JP6734582B2 - リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム - Google Patents

リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6734582B2
JP6734582B2 JP2016250099A JP2016250099A JP6734582B2 JP 6734582 B2 JP6734582 B2 JP 6734582B2 JP 2016250099 A JP2016250099 A JP 2016250099A JP 2016250099 A JP2016250099 A JP 2016250099A JP 6734582 B2 JP6734582 B2 JP 6734582B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
medical
information
medical examination
predetermined
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016250099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017117469A (ja
Inventor
中村 振一郎
振一郎 中村
達雄 植竹
達雄 植竹
友二 横溝
友二 横溝
真人 高田
真人 高田
克哉 諫田
克哉 諫田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
LSI Medience Corp
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
LSI Medience Corp
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by LSI Medience Corp, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical LSI Medience Corp
Publication of JP2017117469A publication Critical patent/JP2017117469A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6734582B2 publication Critical patent/JP6734582B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Medical Treatment And Welfare Office Work (AREA)

Description

本技術は、リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラムに関する。
生活習慣病等の予防や早期発見のため、健康保険組合等の医療保険者は、特定健康診査や特定保健指導を実施している。医療費の削減のためにも、被保険者への保健指導により生活習慣の改善を促すことが重要であるが、保健指導を行う人員のリソースは限られている。したがって、保健指導の対象者を適切に抽出することが肝要である。
従来、レセプト情報、健診情報等を活用した病態変化との因果関係や病態の遷移の様子を容易に把握することができる予測モデルを自動的に、かつ効率よく作成するというシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、システムは、分析対象者のレセプト情報及び健診情報を、分析対象者毎にかつ所定期間毎に纏めた整形情報に基づいて、整形情報の項目を表す確率変数に対応するノード間の確率的依存性が有向辺又は無向辺によって定義されたグラフィカルモデルを作成し、グラフィカルモデルに基づいて、病気の発症確率及び医療費を予測する。さらに、グラフィカルモデルにおける各ノードの確率変数又は各ノード間のエッジの有無に基づいて、ノード間の依存度を求める。そして、当該システムは、処方に掛かった医療費及び前記予測された医療費の少なくとも1つに基づいて、グラフィカルモデルにおける各ノードに対応する項目が医療費に与える影響度を算出し、当該影響度に基づいて、各ノードに作用する医療費影響力を算出する。また、当該システムは、ノード間の依存度に基づいて、当該ノード間に働く斥力と引力で定義される項目間力を算出する。続いて、当該システムは、医療費影響力と項目間力の合計により定義されるエネルギーが減少するように前記グラフィカルモデルにおける各ノードの座標配置を決定し、当該各ノードの座標配置に基づいて、グラフィカルモデルを可視化するというものである。
また、例えば集中治療室の患者における合併症の早期の予測を行うために、羅患率を求めるための数式を、ロジスティック関数を用いて決定するという技術も提案されている(例えば、特許文献2)。これは、ある期間に発生する変動に関連する微妙なパターンを検出及び使用することにより、ICUにおいて患者の合併症の早期予測を行うものであるが、複数の連続的な時系列データを使用することを前提としている。
また、健診情報、指導情報、レセプト情報から項目条件を組み合わせて得られた群毎に指導効果を時系列的に算出し、時系列的な指導効果から近似直線を特徴量として算出し、特徴量を基に選択した項目条件を用いて指導の優先度に関する健康指導モデルを作成するという保健事業支援システムも提案されている(例えば、特許文献3)。これは、作成されたモデルに基づいて計画・実施された保健指導を評価して計画を見直すことでその効果を向上させることを目的としている。
国際公開第2015/068812号 特表2013−536971号公報 特開2007−257565号公報
このように、何らかの疾病についての将来の発症確率及び医療費への影響度を求めるという手法が提案されてはいたものの、その効果は十分に得られていなかった。それは、因果関係の解析や予測モデルの作成といった従来の方法が十分な精度を有していないということが大きな問題である。加えて、発症確率や医療費への影響を計算することができても、その結果を元にした対応方法が十分に確立されていないこと、実施できる環境が整備されていないことによる。即ち、発症後に治療をするという医療行為が主な対応方法であることに変わりはなく、健康指導による、生活や健康状態の改善のための活動も行われてはいるものの、十分な効果が得られているとは言い難い現状がある。
一方で、医療技術、例えば、薬剤投与や手術のような積極的な治療に頼ることなく、病に陥る前に対処したいという考え方がある。すなわち、生存期間という時間的な寿命を治療で延ばすのではなく、発症前の健康指導をはじめとする予防医療によって健康寿命を延ばそうというものである。これは、より人間らしい充実した生活を送るためのアプローチの一つとして、近年提唱されている考え方の一つである。
しかしながら、これを達成しようとするためのコスト、マンパワー等必要とされるリソースには限りがある。したがって、より効率よく保健指導を行うためには、健診結果や医療費を基準とした現時点におけるリスクの大きさに基づいて優先順位の高い保健指導対象者を抽出することが有用であることを、本発明者らは見出した。
そこで、本発明は、処理時点における対象者の健康状態を把握し、リスクの大きさを評価し、対応の優先度を決定するための基準となる情報を提示できるようにすることを目的とする。
本発明に係るリスク評価方法は、複数の対象者の所定期間における健康診断の測定値を含む健診情報と、複数の対象者の所定期間における医療費を含むレセプト情報とを記憶部から取得するステップと、健診情報に基づく値を説明変数として、レセプト情報において所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる確率を表すモデルを生成するステップと、対象者の新たな健診情報を記憶部から読み出し、当該健診情報に基づく値とモデルとを用いてリスクの評価値を算出するステップとをコンピュータが実行する。
このようにすれば、健康診断に関する情報とレセプト情報とに基づいてモデルが生成されると共に、新たな健診情報に基づいてリスクの評価値を算出することができる。したがって、当該処理時点における対象者のリスクの大きさを評価し、対応の優先度を決定するための基準となる情報を提示できるようになる。なお、健診情報は、いわゆる定期健康診断の結果に限らず、薬局等で特定の項目について受ける健診情報を用いるようにしてもよい。
また、健診情報に基づく値は、健康診断における1以上の測定値を、所定の順序尺度で表されるスコアに変換した値であってもよいし、得られた測定値をそのまま使用してもよい。具体的には、このような値を説明変数とすることができる。また、健診情報及びレセプト情報に基づく値は、健診情報における所定の健診項目の測定値及びレセプト情報における所定の傷病名での受診回数であってもよい。このようにすれば、スコア化するための基準を設ける必要がなくなるため、より簡便に実施することができる。また、値を変換せずにそのまま用いるため、実態に沿った計算結果となる。
また、健診情報に基づく値は、高血圧に関連する測定値、高脂血症に関連する測定値、糖尿病に関連する測定値、又は所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する受診履歴の少なくともいずれかを含むようにしてもよい。さらに、例えば保健指導を受けた場合な
どのように、保健師、医師らによって介入された事実もなんらかの数値化をおこなってデータとして採用してもよい。具体的には、このような値を説明変数としてもよい。健診情報におけるこれらの項目は、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患によって医療費が所定額以上となった対象者を抽出するために有用であることを発明者が見出した値である。
本発明の目的とする、現時点での対象者のリスクの大きさを適切に評価することを達成できる方法であれば、リスク評価の算出方法は特に限定されるものではなく、線形関数であっても、非線形関数であってもよい。例えば非線形関数を使用して算出をする場合、モデルは、所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる確率を求めるためのロジスティック関数で表されるものであってもよい。
また、複数の対象者についてリスクの評価値を算出し、算出されたリスクの評価値の大きさに基づいて上位所定数の対象者を抽出するステップをさらに実行させるようにしてもよい。このようにすれば、リスクの大きさに基づいて優先度の高い対象者を抽出できるようになる。
また、最新の期間における健診情報とレセプト情報とが記憶部に登録された場合、当該最新の期間における健診情報とレセプト情報とを用いてモデルを生成するステップをさらに実行させるようにしてもよい。このようにすれば、対象者の健診情報及びレセプト情報から、実態と最新の傾向を反映したモデルを生成し、リスク評価を行うことができるようになる。
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、課題を解決するための手段の内容は、コンピュータ等の装置若しくは複数の装置を含むシステム、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとして提供することができる。該プログラムはネットワーク上で実行されるようにすることも可能である。なお、当該プログラムを保持する記録媒体を提供するようにしてもよい。
本発明によれば、処理時点における対象者の健康状態を把握し、リスクの大きさを評価し、対応の優先度を決定するための基準となる情報を提示できるようになる。これによって、リソースに限りのある保健指導を効率よく行うことが可能となり、結果として医療費削減効果に資することが可能となるだけでなく、健康寿命を延ばし日々充実した生活を送りたいという人々の要望に応えることも可能となる。
リスク分析装置の機能ブロック図である。 コンピュータの一例を示す装置構成図である。 リスク分析処理の一例を示す処理フロー図である。 モデル生成処理の一例を示す処理フロー図である。 スコアへの変換に用いる条件の一例を示す図である。 危険度評価処理の一例を示す処理フロー図である。 実施例1に係る対象者を発症確率Pでソートすると共に、医療費が所定の閾値以上の対象者を強調表示した図である。 実施例2に係る対象者を発症確率Pでソートすると共に、医療費が所定の閾値以上の対象者を強調表示した図である。 HbA1cの値に基づいて、合計値の高い順に並べた図である。 血糖、血圧及び脂質の値に基づいて点数をつけ、合計点数の高い順に並べた図である。 スコア化しない検査項目、受診履歴を用いて、本方式に基づき、脳心血管症の発症確率を評価するROC曲線を示す図である。 LDLコレステロールの検査項目を採用し、脳心血管症の発症確率を評価するROC曲線を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、特定の健康保険組合に属する対象者のデータを、ロジスティック関数を使用して解析した結果について、図面を用いて説明するが、以下の実施形態は例示であり、本発明は下記の構成には限定されない。
<装置の機能構成>
図1は、実施の形態に係るリスク分析装置の機能ブロック図である。本実施形態に係るリスク分析装置1は、健診情報記憶部11と、レセプト記憶部12と、モデル生成部13と、モデル記憶部14と、危険度評価部15と、結果記憶部16とを備える。
健診情報記憶部11は、例えば所定の集団に属する対象者の健康診断の結果を示すデータ(「健診情報」とも呼ぶ)が格納される。ここで、所定とは、本発明を実施するにあたって予めその範囲を特定した内容の情報を備えることを意味する。情報の種類としては、ID、時期、期間、傷病名、医療費、検査項目、測定値、発症確率、工程、レセプト情報、受診履歴、対象者数、年度等を含むことが考えられるが、本願課題を達成し発明を実施することができるものであれば使用することができ、その内容や範囲は画一的に限定されるものではなく、当業者であれば、適宜その情報の内容を設定して実施することが可能である。また、該集団とは医療保険を提供する集団であって、例えば特定の健康保険組合、国民健康保険組合、共済組合など、必要に応じて集団を適宜設定することができる。また、該集団に属する対象者は、集団を構成する者全員であってもよいし、一部であってもよい。なお、健診情報は、対象者について最新年度分と過去年度分とを保持しているものとする。また、健診情報は、対象者の識別情報に関連付けて、受診年月日(受診年度)、所定の検査項目の測定値を含む。検査項目は、一般的な健康診断において測定される項目やオプションとして測定できる項目であり、身体検査(身長、体重等)、視力、聴力、血圧(収縮期及び拡張期)、尿一般(蛋白、糖、潜血等)、便、血液一般(白血球数、赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数等)、肝機能(総蛋白、A/G比、アルブミン、総ビリルビン、TTT、ZTT、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、LDH、ν−GTP、コリンエステラーゼ等)、膵(血清アミラーゼ)、脂質(総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪(TG)、動脈硬化指数等)、痛風(尿酸)、腎機能(イヌリン、シスタチンC、尿素窒素、クレアチニン、eGFR等)、糖尿病(グルコース、フルクトース、血糖、HbA1c(ヘモグロビンA1c)等)、血清(HBs抗原、HCV−III抗体、TPHA法、RPR法等)、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患 、血液型、血液像、心電図
、胸部X線、上部消化管、メタボ判定、保健指導レベル、腹部超音波、問診、総合判定、総合評価の少なくとも一部を含むものとする。近年、検査の態様は健康診断にとどまらず多様化している。健診情報は、上述している健康診断の他、対象者が医療施設や、薬局で行う任意の血液検査や唾液による検査等の結果を反映させて、一部の検査項目について適宜更新するようにしてもよい。この場合、健診情報に代えて任意で受診した検査結果を使用してもよいし、健診情報に加えて任意に受診した検査結果を使用してもよい。健診情報に加えて、任意で受診した検査結果を使用すると、現時点での健康状態の把握とリスク評価をより精度の高い計算を元に行えるため、対応の優先度を決定しやすくなるため、好ましい。また、健康保険組合被保険者の扶養家族が対象者の場合、被保険者の扶養家族は健康診断の受診率の低さが問題視されており、十分な健診情報の利用が難しいことが想定される。健診情報が不十分であると、健康状態の把握やリスク評価の精度も不十分となる可能性があるが、任意で受診した検査結果を使用することで、現時点での健康状態の把握と
リスク評価をより精度の高い評価を行うことが可能となるため、好ましい。
レセプト記憶部12は、医療機関が発行する医療費(診療報酬及び調剤報酬)の明細書であるレセプトの情報が格納される。レセプト情報は、受診者の識別情報に関連付けて、主傷病名と医療費とを含むものとする。識別情報は、例えば、氏名、性別、生年月日、といった個人情報や健康保険加入情報などを含む。したがって、対象者毎に所定の傷病名で受診した回数(すなわち病院にかかった回数)を集計することができる。なお、健診情報の対象者の識別情報と、レセプト情報の受診者の識別情報とは、直接的又は間接的に紐付けられるものとする。
モデル生成部13は、健診情報記憶部11の過去年度分の健診情報と、レセプト記憶部12の所定期間分(例えば、過去年度分)のレセプト情報とを用いて、所定の発症確率を算出するための関数(「モデル」とも呼ぶ)を生成する。なお、所定の発症確率は、所定の傷病で診療を受け、且つ医療費が所定の閾値以上である場合に発症したものとして機械学習させる。このとき、当業者であれば、保健指導のためのコストや抽出したい対象者数などに応じて、健診情報、レセプト情報に含まれる情報の中から必要な情報を適宜設定して発症確率の算出に使用することが可能である。モデル生成部13は、例えばロジスティックモデルを用いて発症確率の算出に用いるパラメータを決定し、モデル記憶部14に記憶させる。
また、危険度評価部15は、モデル記憶部14のモデルと、健診情報記憶部11の、上述した所定期間以降の期間(例えば、最新年度分)の健診情報とを用いて、対象者の発症確率を算出する。算出された発症確率は、対象者の識別情報と対応付けて結果記憶部16に格納される。
本実施形態では、モデル生成部13は、所定期間内の特定の時点における健診結果と所定期間内にかかった医療費とを用いて発症確率を算出するためのモデルを生成する。すなわち、例えば医療費が所定の金額以上かかった場合の当時の健診情報及び通院回数の特徴を学習することができる。このようなモデルを用いて発症確率を算出すれば、危険度評価部15は、総合的な医療費の削減効果という観点から現時点における対象者のリスクの大きさを評価することができ、リスクの大きさに基づいて対象者を抽出できるようになる。
<装置構成>
図2は、コンピュータの一例を示す装置構成図である。リスク分析装置1は、図2に示すようなコンピュータである。図2に示すコンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、通信IF(Interface)1004、入出力IF(Interface)1005、ドライブ装置1006、通信バ
ス1007を備えている。CPU1001は、プログラム(「ソフトウェア」又は「アプリケーション」とも呼ぶ)を実行することにより本実施の形態に係る処理等を行う。主記憶装置1002は、CPU1001が読み出したプログラムやデータをキャッシュしたり、CPUの作業領域を展開したりする。主記憶装置は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置1003は、CPU1001により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置1003は、具体的には、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等である。主記憶装置1002や補助記憶装置1003は、健診情報記憶部11、レセプト記憶部12、モデル記憶部14及び結果記憶部16として働く。なお、説明の便宜上、図1では複数の記憶部(健診情報記憶部11、レセプト記憶部12、モデル記憶部14及び結果記憶部16)を示したが、物理的には1つの記憶装置でも複数の記憶装置でもよい。通信IF1004は、他のコンピュータとの間でデータを送受信する。リスク分析装置1は、通信IF1004を介して接続された図示してい
ないコンピュータから健診情報やレセプト情報を受信するようにしてもよい。通信IF1004は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF1005は、入出力装置と接続され、ユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。入出力装置は、具体的には、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル等である。ドライブ装置1006は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体に記録されたデータを読み出したり、記憶媒体にデータを書き込んだりする。そして、以上のような構成要素が、通信バス1007で接続されている。なお、これらの構成要素はそれぞれ複数設けられていてもよいし、一部の構成要素(例えば、ドライブ装置1006)を設けないようにしてもよい。また、入出力装置がコンピュータと一体に構成されていてもよい。また、ドライブ装置1006で読み取り可能な可搬性の記憶媒体や、フラッシュメモリのような可搬性の補助記憶装置1003、通信IF1004などを介して、本実施の形態で実行されるプログラムが提供されるようにしてもよい。そして、CPU1001がプログラムを実行することにより、上記のようなコンピュータを図1に示したリスク分析装置1として働かせる。
なお、図1に例示した機能構成の少なくとも一部がネットワーク上に存在してもよい。例えば、図1の構成の少なくとも一部を担う1以上のコンピュータによる、いわゆるクラウドサービスが提供されるようにしてもよい。
<リスク分析処理>
図3は、リスク分析処理の一例を示す処理フロー図である。なお、健診情報記憶部11及びレセプト記憶部12には、例えば所定の健康保険組合に属する対象者の健康診断の結果及び医療費の明細情報がそれぞれ保持されているものとする。リスク分析処理では、まず、リスク分析装置1のモデル生成部13が、所定の発症確率を算出するための関数として表されるモデルを生成する(図3:S1)。便宜上、「発症確率」と呼ぶが、本ステップでは、所定期間に、所定の傷病名で医療費が所定金額以上かかる確率を算出するためのモデルを生成する。
図4は、モデル生成処理の一例を示す処理フロー図である。モデル生成部13は、健診情報記憶部11から所定期間に対象者が受診した健康診断の記録を読み出す(図4:S11)。本ステップでは、モデル生成部13は、健診情報から、所定の検査項目の測定値を含む受診履歴を取得する。例えば、医療費に影響する病気として所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に着目する場合、モデル生成部13は、対象者の健診情報から、血圧(収縮期及び拡張期)、脂質(HDL、LDL、TG)、並びに血糖値及びHbA1cの健康診断の受診履歴を取得する。また、本ステップでは、例えば処理時点の前年分まで等のように、後述する1年分の医療費の金額が確定している期間の健診情報を取得する。
また、モデル生成部13は、レセプト記憶部12から所定の期間において対象者に発生したレセプト情報を読み出し、集計する(S12)。本ステップでは、レセプト情報として、対象者の識別情報と対応付けて主傷病名と医療費とが取得される。なお、対象者の識別情報は、上述した健診情報における対象者の識別情報と同一又は対応関係がわかっているものとする。なお、S11の処理とS12の処理とは順序を入れ替えてもよいし、並列に実行してもよい。また、健診情報及びレセプト情報は、過去1年分以上の所定年数分を用いるものとする。
S12において使用される主傷病名としては、例えば高血圧症、高脂血症、糖尿病等を使用することができる。主傷病名が高血圧症に関する受診(通院)の回数及び医療費、主傷病名が高脂血症に関する受診の回数及び医療費、主傷病名が糖尿病に関する受診の回数及び医療費、主傷病名が所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する受診の回数を集計するものとする。具体的には、高血圧症に関する受診は、病名に「高血圧」という文字
が含まれるもの、また、国際疾病分類(International Classification of Diesease、以下ICDと称する)等によって分類された同義の傷病名であってもよく、これらの傷病名を含むレセプトをいうものとする。高脂血症に関する受診は、病名に「高脂」または「脂質」または「コレステロール」という文字が含まれるもの、また、ICD等によって分類された同義の傷病名であってもよく、これらの傷病名を含むレセプトをいうものとする。また、糖尿病に関する受診は、病名に「糖」という文字が含まれるもの、また、ICD等によって分類された同義の傷病名であってもよく、これらの傷病名を含むレセプトをいうものとする。そして、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する受診とは、病名に「脳卒中」、「くも膜下出血」、「脳内出血」、「脳動脈硬化」、「脳塞栓」、「脳血管障害」、「脳出血」、「脳内出血」、「脳血栓」、「脳血管障害」、「脳幹部出血」、「脳室内出血」、「脳皮質下出血」、「脳動脈循環」、「脳循環不全」、「硬膜下血腫」、「脳皮質下出血」、「頭蓋内出血」、「心筋症」、「狭心症」、「動脈瘤」、「動脈解離」、「動脈狭窄」、「動脈閉塞」、「動脈閉鎖」、「動脈血栓」、「動静脈瘻」、「静脈塞栓」、「静脈瘤」、「静脈瘻」、「虚血」、「梗塞」(ただし、外傷性のものは除く)が含まれるもの、また、ICD等によって分類された同義の傷病名、その他腎疾患、肝疾患であってもよく、これらの傷病名を含むレセプトをいうものとする。例えば、後述する所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患が主傷病名で支払った医療費を集計する。
次に、モデル生成部13は、取得した測定値や集計したレセプト情報を、所定のスコアに変換する(S13)。本ステップでは、予め定められた条件に基づいて、所定の測定値及び所定の傷病での受診(通院)回数を、本実施形態に係る統計分析において説明変数として用いるスコアに変換する。
図5は、スコアへの変換に用いる条件の一例を示す図である。所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に着目する場合、例えば、このような条件を採用することができる。X1
は、高血圧に関するスコア(0〜2点)であり、血圧(収縮時及び拡張時)の測定値及び当該傷病名での受診履歴に基づいて決定される。S13において、モデル生成部13は、「条件」欄のフィールドに登録された条件を満たす場合、当該条件に対応付けられているスコアを適用する。また、複数の条件を満たす場合、値の大きいスコアを適用する。
具体的には、上述した高血圧に関する受診の記録がレセプト情報になく、且つ健診情報の血圧(拡張)<100且つ血圧(収縮)<160という条件を満たす場合、X1のスコ
アは0とする。また、高血圧に関する受診回数が1〜4回であるか、100≦血圧(拡張)<110又は160≦血圧(収縮)<180という条件を満たす場合、X1のスコアは
1とする。そして、高血圧に関する受診回数が5回以上であるか、110≦血圧(拡張)<120又は180≦血圧(収縮)<200という条件を満たす場合、X1のスコアは2
とする。なお、複数の条件に合致する場合、高い方のスコアが優先して適用される。
2は、高脂血症に関するスコア(0〜2点)であり、脂質(HDL、LDL、TG)
の測定値及び当該傷病名での受診履歴に基づいて決定される。具体的には、高脂血症に関する受診の記録がレセプト情報になく、且つ健診情報において40≦HDL且つLDL≦140である場合、X2のスコアは0とする。また、高脂血症に関する受診回数がレセプ
トにおいて1〜4回であるか、健診情報においてHDL<40又は140≦LDL<180である場合、X2のスコアは1とする。また、高脂血症に関する受診回数がレセプトに
おいて5回以上であるか、健診情報において300≦TG、又は180≦LDLである場合、X2のスコアは2とする。なお、複数の条件に合致する場合、高い方のスコアが優先
して適用される。
3は、糖尿病に関するスコア(0〜2点)であり、血糖値及びHbA1cの値並びに
当該傷病名での受診履歴に基づいて決定される。具体的には、血糖値に関する受診の記録がレセプト情報になく、且つ健診情報において血糖値<130且つHbA1c<6.5である場合、X3のスコアは0とする。また、糖尿病に関する受診回数がレセプトにおいて
1〜4回であるか、健診情報において130≦血糖値<160又は6.5≦HbA1c<8.0である場合、X3のスコアは1とする。また、糖尿病に関する受診回数がレセプト
において5回以上であるか、健診情報において160≦血糖値又は8.0≦HbA1cである場合、X3のスコアは2とする。なお、複数の条件に合致する場合、高い方のスコア
が優先して適用される。
4は、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関するスコア(0〜2点)であり、
所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する傷病名での受診回数に基づいて決定される。具体的には、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する受診の記録がレセプト情報にない場合、X4のスコアは0とする。また、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾
患に関する受診回数がレセプトにおいて1〜4回である場合、X4のスコアは1とする。
また、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する受診回数がレセプトにおいて5回以上である場合、X4のスコアは2とする。
このように、本実施形態では健康診断の測定値又は受診回数を直接用いるのでなく、所定段階(すなわち順序尺度)のスコアに変換して説明変数とすることができる。すなわち、X1〜X4のスコアは、健診情報に含まれる健康診断の結果及びレセプト情報に含まれる通院の状況に基づく所定の傷病に関する評価値といえる。なお、スコア決定に用いるこれらの条件は、後述する発症確率の算出のための説明変数に適していることを発明者らが見出したものである。なお、これらのスコアの一部を用いてもよいし、例示していないスコアをさらに用いることもできる。このような健診項目の選択や、スコアへの変換条件は、コンピュータが自動的に決定できるようにすることもできる。S13のスコアは、複数の対象者の各々について求められる。これらの評価値は、必要に応じてX5以降の変数を適
宜設定して使用することが可能である。
そして、モデル生成部13は、複数の対象者の健診情報とレセプト情報とに基づいて、所定の発症確率を算出するためのモデルを生成する(S14)。本発明の目的とする、現時点での対象者のリスクの大きさを適切に評価することを達成できる方法であれば、線形関数、非線形関数は問わないが、例えば、線形関数を使用して算出する場合、モデルは、所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる確率を求めるためのロジスティック関数で表されるものであってもよい。本ステップでは、発症確率Pを以下のロジスティック関数(式(1))で表す。
また、ロジット(対数オッズ)Zは上述したスコアを用いて以下のロジットモデル(式(2))で表す。
Z=β0+β1・X1+β2・X2+β3・X3+β4・X4 ・・・(2)
そして、本ステップでは、5つのパラメータβ0〜β4を、尤度法にて求める。すなわち、j番目の対象者の上記発症確率をPjとすると、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾
患が主傷病名で所定期間の医療費が所定の金額(例えば、年間100万円)以上になった場合、
j=Pj
とおき、それ以外の場合、
j=1−Pj
とおく。そして、以下の尤度関数(式(3))が最大となるパラメータβ0〜β4を求める。
like(β)=ln(L1×L2×・・・Lj×・・・)=Σln(Lj) ・・・(3)
なお、尤度関数が最大となるパラメータβ0〜β4は、山登り法等の既存技術を用いて求めることができる。
以上のようにしてパラメータβ0〜β4を決定し、高血圧、高脂血症、糖尿病及び所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する所定のスコアに基づいて、医療費が所定額以上かかる所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患の発症確率Pを求めるための関数を生成することができる。
その後、図3の処理に戻り、危険度評価部15は、危険度評価処理を行う(図3:S2)。
図6は、危険度評価処理の一例を示す処理フロー図である。まず、危険度評価部15は、対象者の最新の健診情報及び直近の所定期間におけるレセプト情報を取得する(図6:S21)。本ステップでは、危険度評価部15は、健診情報記憶部11に格納されている対象者の健診情報のうち、例えばS11で取得した健診情報の翌年分に係る所定の検査値及び直近1年間の健診情報を抽出する。具体的には、危険度評価部15は、血圧(収縮期及び拡張期)、脂質(HDL、LDL、TG)、並びに血糖値及びHbA1cの健康診断の測定値を取得する。なお、直近の健診情報を用いることで、処理時点における対象者の最新の健康リスクを評価することができるが、任意の時点における健診情報を用いて当該時点で想定される健康リスクを評価することもできる。
次に、危険度評価部15は、S14で生成した発症確率Pの関数を用いて対象者の発症確率を算出する(S22)。本ステップでは、危険度評価部15は、まず、S21で取得した健康診断の測定値及び受診履歴を、S12と同様の条件に基づいて所定のスコアに変換する。そして、S14で生成したパラメータβ0〜β4を用いて、式1に示した発症確率Pを算出する。
そして、危険度評価部15は、保健指導の対象者を抽出する(S23)。危険度評価部15は、例えば、発症確率Pの大きさに基づいて、即ちリスクが大きい対象者として、上位所定数の対象者を抽出する。パラメータβ0〜β4は、健康診断の測定値と当該健康診断を受診した年の医療費とに基づいて求められたパラメータであり、S22で算出される発症確率Pは、まさに当該処理時点における対象者のリスクを表した値といえる。したがって、S23では、保健指導を行う優先度の高い対象者を抽出でき、効率がよい。また、当該年度の医療費の大きさを基準として保健指導を行うと、所定の期間として直近の期間を指定してデータを使用すると、保健指導を受ける対象者が数年後ではなく、より差し迫った、可能性の高いリスクであることを認識することができるため、生活習慣の改善等の保健指導を促し易いため、好ましい。
また、保健指導を行う者も、指導される対象者も、例えば保健指導の場においては簡易な手法でリスクの算出を行える方が、リスクの根拠の説明及び理解がなされ易い。例えば本実施形態のロジットは、高血圧に関連する測定値及び受診履歴、高脂血症に関連する測定値及び受診履歴、糖尿病に関連する測定値及び受診履歴、並びに所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関する受診履歴を用いた一次式であり、シンプルである点も保健指導に用いる際には利点といえる。ただし、本発明は、発症確率を表すために非線形の関数を
用いることもできる。
また、対象者が所定の健康保険組合に属する者のように特定の集団である場合、一般的な基準と比較して偏った特徴を有する場合がある。すなわち、ある対象者の集団は一般的な基準よりも所定の傷病の発症確率が低い場合がある。このような場合において、当該対象者の集団に対して保健指導を行う人的リソースに制限があるとき、リスクの高い対象者を高い精度で抽出することができるため、当該対象者の集団において相対的にリスクの高い対象者に保健指導を行うことが効率的である。よって、例えば所定の健康保険組合に属する対象者や、所定の企業に勤務する対象者、所定の業種又は職種の対象者等、所定の集団に属する対象者の健診情報及びレセプト情報に基づいて生成した発症確率のモデルは、同様の集団に属する対象者の危険度を求める際に用いることで、リスク評価の精度が向上するといえる。このように、本発明を用いることで、現時点における対象者の健康状態の把握とリスクの大きさを適切に評価することができる。それゆえ、保健指導等の対応の優先度を決定しやすくなり、限られたリソースの中で効果が最大限に発揮できるように実施できるため、結果として医療費の削減にも資することになり、好ましい。
また、対象者自身にとっても、病に陥る前に健康状態を把握できるようになるため、健康寿命を延ばし生き生きとした充実した日々を長く送りたいという要望を満たすことにつながり、好ましい。
また、本発明によりなされた評価を元にして、適切な栄養指導、運動指導、機能性食品の選択といった、対象者一人一人に対応したコンサルティングへの展開においても十分に効果を発揮することができるようにすることが可能となる。
<発症確率の更新>
後に、上述の処理を行った年にかかった対象者の医療費が確定した場合、当該最新年度の健診情報とレセプト情報との組み合わせを用いて、発症確率Pを更新することができる。すなわち、新たな年度の健診情報とレセプト情報とをさらに用いて上述したモデル作成処理を実行する。このようにすれば、当該集団に属する対象者の最新の傾向を反映した発症確率のモデルに基づいて、当該時点のリスクをより正確に評価することができるようになる。なお、病院にかかるたびにレセプト情報を更新し、直近の所定年度分の健診情報とレセプト情報とを用いて発症確率Pを求めるようにしてもよい。
<実施例1>
図7の上段は、ある年度(1年目)及びその翌年度(2年目)における31367人分の健診情報及びレセプトデータに基づいて、発症確率Pを算出し、発症確率Pの高い順に右から左へ対象者の発症確率を並べたグラフである。黒く塗られた領域が発症確率を示している。具体的には、縦の長さが個人の発症確率の大きさを表しており、最も発症確率の高い者は27%になっている。図7の下段は、上段のグラフにおける上位2000人を拡大したグラフである。式(1)に示したモデルである発症確率Pを生成する際には、図5に示した高血圧に関するスコア、高脂血症に関するスコア、糖尿病に関するスコア、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関するスコアを用いて、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患によって年間の医療費が50万円を超える場合に発症したものと定義した。また、参考のために、年間の医療費が50万円を超えた対象者を、図面上に破線で示した。短い破線(127名)は、1〜2年目に医療費が50万円を超えた対象者を示し、長い破線(96名)は、3年目に医療費が50万円を超えた対象者を示している。なお、両期間ともに医療費が50万円を超えた対象者も含まれる。
すなわち、図7は、2年間の健診情報及びレセプト情報に基づいて算出された発症確率により、対象者に優先順位を付けたグラフである。下段のグラフを参照すると、上位2000人のなかには、発症確率の算出時点(2年目の終了時点)においては50万円を超える医療費は払っていなかったが、3年目に50万円を超える医療費を支払った対象者が、
長い破線で示されている。また、1〜3年目には50万円を超える医療費を払ってはいないがリスクが高いと判断された対象者が、図7の下段に破線なしで示されている。2年目の終了時点で、長い破線で示された対象者や破線なしで示された対象者に保健指導を行えば、人的リソースを、リスクの高い対象者への保健指導に効率よく割り当てることができる。また、このような順位付けによれば、例えば、血糖値の値が高い対象者、コレステロール値が高い対象者のように特定の検査結果のみに着目して個別に順位付けする場合と異なり、保健指導において指導担当者が結果を複合的に判断する労力を省くことができる。なお、3年目以降のデータをさらに用いれば、発症確率の精度はより向上することが期待される。
<実施例2>
図8の上段は、対象者31367人の3年分の健診データ及びレセプトデータに基づいて、発症確率を算出し、発症確率Pの高い順に右から左へ並べた図である。図8の下段は、図8の上段の図における発症確率の高い方から約2500人を拡大表示したものである。また、3年間のいずれかの年において医療費が50万円を超えた対象者を、図8に破線で示した。式(1)に示したモデルである発症確率Pを生成する際には、図5に示した高血圧に関するスコア、高脂血症に関するスコア、糖尿病に関するスコア、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患に関するスコアを用いて、所定の脳、心臓若しくは循環器等の疾患によって年間の医療費が50万円を超える場合に発症したものと定義した。
図5に示したスコアを用いて式(2)のパラメータβ0〜β4を求めると、図8に示すように比較的高額な医療費を支払った対象者(破線で示した位置に存在)を精度よく上位(右側)に抽出することができる。また、破線が付されていない位置には、所定額以上の医療費は未だ発生していないが当該順位生成の処理時点においてリスクの高い対象者が抽出されている。特にこのような対象者について保健指導等を行うことにより未然に対処できると共に、保健指導等の人的リソースをリスクの高い対象者に効率的に割り当てることができる。
<比較例>
図9は、対象者31367人の3年分のHbA1cの値に基づいて、合計値の高い順に右から左へ並べた図である。なお、3年間のいずれかの年において医療費が50万円を超えた対象者を、図9に破線で示した。また、図10は、対象者31367人の3年分の血糖、血圧及び脂質の値に基づいて点数をつけ、合計点数の高い順に右から左へ並べた図である。なお、血糖は、HbA1c≧6.5又は空腹時血糖値≧126の場合に1点とした。血圧は、収縮期血圧≧160又は拡張期血圧≧100の場合に1点とした。脂質は、LDL≧180又はTG≧1000の場合に1点とした。また、3年間のいずれかの年において医療費が50万円を超えた対象者を、図10でも破線で示した。
図8の結果と比較すると、図9に示す単項目の値でソートした場合や、図10に示す複数の項目に対応する点数によってソートした場合では、医療費が所定の基準以上となった対象者を上位に寄せることができない。仮に、リソース上、保健指導を行うことができる対象者が1500名であり、各手法でリスクを評価した上位1500名を保健指導の対象とするものとする。この場合、図8における上位1500名の医療費から図9における上位1500名の医療費を減じると、約4億円/年となる。また、図9における上位1500名の医療費から図10における上位1500名の医療費を減じると、約5億円/年となる。すなわち、保健指導により一部でも予防できるとすると、最大で年間4〜5億円もの医療費削減につながるといえる。
<実施の形態の変形例>
臨床検査値は、検査機関や使用試薬によって一定程度の変動幅を有する場合があること
が知られている。このような測定値間の誤差を反映させずにリスク評価値を算出するために、標準物質の測定結果からの乖離を表す補正係数を使用することもできる。すなわち、測定値に補正係数を乗じることにより、誤差の影響を低減することができる。このような補正を行うことによって、リスクの評価が正確に行う事ができるため、好ましい。
また、モデル生成部13は、取得した測定値や集計したレセプト情報を、所定のスコアに変換せず、そのまま説明変数として用いるようにしてもよい。すなわち、図4のS13を実行せず、例えば上述した式(2)のX1〜X4に測定値や受診回数を代入する。例えば、S14において、上述したロジスティック関数に用いる測定値である、血圧、脂質、血糖値、HbA1c、その他受診回数を測定する。なお、上述した4種の疾病に関する受診回数そのものを説明変数として使用してもよい。なお、このとき、上述した補正係数を用いれば、その説明変数の誤差のリスク評価への影響を抑えることができるため、特に好ましい。
取得した測定値や集計したレセプト情報の値を説明変数として使用する場合、各々の検査における測定値を一定の基準の下にスコア化する場合と比べて、基準の設定等の必要がなくなるため、より簡便に実施することができる。また、値を変換せずにそのまま用いるため、実態に沿った計算結果となり、好ましい。例えば、基準内ではあるが境界領域で推移している患者のリスクを正当に評価することができる。また、数段階にスコア化する場合、算出する発症確率が同点の対象者が多くなりやすい。一方、スコア化せずに説明変数に用いることで、対象者に順位の差をつけ易くなる。すなわち、例えば上位所定数の対象者を抽出するようなときに、所望の人数に近い位置で区切れる可能性が高くなる。
<実施例3>
上述した説明変数には、検査項目値や受診回数をそのまま用いても良い。収縮時血圧、拡張時血圧、中性脂肪、HDL、LDL、血糖値、HbA1cの検査値、糖尿病、高脂血症、高血圧、脳心血管症の受診回数の11変数をそのまま説明変数とし、ロジスティック回帰により、脳心血管症の発症確率を評価したところ、図11のROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を得た。ROC曲線は、縦軸に真陽性(True Positive)の割合、横軸に偽陽性(False Positive)の割合をとり、検査項目の値に対応する座標をプロットしたグラフである。曲線の下の面積(AUC)が大きいほど、判別性能が高いことを表している。比較のため、動脈硬化に関連すると考えられるLDLコレステロール値のみを説明変数として、発症確率を評価し、ROC曲線を描くと、図12となる。このように健診データ、受診回数を組み合わせることにより、本発明では高い判別性能が得られている。
<その他>
以上、本発明の各種構成要素、評価条件について例示をしたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、上記条件を参照しながら適宜選択することが可能である。特に、発症確率を求めるために用いる説明変数の種類は実施の態様及び実施例1〜3、変形例に挙げたものに限定されるものではなく、例えば、着目する傷病に応じて適宜選択することができる。
本発明は、上述した処理を実行するコンピュータプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。当該プログラムが記録された記録媒体は、プログラムをコンピュータに実行させることにより、上述の処理が可能となる。
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外
し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、HDDやSSD(Solid State Drive)、ROM等がある。
1 リスク分析装置
11 健診情報記憶部
12 レセプト記憶部
13 モデル生成部
14 モデル記憶部
15 危険度評価部
16 結果記憶部

Claims (9)

  1. 複数の対象者の所定期間における健康診断の測定値を含む健診情報と、前記複数の対象者の前記所定期間における医療費及び傷病名を含むレセプト情報とを記憶部から取得するステップと、
    前記健診情報及びレセプト情報に基づく値を説明変数として、前記レセプト情報において所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる確率を表すモデルを生成するステップと、
    前記対象者の前記所定期間以降における健診情報を前記記憶部から読み出し、当該健診情報に基づく値と前記モデルとを用いてリスクの評価値を算出するステップと、
    をコンピュータが実行するリスク評価方法。
  2. 前記健診情報及びレセプト情報に基づく値は、前記健康診断における1以上の測定値と、前記レセプト情報における所定の傷病名での受診回数を、所定の順序尺度で表されるスコアに変換した値である
    請求項1に記載のリスク評価方法。
  3. 前記健診情報及びレセプト情報に基づく値は、前記健診情報における所定の健診項目の測定値及び前記レセプト情報における所定の傷病名での受診回数である
    請求項1に記載のリスク評価方法。
  4. 前記健診情報に基づく値は、高血圧症に関連する測定値、高脂血症に関連する測定値、又は糖尿病に関連する測定値の少なくともいずれかを含む
    請求項1から3のいずれか一項に記載のリスク評価方法。
  5. 前記モデルは、所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる前記確率を求めるためのロジスティック関数で表される
    請求項1から4のいずれか一項に記載のリスク評価方法。
  6. 複数の対象者について前記リスクの評価値を算出し、算出されたリスクの評価値の大きさに基づいて上位所定数の対象者を抽出するステップ
    をさらにコンピュータに実行させる
    請求項1から5のいずれか一項に記載のリスク評価方法。
  7. 前記所定期間以降の期間における健診情報とレセプト情報とが前記記憶部に登録された場合、当該期間における健診情報とレセプト情報とをさらに用いて前記モデルを生成するステップ
    をさらにコンピュータが実行する請求項1から5のいずれか一項に記載のリスク評価方法。
  8. 複数の対象者の所定期間における健康診断の測定値を含む健診情報と、前記複数の対象者の前記所定期間における医療費及び傷病名を含むレセプト情報とを含む記憶部と、
    前記記憶部から前記健診情報と前記レセプト情報とを取得し、前記健診情報及びレセプト情報に基づく値を説明変数として、前記レセプト情報において所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる確率を表すモデルを生成するモデル生成部と、
    前記対象者の前記所定期間以降における健診情報を前記記憶部から読み出し、当該健診情報に基づく値と前記モデルとを用いてリスクの評価値を算出する危険度評価部と、
    を備えるリスク評価装置。
  9. 複数の対象者の所定期間における健康診断の測定値を含む健診情報と、前記複数の対象
    者の前記所定期間における医療費及び傷病名を含むレセプト情報とを記憶部から取得するステップと、
    前記健診情報及びレセプト情報に基づく値を説明変数として、前記レセプト情報において所定の傷病名で且つ医療費が所定の閾値以上となる確率を表すモデルを生成するステップと、
    前記対象者の前記所定期間以降における健診情報を前記記憶部から読み出し、当該健診情報に基づく値と前記モデルとを用いてリスクの評価値を算出するステップと、
    をコンピュータに実行させるリスク評価プログラム。
JP2016250099A 2015-12-22 2016-12-22 リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム Active JP6734582B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015250274 2015-12-22
JP2015250274 2015-12-22

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017117469A JP2017117469A (ja) 2017-06-29
JP6734582B2 true JP6734582B2 (ja) 2020-08-05

Family

ID=59234485

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016250099A Active JP6734582B2 (ja) 2015-12-22 2016-12-22 リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6734582B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6702836B2 (ja) * 2016-09-28 2020-06-03 ハルメク・ベンチャーズ株式会社 認知症判定得点算出装置及びそのプログラム
US11437146B2 (en) 2017-08-09 2022-09-06 Nec Corporation Disease development risk prediction system, disease development risk prediction method, and disease development risk prediction program
JP7081103B2 (ja) * 2017-09-21 2022-06-07 大日本印刷株式会社 コンピュータプログラム、レセプト分析装置及び遠隔診療案内方法
EP3471107A1 (en) * 2017-10-12 2019-04-17 Fresenius Medical Care Deutschland GmbH Medical device and computer-implemented method of predicting risk, occurrence or progression of adverse health conditions in test subjects in subpopulations arbitrarily selected from a total population
EP3506268A1 (en) * 2017-12-26 2019-07-03 Koninklijke Philips N.V. Apparatus for patient data availability analysis
JP6920986B2 (ja) * 2017-12-28 2021-08-18 東邦瓦斯株式会社 住宅内事故リスク予測報知システム
JP7160304B2 (ja) * 2018-02-27 2022-10-25 BioICT株式会社 構成員健康状態管理システム及び構成員健康状態管理方法
JP6436515B1 (ja) * 2018-03-01 2018-12-12 メドケア株式会社 疾病注意情報提供支援システム
JP6531241B1 (ja) * 2018-03-14 2019-06-19 メドケア株式会社 効率化支援システム及び医療効率化支援方法
WO2019187341A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 Necソリューションイノベータ株式会社 指標算出装置、予測システム、経過予測評価方法およびプログラム
JP7174890B2 (ja) * 2018-06-25 2022-11-18 国立研究開発法人理化学研究所 リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム
JP7107375B2 (ja) * 2018-08-31 2022-07-27 日本電信電話株式会社 状態遷移予測装置、予測モデル学習装置、方法およびプログラム
CN111383754B (zh) * 2018-12-28 2023-08-08 医渡云(北京)技术有限公司 医疗决策方法、医疗决策装置、电子设备及存储介质
KR102503931B1 (ko) * 2020-12-07 2023-02-24 가톨릭대학교 산학협력단 빅데이터 분석을 통한 진료비 예측 장치 및 방법
JP7266357B1 (ja) 2022-04-14 2023-04-28 株式会社オプティム プログラム、情報処理装置、方法及びシステム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5392444B1 (ja) * 2012-04-26 2014-01-22 日本電気株式会社 保健指導対象者選定条件作成支援装置
JP6182431B2 (ja) * 2013-11-07 2017-08-16 株式会社日立製作所 医療データ分析システム、及び医療データを分析する方法
US20150235001A1 (en) * 2014-02-19 2015-08-20 MedeAnalytics, Inc. System and Method for Scoring Health Related Risk

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017117469A (ja) 2017-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6734582B2 (ja) リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム
JP7174890B2 (ja) リスク評価方法、リスク評価装置及びリスク評価プログラム
Kuntz et al. Cost-effectiveness of diagnostic strategies for patients with chest pain
Freire et al. Validity and reliability of the short physical performance battery in two diverse older adult populations in Quebec and Brazil
Koller et al. Development and validation of a coronary risk prediction model for older US and European persons in the Cardiovascular Health Study and the Rotterdam Study
van der Meer et al. The value of C-reactive protein in cardiovascular risk prediction: the Rotterdam Study
Cauley et al. Long-term risk of incident vertebral fractures
Lloyd-Jones et al. Lifetime risk of coronary heart disease by cholesterol levels at selected ages
Betihavas et al. What are the factors in risk prediction models for rehospitalisation for adults with chronic heart failure?
JP5564708B2 (ja) 保健事業支援システム、保険事業支援装置、及び保険事業支援プログラム
Peterson et al. Association of exercise capacity on treadmill with future cardiac events in patients referred for exercise testing
Luo et al. A preliminary dual-energy X-ray absorptiometry-based finite element model for assessing osteoporotic hip fracture risk
Olson et al. Legacy of MESA
Bibbins-Domingo et al. Renal function and heart failure risk in older black and white individuals: the Health, Aging, and Body Composition Study
Caserta et al. Development of a global respiratory severity score for respiratory syncytial virus infection in infants
Liao et al. Clinical prediction models: are we building better mousetraps?
Shaw et al. Improved near-term coronary artery disease risk classification with gated stress myocardial perfusion SPECT
WO2012167186A1 (en) System and method for scoring illness complexity to predict healthcare cost
Wiswell et al. “Sick” or “not-sick”: accuracy of System 1 diagnostic reasoning for the prediction of disposition and acuity in patients presenting to an academic ED
Chi et al. Impacts of frailty on health care costs among community-dwelling older adults: a meta-analysis of cohort studies
Darzi et al. Risk-assessment models for VTE and bleeding in hospitalized medical patients: an overview of systematic reviews
Samman-Tahhan et al. INTERMACS profiles and outcomes among Non–Inotrope-dependent outpatients with heart failure and reduced ejection fraction
JP6282783B2 (ja) 分析システム及び分析方法
Pourhomayoun et al. Why do we need a remote health monitoring system? A study on predictive analytics for heart failure patients
Mushlin et al. The cost-effectiveness of magnetic resonance imaging for patients with equivocal neurological symptoms

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20161227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6734582

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350