JP2015094184A - 耐震改修工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工の負担を可能な限り軽減できる耐震改修工法を提供することを目的とする。【解決手段】既設の鉄骨構造物を構成するブレース4に、ブレース4の周囲を覆う外側拘束部材10を取り付ける耐震改修工法であって、ブレース4の軸方向及び軸方向に直交する方向に、外側拘束部材10を分割した形態を有する複数のセグメント部材S1〜S4をブレース4の周囲に組み付ける工程と、ブレース4の周囲に組み付けられた、隣接するセグメント部材S1〜S4を接合する工程と、を備えることを特徴とする。ブレース4へのセグメント部材S1〜S4の接合は、ボルト6を用いるのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄骨構造物の耐震性を向上する工法に関する。
例えば図13に示すように、梁2と柱3を備え、三角形をユニットとしたトラス構造物100においては、一般に水平力を支持するために一対のブレース(brace)4a,4bが逆方向に傾斜して設置されている。このトラス構造物100が地震発生時に水平方向の力を受けると、一方のブレース4a(またはブレース4b)には圧縮力が、他方のブレース4b(又は4a)には引張力が交互に作用して地震力に抵抗するようになっている。
プラント設備などのトラス鉄骨構造物の既存ブレースを座屈拘束させて耐震補強(耐震改修、制震補強など)する場合、既存ブレースを制震ブレースに取り替えることが最も一般的である。しかし、配管が多く設置されている例えばボイラプラントなどの場合、施工スペースに制約があるために、長尺なブレースを取り替えることが困難なことがある。さらに、プラントに施工スペースがある場合でも、施工場所まで長尺なブレース用の鋼材を運搬するための重機を設置するなどの施工性に問題がある場合もある。
ブレースに座屈拘束を施す改修工法は、既存ブレースを取り換えるのと比べると、施工の負担を軽減できる。
例えば、特許文献1は、一体物の角鋼管からなる部材で既存ブレースの座屈拘束を行うことを提案している。この提案は、座屈拘束部材をボルトによりブレースに接合するものであり、ボルトの締め付け量によってブレースと座屈拘束部材の隙間管理、位置調整を行っている。
また、特許文献2及び特許文献3は、既存ブレースの端部の両方又は一方の一部を切削して断面積を他の部分よりも縮小し、この断面積縮小部に局部座屈防止用の補剛具を取り付けることを提案している。
以上の特許文献1〜特許文献3の提案によれば、既設の鉄骨構造物を改修して耐震性を向上することができる。
特許第3382178号号公報 特開2003−213815号公報 特開2009−121050号公報
しかし、既存ブレースの取り換えに比べると負担は軽減されるとはいえ、座屈拘束を施す場合においても、現状のスペース内で施工可能で、かつ大きな重機を用いずに座屈拘束用の部材を運搬できることが好ましい。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、施工の負担を可能な限り軽減できる耐震改修工法を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、既設の鉄骨構造物を構成するブレースに、ブレースの周囲を覆う第1座屈拘束部材を取り付ける耐震改修工法であって、ブレースの軸方向及び軸方向に交差する方向に第1座屈拘束部材を分割した形態を有する複数の第1セグメント部材をブレースの周囲に組み付ける工程と、ブレースの周囲に組み付けられた、隣接する第1セグメント部材を接合する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の耐震改修工法によれば、第1座屈拘束部材を軸方向及び軸方向に交差する方向に分割しているので、個々の部材が小さくかつ軽くなり、現場への搬送が容易になるのに加えて、狭いスペースでも施工が可能になる。交差の最も典型的な例は、直交である。
本発明の耐震改修工法において、第1セグメント部材は、軸方向における接合部位が、第1座屈拘束部材の軸方向中央及び中央近傍を避けるように作製されることが好ましい。
第1座屈拘束部材としたときに当該部位は最も曲げモーメントが大きくなるので、当該部位を避けて接合すれば、必要な接合強度を得るための施工数量を抑えることができる。
本発明の耐震改修工法において、隣接する第1セグメント部材の接合は、隣接する第1セグメント部材に掛け渡した添え板を介してのボルトによる接合とし、かつ、このボルトは、その先端が第1セグメント部材の板厚の範囲内に収まるように、第1セグメント部材に締結されることが好ましい。
ボルト接合とすることによって、養生などの余分な作業が発生せず、かつ溶接機の機材持ち込みの必要もなくなるため、施工性に優れ、施工コストの低減が可能となる。また、このボルトは、その先端が第1セグメント部材の板厚の範囲内に収まり、第1拘束部材に接しないので、摩擦力が局所的に発生してかじりつくことがない。
本発明の耐震改修工法において、第1座屈拘束部材による座屈拘束がなされていない領域に、第2座屈拘束部材を取り付けることができる。この第2座屈拘束部材も、軸方向及び軸方向に交差する方向に、第2座屈拘束部材を分割した形態を有する複数の第2セグメント部材からなる。
第2座屈拘束部材により、第1座屈拘束部材では補えない部分、例えばH型鋼からなるブレースのフランジの内側及びウェブにおける局部座屈変形を拘束できるので、安定した座屈拘束効果が得られる。
本発明の耐震改修工法において、ブレースと第1座屈拘束部材の間、及び、ブレースと第2座屈拘束部材の間に、緩衝材を介在させることができる。
これにより、局所的な支圧力が大きくなった場合でも、両者の間の接触面で摩擦によるかじりつきなどを発生させずに摺動させることができるので、安定した履歴特性を確保することができる。
上記の緩衝材その厚さを、ブレースと第1座屈拘束部材の間の間隔、及び、ブレースと第2座屈拘束部材の間の間隔よりも厚くすることが好ましい。
そうすることで、ブレースと第1座屈拘束部材の間、及び、ブレースと第2座屈拘束材の間の隙間管理が容易になる。
本発明の耐震改修工法において、第1座屈拘束部材は、ブレースの軸方向の両端の所定領域を除いて取り付けられ、この所定領域に補剛部材を設けることができる。
この補剛部材は、ブレースの端部領域の強度増加により、負荷される荷重と変位の関係が安定化するのに寄与する。
本発明の耐震改修工法において、特定の部位に設けられるボルトは、第1座屈拘束部材を貫通してブレースに締め付けることができる。
相対的に位置ずれが生じない箇所を特定することで、第1拘束部材の軸方向への不必要な変位を規制する。
本発明の耐震改修工法によれば、第1座屈拘束部材を軸方向及び軸方向に交差、典型的には直交する方向に分割しているので、個々の部材が小さくかつ軽くなり、現場への搬送が容易になるのに加えて、狭いスペースでも施工が可能になる。
第1実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a)は改修前を示す平面図、(b)は改修後を示す平面図、(c)は(a)のA線矢視断面図である。 第1実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a)は改修後のブレースを示す平面図、(b)は図1の座屈拘束部材に発生する曲げモーメント分布図、(c)は図1のブレースの変形を示す図である。 第1実施形態の座屈拘束部材における種々の分割例を示す平面図である。 第2実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a)は改修後のブレースを示す平面図、(b)は(a)のA線矢視断面図、(c)は(a)のB線矢視断面図である。 第3実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a)は改修後のブレースを示す平面図、(b)は(a)のA線矢視断面図、(c)は(a)のB線矢視断面図である。 第3実施形態に係る他の改修工法を示す図であり、(a),(b)は図5の(b),(c)に対応する図、(c),(d)は図5の(a)に対応する図である。 第4実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a)は改修後のブレースを示す平面図、(b)は(a)のA線矢視断面図、(c)は(a)のB線矢視断面図である。 第5実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a)は改修後のブレースを示す平面図、(b)は(a)のA線矢視断面の種々の例を示す図である。 第6実施形態に係る改修工法を示す図であり、(a),(b)は改修後のブレースを示す平面図、(c)は(a)のA線矢視断面図、(d)は(b)のB線矢視断面図である。 本実施形態に用いることのできるブレースを示す図であり、各々、図4(a)のA線矢視断面及びB線矢視断面に相当する断面図である。 本実施形態に用いることのできるブレースを示す図であり、各々、図4(a)のA線矢視断面及びB線矢視断面に相当する断面図である。 本実施形態に用いることのできるブレースを示す図であり、各々、図4(a)のA線矢視断面及びB線矢視断面に相当する断面図である。 トラス構造の代表的な鉄骨構造物を示す全体構成図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態による耐震向上改修工法は、例えば図13に示すトラス鉄骨構造物に適用されるものである。その要旨は、例えば、梁(水平材)2及び柱(垂直材)3よりなる構面に、継手5を介して取り付けられた既存のブレース4を備える鉄骨構造物の構造単位1(図1(a)参照)を対象とし、ブレース4の周囲に複数の分割された部材からなる外側拘束部材10を取り付ける改修工法である。第1実施形態の改修工法は、ブレース4の構造には手を加えないことを前提とする。また、この改修工法による外側拘束部材10は、複数のセグメント部材S1〜S4を現場にて組み立てて、ブレース4に取り付けられる。なお、ここでは、一つのブレース4に外側拘束部材10を取り付ける例を示しているが、鉄骨構造物の必要な任意の箇所のブレース4に外側拘束部材10を取り付けることができる。
既存のブレース4は、図1(a),(c)に示すように、ウェブ4wと一対のフランジ4fとを備えるH型鋼からなり、梁2及び柱3に継手5を介して接続されている。ブレース4と継手5はボルト6により接合される。
以上の既存の構造単位1の耐震性を改修するために、外側拘束部材10をブレース4に取り付ける。
外側拘束部材10は、図1(b)及び(d)に示すように、4つのセグメント部材S1,S2,S3及びS4から構成される。セグメント部材S1,S2,S3及びS4は、外側拘束部材10を軸方向X(以下、単に方向X)に均等に二分割し、また、軸方向に直交する方向Y(以下、単に方向Y)に均等に二分割した形態及び寸法を有している。したがって、本実施形態の耐震改修工法によれば、外側拘束部材10を構成する個々のセグメント部材S1,S2,S3及びS4が外側拘束部材10に比べて小さくかつ軽くなり、現場への搬送が容易になるのに加えて、狭いスペースでも施工が可能になる。
セグメント部材S1,S2,S3及びS4は、横断面がコの字状(または、U字状)をなしており、お互いの開口を対向させて接合される。また、方向Xにおいて隣接するセグメント部材S1とS2,S3とS4は、付き合わされた部分が接合される。接合の手段は、第1実施形態では問われない。
以上のように、方向X及び方向Yに均等に分割されたセグメント部材S1,S2,S3及びS4は、同じ寸法でよいので、異なる部材を作製するのに比べて部材の製作コストを下げることができる。また、二分割にすると、三以上に分割するのに比べて、セグメント部材を接合する手間が少ないので、外側拘束部材10をブレース4に取り付ける手間が少なくてすむ。しかも、本実施形態によると、ブレース4に切削加工などを施す必要がないため、施工性に優れる。
また、ブレース4に初期不整が生じている場合には、一体物の外側拘束部材10にブレース4を挿入できずに取り付けることが困難な場合も想定される。しかし、方向X及び方向Yに分割されたセグメント部材であれば、ブレース4に初期不整が生じていても、取り付けることができる。
ここで、地震が生じて鉄骨構造物が振動して、外側拘束部材10に発生する曲げモーメントとブレース4に軸力が作用したときの変形状態を、図2(b),(c)に示す。図示するように、方向Xの中央CT(図2(a))において、外側拘束部材10の曲げモーメントが最大になり、かつ、ブレース4の変形が最大となる。つまり、軸方向の中央付近は、ブレース4の座屈変形を拘束する上で、最もモーメントが大きくなる箇所に対応する。よって、その箇所に接合部を設けると、接合部に必要な強度も増加することになるので、品質確保、接合部に必要な施工数量が多くなる。これを避けるために、図2(a)に示すように、セグメント部材S1とS2,S2とS3,S4とS5,S5とS6のいずれの接合箇所を中央部付近からずらして設けることが好ましい。この思想に基づく他のいくつかの例を図3(a)〜(f)に列挙する。なお、以下では、セグメント部材を単にSと表示する。
図3(a)のように方向Xに対称となるように接合部を設ける例、図3(b)のように中央を境に分割の数を異ならせる例、図3(c)のように接合部を方向Xに均等間隔で設ける例など、接合部を設ける位置及び数は任意であるが、隣接するセグメント部材Sの接合部のいずれも、外側拘束部材10の方向Xの中央からずれて設けられている。
[第2実施形態]
第2実施形態では、外側拘束部材10の接合方法として、図4に示すように、ボルト6による接合を提案する。
図4に示す例は、方向Xに分割された部分及び方向Yに分割された部分の両方の接合部JにスプライスプレートPを架け渡してボルト6により接合する。第2実施形態のボルト6による接合は、外側拘束部材10のセグメント部材Sにボルト6と噛み合うタップを施し、セグメント部材Sをナットとして利用する。そうすることで、別部材としてナットを設ける必要がなくなる。
また、セグメント部材Sに形成されたタップと噛み合うボルト6は、その先端が外側拘束部材10(セグメント部材S)の肉厚の範囲に収まるようにして、外側拘束部材10の内面から突出しない。
セグメント部材Sの接合は、溶接によっても行うことができるが、溶接により接合する場合、外側拘束部材10の取り付けが、現場での対応となるため、養生、溶接機を含む機材の持ち込み及び設営が必要となる。よって、第2実施形態のようにボルト接合とすることによって、養生などの余分な作業が発生せず、かつ溶接機の機材持ち込みの必要もなくなるため、施工性に優れ、かつ、施工コストも低減可能となる。
ここで、特許文献1のようにボルトを用いて座屈拘束すると、ブレース4と点接触する部分が生じ、摩擦力が局所的に発生して、ブレース4とかじりつく可能性が高い。また、所定間隔に配置された複数のボルトによる拘束となるため、連続した面接触に比べて、既存ブレースの座屈拘束力が低下するおそれがある。本実施形態は、セグメント部材Sを接合するボルト6の先端が外側拘束部材10の内面から突出しないので、ブレース4、特にフランジ4fと外側拘束部材10の接触を面接触にすることができるので、点接触による不具合を解消できる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に加えて、図5に示すように、ブレース4の断面の周囲であって、外側拘束部材10の内側に内側拘束部材20を設置する。
図5の例は、ブレース4がH型鋼からなるが、この場合、ブレース4の周囲を覆うように設置された外側拘束部材10は、フランジ4fのうら面側への局部座屈、及び、ウェブ4wの局部座屈について拘束力を発揮しない。なお、フランジ4fにおいて、外側拘束部材10と対向する面をおもて面、その反対側をうら面と定義する。
そこで、図5に示すよう内側拘束部材20を配置することにより、フランジ4fのうら面側への局部座屈、及び、ウェブ4wの局部座屈を抑え、座屈拘束効果をより高めることが可能となる。
内側拘束部材20は、図5に示す板材でU字状に構成されたものの他に、図6(a),(b)に示すように、内側拘束部材20の空隙に充填材、例えばコンクリートCをつめたものを用いることができるし、あるいは、リブで補強したものなど効果が発揮できるものを適用できる。コンクリートCだけで内側拘束部材20の代替を行なうことができる。
内側拘束部材20を設置する範囲は、その効果が得られる限り任意である。つまり、フランジ4fとウェブ4wに局部座屈が方向Xに周期的に発生するものとすると、図6(d)に示すように、複数の内側拘束部材20を、間隔を空けて設置することができる。この間隔は、ブレース4の座屈形態における座屈波長よりも小さくすることが望まれる。図6(c)に示すように、方向Xの全長に亘って内側拘束部材20を設けることもできる。なお、外側拘束部材10と内側拘束部材20の両者を総称するときには、座屈拘束部材10,20というものとする。
[第4実施形態]
第4実施形態は、第1実施形態〜第3実施形態に加えて、図7に示すように、ブレース4と外側拘束部材10,内側拘束部材20の間に、両者の間での摩擦抵抗を低減させるためのアンボンド材25を緩衝材として介在させる。アンボンド材25は、図7(b),(c)に示すように、外側拘束部材10とウェブ4w及びフランジ4fとの間、及び、内側拘束部材20とウェブ4w及びフランジ4fの間に設けられる。
本実施形態は、ブレース4と外側拘束部材10の間、及び、ブレース4と内側拘束部材20の間で、面接触をさせることにより、ブレース4の座屈拘束を行なうことを主たるメカニズムとしている。面接触を通じた座屈拘束は、アンボンド材25を用いなくても可能である。しかし、ブレース4の局部座屈の発生状態によっては、局所的な支圧力が大きくなり、ブレース4と座屈拘束部材10,20の面接触する箇所で摩擦力が過大になる可能性がある。そこで、両者の間に摩擦抵抗を低減させるアンボンド材25を設置する。
これにより、局所的な支圧力が大きくなった場合でも、両者の間の接触面で摩擦によるかじりつきなどを発生させずに摺動させることができるので、部材全体としての安定した履歴特性を確保することができる。この効果は、ボルト先端部をブレースに接触させて座屈拘束を行う特許文献1では得ることができない。
アンボンド材25としては、硬質ゴムからなるシートを用いることができる。
アンボンド材25を設ける場合には、ブレース4と外側拘束部材10の間の間隔(G1)、及び、ブレース4と内側拘束部材20の間の間隔(G2)よりも、アンボンド材25の厚さ(t)を厚くすることが好ましい。ここでいう間隔G1及び間隔G2は、ブレース4に外側拘束部材10と内側拘束部材20を取り付けたときの設計上の間隔である。アンボンド材25の厚さ(t)を、間隔G1、G2よりどの程度厚くするかは、以下説明する隙間管理の容易性等の観点から適宜設定すればよいが、微小量、例えば数mmだけ厚くすれば足りる。
間隔G1、間隔G2よりも、厚さtを厚くすることにより、ブレース4と座屈拘束部材10,20の間の隙間管理が容易になる。つまり、座屈拘束部材10,20を設置する際に、ブレース4と座屈拘束部材10,20の間にアンボンド材25を配置し、かつブレース4と座屈拘束部材10,20の間に押し付け力を作用させて間隔G1、間隔G2を得る。そして、間隔G1、間隔G2を維持した状態で、セグメント部材S同士を接合すれば、ブレース4と座屈拘束部材10,20の間に隙間を生じさせることなく、間隔G1、間隔G2を容易に確保できる。
特許文献1のように、ボルトの締め付け距離で隙間を調整する場合には、隙間管理も非常に緻密な作業を必要とするため、施工時間が長くなる。これに対して、間隔G1、間隔G2よりも厚さtの厚いアンボンド材25を設置しておき、座屈拘束部材10,20を押し付けると、自身が有する弾性剛性でアンボンド材25は変形するので、設計上の隙間が確保された状態で、座屈拘束部材10,20の組み付けを行うことが可能となる。
また、間隔G1、間隔G2および厚さtの関係を上記のようにすれば、ブレース4と内側拘束部材20の間にアンボンド材25が挟持されるので、アンボンド材25はブレース4と内側拘束部材20を相互に固定するように機能し、ブレース4と内側拘束部材20のハンドリングを容易にする。
[第5実施形態]
第5実施形態は、図8(a)に示すように、外側拘束部材10で囲われないブレース4の端部領域Eに、図8(b)に示すように、リブに代表される補剛部材30を設けて、当該領域に補強を加える。これにより、ブレース4の端部領域Eの強度向上による荷重−変位関係のさらなる安定化が図られる。
補剛部材30は、図8(b)に示すように、種々の形態にすることができる。また、端部領域Eはブレース4及び座屈拘束部材10,20を含めた鉄骨構造物ごとに異なるので、適宜、必要な範囲を補強すればよい。さらに、補剛部材30の剛性、強度なども、対象とする鉄骨構造物の構造諸元、強度条件などに対応させて設定すればよい。
[第6実施形態]
第6実施形態は、図9(c),(d)に示すように、特定の部位の選択されたボルト16だけをブレース4に接触させ、かつ締め付けて、当該位置において、ブレース4と外側拘束部材10の相対的な位置ずれが生じないように固定する。
方向Xの外力を受けると、ブレース4が伸縮するので、外側拘束部材10との間で相対的な変位が生ずる。この変位により外側拘束部材10が例えば継手5と衝突すると、その機能を発揮できなくなるおそれがある。したがって、外側拘束部材10の相対的な変位を規制する必要があり、そのために本実施形態ではボルト16によりブレース4と外側拘束部材10の相対的な位置ずれが生じないように固定する。
図9(a)においては、外側拘束部材10は、断面Aにおいて固定されているので、図中の左側及び右側へ相対的に変位する。また、図9(b)においては、外側拘束部材10は、断面Bにおいて固定されているので、図中の左側にだけ相対的に変位する。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本発明は、ブレースの断面形状は任意であり、H型に限らず、図10〜図12に示すように、シングルチャンネル(図10(a),(b))、ダブルチャンネル(図10(c),(d))、シングルアングル(図11(a),(b),(c),(d))、ダブルアングル(図11(c),(d),(e),(f))、図12に示すように角鋼管(図12(a),(b))、丸鋼管(図12(c),(d))など、種々の断面形状のブレース4に適用することができる。
1 構造単位
4,4a,4b ブレース
4f フランジ
4w ウェブ
5 継手
6 ボルト
10 外側拘束部材
S,S1,S2,S3,S4 セグメント部材
16 ボルト
20 内側拘束部材
25 アンボンド材
30 補剛部材
100 トラス構造物
C コンクリート
E 端部領域
J 接合部
P スプライスプレート

Claims (8)

  1. 既設の鉄骨構造物を構成するブレースに、前記ブレースの周囲を覆う第1座屈拘束部材を取り付ける耐震改修工法であって、
    前記ブレースの軸方向及び軸方向に交差する方向に、前記第1座屈拘束部材を分割した形態を有する複数の第1セグメント部材を前記ブレースの周囲に組み付ける工程と、
    前記ブレースの周囲に組み付けられた前記第1セグメント部材を接合する工程と、
    を備えることを特徴とする耐震改修工法。
  2. 前記第1セグメント部材は、
    前記軸方向における接合部位が、前記第1座屈拘束部材の軸方向の中央及び中央近傍を避けるように作製される、
    請求項1に記載の耐震改修工法。
  3. 隣接する前記第1セグメント部材の接合は、
    隣接する前記第1セグメント部材に掛け渡した添え板を介してのボルトによる接合であり、
    かつ、
    前記ボルトは、その先端が前記第1セグメント部材の板厚の範囲内に収まるように、前記セグメント部材に締結される、
    請求項1又は請求項2に記載の耐震改修工法。
  4. 前記第1座屈拘束部材による座屈拘束がなされていない領域に、第2座屈拘束部材を取り付け、
    前記第2座屈拘束部材は、前記軸方向及び前記軸方向に交差する方向に、前記第2座屈拘束部材を分割した形態を有する複数の第2セグメント部材からなる、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の耐震改修工法。
  5. 前記ブレースと前記第1座屈拘束部材の間、及び、前記ブレースと前記第2座屈拘束部材の間に、緩衝材が介在する、
    請求項4に記載の耐震改修工法。
  6. 前記緩衝材は、
    圧縮応力が付与された状態で、
    前記ブレースと前記第1座屈拘束部材の間、及び、前記ブレースと前記第2座屈拘束部材の間に、介在する、
    請求項5に記載の耐震改修工法。
  7. 前記第1座屈拘束部材は、前記ブレースの軸方向の両端の所定領域を除いて取り付けられ、
    前記所定領域には補剛部材が設けられる、
    請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の耐震改修工法。
  8. 特定の部位に設けられる前記ボルトは、
    前記第1座屈拘束部材を貫通して前記ブレースに締め付けられる、
    請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の耐震改修工法。
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