JP2015095319A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高容量で、充電負荷特性および放電負荷特性が良好なリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】 体積密度Vcが62vol.%以上であり、かつ単位面積当たりの容量が2mAh/cm2以上の正極合剤層を有し、正極活物質1g当たりの初回充電容量をC(mAh/g)としたとき、C2/Vc≧200を満たす正極と、体積密度Vaが62vol.%以上であり、かつ単位面積当たりの容量が2.5mAh/cm2以上の負極合剤層を有し、負極活物質1g当たりの初回放電容量をA(mAh/g)としたとき、A2/Va≧1500を満たす負極と、ガーレー試験により求められる透気度が200sec./100mL以下であり、平均細孔径d(nm)がd/{A2/Va}≰0.039を満たすセパレータとを有しており、(A2/Va)/(C2/Vc)≰30を満たしているリチウムイオン二次電池により、前記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、高容量で、充電負荷特性および放電負荷特性が良好なリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、携帯用電子機器やハイブリッド自動車などに用いるための電池として、急速に開発が進められている。このようなリチウムイオン二次電池では、通常、正極活物質を含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する正極と、負極活物質を含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に有する負極とが使用されている。また、リチウムイオン二次電池の正極活物質には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウム含有複合酸化物が、負極活物質には炭素材料などが、一般に用いられている。
また、リチウムイオン二次電池には、使用機器の高機能化などに伴って、高容量化や各種の電池特性の向上も求められている。
例えば、特許文献1には、負極の活物質層(負極合剤層)の空隙率やセパレータの透気度を特定値とすることで、非水電解液の流通性を高めて、電池の充放電サイクル特性を高める技術が提案されている。
特開2008−66278号公報
ところで、リチウムイオン二次電池の高容量化に関しては、例えば、正極に係る正極合剤層や負極に係る負極合剤層を厚くすることで、電池内における正極活物質や負極活物質の充填量を多くする手法が検討されている。
しかしながら、正極合剤層や負極合剤層を厚くすると、電池の負荷特性が低下してしまうことから、かかる手法によってリチウムイオン二次電池の高容量化を図る場合には、負荷特性も高める技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で、充電負荷特性および放電負荷特性が良好なリチウムイオン二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するものであって、前記正極は、正極活物質を含有し、体積密度Vcが62vol.%以上であり、かつ単位面積当たりの容量が2mAh/cm以上である正極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有しており、対極をLiとし、充電電圧を4.2Vとして測定したときの正極活物質1g当たりの初回充電容量をC(mAh/g)としたとき、下記式(1)を満たし、
/Vc ≧ 200 (1)
前記負極は、負極活物質を含有し、体積密度Vaが62vol.%以上であり、かつ単位面積当たりの容量が2.5mAh/cm以上である負極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有しており、対極をLiとし、放電電圧を0.01Vとして測定したときの負極活物質1g当たりの初回放電容量をA(mAh/g)としたとき、下記式(2)を満たし、
/Va ≧ 1700 (2)
前記セパレータは、ガーレー試験により求められる透気度が200sec./100mL以下であり、前記セパレータの平均細孔径をd(nm)としたとき、下記式(3)を満たし、
d/(A/Va)} ≦ 0.039 (3)
前記正極および前記負極が、下記式(4)
(A/Va)/(C/Vc) ≧ 30 (4)
を満たしていることを特徴とするものである。
本発明によれば、高容量で、充電負荷特性および放電負荷特性が良好なリチウムイオン二次電池を提供することができる。
実施例2、8、9および比較例6〜8のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用したセパレータの透気度との関係を表すグラフである。 実施例2、5〜7および比較例4、5のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した正極のC/Vcとの関係を表すグラフである。 実施例1〜4および比較例1〜3のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した負極のA/Vaとの関係を表すグラフである。 実施例1〜4および比較例1〜3のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルにおけるd/(A/Va)との関係を表すグラフである。 実施例10〜12および比較例6、9、10のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した負極のA/Vaとの関係を表すグラフである。 実施例10〜12および比較例6、9、10のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルにおけるd/(A/Va)との関係を表すグラフである。 実施例9、13〜16および比較例11のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した負極のA/Vaとの関係を表すグラフである。 実施例9、13〜16および比較例11のテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルにおけるd/(A/Va)との関係を表すグラフである。
従来から、リチウムイオン二次電池の負荷特性を高める観点からは、正極−負極間のリチウムイオンの移動速度を大きくすることが好ましいと考えられており、例えば、正極と負極との間に介在するセパレータの透過性を高め(すなわち、ガーレー試験により求められる透気度を小さくして)、セパレータ中をリチウムイオンがよりスムーズに通過できるようにすることが、一般に行われている。
ところが、リチウムイオン二次電池で採用されている正極および負極の組み合わせでは、両者の反応性を比較したときに、正極の方が、より反応性が高い組み合わせの場合が多い。このようなリチウムイオン二次電池において、正極合剤層および負極合剤層を厚くすることで高容量化を図った場合、負荷特性(低負荷での充電容量または放電容量を基準とした場合の、高負荷での充電容量または放電容量の割合)を評価すると、放電負荷特性は、セパレータの透気度を小さくする(透過性を高める)に従って向上する一方で、充電時には、ある程度の範囲ではセパレータの透気度が小さくなるに従って充電負荷特性が向上するものの、その透気度が前記範囲を下回ると充電負荷特性が低下することが、本発明者らの検討により明らかとなった。
また、前記のようにセパレータの透気度を種々変更した以外は同じ構成のリチウムイオン二次電池について、充電時および放電時のリチウムイオンの拡散抵抗を評価すると、放電時のリチウムイオンの拡散抵抗はセパレータの透気度の低下に従って小さくなる一方で、充電時には、ある程度の範囲ではセパレータの透気度が小さくなるに従ってリチウムイオンの拡散抵抗が小さくなるものの、その透気度が前記範囲を下回るとリチウムイオンの拡散抵抗が大きくなることも判明した。
リチウムイオン二次電池の充電負荷特性および放電負荷特性は、それぞれ充電時および放電時のリチウムイオンの拡散抵抗に依存する。すなわち、リチウムイオン二次電池の放電負荷特性については、従来から考えられている通り、セパレータの透過性を高めるに従って向上するが、充電負荷特性は、セパレータの透過性を高めると、ある程度まで向上するものの、その後は透過性の向上と共に低下することになる。
正極と、この正極よりも反応性が低い負極とを組み合わせて構成したリチウムイオン二次電池の負荷特性評価時およびリチウムイオンの拡散抵抗評価時における前記の現象は、下記のような機構によって生じていると推測される。
<(a)透気度が大きいセパレータ(透過性が低いセパレータ)を使用したリチウムイオン二次電池の場合>
このリチウムイオン二次電池について高負荷で充電を行うと、正極から一気に放出されて負極に向かうリチウムイオンの多くが、透過性の低いセパレータによって遮られて停滞する。そのため、例えば、一定時間内に負極に到達できるリチウム数は減少する。この場合、負極は反応性が低く、前記時間内に受け入れ可能なリチウムイオン数は少ないが、その受け入れ可能なリチウムイオン数よりも負極に到達できたリチウムイオン数が少なくなることで、リチウムイオンの受け入れに無理がないため、負極表面の分極は小さくなると考えられる。しかし、負極側でのリチウムイオン数が少ないことで、電気伝導を担うキャリア数が少なくなっているために、充電時の拡散抵抗は大きくなり、充電容量も小さくなると考えられる。
そして、前記充電後のリチウムイオン二次電池について高負荷で放電を行うと、正極は反応性が高く、一定時間内に受け入れ可能なリチウムイオン数が多いため、負極から放出されて正極に到達できたリチウムイオンの受け入れに無理はない。しかし、負極から放出され、正極に向かうリチウムイオンが、ある程度セパレータによって遮られて停滞することで、正極に到達できたリチウムイオン数は更に少なくなっており、電気伝導を担うキャリア数が少ないために、放電時の拡散抵抗も大きくなり、放電容量も小さくなると考えられる。
<(b)前記の負荷特性評価時に充電負荷特性が特に良好となり、かつ前記のリチウムイオンの拡散抵抗評価時に充電時のリチウムイオンの拡散抵抗が特に小さかったリチウムイオン二次電池の場合>
このリチウムイオン二次電池について高負荷で充電を行うと、正極から一気に放出されて負極に向かうリチウムイオンが、ある程度セパレータによって遮られて停滞する。しかし、このリチウムイオン二次電池で使用されているセパレータは、(a)のケースに係るリチウムイオン二次電池で使用されているセパレータよりも透気度が小さい(透過性が良好である)ため、一定時間内に負極に到達できるリチウムイオン数が(a)のケースよりも多くなり、同時間内に負極が受け入れ可能なリチウムイオン数と同程度になっていると考えられる。よって、負極近傍では過不足なくリチウムイオンが反応し、負極でのリチウムイオンの受け入れに無理がないことから、負極表面の分極が小さくなってリチウムイオンの拡散抵抗も小さくなり、充電容量が大きくなると考えられる。
そして、前記充電後のリチウムイオン二次電池について高負荷で放電を行うと、負極から放出されたリチウムイオンのうち、一定時間内に正極に到達できるリチウムイオンの数は、セパレータに遮られてやや減少するが、正極は反応性が高いため、正極に到達したリチウムイオンの受け入れに無理がなく、また、電気伝導を担うキャリア数の減少は、(a)のケースに比べると少ないため、リチウムイオンの拡散抵抗は小さくなり、放電容量も大きくなると考えられる。
<(c)(b)のケースのリチウムイオン二次電池に係るセパレータよりも透気度が小さい(透過性が良好な)セパレータを使用したリチウムイオン二次電池の場合>
このリチウムイオン二次電池について高負荷で充電を行うと、正極から一気に放出されて負極に向かうリチウムイオンに対して、セパレータ通過時にかかる抵抗が小さいことから、一定時間内に負極へ到達できるリチウムイオン数が多くなる。しかしながら、負極の反応性が低いため、前記時間内に負極が受け入れ可能なリチウムイオン数を、負極に到達したリチウムイオン数が超えてしまい、負極での反応が追いつかなくなることで、負極表面の分極が大きくなり、(b)のケースに比べるとリチウムイオンの拡散抵抗が大きくなって、充電容量が小さくなると考えられる。
一方、前記の充電後のリチウムイオン二次電池について高負荷で放電を行うと、負極から放出されたリチウムイオンのうち、一定時間内に正極に到達できるリチウムイオンの数は(b)のケースよりも多くなるが、正極は反応性が高いため、正極に到達したリチウムイオンの受け入れに無理がなく、また、電気伝導を担うキャリア数の減少が(b)のケースよりも少ないため、リチウムイオンの拡散抵抗は更に小さくなり、放電容量も更に大きくなると考えられる。
このように、正極と、この正極よりも反応性が低い負極とを組み合わせて構成したリチウムイオン二次電池では、ガーレー試験によって求められる透気度がより小さく、透過性がより良好なセパレータを使用するほど、正極近傍のリチウムイオン数を増加させ得るため、電気伝導を担うキャリア数を増やしてリチウムイオンの拡散抵抗を小さくさせることができることから、放電負荷特性を高め得る。しかしながら、前記リチウムイオン二次電池の充電負荷特性に関しては、前記の通り、単にセパレータの透気度を小さくして透過性を高めただけでは、却って低下する。
そこで、本発明のリチウムイオン二次電池では、セパレータの透気度の調整によって放電負荷特性を高めつつ、正極および負極の反応性を調整し、かつ負極の反応性に応じた構成のセパレータを採用することで、充電負荷特性の向上も可能としている。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極は、正極活物質を含有する正極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有するものである。そして、正極に係る正極合剤層は、単位面積当たりの容量が2mAh/cm以上と、高容量のものである。
また、正極は、対極をLiとし、充電電圧を4.2Vとして測定したときの正極活物質1g当たりの初回充電容量をC(mAh/g)(以下、「正極の容量C」と省略する場合がある)とし、正極合剤層の体積密度Vc(%)としたときに、下記式(1)を満たすものである。
/Vc ≧ 200 (1)
前記式(1)に係るC/Vcは正極の反応性を表す指標であり、これが前記式(1)で表される関係を満たす場合には、正極の反応性が高く、リチウムイオンの受け入速度が大きいために、電池の放電時に負極から放出されて正極へ到達したリチウムイオンが、正極表面近傍で停滞することなく速やかに正極に吸蔵され得ることから、正極表面での分極を小さくして、放電負荷特性を良好にすることができる。C/Vcの値は450以上であることがより好ましい。
正極合剤層の体積密度Vcは、正極合剤層の表面積、すなわち正極表面の反応面積を大きくすることで、正極の反応性を高めることができることから、小さいほど好ましく、具体的には、80vol.%以下であることが好ましい。ただし、正極合剤層の体積密度が小さすぎると、正極合剤層の空隙率が大きくなりすぎることで、正極合剤層内の電子伝導性が低下する虞がある。よって、正極合剤層の体積密度Vcは、62vol.%以上であり、64vol.%以上であることが好ましい。
本明細書でいう正極合剤層の体積密度Vcは、正極合剤層の見掛けの体積(空隙を含む体積)を100%としたときの、空隙を除く部分の体積割合を百分率で表したものである。具体的には、まず、正極の質量を測定し、その値から正極集電体の質量を引いて求められる正極合剤層の質量を、正極5点の平均厚みから正極集電体の厚みを引いて求められる正極合剤層の厚みに正極合剤層の面積を描けて求められる正極合剤層の体積で除して、正極合剤層の密度Dcを求める。次に、正極合剤層に含まれる全ての材料の真比重と質量比率とから、正極合剤層の真比重Mcを求める。そして、体積密度Vcは、前記の正極合剤層の密度Dと真密度Mとを用いて、下記式によって求められる。
Vc = Dc×100/Mc
例えば、正極活物質:91質量部(真比重4.65)、導電助剤:4.5質量部(真比重2.2)、ポリフッ化ビニリデン(バインダ):4質量部(真比重1.79)、およびポリビニルピロリドン(分散剤):0.5質量部(真比重1.2)を含有し、密度Dc=2.72g/cmの正極合剤層の場合、正極合剤層の真密度Mcは、
Mc=100/(91/4.65+4.5/2.2+4/1.79+0.5/1.2)
=4.12
であり、体積密度Vcは、
Vc=2.72×100/4.12=66(vol.%)
となる。
また、正極活物質1g当たりの初回充電容量Cは、より具体的には、正極を作用極とし、金属Liを対極とし、リチウムイオン二次電池に使用するものと同じ非水電解液を用いてモデルセルを作製し、0.02Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った際に求められる充電容量を、正極の有する正極活物質の質量で除して求められる。
正極合剤層の単位面積当たりの容量は、正極活物質の種類の選択や、正極合剤層の厚みの調整(それに伴う正極合剤層の単位面積当たりの正極活物質の量の調整)によって、前記の値に制御することができる。正極活物質については、その種類毎に固有の容量を有することが知られており、その値も公表されているため、正極合剤層の単位面積当たりの容量の算出に際しては、この値を使用する。また、正極の容量Cも、正極活物質の種類の選択によって制御することができる。
本発明に係る正極に使用し得る正極活物質の具体例としては、例えば、Li1+c(−0.1<c<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、(1−x)LiMnO−xLiMO(0.2<x<0.7、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される固溶体からなる層状酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などを用いることが可能である。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−dCod−eAl(0.1≦d≦0.3、0.01≦e≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiMn3/5Ni1/5Co1/5など)などを例示することができる。正極活物質には、前記例示のもののうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤層には、通常、正極活物質と共に導電助剤およびバインダも含有させる。正極合剤層に係る導電助剤の具体例としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などが挙げられる。また、正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。
正極は、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶剤や水といった溶剤に分散させて正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し、この正極合剤含有組成物を集電体の片面または両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。ただし、正極は、前記の製造方法によって製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法によって製造したものであってもよい。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質を80〜99.8質量%とすることが好ましく、導電助剤を0.1〜10質量%とすることが好ましく、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。
また、正極合剤層の厚みは、正極の単位面積当たりの容量が前記の値となるように調整すればよいが、具体的には、集電体の片面あたり、70〜400μmであることが好ましい。
正極集電体には、アルミニウム製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、アルミニウム箔が用いられる。正極集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極は、負極活物質を含有する負極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有するものである。そして、負極に係る負極合剤層は、単位面積当たりの容量が2.5mAh/cm以上と、高容量のものである。
また、負極は、対極をLiとし、放電電圧を0.01Vとして測定したときの負極活物質1g当たりの初回放電容量をA(mAh/g)(以下、「負極の容量A」と省略する場合がある)としたときに、負極合剤層の体積密度をVa(%)とし、下記式(2)を満たすものである。
/Va ≧ 1700 (2)
前記式(2)に係るA/Vaは負極の反応性を表す指標であり、これが前記式(2)で表される関係を満たす場合には、負極の反応性が比較的高く、リチウムイオンの受け入速度が比較的大きいために、電池の充電時に正極から放出されて負極へ到達したリチウムイオンを、比較的速やかに負極に吸蔵できることから、負極表面での分極を小さくして、充電負荷特性を良好にすることができる。A/Vaの値は1800以上であることがより好ましい。
負極合剤層の体積密度Vaは、負極合剤層の表面積、すなわち負極表面の反応面積を大きくすることで、負極の反応性を高めることができることから、小さいほど好ましく、具体的には、80vol.%以下であることが好ましい。ただし、負極合剤層の体積密度が小さすぎると、負極合剤層内での空隙率が大きくなりすぎることで、負極合剤層内の電子伝導性が低下する虞がある。よって、負極合剤層の体積密度Vaは、62vol.%以上であり、64vol.%以上であることが好ましい。
本明細書でいう負極合剤層の体積密度Vaは、負極合剤層の見掛けの体積(空隙を含む体積)を100%としたときの、空隙を除く部分の体積割合を百分率で表したものである。具体的には、正極合剤層の体積密度Vcを求める場合と同様にして、負極合剤層の密度Daと真比重Maとを求め、下記式を用いて算出する。
Va = Da×100/Ma
また、負極活物質1g当たりの初回放電容量Aは、より具体的には、負極を作用極とし、金属Liを対極とし、リチウムイオン二次電池に使用するものと同じ非水電解液を用いてモデルセルを作製し、0.02Cの電流値で0.01Vまで定電流放電を行った際に求められる放電容量を、負極の有する負極活物質の質量で除して求められる。
負極合剤層の単位面積当たりの容量は、負極活物質の種類の選択や、負極合剤層の厚みの調整(それに伴う負極合剤層の単位面積当たりの負極活物質の量の調整)によって、前記の値に制御することができる。負極活物質については、その種類毎に固有の容量を有することが知られており、その値も公表されているため、負極合剤層の単位面積当たりの容量の算出に際しては、この値を使用する。また、負極の容量Aも、負極活物質の種類の選択によって制御することができる。
本発明に係る負極に使用し得る負極活物質の具体例としては、例えば、黒鉛〔天然黒鉛;熱分解炭素類、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;など〕、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、MCMB、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)や、これらの金属を含む材料(合金、酸化物など);などが挙げられる。負極活物質には、前記例示のもののうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記の負極活物質の中でも、特に電池の高容量化を図るには、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、当該材料を「SiO」という)を用いることが好ましい。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中にSi(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
なお、SiOは導電性が低いことから、例えば、SiOの表面を炭素で被覆して用いてもよく、これにより負極における導電ネットワークを、より良好に形成することができる。
SiOの表面を被覆するための炭素には、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などを使用することができる。
なお、炭化水素系ガスを気相中で加熱し、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、SiO粒子の表面上に堆積する方法[気相成長(CVD)法]で、SiOの表面を炭素で被覆すると、炭化水素系ガスがSiO粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素を含む薄くて均一な皮膜(炭素被覆層)を形成できることから、少量の炭素によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
CVD法で使用する炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱いやすいトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやエチレンガス、アセチレンガスなどを用いることもできる。
CVD法の処理温度としては、例えば、600〜1200℃であることが好ましい。また、CVD法に供するSiOは、公知の手法で造粒した造粒体(複合粒子)であることが好ましい。
SiOの表面を炭素で被覆する場合、炭素の量は、SiO:100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、また、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。
なお、SiOは、他の高容量負極材料と同様に電池の充放電に伴う体積変化が大きいため、負極活物質には、SiOと黒鉛とを併用することが好ましい。これにより、SiOの使用による高容量化を図りつつ、電池の充放電に伴う負極の膨張収縮を抑えて、充放電サイクル特性をより高く維持することが可能となる。
負極活物質にSiOと黒鉛とを併用する場合、負極活物質全量中におけるSiOの割合は、SiOの使用による高容量化効果を良好に確保する観点から0.5質量%以上とすることが好ましく、また、SiOによる負極の膨張収縮を抑制する観点から10質量%以下とすることが好ましい。
負極合剤層には、通常、負極活物質と共にバインダも含有させる。負極合剤層に係るバインダとしては、例えば、正極合剤層に係るバインダとして先に例示した各種バインダと同じものを使用することができる。
また、負極合剤層には、必要に応じて導電助剤を含有させることもできる。負極合剤層に係る導電助剤としては、例えば、正極合剤層に係る導電助剤として先に例示した各種導電助剤と同じものを使用することができる。
負極は、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて使用される導電助剤などを含有する負極合剤を、NMPなどの有機溶剤や水といった溶剤に分散させて負極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し、この負極合剤含有組成物を集電体の片面または両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。ただし、負極は、前記の製造方法によって製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法によって製造したものであってもよい。
負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質を80〜99.8質量%とすることが好ましく、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層における導電助剤の量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
また、負極合剤層の厚みは、負極の単位面積当たりの容量が前記の値となるように調整すればよいが、具体的には、集電体の片面あたり、70〜350μmであることが好ましい。
負極集電体には、集電体には、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。負極集電体の厚みは、5〜30μmであることが好ましい
本発明は、正極の反応性が負極の反応性よりも高いことを前提としたものであり、充電時に正極から放出されるリチウムイオンの速度が速く、負極側の受入れ性に課題がある場合に、これを解決するための手段を提供するものである。具体的には、負極反応性(A/Va)を正極反応性(C/Vc)で除した値が30以下である場合に、本発明の範囲内で正極・負極・セパレータを選択することで、充放電共に、より良好な特性を得ることが可能となる。
また、正極反応性は高い方が、放電負荷特性が良好となる観点からは好ましいが、反応性が高すぎて負極との反応バランスを著しく欠くような場合には、充電負荷特性が低下する。本発明により、セパレータ細孔径のバランスを含めることで、ある程度これを解消し、充電負荷特性を向上させることは可能であるが、セパレータ細孔径として作製可能な範囲にも限界があり、反応性バランスが大きく違いすぎる場合には、充電負荷特性において良好な特性が得られにくくなってしまう。このため、より良い充放電負荷特性を得る上では、負極反応性(A/Va)を正極反応性(C/Vc)で除した値が、3.2以上であることがより好ましい。
前記の正極と前記の負極とは、セパレータを介して積層した積層電極体や、この積層電極体を更に渦巻状に巻回した巻回電極体として、本発明のリチウムイオン二次電池に使用される。
セパレータには、ガーレー試験により求められる透気度、すなわちJIS P 8117に準拠した方法で求められる透気度が、200sec./100mL以下のものを使用する。このように透気度の低い(すなわち、透過性の良好な)セパレータを使用することで、リチウムイオン二次電池の放電負荷特性を高めることができる。セパレータのガーレー試験により求められるセパレータの透気度は、100sec./100mL以下であることが好ましい。
また、セパレータには、その平均細孔径をd(nm)としたときに、下記式(3)の関係を満たすものを使用する。
d/(A/Va) ≦ 0.039 (3)
本発明のリチウムイオン二次電池に係るセパレータには、前記のように透気度が低く透過性が良好なものを使用して、電池の放電負荷特性を高めているが、単に透気度を低くしただけのセパレータを使用すると、前記の通り、電池の充電負荷特性が低下してしまう。しかしながら、セパレータにおける平均細孔径dと負極の反応性を表すA/Vaとが、前記(3)式で表される関係を満たす場合には、セパレータの透気度を前記のように低くしても、電池の充電負荷特性を高めることができる。その理由は、以下の機構によるものと推測される。
リチウムイオン二次電池の高負荷での充電時には、反応性の高い正極から大きな速度でリチウムイオンが放出されるが、単にセパレータの透気度が小さいと、これらのリチウムイオンがセパレータを大きな速度で通過するため、前記(c)のケースで説明した通り、一定時間内に多数のリチウムイオンが負極に到達し、このリチウムイオン数が反応性の低い負極の受け入れ可能数を超えることで、負極表面の分極が大きくなる。
しかし、透気度が低く透過性が良好なセパレータであっても、その細孔径が小さい場合には、正極から大きな速度で放出されたリチウムイオンがセパレータの空孔を通過する際に空孔の壁面へ衝突する回数が、細孔径が大きい場合によりも多くなる。そのため、正極から放出されたリチウムイオンのセパレータの通過速度を下げ得ることから、一定時間内にセパレータを通過して負極へ到達するリチウムイオンの数を減らすことができる。
よって、セパレータにおける平均細孔径dと負極の反応性を表すA/Vaとの関係が特定の範囲を満たすように、セパレータの平均細孔径を負極の反応性に応じた値とすることで、充電時にセパレータを通じて一定時間内に負極に到達するリチウムイオン数を、前記時間内に負極が無理なく受け入れ可能な数となるように制御できるため、負極表面の分極を小さくして、電池の充電負荷特性を高めることができる。
一方、透気度が前記の値であり、かつ平均細孔径dが、負極の反応性を表すA/Vaとの関係で前記(3)式を満たすセパレータを用いたリチウムイオン二次電池において、高負荷で放電した場合の負極からのリチウムイオン放出速度は、負極の反応性が正極よりも低いことから、充電時の正極からの放出速度に比べて小さい。よって、放電時に負極から放出されたリチウムイオンは、空孔の壁面にあまり衝突することなくセパレータを通過できることから、セパレータの平均細孔径dを小さくしても、リチウムイオンのセパレータの通過速度があまり低下しないため、セパレータの透気度を小さくすることで向上した放電負荷特性は、前記(3)式の関係を満たす状況下でも良好に維持される。
セパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、平均細孔径dが前記(3)式の関係を満たしていれば、通常のリチウムイオン二次電池などで使用されているものと同様のセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
ポリオレフィン製微多孔膜には、前記のようなポリオレフィンで構成され、例えば延伸法、すなわち、無機フィラーなどを混合したポリオレフィンを用いて形成したフィルムやシートに、一軸または二軸延伸を施して微細な空孔を形成した後、必要に応じて無機フィラーを除去することで製造されるものなどを用いることができる。また、溶媒による空孔形成法、すなわち、前記例示のポリオレフィンと、他の樹脂やパラフィンとを混合してフィルムやシートとし、その後、前記他の樹脂やパラフィンのみを溶解する溶媒中に、これらのフィルムやシートを浸漬して、前記他の樹脂やパラフィンのみを溶解させて空孔を形成して製造されるものを、ポリオレフィン製微多孔膜として用いることもできる。更に、前記の延伸法と、前記の溶媒による空孔形成法とを組み合わせた方法によって製造されたポリオレフィン製微多孔膜を用いることもできる。
セパレータの平均細孔径dは、リチウムイオン二次電池に使用される負極におけるA/Va値との関係で、前記(3)式を満たす値であればよいが、具体的な値としては、例えば、20nm以上であることが好ましく、35nm以上であることがより好ましく、また、80nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。
本明細書でいうセパレータの平均細孔径dは、JIS K 3832に規定のバブルポイント法に基づいて測定される値である。
セパレータの空孔率は、45%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。このような空孔率を有し、かつ前記の平均細孔径dを有するセパレータであれば、透気度を前記の値とすることができる。ただし、セパレータの空孔率は、高すぎると、セパレータの強度が小さくなる虞があることから、75%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。本明細書でいうセパレータの空孔率は、下記式を用いて求められる値である。
P ={1−(m/t)/(Σa・ρ)}×100
ここで、前記式中、P:セパレータの空孔率(%)、a:全体の質量を1としたときの成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
セパレータの厚みは、15〜25μmであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る非水電解液には、電解質塩を有機溶媒に溶解させた溶液を使用することができる。溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。また、アミンイミド系有機溶媒や、含イオウまたは含フッ素系有機溶媒なども用いることができる。これらの中でも、ECとMECとDECとの混合溶媒が好ましく、この場合、混合溶媒の全容量に対して、DECを15容量%以上80容量%以下の量で含むことがより好ましい。このような混合溶媒であれば、電池の低温特性や充放電サイクル特性を高く維持しつつ、高電圧充電時における溶媒の安定性を高めることができるからである。
非水電解液に係る電解質塩としては、リチウムの過塩素酸塩、有機ホウ素リチウム塩、トリフロロメタンスルホン酸塩などの含フッ素化合物の塩、またはイミド塩などが好適に用いられる。このような電解質塩の具体例としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO2)〔ここで、Rfはフルオロアルキル基を表す。〕などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。これらの中でも、LiPFやLiBFなどが、充放電特性が良好なことからより好ましい。これらの含フッ素有機リチウム塩はアニオン性が大きく、かつイオン分離しやすいので前記溶媒に溶解しやすいからである。溶媒中における電解質塩の濃度は特に限定されないが、通常0.5〜1.7mol/Lである。
また、前記の非水電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。本発明では、Mnを含有するリチウム含有複合酸化物(A)を使用しているが、その表面活性を安定にできることから、硫黄元素を含む添加剤を加えることが特に好ましい。
更に、本発明のリチウムイオン二次電池には、前記の非水電解液に、ポリマーなどの公知のゲル化剤を添加してゲル化したもの(ゲル状電解質)を用いることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、高容量であり、かつ充電負荷特性および放電負荷特性が優れていることから、こうした特性が要求される用途をはじめとして、従来から知られているリチウムイオン二次電池が適用されている各種用途に好ましく用いることができる。
なお、本発明は、負極の反応性が正極の反応性よりも低いことを前提としたものであるが、負極反応性と比較して正極の反応性が低い場合には、本明細書の各関係式において、正極に関するパラメータと負極に関するパラメータとを置き換えることで、同様の改善を行うことが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、本実施例で記載する各種のパラメータは、それぞれ先に述べた手法によって求めたものである。
比較例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiMn1/3Ni1/3Co1/3:93.5質量部、アセチレンブラック:4質量部、PVDF:2質量部およびポリビニルピロリドン(PVP):0.5質量部を、NMPに分散させて正極合剤含有組成物を調製し、これを集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の片面に、単位面積当たりの容量が3.7mAh/cmとなるようにアプリケーターを用いて塗布して乾燥し、プレス処理した後、30×30mmのサイズにカットして、正極を作製した。得られた正極の正極合剤層の厚みは77μmであった。
<負極の作製>
鱗片状黒鉛(日立化成工業社製):97.8質量部、CMC:1.2質量部およびSBR:1質量部を、水:100質量部に分散させて負極合剤含有組成物を調製し、これを集電体となる厚みが8μmの銅箔の片面に、単位面積当たりの容量が4.89mAh/cmとなるようにアプリケーターを用いて塗布して乾燥し、プレス処理した後、35×35mmのサイズにカットして、負極を作製した。得られた負極の負極合剤層の厚みは103.9μmであった。
<モデルセル(リチウムイオン二次電池)の組み立て>
前記の正極と前記の負極とを、セパレータ(厚みが16μmのPE製微多孔膜)を介して積層してラミネートフィルム外装体内に挿入し、非水電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比2:8の混合溶媒に、LiPFを1.2Mの濃度で溶解した溶液)を注入した後にラミネートフィルム外装体を封止して、テストセルを作製した。
実施例1、2および比較例2、3
負極合剤含有組成物を集電体となる銅箔の表面に塗布し乾燥した後のプレス処理条件を変更することで、負極合剤層の体積密度を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、これらの負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例3
鱗片状黒鉛(日立化成工業社製):94.1質量部、表面を炭素(CVD法で形成した炭素)で被覆したSiO(SiOと表面の炭素との質量比が85:15):3.7質量部、CMC:1.2質量部およびSBR:1質量部を、水:100質量部に分散させて負極合剤含有組成物を調製し、これを集電体となる厚みが8μmの銅箔の片面に、単位面積当たりの容量が3.77mAh/cmとなるようにアプリケーターを用いて塗布して乾燥し、プレス処理した後、35×35mmのサイズにカットして、負極を作製した。得られた負極の負極合剤層の厚みは57.7μmであった。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして、テストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例4
負極合剤含有組成物を集電体となる銅箔の表面に塗布し乾燥した後のプレス処理条件を変更することで、負極合剤層の体積密度を表3に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例5、6および比較例4
正極合剤含有組成物を集電体となるアルミニウム箔の表面に塗布し乾燥した後のプレス処理条件を変更することで、正極合剤層の体積密度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、これらの正極を用いた以外は、実施例2と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例7
<正極の作製>
正極活物質であるLiMn:91質量部、アセチレンブラック:4.5質量部、PVDF:4質量部およびポリビニルピロリドン(PVP):0.5質量部を、NMPに分散させて正極合剤含有組成物を調製し、これを集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の片面に、単位面積当たりの容量が2.4mAh/cmとなるようにアプリケーターを用いて塗布して乾燥し、プレス処理した後、30×30mmのサイズにカットして、正極を作製した。得られた正極の正極合剤層の厚みは100.8μmであった。
<モデルセル(リチウムイオン二次電池)の組み立て>
前記の正極と実施例2で作製したものと同じ負極とを、セパレータ(厚みが16μmのPE製微多孔膜)を介して積層してラミネートフィルム外装体内に挿入し、非水電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.2Mの濃度で溶解した溶液)を注入した後にラミネートフィルム外装体を封止して、テストセルを作製した。
比較例5
正極合剤含有組成物を集電体となるアルミニウム箔の表面に塗布し乾燥した後のプレス処理条件を変更することで、正極合剤層の体積密度を表1に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は、実施例7と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例8、9および比較例6〜8
セパレータを、表6に示す透気度および平均細孔径を有するものに変更した以外は、実施例2と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例10および比較例9、10
負極合剤含有組成物を集電体となる銅箔の表面に塗布し乾燥した後のプレス処理条件を変更することで、負極合剤層の体積密度を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。そして、これらの負極と、表6に示す透気度および平均細孔径を有するセパレータとを用いた以外は、実施例1と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例11
セパレータを、表6に示す透気度および平均細孔径を有するものに変更した以外は、実施例3と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例12
セパレータを、表6に示す透気度および平均細孔径を有するものに変更した以外は、実施例4と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例13、14および比較例11
負極合剤含有組成物を集電体となる銅箔の表面に塗布し乾燥した後のプレス処理条件を変更することで、負極合剤層の体積密度を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。そして、これらの負極と、表6に示す透気度および平均細孔径を有するセパレータとを用いた以外は、実施例1と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例15
セパレータを、表6に示す透気度および平均細孔径を有するものに変更した以外は、実施例3と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例16
セパレータを、表6に示す透気度および平均細孔径を有するものに変更した以外は、実施例4と同様にしてテストセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。
実施例および比較例のテストセルに使用した正極の構成を表1および表2に、負極の構成を表3および表4に、セパレータの構成、d/(A/Va)および(A/Va)/(C/Vc)の値を表5および表6に、それぞれ示す。
Figure 2015095319






















Figure 2015095319

















Figure 2015095319





















Figure 2015095319


















Figure 2015095319





















Figure 2015095319
また、実施例および比較例のテストセルについて、以下の方法で充電負荷特性および放電負荷特性を評価した。まず、各テストセルについて、0.2Cの電流値で電圧が4.2Vになるまで充電を行って充電容量(0.2C充電容量)を求め、続いて0.2Cの電流値で電圧が2.5Vになるまで放電を行って放電容量(0.2C放電容量)を求めた。次に、各テストセルについて、2Cの電流値で電圧が4.2Vになるまで充電を行って充電容量(2C充電容量)を求め、続いて2Cの電流値で電圧が2.5Vになるまで放電を行って放電容量(2C放電容量)を求めた。そして、各テストセルの2C放電容量を0.2C放電容量で除した値を百分率で表して容量維持率を算出し、この値を放電負荷特性として評価した。また、各テストセルの2C充電容量を0.2C充電容量で除した値を百分率で表して容量維持率を算出し、この値を充電負荷特性として評価した。すなわち、放電時の前記容量維持率が高いほど、テストセルの放電負荷特性が良好であることを意味し、充電時の前記容量維持率が高いほど、テストセルの充電負荷特性が良好であることを意味している。これらの評価結果を表7および表8に示す。
Figure 2015095319






Figure 2015095319
図1に、実施例2、8、9および比較例6〜8の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用したセパレータの透気度との関係を表すグラフを示している。図1中、横軸がセパレータの透気度であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。そして、グラフでは、実施例のテストセルの放電負荷特性を「○」で、比較例のテストセルの放電負荷特性を「●」で、実施例のテストセルの充電負荷特性を「□」で、比較例のテストセルの充電負荷特性を「■」で、それぞれ表している(図2以降のグラフにおいても、同様である)。すなわち、グラフ中の「●」や「■」は、比較例のテストセルのデータであることを意味しているが、比較例のテストセルの中には、例えば、充電負荷特性が劣っていても放電負荷特性が良好であるものなども含まれているため、「●」や「■」によって表現されていることで、その特性が劣ったものであることを必ずしも意味している訳ではない。
実施例2、8、9および比較例6〜8のテストセルは、正極および負極に同じものを使用しており、セパレータに、透気度(および平均細孔径)が異なるものを用いた例であるが、この図1のグラフから、セパレータの透気度の低下(セパレータの透過性の向上)に伴って、テストセルの放電負荷特性は向上する一方で、充電負荷特性は低下することが分かる。
図2に、実施例2、5〜7および比較例4、5の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した正極の反応性を表す「C/Vc」との関係を表すグラフを示している。図2中、横軸が「C/Vc」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
実施例2、5〜7および比較例4、5のテストセルは、負極およびセパレータに同じものを使用しており、正極に、正極合剤層の体積密度や単位面積当たりの容量、正極活物質1g当たりの初回充電容量Cが異なるものを用いた例である。なお、これらのテストセルで使用した負極は、単位面積当たりの容量が4.89mAh/cm、負極合剤層の体積密度Vaが69.98vol.%、容量Aが370mAh/gのものであり、また、これらのテストセルで使用したセパレータは、透気度が90sec./100mLで、平均細孔径dが72.8μmのものである。
この図2のグラフから、「C/Vc」の向上と共に、テストセルの放電負荷特性はやや向上し、充電負荷特性は特定の範囲内である程度一定である傾向がある一方で、「C/Vc」が特定値を下回ると、テストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が大きく低下していることが分かる。なお、「C/Vc」が最大のテストセルでは、放電負荷特性および充電負荷特性が低下しているが、このテストセルは、正極の体積密度Vcが特定値を下回っている例(比較例4)である。よって、これらの結果から、正極の反応性「C/Vc」と正極合剤層の体積密度とを制御することで、リチウムイオン二次電池の放電負荷特性および充電負荷特性を高く維持できることが分かる。
図3に、実施例1〜4および比較例1〜3の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した負極の反応性を表す「A/Va」との関係を表すグラフを示している。図3中、横軸が「A/Va」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
実施例1〜4および比較例1〜3のテストセルは、正極およびセパレータに同じものを使用しており、負極に、負極合剤層の体積密度や単位面積当たりの容量、負極活物質1g当たりの初回充電容量Aが異なるものを用いた例である。なお、これらのテストセルで使用した正極は、単位面積当たりの容量が3.7mAh/cm、正極合剤層の体積密度Vcが64.7vol.%、容量Cが185mAh/gものであり、また、これらのテストセルで使用したセパレータは、透気度が90sec./100mLで、平均細孔径dが72.8μmのものである。
この図3のグラフから、「A/Va」の向上と共にテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が向上する傾向がある一方で、「A/Va」が特定値を下回ると、テストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が大きく低下していることが分かる。なお、「A/Va」が2250付近のテストセルでは、放電負荷特性および充電負荷特性が低下しているが、このテストセルは、負極の体積密度Vaが特定値を下回っている例(比較例1)である。
また、図4に、実施例1〜4および比較例1〜3の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルにおける「d/(A/Va)」との関係を表すグラフを示している。図4中、横軸が「d/(A/Va)」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
この図4のグラフから、「d/(A/Va)」の低下と共にテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が向上する傾向があることが分かる。なお、「d/(A/Va)」が0.032付近のテストセルでは、放電負荷特性および充電負荷特性が低下しているが、このテストセルは、負極の体積密度Vaが特定値を下回っている例(比較例1)である。
図3および図4に示す結果から、負極の反応性「A/Va」および負極合剤層の体積密度Vaを制御することに加えて、セパレータの平均細孔径dと負極の反応性「A/Va」との関係「d/(A/Va)」を調整することで、リチウムイオン二次電池の放電負荷特性を高めつつ、充電負荷特性も向上させ得ることが分かる。
図5に、実施例10〜12および比較例6、9、10の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した負極の反応性を表す「A/Va」との関係を表すグラフを示している。図5中、横軸が「A/Va」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
実施例10〜12および比較例6、9、10のテストセルは、正極およびセパレータに同じものを使用しており、負極に、負極合剤層の体積密度や単位面積当たりの容量、負極活物質1g当たりの初回充電容量Aが異なるものを用いた例である。なお、これらのテストセルで使用した正極は、単位面積当たりの容量が3.7mAh/cm、正極合剤層の体積密度Vcが64.7vol.%、容量Cが185mAh/gものであり、また、これらのテストセルで使用したセパレータは、透気度が45sec./100mLで、平均細孔径dが79.7μmのものである。
この図5のグラフにおいても、図3のグラフの場合と同様に、「A/Va」の向上と共にテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が向上する傾向がある一方で、「A/Va」が特定値を下回ると、テストセルの放電負荷特性および充電負荷特性の低下の程度が大きくなっていることが分かる。
また、図6に、実施例10〜12および比較例6、9、10の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルにおける「d/(A/Va)」との関係を表すグラフを示している。図6中、横軸が「d/(A/Va)」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
この図6のグラフにおいても、図4のグラフの場合と同様に、「d/(A/Va)」の低下と共にテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が向上する傾向があることが分かる。
図3および図4で評価結果を示した実施例1〜4および比較例1〜3のテストセルとは、透気度および平均細孔径を変更したセパレータを使用した実施例10〜12および比較例6、9、10のテストセルにおいても、図5および図6に示す結果から、負極の反応性「A/Va」および負極合剤層の体積密度Vaを制御することに加えて、セパレータの平均細孔径dと負極の反応性「A/Va」との関係「d/(A/Va)」を調整することで、リチウムイオン二次電池の放電負荷特性を高めつつ、充電負荷特性も向上させ得ることが分かる。
図7に、実施例9、13〜16および比較例11の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルに使用した負極の反応性を表す「A/Va」との関係を表すグラフを示している。図7中、横軸が「A/Va」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
実施例9、13〜16および比較例11のテストセルは、正極およびセパレータに同じものを使用しており、負極に、負極合剤層の体積密度や単位面積当たりの容量、負極活物質1g当たりの初回充電容量Aが異なるものを用いた例である。なお、これらのテストセルで使用した正極は、単位面積当たりの容量が3.7mAh/cm、正極合剤層の体積密度Vcが64.7vol.%、容量Cが185mAh/gものであり、また、これらのテストセルで使用したセパレータは、透気度が60sec./100mLで、平均細孔径dが53.6μmのものである。
この図7のグラフにおいても、図3や図5のグラフの場合と同様に、「A/Va」の向上と共にテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が向上する傾向がある一方で、「A/Va」が特定値を下回ると、テストセルの放電負荷特性および充電負荷特性の低下の程度が大きくなっていることが分かる。
また、図8に、実施例9、13〜16および比較例11の各テストセルについて求められた放電負荷特性および充電負荷特性と、これらのテストセルにおける「d/(A/Va)」との関係を表すグラフを示している。図8中、横軸が「d/(A/Va)」であり、縦軸が放電および充電の負荷特性である。
この図8のグラフにおいても、図4や図6のグラフの場合と同様に、「d/(A/Va)」の低下と共にテストセルの放電負荷特性および充電負荷特性が向上する傾向があることが分かる。
図3および図4で評価結果を示した実施例1〜4および比較例1〜3のテストセルや、図5および図6で評価結果を示した実施例10〜12および比較例6、9、10のテストセルとは、透気度および平均細孔径を変更したセパレータを使用した実施例9、13〜16および比較例11のテストセルにおいても、図7および図8に示す結果から、負極の反応性「A/Va」および負極合剤層の体積密度Vaを制御することに加えて、セパレータの平均細孔径dと負極の反応性「A/Va」との関係「d/(A/Va)」を調整することで、リチウムイオン二次電池の放電負荷特性を高めつつ、充電負荷特性も向上させ得ることが分かる。

Claims (4)

  1. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、正極活物質を含有し、体積密度Vcが62vol.%以上であり、かつ単位面積当たりの容量が2mAh/cm以上である正極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有しており、
    対極をLiとし、充電電圧を4.2Vとして測定したときの正極活物質1g当たりの初回充電容量をC(mAh/g)としたとき、下記式(1)を満たし、
    /Vc ≧ 200 (1)
    前記負極は、負極活物質を含有し、体積密度Vaが62vol.%以上であり、かつ単位面積当たりの容量が2.5mAh/cm以上である負極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有しており、
    対極をLiとし、放電電圧を0.01Vとして測定したときの負極活物質1g当たりの初回放電容量をA(mAh/g)としたとき、下記式(2)を満たし、
    /Va ≧ 1700 (2)
    前記セパレータは、ガーレー試験により求められる透気度が200sec./100mL以下であり、
    前記セパレータの平均細孔径をd(nm)としたとき、下記式(3)を満たし、
    d/(A/Va) ≦ 0.039 (3)
    前記正極および前記負極が、下記式(4)
    (A/Va)/(C/Vc) ≦ 30 (4)
    を満たしていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. /Vcの値が450以上である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. ガーレー試験により求められるセパレータの透気度が100sec./100mL以下である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. d/{A/Va}の値が0.033以下である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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