JP2015088723A - キャパシタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高容量かつ安定的な供給の可能な電気化学キャパシタ及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一観点にかかる電気化学キャパシタは、対向する一対の電極と、前記一対の電極の少なくとも一方に形成される銀ナノ構造物と、前記一対の電極の間に充填される電解液と、を有することを特徴とする。この場合において、限定されるわけではないが、銀ナノ構造物としては、銀ナノワイヤーであることが好ましい。また、本発明の他の一観点にかかる電気化学キャパシタの製造方法は、電極上に銀ナノ構造物を形成することを特徴とする。この場合において、限定されるわけではないが、銀ナノ構造物としては、銀ナノワイヤーであることが好ましい。【選択図】 図1
Description
本発明は、キャパシタ及びその製造方法に関し、より具体的には電気化学キャパシタ及びその製造方法に関する。
近年、環境問題に対する取り組みが重要となってきており、より環境への負担が軽く効率のよい電源が求められてきている。この要望に寄与すると期待される一つの技術として、電気化学キャパシタがある。電気化学キャパシタとは、電気化学的な作用を用いて電荷を蓄積、出力するためのデバイスであり、代表的なものとして電気二重層キャパシタ、さらに最近新たに提案されてきているものとしてレドックスキャパシタがある。
電気二重層キャパシタとは、一対の電極とこの一対の電極の間に配置される電解液とを有し、電解液と電極の界面において生じるイオンの吸着(非ファラデー反応)により形成される電気二重層を利用して電荷を蓄積することのできるキャパシタであり、非常に大きな比表面積を有する炭素材料等を電極として用いることで大容量化が可能であり、大きく期待されている。
一方、レドックスキャパシタとは、活物質の複数の連続的なレドックス(酸化還元)反応により発現する疑似容量を利用して電荷を蓄積することのできるキャパシタであり、上記の電気二重層キャパシタよりも大容量で、かつ、電池よりも瞬時充放電特性に優れているといった利点があり、より期待されてきている。
ところで上記電気化学キャパシタとしては、例えば下記特許文献1に記載の技術がある。
確かに、上記特許文献1の技術は電気化学キャパシタの提案として有用である。しかしながら、上記技術はレアメタルを用いるものであり安定的な供給において課題がある。また、その容量においても改善すべき余地はある。
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、より高容量かつ安定的な供給の可能な電気化学キャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一観点にかかるキャパシタは、対向する一対の電極と、一対の電極の少なくとも一方に形成される銀ナノ構造物と、一対の電極の間に充填される電解液と、を有する。
また、上記課題を解決する本発明の他の一観点にかかるキャパシタの製造方法は、電極上に銀ナノ構造物を形成する工程を備える。
以上、本発明によると、より高容量かつ安定的な供給の可能な電気化学キャパシタ及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載された例示にのみ限定されるものではない。
(実施形態1)
図1に、本実施形態に係る電気化学キャパシタ11は、対向する一対の電極2a、2bと、一対の電極の少なくとも一方に形成される銀ナノ構造物3と、一対の電極の間に充填される電解液4と、を有することを特徴の一つとする。
図1に、本実施形態に係る電気化学キャパシタ11は、対向する一対の電極2a、2bと、一対の電極の少なくとも一方に形成される銀ナノ構造物3と、一対の電極の間に充填される電解液4と、を有することを特徴の一つとする。
本実施形態に係る一対の電極2a、2bは、導電性を有し、電解液を保持する機能を有するものであり、材質としては限定されるわけではないが、導電性の板や絶縁性の板の上に導電性の膜を配置したものを例示することができる。導電性の板の例としては、例えば金属板、カーボン板を例示することができ、絶縁性の板の上に導電性の膜を配置したものとしては、ガラス、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム等の絶縁性の板の上に、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ATO(アルミニウムドープ酸化スズ)、GTO(ガリウムドープ酸化スズ)等の導電性の膜を配置したものを例示することができる。なお、生産性、機械的強度、価格、軽量性の観点からは、金属板又はITOであることが好ましい。
また一対の電極2a、2bの間の距離は、充放電反応が可能である限りにおいて限定されるわけではないが、10μm以上5cm以下であることが好ましく、100μm以上1cm以下であることがより好ましい。10μm以上とすることで充放電の電気化学反応を生じさせるための電気二重層の十分な成長を行わせることができ、5cm以下とすることで軽量・コンパクト化が可能となる。
本実施形態に係る銀ナノ構造物3は、実電極面積を拡大することができるよう形成されるものである。銀ナノ構造物としては、電極面積を拡大できる限りにおいて限定されるわけではないが、銀ナノワイヤー、銀ナノデンドライト、ポーラス銀、銀ナノ・マイクロビーズ等を例示することができ、より大きな実表面積を形成できる観点からは銀ナノワイヤーであることがより好ましい。銀ナノ構造物の形成される量としては、十分な実表面積が得られる限りにおいて限定されず、例えば10μg/cm2以上1g/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは50μg/cm2以上500mg/cm2以下である。
また、本実施形態に係る銀ナノ構造物は、一方の電極にのみ形成されていてもよいが、両方の電極上に形成されていても良い。
また本実施形態に係る電解液は、イオン伝導による電流が流れる媒体であって、限定されるわけではないが、少なくとも溶媒と支持電解質から成る液体電解質、ゲル電解質又は固体電解質である。
また本実施形態に係る電解液における溶媒としては、支持電解質を保持し、かつイオンに解離することができるものであり、この限りにおいて限定されるわけではないが、例えば水、有機溶媒、ゲル状物質、固体電解質を例示することができ、作動電圧の拡大、従ってエネルギー密度の向上の観点からはアセトニトリル、プロピレンカーボネート、N―メチルピロリドン、γ―ブチロラクトン等の有機溶媒であることがより好ましい。
また本実施形態に係る電解液における支持電解質は、媒体中でイオンに解離しイオン伝導を発現することができるものであり、この限り限定されるわけではないが、例えば溶媒として水を用いた場合、LiCl、LiBr、Li2SO4、LiOH、LiClO4、NaCl、NaBr、Na2SO4、NaOH、NaClO4、KCl、KBr、K2SO4、KOH、KClO4、(C2H5)4NOHを挙げることができ、溶媒として有機溶媒を用いた場合、(C2H5)4NClO4、(C2H5)4NBF4、(C2H5)4NPF6、(C4H9)4NClO4、(C4H9)4NBF4、(C4H9)4NPF6、LiClO4、NaClO4、KClO4、(C4H9)4NOHを挙げることができる。銀ナノワイヤーあるいは酸化銀ナノワイヤーと水系の溶媒を組み合わせたキャパシタを形成する場合、銀及び酸化銀の化学的安定性の観点からはLiOH、NaOH、KOH、(C2H5)4NOH及び(C4H9)4NOHであることが好ましい。支持電解質の含まれる量としては、上記機能を奏することができる限りにおいて限定されるわけではないが、溶媒の重量を100重量部とした場合に、0.0002重量部以上300重量部以下であることが好ましく、0.002重量部以上40重量部以下であることがより好ましい。0.0002重量部以上とすることで充放電電気化学反応における電気二重層の形成を十分に行うことが可能となり、300重量部以下とすることで電解液中におけるイオンの移動をスムースに行うことができ、充放電に必要となる時間を短縮することが可能となる。
そして、本実施形態に係る電気化学キャパシタは、外部の駆動装置と接続され、一対の電圧を印加されて電荷を蓄積すると共に、短絡することで蓄積電荷を放出することができる。印加する電圧としては、充電が可能であり、材料の分解電圧を越えない限りにおいて限定されるわけではないが、電極間の電界にして0.05V/cm以上10000V/cm以下であることが好ましく、より好ましくは10V/cm以上1000V/cm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る電気化学キャパシタは、電極上に銀ナノ構造体を配置することで、電極の実表面積が拡大し、かつ銀ナノ構造物表面は可逆的な電気化学的酸化反応(充電)及び還元反応(放電)を受けるために、より安定的な充放電特性を発現する、より高エネルギーかつ高出力の電気化学キャパシタとなる。本実施形態に係る電気化学キャパシタは、銀ナノ構造物表面で生じる可逆的な電気化学酸化還元反応を利用するので、レドックスキャパシタに分類される。
次に、本実施形態に係る電気化学キャパシタの製造方法について説明する。本実施形態に係る電気化学キャパシタの製造方法は、一対の電極の少なくとも一方の電極上に銀ナノ構造物を形成する工程を有する。
電極上に銀ナノ構造物を形成する工程は、これに限定されるわけではないが、銀化合物及び支持電解質を溶解したアンモニア水溶液に電極を浸し、電解還元反応を起こすことによって行うことができる。銀化合物の例としては、電極上に銀ナノ構造物を形成できるよう銀イオンを供給できるものである限りにおいて限定されるわけではないが、水に溶解しやすい化合物であることが好ましく、例えば硝酸銀やフッ化銀(I)等を例示することができるがこれに限定されるものではない。また支持電解質は、銀の電解析出を妨げない限りにおいて限定されるわけではないが、例えばLiCl、LiBr、Li2SO4、LiOH、LiClO4、NaCl、NaBr、Na2SO4、NaOH、NaClO4、KCl、KBr、K2SO4、KOH、KClO4、(C2H5)4NOH及びそれらの水和物を挙げることができ、大きな実表面積を有する銀ナノ構造物を形成する観点からは硫酸リチウムであることがより好ましい。
水溶液に含まれる銀化合物の量としては、上記工程を行うことができる限りにおいて限定されるわけではないが、水100重量部に対して、0.001重量部以上50重量部以下であることが好ましく、0.02重量部以上10重量部以下であることがより好ましい。0.001重量部以上とすることでナノ構造体形成による電極実表面積拡大が可能となり、50重量部以下とすることでナノ構造体の密集による実表面積低下を抑制することが可能となる。
また水溶液に含まれる支持電解質の量としても、上記工程を行うことができる限りにおいて限定されるわけではないが、水の重量を100重量部とした場合に、0.01重量部以上300重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上40重量部以下であることがより好ましい。0.01重量部以上とすることで充放電電気化学反応における電気二重層の形成を十分に行うことが可能となり、300重量部以下とすることで電解液中におけるイオンの移動をスムースに行うことができ、ナノ構造形成に必要となる時間を短縮することが可能となる。
本実施形態に係る電解還元は、電極上に銀ナノ構造物を形成することができる限りにおいて限定されるわけではないが、一定電位の電位を印加する定電位電解還元であることは好ましい。また、電解還元は、2枚の電極のみを利用する2電極式セルを用いた電解によっても参照電極を用いた3電極式セルを用いた電解還元によっても実施できるが、電極の電位を正確に規定するためには3電極式セルを用いた場合の方が好ましく、大量生産による製品化という観点からは2電極式セルであることが好ましい。なお、3電極式セルを用いた場合において参照電極としては、汎用される参照電極であれば用いることができ、例えば、飽和カロメル電極(SCE)、銀/塩化銀電極、標準水素電極(SHE)などが好適に使用される。またこの際における電位としては、例えば参照電極にSCEを用いた場合には、電極に−0.5V〜−2V vs.SCEの電位を印加することが好ましく、より好ましくは−0.8V〜−1.5V vs.SCEの電位範囲である。なお電解還元を行う時間としても、限定されるわけではないが、上記の望ましい電解の範囲下で0.1秒以上10時間以下行うことが好ましく、より好ましくは1秒以上1時間以下である。またこの温度としても、限定されるわけではないが、−10℃以上100℃以下の範囲であることが好ましく、0℃以上40℃以下であることがより好ましい。
また、本実施形態では、更に、他の電極を準備し、この銀ナノ構造体が形成された電極と対向して配置させると共に電解液をこの間に充填させる。一対の電極の間に電解液を充填させる方法としては、周知の方法を採用でき限定されるわけではないが、例えば一対の電極の間に表面張力を用いて電解液を注入する方法を採用することもできるし、電解質を含んだ多孔質の絶縁性のスペーサを間に配置することもできる。
以上、本実施形態により高エネルギー、高出力の電気化学キャパシタ及びその製造方法を提供することができる。
以下、上記実施形態において説明した電気化学キャパシタ電極について、実際に作製し、その効果を確認した。以下に説明する。
まず、銀化合物濃度5mM、アンモニア水濃度を0.5M、硫酸リチウム0.1Mとした電解液を調整して電解セルに充填し、スターラーにて撹拌した。電解セルの構造について図2に示しておく。
セルは円柱形の主室5と円柱形の副室6からなり、G4ガラスフィルター9で隔てられている。主室5には動作電極7(上記作製した膜を備えた電極)と対向電極8(白金板)が浸漬されている。一方、副室6には、KCl溶液10が入っており、参照電極(飽和カロメル電極,SCE)11へとつながるKCl塩橋12が浸漬されている。なお図中13は窒素ガス入り口である。
電解セルの動作電極には酸化インジウムスズがコートされたガラス基板(ITO基板、 ITO層の厚み:170nm)、対向電極には電気化学的活性の低い白金板、参照電極には飽和カロメル電極(SCE、TOA Electronics HC−205C)を用いた。動作電極の電解液への浸漬面積は1.0×1.0cm2とした。また、SCEの汚染を防ぐためガラスフィルターを配し、さらに塩橋を経由して電位の基準をとった。
そして、電極にポテンシオスタットを接続し、動作電極に電位を印加した。その際の通電電気量は2.0C/cm2とした。この操作により動作電極上に銀ナノワイヤー群からなる白色の薄膜が形成された。この写真図を図3に示しておく。
電位印加後、堆積した膜を試料溶液から慎重に取り出し、付着した銀化合物および支持電解質を除去するため注意深く水洗し、自然乾燥した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM、TOPCON ABT−32)を用いて拡大観察を行った。この結果を図4乃至図6に示しておく。なお図4は、電解電位を−1.4V、図5は電解電位を−1.45V、図6は電解電位を−1.5Vにしたときの結果をそれぞれ示す。
上記の結果に基づくと、電解電位−1.4Vではアスペクト比、表面平滑性ともに低いワイヤーが形成された。一方、電解電位−1.5Vでは電位が高すぎ、副反応の水や基板の電解が起こっているように見え、核とワイヤーが混在したものとなった。電解電位−1.45Vで最も高品質なワイヤーが形成された。水や基板の電解が起こらない範囲で、反応速度が最も速いのが−1.45Vであったと推察された。
次に銀化合物の濃度によって形成されるワイヤー形状の違いを検討した。今回の実験条件として、電解電位−1.45Vのものを基準に作製、検討した。銀化合物濃度は1mM、5mM、10mMのいずれかに変えて観察を行った。そのSEM像を図7乃至図9に示しておく。
この結果、銀化合物の濃度1mMのとき、アスペクト比、表面平滑性ともに低いワイヤーが形成された。一方、銀化合物の濃度10mMのとき、アスペクト比の低いワイヤーが形成された。一方、錯体濃度5mMのとき、最も高品質なワイヤーが得られた。この結果濃度5mMで、ナノワイヤーの成長速度とワイヤー側面へのNH3の吸着量がバランスされたと考えられる。
また、アンモニア水濃度によって形成されるワイヤー形状の違いを検討した。実験条件として、電解電位−1.45V、銀化合物濃度5mMとした。アンモニア水濃度は0.25M、0.5M又は2Mとした。そのSEM像を図10乃至12に示す。
アンモニア水濃度0.25Mのとき、アスペクト比の低いワイヤーが形成された。一方、アンモニア水濃度0.5Mの場合と、アンモニア水濃度2Mの場合は、高品質なワイヤーが形成された。アンモニア水濃度0.5M〜2Mの範囲ではいずれの濃度でも、同様に高品質なワイヤーが形成された。したがって、コストの面から考えて濃度0.5M程度が最適値であると考えられる。アンモニア水濃度が低い場合は、ワイヤー側面へのNH3吸着量が不十分だったため、1次元成長が進みにくいと考えられる。
上記の結果、最も高品質なワイヤーは電解電位−1.45V、銀化合物の濃度5mM、アンモニア水濃度0.5Mの条件で形成されることがわかった。また、形成されたナノワイヤーはワイヤー形状のものとデンドライト形状のものとの混合物である。この条件下で形成されたナノワイヤーのSEM像を図13乃至図15に示す。
この結果、最適条件下において形成されたナノワイヤーは、ワイヤー形状のものが平均径150nm、平均長8μm、アスペクト比53、デンドライト形状のものの茎部が平均径100nm、平均長16μm、アスペクト比160、デンドライト形状のものの枝部が平均径150nm、平均長6μm、アスペクト比40であった。
次に、銀ナノ構造物を用いたキャパシタ特性の測定を行った。具体的には、サイクリックボルタンメトリー(CV)による検討、ガルバノスタットを用いた定電流充放電による検討からそれぞれのパラメーターを求めた。
一般に、平行平板キャパシタに蓄積される静電エネルギーはWp=(1/2)CtV2で表される。ここでCtはキャパシタの静電容量、Vは両極間の最大の電位差(作動電圧)である。しかしながら、例えば両極に同じ電極を用いた電気化学キャパシタは 電極 || 電解液 || 電極というように、2組のキャパシタが直列に配列した形態をとっており、しかも各電極は図16で示されるように振る舞うので、各電極当たりの静電容量をCとするとCt=(1/4)C、すなわちWp=(1/8)CV2となる(なお、ここで電極がふたつあるために重量が倍となり、Cが単位重量当たりの容量であるため、単純な足し合わせで1/Ct=1/C+1/CからCt=(1/2)Cとはならない)。例えばC=200F/gの電極にて作製したキャパシタの電位窓が1.0Vであったとすると、Wp =(1/8)(200)(1.0)2=25kJ/kg、単位を換えれば(25,000/3600)=7Wh/kgとなる。
ところでキャパシタは定電圧源に繋いで充電すると一時的に短絡状態になってしまうため通常定電流源を用いて充放電する。したがって、特に定電流法による充放電挙動の検討は重要である。ここで、疑似容量を利用したキャパシタの等価回路は図17のように表すことができる。本実施例における電極の幾何学的な面積1cm2あたりの実表面積はおよそ50cm2程度である。電気二重層は1cm2あたり20μF程度の電荷を貯蔵できるため、本実施例で用いる電極の電気二重層容量Cdlは1mF程度と見積もることができる。この値は後に示す疑似容量Cf(幾何学的な面積1cm2あたり20〜200mF)と比較すると十分小さいため、実用上無視することができ容量C=Cf のキャパシタと内部抵抗r(=Rs+Re)が直列につながったモデルと捉えることができる。したがって定電流による充放電を行った場合の電圧経時変化は以下のように示すことができる。
したがって充放電時における電圧と時間の関係を記録すれば、その傾きからCを求めることができる。また充電開始時や放電開始時における、内部抵抗による電圧上昇・降下からはrを求めることができる。ここでは放電時における傾きから静電容量を、放電時における電圧降下から内部抵抗をそれぞれ求めた。
また上述したように、理想的なキャパシタのエネルギー密度はW=(1/2)CV2で表されるが、本実施例におけるキャパシタは内部抵抗が無視できないほど大きいため、より正確な値を以下の計算式により求めた。なお計算には放電時の値を用いた。Mは電極活物質(銀ナノワイヤー)の質量である。
また上式を時間で微分すれば、その際のパワー密度が求まる。しかし、キャパシタや電池においてパワー密度とは瞬間的に取り出せる最大の電力を意味する。したがって、図18に示すように、電源つまりキャパシタまたは電池が電圧V=V0を持ちその内部抵抗がrであるとき、負荷抵抗RLを任意に可変できるとした場合、負荷に取り出せる電力Pが最大となる条件はRL=rのときで、下記式と求まる。このPMaxを活物質の質量で割って、パワー密度と定義する。
ここで、キャパシタ特性を評価するに際して、まずサイクリックボルタンメトリーを行った。その結果を図19に示す。
この結果、銀ナノワイヤーは、おおむね可逆的な酸化・還元反応を繰り返すことがわかった。また、銀ナノワイヤーの充放電反応は以下の化学式に従う。
また、定電流充放電は充電/放電装置(HOKUTO DENKO Co., Model HJ1010mSM8A)により行った。3電極式のガラスセルを用い、動作電極である銀ナノワイヤー電極へ定電流による充放電を行い、参照電極であるSCEに対する電位の変化を記録した。対向電極は白金板である。電解液は水酸化リチウムとした。
より具体的には、まず動作電極の自然電位から、充電電流を流すと時間の経過に伴い電圧値は上昇する。しかし、ある値に達すると電圧値の上昇が著しく小さくなる。その値を充電のピークと考え、直ちに電流の極性を切り替え放電電流を流す。一方、放電電流を流すと時間の経過に伴い電圧値は下降する。しかし、ある値に達すると電圧値の下降が著しく小さくなる。その値を放電のピークと考え、再び極性を切り替え充電電流を流す・・・というように、一定の電位を区切りにして極性を交互に切り替えた。自然電位の値は試料各々でばらつきが生じるため、2回目の充放電の際記録された電圧の経時変化を特性の評価に用いた。図20に、銀ナノワイヤーの0.5mA/cm2での充放電特性を示す。
また、本図から得られた各種特性値を下記表1に示す。本実施例では放電時における電圧降下部分を内部抵抗によるirドロップとした。また電圧降下の終点と放電の終点を結び、その直線の傾きをi/Cとして内部抵抗や静電容量の値を計算した。
上記表1は、単位質量あたりの充放電特性である。先端研究レベルでは、レドックスキャパシタの静電容量は100〜300[F/g]程度のものが多く、これらに比べ本銀ナノワイヤーは静電容量が極めて高いことがわかる。特に、初めの放電曲線から求めた静電容量は1000F/gを越え、極めて大きな値であることがわかる。また、本電気化学キャパシタの特徴は、充電完了後、放電開始に移るときに電位の大きな飛びがあることである。これは一般には電圧降下と呼ばれているが、その値は他のキャパシタと比べて大きい。充電過程で生じた酸化銀の電気抵抗が大きいか、酸化銀が何らかの形態変化を生じたものと考えられる。なお、静電容量の値は、電圧降下の終点と放電の終点を結び、その直線の傾きから算出した。
ところで、上記とほぼ同様とする一方、通電量を2.0C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、1Mの水酸化リチウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性をそれぞれ図21、22に示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
この結果、図21のサイクリックボルタンモグラムの可逆性は乏しく、掃引を繰り返すたびに酸化還元波系が異なることが確認できた。一方、図20の場合と同じように、図22の繰り返し充放電曲線から求めた静電容量の値を表2に示す。この結果、表1と同様、充放電を繰り返す毎に、静電容量値が減少する傾向が観察された。しかしながら、500回繰り返し後の静電容量値は1回目の1/10であり、表1の1/50の減少よりは改善されることがわかった。なお、1回目の静電容量は2000F/gを越え極めて大きな値であった。
次に、通電量2.0C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、0.1Mの水酸化カリウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性をそれぞれ図23、図24に示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
図23のサイクリックボルタンモグラムの可逆性はまずまず良好であるが、0.1M LiOHを用いた場合の波形(図19)とはかなり異なり、充放電反応に支持塩カチオンも何らかの形で関与していることが判明した。また、表1および表2と同様に、充放電を繰り返す毎に、静電容量値が減少する傾向が観察された(表3参照)。100回目までの繰り返しでは、高静電容量をキープしたが、その後の容量の減少の程度は著しく、200回目で既にほとんど蓄電能を示さなかった。
更に、通電量2.0C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、0.1Mの硫酸ナトリウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性を図25、図26にそれぞれ示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
図25のサイクリックボルタンモグラムは、まずまずの可逆性を示し、繰り返し特性は良好であるが、流れる電流密度の値が、上記の例と比べると、やや小さく、静電容量は上記の支持塩を用いた場合と比べて小さいことがわかる。また、充放電試験では、やはり充放電を繰り返す毎に、静電容量値が減少する傾向が観察された。しかしながら、その減少の程度はこれまでの支持塩と比べて著しく小さく、500回の繰り返し試験で70%程度に減少するにとどまった(表4参照)。
また、通電量5.0C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、0.1Mの水酸化リチウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性を図27、図28にそれぞれ示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。また、通電量5.0C/cm2で作製した銀ナノワイヤー膜の担持量は820μg/cm2となった。
図27のサイクリックボルタンモグラムは、まずまずの可逆性を示し、繰り返し特性は良好であった。また、充放電試験では、やはり充放電を繰り返す毎に、静電容量値が減少する傾向が観察された。初回充放電特性からは、1975F/gという大容量が得られた。しかしながら、その値は200回目の充放電試験において1/10に減少した(表5参照)。
また、通電量2.0C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、1Mの硫酸ナトリウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性を、図29、図30にそれぞれ示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
図29のサイクリックボルタンモグラムは、まずまずの可逆性を示し、繰り返し特性は良好である。流れる電流密度の値は図25に比べて大きいが、静電容量は上記と比べて小さかった(表6参照)。静電容量は、100回までは繰り返す毎に増加していき、その後小さくなっていった。400回以降はほとんど蓄電能を示さず、上記の場合と比べて、繰り返し特性は良好ではなかった。
また、通電量5.0 C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、0.1 Mの硫酸ナトリウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性を図31、図32にそれぞれ示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
図31のサイクリックボルタンモグラムは、まずまずの可逆性を示し、繰り返し特性は良好であるが、流れる電流密度がやや低い。また、静電容量もこれまでのものと比べて極めて低い(表7参照)。この静電容量の低さは、充放電にかかる時間の影響と放電開始時の電圧降下の小ささの影響がある。本条件による銀ナノワイヤーキャパシタは蓄電能を示さなかった。
また、通電量5.0C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、1 Mの硫酸ナトリウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性を図33、図34にそれぞれ示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
図33のサイクリックボルタンモグラムの可逆性は乏しく、掃引を繰り返す毎に酸化・還元波形が異なる。静電容量は、繰り返し100回までは良好な値であるが、以降は蓄電能がなくなってしまうという結果になった(表8参照)。蓄電能がなくなってしまう原因としては、放電開始時の電圧降下があまりにも大きすぎて充放電の下限電圧である−1.4 Vを瞬時に越えてしまうため、放電反応ができないということが観察された。
また、通電量5.0 C/cm2として作製した銀ナノワイヤーを用い、1 Mの水酸化リチウム水溶液を電解液とした場合のサイクリックボルタンモグラムと充放電特性を図35、図36にそれぞれ示す。なお、充放電試験は500回繰り返し行った。
図35のサイクリックボルタンモグラムの可逆性は乏しく、掃引を繰り返す毎に酸化・還元波形は異なっている。静電容量は、繰り返し1回目に限り、これまでの充放電条件の中で最大容量の2390F/gを記録したが、それ以降は蓄電能を示さないという結果だった(表9参照)。これも上記の場合と同様に、放電開始時の電圧降下が大きすぎ、充放電の下限電圧を越えてしまい放電反応ができないことが原因であると考えられる。
以上、本実施例により、より高容量かつ安定的な供給の可能な電気化学キャパシタ及びその製造方法を提供することができることを確認した。
本発明はキャパシタ及びその製造方法として産業上の利用可能性がある。
Claims (8)
- 対向する一対の電極と、
前記一対の電極の少なくとも一方に形成される銀ナノ構造物と、
前記一対の電極の間に充填される電解液と、を有するキャパシタ。 - 前記銀ナノ構造物は、銀ナノワイヤーを含む請求項1記載のキャパシタ。
- 前記銀ナノ構造物は、酸化銀ナノ構造物である請求項1記載のキャパシタ。
- 前記電解液は、溶媒と、支持電解質と、を含む請求項1記載のキャパシタ。
- 電極上に銀ナノ構造物を形成するキャパシタの製造方法。
- 前記銀ナノ構造物を酸化する請求項5記載のキャパシタの製造方法。
- 前記銀ナノ構造物は銀ナノワイヤーを含む請求項5記載のキャパシタの製造方法。
- 前記銀ナノ構造物を酸化する方法は、熱酸化である請求項6記載のキャパシタの製造方法。
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