JP2015094280A - 高圧ポンプ - Google Patents
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この種の高圧ポンプは、下部が取付穴に嵌合した状態でエンジンに取り付けられ、カムシャフトの動力がプランジャの駆動端に伝達される。この取付状態で嵌合部の隙間からのオイル漏れを防止するため、ポンプボディの外壁にOリングが装着されている(例えば特許文献1の図1等参照)。
この高圧ポンプは、プランジャ、シリンダ、ポンプボディ、溝部形成部材及びOリングを備える。
ポンプボディは、軸方向における加圧室と反対側の端面である駆動側端面、及び、駆動側端面の周縁に接続し取付穴に嵌合可能な嵌合外壁を有している。そして、嵌合外壁に、駆動側端面に近い側の外径が駆動側端面から遠い側の外径よりも小さくなっている段部が形成されている。
溝部形成部材は、駆動側端面の側から前記嵌合外壁に外挿され、ポンプボディの段部との間に周方向の溝部を形成する。
Oリングは、溝部に装着され、ポンプボディが取付穴に嵌合したとき、嵌合外壁と取付穴との隙間をシール可能である。
(一実施形態)
本発明の一実施形態の高圧ポンプについて、図1〜図3を参照して説明する。
まず、本実施形態による高圧ポンプ1の全体構成について、図1、図2を参照して説明する。高圧ポンプ1は、車両に搭載されて用いられ、燃料タンクから低圧ポンプによって供給された燃料を加圧し、インジェクタが接続される燃料レールへ吐出する。図示しない燃料入口の上流側には低圧ポンプからの配管が接続される。
図1に示すように、高圧ポンプ1は、ポンプボディ10、プランジャ部40、吸入弁部50、電磁駆動部60、吐出弁部70等を備えている。以下、各部の構成について順に説明する。
ポンプボディ10は、例えば金属材料で形成され、高圧ポンプ1の外郭を構成する。
ポンプボディ10のプランジャ部40側の端面を駆動側端面101という。駆動側端面101の周縁に接続する嵌合外壁102には、駆動側端面101に近い側の外径が駆動側端面101から遠い側の外径よりも小さくなっている段部103が形成されている。この段部103と、後述するアッパーシート45の筒部453との間に形成された溝部490に、Oリング49が装着されている。
エンジン90に取り付けられた高圧ポンプ1は、カムシャフト93の動力がタペット92を介してプランジャ41の駆動端414に伝達されることで駆動される。すなわち、高圧ポンプ1は、プランジャ41がシリンダ11内を往復移動することによって燃料を加圧して吐出する。
また、ポンプボディ10の駆動側端面101から加圧室12側に凹んだ副燃料室13が形成されている。副燃料室13は、加圧室12からシリンダ11とプランジャ41との摺動隙間を経由してリークした燃料が溜まる。
パルセーションダンパ24は、2枚の金属ダイアフラム241、242の内部に所定圧の気体が密封されている。そして、2枚の金属ダイアフラム241、242が主燃料室20の圧力変化に応じて弾性変形することで、主燃料室20の燃圧脈動を低減する。
蓋側支持部26の上方に配置された波ばね28は、カバー22をポンプボディ10に取り付けた状態で、蓋側支持部26を底側支持部25側へ押圧する。
プランジャ部40は、プランジャ41、燃料シール部材44、アッパーシート45、ロアシート47、プランジャスプリング48等から構成されている。
本実施形態のプランジャ41は、軸方向の加圧室12側に、シリンダ11の内壁に沿って摺動する大径部411を有し、加圧室12と反対側に小径部413を有している。大径部411及び小径部413は同軸に形成されている。大径部411の端部である加圧端412は、加圧室12に面し、加圧室12を区画する。小径部413の端部である駆動端414にはロアシート47が結合されている。
燃料シール部材44は、小径部413の外周面に摺動可能に接触する内周側のテフロン(登録商標)リングと外周側のOリングとからなり、小径部413の周囲の燃料油膜の厚さを規制し、プランジャ41の摺動によるエンジンへの燃料のリークを抑制する。
鍔部451の底面452は、ポンプボディ10に形成された副燃料室13における加圧室12と反対側の境界を区画する。また、鍔部451の下面は、プランジャスプリング48の上端を支持している。
吸入弁部50は、吸入室52、弁ボディ53、シート部54、吸入弁55等から構成されている。
ポンプボディ10に設けられた筒部51の内部の吸入室52には弁ボディ53が収容され、係止部材によって固定されている。弁ボディ53の内側には、凹テーパ状の円周面を有するシート部54が形成されており、シート部54と相対して吸入弁55が配置されている。吸入弁55は、弁ボディ53の底部に設けられた孔の内壁に案内されて往復移動する。吸入弁55は、シート部54から離座することで吸入室52を開放し、シート部54に着座することで吸入室52を閉塞する。
また、ストッパ56には、ストッパ56の軸に対して傾斜する傾斜通路58が周方向に複数形成されている。主燃料室20から吸入室連通路59及び吸入室52を通って供給された燃料は、傾斜通路58を通って加圧室12に吸入される。
電磁駆動部60は、コネクタ61、固定コア62、可動コア63、フランジ64等から構成されている。
コネクタ61は、コイル611及び端子612を有し、端子612を通じてコイル611に通電されることにより磁界を発生するようになっている。固定コア62は磁性材料で作られ、コイル611の内側に収容されている。可動コア63は磁性材料で作られ、固定コア62と対向して配置されている。可動コア63は、フランジ64の内側に軸方向に往復移動可能に収容されている。
ニードル67は略円筒状に形成され、ガイド筒65の内壁に案内されて往復移動する。ニードル67は、一方の端部が可動コア63に固定され、他方の端部が吸入弁55の電磁駆動部60側の端面に当接可能である。
コイル611に通電していないとき、第2スプリング68の弾性力によって、可動コア63と一体となったニードル67が吸入弁55側へ移動し、ニードル67の端面が吸入弁55を押圧することで吸入弁55が開弁する。
吐出弁部70は、加圧室12と燃料出口72とを連通する吐出通路71、及び、吐出通路71に組み付けられた吐出弁装置80等から構成されている。
吐出弁装置80は、吐出弁部材82、スプリング83、アジャスティングパイプ84等から構成され、吐出弁部70に組み付けられている。吐出弁部材82は、ポンプボディ10の弁座85に相対して収容されている。吐出弁部材82の燃料出口72側には、アジャスティングパイプ84との間にスプリング83が収容されている。
プランジャ41がシリンダ11内を上昇するにつれ、加圧室12の燃料の圧力が上昇する。そして、加圧室12側(上流側)の燃料から吐出弁部材82が受ける力が、スプリング83の弾性力と吐出弁部材82より燃料出口72側(下流側)の燃料から受ける力との和よりも大きくなると、吐出弁装置80は開弁状態となり、加圧室12で加圧された高圧燃料は、吐出通路71を通って燃料出口72に吐出される。
(1)吸入行程
カムシャフト93の回転により、プランジャ41がシリンダ11内を上死点から下死点に向かって下降すると、加圧室12の容積が増加し、加圧室12内の燃料が減圧される。すると、吐出弁装置80は閉弁状態となり、また、吸入弁部50では、加圧室12と吸入室52との差圧及び第2スプリング68の付勢力により、吸入弁55が第1スプリング57の付勢力に抗して図1の右方向に移動して開弁状態となる。
吸入行程では、プランジャ41の下降により副燃料室13の容積が減少するため、副燃料室13の燃料は、連絡通路14を経由して主燃料室20へ送り出される。
カムシャフト93の回転によりプランジャ41がシリンダ11内を下死点から上死点に向かって上昇すると、加圧室12の容積が減少する。このとき、所定の時期まではコイル611への通電が停止されているので、第2スプリング68の付勢力によりニードル67と吸入弁55は図1の右方向に位置する。これにより、吸入室52は開放した状態が維持される。このため、加圧室12に一度吸入された低圧燃料が吸入室52へ戻される。したがって、加圧室12の圧力は上昇しない。
調量行程では、プランジャ41の上昇により副燃料室13の容積が増大するため、主燃料室20の燃料は、連絡通路14を経由して副燃料室13へ流入する。
プランジャ41がシリンダ11内を下死点から上死点に向かって上昇する途中の所定の時刻に、コイル611へ通電される。するとコイル611に発生する磁界により、固定コア62と可動コア63との間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力が第2スプリング68の弾性力と第1スプリング57の弾性力との差より大きくなると、可動コア63とニードル67は固定コア62側(図1の左方向)へ移動する。これにより、吸入弁55に対するニードル67の押圧力が解除される。吸入弁55は、第1スプリング57の弾性力、及び加圧室12から主燃料室20側へ排出される低圧燃料の流れによって生ずる力により、シート部54側(図1の左方向)へ移動する。したがって、吸入弁55はシート部54に着座し、吸入室52が閉塞される。
なお、吐出行程の途中でコイル611への通電が停止される。加圧室12の燃料圧力が吸入弁55に作用する力は、第2スプリング68の付勢力より大きいので、吸入弁55は閉弁状態を維持する。
このような高圧ポンプ1の作動において、ポンプボディ10の嵌合外壁102に装着されたOリング49が取付穴91との隙間をシールすることにより、エンジン90のオイルが外部に漏れることが防止される。
なお、ポンプボディ10の仕上げ工程前の一次工程については、総削り、鋳造、鍛造、焼結等、どのような工法であってもよい。
図4、図5に示すように、比較例の高圧ポンプ9は、ポンプボディ19の嵌合外壁102の段部103よりも駆動側端面101側に凸部109を有する点のみが本実施形態と異なる。凸部109は、段部103に対して平行に設けられ、段部103との間に周方向の溝部499を形成する。つまり、比較例は、別体の溝部形成部材を用いず、Oリング49が装着される溝部499をポンプボディ19単独で形成するものである。
本実施形態では、上述のとおり、比較例に対し溝加工の工程を廃止することができる。したがって、突っ切りバイトが不要となり、また、Oリング溝を形成する製造工数を低減することができる。
また、本実施形態では、段部103との間に溝部490を構成する溝部形成部材の機能をアッパーシート45が兼ねているため、専用の溝部形成部材を設ける必要がない。よって、部品点数を低減することができる。さらに、アッパーシート45をプレス成形で製作すれば部品コストを低減することができる。
また、Oリング49をエンジン90に装着する時、摩擦力によってOリング49は段部103の上部に押しつけられることになるため、溝部490の下部の形状については不問である。
(ア)ポンプボディ10の段部103との間に溝部490を形成する「溝部形成部材」は、上記実施形態のようにアッパーシート45によって構成される形態に限らない。例えば、「溝部形成部材」として専用のリング状の部材を嵌合外壁102に外挿することで、溝部を形成してもよい。
(イ)副燃料室13における加圧室12と反対側の境界は、アッパーシート45の鍔部451によって区画される形態に限らず、他の専用部材によって区画されるようにしてもよい。
10 ・・・ポンプボディ、
101・・・駆動側端面、 102・・・嵌合外壁、 103・・・段部、
11 ・・・シリンダ、 12 ・・・加圧室、
41 ・・・プランジャ、 412・・・加圧端、 414・・・駆動端、
45 ・・・アッパーシート(溝形成部材)、
49 ・・・Oリング、 490・・・溝部、
90 ・・・エンジン、 91 ・・・取付穴、 93 ・・・カムシャフト。
Claims (3)
- エンジン(90)の取付穴(91)に取り付けられ、カムシャフト(93)の動力がプランジャ(41)の駆動端(414)に伝達されることで前記プランジャがシリンダ(11)内を往復移動し、前記プランジャの前記駆動端と反対側の加圧端(412)に面する加圧室(12)において燃料を加圧する高圧ポンプ(1)であって、
前記プランジャと、
前記シリンダと、
軸方向における前記加圧室と反対側の端面である駆動側端面(101)、及び、前記駆動側端面の周縁に接続し前記取付穴に嵌合可能な嵌合外壁(102)を有し、前記嵌合外壁に、前記駆動側端面に近い側の外径が前記駆動側端面から遠い側の外径よりも小さくなっている段部(103)が形成されたポンプボディ(10)と、
前記駆動側端面の側から前記嵌合外壁に外挿され、前記ポンプボディの前記段部との間に周方向の溝部(490)を形成する溝部形成部材(45)と、
前記溝部に装着され、前記ポンプボディが前記取付穴に嵌合したとき、前記嵌合外壁と前記取付穴との隙間をシール可能なOリング(49)と、
を備えることを特徴とする高圧ポンプ。 - 前記ポンプボディの前記駆動側端面に対向する鍔部(451)、及び、前記鍔部の外縁に接続し前記嵌合外壁に外挿可能な筒部(453)を有し、前記ポンプボディに固定されたアッパーシート(45)と、
前記プランジャの前記駆動端に結合されたロアシート(47)と、
前記アッパーシートの前記鍔部と前記ロアシートとの間に設けられ、前記プランジャの前記駆動端を前記ポンプボディの前記駆動側端面から引き離す方向に付勢するプランジャスプリング(48)と、
を備え、
前記溝部形成部材は、前記アッパーシートによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。 - 前記駆動側端面に面し、前記加圧室から前記シリンダと前記プランジャとの摺動隙間を経由してリークした燃料が溜まる副燃料室(13)を有し、
前記アッパーシートの前記鍔部は、前記副燃料室における前記加圧室と反対側の境界を区画することを特徴とする請求項2に記載の高圧ポンプ。
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