JP5158045B2 - 第2族元素の酸化物の電解方法及びその装置 - Google Patents
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Description
第2族元素の酸化物の電解方法であって、
第2族元素イオンを吸蔵放出可能な負極と、第2族元素酸化物及び安定なラジカル骨格を有する化合物を含む正極と、を非水系のイオン伝導体に離間して配置し、正負極間に直流電圧を印加することにより前記正極中の第2族元素酸化物を電解して前記負極上に第2族元素金属を析出させるものである。
第2族元素の酸化物の電解装置であって、
第2族元素イオンを吸蔵放出可能な負極と、第2族元素酸化物及び安定なラジカル骨格を有する化合物を含む正極と、を非水系のイオン伝導体に離間して配置した電解槽と、
前記電解槽内の正負極間に直流電圧を印加可能な電圧印加装置と、
を備えたものである。
[正極]2MgO → 2Mg2++O2+4e-
[負極]Mg2++2e- → Mg
[正極]2CaO → 2Ca2++O2+4e-
[負極]Ca2++2e- → Ca
酸化マグネシウム還元触媒として、前出の式(16)に示すラジカルポリマーを用いた。このラジカルポリマーは、Chem. Phys. Lett. Vol.359, p351(2002)に従い、2、2‘−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として、2,2、6,6―テトラメチルピペリジンメタクリレートモノマーの重合を行い、続いて、3−クロロパーベンゾイックアシッドで酸化することにより得られた。このラジカルポリマーは数平均分子量9.2万、重量平均分子量22.9万であった。このラジカルポリマーは、ラジカル骨格として2,2,6,6−テトラメチルピペリドキシルラジカル(TEMPOラジカル)を有しているが、TEMPOラジカルは安定なラジカル骨格として知られている(例えば特開2002−151084参照)。
実施例1において、和光純薬工業の重質酸化マグネシウムを用いた以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を行った。電流値の経時変化を図4に示す。図4から測定された電気量は0.21mAhであった。この結果から、製造メーカーにかかわらず、酸化マグネシウムを電解できることがわかった。
実施例1において、式(16)のラジカルポリマーの割合を36重量%、充電時間を140時間とした以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を行った。電流値の経時変化を図5に示す。図5から測定された電気量は0.57mAhであった。この結果から、ラジカルポリマーの割合が多いほど酸化マグネシウムが電解しやすい傾向にあるといえる。
実施例1において、充電電流を0.005mA、充電時間を300時間とした以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を行った。電流値の経時変化を図6に示す。図6から測定された電気量は0.95mAhであった。この結果から、充電電流が小さいほど酸化マグネシウムが電解しやすい傾向にあるといえる。
実施例2において、酸化マグネシウム還元触媒に電解二酸化マンガン(三井鉱山製)を10重量%を用いて、酸化マグネシウムを含まないとした以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を試みた。電流値の経時変化を図7に示す。図7から測定された電気量は0.001mAhであった。
実施例2において、正極にラジカルポリマーだけを含み(20重量%)、酸化マグネシウムを含まないとした以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を試みた。電流値の経時変化を図7に示す。図7から測定された電気量は0.018mAhであった。各実施例で測定された電気量はこの比較例2に比べて格段に高かったが、これは酸化マグネシウムの電解の有無によって生じたといえる。
実施例2において、還元触媒に電解二酸化マンガン(三井鉱山製)を10重量%を用いて、酸化マグネシウムを32重量%含むとした以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を試みた。電流値の経時変化を図7に示す。図7から測定された電気量は0.031mAhであった。この結果から、各実施例で用いたラジカルポリマーの酸化マグネシウムの還元能力は、電解二酸化マンガンに比べて格段に高いといえる。
実施例1において、正極の集電体としてPtメッシュ(ニラコ製)を用い、充電時間を140時間とした以外は実施例1と同様にして電解槽を作製し充電を試みた。電流値の経時変化を図8に示す。図8から測定された電気量は0.63mAhであった。この結果から、正極集電体として各種の金属が使用可能であることがわかる。
実施例3において、図9のF型電気化学セルを用いた以外は、実施例3と同様にして充電を行った。なお、正極と負極との間には絶縁樹脂が介在している。図10の写真は試験終了後に解体した電気化学セルを正極側からみたものである。正極のメッシュ(集電体)の内側に気泡(矢印、酸素)がみえる。この酸素は酸化マグネシウムが分解して生じたものと考えられる。
実施例5において、電解液を0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートを溶解したジメチルスルホキシド溶液とした以外は実施例5と同様にして電解槽を作製し充電を行った。実施例7において測定された電気量は0.76mAhであった。
実施例5において、電解液を0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートを溶解したメチルプロピルピペリジニウムトリフルオロメチルスルホニルイミド溶液とした以外は実施例5と同様にして電解槽を作製し充電を行った。実施例8において測定された電気量は0.43mAhであった。
実施例5において、電解液を0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートを溶解したプロピレンカーボネート・アセトニトリル溶液(体積混合比3:7)とした以外は実施例5と同様にして電解槽を作製し充電を行った。実施例9において測定された電気量は0.68mAhであった。実施例7〜9の結果から、各種の電解液が使用可能であることがわかる。
次に、酸化カルシウムの電解について実験した。正極は次のようにして作製した。まず、酸化カルシウム(和光純薬工業製、99%)220mg(電極材料あたり41.8重量%)、化合物式(16)のラジカルポリマー123mg(電極材料あたり23重量%)、ケッチェンブラック(三菱化学製ECP)143mg、テフロンパウダー(ダイキン工業製)41mgを乾式で乳鉢を用いて練り合わせてシートを作製した。そのシート5mgをPtメッシュ(ニコラ製)に圧着して正極とした。負極には金属カルシウム(Aldrich製)を用いた。図2に示す電解槽にアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で正極と負極とを離間して配置した。電解液としては、0.5モル/リットルのカルシウムパークロレートのプロピレンカーボネート・ジエチルカーボネート(体積混合比1:1)を用意し、この電解液を電解槽へ15mL注入した。
実施例10において、触媒であるラジカルポリマーを除いた以外は、実施例10と同様にして電解槽を作製したものを比較例4とした。この比較例4において、電流を0.005mAとし、充電時間を96時間として測定した電流値の経時変化を図13に示す。図13から測定された電気量は0.0021mAhであった。
実施例10において、触媒であるラジカルポリマーを含み(電極材料あたり20重量%)、酸化カルシウムを含まないとした以外は実施例10と同様にして電解槽を作製したものを比較例5とした。この比較例5において、電流を0.005mAとし、充電時間を96時間として測定した電流値の経時変化を図13に示す。図13から測定された電気量は0.0018mAhであった。
実施例10において、正極のPtメッシュの代わりにステンレス(SUS)メッシュ(ニラコ製)を用いた以外は実施例10と同様にして電解槽を作製したものを実施例11とした。この実施例11において、充電電流を0.005mA、充電時間を140時間として測定した電流値の経時変化を図14に示す。図14から測定された電気量は0.274mAhであった。
実施例10において、還元触媒に電解二酸化マンガン(三井鉱山製)を10重量%を用いて、酸化カルシウムを32重量%含むとした以外は実施例10と同様にして電解槽を作製したものを比較例6とした。この比較例6において、電流を0.005mAとし、充電時間を96時間として測定した電流値の経時変化を図15に示す。図15から測定された電気量は0.0084mAhであった。この結果から、各実施例で用いたラジカルポリマーの酸化マグネシウムの還元能力は、電解二酸化マンガンに比べて格段に高いといえる。
正極部材として、酸化カルシウム(Aldrich製、99.9%)66.1mg(電極材料あたり37.8重量%)、化合物式(16)のラジカルポリマー40.1mg(電極材料あたり23.0重量%)、ケッチェンブラック(三菱化学製ECP)52.7mg、テフロンパウダー(ダイキン工業製)15.8mgを乾式で乳鉢を用いて練り合わせてシートを作製した。そのシート5mgをPtメッシュ(ニコラ製)に圧着して正極とした。負極には金属カルシウム(Aldrich製)を用いた。電解液には、0.5モル/リットルのカルシウムパークロレートのプロピレンカーボネート・アセトニトリル(体積混合比1:1)を用意し、この電解液を電解槽へ15mL注入した。次に、上述した実施例と同様に、正極と負極の間で0.005mAの電流を流して、3.8Vまで定電流充電させ、引き続き、3.8Vで、充電時間の合計が100時間になるように定電圧充電した。この測定した電流値の経時変化を図16に示す。図16から測定された電気量は0.238mAhであった。
Claims (14)
- 第2族元素の酸化物の電解方法であって、
第2族元素イオンを吸蔵放出可能な負極と、第2族元素酸化物及び、電子スピン共鳴分析で測定されたスピン密度が10 19 spins/g以上であり、ニトロキシルラジカルを有する骨格、オキシラジカルを有する骨格、窒素ラジカルを有する骨格、硫黄ラジカルを有する骨格、炭素ラジカルを有する骨格及びホウ素ラジカルを有する骨格からなる群より選ばれた1以上の骨格を含む安定なラジカル骨格を有する化合物を含む正極と、を非水系のイオン伝導体に離間して配置し、正負極間に直流電圧を印加することにより前記正極中の第2族元素酸化物を電解して前記負極上に第2族元素金属を析出させる、
電解方法。 - 前記第2族元素は、マグネシウム又はカルシウムである、請求項1に記載の電解方法。
- 前記正極には、前記第2族元素酸化物として酸化マグネシウムが含まれており、
前記負極は、金属マグネシウムである、請求項1に記載の電解方法。 - 前記正極には、前記第2族元素酸化物として酸化カルシウムが含まれており、
前記負極は、金属カルシウムである、請求項1に記載の電解方法。 - 前記安定なラジカル骨格は、ニトロキシルラジカルを有する骨格である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解方法。
- 前記安定なラジカル骨格を有する化合物は、ポリマーが前記安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解方法。
- 前記安定なラジカル骨格を有する化合物は、多環式芳香環が前記安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解方法。
- 第2族元素の酸化物の電解装置であって、
第2族元素イオンを吸蔵放出可能な負極と、第2族元素酸化物及び、電子スピン共鳴分析で測定されたスピン密度が10 19 spins/g以上であり、ニトロキシルラジカルを有する骨格、オキシラジカルを有する骨格、窒素ラジカルを有する骨格、硫黄ラジカルを有する骨格、炭素ラジカルを有する骨格及びホウ素ラジカルを有する骨格からなる群より選ばれた1以上の骨格を含む安定なラジカル骨格を有する化合物を含む正極と、を非水系のイオン伝導体に離間して配置した電解槽と、
前記電解槽内の正負極間に直流電圧を印加可能な電圧印加装置と、
を備えた電解装置。 - 前記第2族元素は、マグネシウム又はカルシウムである、請求項8に記載の電解装置。
- 前記正極には、前記第2族元素酸化物として酸化マグネシウムが含まれており、
前記負極は、金属マグネシウムである、請求項8に記載の電解装置。 - 前記正極には、前記第2族元素酸化物として酸化カルシウムが含まれており、
前記負極は、金属カルシウムである、請求項8に記載の電解装置。 - 前記安定なラジカル骨格は、ニトロキシルラジカルを有する骨格である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の電解装置。
- 前記安定なラジカル骨格を有する化合物は、ポリマーが前記安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の電解装置。
- 前記安定なラジカル骨格を有する化合物は、多環式芳香環が前記安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の電解装置。
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