JP7296269B2 - 分析装置および分析方法 - Google Patents
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Description
予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置であって、
実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶する記憶部と、
前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出する抽出部と、
前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算する抑制医療費計算部と、を備える、
ことを特徴とする。
予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置における分析方法であって、
前記分析装置は、
実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶しており、
前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出するステップと、
前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算するステップと、を実行する、
ことを特徴とする。
その他の発明については、後記する。
本実施形態では、1保険者(例:全国健康保険協会、健康保険組合)に加入する被保険者のうち、特定健診(特定健康診査)を受診した被保険者を対象にして説明する。しかし、本実施形態は、1保険者に限定されず、複数の保険者を対象にすることもできるし、特定健診を受診した被保険者以外の被保険者を対象にすることもできる。
図1に示す本実施形態の分析装置1は、入力部、出力部、制御部、および記憶部といったハードウェアを含むコンピュータである。例えば、制御部がCPU(Central Processing Unit)から構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現される。また、そのコンピュータが含む記憶部は、CPUの指令により、そのコンピュータの機能を実現するためのさまざまなプログラムを記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。前記プログラムは、記録媒体に記録したり、ネットワークを経由したりすることで提供することができる。
保健指導情報21は、保険者が実施する保健指導の管理情報である。図2に示すように、保健指導情報21は、「保健指導ID」といった欄を有し、保健指導ごとにエントリが作成される。
被保険者情報22は、保険者に加入する被保険者の管理情報である。図3に示すように、被保険者情報22は、「被保険者ID」と、「保健指導ID」と、「必要性」といった欄を有し、被保険者ごとにエントリが作成される。
「保健指導ID」の欄には、被保険者が加入する保険者が実施する保健指導の識別子が格納される。被保険者が保健指導を利用している場合、被保険者情報22の「保健指導ID」には保健指導情報21の「保健指導ID」(図2)の値が格納される。被保険者が保健指導を利用していない場合、「保健指導ID」の項目には「なし」の値が格納される。
「必要性」の欄には、被保険者が自身の健康状態に応じて保健指導を受けることの要求度が格納される。「必要性」の項目には、例えば、特定健診で定められる、「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」が登録されるがこれらに限定されない。
なお、被保険者情報22が有する欄は、「被保険者ID」と、「保健指導ID」と、「必要性」とに限定されず、例えば、被保険者の年齢、性別など他の項目を有してもよい。
健診情報23は、保険者に加入する被保険者が受診した健診の管理情報である。図4に示すように、健診情報23は、「健診ID」と、「被保険者ID」と、「健診日」と、「健診結果」といった欄を有し、健診ごとにエントリが作成される。
「被保険者ID」の欄には、被保険者の識別子が格納される。健診情報23の「被保険者ID」は、被保険者情報22の「被保険者ID」に関連付けられている。
「健診日」の欄には、該当の健診が行われた年月日が格納される。
「健診結果」の欄には、被保険者が受診した健診の結果が格納される。健診結果としては、例えば、質問票(服薬歴、喫煙歴等)、身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)、理学的検査(身体診察)、血圧測定、血液検査(脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、血糖検査(空腹時血糖又はHbA1c)、肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP))、検尿(尿糖、尿蛋白)の結果が含まれるがこれらに限定されない。
なお、健診情報23が有する欄は、「健診ID」と、「被保険者ID」と、「健診日」と、「健診結果」とに限定されず、他の項目を有してもよい。
レセプト情報24は、保険者に加入する被保険者が受診した保険診療のレセプトの管理情報である。図5に示すように、レセプト情報24は、「レセプトID」と、「被保険者ID」と、「診療日」と、「疾病名」と、「医療費」といった欄を有し、レセプトごとにエントリが作成される。
「被保険者ID」の欄には、被保険者の識別子が格納される。レセプト情報24の「被保険者ID」は、被保険者情報22の「被保険者ID」に関連付けられている。
「診療日」の欄には、該当の診療が行われた年月日が格納される。
「疾病名」の欄には、被保険者が該当の診療を受けたときの疾病の名称が格納される。
「医療費」の欄には、該当の診療にかかった費用が格納される。
なお、レセプト情報24が有する欄は、「レセプトID」と、「被保険者ID」と、「診療日」と、「疾病名」と、「医療費」とに限定されず、他の項目を有してもよい。
抽出部11は、被保険者情報22で管理される被保険者のうち所定の抽出条件を満たす被保険者を抽出する。所定の抽出条件は、例えば、分析装置1の入力部から入力することができるが、これに限定されない。
抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者に対して、将来に抑制されることが見込まれる医療費を抑制医療費として計算する。
シミュレーション部13は、将来の医療費抑制に関するさまざまな入力値を用いたシミュレーションを実行する。
保険者が実施している保健指導のうち、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)向けの保健指導(特定保健指導)を実施することによる医療費抑制効果を分析する場合について説明する。この場合、分析装置1は、保健指導情報21および被保険者情報22を参照して、被保険者を、該当保健指導を利用する被保険者と該当保健指導を利用しない被保険者に分類することができる。また、分析装置1は、被保険者情報22を参照して、被保険者を、「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」のいずれかに分類することができる。該当保健指導を利用する被保険者は、「積極的支援」または「動機付け支援」に分類される。
また、内臓脂肪症候群の「維持」とは、健診情報23の健診結果(図4)のうち、内臓脂肪症候群でないと判定するための適正範囲を構成する健診結果項目について、対象年度(例:今年度)の前年度の健診結果項目の値が適正範囲内にあったとき、対象年度の健診結果項目の値も適正範囲内にあること、または、対象年度(例:今年度)の前年度の健診結果項目の値が適正範囲外にあったとき、対象年度の健診結果項目の値も適正範囲外にあることをいう。
(内臓脂肪症候群が「改善」した、「積極的支援」または「動機付け支援」に分類される被保険者の数)×M
・・・式1
(内臓脂肪症候群が「悪化」した、「積極的支援」または「動機付け支援」に分類される被保険者の数)×M
・・・式2
(内臓脂肪症候群が「改善」した、「積極的支援」、「動機付け支援」、または、「情報提供」のいずれかに分類される被保険者の数)×M
・・・式3
(内臓脂肪症候群が「悪化」した、「積極的支援」、「動機付け支援」、または、「情報提供」のいずれかに分類される被保険者の数)×M
・・・式4
次に、図10を参照して、分析装置1が実行する抑制医療費計算処理について説明する。特に、内臓脂肪症候群向け保健指導に対する抑制医療費計算処理について説明する。
以上で、抑制医療費計算処理が終了する。
なお、本実施形態において、抽出部11が、該当保健指導を利用し、今年度の健診結果が前年度の健診結果と比較して「悪化」したと認められる被保険者を特定し、抑制医療費計算部12が式2によって、該当保健指導を利用したことによる将来の反抑制医療費を計算し、将来の反抑制医療費を加味して、将来の抑制医療費を計算してもよい。
抑制医療費計算部12は、抽出部11が抽出した被保険者について、レセプト情報24を参照して、将来の抑制医療費を計算することができる。例えば、レセプト情報24から被保険者の疾病履歴(虫歯の治療、風邪などは除外可)を確認し、将来罹る可能性のある疾病を特定する技術が知られている。抑制医療費計算部12は、将来罹る可能性のある疾病の保険診療に対する医療費を計算することができる。よって、抑制医療費計算部12は、例えば、将来罹る可能性のある疾病の保険診療に対する医療費を、将来の反抑制医療費の一部として扱い、将来の抑制医療費を計算することができる。
つぎに、シミュレーション部13による、保健指導におけるシミュレーションについて2例説明する。まず、シミュレーションに用いるパラメータ[1]~[3]について説明する。保健指導は、シミュレーションの検証対象となる該当保健指導である。
[内臓脂肪症候群向け保健指導の医療費抑制効果の分析]の説明を踏まえると、被保険者は、以下の4通りに分類することができる。
・保健指導有り(利用)で、「改善」した被保険者(A人存在)
・保健指導無し(利用しない)で、「改善」した被保険者(B人存在)
・保健指導無し(利用しない)で、「維持」または「悪化」した被保険者(C人存在)
・保健指導有り(利用)で、「維持」または「悪化」した被保険者(D人存在)
・・・式5
なお、特定保健指導有りの改善率の全年度平均は、0.28であることが統計上知られている。本実施形態では、各種シミュレーション値を求めるために、式5で求めたパラメータ[1]で、保健指導有りの改善率:A/(A+D)を表現することとする。
・・・式6
なお、特定保健指導無しの改善率の全年度平均は、0.04であることが統計上知られている。
・・・式7
第1のシミュレーションは、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(以下、単に、「将来の抑制医療費」と呼ぶ場合がある)を入力値とするシミュレーションである。第1のシミュレーションにおいて、被保険者総数(A+B+C+D)人を固定値として用いる。入力値としての、将来の抑制医療費は、例えば、前記した式1から計算することができる。
改善人数(A+B)人のシミュレーション値 = 抑制医療費/M
・・・式8-1
改善率(%)のシミュレーション値 =
{改善人数(A+B)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人}×100
・・・式8-2
保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値 =
(改善人数(A+B)人のシミュレーション値×パラメータ[3])/パラメータ[1]
・・・式8-3
保健指導利用率(%)(「保健指導を利用する被保健者の割合)のシミュレーション値=
(保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人)×100
・・・式8-4
第2のシミュレーションは、該当保健指導の保健指導利用率(%)を入力値とするシミュレーションである。第2のシミュレーションにおいて、被保険者総数(A+B+C+D)人を固定値として用いる。入力値としての、保健指導利用率(%)は、例えば、保健指導情報21と、被保険者情報22と、健診情報23から統計的に求めることができる。
保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値 =
被保険者総数(A+B+C+D)人×保健指導利用率(%)
・・・式9-1
改善人数(A+B)人のシミュレーション値 =
(保健指導を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値×パラメータ[1])/パラメータ[3]
・・・式9-2
改善率(%)のシミュレーション値 =
{改善人数(A+B)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人}×100
・・・式9-3
将来の抑制医療費のシミュレーション値=
改善人数(A+B)人のシミュレーション値×M
・・・式9-4
(a):保健指導無しの将来の抑制医療費について(図8、図9参照)、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費(式3)は、該当保健指導を利用しなくても医療費抑制効果を裏付けるものといえる。このため、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費(式3)の効果を差し引くようにして、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(式1)を求めてもよい。ただし、該当保健指導を利用したことによる将来の抑制医療費(式1)の計算とは異なり、該当保健指導を利用しないことによる将来の抑制医療費(式3)の計算は、大多数を占める「情報提供」の被保険者を考慮するため、双方で対象とする被保険者の数の相違に留意することが好ましい。
(d):本実施形態で説明したソフトウェアをハードウェアとして実現することもでき、ハードウェアをソフトウェアとして実現することもできる。
(e):その他、ハードウェア、ソフトウェア、フローチャートなどについて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
11 抽出部
12 抑制医療費計算部
13 シミュレーション部
21 保健指導情報(予防医療情報)
22 被保険者情報
23 健診情報
24 レセプト情報
Claims (4)
- 予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置であって、
実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶する記憶部と、
前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出する抽出部と、
前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算する抑制医療費計算部と、を備える、
ことを特徴とする分析装置。 - 前記抽出部が、前記該当予防医療を利用し、悪化した第2の被保険者を抽出し、
前記抑制医療費計算部が、前記第2の被保険者に対する、前記該当予防医療を利用したことによる将来の反抑制医療費を、(前記第2の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用しても悪化した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算し、前記将来の反抑制医療費を加味して、前記将来の抑制医療費を計算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。 - 前記抑制医療費計算部が計算した将来の抑制医療費を入力値とし、(1)予防医療を利用して改善した被保険者の数(A人)、(2)予防医療を利用しないで改善した被保険者の数(B人)、(3)予防医療を利用して維持または悪化した被保険者の数(C人)、(4)予防医療を利用しないで維持または悪化した被保険者の数(D人)の少なくともいずれかで作成可能なパラメータを用いて該当予防医療の予防医療利用率のシミュレーションを実行するシミュレーション部、をさらに備え、
前記パラメータが、第1パラメータ=(A人の重み付け合計値)/((A+D)人の重み付け合計値)、第2パラメータ=(A人)/(A+B)人、であり、
前記シミュレーション部は、
改善人数(A+B)人のシミュレーション値を、前記将来の抑制医療費/(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として求め、
該当予防医療を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値を、(改善人数(A+B)人のシミュレーション値×第2パラメータ)/第1パラメータとして求め、
前記予防医療利用率のシミュレーション値を、該当予防医療を利用した被保険者数(A+D)人のシミュレーション値/被保険者総数(A+B+C+D)人)×100として計算する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分析装置。 - 予防医療の医療費抑制効果を分析する分析装置における分析方法であって、
前記分析装置は、
実施する予防医療の管理情報となる予防医療情報、前記予防医療を利用する被保険者の管理情報となる被保険者情報、および、前記被保険者が受診した健診の管理情報となる健診情報を記憶しており、
前記予防医療情報、前記被保険者情報、および、前記健診情報を参照して、該当予防医療を利用し、改善した第1の被保険者を抽出するステップと、
前記第1の被保険者に対し、前記該当予防医療を利用したことによる将来の抑制医療費を、(前記第1の被保険者の数)×(1人の被保険者の1年間で受ける予防医療を利用することで改善した健診結果項目に起因する疾病に対する診療にかかる医療費)として計算するステップと、を実行する、
ことを特徴とする分析方法。
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