JP2015091919A - トリアジン環含有ポリマーを含む組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記第1成分及び第2成分を含む組成物。第1成分:屈折率が1.70以上2.10以下である、下記式(1)又は(2)で表されるトリアジン環含有ポリマー;第2成分:ヘテロ原子として酸素原子のみを含む有機溶媒(式(1)、(2)中、Xは、−O−、−S−、−NR1−又は−PR1−を表す。R1は、水素原子、アルキル基等を表す。R2は、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基等を表す。nはポリマーにおける繰り返し構造の繰り返し数を表し、5以上5,000以下の整数である。)
【選択図】なし
Description
透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルディスプレイや、抵抗膜式タッチパネルの透明電極等、電気・電子分野の用途に広く使用されている。
しかしながら、特許文献1〜3記載の透明導電フィルムで視認性の改善はできるものの、これらを組み合わせてタッチパネルを製造する際に用いる光学粘着剤、光学接着剤と屈折率差が生じるため、粘着剤層、接着剤層との界面の反射が大きくなる問題は解決していなかった。
1.下記第1成分及び第2成分を含む組成物。
第1成分:屈折率が1.70以上2.10以下である、下記式(1)又は(2)で表されるトリアジン環含有ポリマー
第2成分:ヘテロ原子として酸素原子のみを含む有機溶媒
R1は、水素原子、アルキル基、単環もしくは多環状のシクロアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基、アセチル基、これらの基のうち1種類以上が複数組み合わさってなる基、又は、これらの基と、単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR3−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1種以上の2価の基が組み合わさってなる基を表す。R1はさらに置換基によって置換されていてもよい。R1が複数存在する場合、複数のR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R2は、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、又は1以上の2価の脂肪族炭化水素基及び1以上の2価の芳香族炭化水素基と、−S−、−S(=O)2−、−O−、−NH−、−NR3−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−、−(CO)−、−O−(CO)−O−及び−NH−(CO)−NH−から選択される1以上との組み合わせからなる2価の基を表す。
R2はさらに置換基によって置換されていてもよい。
R3は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は1以上の脂肪族炭化水素基及び1以上の芳香族炭化水素基から選択される2以上の組み合わせからなる基である。
nはポリマーにおける繰り返し構造の繰り返し数を表し、5以上5,000以下の整数である。
2.前記第1成分が、下記式(3)〜(7)のいずれかで表されるトリアジン環含有線状ポリマーである1に記載の組成物。
R8は、それぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は1以上の脂肪族炭化水素基及び1以上の芳香族炭化水素基から選択される1以上と、単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR13−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1以上との組み合わせからなる基を表す。R8はさらに置換基によって置換されていてもよい。
R9は、水素原子、アセチル基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基と単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR13−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1以上との組み合わせからなる基を有する脂肪族炭化水素基を表す。R9はさらに置換基によって置換されていてもよい。
R10は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基と単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR13−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1以上との組み合わせからなる基を有する脂肪族炭化水素基を表す。R10はさらに置換基によって置換されていてもよい。
Arは2価の芳香族炭化水素基を表す。
Yはヘテロ原子含有置換基を表す。mは1〜5の整数を表す。
Zは2価のヘテロ原子含有基(ただし、−N(R8)−を除く)である。
R11は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
R12は置換もしくは無置換の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
R13は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は1以上の脂肪族炭化水素基及び1以上の芳香族炭化水素基から選択される2以上の組み合わせからなる基である。
nはポリマーにおける繰り返し構造の繰り返し数を表し、5以上5,000以下の整数である。)
3.前記トリアジン環含有ポリマーの重量平均分子量が3,000以上300,000以下である1又は2に記載の組成物。
4.前記第2成分が、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒又はケトン系溶媒である1〜3のいずれかに記載の組成物。
5.前記アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒又はケトン系溶媒が、
水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される2種以上の基をそれぞれ1以上含む有機溶媒
水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される基を少なくとも1つと炭素炭素間二重結合とを含む有機溶媒、又は
水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される基を少なくとも1つ含む環状構造を有する有機溶媒
である4に記載の組成物。
6.下記第3成分を含む1〜5のいずれかに記載の組成物。
第3成分:下記式(8)で表される化合物又はその重合体
R6は、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の単環状又は多環状の環状脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基と炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を組み合わせからなる炭素数7〜20の基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10の複素環基、又はヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む炭素数1〜40の基を表す。
nは1〜3の整数を表す。)
7.下記第4成分を含む6に記載の組成物。
第4成分:ヘテロ原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1つを含み、常温常圧において液体又は固体である有機化合物
8.1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる薄膜、又は前記薄膜を含む多層膜。
9.8に記載の薄膜又は多層膜、及び支持体として透明樹脂又は透明ガラスを含む透明フィルム又は透明板。
10.1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる膜厚10nm〜1mmの薄膜を1以上及び前記薄膜とは異なる異種膜を1以上含む多層膜又は前記多層膜及び支持体を含む透明フィルム又は透明板であって、
前記多層膜が、
前記薄膜のうち1層の表面及び裏面に異種膜をそれぞれ1以上含む多層膜、
前記薄膜のうち1層を前記多層膜の最表面に含み、前記最表面の薄膜の裏面に異種膜を1以上含む多層膜、又は
前記薄膜のうち1層を前記多層膜の最裏面に含み、前記最裏面の薄膜の表面に異種膜を1以上含む多層膜
である透明フィルム又は透明板。
11.前記支持体が透明樹脂又は透明ガラスからなる10に記載の透明フィルム又は透明板。
12.前記異種膜のうち少なくとも1つが透明導電材料を含む膜である10又は11に記載の透明フィルム又は透明板。
13.9〜12のいずれかに記載の透明フィルム又は透明板を含む、光学透明フィルム又は透明導電フィルム。
14.13に記載の光学透明フィルム又は透明導電フィルムを含む、電子デバイス、発光デバイス、光学デバイス、又は表示デバイス。
第1成分:屈折率が1.70以上2.10以下である、式(1)又は(2)で表されるトリアジン環含有ポリマー
第2成分:有機溶媒
さらに、従来の無機酸化物微粒子を用いる場合のように光学特性と分散安定性のバランスを取る必要がなく、微粒子に基づくレイリー散乱による濁りも生じないため、透明性の高い膜を提供できる。
以下、各成分について説明する。
トリアジン環含有ポリマーは下記式(1)又は(2)で表される。
R1は、水素原子、アルキル基、単環もしくは多環状のシクロアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基、アセチル基、これらの基のうち1種類以上が複数組み合わさってなる基、又は、これらの基と、単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR3−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1種以上の2価の基が組み合わさってなる基を表す。R1はさらに置換基によって置換されていてもよい。R1が複数存在する場合、複数のR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R2はさらに置換基によって置換されていてもよい。
2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。2価の芳香族炭化水素基の環形成炭素数は6〜10が好ましい。
R7は、他の基によってさらに置換されていてもよく、これら置換基は後述する通りである。
脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。芳香族炭化水素基の環形成炭素数は6〜10が好ましい。
R8は、他の基によってさらに置換されていてもよく、これら置換基は後述する通りである。
脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。芳香族炭化水素基の環形成炭素数は6〜10が好ましい。
R9は好ましくは水素原子、アセチル基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。これらの基であると、組成物及び得られる膜がさらに高屈折率となる。
R9は、他の基によってさらに置換されていてもよく、これら置換基は後述する通りである。
脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。芳香族炭化水素基の環形成炭素数は6〜10が好ましい。
R10は好ましくは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、又は環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。これらの基であると、組成物及び得られる膜がさらに高屈折率となる。
R10は、他の基によってさらに置換されていてもよく、これら置換基は後述する通りである。
Arは、他の基によってさらに置換されていてもよく、これら置換基は後述する通りである。
Yとしては、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ニトロ基、チオール基、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基、アルコキシカルボニル基又はアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。これらの基であると、組成物及び得られる膜がさらに高屈折率となる。
mは1〜5の整数を表す。
脂肪族炭化水素基(アルキル基)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、上記のものから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
2価の環状脂肪族炭化水素基としては、上記のものから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、上記のものから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
屈折率が1.70未満であると、他の層との屈折率差が大きくなる恐れがあり、2.10を超えると、膜の表面の反射率が高くなるため光線透過率が低くなり透明性が低下する場合がある。
重量平均分子量として3,000未満の有機オリゴマー又は有機低分子化合物であると、膜の作製が困難であるおそれがあり、作製できた場合でも膜の機械的強度、耐熱性が低下するおそれがある。重量平均分子量が300,000を超えると、例えば、塗液として塗布製膜を行う場合において、有機溶剤に溶解しにくくなるため製膜が困難になるおそれがある。
重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーで測定する。測定条件は、分子量標準物質と一般的に用いられるポリスチレンを用い、カラム種、溶媒種等は測定するサンプルにより適宜選択できる。
トリアジン環含有ポリマーの重量平均分子量は、3,000以上100,000以下であるとより好ましい。
0.01重量%未満であると、組成物中の第1成分の量が不足し、実質的に第1成分を含まない場合と同様の物性を示すおそれがあり、50重量%を超えると、溶解しない第1成分が異物として残り、又は液粘度が高くなりすぎ、均一な組成物の作製が困難となるおそれがある。
第2成分は、ヘテロ原子として酸素原子のみを含む有機溶媒である。
ヘテロ原子として酸素原子のみを含む有機溶媒としては、アルコール系溶媒(水酸基含有化合物)、エステル系溶媒(エステル結合含有化合物)、エーテル系溶媒(エーテル結合含有化合物)、ケトン系溶媒(カルボニル基含有化合物)が好適であり、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン等が挙げられる。
・水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される2種以上の基をそれぞれ1以上含む有機溶媒
・水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される基を少なくとも1つと炭素炭素間二重結合とを含む有機溶媒
・水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される基を少なくとも1つ含む環状構造を有する有機溶媒
このような有機溶媒として、具体的にはPGME、イソホロン、シクロヘキサノン及びシクロペンタノンが挙げられ、PGME、イソホロンは本発明のポリマーの溶解度が高いため最も好ましい。
第3成分は下記式(8)で表される化合物又はそれから得られる重合体である。第3成分を含むと、本発明の組成物に硬化性、粘着性等の機能を付与できる点で好ましい。
R6は、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の単環状又は多環状の環状脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基と炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を組み合わせからなる炭素数7〜20の基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10の複素環基、又はヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む炭素数1〜40の基を表す。
nは1〜3の整数である。
R6における「ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む炭素数1〜40の基」において、ヘテロ原子を含む構造としては、ウレタン結合、アミド結合、イミド結合、尿素結合、エステル結合、エーテル結合又はチオエーテル結合が挙げられる。これらの構造から選択される少なくとも1つ以上の構造を含む、炭素数1〜20の飽和脂肪族炭化水素基、2価の飽和脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜10の芳香族基が好ましい。
また、R6としては、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アミノ基、アミド基、シアノ基、及び2価のアミド結合(−NH−(C=O)−)から選ばれる少なくとも1つの基が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10の単環状又は多環状のシクロアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基と組み合わさってなる基が好ましい。
重合様式は特に制限はなく、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等が用いられ、公知の重合条件で得られるものである。
重合体の分子量は、構造、重合様式、重合条件、所望の組成物の物性等により任意の値を取り得るが、重量平均分子量として、通常500〜1,000,000である。
第4成分は、ヘテロ原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される原子を少なくとも1つを含み、常温常圧において液体又は固体である有機化合物(相溶化剤)である。
第1成分〜第3成分からなる組成物において、それらの組合せにより第1〜第3成分が相溶しない場合には、相溶化剤として第4成分を用いることが好ましい。
含ハロゲン有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等が挙げられる。
本発明の組成物には、上記第1成分〜第4成分の他に添加剤を加えてもよい。添加剤は、本発明の目的に反しない限り特に限定されず、例えば、従来公知の光酸発生剤、光塩基発生剤、光ラジカル発生剤等のUV硬化開始剤や熱硬化開始剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のレベリング剤、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、シュウ酸リチウム等の無機塩や有機塩等を用いることができる。添加量はその目的、種類によるため一概に規定できないが、第1成分〜第4成分よりも少量用いる。
本発明において「実質的」とは、組成物全体の95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)が第1成分及び第2成分ならびに任意に第3成分、第4成分及び他の添加剤であることを意味する。
本発明の薄膜は、本発明の組成物を用いて形成することができる。
本発明の薄膜は、支持体の表面や、支持体表面に他の薄膜を成膜した上に組成物を成膜して作製することができる。また、上記の薄膜に他の膜を組み合わせることにより、多層膜としてもよい。
本発明の組成物を成膜した支持体や、支持体の表面に他の薄膜を製膜した表面には、他のフィルムや基板を接着・粘着することができる。
本発明の透明フィルム及び透明板(透明フィルム等)は、本発明の薄膜又は多層膜、及び支持体として透明樹脂又は透明ガラスを含む。
また、本発明の透明フィルム等は以下の構成とすることができる。
即ち、多層膜、又は多層膜及び支持体を含み、上記多層膜は、本発明の組成物から得られる膜厚10nm〜1mmの薄膜(薄膜A)を1以上と、この薄膜とは異なる異種膜を1以上含む。
また、上記多層膜は、(1)薄膜Aのうち1層の表面及び裏面に異種膜をそれぞれ1以上含む多層膜、(2)薄膜Aのうち1層を多層膜の最表面に含み、この最表面の薄膜の裏面に異種膜を1以上含む多層膜、又は(3)薄膜Aのうち1層を多層膜の最裏面に含み、この最裏面の薄膜の表面に異種膜を1以上含む多層膜のいずれかとすることができる。
多層膜には、本発明の薄膜(薄膜A)を単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。複数を組み合わせて使用する場合、それぞれの薄膜が隣り合って存在してもよいし、離れて存在してもよい。
尚、「多層膜」とは2以上の層(膜)を含む積層体を意味する。
本発明の薄膜は、例えば、98重量%以上、99重量%以上又は100重量%が有機化合物からなってもよい。
尚、本発明の薄膜に用いる有機化合物は1種でも複数を混合したものでもよい。
異種膜とは、本発明の薄膜(薄膜A)とは異なる膜を指す。即ち、本発明の組成物から得られた膜ではなく、異なる化合物からなる膜、本発明の組成物から得られ、膜厚10nm〜1mmの範囲外の膜厚である膜、又は本発明の薄膜とは異なる物性の膜を指す。
透明導電性薄膜の層構造は、単層構造でもよいし2層以上の積層構造でもよい。2層以上の積層構造を有する透明導電性薄膜の場合、各層を構成する材料は同一でもよいし異なっていてもよい。
透明導電性薄膜を異種膜と積層した透明導電性積層フィルムは、タッチパネル等に使用できる。
誘電体層としては、具体的には、SiO2、Al2O3等の透明金属酸化物及びSiO2−Al2O3等の複合金属酸化物、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系の樹脂からなる有機物等が用いられる。
ハードコートティング層としては、従来公知のアクリル系UV硬化樹脂、オルガノシリケート系熱硬化樹脂等が用いられる。
バリア層としては、具体的には、SiO2、Al2O3等の透明金属酸化物、窒化ホウ素等が用いられる。
本発明の透明フィルム又は透明板は、光学透明フィルム又は透明導電フィルムとして用いることができる。具体的に、タッチパネルやディスプレイ等を製造する際に、透明導電フィルムや偏光調整板等の光学透明フィルムとして、カバーガラスやカラーフィルター等の光学部材を組み立てる際に用いる光学粘着剤として、又は光ファイバー、レンズ等の光学部品等を接着する際に用いる硬化性光学接着剤等として使用することができる。
また、これらの光学透明フィルム等は、電子デバイス、発光デバイス、光学デバイス、表示デバイス、操作デバイス等に使用できる。これらデバイスとしては、例えば、LEDデバイス、有機ELデバイス等からなる照明器具、ディスプレイの他、光学情報処理装置、レンズ、光ファイバー等が例示される。
第1成分として用いたトリアジン環含有ポリマーは、従来公知の方法(特開平7−113009号公報、特開第2009−001658号公報)により製造した。以下の実施例、比較例において使用したトリアジン環含有ポリマーを以下に示す。
膜厚は、反射光学式膜厚計F20(フィルムメトリクス社製)を用いて測定した。D線屈折率は、プリズムカプラModel−2010(メトリコン社製)を用いて測定した。全光線透過率、Haze(曇り度)は、ヘーズメーターNDH5000(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K7105に準拠した条件で測定した。
塗布溶媒としてNMPを用い、固形分(ポリマー)含量が2.5重量パーセントとなるように塗布液を作成した。2cm×2cm、厚さ1mmの合成石英基板上に、スピンコーターを用いて2000rpmで60秒回転して塗布液を均一に塗布した。予め200℃に設定したホットプレート上に塗布液を塗布した基板を置き、30分間加熱乾燥させることにより溶媒を揮発させ、合成石英基板上に薄膜を形成した。
この薄膜について分光エリプソメトリー装置(M−2000D、J.A.Woollam社製)を用いて測定し、190〜1700nmの波長範囲で一般分散式化モデルにて解析して、D線(589.3nm)の屈折率を求めた。
第1成分としてトリアジン環を含む線状ポリマー(ポリマー2)(重量平均分子量3,300)を0.30g、第2成分としてPGME(和光純薬製、特級)を2.72g用い、内容量10ミリリットルのガラス瓶中で混合した。第1成分は第2成分に溶解し、透明で均一な溶液組成物を得た。
尚、上記の測定方法で測定したポリマー2の屈折率は1.93であった。
第1成分〜第4成分からなる溶液組成物を、バーコーターSA−203(ROD No.22、Φ6.35mm、テスター産業株式会社製)で、10cm×10cmのPETフィルム(コスモシャインA−4100、片面易接着、厚さ125μm、東洋紡株式会社製)に塗布し、次いで、送風乾燥機内にて100℃で4分間乾燥し、目視上無色透明な粘着性の薄膜を得た。
PETフィルム上に形成した薄膜に関して測定を行ったところ、膜厚は7.6μm、D線屈折率は1.54であり、Hazeは0.54%であった。
実施例1において、第2成分のPGMEの代わりにトルエン(和光純薬製、特級)を用いた以外は実施例1と同様に行ったところ、第1成分が第2成分に溶解せず、透明で均一な溶液組成物は得られなかった。
第1成分としてトリアジン環含有線状ポリマー(ポリマー2)(重量平均分子量3,300)を0.20g、第2成分としてイソホロンを1.81g用い、内容量10ミリリットルのガラス瓶中で混合した。第1成分は第2成分に溶解し、透明で均一な溶液組成物を得た。
第1成分と第2成分からなる溶液組成物0.50gと、アクリル系UV硬化組成物(第3成分と第4成分からなる溶液組成物)0.52gを混合した。これらは均一に混合し、透明で均一な溶液組成物を得た。
PETフィルム上に形成したUV硬化膜に関して測定を行ったところ、膜厚は1.1μm、D線屈折率は1.61であり、Hazeは1.03%であった。
表1に記載のトリアジン環含有線状ポリマー、及び溶媒としてDMF(N,N−ジメチルアセトホルムアミド)とMIBK(メチルイソブチルケトン)の混合液(重量比1:1)を用い、表1に記載のポリマー濃度となるように、これらを内容量10ミリリットルのガラス瓶中で混合して均一な組成物を調製した。尚、トリアジン環含有線状ポリマーの重量平均分子量は予めゲル浸透クロマトグラフィーにて測定した。
ポリマー1の屈折率は1.81であり、ポリマー3の屈折率は1.92であった。
得られた膜について、膜厚、全光線透過率、Haze(曇り度)を測定した。結果を表1に示す。
トリアジン環含有線状ポリマーの代わりにポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた他は実施例3と同様に膜を形成し、評価した。結果を表1に示す。
実施例3〜5に比べて全光線透過率が高く無色透明であったが、屈折率は1.49と低かった。
PETフィルムとトリアジン環含有線状ポリマー膜の間に、インジウムとスズの原子比が18:1であり、膜厚が20nmのインジウム−スズ複合酸化物膜を形成した他は、実施例3〜5と同様に透明フィルムを得た。
得られた透明フィルムについて全光線透過率を測定したところ、いずれも83%であった。
PETフィルムとPMMA膜の間に、実施例6〜8と同様にインジウム−スズ複合酸化物膜を形成した他は、比較例2と同様にフィルムを得た。
このフィルムの全光線透過率を測定したところ、73%であった。
インジウム−スズ複合酸化物膜のみが設けられたPETフィルム、即ち、インジウム−スズ複合酸化物膜とPETフィルムの間にポリマー膜を有さないフィルムについて全光線透過率を測定したところ、76%であった。
一方、比較例3(PMMA)の場合、インジウム−スズ複合酸化物膜とPMMA膜の屈折率の差が大きい。そのため入射光の反射率が大きく、インジウム−スズ複合酸化物膜のみを有するPETフィルム(比較例4)よりも全光線透過率が低くなった。
上述したように、本発明の透明フィルムは全光線透過率を向上できるため、特に、透明導電フィルムに用いると好適である。また、透明板に適用しても同様の効果が得られる。
10 支持体
20 薄膜A
30,32 異種膜
Claims (14)
- 下記第1成分及び第2成分を含む組成物。
第1成分:屈折率が1.70以上2.10以下である、下記式(1)又は(2)で表されるトリアジン環含有ポリマー
第2成分:ヘテロ原子として酸素原子のみを含む有機溶媒
R1は、水素原子、アルキル基、単環もしくは多環状のシクロアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基、アセチル基、これらの基のうち1種類以上が複数組み合わさってなる基、又は、これらの基と、単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR3−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1種以上の2価の基が組み合わさってなる基を表す。R1はさらに置換基によって置換されていてもよい。R1が複数存在する場合、複数のR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R2は、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、又は1以上の2価の脂肪族炭化水素基及び1以上の2価の芳香族炭化水素基と、−S−、−S(=O)2−、−O−、−NH−、−NR3−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−、−(CO)−、−O−(CO)−O−及び−NH−(CO)−NH−から選択される1以上との組み合わせからなる2価の基を表す。
R2はさらに置換基によって置換されていてもよい。
R3は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は1以上の脂肪族炭化水素基及び1以上の芳香族炭化水素基から選択される2以上の組み合わせからなる基である。
nはポリマーにおける繰り返し構造の繰り返し数を表し、5以上5,000以下の整数である。 - 前記第1成分が、下記式(3)〜(7)のいずれかで表されるトリアジン環含有線状ポリマーである請求項1に記載の組成物。
R8は、それぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は1以上の脂肪族炭化水素基及び1以上の芳香族炭化水素基から選択される1以上と、単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR13−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1以上との組み合わせからなる基を表す。R8はさらに置換基によって置換されていてもよい。
R9は、水素原子、アセチル基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基と単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR13−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1以上との組み合わせからなる基を有する脂肪族炭化水素基を表す。R9はさらに置換基によって置換されていてもよい。
R10は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基と単結合、−S−、−O−、−NH−、−NR13−、−(CO)−NH−、−(CO)−O−及び−(CO)−から選択される1以上との組み合わせからなる基を有する脂肪族炭化水素基を表す。R10はさらに置換基によって置換されていてもよい。
Arは2価の芳香族炭化水素基を表す。
Yはヘテロ原子含有置換基を表す。mは1〜5の整数を表す。
Zは2価のヘテロ原子含有基(ただし、−N(R8)−を除く)である。
R11は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
R12は置換もしくは無置換の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
R13は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は1以上の脂肪族炭化水素基及び1以上の芳香族炭化水素基から選択される2以上の組み合わせからなる基である。
nはポリマーにおける繰り返し構造の繰り返し数を表し、5以上5,000以下の整数である。) - 前記トリアジン環含有ポリマーの重量平均分子量が3,000以上300,000以下である請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記第2成分が、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒又はケトン系溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 前記アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒又はケトン系溶媒が、
水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される2種以上の基をそれぞれ1以上含む有機溶媒
水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される基を少なくとも1つと炭素炭素間二重結合とを含む有機溶媒、又は
水酸基、アルコキシル基及びカルボニル基から選択される基を少なくとも1つ含む環状構造を有する有機溶媒
である請求項4に記載の組成物。 - 下記第3成分を含む請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
第3成分:下記式(8)で表される化合物又はその重合体
R6は、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の単環状又は多環状の環状脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基と炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を組み合わせからなる炭素数7〜20の基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10の複素環基、又はヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む炭素数1〜40の基を表す。
nは1〜3の整数を表す。) - 下記第4成分を含む請求項6に記載の組成物。
第4成分:ヘテロ原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1つを含み、常温常圧において液体又は固体である有機化合物 - 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる薄膜、又は前記薄膜を含む多層膜。
- 請求項8に記載の薄膜又は多層膜、及び支持体として透明樹脂又は透明ガラスを含む透明フィルム又は透明板。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物から得られる膜厚10nm〜1mmの薄膜を1以上及び前記薄膜とは異なる異種膜を1以上含む多層膜又は前記多層膜及び支持体を含む透明フィルム又は透明板であって、
前記多層膜が、
前記薄膜のうち1層の表面及び裏面に異種膜をそれぞれ1以上含む多層膜、
前記薄膜のうち1層を前記多層膜の最表面に含み、前記最表面の薄膜の裏面に異種膜を1以上含む多層膜、又は
前記薄膜のうち1層を前記多層膜の最裏面に含み、前記最裏面の薄膜の表面に異種膜を1以上含む多層膜
である透明フィルム又は透明板。 - 前記支持体が透明樹脂又は透明ガラスからなる請求項10に記載の透明フィルム又は透明板。
- 前記異種膜のうち少なくとも1つが透明導電材料を含む膜である請求項10又は11に記載の透明フィルム又は透明板。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の透明フィルム又は透明板を含む、光学透明フィルム又は透明導電フィルム。
- 請求項13に記載の光学透明フィルム又は透明導電フィルムを含む、電子デバイス、発光デバイス、光学デバイス、又は表示デバイス。
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