JP2015092797A - プロテクタ及びワイヤーハーネス - Google Patents

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篤史 黒田
Atsushi Kuroda
篤史 黒田
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Abstract

【課題】プロテクタを車体等に固定する際において、ボルトに対するボルト挿入孔の位置ズレを吸収でき、かつ、固定後の状態では、ボルトとボルト挿入孔とのがたつきを抑制することを目的とする。【解決手段】ワイヤーハーネス本体を収容した状態で、車体に突設されたボルトBを介して車体Aに固定されるプロテクタであって、ワイヤーハーネス本体を収容可能なプロテクタ本体と、プロテクタ本体から外方に向けて突設され、取付孔32が形成された固定部30と、取付孔32内に取付けられた環状弾性部材40とを備える。環状弾性部材40には、ボルトBの外径寸法と同じかこれよりも小さい内径寸法のボルト挿入孔44が形成されている。【選択図】図2

Description

この発明は、ワイヤーハーネスを収容するプロテクタを車体等に固定するための技術に関する。
特許文献1は、プロテクタ本体に対して一体に成形された取付ブラケットに、ボルト挿通孔を形成すると共にこのボルト挿通孔に補強用の金属カラーを嵌め込んだ構成が開示されている。そして、金属カラーの内部にボルトを通して車体パネルに締結することにより、取付ブラケットを介してプロテクタ本体が車体に固定される。
特開2008−286218号公報
しかしながら、プロテクタ本体を車体に固定しようとする場合、製造誤差、組付誤差等によって、取付ブラケット側のボルト貫通孔と車体側のボルト貫通孔との間に位置ズレが生じてしまう可能性がある。
そこで、上記位置ズレを吸収するために、取付ブラケット側のボルト貫通孔を長円形に形成したり、ボルト貫通孔の内径をボルトの外径よりもある程度大きくしたりすることが行われていた。
しかしながら、上記構成では、ボルトとボルト貫通孔との間で遊びが発生してしまうため、がたつきが発生してしまう恐れがあった。
そこで、本発明は、プロテクタを車体等に固定する際において、ボルトに対するボルト挿入孔の位置ズレを吸収でき、かつ、固定後の状態では、ボルトとボルト挿入孔とのがたつきを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様は、ワイヤーハーネス本体を収容した状態で、車体に突設されたボルトを介して前記車体に固定されるプロテクタであって、ワイヤーハーネス本体を収容可能なプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体から外方に向けて突設され、取付孔が形成された固定部と、前記ボルトの外径寸法と同じかこれよりも小さい内径寸法のボルト挿入孔が形成され、前記取付孔内に取付けられた環状弾性部材とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るプロテクタであって、前記環状弾性部材のうち前記ボルトが挿入される側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第1環状凹部が形成されているものである。
第3の態様は、第2の態様に係るプロテクタであって、前記第1環状凹部は、前記ボルトの挿入方向に向けて徐々に縮径するガイド面を含むものである。
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係るプロテクタであって、前記環状弾性部材のうち前記ボルトが突出する側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第2環状凹部が形成されているものである。
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るプロテクタであって、前記環状弾性部材の外周部に対して、前記環状弾性部材の軸方向中間部に第1鍔部が形成されると共に、前記ボルトが挿入される側の端縁部に第2鍔部が形成され、前記取付孔の内周部に対して、前記取付孔の軸方向中間部に前記第1鍔部を嵌め込み可能な第1環状嵌込凹部が形成されると共に、前記ボルトが挿入される側の端縁部に前記第2鍔部を嵌め込み可能で、かつ、前記ボルトが挿入される側で開口する第2環状嵌込凹部が形成されており、前記第1鍔部よりも前記第2鍔部が外周側に向けて大きく突出しているものである。
第6の態様に係るワイヤーハーネスは、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るプロテクタと、前記プロテクタ本体に収容されたワイヤーハーネス本体とを備える。
第1〜第6の態様によると、ボルトを環状弾性部材のボルト挿入孔に挿入し、当該ボルトにナットを螺合等させることで、プロテクタを車体に固定することができる。ボルト挿入孔の内径寸法は、前記ボルトの外径寸法と同じかこれよりも小さいため、ボルトの軸心とボルト挿入孔の軸心とが一致している状態で、ボルトがボルト挿入孔に挿入された状態で、ボルトはボルト挿入孔内でがたつき難くなる。また、ボルトの軸心とボルト挿入孔の軸心とがずれている状態で、ボルトがボルト挿入孔に挿入された場合、環状弾性部材をボルト挿入孔の周壁部で弾性変形させることができる。このため、ボルトに対するボルト挿入孔の位置ずれを吸収しつつ、ボルトをボルト挿入孔の周壁部に押付けた状態で、当該ボルトをボルト挿入孔に挿入することができ、この場合でも、固定後の状態で、ボルトとボルト挿入孔とのがたつきを抑制することができる。
第2の態様によると、前記環状弾性部材のうち前記ボルトが挿入される側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第1環状凹部が形成されているため、ボルトを環状弾性部材のボルト挿入孔に挿入する際に、当該環状弾性部材がボルト挿入孔の周壁部で容易に変形できる。これにより、ボルトに対するボルト挿入孔の位置ずれを容易に吸収できる。
第3の態様によると、ボルトがガイド面によってボルト挿入孔に向けて案内されるため、ボルトをボルト挿入孔に容易に挿入できる。
第4の態様によると、前記環状弾性部材のうち前記ボルトが突出する側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第2環状凹部が形成されているため、ボルトを環状弾性部材のボルト挿入孔に通す際に、当該環状弾性部材がボルト挿入孔の周壁部で容易に変形できる。これにより、ボルトに対するボルト挿入孔の位置ずれを容易に吸収できる。また、ボルトによってボルト挿入孔の内周部が捲れ上がったとしても、その捲れ上がり部分は、第2環状凹部内に収まる。このため、ボルトが突出する部分側で、ナット等を固定部により安定して接触させることができる。
第5の態様によると、前記第1鍔部よりも前記第2鍔部が外周側に向けて大きく突出しているため、比較的突出寸法が小さい第1鍔部を第1環状嵌込凹部に容易に嵌め込むことができる。また、第2環状嵌込凹部は、ボルトが挿入される側で開口しているため、第2鍔部をボルトの挿入方向に向けて押込むことで、比較的突出寸法が大きい第2鍔部を第2環状嵌込凹部に容易に嵌め込むことができる。そして、ボルトを環状弾性部材のボルト挿入孔に挿入する際には、第1鍔部及び当該第1鍔部よりも大きく突出する第2鍔部によって、環状弾性部材がボルトの挿入方向に向けて抜けることを抑制することができる。
実施形態に係るワイヤーハーネスを示す概略斜視図である。 図1のII-II線概略断面図である。 ボルトと固定部との位置関係を示す説明図である。 ボルト挿入孔にボルトを挿入した状態を示す概略断面図である。 ボルトと固定部との位置関係を示す説明図である。 ボルト挿入孔にボルトを挿入した状態を示す概略断面図である。 第1変形例に係る環状弾性部材を示す概略断面図である。 第1変形例に係るボルト挿入孔にボルトを挿入した状態を示す概略断面図である。 第2変形例に係る固定部及び環状弾性部材を示す概略断面図である。 第3変形例に係る固定部及び環状弾性部材を示す概略断面図である。
以下、実施形態に係るプロテクタ及びワイヤーハーネスについて説明する。図1はワイヤーハーネス10を示す概略斜視図であり、図2は図1のII-II線概略断面図である。
このワイヤーハーネス10は、プロテクタ20と、ワイヤーハーネス本体12とを備える。
ワイヤーハーネス本体12は、少なくとも1本の電線を含む。ここでは、ワイヤーハーネス本体12は、複数の電線が結束された構成とされている。ワイヤーハーネス本体12は、途中で分岐していてもよい。また、ワイヤーハーネス本体12は、光ファイバーコード等を含んでいてもよい。ワイヤーハーネス本体12の端部には、コネクタ又は端子等が接続されている。そして、本ワイヤーハーネス本体12が車両等に組込まれた状態で、コネクタ又は端子が車両に搭載された各種電気部品に接続される。これにより、ワイヤーハーネス本体12は、車両に搭載された各種電気部品を電気的に接続する配線材として用いられる。
プロテクタ20は、上記ワイヤーハーネス本体12を収容した状態で、車体Aに突設されたボルトBを介して車体Aに固定される(図3及び図4参照)。
このプロテクタ20は、プロテクタ本体22と、固定部30と、環状弾性部材40とを備える。
プロテクタ本体22は、ワイヤーハーネス本体12を収容可能に構成されている。ここでは、プロテクタ本体22は、ワイヤーハーネス本体12の直線状部分を収容可能な形状、より具体的には、方形状の底部24の両側部に一対の側壁部26が立設された樋形状に形成されている。プロテクタ本体22の両端部及び上方(底部24の反対側)は開口しており、ワイヤーハーネス本体12は、プロテクタ本体22の上方開口を通って当該プロテクタ本体22内に収容される。この状態で、ワイヤーハーネス本体12は、プロテクタ本体22の両端側開口から外方に延出している。プロテクタ本体22内におけるワイヤーハーネス本体12の収容状態は、プロテクタ本体22とワイヤーハーネス本体12とに粘着テープが巻回されること等により維持される。
なお、プロテクタ本体は、ワイヤーハーネス本体のうち収容対象となる部分の経路に合せた形状とされていればよい。例えば、プロテクタ本体は、その延在方向途中で曲る形状に形成されていてもよいし、また、途中で分岐する形状に形成されていてもよい。
なお、プロテクタ本体22の上方開口は、蓋部等によって塞がれていてもよい。
固定部30は、上記プロテクタ本体22から外方に突設された部分であり、プロテクタ本体22を車体Aに対して固定するために供される部分である。ここでは、プロテクタ本体22と固定部30とは、樹脂によって金型一体成型されている。
固定部30は、プロテクタ本体22に対して複数設けられている。ここでは、固定部30は、プロテクタ本体22の一側部に間隔をあけて2つ設けられている。より具体的には、2つの固定部30は、一方側の側壁部26の外面のうち前記上方開口側の位置において、間隔をあけて設けられている。
固定部30は、偏平な形状、ここでは、底部24と同一方向に偏平な方形板状に形成されている。この固定部30には、その厚み方向に貫通する取付孔32が形成されている。車体Aに立設されたボルトBは、取付孔32の一方側開口より当該取付孔32に挿入される。ここでは、車体Aの取付対象部位上面に、固定部30の一方主面(ここでは、底部24側にある下面)が接触した状態で、ボルトBが固定部30の一方主面側から(下方から)取付孔32内に挿入される。
取付孔32は、ボルトBの外径よりも大きな(ここでは十分に大きな)円形孔形状に形成されており、その軸方向中間部に環状嵌込凹部34が形成されている。環状嵌込凹部34は、環状弾性部材40の鍔部42を嵌込むための環状の凹みである。取付孔32の軸方向において、環状嵌込凹部34と前記鍔部42とは同寸法に設定されていることが好ましく、また、環状嵌込凹部34の深さ寸法と鍔部42の突出寸法とは同じに設定されていることが好ましい。
環状弾性部材40は、ゴム等の弾性材料によって形成された部材であり、上記取付孔32内に取付可能な環状形状に形成されている。
すなわち、環状弾性部材40の外周面は、取付孔32の内周面形状に応じた形状に形成されている。より具体的には、環状弾性部材40の外周面のうちその軸方向中間部には、その周方向全体において環状に張出す鍔部42が形成されている。そして、鍔部42を上記環状嵌込凹部34に嵌め込んで、環状弾性部材40の外周面全体を取付孔32の内周面全体に密着させるようにして、環状弾性部材40を取付孔32内に取付けることができる。なお、ここでは、環状弾性部材40の軸方向における長さ寸法は、取付孔32の軸方向における長さ寸法と同じに設定されているが、これは必ずしも必須ではない。
また、環状弾性部材40には、その軸方向に沿ってボルト挿入孔44が形成されている。ここでは、環状弾性部材40をその軸方向に沿って貫通する孔のうちボルトBが突出する側の部分に、ボルト挿入孔44が形成されている。
ボルト挿入孔44の内径寸法Rは、ボルトBの外径寸法R1と同じであるか、或は、ボルトBの外径寸法R2よりも小さく設定されている。ボルト挿入孔44の内径寸法Rが、ボルトBの外径寸法R1と同じである場合、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入すると、ボルトBはその周方向全体でボルト挿入孔44の内周面に接触することができる。また、ボルト挿入孔44の内径寸法Rが、ボルトBの外径寸法R1よりも小さい場合、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入すると、環状弾性部材40は、ボルトBの挿入力によってボルト挿入孔44を拡径するように弾性変形し、ボルトBはその周方向全体でボルト挿入孔44の内周面に接触することができる。いずれにせよ、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入すると、ボルトBをその周方向全体でボルト挿入孔44の内周面に接触させることができ、もって、ボルト挿入孔44内でのボルトBの移動、がたつき等を抑制することができる。
また、環状弾性部材40のうちボルトBが挿入される側の開口周縁部には、その周りよりも環状弾性部材40の軸方向において凹む第1環状凹部46が形成されている。環状弾性部材40の軸方向における第1環状凹部46の深さ寸法分、同方向におけるボルト挿入孔44の周壁部の厚み寸法を小さくすることができる。これにより、環状弾性部材40を、ボルト挿入孔44の周壁部で容易に弾性変形させることができる。
また、この第1環状凹部46は、ボルトBの挿入方向Pに向けて順次縮径するガイド面47bを含む。より具体的には、第1環状凹部46は、ボルトBが挿入される側の開口側周面47aと、開口側周面47aとボルト挿入孔44の内周面との間に介在するガイド面47bとによって規定されている。
開口側周面47aは、ボルトBの外径寸法R1又はR2よりも大きい(ここでは、十分に大きい)内径寸法に設定されており、また、その軸方向に沿って同径部分が続く形状とされている。なお、開口側周面47aは省略されてもよい。
ガイド面47bは、開口側周面47aからボルト挿入孔44の内周面に向けて徐々に縮径するテーパ面に形成されている。そして、ボルトBを、ボルト挿入孔44に向けて押込むと、開口側周面47a内からガイド面47b内を通ってボルト挿入孔44に挿入されるようになっている。ここで、ボルトBの軸心がボルト挿入孔44の軸心に対してずれていた場合、ボルトBの先端部がガイド面47bに当接する。この際、ガイド面47bは、ボルト挿入孔44に向けて順次縮径する形状に形成されているため、ボルトBは、ボルト挿入孔44内に向けてガイドされることになり、ボルトBをボルト挿入孔44内に容易に挿入することができる。
上記プロテクタ20を車体Aに固定する手順について説明する。
まず、図3及び図4を参照して、プロテクタ20の2つの固定部30及び車体Aに立設された2つのボルトBが、設計上理想的な位置に配設される場合について説明する。
この場合、2つの固定部30のそれぞれにおいて、各取付孔32の軸心とボルトBの軸心とを一致させることができる。このため、2つの固定部30を、2つのボルトBのそれぞれの上方位置に配設し、そのままプロテクタ20全体をボルトBに向けて移動させれば、取付孔32の軸心とボルトBの軸心とを一致させた状態で、ボルトBを取付孔32内に挿入することができる。この状態では、ボルトBはその周方向全体でボルト挿入孔44の内周面に接触しており、従って、ボルトBは、取付孔32内で遊び動かないようになっている。
そして、車体Aの取付部位上面に固定部30の一方主面を接触させて、ボルトBの先端部を、環状弾性部材40のボルト挿入孔44より突出させた状態とする。この後、ボルトBにナットNを螺合させて、ナットNの一方主面が固定部30の他方主面に接触するまで、当該ナットNを締付けると、車体AとナットNとの間で固定部30が挟まれて、プロテクタ20が車体に固定されることになる。
なお、ナットNの軸方向一方面側の大きさは、固定部30の取付孔32のうちボルトBが突出す側の開口よりも大きく設定され、ナットNが、当該ナットNを締付けた状態で、環状弾性部材40の周囲で固定部30の他方主面に接触できることが好ましい。これにより、環状弾性部材40よりも高剛性である固定部30を利用して、プロテクタ20をよりしっかりと車体Aに固定することができる。
まず、図5及び図6を参照して、プロテクタ20の2つの固定部30及び車体Aに立設された2つのボルトBが、ずれた位置に配設される場合について説明する。
すなわち、通常、プロテクタ20を製造する際、及び、車体Aを組立てボルトBを立設等する作業では、公差範囲内での誤差が許容されており、この公差範囲内で、プロテクタ20の2つの固定部30及び車体Aに立設された2つのボルトBが、理想的な位置からずれて配設される場合がある。
図5では、上記公差に起因して、2つの固定部30間の距離(即ち、ボルト挿入孔44間の距離)が、ボルトB間の距離よりも小さくなってしまった場合を示している。
この場合、2つのボルトBの軸心の双方を、ボルト挿入孔44の軸心と一致させることはできず、2つのボルトBの軸心の少なくとも一方を、対応するボルト挿入孔44の軸心からずらす必要がある。図5では、2つのボルトBの軸心の双方を、ボルト挿入孔44の軸心からずらして配設した状態を示している。
この状態で、プロテクタ20全体をボルトBに向けて移動させると、ボルトBの軸心はボルト挿入孔44の軸心からずれているので、ボルトBの先端部は、ガイド面47bに対して偏心した位置で当接する。そして、ボルトBの軸心がボルト挿入孔44の当初の軸心からずれた状態のまま、ボルトBがボルト挿入孔44に向けて押込まれると、当該ボルトBは、ボルト挿入孔44の周壁部の一部を外周側に向けて押広げるように弾性変形させる(図6参照)。
なお、図6では、図5に示す2つのボルトBのうち左側のボルトBがボルト挿入孔44に挿入された状態を示している。左側のボルトBは、図6に示す状態では、ボルト挿入孔44の周壁部の左側(2つのボルトB間の外に向く側)に押付けられ、当該周壁部の右側(2つのボルト間に向う側)に対しては隙間があけられた状態となっている。右側のボルトBでは、ボルト挿入孔44の周壁部の右側(2つのボルトB間の外に向く側)に押付けられ、当該周壁部の左側(2つのボルト間に向う側)に対しては隙間があけられた状態となる。いずれのボルトBにおいても、当該ボルトBは、上記公差を無くす方向に向けて、ボルト挿入孔44の周壁部の一部に押付けられる。このため、公差に起因して、ボルト挿入孔44の軸心とボルトBの軸心とがずれている状態で、ボルトBがボルト挿入孔44に挿入された状態においても、ボルト挿入孔44内においてボルトBは遊び動き難い。
特に、ボルト挿入孔44の内径寸法を、ボルトBの外径寸法よりも小さくすると、ボルト挿入孔44の軸心とボルトBの軸心とがずれている状態でも、ボルトBとボルト挿入孔44との間に隙間が生じ難く、従って、ボルト挿入孔44内においてボルトBはより遊び動き難い。
以上のように構成されたプロテクタ20及びワイヤーハーネス10によると、ボルトBを環状弾性部材40のボルト挿入孔44に挿入し、当該ボルトBにナットNを螺合等させることで、プロテクタ20を車体等に固定することができる。ボルトBの軸心とボルト挿入孔44の軸心とが一致している状態で、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入すると、ボルトBは、その外周全体でボルト挿入孔44の内周面に接触することができるため、ボルトBはボルト挿入孔44内でがたつき難くなる。また、ボルトBの軸心とボルト挿入孔44の軸心とがずれている状態で、ボルトBがボルト挿入孔44に挿入された場合、環状弾性部材40をボルト挿入孔44の周壁部で弾性変形させることができる。このため、ボルトBに対するボルト挿入孔44の位置ずれを吸収しつつ、ボルトBをボルト挿入孔44の周壁部に押付けた状態で、当該ボルトBをボルト挿入孔44に挿入することができ、この場合でも、固定後の状態で、ボルトBとボルト挿入孔44とのがたつきを抑制することができる。
また、ボルトBの外径寸法よりもボルト挿入孔44の内径寸法が小さいと、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入した状態で、環状弾性部材40及び固定部30から抜け難くなる。これにより、ナットNをボルトBに螺合締結する前で、ボルトBと環状弾性部材40及び固定部30とを仮固定でき、ナットNの螺合締結作業等を容易に行える。
また、環状弾性部材40のうちボルトBが挿入される側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第1環状凹部46が形成されているため、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入する際に、環状弾性部材40は、ボルト挿入孔44の周壁部で容易に弾性変形できる。これにより、ボルトBに対するボルト挿入孔44の位置ずれを容易に吸収できる。
また、第1環状凹部46は、ボルトBの挿入方向Pに向けて徐々に縮径するガイド面47bを含むため、ボルトBがガイド面47bに向けて案内される。これにより、ボルトBをボルト挿入孔44に容易に挿入することができる。
上記実施形態を前提とする変形例について説明する。
図7は第1変形例に係る環状弾性部材140を示す概略断面図であり、図8は第1変形例に係る環状弾性部材140が取付けられた固定部30を車体Aに固定した状態を示す概略断面図である。
この環状弾性部材140では、ボルト挿入孔44に対応するボルト挿入孔144に対してボルトBが突出する側の開口周縁部に、その周りよりもボルト挿入孔144の軸方向において凹む第2環状凹部148が形成されている。ボルトBの軸方向に沿って視ると、第2環状凹部148は、ナットNの存在範囲内に収る程度の大きさに設定されている。ここでは、第2環状凹部148の周面は、外方に向けて順次拡径する形状に形成されているが、必ずしも係る形状である必要はない。
この第2変形例では、上記第2環状凹部148を形成した分、ボルト挿入孔144の周壁部をその軸方向において小さくすることができる。これにより、ボルトBを環状弾性部材140のボルト挿入孔144に挿入する際、環状弾性部材140は、ボルト挿入孔144の周壁部で容易に弾性変形できる。これにより、ボルトBに対するボルト挿入孔144の位置ずれを容易に吸収できる。また、ボルトBの軸心とボルト挿入孔144の軸心とが位置ずれした状態で、ボルトBがボルト挿入孔144に挿入された場合には、ボルト挿入孔144の周壁部がボルトBの挿入方向Pに向けて捲れ上がる場合がある(図8の捲れ上がり部分144a参照)。このような場合でも、捲れ上がり部分144aは、第2環状凹部148内に収ることができる。このため、ボルトBに螺合締結されたナットNは、固定部30の他方主面に安定して接触させた状態となることができ、車体AとナットNとの間で固定部30を安定して挟込んで、当該固定部30を安定して固定することができる。
図9は第2変形例に係る固定部230及び環状弾性部材240を示す概略断面図である。
この第2変形例では、環状弾性部材40に対応する環状弾性部材240の外周部に対して、第1鍔部242及び第2鍔部243が形成されている。
第1鍔部242は、環状弾性部材240の外周面のうちその軸方向中間部に、その周方向全体において環状に張出すように形成されている。また、第2鍔部243は、環状弾性部材240の外周面のうちボルトBが挿入される側の端縁部に、その周方向全体において環状に張出すように形成されている。第1鍔部242と第2鍔部243とは、環状弾性部材240軸方向に沿って間隔をあけて設けられている。また、第2鍔部243は、第1鍔部242よりも環状弾性部材240の外周側に向けて大きく突出している。すなわち、第1鍔部242の外径寸法S1は、第2鍔部243の外径寸法S2よりも小さい。
また、固定部30に対応する固定部230には、上記取付孔32に対応する取付孔232が形成されている。取付孔232の内周部の軸方向中間部に第1鍔部242を嵌め込み可能な第1環状嵌込凹部234が形成されている。また、取付孔232の内周部のうちボルトBが挿入される側の端縁部には、第2鍔部243を嵌め込み可能な第2環状嵌込凹部235が形成されている。
第1環状嵌込凹部234は、取付孔232の軸方向において対向する面を有しており、上記第1鍔部242は、当該一対の面で挟まれた状態で、第1環状嵌込凹部234に嵌め込まれる。この嵌り込み構造によって、取付孔232に対するその軸方向両側への環状弾性部材240の抜け抑制が図られている。
一方、第2環状嵌込凹部235は、ボルトBが挿入される側で開口している。このため、第2鍔部243が第2環状嵌込凹部235に嵌め込まれた状態で、第2環状嵌込凹部235は、第2鍔部243を主としてボルトBの挿入方向側で受止めている。この嵌り込み構造によって、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入する際等における、取付孔232に対する前記挿入方向への環状弾性部材240の抜け抑制が図られている。
この第2変形例によると、第1鍔部242よりも第2鍔部243が外周側に向けて大きく突出しているため、比較的突出寸法が小さい第1鍔部242を第1環状嵌込凹部234に容易に嵌め込むことができる。また、第2環状嵌込凹部235は、ボルトBが挿入される側で開口しているため、第2鍔部243をボルトBの挿入方向に向けて押込むことで、比較的突出寸法が大きい第2鍔部243を第2環状嵌込凹部235に容易に嵌め込むことができる。
また、ボルトBをボルト挿入孔44に挿入する際には、環状弾性部材240を、取付孔232に対してボルト挿入方向Pに向けて押す力が作用する。そこで、第1鍔部242及び当該第1鍔部242よりも大きく突出する第2鍔部243によって、前記力を受止めて、環状弾性部材240がボルトの挿入方向Pに向けようとすることを抑制することができる。
図10は第3変形例に係る固定部330及び環状弾性部材340を示す概略断面図である。
環状弾性部材40に対応する環状弾性部材340の内周部には、上記第1変形例と同様に、ボルト挿入孔144及び第2環状凹部148が形成されている。
また、環状弾性部材340の外周部には、上記第2変形例と同様に、第1鍔部242及び第2鍔部243が形成されている。
また、固定部330には、上記第2変形例と同様に、取付孔232、第1環状嵌込凹部234及び第2環状嵌込凹部235が形成されている。
つまり、この第3変形例は、上記第1変形例に係る構成と、第2変形例に係る構成とが組合わされたものである。
{変形例}
上記実施形態及び各変形例では、プロテクタ20の一側部に2つの固定部が設けられた例で説明したが、固定部の配設位置は当該例に限られない。プロテクタの他側部にも固定部が設けられていてもよい。
また、上記実施形態及び各変形例において、樹脂製の取付孔と環状弾性部材との間、又は、取付孔の外周囲等に、金属等で形成された高剛性な環状部材が設けられていてもよい。
また、プロテクタに複数の固定部が設けられている場合において、その全ての固定部に上記取付孔が形成され、かつ、当該取付孔に環状弾性部材が取付けられている必要はなく、複数の固定部の一部に取付孔が形成され、かつ、当該取付孔に環状弾性部材が取付けられていてもよい。この場合、他の固定部には、ボルトをがたつき無く挿入できる程度の内径寸法を有するボルト挿入孔を形成するとよい。このボルト挿入孔には、金属製の管状部材である、金属製カラーが装着されていてもよい。また、他の固定部は、ボルトを用いた構成ではない他の構成、例えば、車体に形成された孔に挿入係止可能なクランプ部等によって固定されてもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 ワイヤーハーネス
12 ワイヤーハーネス本体
20 プロテクタ
22 プロテクタ本体
30 固定部
40、140、240、340 環状弾性部材
42 鍔部
44、144 ボルト挿入孔
46 第1環状凹部
47b ガイド面
148 第2環状凹部
230、330 固定部
32、232 取付孔
34 環状嵌込凹部
234 第1環状嵌込凹部
235 第2環状嵌込凹部
242 第1鍔部
243 第2鍔部
A 車体
B ボルト
N ナット

Claims (6)

  1. ワイヤーハーネス本体を収容した状態で、車体に突設されたボルトを介して前記車体に固定されるプロテクタであって、
    ワイヤーハーネス本体を収容可能なプロテクタ本体と、
    前記プロテクタ本体から外方に向けて突設され、取付孔が形成された固定部と、
    前記ボルトの外径寸法と同じかこれよりも小さい内径寸法のボルト挿入孔が形成され、前記取付孔内に取付けられた環状弾性部材と、
    を備えるプロテクタ。
  2. 請求項1記載のプロテクタであって、
    前記環状弾性部材のうち前記ボルトが挿入される側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第1環状凹部が形成されている、プロテクタ。
  3. 請求項2記載のプロテクタであって、
    前記第1環状凹部は、前記ボルトの挿入方向に向けて徐々に縮径するガイド面を含む、プロテクタ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
    前記環状弾性部材のうち前記ボルトが突出する側の開口周縁部に、その周りよりも凹む第2環状凹部が形成されている、プロテクタ。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のプロテクタであって、
    前記環状弾性部材の外周部に対して、前記環状弾性部材の軸方向中間部に第1鍔部が形成されると共に、前記ボルトが挿入される側の端縁部に第2鍔部が形成され、
    前記取付孔の内周部に対して、前記取付孔の軸方向中間部に前記第1鍔部を嵌め込み可能な第1環状嵌込凹部が形成されると共に、前記ボルトが挿入される側の端縁部に前記第2鍔部を嵌め込み可能で、かつ、前記ボルトが挿入される側で開口する第2環状嵌込凹部が形成されており、
    前記第1鍔部よりも前記第2鍔部が外周側に向けて大きく突出している、プロテクタ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のプロテクタと、
    前記プロテクタ本体に収容されたワイヤーハーネス本体と、
    を備えるワイヤーハーネス。
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WO2021230347A1 (ja) * 2020-05-15 2021-11-18 住友電装株式会社 ワイヤハーネス用固定部材及びワイヤハーネス
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