請求項1に記載の発明によれば、それぞれのトレイで分離部を共用することが可能となる。
また、請求項13に記載の発明によっても、それぞれのトレイで分離部を共用することが可能となる。
次に、本発明を具体化した最良の実施形態について説明する。図1は本発明のインクジェット式の記録ヘッドが備えられた画像記録装置の斜視図、図2は側断面図、図3は画像読取装置を除いた状態の画像記録装置の斜視図、図4は第1実施形態の第2給紙カセットを第1給紙カセット上で給紙位置にセットした状態の斜視図、図5は第1実施形態の第2給紙カセットを非給紙位置に後退させた状態の斜視図、図6(a)は図4のVIa −VIa 線矢視断面図、図6(b)は図5のVIb −VIb 線矢視断面図、図6(c)は第2給紙カセットの進退動途中での給紙手段を上昇させる状態を示す側断面図、図7(a)は第2給紙カセットにおける後コーナ型用紙ガイドの使用状態を示す平面図、図7(b)は他の使用状態を示す平面図、図8はセンサ手段を示すためのキャリッジの下面図、図9は第1給紙カセットの主傾斜分離板を示す斜視図、図10は図7(a)のX −X 線矢視拡大断面図、図11〜図13は第2実施形態を示す図、図14〜図17は第3実施形態を示す図、図18〜図22は第4実施形態を示す図である。
本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものであり、図1及び図2に示すように、画像記録装置1における合成樹脂製の記録装置本体としての合成樹脂製の射出成形品からなるハウジング2の底部には、その前側(図2において左側)の開口部2aから差込み可能な第1給紙カセット3が配置されている。この第1給紙カセット3の上面には、後に詳述する第2給紙カセット30が進退動可能に連結または載置されている。なお、以下の記述において、開口部2aが存在する側を画像記録装置1における前部または前側若しくは前端と称し、開口部2aから最も遠い側を後部または後側若しくは後端と称する。
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。この画像読取装置12は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成され、さらに、画像読取装置12の上面を覆う原稿カバー体13の後端は画像読取装置12の後端に対して枢軸12aを中心に上下回動可能に装着されている。
ハウジング2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14が設けられている。そして、画像読取装置12の上面には、原稿カバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板16が設けられ、その下側に原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) 17が図2の紙面と直交する方向(主走査方向、図1、図2及び図3におけるY軸方向)に延びるガイドシャフト17aに沿って往復移動可能に設けられている。
画像読取装置12と操作パネル部14との下方には、その平面視投影面積内に、記録部7と排紙部10並びにこの排紙部10の一側に設けられたインク貯蔵部15が位置するように配置されている。
記録部7は、図2に示すように、上面が開放された箱型のメインフレーム21とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1及び第2イド部材22、23(図3参照)との間に形成される。記録部7における記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5は、用紙搬送方向の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
キャリッジ5を往復移動させるために、用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト24がプーリに巻回されており、そのタイミングベルト24を駆動するCR(キャジッジ)モータ25(図3に示す)は第2ガイド部材23の下面に固定されている。CRモータ25は実施形態ではDCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい。第2ガイド部材23には、主走査方向に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のY軸方向(主走査方向)位置を検知するためのエンコーダストリップ47を備える。この帯状のエンコーダストリップ47は検査面(Y軸方向に一定間隔で配置されたスリットの形成面)が垂直方向に沿うように配置されている。
キャリッジ5における記録ヘッド4の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレーム21の底板21bの上方に固定されている。
用紙搬送方向の下流側の第2ガイド部材23の下面からハウジング2の前端の開口部2a(排紙口と兼用されている)までの間をメインフレーム21の底板21bとほぼ同じ高さ位置で排紙部10の上方を覆うようにした合成樹脂製の仕切板29がハウジング2と一体的に形成されている(図2及び図3参照)。
インク貯蔵部15は、ハウジング2の上方に向かって開放されており、インク貯蔵部15には、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容した平面視の面積が小さく、且つ高さ寸法の高いほぼ矩形箱状のインクカートリッジ19(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのカートリッジに対しては符号19a〜19dを付する、図3参照)を、X軸線方向に沿って一列状に収容でき、上方から着脱可能となるように構成されている。
そして、各インクカートリッジ(個別には符号19a〜19dで示す)からインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管(インクチューブ)20を介してインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部15に収容可能に構成すれば良いし、インク供給管20もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
図3に示すように、複数(実施形態では4本)のインク供給管20の根元部は、インク貯蔵部15の一端部15aの部分にて束ねられて仕切り板29の上面にてその一側端部(図3で左端部)からY軸方向に沿って他端部(図3で右端部)の方向に延設する。このとき、全てのインク供給管20の根元部はほぼ水平な仕切り板29の上面に沿った横一列状に並んでいる。このインク供給管20の少なくとも一部(中途部等)が、仕切り板29の上面に支持されるようになっている。
次いで、全てのインク供給管20を、その中途部が仕切り板29における横長の縦仕切り板32の片方の縦面(ほぼ鉛直面)に沿うように捩じり、この縦仕切り板32の片方の縦面と対峙してネジ等で固定した合成樹脂製の縦板状の固定体33との間に、全てのインク供給管20の中途部を縦一列状に配列させて固定(抱持または挟持)する。この固定体33と縦仕切り板32の片方の縦面とで全てのインク供給管20を固定(抱持)した部分が中間固定部となる。
記録部7において、搬送される用紙Pの幅(用紙Pの短辺)より外側には、その一端側にインク受け部が、また、他端側にメンテナンスユニットがそれぞれ配置されている(それぞれ図示せず)。これにより、記録ヘッド4はインク受け部に対向して設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部にてインクを受ける。メンテナンスユニット部分では、キャリッジ5は待機位置であって、メンテナンスユニットにおけるキャップ部(図示せず)が記録ヘッド4のノズル面を下方から覆って色毎にインクを選択的に吸引したり、記録ヘッド4上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等を行う。なお、キャリッジ5がメンテナンスユニット部分に横方向に接近移動するとき、図示しないクリーナ(ワイパブレード)でノズル面を拭いてクリーニングを行う。
本実施形態では、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド4のノズルから選択的にインク滴を吐出させる指令信号をハウジング2側に設けた図示しない制御部から伝送するためのフレキシブルフラットケーブル40は、キャリッジ5がY軸方向(主走査方向)に往復移動する場合のインク供給管20の通過する領域(可動領域、非結束乃至非拘束の領域)に、インク供給管20の延びる方向とほぼ平行状に配置されている(図3参照)。
そして、インク供給管20における湾曲中途部と、フレキシブルフラットケーブル40における湾曲中途部との凸湾曲方向がキャリッジ5の往復移動方向に対して互いに反対向きに設定されている。このように構成することで、インク供給管20とフレキシブルフラットケーブル40とを鉛直方向においてほぼ同一高さ(ほぼ同一水平面内)に配置でき、結果として画像記録装置1全体を薄型化できる。
また、プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙Pを記録ヘッド4の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙Pを排紙部10に搬送するための排紙ローラ28が配置されている(図2参照)。
次に、給紙装置の構成について詳述する。本実施形態では、多数枚の用紙Pを堆積収容可能な収容部3bを備え、この収容部3b内の用紙Pを1枚ずつ給紙手段6により記録部7に給送するための第1給紙カセット3と、この第1給紙カセット3の収容部3b上にて、給紙手段6に対して進退動可能に配置され、第1給紙カセット3における用紙Pと異なるサイズ(小さいサイズであり、葉書または写真のL版等)の複数枚の用紙P1を堆積収容可能な第2給紙カセット30とが備えられ、第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に対して給送方向と反対側(矢印A方向)に後退させたとき、その第2給紙カセット30の用紙の給送方向の上流側端部が第1給紙カセット3の用紙の給送方向の上流側端部よりも後側に位置するように形成されている。
ここで、給紙手段6は、図2、図4及び図5に示すように、合成樹脂製の回転駆動軸6dはメインフレーム21における側板及び一対の軸支持板(ともに図示せず)にそれぞれ穿設された軸孔に回転自在に軸支され、この回転駆動軸6dの先端が給紙手段6における給紙アーム6aの基部に横向きに突出するように挿入されている。そして、回転駆動軸6dの回転駆動により、給紙アーム6a内に設けられた歯車伝動機構6cを介して給紙ローラ6bが一定方向(図2において反時計周り)に回転するよう構成されている。また、図示しない付勢手段(例えば、ねじりバネ)により、給紙ローラ6b側が常に下方に向かうように付勢されている。
第1給紙カセット3は、被記録媒体としての例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ等の大きいサイズにカットされた用紙Pをその短辺がY軸方向(図2において紙面と直交する方向、主走査方向)に延びるようにして多数枚積載(堆積)されて収容できる形態とする。第1給紙カセット3の収容部3bへの用紙Pの最大堆積量は、実施形態では普通紙で100枚程度、堆積高さ(H1)はほぼ10mm程度とする。なお、第1給紙カセット3の後端部(ハウジング2の前面側に対応する)の凹み部3dには、リーガルサイズ等の長い用紙Pの後端部を支持するための補助支持部材3aが用紙搬送方向(副走査方向、X軸方向)に移動可能に装着されている(図1参照)。凹み部3d及び補助支持部材3aの後端近傍には、第1給紙カセット3をハウジング2の開口部2aに対して挿抜し易いように指を掛け易い把手3e,3fが台形孔状に形成されている(図1、図4参照)。
また、第1給紙カセット3の先端(図2において右側、給送方向の最下流側端部)には、用紙分離用の主傾斜分離板8が配置されている。そして、給紙アーム6aの下端に設けられた給紙ローラ6bと、傾斜分離板8の幅方向(Y方向)の中央部の内面(表面)側に設けられた分離手段としての弾性分離パッド8a(実施形態では金属板バネ製である)とにより、第1給紙カセット3に堆積された被記録媒体である用紙Pを一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給紙搬送路)用の搬送路体9を介して第1給紙カセット3より上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。そして、記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして開口部2aに連通する排紙部10に排出される。
主傾斜分離板8の表面は、用紙Pの給送方向と直交する方向(Y方向、用紙Pの幅方向)において、この用紙Pの幅方向の中央側に位置する分離手段としての鋸歯状の弾性分離パッド8aに近い部分で、用紙Pの幅方向の中央側の先端縁に接近し、この用紙Pの幅方向の両端部側に行くに従って、当該用紙Pの先端縁から離間するような凸湾曲面に形成されている(図4、図7(a)及び図7(b)参照)。このように、主傾斜分離板8の表面が凸湾曲面であることにより、給送された用紙Pの幅方向の両端部側が主傾斜分離板8の表面に当接する前に、当該用紙Pの幅方向の中央側の先端縁が確実に弾性分離パッド8aに摺接して用紙Pの分離作用を受けることができるのである。なお、弾性分離パッド8aの左右両側には、主傾斜分離板8の上端近傍に用紙Pを円滑に搬送路体9方向に導くための自由回転するコロ28が取付けられている(図4、図5、図9(a)及び図9(b)参照)。そして、この主傾斜分離板8は、第1給紙カセット3の先端に着脱可能に装着できるよう別体にて形成されている。
第1給紙カセット3の収容部3b内には、用紙Pの給送方向と平行な側縁を案内し、且つ位置決めするためのガイド手段として、左右一対の側ガイド体34a,34bが用紙Pの給送方向と直交する方向に広狭移動(広狭スライド)可能に設けられている。その場合、第1給紙カセット3の幅方向(用紙Pの給送方向と直交する方向)の中心線と用紙Pの幅方向に中心線とが一致するように、いわゆるセンター位置合わせすべく、図示しないが、左右一対の側ガイド体34a,34bの底部に連接したラック体が第1給紙カセット3の底板のうち幅方向の中心線位置に配置された歯車に噛合うように構成されている。なお、少なくとも一方の側ガイド体34bには、一対の側ガイド体34a,34bが幅方向に移動した位置にて、第1給紙カセット3の底板の表面(上面)に形成されたラック帯状の係止部37(図7(a)及び図7(b)参照)に噛み合ってセット(保持)できる把手部38が設けられている(図4、及び図5参照)。
第1実施形態の第2給紙カセット30は、第1給紙カセット3における用紙Pの給送方向に沿って進退動可能に連結され、且つ第2給紙カセット30の前端側(給送方向の上流側)が上向きに回動し得るように構成されている。その具体例は、図4〜図7(b)に示すように、第1給紙カセット3における用紙Pの給送方向と平行に延びる左右両側板3cに、給送方向に長いガイド孔35を設け、第2給紙カセット30の左右両側の給送方向の下流側部位(例えば、底板30a)から両外側に突出する丸軸36をガイド孔35に対して進退動可能且つ回動可能となるように嵌め入れている。なお、ガイド孔35の先端部35a(用紙P1の給送方向の下流側)の直径をやや大きく、且つ上側に傾斜状に形成することより、第2給紙カセット30の幅方向に一体的に突出させた丸軸36を、Y軸方向に対して傾斜させてガイド孔35に挿入し易いように構成されている。
第2給紙カセット30は、その先端側(用紙P1の給送方向の下流側)の底板(載置部)30aの先端に上向き鉤状等の一対の係止片31が前向きに突設されている(図5、図6(b)及び図6(c)参照)。この係止片31は、第2給紙カセット30を給紙位置まで押し込んだとき、第1給紙カセット3における主傾斜分離板8に穿設された一対の位置決め孔8b(図9及び図10参照)にそれぞれ係合し、第2給紙カセット30が左右上下にずれないようにすると共に、第2給紙カセット30を給紙位置まで押し込んだ状態を保持できるように、係止片31の下面凹部31aが位置決め孔8bの下縁に係止している(図10参照)。この係止片31及び位置決め孔8bの組は、主傾斜分離板8の長手方向、即ち用紙P1の幅方向に適宜間隔で複数箇所に設けられ、且つ、弾性分離パッド8aの配置箇所を挟んで両側に設けられているので、第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に対して給紙位置にセットした状態では、第2給紙カセット30が上下に位置ずれしたり、用紙P1の幅方向に位置ずれしたり、第2給紙カセット30の片側が上下に傾斜する等のセット位置の不安定性を防止できる。従って、第2給紙カセット30の給紙位置での上下方向及び用紙P1の給送方向と平行に保持する姿勢が確保でき、用紙P1の分離・給送作用を確実、且つ安定させることができるという効果を奏する。
また、底板(載置部)30a上には、第1給紙カセット3に堆積する用紙Pのサイズよりも小さいサイズ(例えば、葉書もしくは写真のL版用紙等)の用紙P1を多数枚堆積させることができる。また、サイズのみならず、第1給紙カセット3に一般的に堆積収容される用紙Pとは種類の異なる用紙、即ちインクジェットプリンタ専用紙や写真画質用光沢紙のように種類の異なる用紙P1を多数枚堆積させることができる。
この底板30aの幅寸法W2は第1給紙カセット3の幅寸法W1より狭く、且つ第1給紙カセット3の幅方向の中央部側に配置されている。このように、先端側の底板30aが狭幅になるように切欠き部を設けることにより、第2給紙カセット30を除去することなく、側ガイド体34bにおける把手部38に作業者の指が容易に届くので、第1給紙カセット3内の用紙Pの幅方向の位置決め操作がし易くなる。そして、底板30aの後側に連接して広幅(第1給紙カセット30の幅寸法と略同じ幅寸法)の排紙受け部30bが一体的に形成され、その排紙受け部30bの後端は排紙された用紙P(P1)の端部を手で掴み易いようにするための切欠き部39が形成されている(図4、図5及び図9参照)。
第2給紙カセット30における底板30aの左右両側板30cは用紙P1の給送方向に沿って延びるように一体的に形成されている。そして、底板30aの広幅面の中途部には、用紙P1の給送方向に平行状となる姿勢及び位置決めをするための用紙ガイド手段を設ける。その第1実施形態は、図4、図5、図7(a)及び図7(b)に示すような後コーナ当接型の斜行ガイド体41と、一方の固定案内側板となる固定位置の側板30cとからなる。斜行ガイド体41は、一方の側板30cに側縁を当接させて底板30aに堆積させた用紙P1の後縁に当接し得る後当接板41aと側板30cと平行状で用紙P1の側縁に当接し得る側当接板41bとを有し、斜行ガイド体41は底板30aに傾斜状に形成されたガイド溝42に沿って移動自在に装着されている。
図7(a)に示す実施形態では、用紙P1がL判である場合に、斜行ガイド体41における後当接板41aに用紙P1の後縁が当接すると同時に、側当接板41bに用紙P1の側縁が当接するように、ガイド溝42の傾斜角度が設定されている。従って、用紙P1の長辺と短辺との比率がL判と異なる、例えば葉書の場合には、図7(b)に示すように、側当接板41b若しくは後当接板41aのいずれか一方にのみ用紙P1の側縁若しくは後縁が当接するようになる。ガイド溝42の傾斜角度を図7(a)、図7(b)と異なるように設定して、用紙P1が葉書の場合に、斜行ガイド体41における後当接板41aに用紙P1の後縁が当接すると同時に、側当接板41bに用紙P1の側縁が当接するよう設計しても良い。なお、図7(a)及び図7(b)では、第1給紙カセット3における側ガイド体34a,34bは図示省略している。
また、第1給紙カセット3における補助支持部材3aを収容部3bに収容した状態で且つ第2給紙カセット30を第1給紙カセット3の先端部まで押し込んだ状態では、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30のX軸方向の長さと、画像読取装置12及び操作パネル部14のX軸方向の長さとはほぼ等しくなっている。従って、この画像記録装置1は平面視略正方形状の略直方体となるので、製品として出荷する梱包時にも梱包が容易となるとともに、梱包用の箱も小型化が可能となる。
なお、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30をハウジング2の底部に挿入・外脱するときは、第1給紙カセット3の先端側に第2給紙カセット30を押し込んだ状態で一体的に挿入する。その場合、給紙アーム6aが自動的に昇降し、給紙アーム6aの先端の給紙ローラ6bが、主傾斜分離板8の上方を乗り越えた後、第2給紙カセット30上に堆積された用紙P1の最上面に当接するよう下降動する構成について説明する。
第1実施形態は、図4、図5、図6(a)〜図6(c)に示し、回転駆動軸6dと平行状であって、合成樹脂製の給紙アーム6aから一体的に突出するほぼ平板状のカムフォロア部材43は、第2給紙カセット30における一方の側板30cの上面に形成された高さ方向に高低差のある補助カム部44の上方にまで延びている。
この補助カム部44は、第2給紙カセット30の給送方向最下流側で高さが低く、上流側に行くに従って高さが高くなる第1傾斜ガイド部44aと、これに連接して高さが略一定の第2ガイド部44bと、これに隣接し、略V字状に凹む第3ガイド部44cとからなる。
上記の構成によれば、ハウジング2の前面の開口部2aから第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30一体的にを差し込み、カムフォロア部材43の下面が補助カム部44の始端側(土手部材である、主傾斜分離板8に近い側)である第1傾斜ガイド部44aに当接されると、第2給紙カセット30の前進動に従ってカムフォロア部材43は押し上げられ、これと一体的に給紙アーム6aひいては給紙ローラ6bが上向き回動し、給紙ローラ6b及び給紙アーム6aは主傾斜分離板8の上方を越える。
カムフォロア部材43が第2ガイド部bに当接して給紙アーム6a及び給紙ローラ6bが上昇した状態では(図6(c)参照)、これらの部材は、メインフレーム21の底板21bに設けられている開口部21cからメインフレーム21内の空間に収容される。また、そのとき、扁平なカムフォロア部材43も底板21bの下面に当接または近接した状態となる。従って、メインフレーム21の底板21bと第2給紙カセット30との上下空間の高さを大きくすることなく、給紙アーム6a及び給紙ローラ6bの上下回動動作を確保することができる。換言すると、第1給紙カセット3からメインフレーム21の底板21bまでの高さを低くできて、画像記録装置1の全体の高さ寸法を小さくしたコンパクトなものを提供することができる。
第2ガイド部44bを越えて、第3ガイド部44cの下降部にカムフォロア部材43が位置すると、それに応じて下向きに付勢されている給紙アーム6aひいては給紙ローラ6bも下向き回動する。そして、給紙ローラ6bは第2給紙カセット30の底板30aに堆積している用紙P1の最上層に当接できる(図6(a)参照)。
第1給紙カセット3をハウジング2に最も奥まで前進させた位置(セット状態)で、且つ第2給紙カセット30を後退させると、カムフォロア部材43が、第3ガイド部44cから第2ガイド部44b、第1傾斜ガイド部44aを順に摺接し、ついに第2給紙カセット30の側板30cからカムフォロア部材43が外れる。このように、第2給紙カセット30の底板30aが給紙ローラ6bから退避した位置(非給紙位置)では、給紙ローラ6bは第1給紙カセット3の底部に当接可能で給紙動作可能となる(図9(b)参照)。
このようにして、給紙手段6にはカムフォロア部材43が設けられ、第2給紙カセット30には、ハウジング2(本体ケース)内に対する第2給紙カセット30の進退動に応じて、カムフォロア部材43と共に給紙手段6を少なくとも一時的に昇降回動させるための補助カム部44が設けられているから、第1給紙カセット3と第2給紙カセット30とを一体的に出し入れ動作するのに応じて給紙手段6が自動的に昇降でき、操作が簡単になる。
第1給紙カセット3に多数枚の用紙Pを堆積した状態で、第2給紙カセット30の底板30a上に小サイズの用紙P1を多数枚堆積させ、この第2給紙カセット30を第1給紙カセット3の先端部に近接する位置(給紙位置)まで押し込めば、その状態で給紙ローラ6bが第2給紙カセット30上の用紙P1の最上面を押圧できるので、そのまま画像記録作業を実行できる。逆に、第2給紙カセット30の底板30a上に小サイズの用紙P1を多数枚堆積させた状態で、丸軸36がガイド孔35の後端に位置するまで、この第2給紙カセット30を第1給紙カセット3上から後退させても、当該第2給紙カセット30は第1給紙カセット3から外れることがない。また、底板30a上の堆積された用紙P1は、傾斜ガイド体41に規制されて堆積姿勢が乱れることがなく、直ちに、第1給紙カセット3上の用紙Pを給紙ローラ6bにより給送し、画像記録作業を実行することができる。第2給紙カセット30における底板30aはその幅部分が第1給紙カセット3における主傾斜分離板8の弾性分離パッド8aの箇所を含む範囲内に位置するので、1つの給紙ローラ6bと1つの傾斜分離板8とを、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30に堆積した用紙Pの分離・給送作用に共用できるという効果を奏する。
第1給紙ローラ3に用紙Pを補給する場合、第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に押し込んだ状態(給紙位置)で、第2給紙カセット30の後端部を持ち上げることや、第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に対して引き出し(後退させ)た状態(非給紙位置)で、第2給紙カセット30の後端部を持ち上げることのいずれの場合にも、ガイド孔35に嵌まった丸軸36を中心にして第2給紙カセット30が上向き回動できて、第1給紙カセット3の後端での上下空間が広がり、第1給紙カセット3への用紙Pの補充作業は至極簡単にできる。
また、第1給紙カセット3の収容部3bは、主傾斜分離板8に近づく方向、即ち給紙方向に下向きに傾斜が形成されていること、及び収容部3bの後端がハウジング2の開口部2aの外側に向かって開放されていること、さらに、給紙手段6は給紙アーム6aが傾動可能であることから、第1給紙カセット3の収容部3bに堆積収容された用紙Pは第1給紙カセット3の後端側にずれないので、用紙Pの後端に当接するガイド部材は不要となる。従って、第2給紙カセット30の後端を持ち上げることなく、第1給紙カセット3の後端側から用紙Pを補給することも可能である。
さらに、第2給紙カセット30の底板30aに排紙受け部30bが後続して形成されているので、大判サイズの用紙Pを第1給紙カセット3に堆積させて画像記録した場合に、後退させた非給紙位置の第2給紙カセット3の後部(排紙受け部30b)にて記録済みの用紙Pをはみ出すことなく、確実に受けることができるという効果を奏する。
なお、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30から記録部7に給送された用紙P(P1)の幅寸法を検出するためのメディアセンサ49と、第2給紙カセット30が給紙位置にセットされたか否かを検出するためのカセットセンサ50とを、装置本体側の部品としてのキャリッジ5の下面に備える(図8参照)。メディアセンサ49及びカセットセンサ50はそれぞれ赤外線センサ等の非接触型光センサを採用する。そして、プラテン26のY軸方向の中途であって、第2給紙カセット30を給紙位置にセットしたときのみ底板30aがカセットセンサ50にて検出できるような検出窓孔(図示せず)を穿設する。メディアセンサ49は、レジストローラ対27からわずかに給送方向に搬送された状態で一旦停止している用紙P(P1)の先端部の幅寸法を検出できるようにキャリッジ5をY軸方向に移動させながら、走査検出するのである。このように構成すれば、例えば、ユーザーが使用したい用紙の種類またはサイズを指令して、画像記録を実行させるとき、その用紙が第2給紙カセット30に堆積されているときに、当該第2給紙カセット30を給紙位置にセット(押し込み)していないことを、カセットセンサ50の検出値にて判断された場合には、給紙動作を禁止してユーザーにその旨を報知する。そして、第2給紙カセット30を給紙位置にセットした段階で、給紙動作を許容する制御を実行するのである。同様に、ユーザーが使用したい種類またはサイズの用紙が第1給紙カセット3に堆積されているのに、所望しないサイズの用紙を堆積させた第2給紙カセット30を給紙位置にセットした場合にも、給紙動作を禁止してユーザーにその旨を報知する。そして、第2給紙カセット30を給紙位置にセットした段階で、給紙動作を許容する制御を実行するのである。
また、第1給紙カセット3または第2給紙カセット30から給送され、レジストローラ対27からわずかに給送方向に搬送された状態で一旦停止した用紙P(P1)の先端部の幅寸法を、キャリッジ5を移動させながらメディアセンサ49で検出し、図示しない電子制御装置にて用紙Pのサイズを判別する。そして、ユーザーが指令して使用したい種類またはサイズの用紙と異なる場合には、その給送された用紙P(P1)への画像記録を禁止して、用紙P(P1)をそのまま排紙部10へ排紙するものである。これにより、用紙P(P1)を無駄にしないという効果を奏する。なお、用紙P(P1)のY軸方向のセット位置もメディアセンサ49で検出できることは、従来の公知技術と同様である。
図11〜図13に示す第2給紙カセット30の第2実施形態では、底板30aの先端に補助傾斜分離板51を設けたものである。この補助傾斜分離板51にも主傾斜分離板8と同様の弾性分離パッド51aが備えられている。また、第2給紙カセット30を丸軸36を介して前後移動可能に連結するための前後に長いガイド孔35は、第1実施形態の第1給紙カセット3における側板3cのみならず、第2実施形態の第1給紙カセット3における側ガイド体34a,34bに形成しても良い。
この第2実施形態でのその他の構成(例えば、カムフォロア部材43や第2給紙カセット30の一側板30cの上面に形成される補助カム部44の構成)は第1実施形態(図4〜図6参照)と同じであるので、同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。第2実施形態の構成によれば、第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に対して前方に押し込むと、補助カム部44に沿ってカムフォロア部材43が摺接して給紙アーム6aひいては給紙ローラ6bが昇降できる。第2給紙カセット30を給紙位置にセットすると、第1給紙カセット3における主傾斜分離板8の前面に隣接して補助傾斜分離板51が配置されることになるので(図11及び図13(a)参照)、第2給紙カセット30に堆積させた用紙P1が給紙ローラ6bの回転により給送されて補助傾斜分離板51の弾性分離パッド51aの箇所で1枚ずつに分離できる。
そして、底板30aに堆積された多数枚の用紙P1の前端縁は、補助傾斜分離板51に近接しているので、その用紙P1の位置決め及び平行状の姿勢保持のための用紙ガイド手段41との協働作用で、第2給紙カセット30を前後に動かしても、用紙P1の堆積姿勢は崩れないから、第1給紙カセット3と第2給紙カセット30とでの給紙作業の切替えが至極円滑にできるという効果を奏する。
図14〜図17に示す第3実施形態では、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30のそれぞれの進退動に応じて給紙手段6の給紙ローラ6bを昇降動させる構成である。即ち、給紙アーム6a(但し図14〜図16では、回転駆動軸6dは図示しない)から一体的に突出するほぼ平板状のカムフォロア部材43は、第2給紙カセット30における一方の側板30cの上面に形成された高さ方向に高低差のある補助カム部44と、第1給紙カセット3における一方の側板3cの上面に形成された高さ方向に高低差のある主カム部55との上方にまで跨がって延びている。主カム部55に当接するカムフォロア部材43の先端部43aは、給送方向の長さL1が、補助カム部44に当接するカムフォロア部材43の長さL2より短くなるように設定されている(図15参照)。
補助カム部44は、第1実施形態(図4〜図6参照)のものと同じであり、第2給紙カセット30の給送方向最下流側で高さが低く、上流側に行くに従って高さが高くなる第1傾斜ガイド部44aと、これに連接して高さが略一定の第2ガイド部44bと、これに隣接し、略V字状に凹む第3ガイド部44cとからなる。
主カム部55は、第1給紙カセット3の給送方向最下流から上流側に向かって一定高さの第1ガイド部55aと、これに連接され、中途部で高さの低いV字状の第2ガイド部55bとからなる。また、第1給紙カセット3に対して第2給紙カセット30を給紙位置にセットした状態で、その側面視において、第2ガイド部55bと第3ガイド部44cとは、給送方向で略同じ位置になるように設定されている(図17参照)。なお、第2給紙カセット30の底板(載置部)30aに設けられた用紙側ガイド板56にも、カムフォロア部材43の動きに干渉しないようにする凹部56aが第3ガイド部44c及び第2ガイド部55bの位置と重複するように形成されている(図14、図15参照)。
さらに、第1給紙カセット3の左右両側板3cには、給送方向に沿って長手のガイド孔35が穿設されており、第2給紙カセット30の底板30aの左右両側にはウイング(翼)部57が左右両側板3cの内面に近接するように形成され、ウイング(翼)部57の先端から突出する丸軸58がガイド孔35に移動可能且つ回動可能に嵌まる(図14、図15参照)。この構成により、第1給紙カセット3に対して第2給紙カセット30を進退動可能且つ丸軸58を中心に第2給紙カセット30が上下回動可能となる。
また、第1給紙カセット3の左右両側板3cの内面には、第2給紙カセット30の進退方向に適宜隔てた2箇所の位置に突条部59a,59bが形成されている。ウイング(翼)部57に一体的に形成された突起部57aが、第2給紙カセット30の進退時に、突条部59a,59bに選択的に乗り越える時に、クリック感を付与するように構成されている。
上記の構成の主カム部55を有する第1給紙カセット3に対して補助カム部44を有する第2給紙カセット30を給紙位置に押し込んだ状態、または、第2給紙カセット30を後退させた非給紙位置の状態で、両給紙カセット3、30を一体的にハウジング2内に入れるときには、給紙手段6におけるカムフォロア部材43の先端部43aが第1給紙カセット3の一方の側板3cの先端縁から、第1ガイド部55aに乗り上げると、給紙アーム6aは略水平まで上昇して給紙ローラ6bは主傾斜分離板8の上方を乗り越えられる。この乗り越えの後は、第2ガイド部55bのV字状最下部近傍に先端部43aが来ると、給紙アーム6aは下向き回動し、給紙ローラ6bが第2給紙カセット30の底板30aに堆積した用紙P1または第1給紙カセット3の収容部3bに堆積した用紙Pの最上面に選択的に当接することができる。
第1給紙カセット3がハウジング2の給紙位置にセットされた状態で、第2給紙カセット30を前進させるときには、この第2給紙カセット30における補助カム部44にカムフォロア43が摺接して、給紙アーム6aは一旦上向き回動した後、下向き回動する。従って、給紙ローラ6bは、第2給紙カセット30の底板30aに堆積した用紙P1の最上面に当接することができる。逆に、第2給紙カセット30を後退させると、同じく補助カム部44にカムフォロア43が摺接して、給紙アーム6aは一旦上向き回動した後、下向き回動するので、給紙ローラ6bは、第2給紙カセット30上の用紙P1の堆積を崩すことなく、第1給紙カセット3の収容部3bに堆積した用紙Pの最上面に当接することができる。なお、第2給紙カセット30の進退操作に際しては、排紙受け部30bの後端の把手部30dを手で掴んで実行すれば良い。
図18〜図22に示す第4実施形態では、第1給紙カセット3用の第1給紙手段6と第2給紙カセット30用の第2給紙手段60とを並列的に配置する。そして、第1給紙カセット3に堆積した用紙Pを給送するときには、第1給紙手段6の給紙ローラ6bが、第1給紙カセット3の収容部3bに堆積した用紙Pの最上面に当接する一方、第2給紙手段60の給紙ローラ60bが上昇姿勢に保持される。逆に、第2給紙カセット30上の堆積した用紙Pを給送するときには、第2給紙手段60の給紙ローラ60bが、第2給紙カセット3の載置部30aに堆積した用紙P1の最上面に当接する一方、第1給紙手段6の給紙ローラ6bが上昇姿勢に保持されるように、選択的に第1給紙手段6と第2給紙手段60とが昇降するように構成されているものである。
その詳細な構成について説明すると、第1給紙カセット3の左右両側板3cには、上述の第3実施形態と同様な主カム部55が形成されている。また、第2給紙カセット30の一方の側板30c(後述するカムフォロア部材61と当接する側)には、上述の第3実施形態と同様な側面視V字状の第3ガイド部44cを備えた補助カム部44が形成されている。第2給紙カセット30の他方の側板30c(カムフォロア部材43に当接する側)の上面は、高さが同じ略水平状の第2ガイド部44bのみを有する。第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30におけるその他の構成も第2実施形態と同じであるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
第1給紙手段6の構成も第3実施形態と同様であるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。なお、図18〜図20では、第1給紙手段6における回転駆動軸6dと主傾斜分離板8は図示省略されている。
第2給紙手段60も基本的構成は第1給紙手段6と同じであり、第2給紙手段60における回転駆動軸60d及びカムフォロア部材61は、第1給紙手段6における回転駆動軸6dと平行であるが、延びる方向が互いに逆である。即ち、回転駆動軸60d及びカムフォロア部材61は、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30の他方の側板3c、30cの上方に跨がるように配置されている(図18、図19及び図20参照)。
そして、この第4実施形態では、第1給紙カセット3に対して第2給紙カセット30を給紙位置に押し込んだ状態で(図18〜図21参照)、両給紙カセット3、30を一体的にハウジング2内に入れるときには、第1給紙手段6におけるカムフォロア部材43の先端部43aが第1給紙カセット3の一方の側板3cの先端縁から、第1ガイド部55aに乗り上げると、給紙アーム6aは略水平まで上昇して給紙ローラ6bは主傾斜分離板8の上方を乗り越えられる。次いで、カムフォロア部材43の中途部が、第2給紙カセット30における高さの高い水平状の第2ガイド部44bに当接した状態が保持されるので、第1給紙手段6の給紙アーム6aは略水平状まで上昇した姿勢に保持される(図22(a)及び図22(b)参照)。他方、第2給紙手段60におけるカムフォロア部材61が第1給紙カセット3の他方の側板3cの先端縁から、第1ガイド部55aに乗り上げると、給紙アーム60aが上向き回動して、給紙ローラ60bは主傾斜分離板8の上方を乗り越えすることができる。次いで、カムフォロア部材61が他方の側板30cの補助カム部44における第1傾斜ガイド部44aから水平状の第2ガイド部44bに当接した後、高さの低いV字状の第3ガイド部44c(及び第1給紙カセット3における同じくV字状の第2ガイド部55b)の箇所にカムフォロア部材61が位置すると、給紙アーム60aは下向き回動し、給紙ローラ60bは、第2給紙カセット30の底板30a上に堆積した用紙P1の最上面に当接することができるのである。
次に、第1給紙カセット3を給紙位置にセットしたまま、第2給紙カセット30のみを非給紙位置まで後退させると、第2給紙手段60におけるカムフォロア61は、V字状の第3ガイド部44cに沿って押し上げられ、次いで、高い水平状の第2ガイド部44bに摺接した後、第1傾斜ガイド部44aに沿って下降し、ついには、補助カム部44からカムフォロア部材61が外れる(図22(c)及び図22(d)参照)が、カムフォロア部材61の先端側は主カム部55における高さの高い水平状の第1ガイド部55aに当接しているので、給紙ローラ60aの下面が第1給紙カセット3の収容部3b上の用紙Pの最上面に当接しない姿勢に保持されるのである(図22(d)参照)。なお、このとき、第1給紙手段6における給紙ローラ6bは第1給紙カセット3の収容部3bに堆積された用紙Pの最上面に当接できるものである。
このようにして、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット30の選択的な進退動及び一体的な進退動に伴って、第1給紙手段6または第2給紙手段60を給紙の作用位置及び非作用位置に選択的に移動させることができるのである。なお、第2給紙カセット30の進退操作に際しては、排紙受け部30bの後端の把手部30dを手で掴んで実行すれば良い。
なお、第2給紙手段60における給紙アーム60aの長さL4は、第1給紙手段6における給紙アーム6aの長さL3より短く設定されている(図22(a)参照)。このように構成することにより、第1給紙手段6の給紙アーム6aの回動中心(回転駆動軸6dの軸心)から、給紙ローラ6bと第1給紙カセット3上の用紙Pの表面との接点を結ぶ線と当該用紙の表面とのなす角度(夾角θ1)とし、同じく第2給紙手段60の給紙アーム60aの回動中心(回転駆動軸60dの軸心)から、給紙ローラ60bと第2給紙カセット30上の用紙P1の表面との接点を結ぶ線と当該用紙の表面とのなす角度(夾角θ2)とするとき、回転駆動軸6d、60dがほぼ同じ高さ位置にあって、第2給紙カセット30が第1給紙カセット3の上方に位置していても、θ1とθ2との値をほぼ同じに設定できるから、各給紙ローラ6b、60bにて用紙を給送する力をほぼ等しくすることができるのである。