JP2015090689A - 医療データ分析システム、及び医療データを分析する方法 - Google Patents

医療データ分析システム、及び医療データを分析する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】因果関係や病態の遷移の様子を容易に把握することができる予測モデルを自動的に、かつ効率よく作成し、効率的・効果的な保険事業を実践することができるようにするための技術を提供する。【解決手段】健診情報、レセプト情報に基づいて、健診情報、レセプト情報の項目を確率変数とするグラフィカルモデルを作成、可視化し、保健指導による医療費削減効果を予測することにより、効果的な保健指導内容と保健指導対象者を選定する保健指導支援機能を備える。グラフィカルモデルのノード(項目)を、項目間の依存度と、項目が医療費に与える影響に基づいて、定めることにより、項目間の依存関係と医療費への影響を同時に可視化することができる。これにより、生活習慣が検査値に関連し、検査値が疾病の発症に関連し、疾病の発症から重症化の関連が分かりやすく図示できる。また、発症や重症化のリスクや要因も直感的に把握できる。【選択図】図1

Description

本発明は、医療データ分析システム、及び医療データを分析する方法に関し、例えば、ネットワーク構造を可視化する技術に関する。
近年、健康保険組合は、医療費の低減と、被組合員の健康増進を目的として、生活習慣病の予防及び重症化の予防のための保健指導等の保険事業を実施している。
しかし、保健指導のために確保できる保健師、及び保健指導のための費用などのリソースは限られている。このため、費用対効果の大きい効果的・効率的な保険事業の運営を支援するシステムが望まれている。
このような保険事業の運営を支援する方法として、例えば、特許文献1には、レセプト情報、健診情報、及び保健指導情報に基づいて、保健指導の対象者を選択する保険事業支援システムが開示されている。より具体的には、当該システムは、健康保険加入者の重症度及び検査値ごとの予測医療費を示す医療費モデルを作成する医療費モデル作成部と、重症度及び検査値ごとの改善量を示す検査値改善モデルを作成する検査値改善モデル作成部と、保健指導による予測医療費削減量を重症度及び検査値ごとに算出する予測医療費削減効果算出部と、予測医療費削減量が高い重症度及び検査値に属する健康保険加入者を保健指導対象者として選択する対象者選択部と、を備えている。
特開2012−128670号公報
Y.F.Hu著「Efficient and High Quality Force-Directed Graph Drawing」 The Mathematica Journal, 2006年発行vol.10, no.1, pp.37-71
ところで、健康保険組合のリソースの中で、効果的・効率的な保険事業を行うためには、保健指導を優先的に実施する対象者を選択することが必要である。また、保健指導の内容も、個々の対象者に適したものを選択することが必要である。
上述のように、特許文献1では、医療費を予測する際に、現在の重症度及び検査値に基づいて、将来の重症度を予測し、予測重症度に基づいて将来の医療費を予測する。例えば、現在の糖尿病の重症度及び血糖値に基づいて、将来の糖尿病の重症度を予測し、その重症度の平均の医療費を予測医療費とする。この方法では、予測モデルは人手により作成する。
しかしながら、特許文献1の方法では、重症度の定義や将来の重症度の予測方法などは、過去の疫学研究や経験、知識に基づいて、人手により作成する必要がある。そのため、疾病ごとに、基準を作成する必要があり、予測モデル作成のコストが高いことや、過去の経験、知識などが蓄積されている必要がある。
また、糖尿病だけのモデルなど、単一疾病のモデルの場合と異なり、糖尿病、高血圧症、脂質異常症など、複数の疾病が絡んで複合的な要因により病気が重症化する場合などには、モデルが複雑となり、人手によるモデル作成は困難である。
さらに、重症度の定義や、将来の重症度の予測に絡む因子としては、様々な因子(要因)が考えられる。例えば、糖尿病の場合、将来の重症度の予測には、現在の血糖値の情報が有用である。他にも、年齢、性別、コレステロール値、血圧値、などが関連している可能性もある。このように、様々な因子が将来の病態の予測に関連する可能性があり、また、現在の病態によっても、どのような因子が予測に必要であるか、異なってくる。そのため、人手によるモデル作成により、これらの因子をリストアップすることは困難である。
一方、単に予測するだけでなく、どのような生活習慣が、検査値の悪化や改善につながり、どのような検査値の悪化や改善、生活習慣が病態の変化に繋がるか、病態の因果関係や遷移をモデル化することができれば、病気の重症化や改善の要因を知ることができる。これができれば、病態の予測や医療費の予測だけでなく、個々人に合わせて、保健指導の必要性の判定と、適切な保健指導内容の選定を行うことができ、効率的・効果的な保健事業を行う上で有用である。
以上から分かるように、人手による予測モデルの生成には限界がある。この点、健康保険組合では、大量のレセプト情報、健診情報、及び問診情報が蓄積されており、これらの情報には人間の病態変化に関する緻密な情報が潜在的に含まれている。これらの情報を活用し、自動的に人間の病態変化の因果や遷移をモデル化できれば有用である。その一方で、多数の因子が、上述のような自動的に生成した人間の病態変化の因果や遷移に関連する。このため、モデルが大規模となり、モデルから因果関係や病態の遷移の様子を容易に把握することが困難となる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、因果関係や病態の遷移の様子を容易に把握することができる予測モデルを自動的に、かつ効率よく作成し、効率的・効果的な保険事業を実践することができるようにするための技術を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明による医療データ分析システムは、分析対象者のレセプト情報及び健診情報を、分析対象者毎にかつ所定期間毎に纏めた整形情報に基づいて、整形情報の項目を表す確率変数に対応するノード間の確率的依存性が有向辺又は無向辺によって定義されたグラフィカルモデルを作成し、グラフィカルモデルに基づいて、病気の発症確率及び医療費を予測し、さらに、グラフィカルモデルにおける各ノードの確率変数又は各ノード間のエッジの有無に基づいて、ノード間の依存度を求める。そして、当該システムは、処方に掛かった医療費及び前記予測された医療費の少なくとも1つに基づいて、グラフィカルモデルにおける各ノードに対応する項目が医療費に与える影響度を算出し、当該影響度に基づいて、各ノードに作用する医療費影響力を算出する。また、当該システムは、ノード間の依存度に基づいて、当該ノード間に働く斥力と引力で定義される項目間力を算出する。続いて、当該システムは、医療費影響力と項目間力の合計により定義されるエネルギーが減少するように前記グラフィカルモデルにおける各ノードの座標配置を決定し、当該各ノードの座標配置に基づいて、グラフィカルモデルを可視化する。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本発明の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本発明の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
本発明によれば、因果関係や病態の遷移の様子を容易に把握することができる予測モデルを自動的に、かつ効率よく作成し、効率的・効果的な保険事業を実践することができるようになる。
本発明の実施形態による医療データ分析システム100の概略構成を示すブロック図である。 レセプト基本情報201の構成例を示す図である 傷病名情報301の構成例を示す図である。 傷病名分類情報401の構成例を示す図である。 診療行為情報501の構成例を示す図である。 診療行為分類情報601の構成例を示す図である。 医薬品情報701の構成例を示す図である。 医薬品分類情報801の構成例を示す図である。 健診情報901の構成例を示す図である。 問診情報1001の構成例を示す図である。 整形情報1101の構成例を示す図である。 レセプト整形情報の傷病名コード10と傷病名コード20とを統合した整形情報1200の例を説明する図である。 2つのノードから成る単純なモデルの例を示す図である。 2つのノードからなるモデルの条件付確率テーブルの例を示す図である。 より複雑なモデルの例を示す図である。 X年の項目とX+N年の項目を表わすノードより構成されるグラフィカルモデルの例を示す図である。 現在とN年後の層の構造を用いて2N年後の層の状態を予測する場合を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態による可視化部110の処理の詳細について説明するためのフローチャートである。 非特許文献1(比較例)による可視化処理の例を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態による健康保険事業者向け支援処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による可視化部110の処理の詳細について説明するためのフローチャートである。 極大独立集合の例を示す図である。 可視性が悪くなる場合の状況、及びノード分割を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態による可視化部110の処理の詳細を説明するためのフローチャートである ユーザインタフェースの画面例を示す図である。 ノード分割処理を説明するためのフローチャートである。 ノードの取る値や値の範囲を変化させたときのノード位置の変化の様子を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
更に、本発明の実施形態は、後述されるように、汎用コンピュータ上で稼動するソフトウェアで実装しても良いし専用ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装しても良い。
なお、以後の説明では「テーブル」形式によって本発明の各情報について説明するが、これら情報は必ずしもテーブルによるデータ構造で表現されていなくても良く、リスト、DB、キュー等のデータ構造やそれ以外で表現されていても良い。そのため、データ構造に依存しないことを示すために「テーブル」、「リスト」、「DB」、「キュー」等について単に「情報」と呼ぶことがある。
また、各情報の内容を説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「名前」、「ID」という表現を用いることが可能であり、これらについてはお互いに置換が可能である。
以下では、可視化部等の各処理部を主語(動作主体)として本発明の実施形態における各処理について説明を行うが、各処理部はプログラムによって実現可能であり、このようなプログラムはプロセッサ(演算装置)によって実行されることで定められた処理をメモリ及び通信ポート(通信制御装置)を用いながら行うため、プロセッサを主語とした説明としてもよい。また、プログラムを主語として開示された処理は管理サーバ等の計算機、情報処理装置が行う処理としてもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、また、モジュール化されていても良い。各種プログラムはプログラム配布サーバや記憶メディアによって各計算機にインストールされてもよい。
(1)第1の実施形態
第1の実施例では、医療データ(例えば、レセプト情報、健診情報、問診情報)に基づいて、多数の因子からなる病態変化の因果や遷移をモデル化し、因果や遷移の関係を因子間のネットワークにより可視化する。可視化では、医療費との関連が大きい因子ほど、所定の方向に配置されやすくなる可視化方法を用いる。これによって、病気の発症や重症化の流れが分かりやすくなる。また、このモデルに基づいて、将来の病気の発症確率や重症化確率、保健指導による改善効果を予測し、費用対効果の大きい保健指導の対象者の選定と、保健指導方法の選定を行う。レセプト情報は、健康保険の加入者が医療機関を受診した際の傷病名、処方された医薬品、実施された診療行為、及び医療費(点数)が記録された情報であり、その一例は図2を用いて後述する。なお、処方された医薬品、及び実施された診療行為を医療行為と総称する。
また、健診情報は、健康保険の加入者が健康診断を受診した場合の検査値が記憶された情報であり、その一例は図9を用いて後述する。問診情報は、健康保険の加入者が健康診断を受診した場合の生活習慣や既往歴、自覚症状などの問診の結果が記憶された情報であり、その一例は図10を用いて後述する。なお、問診情報は健診情報の一部とみなし、健診情報と表示した場合には、問診情報を含む場合もある。問診情報はなくともよい。
第1の実施形態では、医療データに基づいて、病気の因果関係及び病態の遷移構造をモデル化する。そして、このモデルに基づいて、保健指導対象者の選択、保健指導方法の提案、保健指導効果の予測などの各種機能を提供する。また、疾病に至る要因や医療費への影響を分かりやすく可視化する方法を提供する。
<医療データ分析システムの構成>
図1は、本発明の実施形態による医療データ分析システム(「データ処理システム」とも言う)100の概略構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態の医療データ分析システム100は、医療データ分析装置101と、データベース114と、有する。
医療データ分析装置101は、入力部102と、出力部103と、演算装置104と、メモリ105と、記憶媒体106と、を有する。
入力部102は、マウス、キーボードなどのヒューマンインターフェースであり、医療データ分析装置101への入力を受け付ける。
出力部103は、医療データ分析システムによる演算結果を出力するディスプレイやプリンタである。
記憶媒体106は、医療データ分析システム100による医療データ分析処理を実現する各種プログラム、及び医療データ分析処理の実行結果等を格納する記憶装置であり、例えば、不揮発性記憶媒体(磁気ディスクドライブ、不揮発性メモリ等)である。メモリ105には、記憶媒体106に格納されているプログラムが展開される。演算装置104は、メモリ105にロードされたプログラムを実行する演算装置(プロセッサ)であり、例えば、CPU、GPUなどである。以下に説明する処理及び演算は、演算装置104が実行する。
医療データ分析システム100は、1つの計算機で構成された計算機システムでも、サーバ及びクライアント端末で構成された計算機システムでもよい。
また、医療データ分析装置101のデータ整形部107とグラフィカルモデル作成部108を備える装置と、発症確率・医療費予測部109、可視化部110、保健指導支援部111を備える装置は、別の装置で構成してもよい。この場合、データ整形部107とグラフィカルモデル作成部108を備える装置によりモデルを作成し、ユーザは発症確率・医療費予測部109、可視化部110、保健指導支援部111を備える装置を用いる。ユーザが用いる装置は、モデル作成の基となった医療データを保持する必要がないため、個人情報の隠匿及び漏洩の防止に有効である。
医療データ分析システム100は、1つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。
演算装置104によって実行されるプログラムは、リムーバブルメディア(CD−ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介して各サーバに提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性記憶装置に格納される。このため、計算機システムは、リムーバブルメディアを読み込むインターフェースを備えるとよい。
データベース114は、医療情報記憶部(記憶領域)115と、整形情報記憶部(記憶領域)116と、グラフィカルモデル記憶部(記憶領域)117と、予測結果記憶部(記憶領域)118と、項目間依存データ記憶部(記憶領域)119と、座標配置記憶部(記憶領域)120と、を有している。
医療情報記憶部115は、入力部102に入力された医療データを格納する。医療データは、レセプト情報、健診情報、及び問診情報を含む。レセプト情報は、レセプト基本情報、傷病名情報、診療行為情報、医薬品情報、傷病名分類情報、診療行為分類情報、及び医薬品分類情報を含む。整形情報記憶部116は、レセプト整形情報、健診整形情報及び問診整形情報を保持する。グラフィカルモデル記憶部117は、後述の、作成されたグラフ(ノードとエッジ)と確率テーブルを格納する。予測結果記憶部118は、後述の、作成された予測結果を格納する。項目間依存データ記憶部119は、後述の、計算されたノード間依存度のデータを格納する。座標配置記憶部120は、後述の、演算されたノードの座標位置を格納する。
以下、各種情報、及び各処理部107乃至111について詳細に説明する。
<レセプト情報>
図2は、レセプト基本情報201の構成例を示す図である。レセプト基本情報201は、レセプトと健康保険の加入者との対応関係を保持する情報である。
レセプト基本情報201は、検索番号202と、健保加入者ID203と、性別204と、年齢205と、診療年月206と、合計点数207と、を構成項目として含んでいる。
検索番号202には、レセプトを一意に識別するための識別子である。健保加入者ID203は、健康保険の加入者を一意に識別するための識別子である。性別204及び年齢205は、当該加入者の性別及び年齢である。
診療年月206は、加入者が医療機関を受診した年及び月である。合計点数207は、一件のレセプトの合計点数を示す情報である。なお、合計点数に「10」を乗じると医療費(円)が算出される。
<傷病名情報>
図3は、傷病名情報301の構成例を示す図である。傷病名情報301は、検索番号202と、傷病名コード302と、傷病名303と、を構成項目として含んでいる。
検索番号202は、レセプトを一意に識別するための識別子であり、レセプト基本情報201の検索番号(図2)と同じ番号を用いる。
傷病名コード302は、レセプトに記載される傷病名コードである。傷病名303は、当該傷病名コードに対応する傷病の名称である。
なお、一件のレセプトには、複数の傷病名が記載可能である。例えば、図3に示す傷病名情報301では、検索番号が「11」のレセプトには糖尿病及び高血圧の傷病名が記載されている。図3に示す傷病名情報301における複数の傷病名が、1つの検索番号に登録されている場合は、合計点数207に、複数の傷病に対する医療行為の合計点数が登録される。
<傷病名分類情報>
図4は、傷病名分類情報401の構成例を示す図である。傷病名分類情報401は、傷病分類と当該傷病分類に属する傷病名とを対応づける情報であり、傷病分類402と、傷病名コード302と、傷病名303と、合併症有無403と、を構成項目として含んでいる。
傷病分類402は、この傷病が属する分類である。傷病名コード302は、レセプトに記載される傷病名コードであり、傷病名情報301の傷病名コード302(図3)と同じ番号を用いる。傷病名303は、当該傷病名コードに対応する傷病の名称であり、傷病名情報301の傷病名303(図3)と同じ名称を用いる。合併症有無403は、この傷病が合併症の傷病名であるかを示す情報である。
<診療行為情報>
図5は、診療行為情報501の構成例を示す図である。診療行為情報501は、検索番号202と、診療行為コード502と、診療行為名503と、診療行為点数504と、を構成項目として含んでいる。
検索番号202は、レセプトを一意に識別するための識別子であり、レセプト基本情報201の検索番号202(図2)と同じ番号を用いる。
診療行為コード502は、レセプトに記載された診療行為を識別するための識別子である。診療行為名503は、当該診療行為コードに対応する診療行為の名称である。診療行為点数504は、当該診療行為の保険点数を示す情報である。
図5では、例えば、検索番号202が「11」のレセプトには、「診療行為A」と「診療行為C」の診療行為名503が記載されている。
<診療行為分類情報>
図6は、診療行為分類情報601の構成例を示す図である。診療行為分類情報601は、傷病分類402と、診療行為コード502と、診療行為名503と、を構成項目として含んでいる。
傷病分類402は、傷病名分類情報401の傷病分類402(図4)と同じ分類を用いる。診療行為コード502は、傷病分類402の傷病で行われる診療行為を識別する診療行為コードであり、診療行為情報501の診療行為コード502(図5)と同じコードを用いる。診療行為名503は、当該診療行為コードに対応する診療行為の名称であり、診療行為情報501の診療行為名503(図5)と同じコードを用いる。
<医薬品情報>
図7は、医薬品情報701の構成例を示す図である。医薬品情報701は、検索番号202と、医薬品コード702と、医薬品名703と、医薬品点数704と、を構成項目として含んでいる。
検索番号202は、レセプトを一意に識別するための識別子であり、レセプト基本情報201の検索番号202(図2)と同じ番号を用いる。
医薬品コード702は、レセプトに記載された医薬品を識別するための医薬品コードである。医薬品名703は、レセプトに記載された医薬品の名称である。医薬品点数704は、医薬品の保険点数を示す情報である。
なお、1件のレセプトには、複数の医薬品名が記載可能である。図7では、例えば、検索番号202が「11」のレセプトは、糖尿病経口薬A及び高血圧経口薬Aとの医薬品名が記載されている。
<医薬品分類情報>
図8は、医薬品分類情報801の構成例を示す図である。医薬品分類情報801は、傷病分類402と、医薬品コード702と、医薬品名703と、を構成項目として含んできる。
傷病分類402は、傷病名分類情報401の傷病分類402(図4)と同じ分類を用いる。医薬品コード702は、傷病分類402に登録された分類で処方される医薬品を識別する医薬品コードであり、医薬品情報701の医薬品コード702(図7)と同じコードが用いられる。医薬品名703は、当該医薬品コードに対応する医薬品の名称であり、医薬品情報701の医薬品名703(図7)と同じ名称が用いられる。
なお、図5に示す医療行為情報501及び図7に示す医薬品情報701を、医療行為情報と総称する。また、図6に示す診療行為分類情報601及び図8に示す医薬品分類情報801を、医療行為分類情報と総称する。
<健診情報>
図9は、健診情報901の構成例を示す図である。健診情報901は、複数の加入者の複数年分の健診情報を管理するための情報であり、健保加入者ID203と、健診受診日902と、健康診断における各種検査値(例えば、BMI等)903乃至907と、を構成項目として含んできい。
健保加入者ID203は、健康診断を受診した健康保険の加入者の識別子であり、レセプト基本情報201の健保加入者ID203(図2)と同じ識別子を用いる。
健診受診日902は、健康診断を受診した年月日である。BMI903から中性脂肪907は、健康診断の検査の結果を示す情報である。
特定の検査を受けなかった場合など、健診情報のデータが欠落することがある。例えば、図9では、健保加入者ID「K0004」が2004年に受診した検査項目のうち収縮期血圧906のデータが欠落している。
<問診情報>
図10は、問診情報1001の構成例を示す図である。問診情報1001は、複数の加入者の複数年分の問診情報を管理するための情報であり、健保加入者ID203と、問診受診日1002と、問診の回答(例えば、喫煙等)1003乃至1005と、を構成項目として含んでいる。なお、問診は、生活習慣、既往歴、アレルギー等の体質、自覚症状などを含んでもよい。
健保加入者ID203は、問診を受診した健康保険の加入者の識別子であり、レセプト基本情報201の健保加入者ID203(図2)と同じ識別子を用いる。
問診受診日1002は、問診を受診した年月日である。タバコ1003から歩行1005は、問診の結果を表す情報である。タバコ1003は、喫煙習慣がある場合は一日の平均喫煙本数であり、喫煙しない場合は「なし」である。飲酒1004は、飲酒習慣がある場合は一日の平均飲酒量(単位=ml)であり、飲酒習慣がない場合は「なし」である。歩行1005は、一日の平均歩行時間(単位=分)である。
なお、問診情報では、歩数、飲酒量、喫煙本数などの詳しい情報が得られない場合もある。具体的な飲酒量ではなく、予め問診表で区分けされた頻度のうち、該当するものを回答する場合がある。例えば、喫煙や飲酒の有無のみの情報が得られる場合、飲酒の頻度をいくつかの程度に分けて(例えば、(i)飲酒無し、(ii)週に1〜2回、(iii)週に3回以上)回答する場合などである。この場合、問診情報の値は、回答番号を示すもので、血圧などの検査値等と異なり、定量的な意味をもたない。
特定の項目に対する回答が無かった場合、問診情報のデータが欠落することがある。例えば、図10では、健保加入者ID「K0003」が2004年に受診した問診項目のうち歩行1005に対するデータが欠落している。
<データ整形処理の詳細>
次に、データ整形部107の処理について説明する。データ整形部107は、医療情報記憶部115に記憶されている医療データから、加入者毎かつ期間毎のレセプト情報、健診情報及び問診情報を集計・統合し、表形式に整形する。以下では、1つの期間は1年であるとして説明するが、半年、2年、3年など、別の期間でもよい。
図11は、整形情報1101の構成例を示す図である。図11を用いて、データ整形部107の処理を説明する。
整形情報1101は、2004年のレセプト情報を整形したレセプト整形情報を含むものである。整形情報1101の各行は、1つの健保加入者IDに対応する1つの年のデータを集計したものである。
健保加入者ID203と、性別204、年齢205及び合計点数207は、それぞれ、レセプト基本情報201の健保加入者ID203、性別204、年齢205及び合計点数207(図2)と同じ情報である。データ年1102は、当該整形情報を作成する基となったデータの年を示している。
傷病名コード10(1103)は、当該健保加入者IDのレセプトのうち傷病名コードに10の記載があるレセプトの数である。傷病名コード20(1104)も同様に、当該健保加入者IDのレセプトのうち傷病名コードに20の記載があるレセプトの数である。診療行為コード1000(1105)は、当該健保加入者IDのレセプトのうち診療行為コードが1000の診療行為が行われたレセプトの数である。医薬品コード110(1106)は、当該健保加入者IDのレセプトのうち医薬品コードが110の医薬品が処方されたレセプトの数である。
以下、データ整形部107の処理について、2004年のデータを整形する場合を具体的に説明する。
まず、1つの健保加入者IDを選択する。診療年月が2004年である当該健保加入者IDのレセプトの検索番号をレセプト基本情報201より取得する。次に、傷病名情報301を参照して、傷病名コード毎に、当該傷病名コードが記載されているレセプトの数をカウントする。これによって、各傷病名コードの記載があるレセプトの数が得られる。同様に、診療行為情報501を参照して、診療行為コード毎のレセプトの数をカウントし、医薬品情報701を参照して、医薬品コード毎のレセプトの数をカウントする。これにより、選択された健保加入者IDの2004年のデータ行が生成される。この処理を、分析対象となる全ての健保加入者ID及び年の組み合わせに対して行う。
例えば、図11に示す整形情報1101において、1行目の健保加入者ID「K0001」の2004年のデータは、検索番号「11」「12」「13」がレセプト基本情報601から取得できる。傷病名情報901を参照すると、この3つのレセプトのうち、傷病名コードが「10」であるレセプトは、検索番号「11」及び「13」の2つである。従って、整形情報1101の1行目の傷病名コード10の欄には「2」が登録される。
図11に示す整形情報1101は、健診情報から整形された健診整形情報も含んでいる。各行は、1つの健保加入者IDに対応するデータを集計したものである。
各項目の値は、健保加入者ID203及びデータ年1102に示される加入者及び年における健診データの値である。この健診データは健診情報901から取得できる。健診情報901が同一健保加入者IDの同一年の複数の健診データを含む場合(1年に2回以上の健康診断を受診した場合など)、いずれか1つの受診日のデータを使っても、当該年の複数回の健診結果の平均を使ってもよい。1つの受診日のデータを使う場合、毎年ほぼ同じ時期に実施される一斉健診日のデータを使うとよい。また、データに欠損が少ない受診日を選択する方法もある。また、図11では欠損データは、−1で示している。例えば、健保加入者IDがK0004の加入者の収縮期血圧1111のデータは欠損しているため、−1が記入されている。なお、健診情報がない加入者の健診情報の値は、全て欠損データとする。
さらに、図11に示す整形情報1101は、問診情報から整形された問診整形情報も含む。各行は、1つの健保加入者IDに対応するデータを集計したものである。
各項目の値は、健保加入者ID203及びデータ年1102に示される加入者及び年における問診データの値である。この問診データは問診情報1001から取得できる。問診情報1001が同一健保加入者IDの同一年の複数の問診データを含む場合(1年に2回以上の健康診断を受診した場合など)、いずれか1つの受診日のデータを使っても、当該年の複数回の問診結果の平均を使ってもよい。1つの受診日のデータを使う場合、毎年ほぼ同じ時期に実施される一斉健診日のデータを使うとよい。また、データに欠損が少ない受診日を選択する方法もある。また、図11では欠損データは、−1で示している。例えば、健保加入者IDがK0003の加入者の歩行1116のデータは欠損しているため、−1が記入されている。なお、問診情報がない加入者の問診情報の値は、全て欠損データとする。なお、問診情報1001のタバコや飲酒のように「なし」や「少量」などの場合には、適当な数値に置き換える。例えば、「なし」の場合は0に、「少量」の場合には、少量であることを示す数値、例えば、1などとする。
以上の処理によって、レセプト整形情報、健診整形情報及び問診整形情報を生成することができる。なお、図11には2004年のデータのみを示したが、別の年の整形データも作成する。
ここで、レセプト整形情報を作成する際に、類似の複数項目を統合してもよい。例えば、医薬品の項目のうち、糖尿病経口薬Aの機能と糖尿病経口薬Bの機能とが類似している場合、これらを纏めて1つの項目として扱ってもよい。このとき、同一年の糖尿病経口薬Aの処方回数と糖尿病経口薬Bの処方回数とを加算した値を、新しく纏めた項目の値とする。項目が類似するかを判断するための基準は、例えば、以下の方法がある。診療行為分類情報601で同一傷病分類に属する診療行為名を類似項目とする。また、医薬品分類情報701で同一傷病分類に属する医薬品名を類似項目とする。また、予め類似項目情報を人手により作成しておく。
図12は、レセプト整形情報の傷病名コード10と傷病名コード20とを統合した整形情報1200の例を説明する図である。傷病名コード1201の値は、図11の傷病名コード1103の値と傷病名コード1104の値とを加えた値であり、傷病名コードが「10」であるレセプトの数と傷病名コードが「20」であるレセプトの数と合計である。
図11及び12に示す、作成されたレセプト整形情報、健診整形情報、及び問診整形情報は、データベース114の整形情報記憶部116に記憶される。
なお、レセプト整形情報の値は、レセプトの数、すなわち処方回数で集計したが、処方の有無の情報でもよい。すなわち、処方回数が1以上の(処方がある)場合を1として纏め、処方回数が0の(処方がない)場合を0として、2値であらわしてもよい。また、処方回数が重症度を表すと考えて、レセプト整形情報の値は、処方回数を段階に分類した値でもよい。例えば、処方回数が0回の場合を0とし、処方回数が1〜4回の場合を1とし、処方回数が5回以上の場合を2とするなど、3段階で表してもよい。
また、整形情報1101の検査値などの連続値は、項目の状態数を減らすために離散化しておいてもよい。例えば、年齢は5年ごとに表示して、40〜44歳までを42、45〜49歳までを47などとして、その区間の数値を代表する値に変換しておいてもよい。また、血糖値も105〜109までを107とするなど、状態数を減らしておいてもよい。
前述した例では、1年毎の期間でレセプト情報、健診情報及び問診情報を纏めたが、例えば、2年毎、3年毎など異なる期間でもよい。なお、以下では、期間は1年毎に纏めた場合を例として説明する。
<グラフィカル作成処理の詳細>
続いて、グラフィカルモデル作成部108の処理について説明する。グラフィカルモデル作成部108は、レセプト整形情報の各項目を確率変数とし、確率変数をノード、確率変数間の条件付依存関係をエッジとして表現したグラフ、および、条件付確率テーブルより成るモデルを作成する。ただし、エッジは有向、無向の2種類がある。また、ノードの集合をV、エッジの集合をE、グラフをG=(V,E)とおくことにする。グラフィカルモデルの特殊な場合として、ベイジアンネットワークやマルコフネットワークなどがある。
グラフィカルモデル作成部108は、レセプト整形情報に基づき、レセプト整形情報の各項目を確率変数とするベイジアンネットワークなどのグラフィカルモデルを作成する。グラフィカルモデルの項目としては、例えば、図11の整形情報(表)1101の1行目に記載されている性別、年齢、傷病名コード10、傷病名コード20、BMI、腹囲などが挙げられる。
<グラフィカルモデルの例>
以下では、作成されるグラフィカルモデルについて、例を挙げて説明する。
(i)単純なモデル(基本的考え方)
図13Aは、2つのノードから成る単純なモデルを示す図である。図13Aにおいて、X年経口薬処方回数をX年の糖尿病の経口薬処方回数を表す確率変数とし、X+N年インスリン処方回数をX+N年の糖尿病のインスリン処方回数を表す確率変数とする。それぞれの確率変数を表すノードを、v1、v2とおくと、図13Aのグラフは、v1、v2の2つのノード、およびv1からv2への有向エッジe1より成る。また、V=(v1,v2)、E=(e1)とおくと、図13Aのグラフは、G=(V,E)と表すことができる。
次に、図13Bを用いて、条件付確率テーブルについて説明する。ノードv1、v2が表す確率変数をそれぞれx1、x2とおくと、図13Aで示されるグラフGは、x1とx2の同時分布p(x1、x2)がp(x1、x2)=p(x2|x1)p(x1)により与えられることを示している。つまり、x2の確率分布は、x1の値に依存し、x1に関する条件付き確率p(x2|x1)により与えられる。確率変数x1には親ノードがないため、x1の確率分布はp(x1)となる。これは、何も情報が無いときにx1の値を取る確率を表している。一方、条件付き確率p(x2|x1)は、x1の値を取った時にx2の値となる確率を表している。
条件付確率テーブルは、p(x1)とp(x2|x1)の値である。p(x1)の確率テーブルは、x1の各値に対する確率値である。図13Bの1301にp(x1)の例を示す。表1301は、例えば、p(x1=0)=a1はx1=0となる確率がa1であることを示す。これは、モデル生成用のレセプト整形情報の事例(被保険者)のうち、X年に経口薬処方回数が0であった人の割合を計算することにより得ることができる。a2、a3、…、も同様にして計算できる。p(x1)は確率分布であるので、Σp(x1)=1となる。ここで、和はx1の全ての値に対してとる。
また、p(x2|x1)の確率テーブルは、x1、x2の各値に対して、p(x2|x1)を求めることで得られる。例えば、p(x2=s2|x1=s1)は、x1=s1となる事例のうち、x2=s2となっている事例の割合を計算することで得られる。この計算により、確率テーブルが得られる。
図13A及びBのような単純な例の場合には、図13Aに示すグラフGと図13Bに示す確率テーブルがグラフィカルモデルとなる。このモデルを用いることにより、例えば、ある被保険者のある年の経口薬処方回数が分かっている場合に、その被保険者がN年後、インスリンを処方される回数の確率分布を求めることができる。例えば、今年、経口薬処方回数が1の場合に、N年後、インスリンを2回処方される確率は、P(x2=2|x1=1)により与えられる。
(ii)より複雑なモデル
次に、図13の場合よりも確率変数の数を増やした場合のモデルについて、図14で示される例を用いて説明する。
図13Aでは、X+N年のインスリン処方回数を予測したいとき、確率変数としてX年の経口薬処方回数のみを用いている。
しかし、X+N年のインスリンの処方回数は、血糖値が高い人のほうが大きいと予想できる。また、それは年齢にも依存すると予想することもできる。
そこで、図14に示されるように、例えば、X年経口薬処方回数、X年血糖値、及びX年年齢を用いてX+N年インスリン処方回数を予測した方が、より正確な予測ができると想定される。
ここで、X年経口薬処方回数、X年血糖値、X年年齢、及びX+N年インスリン処方回数を表す確率変数を、それぞれ、x1、x2、x3、x4、これらを表すノードをv1、v2、v3、v4とする。この場合、グラフのノード集合は、V=(v1,v2,v3,v4)と表すことができる。また、3つの有向エッジが定義されており、X1からX4,X2からX4,X3からX4への有向エッジを、それぞれe1、e2、e3とおくと、エッジ集合は、E=(e1、e2、e3)と表すことができる。そして、グラフはG=(V,E)と表される。このグラフにより、x1、…、x4の同時分布は、p(x1、x2、x3、x4)=p(x4|x1、x2、x3)p(x1)p(x2)p(x3)となる。そして、条件付き確率テーブルは、p(x1)、p(x2)、p(x3)、p(x4|x1、x2、x3)をx1、…、x4の各値に対して計算することにより得られる。このモデルを用いることにより、X年経口薬処方回数だけでなく、X年血糖値が分かっている場合には、より正確にX+N年インスリン処方回数が予測できるようになる。
上述した図13や図14のような小規模なモデルの場合には、X+N年インスリン処方回数の確率分布が何に依存しているか、経験や知識に基づいて定義することも可能である(つまり、従来方法を用いてもそれほど複雑ではない)。
しかしながら、モデルの規模が大きくなると困難となる。例えば、X+N年インスリン処方回数は、性別やBMI値など、他の糖尿病関連の医科処方項目や薬剤、問診、健診の何らかの項目に依存する可能性がある。また、経口薬処方回数や血糖値自体も、他の項目に依存する。そのため、レセプト整形情報の項目のように確率変数が大規模になる場合には、その確率的依存関係(エッジ)をデータに基づいて自動的に作成する。
例えば、3年後の発症確率・医療費を予測したい場合には、X年とX+3年のレセプト整形情報の項目を確率変数としたグラフィカルモデルを作成すればよい。これらは過去のデータから作成され、例えば、2008年と2011年、2009年と2012年のデータを用いるなど、3年分の過去データを用いる。このとき、同一被保険者のデータであっても、2008年と2011年のデータと、2009年と2012年のデータは、別の事例として、学習に利用できる。医療費を予測する場合には、X+N年医療費を確率変数とするノードを入れておく。
(iii)グラフィカルモデルの作成例
ここでは、図15Aを用いて、本発明によるグラフィカルモデルの作成例について説明する。
図15Aに示すグラフィカルモデルは、X年の項目とX+N年の項目を表わすノードより構成される。項目間のエッジは3種類となっている。1つ目は、X年のBMI値とX年のコレステロール値などのように、同一年の項目の間のエッジであり、図では細実線で示されている。2つ目は、X年の糖尿病経口薬処方有無とX+N年の糖尿病経口薬処方有無のように、異なる年の項目名(年の部分を除く)が同じである項目の間のエッジであり、図では太実線で示されている。3つ目は、X年の血糖値とX+N年の経口薬処方有無のように、異なる年の項目名(年の部分を除く)が異なる項目の間のエッジであり、図では点線で示されている。
これらの3種類のエッジの意味について説明する。まず、細実線で示した同一年の項目の間のエッジについて説明する。同一年の項目間エッジでは、同一年の項目間の確率的依存性を示す。例えば、BMI値が高い場合には、コレステロール値も高い傾向があるため、これら2つの項目には確率的な依存性がある。このような傾向は、年が変わっても大きく変化するものではないため、X年のノード群とX+N年のノード群のエッジ構造は、同一にするという拘束条件をつけてもよい。このような条件の下、整形情報1101の事例データを用いて、同一年の項目の間のエッジを学習する。これには、ベイジアンネットワークやマルコフネットワークの既存の構造学習方法を用いることができる。このとき、整形情報1101の各行が1つの事例となり、データ年を除く項目が確率変数(ノード)となる。事例として、異なるデータ年の事例が混在していてもよい。
次に、太実線で示した異なる年の項目名(年の部分を除く)が同じである項目の間のエッジについて説明する。これは、項目の経年的な状態変化(遷移)を表わす。例えば、図に示すようなX年の糖尿病経口薬処方有無からX+N年の糖尿病経口薬処方有無へのエッジである。これは、X+N年の糖尿病経口薬処方の有無が、X年の糖尿病経口薬処方の有無の状態に依存していることを示している。例えば、X年に糖尿病経口薬の処方を受けた人はX+N年にも糖尿病経口薬の処方を受ける可能性が高いと考えられる。逆に、X年に糖尿病経口薬の処方を受なかった人はX+N年に糖尿病経口薬の処方を受ける可能性は低いと考えられる。同様にして、将来の各項目の状態は、現在の各項目の状態に依存していると考えられるため、このエッジは、すべてのX年とX+N年の項目名が同じである項目の間に定義してもよい。
さらに、点線で示した異なる年の項目名(年の部分を除く)が同じでない項目の間のエッジについて説明する。これは、上述したX年とX+N年の項目名(年の部分を除く)が同じ項目の間の経年的な遷移に影響を及ぼす因果を示している。図15Aでは、例えば、X年の血糖値からX+N年の糖尿病経口薬処方有無にエッジがある。これは、X+N年の糖尿病経口薬処方有無の状態が、X年の血糖値に依存していることを示している。X年に糖尿病経口薬の処方がない人が、X+N年に糖尿病の経口薬の処方を受ける確率は、その人のX年の血糖値の値が高いほど、高いと想定される。そのため、X+N年の糖尿病経口薬処方の有無をより正確に予測するために、X年の血糖値の情報が有効であると想定される。このように、これらのエッジは、X年からX+N年へのある項目の状態遷移が、他のX年の項目の状態に確率的に依存していることを示している。これらのエッジは、確率的依存性が一定以上となるようなX年とX+N年の同一でない項目間に定義される。例えば、単純な方法では、相関係数を計算し、ある閾値以上の項目間に定義してもよい。また、同一の健保加入者のある年のデータとその年からN年後のデータを1つの事例として、多数の事例を用いてベイジアンネットワークやマルコフネットワークの構造学習法によってエッジを学習してもよい。例えば、N=3の場合には、同一の健保加入者の2004年と2007年のデータを1つの事例として扱う。
以上のようにして3種類のエッジを定める。これらのエッジは、まとめて、ベイジアンネットワークやマルコフネットワークの構造学習法により、整形情報1101の事例を用いて作成してもよいし、各々の種類で独立に整形情報1101の事例を用いて作成してもよい。また、実細線の構造はX年とX+N年で同一とする拘束条件を与えてもよい。さらに、実太線のエッジは、全てのX年とX+N年の同一項目名の項目間に定めてもよい。
以上の方法により、項目間のエッジを定めることができる。項目はX年の項目とX+N年の項目を含む。このエッジに基づいて、条件付確率のテーブルを整形情報1101の事例に基づいて計算する。
以上の方法により作成したグラフ(ノードとエッジ)と確率テーブルは、グラフィカルモデル記憶部117に記憶される。なお、このようなグラフィカルモデルは、性別や年齢、国籍などによって大きく異なる場合がある。そのため、このようなグラフかるモデルは、性別ごと、年齢ごと、国籍ごと、など、必要に応じて別々に作成してもよい。
<発症確率・医療費予測処理の詳細>
次に、発症確率・医療費予測部109の処理の詳細について説明する。発症確率・医療費予測部109は、グラフィカルモデル記憶部117で記憶されるモデルを用いて、健保加入者の将来の発症確率、および医療費を予測する。グラフィカルモデルを用いると、一部の確率変数(項目)に既知の値が与えられたときの未知の確率変数(項目)の各状態を取る確率の分布を求めることができる。例えば、個人の今年の健診、問診、レセプトのデータが与えられたとき、X年の確率変数(項目)の値を既知として、残りのX+N年の確率変数(項目)の確率分布を求めることができる。また、例えば、個人の今年の健診、問診、レセプトのデータが与えられたとき、N年後にその人が糖尿病経口薬の処方を受ける確率、受けない確率が得られる。同様にして、N年後の他の項目の各値に対する確率分布も得られる。これにより、例えば、X+N年の医療費の確率分布を求めることができ、よって医療費の期待値が得られる。同様にして、医科、薬剤の処方の確率分布を求めることにより、ある病気の発症確率が計算できる。このような確率推論には、Junction Tree Algorithmなどを用いることができる。これにより、各被保険者の今年のデータに基づいて、N年後の発症確率、医療費を予測できる。
図15Aで示した例を用いて、発症予測・医療費予測の例について説明する。まず、今年分の健診、問診、レセプトのデータが得られた場合、図15AのX年ノード群にそのデータを観測データとして設定する。このとき、X年の項目の未知項目があってもよい。たとえば、未検査項目や問診等の未回答項目などは未知となる。まず、実線で示したX年ノード間のエッジに基づいて、観測データから、X年の未知項目の状態を確率推論する。これにより今年の既知項目の値と、今年の未知項目の各状態の推定確率が得られる。
次に、N年後の各項目の状態の確率を太実線と点線で示されたエッジに基づいて確率推論する。これにより、N年後の各項目の各状態の推定確率が得られる。これに基づいて、例えば、検査値、医療費の期待値を計算することにより、N年後の検査値、医療費などの予測値が得られる。
今、2N年後の状態を予測したいとする。この場合には、現在とN年後の層と同一の構造をN年後と2N年後の層にも用いることができる。図15BのN年後と2N年後の層は、図15AのX年とX+N年の層の構造と同一だからである。そして、N年後の各項目の各状態の推定確率に基づいて、2N年後の各項目の各状態の推定確率を計算する。これにより2N年後の状態が予測できる。これを繰り返すことにより、3N年後、4N年後、のように将来の状態が予測できる。
以上により、各健保加入者の今年の健診、問診、レセプトの結果などを用いて、N年後、2N年後、3N年後、…、の病気の発症確率、医療費などを予測することができる。
<可視化処理の詳細>
続いて、可視化部110の処理の詳細について説明する。
可視化部110は、グラフィカルモデル作成部108で作成したグラフG=(V,E)の構造を可視化する。可視化処理により、ノードVを2次元、または3次元空間上に配置して表示する。また、エッジEは、ノード間を直線や曲線で結び、有向エッジは矢印などで表す。なお、エッジは表示しなくてもよいし、エッジを表示する場合でも、有向と無向の区別をせず、矢印なしでもよい。
グラフを可視化処理することにより、ノード間の依存関係を視覚的に把握することができる。これにより、レセプトの項目に対応する疾病間の関係や、疾病と検査値、生活習慣などとの関連の強さを知ることができる。
例えば、非特許文献1の可視化処理方法は、ノード間のエッジの有無に基づいて、エッジで結ばれているノード同士が互いに近くに配置されるように、ノードの配置を定める方法である。しかし、非特許文献1に示す方法を用いても、病気の発症や重症化の流れや、病気の重症化に影響を及ぼす因果の様子が分かりにくい。
そこで、本発明では、ノードに重要度(関心度)を定義し、重要度が高いノードほど、予め定めた方向側に配置されやすいようにノードの配置座標を計算する。ノードの重要度は、医療費への影響に基づいて算出される。なお、重要度の算出方法については後述する。
以下では、y軸正側(上側)に重要度が高いノードが配置されやすいように配置座標を定めるとして、説明をする。また、ノードを2次元上に配置するとして図16を用いてノードの座標計算方法について説明する。なお、3次元の場合も同様にして算出できる。
(i)ノード間依存度の算出
まず、図16に示すフローチャートの処理を実行する前に、演算装置104は、ノード間の依存度を計算する。ノード間依存度は、2つのノードの間の類似度や関連度で、依存度が高いほど大きな値を取る。ノードviとノードvjの間の依存度をs(i、j)と置く。ここでは、ノード間の依存度の算出例を4つ挙げるが、何れかを単独で用いて依存度を定義しても良いし、いくつかを組み合わせて依存度を定義しても良い。ノード間の依存度は、整形情報1101の事例に基づいて計算される。
算出例1:エッジがあるノード間の依存度は1、それ以外のエッジが無いノード間の依存度を0とする。
算出例2:2つのノードが表現する2つの確率変数間の相互情報量を依存度とする。確率変数X、確率変数Yの相互情報量I(X,Y)は、XとYの同時確率分布をp(x、y)、XとYの周辺確率分布をp(x)、p(y)とすると、I(X,Y)=ΣΣp(x、y)log(p(x、y)/p(x)p(y))により与えられる。ここで、和は、全てのX、Yの値に対して取る。相互情報量を計算する場合には、予め全てのノードの組に対する同時確率分布p(x、y)と、全てのノードに対する周辺確率分布p(x)を計算しておいて、記憶装置に保存しておいてもよい。また、エッジが無いノード間の依存度は相互情報量に関わらず0としてもよい。
算出例3:2つのノードが表現する2つの確率変数をX1、X2とする。ここで、2つの確率変数X1及びX2の依存度を計算する。レセプト整形情報に基づいて、各事例のX1、X2の値を並べたベクトルとして、それぞれx1=(x11,x12,…,x1n)、x2=(x21,x22,…,x2n)を計算する。例えば、図11の例のようなデータを用いる場合で、X1を傷病名コード10、X2を傷病名コード20を表わす確率変数とする場合には、x1=(1,1,1,0,…)、x2=(1,1,0,0,…)などのようになる。この例では、x1とx2とをベクトルと考えたときの相関係数に基づいて依存度を算出する。
ここで、ベクトルx1とx2との相関係数をr(x1,x2)とする。このとき、x1、x2の要素に欠損値がある場合には、r(x1、x2)を計算することができない。そのため、x1及びx2のいずれかで欠損値がある要素を取り除く。例えば、x1iが欠損している場合には、x2iも取り除く。逆に、x2jが欠損している場合には、x1jを取り除く。このようにして、x1及びx2から欠損次元を取り除いたベクトルを改めてv1=(v11,v12,…,v1m)、v2=(v21,v22,…,v2m)とする。
相関係数r(v1,v2)の値は、v1及びv2の値の質の違いによって、同程度の依存性を有しているとしても、その値にずれが生じる。従って、まず、v1、v2の要素を、独立にランダムに並べなおしたベクトルをそれぞれw1、w2とおく。これらのベクトルw1、w2には依存度がないことが想定できる。これを用いて、|r(v1,v2)|−|r(w1,w2)|を計算する。|r(v1,v2)|<|r(w1,w2)|である場合には、依存度はないと判断できる。このため、この場合の依存度を0とし、それ以外の場合の依存度を|r(v1,v2)|−|r(w1,w2)|とする。これによって、ランダムな場合(依存性が無い場合)と比較した依存度を計算することができる。
算出例4:ノード間依存度の4つ目の例を挙げる。2つのノードが表現する2つの確率変数をX1、X2とする。ここで、2つの確率変数X1及びX2の依存度を計算する。レセプト整形情報に基づいて、X1及びX2の事例を並べたベクトルとして、それぞれx1=(x11,x12,…,x1n)、x2=(x21,x22,…,x2n)を計算する。この例では、x1とx2とのエントロピーに基づいて依存度を算出する。エントロピーが大きいと要素のばらつきが大きく、エントロピーが小さいと要素のばらつきが小さく、並びに規則性があることが分かる。
まず、上述した相関に基づく依存度の場合と同様に、v1とv2のいずれかが欠損値をもつ次元を取り除いたベクトルを改めてv1及びv2とする。
次に、ベクトルv1及びv2の要素対の集合をS={(v1i,v2i)}(iは1からmの整数値)とする。Sの要素数はm個である。Sの要素p=(p1,p2)に対して、pと等しいSの要素の個数をnpとする。また、Sの異なる要素の数をLとする。このとき、Lで正規化したv1、v2の対のエントロピーe(v1,v2)を下式で表す。
e(v1,v2)=Σ[(−np/m)log(−np/m)]/L
ここで、ΣはSの全ての異なる要素pの和である。3つ目の依存度の例の場合と同様に、ランダム化したw1、w2についても、e(w1,w2)を計算する。e(v1,v2)は、正の値とし、v1、v2の共起度が大きいほど、小さい値となる。そのため、ランダムな場合で正規化したe(v1,v2)/e(w1,w2)が1より大きい場合、v1とv2とには依存関係がないと判断できる。また、e(v1,v2)/e(w1,w2)は0以上の値である。そこで、e(v1,v2)/e(w1,w2)が1より大きい場合の依存度を0とし、それ以外の場合の依存度を1−e(v1,v2)/e(w1,w2)とする。
以上により、ノード間の依存度が与えられる。上記の方法によらず、別の方法によって、ノード間の関連性の強さを示す依存度を計算してもよい。
本実施形態では、ノード間の依存度を算出する場合に、相互情報量や相関値、エントロピーなどを用いて計算する例を挙げた。この相互情報量や相関値、エントロピーの計算には、全事例(被保険者)の値を用いた。つまり、このときの依存度は、平均的な項目間の依存度を表すことになる。しかし、性別や年齢層の違いによって、ノード間の依存度も異なると考えられる。また、血糖値の高低によって、疾病構造が異なり、ノード間の依存度も異なると考えられる。また、個人のデータが与えられたときには、個人ごとに項目間の依存度、つまり、生活習慣、検査値、処方(疾病)の関連構造は異なると考えられる。このような特定の層や個人に合わせた構造を可視化したい場合もある。その場合には、相互情報量、相関値、エントロピーを、ターゲットとしている事例のみを抽出して算出することもできる。
(ii)レセプト項目医療費算出処理(ステップ1601)、及び健診・問診医療費影響算出処理(ステップ1602)
次に、各ノードに対して、重要度を算出する。重要度は、医療費への影響に基づいて算出される。
ステップ1601において、可視化部110は、レセプトの医科、薬剤、歯科などのレセプトの各項目に対応するノードへの重要度を定める。また、ステップ1602において、可視化部110は、健診及び問診の項目に対応するノードへの重要度を定める。いずれの重要度も、医療費ノードとの依存度によって定めるようにしてもよい。依存度は、上述の項目(ノード)間の依存度の計算方法を用いて求めることができる。つまり、項目Aの重要度は、項目Aの属する年の医療費と項目Aとの依存度とする。これによって、各ノードの重要度を定めることができる。
以下、レセプト項目医療費算出処理(ステップ1601)と健診・問診医療費影響算出202における別の重要度の算出について説明する。
(ii-1)レセプト項目医療費算出処理(ステップ1601)では、可視化部110は、レセプトの医科、薬剤、歯科などの処方に関するノードへの重要度を処方の医療費に基づいて算出する。算出例(2例)は以下の通りである。
1つ目の例:処方にはそれにかかる医療費が付随しているため、医療費は、当該処方の医療費に関する情報がある場合には、その値を用いても良い。医療費に幅がある場合には、中間値、平均値などを用いる。
2つ目の例:当該ノードに関する処方を1回以上受けている事例(被保険者)の医療費の平均値として算出する。より正確に計算する場合には、当該事例の医療費のうち当該ノードの処方に関する医療費のみを用いて、その医療費の平均値として算出する。このとき、処方回数で割ることによって、1回あたりの処方の平均値として算出してもよい。
(ii-2)健診・問診医療費影響算出処理(ステップ1602)では、可視化部110は、健診及び問診に関するノードへの重要度を算出する。健診及び問診に関するノードでは、処方とは違い、医療費の情報が無いため、直接、医療費より重要度を与えることができない。そこで、医療費に与える影響の大きさに基づいて、重要度を計算する。算出例は以下の通りである。
算出例1:算出例1では、グラフィカルモデル作成部108で作成したモデルによる予測結果を用いる。まず、当該ノードがとる値の数がn個あるとする。当該ノードの各値に対して、X+n年の医療費を予測し、その値をk1、…、knとする。また、当該ノードの各値の周辺確率をp1、…、pnとする。そのとき、平均的な期待医療費をm=k1*p1+…+kn*pnにより計算し、これを平均的な医療費とする。次に、n*k1*p1、n*k2*p2、…、n*kn*pnの分散値をvとする。このvは医療費が影響を受ける度合いを表すため、vを重要度とする。
算出例2:算出例2では、項目の値が所定の異常値の範囲にある事例を整形情報1101から抽出し、それらの事例の医療費の平均値、中間値などを医療費の影響度として定める。所定の異常値は予め定められたものである。
ここで、重要度は、生活習慣、検査値、処方の順に大きくしたい場合には、生活習慣、検査値、処方に関するノードの重要度にそれぞれc1、c2、c3(c1<c2<c3)を掛けるなどして、調整する。ただし、通常、医療費への影響度は小さい順に概ね生活習慣、検査値、処方の順となるため、c1=c2=c3=1としてもよい。このように、生活習慣、検査値、処方の順になるようにノードを配置することにより、生活習慣が検査値の変化に影響を及ぼし、検査値の変化が病気の重症化や発症に影響を及ぼす因果関係の流れを分かりやすく可視化することができる。
(iii)医療費影響力算出処理(ステップ1603)
可視化部110は、レセプト項目医療費算出処理(ステップ1601)、及び健診・問診医療費影響算出処理(ステップ1602)において算出された重要度に基づいて、各ノードに対し、重要度が高いものほどy軸正(上側)の方向に力がかかるように、力を定義する。ノードiに働く力は、重要度をwiとおくと、例えば、fi(y)=Gwi−Bにより定義される。ここで、Gは重要度に基づく順序付けの強さをコントロールする定数で、大きいほど、重要度順に並びやすくなるように力が働く。Bは系全体が移動しないように定める定数で、Σfi(y)=0となるように定める。ここで和は全てのノードに対して取る。
なお、医療費影響力は、レセプト項目医療費と健診・問診医療費影響度の少なくとも1つ重要度を用いて算出しても良い。つまり、レセプト項目のみに着目してノードを可視化したい場合もあるし、健診・問診の結果にのみ着目してノードを可視化したい場合もある。よって、常に、両方の重要度を用いて医療費影響力を算出する必要は必ずしもない。
(iv)項目間力定義処理(ステップ1604)
可視化部110は、上述のノード間依存度に基づいて、異なる2つのノード間に働く斥力(ノード同士が近くにあるほど斥力が大きくなる)と引力(依存度が高いほど引力が大きくなる)を定義する。ノードiとノードjの座標をそれぞれ(xi、yi)、(xj、yj)とし、ノードiとノードjの間のユークリッド距離を(xi、yi)、(xj、yj)の関数としてd(i、j)とおく。このとき、例えば、ノードiとノードjの間に働く斥力は、fr(i、j)=−1/d(i、j)、引力は、fa(i、j)=−s(i、j)×d(i、j)^2として定める。ここで、s(i、j)はノードiとノードjの依存度を表し、d(i、j)^2はd(i、j)の二乗を表わしている。
(v)座標配置処理(ステップ1605)
ステップ1603及び1604により、医療費影響力及び項目間力が算出される。よって、各ノードiに働く力の合計は、Fi=fi+Σfr(i、j)+Σfa(i、j)により与えられる。ここで、和はすべてのノードi以外のノードjについてとる。fiが重要度に基づく力、frがノード間の斥力、faがノード間の引力である。
そして、座標配置処理(ステップ1605)において、可視化部110は、上記各ノードiに働く力により定義される系全体のエネルギーE=ΣFi^2が小さくなるように、座標配置を反復的に修正して、各ノード座標配置を定める。すると、依存度が高いノード同士は近くに配置され、そうでないものは離れて配置される。また、医療費影響が高いノードは特定の方向に向かって配置され、そうでないものは特定の方向とは無関係に配置される。座標配置の具体的な処理内容(ステップ16051乃至16053)については後述する。
(vi)可視化処理(ステップ1606)
可視化部110は、各ノードを、ステップ1605によって定められた座標に基づいて配置する。ノードは○などの適当な図形により表示する。エッジはノード間を結ぶ曲線や直線などで表示する。有向エッジの場合には矢印などで表現してもよい。
<座標配置処理(ステップ1605)の詳細>
座標配置処理(ステップ1605)は、初期座標設定処理(ステップ16051)と、座標修正処理(ステップ16052)と、収束判定処理(ステップ16053)と、によって構成される。
(i)初期座標設定処理(ステップ16051)
可視化部110は、各ノードの座標をランダムに(特に特別な規則はない)定める。
(ii)座標修正処理(ステップ16052)
可視化部110は、項目間力によるエネルギーが小さくなるように、勾配降下法を用いて各ノードの座標修正を行う。ステップ160521から160524によって全ノードを一巡する1サイクルの処理が構成される。以下、具体的な処理を説明する。
まず、サンプル選択処理(ステップ160521)において、可視化部110は、当該サイクルで座標が未修正のノードを1つ選択する。選択されたノードをノードiとする。
次に、力の計算処理(ステップ160522)において、可視化部110は、現座標値でのノードiに働く力Fiを計算する。
さらに、座標修正処理(ステップ160523)において、可視化部110は、勾配降下法により座標値を修正する。ノードiに働く力Fiのx方向微分をFix、y方向微分をFiy、元の座標を(xi,yi)とおくと、ノードiの座標値は、(xi―s*Fix,yi―s*Fiy)に更新される。ここで、sは更新幅の大きさを調整する値で、サイクルごとに少しずつ小さくなるように定められる。例えば、当該サイクルがmサイクル目であるとすると、s0を所定の初期値として、s=s0*0.9^mとなる。この座標修正により、ノードiに働く力Fiが減少する方向に座標配置を移動されることになり、よってエネルギーEが減少すると期待できる。
続いて、未修正ノード判定処理(ステップ160524)において、可視化部110は、当該サイクルでの未修正ノードがあれば、処理をサンプル選択処理(ステップ160521)に戻し、未修正ノードを選択する。未修正ノードがなければ、可視化部110は、当該サイクルの処理を終了させ、処理を収束判定処理(ステップ16053)に移行させる。
(iii)収束判定処理(ステップ16053)
可視化部110は、座標修正サイクルを継続するかどうか判定するためにアルゴリズムの収束判定を行う。例えば、直前の座標修正サイクル処理(ステップ16052)でのノードの座標移動距離の全ノードに対する合計値が所定の定数以下となった場合、収束したと判定される。収束したと判定された場合、処理は、可視化処理(ステップ1606)に移行する。まだ収束していないと判定された場合には、可視化部110は、再度、座標修正処理(ステップ16052)のサイクルを実行する。
<比較例>
以下、本実施形態の比較例について説明する。
図17は、非特許文献1(比較例)による可視化処理の例を説明するためのフローチャートである。ここでも、Vをノードの集合、Eをノード間のエッジの集合として、グラフG=(V,E)とおく。また、エッジがあるノード同士の依存度を1、エッジがないノード同士の依存度を0する。
(i)項目間力定義処理(ステップ1704)
ステップ1704は、図16におけるステップ1604に対応する処理である。
ステップ1704では、ノード間依存度に基づいて、異なる2つのノード間に働く斥力と引力が定義される。ノードiとノードjの座標をそれぞれ(xi,yi)、(xj,yj)とし、ノードiとノードjの間のユークリッド距離を(xi,yi)、(xj,yj)の関数としてd(i,j)とする。このとき、例えば、ノードiとノードjの間に働く斥力は、fr(i,j)=−1/d(i,j)、引力は、fa(i,j)=−s(i,j)×d(i,j)^2として定める。ここで、s(i,j)はノードiとノードjの依存度で、d(i,j)^2はd(i,j)の二乗を表わす。
以上で、各ノードiに働く力の合計は、Fi=Σfr(i、j)+Σfa(i、j)により与えられる。ここで、和はすべてのノードi以外のノードjについてとる。frがノード間の斥力、faがノード間の引力である。つまり、比較例では、重要度に基づく力fiが存在しない。
(ii)座標配置処理(ステップ1705)
次に、ステップ1704で求めた、各ノードiに働く力により定義される系全体のエネルギーE=ΣFi^2が小さくなるように、座標配置を反復的に修正して、座標配置が定められる。
比較例では、医療費への影響(重要度)に基づいて働く力の項がないため、エッジの有無に基づいて配置される。このため、どの位置にどのノードがあるのか、どのノードが医療費への影響が大きいのか、分かりにくいという課題がある。
(iii)本発明との対比
本発明の実施形態による可視化処理では、上述のように、ノードが医療費に与える影響の大きさ(重要度)に応じてノードが配置されるため、その位置によってノードがもつ意味が分かりやすくなる。例えば、上方向に重要度が大きいものが配置されるように定めたとすると、概ね、上に配置されているノードほど、重症度の高い疾病に関するノードである。また、概ね、生活習慣、検査値、処方(重症度が高くなる順)の順に配置されるため、病気が重症化する流れや、疾病に至る検査値、生活習慣などの要因が把握しやすくなるというメリットがある。ノード間の依存度だけでなく、疾病予防という観点から、医療費への影響も同時に可視化することができ、全体の疾病構造を理解しやすい。
<保健指導支援処理の詳細>
保険指導支援部111は、将来の病気の発症や重症化を予防するための指導を支援する機能を提供する。ここでは、健康保険事業者が保険指導計画を策定するための支援機能について説明する。
一般的に、健康保険事業者は、保健指導による予防効果が高い対象者を予算内で優先的に選び、各対象者に適した費用対効果の高い指導を行うことを望んでいる。また、通常、健康保険事業者が提供できる保健指導サービスは複数ある(保健指導サービス1、保健指導サービス2、…、など)。例えば、保健指導サービス1は、主にBMI値を減らすための指導、保健指導サービス2はコレステロール値を下げるための指導などである。
図18は、本発明の実施形態による健康保険事業者向け支援処理を説明するためのフローチャートである。
(i)対象疾病設定処理(ステップ1801)
保健指導支援部111は、保険事業者(ユーザ)の入力に従って、処理対象とする疾病を設定する。例えば、三大生活習慣病である糖尿病、脂質異常症及び高血圧症を対象とする場合、レセプト整形情報の項目のうち、糖尿病、脂質異常症及び高血圧症に該当する医療行為の項目、健康診断の項目、及び問診の項目を予測の対象とする。
(ii)保健指導サービス設定処理(ステップ1802)
保健指導支援部111は、保険事業者(ユーザ)の入力に従って、保健指導サービスの種類と各保険指導サービスの想定効果を設定する。例えば、保健指導サービス1の想定効果は、体重5kg減などである。
(iii)保険指導効果予測処理(ステップ1803)
発症確率・医療費予測部109は、全ての保健指導サービスと保健指導対象候補者の組み合わせについて、以下のようにして医療費削減効果を予測する。ここでは、保健指導サービス1と保健指導対象候補者1との組み合わせについて医療費削減効果を考える。
最初に、発症確率・医療費予測部109は、保健指導サービスを行わない場合の保健指導対象候補者1の翌年の医療費を予測する。具体的に、発症確率・医療費予測部109は、今年の保健指導対象候補者1のレセプト、健康診断、及び問診の値に基づいて、今年の項目に対応するノードの状態を設定し、医療費(C1)を予測する。
次に、発症確率・医療費予測部109は、保健指導サービスにより検査値が改善した値を、今年の保健指導対象候補者1の値に設定し、翌年の医療費(C2)を予測する。C1が保健指導を行わない場合の予測医療費、C2が保健指導を行った場合の予測医療費となるため、保健指導サービスの実施に必要な費用をC3とすると、医療費削減費用対効果は、E=C1−C2−C3により計算することができる。この処理を全ての保健指導サービスと保健指導対象候補者との組み合わせに対して行い、医療費削減費用対効果Eを計算する。
(iv)保健指導内容策定処理(ステップ1804)
保健指導支援部111は、保健指導サービスと保健指導対象候補者との組み合わせのうち、最も医療費削減費用対効果が高い組み合わせを選び、選ばれた保険指導対象候補者を選択済みとする。
次に、保健指導支援部111は、選ばれていない保健指導対象候補者に対する保健指導サービスと保健指導対象候補者との組み合わせのうち、最も医療費削減費用対効果が高い組み合わせを選び、選ばれた保険指導対象候補者は選択済みとする。このようにして、効果の高い順に保健指導サービスと保健指導対象候補者との組み合わせを選択することができる。
最後に、保健指導支援部111は、保健指導の予算の範囲で、効果が高い順に保健指導対象者と保健指導サービスの組み合わせを選択し、保健指導対象者及び保健指導内容を設定する。
(v)効果予測処理(ステップ1805)
保健指導支援部111は、保健指導内容策定処理(ステップ1804)によって選択された組み合わせの医療費削減費用対効果を合計し、医療費削減効果から保健指導コストを減じた値を効果として出力する。
これにより、費用対効果の高い保健指導対象者と保健指導内容を選定できる。このとき、生活習慣、検査値、疾病との関連性の全体構造を把握するために、可視化部110で作成した可視化の結果を用いることも可能である。
(2)第2の実施形態
第1の実施形態では、可視化部110におけるノードの座標配置で、初期配置をランダムに定め、その後、エネルギーが小さくなるように逐次的に座標を修正し、ノードの座標配置を定めた。そのため、特にノードの数が大きい場合には、最終的に得られる配置座標は初期値のランダム性に依存する。第2の実施形態は、初期の定め方に対する依存性を軽減する方法に関するものである。なお、システム・装置構成や処理などは、可視化部110を除き、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
<可視化処理>
図19は、本発明の第2の実施形態による可視化部110の処理の詳細について説明するためのフローチャートである。項目間力定義処理(ステップ1604)までの処理、及び可視化処理(ステップ1606)は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。第2の実施形態では、座標配置処理(ステップ1901)の内容が第1の実施形態とは異なっている。
座標配置処理(ステップ1901)では、ノードの配置座標を定めるが、具体的な処理は以下の通りである。
(i)グラフ生成処理(ステップ19011)
可視化部110は、算出されたノード間の依存度とノードの重要度に基づいて、ノード間のエッジの有無を定め、ノードとエッジからなるグラフを定義する。ここで生成するグラフは、グラフィカルモデル作成部108が作成するグラフとは異なる。ここで、ノードiとノードjの依存度をs(i、j)、ノードiの重要度をg(i)とおく。このとき、ノードiとノードjの間の結合度としてc(i、j)=s(i、j)―h|g(i)−g(j)|とおく。ここでhは、依存度と重要度の結合度に占める割合を調整する定数である。このとき、c(i、j)が所定の閾値以上となるノード間にエッジを定義する。これによって、ノード同士の依存度が大きく、重要度が近い値をもつノード間にエッジが定義される。このようにして作成されたエッジの集合をE、ノードの集合をVとし、グラフをG(V,E)とする。
(ii)粗粒化処理(ステップ19012)
可視化部110は、ステップ19011で生成されたグラフGを粗粒化する。粗粒化にはEC法、及びMIVS法を用いることができる。以下、図20を用いてそれぞれについて説明する。なお、図20は、EC法とMIVS法の概要について説明するための図である。
(a)EC法
まず、EC法について説明する。EC法では、エッジをもつ2つのノードを1つにまとめ、新しいノードとして生成する。結合するノード対は、極大マッチングにより選定する。グラフGに対して、マッチングMとは、Gのエッジの集合で、Mに含まれるどの2つのエッジも同じノードを共有しないものを言う。マッチングMが極大であるとは、Gに含まれるどのようなエッジをMに付け加えても、マッチングの条件が崩れる場合を言う。
図20において、グラフ2001は、極大マッチングの例を示している。点線、実線がグラフのエッジで、点線で示したエッジの集合が極大マッチングの例である。EC法では、グラフGから極大マッチングMを1つ取り、Mに含まれるエッジにより結合されるノードにより新しく生成されたノードと、結合されなかったノードより成るノードを生成する。EC法により生成されたノードの間のエッジは、それらのノードの元となるノード同士に1つ以上のエッジがあった場合に、エッジを定義する。
図20において、グラフ2002は、グラフ2001の点線を極大マッチングとして選んだ場合に、EC法によって粗粒化することにより生成されたグラフを示している。この例では、極大マッチングにより結ばれるV1とV2を統合してV7、V3とV4を統合してV8としている。V7の基となるV2は、元のグラフにおいてV5とV4に繋がっている。そのため、新しいグラフでも、V5と、V4を結合したV8の2つのノードとエッジをもつ。同様にしてV8はV6とエッジを持っている。
(b)MIVS法
次に、MIVS法について説明する。この方法では、グラフGの極大独立集合をもって粗粒化されたノードとする。独立集合とは、グラフGのノードの集合であって、独立集合に含まれるどの2つのノードもエッジをもっていないものを言う。極大独立集合は、独立集合であって、Gのどのようなノードを追加しても、独立性が崩れるものをいう。
図20において、グラフ2003は、極大独立集合の例を示している。グラフ2003において、黒丸で示されたノードが極大独立集合を示すものとする。MIVS法では極大独立集合を1つとり、極大独立集合に含まれないノードは、近接の極大独立集合に含まれるノードに統合し、新たなノードを生成する。ノード同士のエッジの有無は、EC法と同様にして判定される。
図20において、グラフ2004は、黒丸で示されたノードを極大独立集合に取ったときにMIVS法によって粗粒化することにより生成されたグラフを示している。極大独立集合に含まれないノードV2が近傍のV1とV5を統合し、新たにV7とし、V4が近傍のV3とV6を統合し、新たにV8としている。V7とV8の間には、その元となったノードのうちV2とV4の間にエッジが定義されているため、V7とV8の間にもエッジを定義する。このようにして、新たなグラフが生成される。
(c)粗粒化処理詳細
上述のように、粗粒化処理(ステップ19012)では、上述の2つの方法を用いることができる。最初のグラフをG0=Gとおく。まず、EC法を用いてグラフを粗粒化する。そして、G0から粗粒化によってグラフG1を生成する。
次に、G1から粗粒化によってG2を生成する。この処理をノード数が2個以下になるまで繰り返す。EC法はなだらかに粗粒化することができるが、EC法はノード数が半分より少なくなることはなく、また、グラフによっては粗粒化の効率が悪くなる。そのため、ノード数が2個になる前に、グラフGi+1のノード数をグラフGiのノード数で割った値(ノードの非削減率)が所定の閾値以上(例えば、0.75以上)となった場合には、EC法の代わりにMIVS法に変更して粗粒化する。
最終的にノード数が2個、または1個になるまで粗粒化を行う。最終的にできたグラフをGnとおく。
また、グラフGi+1のノードに働く力をグラフGiのノードに働く力に基づいて計算する。
まず、重要度に基づく力について説明する。グラフGi+1のノードVkに働く重要度に基づく力は、ノードVkがグラフGiのノードVk1、…、Vkmを統合してできたノードである場合、ノードVk1、…、Vkmに働く重要度に基づく力の和、として定める。
次に、グラフGi+1のノードVkとVjの間に働く斥力について説明する。ノードVkがグラフGiのノードVk1、…、Vkmを、ノードVjがグラフGiのノードVj1、…、Vjnを、統合してできたノードである場合、VkとVjの間に働く斥力は、ノードVkp、Vjqの間に働く斥力をfr(p、q)とおくと、Σfr(p、q)で定める。ここで、和は、pが1からmまで、qが1からnまでの整数値としてp、qについて取る。引力も同様である。これによって、グラフGi+1のノードに働く力が定義される。
(iii)初期座標設定処理(ステップ19013)
可視化部110は、粗粒化でできたグラフGnのノードの初期配置を定める。Gnのノードの個数は1個、または2個であるため、予め定めた位置に配置する。2個の場合にはノードが重ならないようにする。
(iv)粗粒化ノード間力定義処理(ステップ19014)
可視化部110は、粗粒化されたグラフGi(或いは、粗粒化されたグラフを細粒化して得られたブラフ)のノードに働く力を定義する。これには、粗粒化(ステップ19012)で定めたグラフGiのノードに働く力を用いる。最初のステップ19014の処理ではGi=Gnである。
(v)座標修正処理(ステップ16052)
可視化部110は、ステップ19014で定義した「ノードに働く力」に基づいてグラフGiのノードの座標配置を定める。この処理は、図16の座標修正処理(ステップ16052)と同様である。なお、ここでは、図16の場合とは異なり、最初は粗粒化したノードの座標修正が行われる。そして、徐々に細粒化して元の状態に戻しながら座標修正が行われる。このようにすることにより、初期座標設定の結果に依らずに適切にノードを配置することができるようになる。
(vi)細粒化終了判定処理(ステップ19015)
可視化部110は、細粒化処理(ステップ19016)によりGi=G0となっている場合、処理を可視化処理(ステップ1606)に移行させる。そうでない場合には、可視化部110は、処理を細粒化処理(ステップ19016)に移行させる。つまり、上述の粗粒化処理(ステップ19012)は、ノード配置を決めるために行っているので、細粒化処理(ステップ19016)により元に戻す処理が行われ、最初の状態に戻れば座標配置処理が終了するということである。
(vii)細粒化処理(ステップ19016)
可視化部110は、粗粒化処理で用いた過程の逆の過程によりGiを細粒化し、Gi−1に戻す。GiのノードはGi−1のノードの一部を統合したものより構成される。そこで、Giのノードの座標配置よりGi−1のノードの配置座標を定める。Giのノードのうち、Gi−1のノードそのものである場合には、Gi−1のノードの座標をGiのノードの座標からそのまま引き継ぐ。GiのノードがGi−1の複数のノードを統合したものである場合には、Giの当該ノードの座標を微小変動させた位置に、構成要素となるGi−1のノードを重ならないように配置する。これにより、Giの座標配置を引き継ぐ形で、Gi−1のノードの座標配置を定めることができる。細粒化処理(ステップ19016)が終わると、処理は、Gi−1のグラフに対して粗粒化ノード間力定義処理(ステップ19014)に移行する。
以上の処理により、ノードの座標配置が定まる。本実施形態ではノード数が2個、または1個になるまでグラフを粗粒化した後、細粒化しながら座標配置を定める。初期配置は、2個、または1個のノードの配置を所定の位置に定めればよいので、初期値に対する依存性は回避でき、また、ノード間の依存度の変化に対する座標配置の出力も安定する。
(3)第3の実施形態
第1及び第2の実施形態では、各ノードの配置座標が定められ、1つのノードに対して1つの配置座標が与えられた。そのため、1つのノードは画面では1つの図形で配置座標に対応する場所に示される。しかし、1つの検査値が複数の疾病群の要因となっている場合など、1つのノードが複数のノード群に関連を持っている場合に、座標配置が密になり、可視性が悪くなる場合がある。
図21は、そのような可視性が悪くなる場合の状況、及びノード分割を説明するための図である。グラフ2101で示されるように、検査値Aが疾病群A、疾病群B、及び疾病群Cの3つの疾病群に関連するノードと高い依存度を持っているという状況を考える。疾病群A、疾病群B、疾病群Cの異なる疾病群間は、直接の依存度が高くないが、1つの検査値Aとの依存度が高いために、いずれも検査値Aの近くに配置され、配置が密になっている。例えば、検査値Aが血糖値関連の検査値(空腹時血糖、HbA1c等)、疾病群が、糖尿病関連の腎症、血管疾患、神経障害などの場合が想定される。
本実施形態では、このような場合に、実体としては1つのノードを仮想的に分割し、複数の異なる位置に配置することによって、グラフ2102のように、配置やノード同士の関連構造を見やすくする方法を説明する。
<可視化処理>
第3の実施形態において、システム・装置構成や処理などは、可視化部110を除き、第1の実施形態と同様であるため、それらについては説明を省略する。ここでは、図22を用いて、可視化部110の処理の詳細について説明する。
図22は、第3の実施形態による可視化部110の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。項目間力定義処理(ステップ1604)までの処理は、第1及び第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、座標配置処理(ステップ2201)は、第1の実施形態のステップ1605、或いは第2の実施形態のステップ1901の処理と同様である。なお、第3の実施形態による可視化処理(ノード分割処理)は、例えば、ユーザが各ノードの配置が密で可視性が悪いと判断した場合にユーザのノード分割処理の指示に応答して実行されるようにしてもよい。また、項目種別が異なるノード同士の距離が所定距離よりも近く、そのようなノードの数が所定数以上である場合に、自動的にノード分割処理を行っても良い。或いは、ノードの配置の密度に関係なく、ノード分割処理を実行してみて分割できるノードがあれば分割するようにしても良い。
(i)N次元座標配置処理(ステップ2202)
可視化部110は、各ノードを所定の次元数の空間に座標配置する。この処理は、第1の実施形態のステップ1605や第2の実施形態のステップ1901と似た処理を用いる。ただし、ステップ1605や1901では、2次元、または3次元空間にノードを配置したが、ここでは、次元数を2次元、3次元に限らず、より高次の次元数Nにおいて座標配置をする。高次の次元数に座標配置をする処理は、ステップ1605や1901の次元数を置き換えることで、容易に得られる。
N次元座標配置処理で選択する次元数Nとしては、十分大きな次元数が選択される。これは、項目間の依存度を距離によって表現するためである。なお、後述のクラスタリング処理(ステップ2203)での結果を見ながら、実験的に適切な値を定めてもよい。
(ii)クラスタリング処理(ステップ2203)
可視化部110は、N次元座標配置処理(ステップ2202)で定められた配置座標に基づいて、N次元空間上でノードのクラスタリングを行う。これによって、項目は、クラスタに分割され、近い項目同士は同じクラスタに所属する。項目は、N次元座標配置処理(ステップ2202)において、N次元空間上の点として表わされているため、k−means法などのクラスタリングアルゴリズムを用いることができる。
上記N次元座標配置処理(ステップ2202)は、項目をクラスタリング処理(ステップ2203)においてクラスタリングするために行う処理である。よって、N次元座標配置処理(ステップ2202)で得られた項目の座標は、クラスタリング処理(ステップ2203)においてのみ用いられるものである。
一方、座標配置処理(ステップ2201)は、可視化のための2次元、または3次元空間に項目を配置する処理である。このため、N次元座標配置処理(ステップ2202)と座標配置処理(ステップ2201)は、それぞれ独立に行われる。
(iii)ノード分割処理(ステップ2204)
可視化部110は、所定の数以上のクラスタ群と所定の閾値以上の依存度を持つノードを仮想的に分割する。分割されたノードは、予め指定された方法により、異なる位置に配置される。例えば、重要度の位置(y座標)は変えず、分割されたノード同士がx座標で等間隔になるように配置する。分割個数は、高い依存度をもっているクラスタ数(図21の場合には3個)が多い場合は、大きくするなどの処理をしてもよい。また、予め、分割するノードやその分割個数を予めユーザが定めておいても良い。また、クラスタ数に関係なく、所定の閾値以上の依存度をもつノード数が所定の数以上となる場合には、分割し、分割の個数も所定の閾値以上の依存度をもつノード数が大きい場合には、大きくするようにしてもよい。
(iv)項目間力再定義処理(ステップ2205)
可視化部110は、分割により生成されたノードの力を定義する。これは、同じノードから分割により生成されたノード間の依存度は、予め定めておいた定数として定め、医療費影響力については分割前のノードから引き継ぐことで、項目間力定義処理(ステップ1604)と同様にして定める。
(v)座標修正配置処理(ステップ2206)
可視化部110は、ステップ2205によって新たに定義された力に基づいて、座標配置処理(ステップ2201)と同様の方法を用いて、新たなノードの配置座標を定める。なお、ステップ2206の演算で用いる初期座標は、初期座標設定処理(ステップ16051)または初期座標設定処理(ステップ19013)で定める初期座標ではなく、座標配置処理(ステップ2201)、及びノード分割処理(ステップ2204)を実行した結果定められた配置座標とする。また、分割により生成されたノードは、分割前の重要度の位置(y座標)を引き継ぎ、固定して、x方向のみ再配置してもよい。或いは、分割により生成されたノードを座標修正することなく、座標配置処理(ステップ2201)及びノード分割処理(ステップ2204)で定めた配置座標に固定してもよい。
(4)第4の実施形態
第1乃至第3の実施形態では、X年血糖値とX+N年血糖値など、年の部分を除いて同一の項目名を持つ項目も異なる項目として扱っている。このため、例えば、X年のノードとX+N年のノードは異なる年の同一名項目を表すものであっても、別々に表示される。
これに対し、第4の実施形態では、X年のノードとX+N年のノードは同一ノードとして表現して可視化するようにしている。これにより、表示されるノード数が減り、同一項目のノードの経年的な状態遷移に他の項目が与える因果が見やすくなるようになる。
第4の実施形態では、図16(第1の実施形態による可視化処理)、図19(第2の実施形態による可視化処理)、または図22(第3の実施形態による可視化処理)のうち、ステップ1603と1604の以外の処理は、それぞれ第1乃至第3の実施形態と同様である。このため、ここでは、ステップ1603と1604の処理内容についてのみ説明する。なお、第4の実施形態では、X年とX+N年の同一名項目は同一視するため、それらを同一視した場合の医療費影響力算出と項目間力定義が必要となる。
(i)医療費影響力算出処理(ステップ1603)
可視化部110は、まず、X年とX+N年の同一項目について、別々に医療費影響力を算出する。
次に、可視化部110は、X年とX+N年を同一視した項目の医療費影響力を、元のX年とX+N年の項目の医療費影響力の平均値として計算する。
(ii)項目間力定義処理(ステップ1604)
可視化部110は、X年とX+N年の同一名項目については同一視した場合の項目間力を定義する。例えば、可視化部110は、X年とX+N年の同一名項目A1とA2を統合したAと、X年とX+N年の同一名項目B1とB2を統合したBと、の間に働く項目間の引力(斥力)を、A1とB1に働く引力(斥力)と、A1とB2に働く引力(斥力)と、A2とB1に働く引力(斥力)と、A2とB2に働く引力(斥力)と、の平均値として定める。また、可視化部110は、X年とX+N年の同一項目A1とA2を統合したAと、性別や年齢等の測定年とは関係のない基本情報を表す項目Bとの間の引力(斥力)を、A1とBに働く引力(斥力)と、A1とBに働く引力(斥力)と、の平均値として定める。
以上により、可視化部110は、項目の座標を定め、可視化処理(ステップ1606)においてノードを可視化する。ここでは、X年とX+N年の同一項目は、1つのノードとして表現される。また、図15のような構成例の場合には、同一年の項目間を結ぶエッジと、X年とX+N年の異なる項目間を結ぶエッジについて、ユーザが、「別の色で表示」、「切り替えによって表示」、「非表示」のように表示形態を選択できるようにしてもよい。X年とX+N年の異なる項目間を結ぶエッジは、経年の遷移に影響を与える因果を示すエッジである。同一年の項目を結ぶエッジは、血糖値の高い人が糖尿病経口薬を服薬している可能性が高いなどの傾向を示す、同一年における項目同士の依存性を表している。
(5)第5の実施形態
第5の実施形態では、第1乃至第4の実施形態の何れかのグラフの出力を用いたユーザインタフェースの構成に関するものである。第5の実施形態は、ユーザインタフェース以外の構成や処理は、第1乃至第4の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
<ユーザインタフェース画面例>
図23はユーザインタフェースの画面例を示す図である。
図23において、領域2301は、ノードの配置を出力するための領域である。領域2301には、糖尿病を例として、第1または第2の実施形態による方法を用いて定めたノードの座標に基づいて、各ノードが模式的に表示される。ここでは、ノードを黒点により表している。ノード間のエッジは表示してもよいが、この例では煩雑になるため、示していない。
領域2301に示されているノード「食事習慣」は、例えば、夕食後間食が多いかどうか、食事が速いかどうか、就寝2時間前の夕食が多いかどうか、朝食を抜くことが多いかどうか、などの項目を含むノードである。「運動習慣」は、例えば、習慣的な汗運動の有無、習慣的な身体活動の有無、歩行速度、歩数などの項目を含むノードである。「喫煙・飲酒習慣」は、喫煙の有無、飲酒の有無、および、その量に関する項目を含むノードである。「体重変化、自覚症状、既往歴等」は、例えば、1年間の体重変化5kg以上、動悸がある、脈が乱れる、体が疲れやすい等の自覚症状、心臓病、腎臓病、肝臓病等の既往歴に関する項目を含むノードである。「コレステロール等」は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪など、尿酸値等は、尿酸値、血清クレアチニンなど、血糖値等は血糖値やHbA1cなどの項目を含むノードである。
領域2301の下から生活習慣に関わるノードが配置され、その上に検査値に関するノードが配置される。検査値に関するノードの上に糖尿病の初期疾病、さらに、その上により重症度の高い糖尿病の合併症に関するノードが配置されている。検査値のうちでも、糖尿病の医療費への影響が多い血糖値は比較的上に配置されている。例えば、糖尿病に関係するノードでは、下方に糖尿病経口薬処方のノードが配置され、インスリン、透析等、重症になるほど、上方に配置される。
領域2302は、各項目の既知の値、または値の範囲を設定するための操作窓である。既知の値は、例えば、ある個人の今年のデータが与えられている場合に、ファイルからデータを読み込んで自動的に設定してもよい。また、操作窓での値設定などによって、値を定めたり、値の範囲を設定したりしてもよい。
領域2303は、領域2302で設定した値や値の範囲に基づいて、発症確率や医療費などの期待値を表示するための領域である。なお、結果はファイル出力してもよい。
領域2304は、領域2302や2303に設定する項目選択のための検索窓である。ユーザは、この領域に対して条件を入力すると、それに当てはまる項目が領域2305に表示される。例えば、ユーザが糖尿病と入力して検索すると、糖尿病関連の項目が領域2305に表示される。なお、マウス等を用いて領域2301の中からノードの範囲を選択するなどの方法により項目を選択して、領域2305に設定してもよい。
また、ユーザは、領域2305に挙げられた項目から項目を選択し、ボタン2306或いは2307を押下することにより、領域2302に示す条件値または領域2303に示す予測期待値を設定することができる。さらに、ユーザは、領域2305に示された項目(例えば、血糖値)を選択し、ボタン2308を押下することにより、ノード分割する項目を指定することができる。
ノード分割は図24に示されるフローチャートに従って実行される。つまり、可視化部110は、第3の実施形態におけるノード分割処理(ステップ2204)、項目間力再定義処理(ステップ2205)、及び座標修正配置処理(ステップ2206)を用いて、指定されたノードを分割し、全体の配置座標を再計算して、画面に表示する。
領域2301では、発症確率が高いノードや検査値が異常値となっているノードなどを目立つように色を変えて表示してもよい。また、医療費増大の主な要因となっているノードの色を変えても良い。このとき、医療費増大の主な要因となっているか否かは、当該ノードの値を正常値(平均値等)に変更した際の医療費の減少幅が所定の閾値以上となっているか否かによって判定する。当該医療費の減少幅が所定の閾値以上となっていれば医療費増大の主要因と判定される。従って、このノードの値を改善すれば、医療費改善に効果があることを示唆していると考えられる。
このようにして、医療費増大(減少)や病気の重症化(改善)に至る構造や、その流れ、要因を視覚的に把握することができる。
<ノード位置の変化>
図25は、ノードのとる値や値の範囲を変化させたときのノード位置の変化の様子を説明するための図である。ただし、図25では、図23のインターフェースにおける領域2301と、領域2501(図23の条件設定領域2302の1つの設定値に関する調整バー)のみが示されている。
血糖値が低い場合には、疾病と検査値との関連性は低くなると想定される。このため、図25の上図では糖尿病や合併症などの疾病を表すノード群と検査値を表すノード群の距離が遠い。一方、血糖値が大きくなると、疾病との関連性が強くなり、その距離が近くなる。領域2301の左側には医療費への影響度が金額で表示されている。
このように表示することにより、疾病リスクや検査値、生活習慣との関係を距離により直感的に表すことができる。また、特定の検査値を変更させたときのリスクの変化や疾病構造の変化を視覚的に把握できる。
このようなユーザインタフェースを用いて保健指導支援部111での保健指導効果や病気への影響、原因の把握などを効率的に行うことができる。
(6)まとめ
(i)本発明では、レセプト情報、健診情報、及び問診情報などから、病態変化の因果や遷移をモデル化し、因果の関係や遷移の様子を因果や病気の状態を表す因子間のネットワークにより可視化する。このとき、多数の因子により構成されるネットワークとなるため、病気の変化の様子や因果関係を把握するのが困難となる。本発明の可視化方法では、所定の方向を定め、医療費との関連の大きさに基づいて、医療費との関連が大きい因子ほど、所定の方向側に位置するように、因子を配置する。概ね、重症な病気ほど医療費は大きく、医療費との関連が大きい検査値や生活習慣ほど、病気の重症化との関わりが大きいため、このような配置とすることで、病気が重症化する因果や遷移の流れが分かりやすくなる。さらに、多数の項目が密に配置されている場合にも、因子を仮想的に分割して表示することにより、複雑な構造も可視化することができる。
本発明の可視化方法により、病気の重症化の流れや原因を容易に把握することができ、個々人の病気の発症、重症化リスクや、予防、改善のための対策を直観的に知ることができ、保健指導内容の選定に役立てることができる。これにより、費用対効果の高い効率的かつ効果的な保健事業を実施することができる。
(ii)本発明による医療データ分析システム(保険事業支援システムともいう)は、加入者のレセプト情報、前記加入者の健診情報、及び、前記レセプト情報及び前記健診情報を前記加入者毎かつ所定期間毎に纏めた整形情報を格納するデータベースにアクセス可能となっている。このシステムは、整形情報に基づいて、整形情報の項目を表す確率変数に対応するノードの間の確率的依存性が有向辺又は無向辺によって定義されたグラフィカルモデルを作成し、前記作成されたグラフィカルモデルをデータベースに格納する。また、当該システムは、グラフィカルモデルに基づいて、病気の発症確率及び医療費を予測する。そして、当該システムは、グラフィカルモデルのノードを、ノードの医療費への影響度とノード間の関連度に基づいて配置して可視化する。なお、当該システムにおいて、予測された病気の発症確率及び医療費に基づいて、保健指導の対象者及び保健指導内容を選定するようにしても良い。
当該システムは、可視化処理において、レセプトの項目に対応するノードの医療費への影響度を、その項目に対応する傷病名の診断、処方等を受けている人の医療費の平均値、または中間値により算出する。また、当該システムは、健診項目に対応するノードの医療費への影響度を、その項目に対応する検査値、または問診の結果が所定の異常値の範囲にある人の医療費の平均値、または中間値により算出する。或いは、当該システムは、健診項目に対応するノードの医療費への影響度を、ノードの値の変動による前記グラフィカルモデルによって予測される医療費の変動の大きさにより算出する。さらに、当該システムは、各ノードの医療費への影響度を、その項目と医療費との相関の大きさにより算出する。
また、当該システムは、ノードを医療費への影響度が大きいほど所定の方向側に配置し、関連度が高いノード間ほどノード同士が近くに配置されるように、ノードの座標を算出する。また、当該システムは、医療費への影響度が大きいほど所定の方向側に力が働き、ノード間の関連度が大きいほど強い引力が働き、ノード間の距離が近いほど強い斥力が働くように、各ノードに働く力を定義し、この力によって定義されるエネルギーが小さくなるようにノードの座標を逐次的に修正して定める。
当該システムによって生成されるグラフィカルモデルは、X年とX+N年の整形情報の項目を表わす確率変数をノードとし、X年とX+N年の全ての同一名項目間を結ぶ状態遷移を表すエッジと、X年とX+N年の異なる項目名をもつ項目間を結ぶ前記状態遷移に影響を与える因果を表すエッジと、同一年の異なる項目同士のうち確率的依存性が強い項目同士を結ぶエッジと、によって構成されている。このとき、異なる年の同一名の項目を表すノードは、同一視して表現される。また、同一視したノードの医療費への影響度は、元のノードの医療費への影響度の平均値として定められる。そして、当該システムは、X年のデータを観測データとして、X+N年後の状態を予測し、X+N年後の予測値を基にして、X+2N年後の状態を予測し、これを繰り返すことで正の整数kに対しX+kN年後の状態を予測する。
さらに、当該システムは、グラフィカルモデルの1つのノードを仮想的に複数のノードに分割し、異なる座標を与えて表示するようにしても良い。このとき、複数の関連度(依存度)が高いノードのクラスタと高い関連度を持つノードを、ノードクラスタの数が大きいほど多くのノードに分割するようにしても良い。また、複数のノードと高い関連度を持つノードを、高い関連度をもつノードの数が大きいほど多くのノードに分割するようにしても良い。なお、分割により生成されたノードの影響度は分割される前のノードの影響度によって与えられる。また、1つのノードより分割により生成されたノード間には所定の依存度が与られ、座標が定められる。
当該システムは、病気の発症リスク、重症化リスクの高低を、レセプトの項目と健診の項目との距離の大小によって表現するようにしての良い。
(iii)本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本発明を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本発明のその他の実装がここに開示された本発明の明細書及び実施形態の考察から明らかになる。
100・・・医療データ分析システム
101・・・医療データ分析装置
102・・・入力部
103・・・出力部
104・・・演算装置
105・・・メモリ
106・・・記憶媒体
107・・・データ整形部(データ整形プログラム)
108・・・グラフィカルモデル作成部(グラフィカルモデル作成プログラム)
109・・・発症確率・医療費予測部(発症確率・医療費予測プログラム)
110・・・可視化部(可視化プログラム)
111・・・保健指導支援部(保健指導支援プログラム)
114・・・データベース
115・・・医療情報記憶部
116・・・整形情報記憶部
117・・・グラフィカルモデル記憶部
118・・・予測結果記憶部
119・・・項目間依存データ記憶部
120・・・座標配置記憶部

Claims (15)

  1. 医療データを分析処理するためのプログラムを格納するメモリと、
    前記メモリからプログラムを読みだして前記医療データを分析処理するプロセッサと、を有し、
    前記プロセッサは、
    分析対象者のレセプト情報及び健診情報を、前記分析対象者毎にかつ所定期間毎に纏めた整形情報をデータベースから取得する処理と、
    前記整形情報に基づいて、前記整形情報の項目を表す確率変数に対応するノード間の確率的依存性が有向辺又は無向辺によって定義されたグラフィカルモデルを作成する処理と、
    前記作成されたグラフィカルモデルに基づいて、病気の発症確率及び医療費を予測する処理と、
    前記グラフィカルモデルにおける各ノードの確率変数又は各ノード間のエッジの有無に基づいて、ノード間の依存度を求める処理と、
    処方に掛かった医療費及び前記予測された医療費の少なくとも1つに基づいて、前記グラフィカルモデルにおける各ノードに対応する項目が医療費に与える影響度を算出する処理と、
    前記算出した影響度に基づいて、前記各ノードに作用する医療費影響力を算出する処理と、
    前記ノード間の依存度に基づいて、当該ノード間に働く斥力と引力で定義される項目間力を算出する処理と、
    前記医療費影響力と前記項目間力の合計により定義されるエネルギーが減少するように前記グラフィカルモデルにおける各ノードの座標配置を決定する処理と、
    前記決定した各ノードの座標配置に基づいて、前記グラフィカルモデルを可視化する処理と、
    を実行することを特徴とする医療データ分析システム。
  2. 請求項1において、
    前記プロセッサは、保健指導対象候補者の前記グラフィカルモデルに基づいて、保健指導を行わない場合の医療費と保健指導を行った場合の医療費から医療費削減効果を算出し、当該医療費削減効果を用いて保健指導の対象者及び保健指導内容を選定する処理を実行することを特徴とする医療データ分析システム。
  3. 請求項1において、
    前記各ノードの座標配置を決定する処理において、前記プロセッサは、前記医療費に与える影響度が大きいほど所定の方向側に前記ノードが配置され、前記ノード間の依存度が大きいノード間ほどノード同士が近くに配置されるように、前記ノードの座標を算出することを特徴とする医療データ分析システム。
  4. 請求項1において、
    前記各ノードの座標配置を決定する処理において、前記プロセッサは、前記医療費に与える影響度が大きいほど所定の方向側に力が前記ノードに働き、前記ノード間の依存度が大きいほど強い引力が当該ノード間に働き、当該ノード間の距離が近いほど強い斥力が当該ノード間に働くように、各ノードに働く力を定義し、この力によって定義されるエネルギーが小さくなるようにノードの座標を逐次的に修正して定めることを特徴とする医療データ分析システム。
  5. 請求項1において、
    前記グラフィカルモデルを作成する処理において、前記プロセッサは、任意の年を表すX年とそれからN(Nは自然数)年後を表すX+N年のそれぞれの前記整形情報の項目を表わす確率変数をノードとし、前記X年と前記X+N年の全ての同一名項目間を結ぶ状態遷移を表す第1のエッジと、前記X年と前記X+N年の異なる項目名をもつ項目間を結ぶ前記状態遷移に影響を与える因果を表す第2のエッジと、同一年の異なる項目同士のうち確率的依存性が強い項目同士を結ぶ第3のエッジとを含む構造により、前記グラフィカルモデルを作成することを特徴とする医療データ分析システム。
  6. 請求項5において、
    前記プロセッサは、異なる年の同一名の項目を表すノードを同一のノードとして表現して前記グラフィカルモデルを作成することを特徴とする医療データ分析システム。
  7. 請求項6において、
    前記プロセッサは、前記同一のノードとして表現されたノードの前記医療費に与える影響度を、元のノードの前記医療費に与える影響度の平均値とすることを特徴とする医療データ分析システム。
  8. 請求項5において、
    病気の発症確率及び医療費を予測する処理において、前記プロセッサは、前記X年のデータを観測データとして前記X+N年後の状態を予測し、前記X+N年後の予測値を基にして、X+2N年後の状態を予測し、当該予測処理を繰り返すことにより、X+kN(kは正の整数)年後の状態を予測することを特徴とする医療データ分析システム。
  9. 請求項1において、
    前記各ノードの座標配置を決定する処理において、前記プロセッサは、複数のノードを粗粒化し、粗粒化されたノードを用いて座標を設定し、前記粗粒化されたノードを細粒化しながら、前記粗粒化されたノード間に働く力を前記粗粒化前のノードに働く力を合計することにより算出し、当該粗粒化されたノード間に働く力を用いて前記粗粒化されたノードの前記座標を修正することを特徴とする医療データ分析システム。
  10. 請求項1において、
    前記グラフィカルモデルを可視化する処理において、前記プロセッサは、前記グラフィカルモデルの1つのノードを仮想的に分割し、異なる座標を与えて表示することを特徴とする医療データ分析システム。
  11. 請求項10において、
    前記プロセッサは、1つのノードに複数のノードが関連する場合、前記他の複数のノードを項目種別によってクラスタリング処理し、当該クラスタリング処理によって得られるクラスタ群と所定の値以上の前記ノード間の依存度を有する前記1つのノードを複数に分割することを特徴とする医療データ分析システム。
  12. 請求項10において、
    前記プロセッサは、1つのノードが複数のノードと所定値以上の前記ノード間の依存度を有する場合、前記所定値以上の前記ノード間の依存度を有する個数分、前記1つのノードを分割することを特徴とする医療データ分析システム。
  13. 請求項10において、
    前記プロセッサは、分割後のノードの影響度を分割前のノードの影響度によって与え、前記分割後のノードには所定の依存度を与え、前記医療費影響力及び前記項目間力を算出して前記各ノードの座標配置を決定することを特徴とする医療データ分析システム。
  14. 請求項1において、
    前記グラフィカルモデルを可視化する処理において、前記プロセッサは、可視化病気の発症リスク、重症化リスクの高低を、レセプトの項目と健診の項目との距離の大小によって表現することを特徴とする可視化部を備える支援システム。
  15. 医療データ分析システムを用いて、医療データを分析する方法であって、
    前記医療データ分析システムは、医療データを分析処理するためのプログラムを格納するメモリと、前記メモリからプログラムを読みだして前記医療データを分析処理するプロセッサと、を有し、
    前記方法は、
    前記プロセッサが、分析対象者のレセプト情報及び健診情報を、前記分析対象者毎にかつ所定期間毎に纏めた整形情報をデータベースから取得するステップと、
    前記プロセッサが、前記整形情報に基づいて、前記整形情報の項目を表す確率変数に対応するノード間の確率的依存性が有向辺又は無向辺によって定義されたグラフィカルモデルを作成するステップと、
    前記プロセッサが、前記作成されたグラフィカルモデルに基づいて、病気の発症確率及び医療費を予測するステップと、
    前記プロセッサが、前記グラフィカルモデルにおける各ノードの確率変数又は各ノード間のエッジの有無に基づいて、ノード間の依存度を求めるステップと、
    前記プロセッサが、処方に掛かった医療費及び前記予測された医療費の少なくとも1つに基づいて、前記グラフィカルモデルにおける各ノードに対応する項目が医療費に与える影響度を算出するステップと、
    前記プロセッサが、前記算出した影響度に基づいて、前記各ノードに作用する医療費影響力を算出するステップと、
    前記プロセッサが、前記ノード間の依存度に基づいて、当該ノード間に働く斥力と引力で定義される項目間力を算出するステップと、
    前記プロセッサが、前記医療費影響力と前記項目間力の合計により定義されるエネルギーが減少するように前記グラフィカルモデルにおける各ノードの座標配置を決定するステップと、
    前記プロセッサが、前記決定した各ノードの座標配置に基づいて、前記グラフィカルモデルを可視化するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
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