5の位置を設定させる。二次元画像取得手段26は、標準ゲージ5に設けられた複数(少なくとも2以上)の突出部55が、1つの二次元画像に同時に写るように、第2撮像部132の撮像範囲が設定されている。二次元画像取得手段26は、標準ゲージ5に設けられた複数の突出部55が一つの二次元画像に収まるように、第2撮像部132に対する標準ゲージ5の位置を調整するための指令を走査手段14に出力する。
ここで、二次元画像撮像手段13及び二次元画像取得手段26によって二次元画像を取得する際に、例えば共焦点法等の公知の方法を利用することにより、標準ゲージ5の表面の測定点における高さ(Z座標の値)を含む、点群データを取得することができる。
図10は、1つの突出部55を拡大した二次元画像の一例を模式的に示す図である。
上述のように、標準ゲージ5は、頂面551よりも、側面552及び側面553の方が、分光反射率が低くなっている。このため、図10に示すように、分光反射率が相対的に大きい頂面551に対応する第1領域Ar1は、反射率が相対的に小さい側面552及び側面553に対応する第2領域Ar2よりも相対的に明るくなっている。
なお、図10では、一例として、側面552及び側面553は、黒色である場合について図示している。
第2エッジ検出手段27は、第1領域Ar1と、第2領域Ar2との輝度差を利用して、辺551Aに対応するエッジE3(第2近似直線)及び辺551Bに対応するエッジE4(第2近似直線)をそれぞれ検出する。第2エッジ検出手段27は、このようなエッジの検出を複数の突出部55について同様に行う。
ここで、図11は、エッジ周辺の輝度変化及び高さ変化との関係を模式的に示すグラフである。図11(A)はY軸方向におけるエッジ周辺の輝度変化を、図11(B)は高さ変化を示す。標準ゲージ5は、上述のように、頂面551と側面552とで分光反射率が異なるとともに、エッジにおいて頂面551に連続する側面552はエッジを境に高さが変化している。従って、高さ変化に基づいてエッジを検出する第1エッジ検出手段24と、輝度変化に基づいてエッジを検出する第2エッジ検出手段27とによって、同一のエッジを検出することができる。このため、第1特徴点検出手段25及び第2特徴点検出手段28によって同一の特徴点Pを検出することができる。
校正手段29は、第1特徴点検出手段25及び第2エッジ検出手段27のそれぞれで検出された複数の特徴点Pの検出結果を対応付けることによって、三次元形状取得手段23等の三次元測定装置1の各構成部に対してキャリブレーションを実施させる。
上記のように、本実施形態の標準ゲージ5は、基準面に対して平行な頂面551と、頂面551に対して90度以上の角αを成して連続する側面552,553とを有する複数の突出部55を有している。そして、これら頂面551と、側面552,553との分光反射率が異なっている。
この標準ゲージ5では、頂面551と、側面552,553との境界で高さが変化する。従って、三次元測定装置1は、標準ゲージ5の三次元形状を測定することにより、上記境界における高さ変化に基づいて、頂面551のエッジを検出することができる。
一方、標準ゲージ5では、頂面551と、側面552,553,554との分光反射率が異なる。このため、三次元測定装置1の二次元画像撮像手段13によって撮像された二次元画像において、頂面551に対応する第1領域Ar1は、側面552,553に対応する第2領域Ar2とは異なる輝度となる。従って、三次元測定装置1は、この第1領域Ar1と第2領域Ar2との輝度差に基づいて、頂面551のエッジを高精度に検出することができる。
すなわち、本実施形態の標準ゲージ5は、高さ変化及び輝度変化のそれぞれに基づいてエッジを検出可能に構成されている。これにより、輝度変化に基づいてエッジを検出可能に構成された三次元測定装置1を用いることにより、当該三次元測定装置1において高精度にキャリブレーションを実施可能とする。
一方、本実施形態の標準ゲージ5は、側面552,553が、二次元画像撮像手段13の第2光源部131による光に含まれる、レーザー光の波長以外の所定の波長の光に対して第2閾値未満の反射率を有している。従って、本実施形態では、二次元画像における頂面551と側面552,553との輝度差が大きくなり、頂面551のエッジを高精度に検出できる。
以上から、本実施形態では、点群データに基づくエッジ(特徴点)の検出、及び二次元画像に基づくエッジ(特徴点)の検出を、それぞれ高精度に実施でき、高精度のキャリブレーションを実施できる。
また、頂面551と側面552,553とが交差する頂面551の2辺をエッジとして検出できる。これにより、これら2辺が交わる頂点を特徴点Pとして検出することができる。従って、三次元測定装置1は、高さ変化及び輝度変化のそれぞれに基づいて検出した各特徴点Pを対応付けることで、高精度なキャリブレーションを実施できる。
特に、三角錐台の場合では、頂面551が、四角形や五角形等の頂点が4つ以上の多角形の場合と比べて、頂面551の面積が同程度の場合では、1辺の長さが長い。これにより、頂面551が三角形状の場合、頂点が4つ以上の多角形の場合と比べて、エッジの検出精度を向上させることができ、キャリブレーションの精度を向上させることができる。
また、頂面551を三角形等の多角形とすることで、頂面551と第2面との境界を直線とすることができ、直線近似という簡単な方法で、エッジに対応する近似直線を取得でき、エッジを検出できる。さらに、エッジの交点を検出することで、特徴点Pを検出できる。すなわち、本実施形態では、直線近似を用いた簡単な処理で特徴点Pを検出することができる。
これにより、輝線の照射位置におけるエッジ点e1,e2、及びエッジE1,E2を近似により取得することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態では、標準ゲージ5は、三角錐台形状の突出部55を有する構成としたが、本発明はこれに限定されない。突出部55は、三角錐台に限定されず各種角錐台や円錐台でもよい。突出部が角錐台の場合、頂面が多角形状となるため、上記実施形態と同様に、1つの頂点を特徴点とし、当該頂点を成す2辺を検出することで特徴点を検出することができる。なお、円錐台の場合は、頂面が円となるため、例えば、円の中心を特徴点としてもよく、エッジを検出することで特徴点を検出することができる。
また、突出部55は、錐台に限定されず、角柱や円柱でもよい。この場合、計測部10の各撮像部122,132の撮像方向が、柱状の突出部55の高さ方向に一致してしまうと、頂面と側面とを同時撮像できない可能性があり、上記撮像方向が制限されるおそれがある。これに対して、錐台形状の場合は、高さ方向に一致したとしても上述の不具合の発生を抑制でき、より確実にエッジを検出できる点で好ましい。
例えば、側面552,553,554は、レーザー発振波長に以外の全波長ではなく、少なくとも一部の所定波長に対して低い反射率を示す分光反射特性を有していてもよい。すなわち、二次元画像撮像手段13の第2光源部131からの光に含まれる、レーザー発振波長以外の波長の少なくとも一部の所定波長に対して低い反射率を示す分光反射特性を、側面552,553,554が有していればよい。
また、頂面551と側面552,553,554との分光反射特性が、上述とは逆の関係でもよく、例えば、第2光源部131からの光の一部の所定波長(レーザー発振波長以外の波長)に対して低い反射率を示す分光反射特性を、頂面551が有していればよい。
Claims (9)
- 単波長のレーザー光を対象に照射し、当該対象にて反射された前記レーザー光を測定することで三次元形状を測定する三次元測定装置におけるキャリブレーション用の標準ゲージであって、
基準面に対して平行な第1面、及び、前記第1面の外周部に連続し、前記第1面との成す角が90度以上の第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の双方が、前記レーザー光に対して第1閾値以上の反射率を有し、前記第1面及び前記第2面のうちいずれか一方が、前記レーザー光の波長以外の波長の光に対して第2閾値以上の反射率であり、他方が前記レーザー光の波長以外の光に対して前記第2閾値未満の反射率であるユニットを複数備え、
複数の前記ユニットは、前記第1面の基準面からの高さがそれぞれ異なる
ことを特徴とする標準ゲージ。 - 請求項1に記載の標準ゲージにおいて、
前記ユニットは、角錐台である
ことを特徴とする標準ゲージ。 - 請求項1又は請求項2に記載の標準ゲージにおいて、
前記複数のユニットは、前記基準面と直交する方向に見た平面視において、所定の第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられている
ことを特徴とする標準ゲージ。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の標準ゲージにおいて、
前記基準面からの距離が異なる複数の平面部を有し、
前記ユニットは、前記複数の平面部のそれぞれに設けられている
ことを特徴とする標準ゲージ。 - 単波長のレーザー光を出射する第1光源を有し、対象により反射された前記レーザー光を検出して、前記対象の表面上の複数の測定点である点群データを取得する三次元形状測定手段と、
前記レーザー光の波長以外の波長を少なくとも含む光を出射する第2光源を有し、前記対象により反射された前記第2光源からの光を撮像し、二次元画像を取得する二次元画像撮像手段と、
基準面に対して平行な第1面、及び、前記第1面の外周部に連続し、前記第1面との成す角が90度以上の第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の双方が、前記レーザー光に対して第1閾値以上の反射率を有し、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方が、前記第2光源から出射される光に含まれる前記レーザー光の波長以外の波長の光に対して第2閾値以上の反射率であり、他方が前記第2閾値以下の反射率であるユニットを複数備え、複数の前記ユニットが、前記第1面の前記基準面からの高さがそれぞれ異なる標準ゲージについて取得された前記点群データに基づいて、前記標準ゲージの前記第1面の外周部の少なくとも一部を検出する第1エッジ検出手段と、
前記第1エッジ検出手段による前記外周部の検出結果に基づいて、前記外周部の形状に応じた特徴点を検出する第1特徴点検出手段と、
前記二次元画像における前記第1面に対応する第1領域と、前記第2面に対応する第2領域との間の輝度差に基づいて、前記標準ゲージの前記第1面の外周部の少なくとも一部に対応する、前記第1領域と第2領域との境界を検出する第2エッジ検出手段と、
前記第2エッジ検出手段による前記外周部の検出結果に基づいて前記特徴点を検出する第2特徴点検出手段と、
前記第1特徴点検出手段及び第2特徴点検出手段による前記特徴点の検出結果に基づいて、前記三次元形状測定手段による測定結果を校正する校正手段と、を備えている
ことを特徴とする三次元測定装置。 - 請求項5に記載の三次元測定装置において、
前記ユニットは、多角形状の前記第1面を有し、前記多角形状の前記第1面の頂点の1つが前記特徴点であり、
前記第1エッジ検出手段は、前記特徴点に対応する前記第1面の前記頂点を含む2辺にそれぞれ対応する複数点の位置情報を、前記点群データに基づいて取得し、取得した前記位置情報に基づいて、前記2辺の各辺に対応する第1近似直線を取得し、
前記第1特徴点検出手段は、前記第1エッジ検出手段によって取得された前記2つの第1近似直線の交点を前記特徴点として検出する
ことを特徴とする三次元測定装置。 - 請求項6に記載の三次元測定装置において、
前記第1エッジ検出手段は、前記第1面の前記頂点を含む2辺に交差する複数の仮想交差面と、前記ユニットとのそれぞれの交線を、直線近似又は曲線近似により算出し、算出された各交線に基づいて、前記2辺の各辺と前記仮想交差面との交点の座標を取得し、各交線に対して取得された前記交点の座標から前記第1近似直線を算出する
ことを特徴とする三次元測定装置。 - 請求項5から請求項7のいずれかに記載の三次元測定装置において、
前記ユニットは、多角形状の前記第1面を有し、前記多角形状の前記第1面の頂点の1つが前記特徴点であり、
前記第2エッジ検出手段は、前記特徴点に対応する前記第1面の前記頂点を含む2辺にそれぞれ対応し、前記二次元画像における前記境界を通る第2近似直線を、前記2辺のそれぞれについて取得し、
第2特徴点検出手段は、前記第2エッジ検出手段によって取得された前記2つの第2近似直線の交点を前記特徴点として検出する
ことを特徴とする三次元測定装置。 - 単波長のレーザー光を出射する第1光源を有し、対象により反射された前記レーザー光を検出して、前記対象の表面上の複数の測定点である点群データを取得する三次元形状測定手段と、前記レーザー光の波長以外の波長を少なくとも含む光を出射する第2光源を有し、前記対象により反射された前記第2光源からの光を撮像し、二次元画像を取得する二次元画像撮像手段と、を備える三次元測定装置のキャリブレーション方法であって、
基準面に対して平行な第1面、及び、前記第1面の外周部に連続し、前記第1面との成す角が90度以上の第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の双方が、前記レーザー光に対して第1閾値以上の反射率を有し、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方が、前記第2光源から出射される光に含まれる前記レーザー光の波長以外の波長の光に対して第2閾値以上の反射率であり、他方が前記第2閾値以下の反射率であるユニットを複数備え、複数の前記ユニットが、前記第1面の前記基準面からの高さがそれぞれ異なる標準ゲージについて取得された前記点群データに基づいて、前記標準ゲージの前記第1面の外周部の少なくとも一部を検出し、
前記点群データに基づく前記外周部の検出結果から、前記外周部の形状に応じた特徴点を検出し、
前記二次元画像における前記第1面に対応する第1領域と、前記第2面に対応する第2領域との間の輝度差に基づいて、前記標準ゲージの前記第1面の外周部の少なくとも一部に対応する、前記第1領域と前記第2領域との境界を検出し、
前記輝度差に基づく前記外周部の検出結果から、前記特徴点を検出し、
前記点群データ及び前記輝度差をそれぞれ用いて検出された各特徴点の検出結果に基づいて、前記三次元形状測定手段による測定結果を校正する
ことを特徴とする三次元測定装置のキャリブレーション方法。
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