JP2015092089A - 摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩耗粉が発生したとしても、少なくとも摺動初期における摺動面の撥油性を保持することにより、初期馴染み性を向上させることができる。
【解決手段】摺動部材の摺動面には、複数の凹部がパターン状に形成されている。凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、前記摺動面のうち凹部が形成された表面以外の表面に比べて撥油性を有した撥油処理部を形成しており、撥油処理部は、摺動面全体の表面に対して面積率で30〜70%を有しており、各凹部の面積は、1〜50mm2である。
【選択図】図1
【解決手段】摺動部材の摺動面には、複数の凹部がパターン状に形成されている。凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、前記摺動面のうち凹部が形成された表面以外の表面に比べて撥油性を有した撥油処理部を形成しており、撥油処理部は、摺動面全体の表面に対して面積率で30〜70%を有しており、各凹部の面積は、1〜50mm2である。
【選択図】図1
Description
本発明は、初期馴染み性に優れた摺動部材に関する。
従来、摺動初期において、摺動面の早期初期馴染みの効果を得る場合、金属同士の直接的な接触を防止する目的で、摺動面へ自己犠牲的な摩耗特性を有する表面処理(リン酸マンガン処理、塩浴軟窒化処理など)を施すことが主流であった。
たとえば、浸漬法により、鉄鋼表面に厚さ0.5〜15μmの薄いリン酸マンガン皮膜などの不動態皮膜を成膜することがある。このような不動態皮膜は金属の耐摩耗性に優れているため、製品の寿命を伸ばす効果を期待することができる。
リン酸マンガン皮膜は、金属同士の直接接触を防止しながら犠牲的に摩耗して、よりフラットな摺動面を作り出す。これにより、摺動部材同士の初期馴染み性が向上し、低フリクションを発現することができ、無処理材からなる摺動部材に比べて、摩擦熱の発生を抑えることができる。このような結果、摩擦熱の発生に起因した、摺動面(金属表面)の硬度の低下および潤滑油の劣化を抑制することができる。また、塩浴軟窒化処理を行った場合には、たとえば鋼材表面からなる摺動面の硬度が、緻密な化合物層により増加し、耐摩耗性、耐焼付性、および耐食性が向上する。
ところで、潤滑油により摺動部材同士を摺動させる場合、撥油性の物質を用いることにより、摺動時の潤滑油の状態(油膜の状態)をコントロールし、摺動部材同士の初期馴染み性を高めることがある。たとえば、特許文献1には、軸及び軸受の少なくとも一方の回転摺動面には周方向の溝が形成され、溝の内面には撥油膜が被覆された回転摺動構造が提案されている。ここでは、撥油膜は、ポリエーテルサルフォンと、4弗化エチレン及び6弗化プロピレンの共重合体とを含んだFEPなどの樹脂膜からなる。
しかしながら、特許文献1に示すような樹脂膜を用いた場合には、摺動時に発生する摩耗粉が、樹脂製の撥油膜に入り込んだり、刺さったりすることにより、この部分が親油性を発現し、撥油性を有した表面の表面積が低下することがあった。これにより、摺動部材の初期馴染み性が十分得られないことがあった。
本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、本発明は、摩耗粉が発生したとしても、少なくとも摺動初期における摺動面の撥油性を保持することにより、初期馴染み性を向上させることができる摺動部材を提供することにある。
ここで、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、撥油性を有した撥油面(撥油処理部)とこれに比べて親油性を有した親油面とを、摺動面にパターニング処理することにより、特に低面圧下においてより早期に初期馴染みが得られると考え、この撥油面に撥油性を有したフッ素系合成油を用いることが効果的であるとの新たな知見を得た。
本発明は発明者らの新たな知見に基づくものであり、本発明に係る摺動部材は、摺動面に複数の凹部がパターン状に形成されており、該凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、前記摺動面のうち凹部が形成された表面以外の表面に比べて撥油性を有した撥油処理部を形成しており、該撥油処理部は、摺動面全体の表面に対して面積率で30〜70%を有しており、各撥油処理部の面積は、1〜50mm2であることを特徴とする。
本発明によれば、摺動面において、パターン状に形成された複数の凹部にフッ素系合成油を保持している(充填されている)部分(各撥油処理部)を有するので、低面圧下においても積極的に油膜切れを生じさせることにより、撥油処理部以外の表面(親油部)の初期馴染み性を高めることができる。
ここで、撥油処理部が、摺動面全体の表面に対して面積率で30%未満である場合、摺動面の油膜が厚くなりすぎてしまい、摺動部材の初期馴染み完了までに時間がかかってしまう。一方、撥油処理部が摺動面全体の表面に対して面積率で70%を超えた場合、摺動面の潤滑油量が急激に減少してしまい、摺動面が焼き付いてしまうことがある。
各撥油処理部の面積が1mm2未満である場合、凹部の面積が小さすぎるため、上述した面積率を前提とした場合、撥油処理部同士の間隔が狭くなってしまう。これにより、潤滑油が親油部から撥油処理部に移行しやすくなり、摺動部材の初期馴染み完了までに時間がかかってしまう。
一方、各撥油処理部の面積が50mm2を超えた場合、摺動面の全表面積に対する撥油処理部の面積が大きすぎるため、摺動時においてある一定時間における撥油処理部を通過する時間が長くなるため、焼き付きが生じやすくなってしまう。
本発明によれば、摩耗粉が発生したとしても、少なくとも摺動初期における摺動面の撥油性を保持することにより、初期馴染み性を向上させることができる
以下、図面を参照して、本実施形態に基づき本発明を説明する。
本実施形態に係る摺動部材は、鉄、銅、アルミニウム等の金属材料からなる摺動部材であり、その摺動部材の摺動面には、複数の凹部がパターン状に形成されている。具体的には、図1に示す斜線で示した部分が、凹部に相当し、この凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、摺動面のうち凹部が形成された表面以外の表面に比べて撥油性を有した撥油処理部が摺動面に形成されている。
本実施形態に係る摺動部材は、鉄、銅、アルミニウム等の金属材料からなる摺動部材であり、その摺動部材の摺動面には、複数の凹部がパターン状に形成されている。具体的には、図1に示す斜線で示した部分が、凹部に相当し、この凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、摺動面のうち凹部が形成された表面以外の表面に比べて撥油性を有した撥油処理部が摺動面に形成されている。
このような凹部は、ショットブラスト処理、エッチング処理、レーザ処理を施すことにより、形成することができる。たとえば、ショットブラスト処理により凹部を形成した場合には、まず、摺動部材となる基材の表面を鏡面仕上げする(たとえば十点平均粗さRz0.1μm以下)。
次に、撥油処理を行いたくない部分(図1の斜線で示した部分以外の部分)にマスキングを施す。マスキングには、例えば篩などに用いる網目状の格子鉄線などを用いる。その後、マスキングした表面に対して、金属、セラミック、ガラス、プラスチックなどの硬質粒子(基材の表面よりも硬質の粒子)を衝突させる。
たとえば、ステンレス製の基材の表面に、ブラスト処理条件として、投射材(粒子)はシリカ粒子を用いて、投射材の粒径0.1mm、投射量6kg/min、投射速度50m/s、処理時間5秒とした場合、図2および3に示すような凹部が形成され、これにフッ素系合成油を保持させることにより撥油処理部となる。
このようにパターニング面となる凹部全面に、フッ素系合成油(PFPE溶液)を塗布し、その後、例えばゴム製ワイーパーブレードにより全面を拭き取ることにより、ブラスト処理により形成された凹部にフッ素系合成油が残存する。ここで、PFPEは、Kryton(デュポン社製)、デムナム(ダイキン社製)、Fomblin(Solvay Plastics社製)に代表されるフッ素系合成油である。構造式をそれぞれ以下に示す。
Kryton:F(CF(CF3)CF2O)nCF2CF3
デムナム:F(CF2CF2CF2O)nCF2CF3
Fomblin:CF3O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF3
Kryton:F(CF(CF3)CF2O)nCF2CF3
デムナム:F(CF2CF2CF2O)nCF2CF3
Fomblin:CF3O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF3
このようなフッ素系合成油は、通常宇宙で用いられる潤滑剤であり、潤滑性に優れているのはもちろんのこと、蒸気圧が低いことが特徴として挙げられる。また、流動点が−30〜−60℃近傍であることから、自動車の潤滑油として使用できる。
さらに、上記構造からもわかるように、分子の大部分はフッ素原子により構成されていることから表面張力が低く、撥油性能が高いことが大きな特徴である。以上のようにして、撥油処理を施した部分(撥油処理部)と、それ以外の処理を施していない未処理部(親油性を有した表面(親油部))のパターニング処理が完成する。
さらに、本実施形態の撥油処理部は、摺動面全体の表面に対して面積率で30〜70%を有しており、各撥油処理部の面積は、1〜50mm2である。具体的には、図1に示すような格子状のパターンとした場合、摺動面全体の面積A、撥油処理部の総面積をBとした場合、面積率Fが上述した範囲となり、各撥油処理部の面積Dが、1〜50mm2である。
このように、本実施形態では、摺動面において、パターン状に形成された複数の凹部にフッ素系合成油を保持した撥油処理部が上述した面積率および大きさ(面積)で形成されているので、低面圧下においても積極的に油膜切れを生じさせることにより、親油部の初期馴染み性を高めることができる。なお、撥油処理部の面積率および面積の数値範囲の根拠は、後述する実施例において詳細を説明する。
また、実施形態では、摺動面に形成された凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、撥油処理部を形成したが、たとえば、フルオロアルキルシランなどを凹部の表面に化学的に吸着させるような処理は好ましくない。すなわち、このような場合には、凹部に撥油性を有した物質が充填(保持)されないため、凹部に潤滑油が流れ込んでしまうことがあり、撥油性を有した摺動面とすることができないおそれがある。
以下に本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
本発明に係る摺動部材として、30mm×30mmの摺動面を有した平板試験片(SUS440製)を作製し、これに摺動する相手材としてリング試験片(S45C焼入処理)を作製した。平板試験片の摺動面には、図1に示すような格子状のパターニングを表1に示す寸法で施した。
(実施例1)
本発明に係る摺動部材として、30mm×30mmの摺動面を有した平板試験片(SUS440製)を作製し、これに摺動する相手材としてリング試験片(S45C焼入処理)を作製した。平板試験片の摺動面には、図1に示すような格子状のパターニングを表1に示す寸法で施した。
具体的には、投射材(粒子)はシリカ粒子を用いて、投射材の粒径0.1mm、投射量6kg/min、投射速度50m/s、処理時間5秒として、ブラスト処理により表面に凹部のパターンを形成した。
パターニングされた摺動面の凹部に、フッ素系合成油(Kryton)を塗布後、ゴム製ワイーパーブレードにより全面を拭き取ることにより、凹部にフッ素系合成油を保持させた。このようにして実施例1に係る摺動部材を完成させた。
(比較例1〜4)
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。比較例1が実施例1と相違する点は、摺動面の表面を未処理にした点であり、比較例2が実施例1と相違する点は、摺動面に撥油性処理を行う代わりにリン酸マンガン処理を施した点であり、比較例3が実施例1と相違する点は、摺動面に撥油処理を行う代わりに塩浴軟窒化処理を行った点であり、比較例4が実施例1と相違する点は、ブラスト処理後の凹部にフッ素系合成油の代わりにPTFE(ポリテロラフルオロエチレン)を充填した点(表1参照)である。
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。比較例1が実施例1と相違する点は、摺動面の表面を未処理にした点であり、比較例2が実施例1と相違する点は、摺動面に撥油性処理を行う代わりにリン酸マンガン処理を施した点であり、比較例3が実施例1と相違する点は、摺動面に撥油処理を行う代わりに塩浴軟窒化処理を行った点であり、比較例4が実施例1と相違する点は、ブラスト処理後の凹部にフッ素系合成油の代わりにPTFE(ポリテロラフルオロエチレン)を充填した点(表1参照)である。
<初期馴染み特性の評価試験>
図4に示すように、平板試験片(摺動部材)の摺動面に、リング試験片の端面を押し付けて、エンジン油中(80℃)において、ならし運転後、一定の試験荷重(50MPa)のもと、摩擦係数の継時的変化を測定した。この結果を図5に示す。図5は、実施例1、比較例1〜4に係る摺動部材の初期馴染み特性を示した図である。
図4に示すように、平板試験片(摺動部材)の摺動面に、リング試験片の端面を押し付けて、エンジン油中(80℃)において、ならし運転後、一定の試験荷重(50MPa)のもと、摩擦係数の継時的変化を測定した。この結果を図5に示す。図5は、実施例1、比較例1〜4に係る摺動部材の初期馴染み特性を示した図である。
〔結果1〕
図5に示すように、実施例1の摺動部材は、比較例1〜4のものに比べて、摩擦係数がより早い時間で一定値に漸近していることから、早期に摺動面が相手材に馴染んでいることがわかる。これは、実施例1の摺動部材は、撥油処理部を設けることにより、摺動面の一部では適度にエンジン油の油膜切れが生じ、積極的に相手材と接触したものと考えられる。このような結果、実施例1の摺動部材は初期馴染みが向上としたものと考えられる。
図5に示すように、実施例1の摺動部材は、比較例1〜4のものに比べて、摩擦係数がより早い時間で一定値に漸近していることから、早期に摺動面が相手材に馴染んでいることがわかる。これは、実施例1の摺動部材は、撥油処理部を設けることにより、摺動面の一部では適度にエンジン油の油膜切れが生じ、積極的に相手材と接触したものと考えられる。このような結果、実施例1の摺動部材は初期馴染みが向上としたものと考えられる。
また、比較例4の場合には、摺動時に発生する摩耗粉が、固体であるPTFEに入り込みやすいため(摩耗粉がPTFEに突き刺さるため)、この部分が親油性を発現し、撥油性を有した表面の表面積が低下し、摺動部材の初期馴染み性が十分得られなかったと考えられる。
(実施例2〜6)
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。実施例2〜6の摺動部材では、表2に示すような寸法となるように、摺動面に対する撥油処理部の面積率を30〜70%の範囲に変更した点が、実施例1と相違する点である。なお、実施例1と実施例4とは同じ条件である。
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。実施例2〜6の摺動部材では、表2に示すような寸法となるように、摺動面に対する撥油処理部の面積率を30〜70%の範囲に変更した点が、実施例1と相違する点である。なお、実施例1と実施例4とは同じ条件である。
(比較例5〜9)
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。比較例5および6では、表2に示すように撥油処理部が、摺動面の全表面に対して面積率で30%未満とした点(具体的に順に面積率10%、20%)が実施例1と相違している。比較例7および9では、表2に示すように撥油処理部が、摺動面の全表面に対して面積率で30%超えとした点(具体的に順に面積率80%、90%、100%)が実施例1と相違している。
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。比較例5および6では、表2に示すように撥油処理部が、摺動面の全表面に対して面積率で30%未満とした点(具体的に順に面積率10%、20%)が実施例1と相違している。比較例7および9では、表2に示すように撥油処理部が、摺動面の全表面に対して面積率で30%超えとした点(具体的に順に面積率80%、90%、100%)が実施例1と相違している。
実施例2〜6および比較例5〜9に係る摺動部材、および上述した比較例2および3に係る摺動部材に対して、初期馴染み特性および焼付特性の評価試験を行った。具体的には、初期馴染み特性試験では、図4に示す試験を行って、摩擦係数が安定したときの時間を馴染み完了時間とした。この結果を図6に示す。さらに、焼付特性試験では、図4に示す試験を行って、押し付け荷重を徐々に上昇させていき、焼き付きが発生したときの荷重から焼付面圧を求めた。この結果を図7に示す。
図6は、実施例2〜6および比較例2、3、5〜9に係る摺動部材の馴染み完了時間を示した図である。図7は、実施例2〜6および比較例2、3、5〜9に係る摺動部材の焼付面圧を示した図である。
〔結果2〕
図6に示すように、実施例2〜6の如く、撥油処理部の面積比が30%以上の場合、馴染み完了時間が他に比べて短く、初期馴染みが向上すると考えられ、より好ましくは撥油処理部の面積率は50%以上である。これは、撥油処理部の面積率が30%未満と少ない場合には、図11(a)に示すように、摺動面全体に、エンジン油(潤滑油)が行き届いてしまい、摺動面の油膜が厚くなりすぎてしまうからであると考えられる。
図6に示すように、実施例2〜6の如く、撥油処理部の面積比が30%以上の場合、馴染み完了時間が他に比べて短く、初期馴染みが向上すると考えられ、より好ましくは撥油処理部の面積率は50%以上である。これは、撥油処理部の面積率が30%未満と少ない場合には、図11(a)に示すように、摺動面全体に、エンジン油(潤滑油)が行き届いてしまい、摺動面の油膜が厚くなりすぎてしまうからであると考えられる。
一方、図7に示すように、実施例2〜6の如く、撥油処理部の面積率が70%以下の場合には、焼付荷重は大きい。これは、撥油処理部の面積率が70%を超えた場合には、図11(c)に示すように、摺動面の潤滑油量が急激に減少してしまい、摺動面間の距離は小さくなり、この結果接触頻度が増加し、低い面圧で摺動面が焼付いてしまうと考えられる。
このような結果、図11(b)に示すような状態が好ましく、このような状態にするには、撥油処理部が摺動面の全表面に対して面積率で30〜70%を有していることが条件であり、より好ましくは、面積率で50〜70%である。
(実施例7)
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。実施例1と相違する点は、撥油処理部の形状を矩形から円形にした点であり、撥油処理部の面積率は同じである。実施例1と同じように、初期馴染み特性の評価試験を行った。この結果を図8に示す。図8は、実施例1および実施例7に係る摺動部材の馴染み特性を示した図である。
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。実施例1と相違する点は、撥油処理部の形状を矩形から円形にした点であり、撥油処理部の面積率は同じである。実施例1と同じように、初期馴染み特性の評価試験を行った。この結果を図8に示す。図8は、実施例1および実施例7に係る摺動部材の馴染み特性を示した図である。
〔結果3〕
図8に示すように、摺動部材の馴染み特性に対して、撥油処理部の形状は影響がなく、撥油処理部の面積率を摺動面全体に対して30%〜70%(好ましくは50〜70%)にすれば、焼付特性を維持した状態で(初期)馴染み性を向上させることができると考えられる。
図8に示すように、摺動部材の馴染み特性に対して、撥油処理部の形状は影響がなく、撥油処理部の面積率を摺動面全体に対して30%〜70%(好ましくは50〜70%)にすれば、焼付特性を維持した状態で(初期)馴染み性を向上させることができると考えられる。
(実施例8〜11)
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。実施例8〜11の摺動部材では、表3に示すような寸法となるように、撥油処理部の面積を1〜50mm2の範囲で変更した点が、実施例1と大きく相違する点である。
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。実施例8〜11の摺動部材では、表3に示すような寸法となるように、撥油処理部の面積を1〜50mm2の範囲で変更した点が、実施例1と大きく相違する点である。
(比較例10〜13)
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。比較例10および11では、表3に示すように、撥油処理部の面積を1mm2未満とした点(具体的に順に面積率0.01mm2、0.5mm2)が実施例1と相違している。比較例12および13では、表3に示すように撥油処理部の面積を50mm2超えとした点(具体的に順に面積率75mm2、100mm2)が実施例1と相違している。
実施例1と同じように、摺動部材を作製した。比較例10および11では、表3に示すように、撥油処理部の面積を1mm2未満とした点(具体的に順に面積率0.01mm2、0.5mm2)が実施例1と相違している。比較例12および13では、表3に示すように撥油処理部の面積を50mm2超えとした点(具体的に順に面積率75mm2、100mm2)が実施例1と相違している。
実施例8〜11および比較例10〜13に係る摺動部材に対して、初期馴染み特性および焼付特性の評価試験を行った。具体的には、初期馴染み特性試験では、図4に示す試験を行って、摩擦係数が安定したときの時間を馴染み完了時間とした。この結果を図9に示す。さらに、焼付特性試験では、図4に示す試験を行って、押し付け荷重を徐々に上昇させていき、焼き付きが発生したときの荷重から焼付面圧を求めた。この結果を図10に示す。
図9は、実施例8〜11および比較例10〜13に係る摺動部材の馴染み完了時間を示した図である。図10は、実施例8〜11および比較例10〜13に係る摺動部材の焼付面圧を示した図である。
〔結果4〕
図9に示すように、撥油処理部の面積を1mm2以上の場合には馴染み完了時間が他に比べて短く、初期馴染みが向上すると考えられる。これは、比較例10、11の如く、各撥油処理部の面積が1mm2未満である場合、撥油処理部の面積が小さすぎるため、撥油処理部同士の間隔が狭くなってしまう。これにより、潤滑油が親油部から撥油処理部に移行しやすくなり、摺動部材の初期馴染み完了までに時間がかかってしまうと考えられる。
図9に示すように、撥油処理部の面積を1mm2以上の場合には馴染み完了時間が他に比べて短く、初期馴染みが向上すると考えられる。これは、比較例10、11の如く、各撥油処理部の面積が1mm2未満である場合、撥油処理部の面積が小さすぎるため、撥油処理部同士の間隔が狭くなってしまう。これにより、潤滑油が親油部から撥油処理部に移行しやすくなり、摺動部材の初期馴染み完了までに時間がかかってしまうと考えられる。
一方、図10に示すように、撥油処理部の面積率が50mm2以下の場合には、焼付荷重は大きい。これは、比較例12、13の如く、各撥油処理部の面積が50mm2を超えた場合、摺動面の全表面積に対する撥油処理部の面積が大きすぎるため、摺動時においてある一定時間における撥油処理部を通過する時間が長くなるため、焼き付きが生じやすくなってしまうからであると考えられる。
このような結果から、各撥油処理部の面積は、1〜50mm2であれば、焼付特性を維持した状態で(初期)馴染み性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
Claims (1)
- 摺動面に複数の凹部がパターン状に形成されており、
該凹部にフッ素系合成油を保持させることにより、前記摺動面のうち凹部が形成された表面以外の表面に比べて撥油性を有した撥油処理部を形成しており、
該撥油処理部は、前記摺動面の全表面に対して面積率で30〜70%を有しており、
各撥油処理部の面積は、1〜50mm2であることを特徴とする摺動部材。
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JP (1) | JP2015092089A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017026274A1 (ja) * | 2015-08-07 | 2017-02-16 | 株式会社東郷製作所 | 軸継手構造 |
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2013
- 2013-11-08 JP JP2013231665A patent/JP2015092089A/ja active Pending
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WO2017026274A1 (ja) * | 2015-08-07 | 2017-02-16 | 株式会社東郷製作所 | 軸継手構造 |
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