JP7296269B2 - 分析装置および分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分析装置および分析方法に関する。
特許文献1には、健康保険組合が保有するレセプト情報、保健事業情報から、保健事業の医療費への効果を分析する保健事業効果分析システムを提供する発明として、「プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを格納するメモリとを有し、前記プログラムを実行することによって保健事業の効果を分析する分析システムであって、加入者の医療費、介入サービスの提供の有無を示す介入情報、及び前記介入サービスの開始日が入力される入力部と、前記介入サービスの提供前の前記医療費と前記介入情報との関係を分析し、前記介入サービスの提供前の医療費から、前記介入サービスが提供されている確率を示す介入群の傾向スコアと、前記介入サービスが提供されていない確率を示す非介入群の傾向スコアとを算出する傾向スコア算出部と、前記介入群の傾向スコアの逆数を前記介入サービスの提供前及び提供後の前記介入群の医療費に乗じることによって、前記介入サービスの提供前及び提供後の前記介入群の調整医療費を算出し、前記非介入群の傾向スコアの逆数を前記介入サービスの提供前及び提供後の前記非介入群の医療費に乗じることによって、前記介入サービスの提供前及び提供後の前記非介入群の調整医療費を算出する調整医療費算出部と、を有することを特徴とする分析システム」が開示されている。また、特許文献1には、算出する傾向スコアや調整医療費を疾病毎に算出すること、疾病に寄与する健康診断の情報を用いて、疾病毎の傾向スコアを算出することが開示されている。
特開2014-225177号公報(請求項1,2,7、段落0006)
少子高齢化に伴う医療費増大に鑑み、保健指導などの保健事業の医療費への効果、つまり、保険者が保健事業を実施することでどの程度の医療費を抑制することができるかを分析することが重要である。しかし、特許文献1の技術によれば、分析対象となる介入サービス(保険事業)の医療費抑制効果は分析時点の効果に過ぎず、将来効果ではない。このため、保険事業を継続するか否かの判断に改善の余地が残されている。なお、このような課題は、保健事業を例とする予防医療全般にあてはまる。
本発明は、このような事情に鑑みて、予防医療を継続するか否かの判断の精度を向上させることを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、
予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置であって、
実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶する記憶部と、
前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出する抽出部と、
前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算する抑制医療費計算部と、を備える、
ことを特徴とする。
また、本発明は、
予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置における分析方法であって、
前記分析装置は、
実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶しており、
前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出するステップと、
前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算するステップと、を実行する、
ことを特徴とする。
その他の発明については、後記する。
本発明によれば、予防医療を継続するか否かの判断の精度を向上させることができる。
本実施形態の分析装置の機能構成図である。 保健指導情報のデータ構造図である。 被保険者情報のデータ構造図である。 健診情報のデータ構造図である。 レセプト情報のデータ構造図である。 保健指導利用者の前年度からの健康状態の変化を示す表である。 保健指導利用者に対する医療費抑制効果を示す棒グラフである。 保健指導未利用者の前年度からの健康状態の変化を示す表である。 保健指導未利用者に対する医療費抑制効果を示す棒グラフである。 抑制医療費計算処理のフローチャートである。
続いて、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、1保険者(例:全国健康保険協会、健康保険組合)に加入する被保険者のうち、特定健診(特定健康診査)を受診した被保険者を対象にして説明する。しかし、本実施形態は、1保険者に限定されず、複数の保険者を対象にすることもできるし、特定健診を受診した被保険者以外の被保険者を対象にすることもできる。
≪構成≫
図1に示す本実施形態の分析装置1は、入力部、出力部、制御部、および記憶部といったハードウェアを含むコンピュータである。例えば、制御部がCPU(Central Processing Unit)から構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現される。また、そのコンピュータが含む記憶部は、CPUの指令により、そのコンピュータの機能を実現するためのさまざまなプログラムを記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。前記プログラムは、記録媒体に記録したり、ネットワークを経由したりすることで提供することができる。
また、図1に示す分析装置1は、保健指導などの保険事業を実施する保険者が使用する計算機である。図1に示すように、本実施形態の分析装置1は、抽出部11と、抑制医療費計算部12と、シミュレーション部13といった機能部を備える。また、分析装置1は、保健指導情報21(予防医療情報)と、被保険者情報22と、健診情報23と、レセプト情報24とを記憶する。
(保健指導情報21)
保健指導情報21は、保険者が実施する保健指導の管理情報である。図2に示すように、保健指導情報21は、「保健指導ID」といった欄を有し、保健指導ごとにエントリが作成される。
「保健指導ID」の欄には、保健指導の識別子が格納される。なお、保健指導情報21が有する欄は、「保健指導ID」に限定されず、例えば、保健指導の詳細内容など他の項目を有してもよい。また、保険者が実施する保健指導には、特定保健指導が含まれる。
(被保険者情報22)
被保険者情報22は、保険者に加入する被保険者の管理情報である。図3に示すように、被保険者情報22は、「被保険者ID」と、「保健指導ID」と、「必要性」といった欄を有し、被保険者ごとにエントリが作成される。
「被保険者ID」の欄には、被保険者の識別子が格納される。
「保健指導ID」の欄には、被保険者が加入する保険者が実施する保健指導の識別子が格納される。被保険者が保健指導を利用している場合、被保険者情報22の「保健指導ID」には保健指導情報21の「保健指導ID」(図2)の値が格納される。被保険者が保健指導を利用していない場合、「保健指導ID」の項目には「なし」の値が格納される。
「必要性」の欄には、被保険者が自身の健康状態に応じて保健指導を受けることの要求度が格納される。「必要性」の項目には、例えば、特定健診で定められる、「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」が登録されるがこれらに限定されない。
なお、被保険者情報22が有する欄は、「被保険者ID」と、「保健指導ID」と、「必要性」とに限定されず、例えば、被保険者の年齢、性別など他の項目を有してもよい。
本実施形態では、「動機付け支援」は、該当の被保険者が特定保健指導を利用することを勧められていることを示す語として用いる。また、「積極的支援」は、該当の被保険者が特定保健指導を利用することを、動機付け支援と比較して強く勧められていることを示す語として用いる。また、「情報提供」は、該当の被保険者が「動機付け支援」にも「積極的支援」にも該当しないことを示す語として用いる。「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」は、特定保健指導対象者の所定の選定方法に従って決められており、詳細な説明は省略する。本実施形態では、被保険者の各々は、「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」のいずれかに分類されることとする。特定保健指導を利用している被保険者は、「積極的支援」または「動機付け支援」に該当するが、「積極的支援」または「動機付け支援」に該当する被保険者が特定保健指導を利用しているとは限らない。また、「情報提供」に該当する被保険者は、保健指導を利用しない。
(健診情報23)
健診情報23は、保険者に加入する被保険者が受診した健診の管理情報である。図4に示すように、健診情報23は、「健診ID」と、「被保険者ID」と、「健診日」と、「健診結果」といった欄を有し、健診ごとにエントリが作成される。
「健診ID」の欄には、被保険者が受診した健診の識別子が格納される。
「被保険者ID」の欄には、被保険者の識別子が格納される。健診情報23の「被保険者ID」は、被保険者情報22の「被保険者ID」に関連付けられている。
「健診日」の欄には、該当の健診が行われた年月日が格納される。
「健診結果」の欄には、被保険者が受診した健診の結果が格納される。健診結果としては、例えば、質問票(服薬歴、喫煙歴等)、身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)、理学的検査(身体診察)、血圧測定、血液検査(脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、血糖検査(空腹時血糖又はHbA1c)、肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP))、検尿(尿糖、尿蛋白)の結果が含まれるがこれらに限定されない。
なお、健診情報23が有する欄は、「健診ID」と、「被保険者ID」と、「健診日」と、「健診結果」とに限定されず、他の項目を有してもよい。
(レセプト情報24)
レセプト情報24は、保険者に加入する被保険者が受診した保険診療のレセプトの管理情報である。図5に示すように、レセプト情報24は、「レセプトID」と、「被保険者ID」と、「診療日」と、「疾病名」と、「医療費」といった欄を有し、レセプトごとにエントリが作成される。
「レセプトID」の欄には、被保険者が受診した保険診療のレセプトの識別子が格納される。
「被保険者ID」の欄には、被保険者の識別子が格納される。レセプト情報24の「被保険者ID」は、被保険者情報22の「被保険者ID」に関連付けられている。
「診療日」の欄には、該当の診療が行われた年月日が格納される。
「疾病名」の欄には、被保険者が該当の診療を受けたときの疾病の名称が格納される。
「医療費」の欄には、該当の診療にかかった費用が格納される。
なお、レセプト情報24が有する欄は、「レセプトID」と、「被保険者ID」と、「診療日」と、「疾病名」と、「医療費」とに限定されず、他の項目を有してもよい。
(抽出部11)
抽出部11は、被保険者情報22で管理される被保険者のうち所定の抽出条件を満たす被保険者を抽出する。所定の抽出条件は、例えば、分析装置1の入力部から入力することができるが、これに限定されない。
(抑制医療費計算部12)
抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者に対して、将来に抑制されることが見込まれる医療費を抑制医療費として計算する。
(シミュレーション部13)
シミュレーション部13は、将来の医療費抑制に関するさまざまな入力値を用いたシミュレーションを実行する。
[内臓脂肪症候群向け保健指導の医療費抑制効果の分析]
保険者が実施している保健指導のうち、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)向けの保健指導(特定保健指導)を実施することによる医療費抑制効果を分析する場合について説明する。この場合、分析装置1は、保健指導情報21および被保険者情報22を参照して、被保険者を、該当保健指導を利用する被保険者と該当保健指導を利用しない被保険者に分類することができる。また、分析装置1は、被保険者情報22を参照して、被保険者を、「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」のいずれかに分類することができる。該当保健指導を利用する被保険者は、「積極的支援」または「動機付け支援」に分類される。
また、分析装置1は、被保険者を、内臓脂肪症候群が「改善」したか「悪化」したか「維持」したかのいずれかに分類することができる。ここで、内臓脂肪症候群の「改善」とは、健診情報23の健診結果(図4)のうち、内臓脂肪症候群でないと判定するための適正範囲を構成する健診結果項目について、対象年度(例:今年度)の前年度の健診結果項目の値が適正範囲外にあったが、対象年度の健診結果項目の値が適正範囲内に収まったことをいう。「内臓脂肪症候群でないと判定するための適正範囲」とは、設計事項であり、詳細な説明は省略する。例えば、空腹時血糖100mg/dl以上であること、中性脂肪が150mg/dlであること、収縮期血圧が130mmHg以上であること、のうち2つ以上が該当するとき、適正範囲外にあるいえるが、これに限定されない。
また、内臓脂肪症候群の「悪化」とは、健診情報23の健診結果(図4)のうち、内臓脂肪症候群でないと判定するための適正範囲を構成する健診結果項目について、対象年度(例:今年度)の前年度の健診結果項目の値が適正範囲内にあったが、対象年度の健診結果項目の値が適正範囲外に逸脱したことをいう。
また、内臓脂肪症候群の「維持」とは、健診情報23の健診結果(図4)のうち、内臓脂肪症候群でないと判定するための適正範囲を構成する健診結果項目について、対象年度(例:今年度)の前年度の健診結果項目の値が適正範囲内にあったとき、対象年度の健診結果項目の値も適正範囲内にあること、または、対象年度(例:今年度)の前年度の健診結果項目の値が適正範囲外にあったとき、対象年度の健診結果項目の値も適正範囲外にあることをいう。
図6の表に示すように、分析装置1は、該当保健指導を利用した被保険者(保健指導有りの被保険者)について、「悪化」に分類される被保険者の数、「改善」に分類される被保険者の数、「維持」に分類される被保険者の数を求めることができる。「悪化」、「改善」、「維持」の数は、健診情報23の健診日(図4)に基づいて、1年分の数として求めることができる。例えば、2016-2017年度(図6の例では、今年度とする)に注目すると、「悪化」の数が「22」となっている。この数値は、前年度である2015-2016年度では、健診結果項目の値が適正範囲内にあったが、2016-2017年度では、健診結果項目の値が適正範囲外に逸脱した被保険者の数を示す。
また、図6の表では、2016-2017年度の「改善」の数が「71」となっている。この数値は、前年度である2015-2016年度では、健診結果項目の値が適正範囲外にあったが、2016-2017年度では、健診結果項目の値が適正範囲内に収まった被保険者の数を示す。また、図6の表では、2016-2017年度の「維持」の数が「179」となっている。この数値は、前年度である2015-2016年度での健診結果項目の値も、2016-2017年度での健診結果項目の値も、適正範囲外または適正範囲内にある被保険者の数を示す。
分析装置1は、抽出部11によって、被保険者情報22で管理される被保険者のうち、該当保健指導を利用し、今年度は、内臓脂肪症候群が「改善」した被保険者(第1の被保険者の例)を抽出する。つまり、抽出部11で用いられる所定の抽出条件は、該当保健指導を利用し、今年度は、内臓脂肪症候群が「改善」したこととなる。抽出された被保険者は、将来重篤な疾病に至ることはない被保険者と扱うことができる。「将来」とは、例えば、7~8年後とすることができるがこれに限定されない。本実施形態では、説明の便宜上、内臓脂肪症候群に関する「将来」は7年後とする。また、「重篤な疾病」とは、内臓脂肪症候群に起因する疾病であり、例えば、動脈硬化、心筋梗塞があるがこれらに限定されない。
上記の抽出条件で抽出部11が抽出した被保険者は、該当保健指導を利用したことで将来の高額医療費の抑制に貢献した被保険者であるといえる。よって、抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者から、今年度より将来の抑制医療費を計算することができる。例えば、抑制医療費計算部12は、将来の抑制医療費を以下の式1で計算することができる。
該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費 =
(内臓脂肪症候群が「改善」した、「積極的支援」または「動機付け支援」に分類される被保険者の数)×M
・・・式1
Mは、1人の被保険者の1年間で受ける診療にかかる医療費とすることができる。例えば、生活習慣病10疾病に対する診療1回の医療費の平均値が\41,672であり、年間受診回数平均が6回であることが統計上知られていることに鑑みれば、M=\250,032(=\41,672×6)とすることができるが、Mの計算方法は、これに限定されない。
図6に示すように、2016-2017年度の「改善」の数が「71」であるので、式1により、2016-2017年度で得られた将来の抑制医療費は、約\1,775万(=71*\250,032)となる。よって、2023-2024年度の医療費において、約\1,775万の削減が見込まれ、該当保健指導による十分な医療費抑制効果があると判断することができる。その結果、該当保健指導を継続する必要性があると判断することができる。
また、分析装置1は、抽出部11によって、被保険者情報22で管理される被保険者のうち、該当保健指導を利用し、今年度は、内臓脂肪症候群が「悪化」した被保険者(第2の被保険者の例)を抽出する。つまり、抽出部11で用いられる所定の抽出条件は、該当保健指導を利用し、今年度は、内臓脂肪症候群が「悪化」したこととなる。抽出された被保険者は、将来重篤な疾病に至る可能性を持つ被保険者と扱うことができる。
上記の抽出条件で抽出部11が抽出した被保険者は、該当保健指導を利用しても将来の高額医療費の抑制への貢献を妨げる(反抑制)可能性を持つ被保険者であるといえる。よって、抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者から、今年度より将来の反抑制医療費を計算することができる。例えば、抑制医療費計算部12は、将来の反抑制医療費を以下の式2で計算することができる。
該当保健指導を利用したことによる将来の反抑制医療費 =
(内臓脂肪症候群が「悪化」した、「積極的支援」または「動機付け支援」に分類される被保険者の数)×M
・・・式2
図6に示すように、2016-2017年度の「悪化」の数が「22」であるので、式2により、2016-2017年度で得られた将来の反抑制医療費は、約\550万(=22*\250,032)となる。よって、2023-2024年度の医療費において、内臓脂肪症候群が「改善」した被保険者の数も考慮して、正味で約\1,225万(\1,775万-\550万)の削減が見込まれ、該当保健指導による十分な医療費抑制効果があると判断することができる。その結果、該当保健指導を継続する必要性があると判断することができる。
なお、医療費抑制効果を求める際、式2のように、将来の反抑制医療費を用いるか否かは任意である。また、前年度から内臓脂肪症候群が「維持」している被保険者は、将来重篤な疾病に至る可能性に変化が無いため、対象年度の抑制医療費にも反抑制医療費にも寄与しない。
図6の表に対し、各年度で得られる将来の抑制医療費および将来の反抑制医療費は、図7に示す棒グラフのようになる。図7の棒グラフの縦軸は、医療費(万)であるが、抑制医療費をマイナス値で示し、反抑制医療費をプラス値で示す。各棒グラフ中の金額は、式1、式2に基づく概算値である。
図7の棒グラフによれば、各年度に亘って、将来の抑制医療費を示すマイナス値が十分大きな値として得られている。よって、該当保健指導による十分な医療費抑制効果が継続して得られると判断することができる。その結果、該当保健指導を継続する必要性があると判断することができる。
また、図7の棒グラフによれば、各年度に亘って、将来の抑制医療費を示すマイナス値が、将来の反抑制医療費を示すプラス値よりも大きいため、該当保健指導による十分な医療費抑制効果が継続して得られると判断することができる。その結果、該当保健指導を継続する必要性があると判断することができる。
一方、比較例として、該当保健指導を利用しない被保険者についても抑制医療費および反抑制医療費を計算することができる。「該当保健指導を利用しない被保険者」は、いずれの保健指導を利用しない被保険者、または、該当保健指導以外の保健指導を利用する被保険者を意味する。該当保健指導を利用しない被保険者は、「積極的支援」、「動機付け支援」、または、「情報提供」のいずれかに分類される。
図8の表に示すように、分析装置1は、該当保健指導を利用しない被保険者(保健指導無しの被保険者)について、「悪化」に分類される被保険者の数、「改善」に分類される被保険者の数、「維持」に分類される被保険者の数を求めることができる。「悪化」、「改善」、「維持」の数は、健診情報23の健診日(図4)に基づいて、1年分の数として求めることができる。例えば、2016-2017年度(図8の例では、今年度とする)に注目すると、「悪化」の数が「1,265」、「改善」の数が「881」、「維持」の数が「17,558」となっている。
分析装置1は、抽出部11によって、被保険者情報22で管理される被保険者のうち、該当保健指導を利用せず、今年度は、内臓脂肪症候群が「改善」した被保険者を抽出することができる。つまり、抽出部11で用いられる所定の抽出条件は、該当保健指導を利用せず、今年度は、内臓脂肪症候群が「改善」したこととなる。抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者から、今年度より将来の抑制医療費を計算することができる。例えば、抑制医療費計算部12は、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費を以下の式3で計算することができる。
該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費 =
(内臓脂肪症候群が「改善」した、「積極的支援」、「動機付け支援」、または、「情報提供」のいずれかに分類される被保険者の数)×M
・・・式3
図8に示すように、2016-2017年度の「改善」の数が「881」であるので、式3により、2016-2017年度で得られた将来の抑制医療費は、約\22,028万(=881*\250,032)となる。
また、分析装置1は、抽出部11によって、被保険者情報22で管理される被保険者のうち、該当保健指導を利用せず、今年度は、内臓脂肪症候群が「悪化」した被保険者を抽出することができる。つまり、抽出部11で用いられる所定の抽出条件は、該当保健指導を利用せず、今年度は、内臓脂肪症候群が「悪化」したこととなる。抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者から、今年度より将来の反抑制医療費を計算することができる。例えば、抑制医療費計算部12は、該当保健指導を利用しないことによる将来の反抑制医療費を以下の式4で計算することができる。
該当保健指導を利用しないことによる将来の反抑制医療費 =
(内臓脂肪症候群が「悪化」した、「積極的支援」、「動機付け支援」、または、「情報提供」のいずれかに分類される被保険者の数)×M
・・・式4
図8に示すように、2016-2017年度の「悪化」の数が「1,265」であるので、式4により、2016-2017年度で得られた将来の反抑制医療費は、約\31,629万(=1,265*\250,032)となる。
図8の表に対し、各年度で得られる将来の抑制医療費および将来の反抑制医療費は、図9に示す棒グラフのようになる。図9の棒グラフの縦軸は、医療費(万)であるが、抑制医療費をマイナス値で示し、反抑制医療費をプラス値で示す。各棒グラフ中の金額は、式3、式4に基づく概算値である。
図9の棒グラフによれば、各年度に亘って、将来の抑制医療費を示すマイナス値よりも将来の反抑制医療費を示すプラス値が大きい。よって、該当保健指導を利用しないことで反抑制医療費が相当嵩んでいると判断することができる。このことは、該当保健指導が十分な医療費抑制効果をもたらすと示唆しているといえる。その結果、該当保健指導を継続する必要性があると判断することができる。
≪処理≫
次に、図10を参照して、分析装置1が実行する抑制医療費計算処理について説明する。特に、内臓脂肪症候群向け保健指導に対する抑制医療費計算処理について説明する。
図10に示すように、まず、分析装置1は、入力部によって、被保険者に対する所定の抽出条件を取得する(ステップS1)。本処理では、所定の抽出条件とは、例えば、該当保健指導を利用し、今年度は、内臓脂肪症候群が「改善」したこととすることができるが、これに限定されない。
次に、分析装置1は、抽出部11によって、取得した所定の抽出条件を満たす被保険者を抽出する(ステップS2)。具体的には、抽出部11は、保健指導情報21、被保険者情報22、および、健診情報23を参照して、該当保健指導を利用し、今年度の健診結果が前年度の健診結果と比較して「改善」したと認められる被保険者を特定し、特定した被保険者の数を求める。
最後に、分析装置1は、抑制医療費計算部12によって、抽出した被保険者に対して、将来の抑制医療費を計算する(ステップS3)。具体的には、抑制医療費計算部12は、式1によって、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費を計算することができるが、計算方法はこれに限定されない。
以上で、抑制医療費計算処理が終了する。
本実施形態によれば、該当保健指導による将来の医療費抑制効果を定量的に評価することができる。よって、該当保健指導を継続するか否かの判断の精度を向上させることができる。
なお、本実施形態において、抽出部11が、該当保健指導を利用し、今年度の健診結果が前年度の健診結果と比較して「悪化」したと認められる被保険者を特定し、抑制医療費計算部12が式2によって、該当保健指導を利用したことによる将来の反抑制医療費を計算し、将来の反抑制医療費を加味して、将来の抑制医療費を計算してもよい。
[レセプト情報を用いた将来の抑制医療費の計算]
抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者について、レセプト情報24を参照して、将来の抑制医療費を計算することができる。例えば、レセプト情報24から被保険者の疾病履歴(虫歯の治療、風邪などは除外可)を確認し、将来罹る可能性のある疾病を特定する技術が知られている。抑制医療費計算部12は、将来罹る可能性のある疾病の保険診療に対する医療費を計算することができる。よって、抑制医療費計算部12は、例えば、将来罹る可能性のある疾病の保険診療に対する医療費を、将来の反抑制医療費の一部として扱い、将来の抑制医療費を計算することができる。
[保健指導における各種シミュレーション]
つぎに、シミュレーション部13による、保健指導におけるシミュレーションについて2例説明する。まず、シミュレーションに用いるパラメータ[1]~[3]について説明する。保健指導は、シミュレーションの検証対象となる該当保健指導である。
(パラメータ[1]~[3]の説明)
[内臓脂肪症候群向け保健指導の医療費抑制効果の分析]の説明を踏まえると、被保険者は、以下の4通りに分類することができる。
・保健指導有り(利用)で、「改善」した被保険者(A人存在)
・保健指導無し(利用しない)で、「改善」した被保険者(B人存在)
・保健指導無し(利用しない)で、「維持」または「悪化」した被保険者(C人存在)
・保健指導有り(利用)で、「維持」または「悪化」した被保険者(D人存在)
シミュレーションで対象となる被保険者総数は、(A+B+C+D)人となる。被保険者総数は、過去数年分の平均値としてもよいし、直近の1年間(今年度)の数としてもよいが、これらに限定されない。また、保健指導を利用した被保健者数は、(A+D)人となる。保健指導を利用しない被保険者数は、(B+C)人となる。改善人数は、(A+B)人となる。
パラメータ[1]は、保健指導有りの改善率である。保健指導有りの改善率は、保健指導を利用した被保険者(A+D)人のうち、「改善」した被保険者A人を求める割合であり、A/(A+D)となる。しかし、保健指導を利用した被保険者(A+D)人が利用した保健指導の中身にはばらつきがあることを考慮し、被保険者(A+D)人の各々に重み付けをする。重み付けは、例えば、保健指導方法、保健指導利用資材の種類、利用回数、利用時間、専門職の実績などさまざまな要素を用いて決定することができるが、重み付けの具体的な計算方法は、周知であり、説明を省略する。よって、保健指導有りの改善率としてのパラメータ[1]を以下の式5で求めることができる。
パラメータ[1] = (A人の重み付け合計値)/((A+D)人の重み付け合計値)
・・・式5
なお、特定保健指導有りの改善率の全年度平均は、0.28であることが統計上知られている。本実施形態では、各種シミュレーション値を求めるために、式5で求めたパラメータ[1]で、保健指導有りの改善率:A/(A+D)を表現することとする。
パラメータ[2]は、保健指導無しの改善率である。保健指導無しの改善率は、保健指導を利用しない被保険者(B+C)人のうち、「改善」した被保険者B人の割合である。よって、保健指導無しの改善率としてのパラメータ[2]を以下の式6で求める。
パラメータ[2] = (B人)/(B+C)人
・・・式6
なお、特定保健指導無しの改善率の全年度平均は、0.04であることが統計上知られている。
パラメータ[3]は、改善人数(A+B)人に対し、保健指導有りで、「改善」した被保険者の数A人の割合である。つまり、パラメータ[3]を以下の式7で求める。
パラメータ[3] = (A人)/(A+B)人
・・・式7
シミュレーションに用いるパラメータは、パラメータ[1]~[3]に限らず、さまざまなパラメータを用いることができる。例えば、パラメータ[3]の代わりに、改善人数(A+B)人に対し、保健指導無しで、「改善」した被保険者の数B人の割合((B人)/(A+B)人)を用いてもよい。
[第1のシミュレーション]
第1のシミュレーションは、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(以下、単に、「将来の抑制医療費」と呼ぶ場合がある)を入力値とするシミュレーションである。第1のシミュレーションにおいて、被保険者総数(A+B+C+D)人を固定値として用いる。入力値としての、将来の抑制医療費は、例えば、前記した式1から計算することができる。
第1のシミュレーションでは、改善人数(A+B)人のシミュレーション値を以下の式8-1から求めることができる。
改善人数(A+B)人のシミュレーション値 = 抑制医療費/M
・・・式8-1
また、第1のシミュレーションでは、改善率(%)(「改善」した被保健者の割合)のシミュレーション値を以下の式8-2から求めることができる。
改善率(%)のシミュレーション値 =
{改善人数(A+B)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人}×100
・・・式8-2
また、第1のシミュレーションでは、保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値を以下の式8-3から求める。
保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値 =
(改善人数(A+B)人のシミュレーション値×パラメータ[3])/パラメータ[1]
・・・式8-3
パラメータ[3]の作用によって、(改善人数(A+B)人のシミュレーション値×パラメータ[3])から、保健指導有りで、「改善」した被保険者の数(A人)を算出することができる。また、パラメータ[1]の作用によって、算出したA人を割り戻すことで、保健指導を利用した被保健者数:(A+D)人を算出することができる。
また、第1のシミュレーションでは、保健指導利用率(%)(「保健指導を利用する被保健者の割合)のシミュレーション値を以下の式8-4から計算することができる。
保健指導利用率(%)(「保健指導を利用する被保健者の割合)のシミュレーション値=
(保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人)×100
・・・式8-4
式8-4によれば、入力値としての将来の抑制医療費が実績値であった場合、計算した保健指導利用率(%)を実績値として扱うことができ、(A+B+C+D)人の被保険者総数に対し、該当保健指導が実際に利用されている割合として評価することができる。また、入力値としての将来の抑制医療費が目標値であった場合、計算した保健指導利用率(%)を目標値として扱うことができる。よって、保健指導利用率(%)の実績値(保健指導情報21と、被保険者情報22と、健診情報23から統計的に求めることも可能)と、保健指導利用率(%)の目標値との差分を定量的に求めることができ、目標値としての将来の抑制医療費を達成するための数値目標を提示することができる。このような第1のシミュレーションで求めた保健指導利用率(%)のシミュレーション値は、医療費抑制のためのKPI(key performance indicator)指標となり得る。
[第2のシミュレーション]
第2のシミュレーションは、該当保健指導の保健指導利用率(%)を入力値とするシミュレーションである。第2のシミュレーションにおいて、被保険者総数(A+B+C+D)人を固定値として用いる。入力値としての、保健指導利用率(%)は、例えば、保健指導情報21と、被保険者情報22と、健診情報23から統計的に求めることができる。
第2のシミュレーションでは、保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値を以下の式9-1から求めることができる。
保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値 =
被保険者総数(A+B+C+D)人×保健指導利用率(%)
・・・式9-1
また、第2のシミュレーションでは、改善人数(A+B)人のシミュレーション値を以下の式9-2から求めることができる。
改善人数(A+B)人のシミュレーション値 =
(保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値×パラメータ[1])/パラメータ[3]
・・・式9-2
パラメータ[1]の作用によって、(保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値×パラメータ[1])から、保健指導有りで、「改善」した被保険者の数(A人)を算出することができる。また、パラメータ[3]の作用によって、算出したA人を割り戻すことで、改善人数:(A+B)人を算出することができる。
また、第2のシミュレーションでは、改善率(%)(「改善」した被保健者の割合)のシミュレーション値を以下の式9-3から求めることができる。
改善率(%)のシミュレーション値 =
{改善人数(A+B)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人}×100
・・・式9-3
また、第2のシミュレーションでは、将来の抑制医療費のシミュレーション値を以下の式9-4から計算することができる。
将来の抑制医療費のシミュレーション値=
改善人数(A+B)人のシミュレーション値×M
・・・式9-4
式9-4によれば、入力値としての保健指導利用率(%)が実績値であった場合、計算した将来の抑制医療費を期待値として扱うことができ、(A+B+C+D)人の被保険者総数に対する将来の抑制医療費として評価することができる。また、入力値としての保健指導利用率(%)が目標値であった場合、計算した、将来の抑制医療費を目標値として扱うことができる。よって、将来の抑制医療費の期待値(式1や式2から求めることも可能)と、将来の抑制医療費の目標値との差分を定量的に求めることができ、目標値としての保健指導利用率(%)を達成するための数値目標を提示することができる。このような第2のシミュレーションで求めた将来の抑制医療費のシミュレーション値は、医療費抑制のためのKPI(key performance indicator)指標となり得る。
≪その他≫
(a):保健指導無しの将来の抑制医療費について(図8、図9参照)、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費(式3)は、該当保健指導を利用しなくても医療費抑制効果を裏付けるものといえる。このため、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費(式3)の効果を差し引くようにして、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(式1)を求めてもよい。ただし、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(式1)の計算とは異なり、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費(式3)の計算は、大多数を占める「情報提供」の被保険者を考慮するため、双方で対象とする被保険者の数の相違に留意することが好ましい。
(b):保健指導無しの将来の抑制医療費について(図8、図9参照)、該当保健指導を利用しないことによる将来の反抑制医療費(式4)は、該当保健指導を利用したことによる医療費抑制効果を裏付けるものといえる(利用しなかったゆえに重症化し得る)。このため、該当保健指導を利用しないことによる将来の反抑制医療費(式4)の効果を加えるようにして、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(式1)を求めてもよい。ただし、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(式1)の計算とは異なり、該当保健指導を利用しないことによる将来の反抑制医療費(式4)の計算は、大多数を占める「情報提供」の被保険者を考慮するため、双方で対象とする被保険者の数の相違に留意することが好ましい。
(c):本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
(d):本実施形態で説明したソフトウェアをハードウェアとして実現することもでき、ハードウェアをソフトウェアとして実現することもできる。
(e):その他、ハードウェア、ソフトウェア、フローチャートなどについて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
1 分析装置
11 抽出部
12 抑制医療費計算部
13 シミュレーション部
21 保健指導情報(予防医療情報)
22 被保険者情報
23 健診情報
24 レセプト情報

Claims (4)

  1. 予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置であって、
    実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶する記憶部と、
    前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出する抽出部と、
    前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算する抑制医療費計算部と、を備える、
    ことを特徴とする分析装置。
  2. 前記抽出部が、前記該当予防医療を利用し、悪化した第2の被保険者を抽出し、
    前記抑制医療費計算部が、前記第2の被保険者に対する、前記該当予防医療を利用したことによる将来の反抑制医療費を、(前記第2の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用しても悪化した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算し、前記将来の反抑制医療費を加味して、前記将来の抑制医療費を計算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
  3. 前記抑制医療費計算部が計算した将来の抑制医療費を入力値とし、(1)予防医療を利用して改善した被保険者の数(A人)、(2)予防医療を利用しないで改善した被保険者の数(B人)、(3)予防医療を利用して維持または悪化した被保険者の数(C人)、(4)予防医療を利用しないで維持または悪化した被保険者の数(D人)の少なくともいずれかで作成可能なパラメータを用いて該当予防医療の予防医療利用率のシミュレーションを実行するシミュレーション部、をさらに備え、
    前記パラメータが、第1パラメータ=(A人の重み付け合計値)/((A+D)人の重み付け合計値)、第2パラメータ=(A人)/(A+B)人、であり、
    前記シミュレーション部は、
    改善人数(A+B)人のシミュレーション値を、前記将来の抑制医療費/(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として求め、
    該当予防医療を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値を、(改善人数(A+B)人のシミュレーション値×第2パラメータ)/第1パラメータとして求め、
    前記予防医療利用率のシミュレーション値を、該当予防医療を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人)×100として計算する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分析装置。
  4. 予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置における分析方法であって、
    前記分析装置は、
    実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶しており、
    前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出するステップと、
    前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算するステップと、を実行する、
    ことを特徴とする分析方法。
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