JP2015087344A - 容量劣化推定装置、蓄電装置および容量劣化推定方法 - Google Patents

容量劣化推定装置、蓄電装置および容量劣化推定方法 Download PDF

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慎 堀田
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Abstract

【課題】容量劣化を高精度に推定する容量劣化推定装置、蓄電装置および容量劣化推定方法を提供する。
【解決手段】予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成の回路121aを備えること。
【選択図】図1

Description

本開示は、容量劣化推定装置、蓄電装置および容量劣化推定方法に関する。より詳しくは、二次電池の容量劣化を推定する容量劣化推定装置、蓄電装置および容量劣化推定方法に関する。
従来から、二次電池の劣化判定を行う技術が提案されている。例えば、特許文献1では、正極材料固有の充・放電カーブ、負極材料固有の充・放電カーブ、被検知電池の充・放電カーブ及び所定の補正パラメータを用いて、被検知電池内部の正極及び負極の充・放電カーブを求める方法が提案されている。
特開2009−80093号公報
容量劣化の推定は、二次電池の劣化による内部抵抗の上昇を考慮して高精度に行いたい。
本開示は、二次電池の容量劣化を高精度に推定する容量劣化推定装置、蓄電装置および容量劣化推定方法を提供する。
本開示に係る容量劣化推定装置は、予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成の回路を備えるものである。
前記回路は、予め取得された前記フィッティングに必要な容量範囲に基づいて、少なくとも前記フィッティングに必要な容量範囲に該当する前記二次電池の起電力カーブを取得してもよい。
この場合、前記フィッティングに必要な容量範囲は、前記二次電池の起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲であってもよい。
または、前記回路は、予め取得された前記フィッティングに不要な容量範囲に基づいて、前記フィッティングに不要な容量範囲に該当する前記二次電池の起電力カーブを取得対象から除外してもよい。
この場合、前記フィッティングに不要な容量範囲は、前記二次電池の起電力カーブにおいて起電力が閾値以下となる容量範囲であってもよい。
前記回路は、前記容量方向への変化後の前記両極の起電力カーブの差分と前記二次電池の起電力カーブとから算出される類似度に基づき、前記類似度に対する予め設定された判断基準にしたがってフィッティングの信憑性を判断し、信憑性を有すると判断された場合の前記両極の起電力カーブの差分をフィッティングの結果としてもよい。
または、前記回路は、通信によって取得された前記二次電池の電圧情報および電流情報に基づいて前記二次電池の起電力カーブを取得してもよい。
もしくは、前記回路は、前記フィッティングの際に、前記両極の起電力カーブの容量方向における位置および形状を変化させてもよい。
この場合、前記回路は、前記フィッティングの際における前記両極の起電力カーブの前記位置の変化量が閾値以上となった場合に、電池交換の信号を出力してもよい。あるいは、前記回路は、前記両極の起電力カーブの前記形状を、前記両極の起電力カーブを容量方向に拡大または縮小させることで変化させてもよい。
本開示に係る蓄電装置は、二次電池と、予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成の回路を有する容量劣化推定装置とを備えるものである。
本開示に係る容量劣化推定方法は、予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる。
その際に、前記二次電池の起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲を予め取得し、取得された前記容量範囲に基づいて、前記複数の特徴点が含まれる前記二次電池の起電力カーブを取得してもよい。
この場合、新品の二次電池の起電力カーブにおける選択された狭小容量範囲に該当するカーブ部分を対象としたフィッティングを、前記狭小容量範囲をずらしながら繰り返し、前記狭小容量範囲毎に類似度が一定範囲に収まるようなフィッティングパラメータの場合の数をカウントし、前記狭小容量範囲の変化に応じたカウント値の変化についての極小値が示される狭小容量範囲を、前記特徴点に該当する容量範囲と決定し、前記特徴点に該当する容量範囲を複数含むような一連の容量範囲を、前記特徴点が複数現れる容量範囲として取得してもよい。
本開示によれば、容量劣化を高精度に推定することができる。
本開示の第1の実施形態の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第1の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第1の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第1の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第1の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第1の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第1の実施形態の比較例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第1の実施形態の第3の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第1の実施形態の第4の変形例の蓄電装置の構成例を説明するための模式図である。 本開示の第2の実施形態の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第2の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第2の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第2の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第2の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第2の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第3の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第3の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第3の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第4の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第4の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第4の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を模式的に示す図である。 本開示の第4の実施形態の第2の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第5の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第5の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第5の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示す第1のフローチャートである。 本開示の第5の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示す第2のフローチャートである。 本開示の第6の実施形態の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第6の実施形態の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。 本開示の第6の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の構成例を模式的に示す図である。 本開示の第6の実施形態の第1の変形例の蓄電装置の動作例を示すフローチャートである。
以下、本開示を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する複数の実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。また、各実施形態において、互いに対応する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施形態
(正負両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる蓄電装置の例)
2.第1の実施形態の第1の変形例
(電圧測定値および電流測定値に基づいて二次電池の起電力カーブを推定する蓄電装置の例)
3.第1の実施形態の第2の変形例
(両極の起電力カーブの容量方向における位置および形状を変化させてフィッティングを行う蓄電装置の例)
4.第1の実施形態の第3の変形例
(両極の起電力カーブの形状を拡大または縮小によって変化させる蓄電装置の例)
5.第1の実施形態の第4の変形例
(両極の起電力カーブが新品電池の起電力カーブに基づいて取得された蓄電装置の例)
6.第2の実施形態
(必要な容量範囲に該当する二次電池の起電力カーブを取得する蓄電装置の例)
7.第2の実施形態の第1の変形例
(必要な容量範囲が二次電池の起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲である蓄電装置の例)
8.第2の実施形態の第2の変形例
(特徴点が複数現れる容量範囲が新品電池の起電力カーブに基づいて算出された蓄電装置の例)
9.第3の実施形態
(不要な容量範囲を二次電池の起電力カーブの取得対象から除外する蓄電装置の例)
10.第3の実施形態の第1の変形例
(不要な容量範囲が、二次電池の起電力カーブにおいて起電力が閾値以下となる容量範囲である蓄電装置の例)
11.第4の実施形態
(類似度に基づいてフィッティングの信憑性を判断する蓄電装置の例)
12.第4の実施形態の第1の変形例
(類似度の第1の具体例を適用した蓄電装置の例)
13.第4の実施形態の第2の変形例
(類似度の第2の具体例を適用した蓄電装置の例)
14.第5の実施形態
(電池交換の信号を出力する蓄電装置の例)
15.第5の実施形態の第1の変形例
(機器が接続された蓄電装置の例)
16.第6の実施形態
(通信によって受信された電圧データおよび電流データに基づいて容量劣化を推定する蓄電装置の例)
17.第6の実施形態の第1の変形例
(二次電池の電圧および電流の測定結果を回路側に送信する蓄電装置の例)
<1.第1の実施形態>
[装置の構成例]
図1は、本実施形態の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。図1に示すように、蓄電装置100は、二次電池111と、本開示に係る容量劣化推定装置の一例としての容量劣化推定装置120とを備える。
[二次電池111]
二次電池111は充放電可能とされている。すなわち、二次電池111は、充電の際には、不図示の電源から供給されたエネルギーを蓄積し、放電の際には、蓄積されたエネルギーを不図示の負荷に供給することができる。
二次電池111の個数は1つに限定されず、2以上の二次電池111を備えてもよい。
二次電池111の種類も限定されず、リチウムイオン二次電池等を採用してもよい。リチウムイオン二次電池の好ましい態様の一例として、定格電圧3.7V、上限電圧4.2V、下限電圧2.7V、容量3000mAhの電池を採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。本開示は、正極材料にオリビン型リン酸鉄を用いたリチウムイオン二次電池等のフラットな放電特性を有する二次電池にも有効に適用することができる。
[容量劣化推定装置120]
[回路121a]
図1に示すように、容量劣化推定装置120は、回路121aを備える。回路121aは、予め取得された二次電池の正極および負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成である。すなわち、正負極の起電力カーブのうち、双方を変化させる場合および一方を固定し他方を変化させる場合のいずれの場合も本開示の範囲内である。フィッティングは、測定や算出即ち推定等によって得られる二次電池の起電力カーブ(以下、対象起電力カーブと称する)に最も良く当てはまるとみなされる正負極の起電力カーブの差分(以下、二次電池の算出起電力カーブと称する)を求めることで行ってもよい。より具体的には、フィッティングは、対象起電力カーブに最も良く当てはまるとみなされる二次電池の算出起電力カーブ(以下、二次電池の推定起電力カーブと称する)に該当するフィッティングパラメータを算出する処理であってもよい。
正負極の起電力カーブ、対象起電力カーブおよび推定起電力カーブは、容量に応じた起電力の特性を示すデータであってもよい。より具体的には、起電力カーブは、起電力と容量との対となるデータの列から構成されていてもよい。この場合、データは、所定の容量間隔をおいたデータであってもよい。この場合、所定の容量間隔の好ましい態様の一例として、10mAhを採用してもよいが、本開示はこれに限定されない。正負極の起電力カーブは、回路121aの記憶領域に回路121aの演算ブロックが読み出し可能な状態で記憶されていてもよく、または、外部記憶装置の記憶領域に回路121aが読み出し可能な状態で記憶されていてもよい。起電力カーブが記憶される記憶領域には、二次電池111の上限電圧値および下限電圧値も保持されていてもよい。
回路121aの具体的な態様は限定されない。回路121aは、電子回路を含んでもよい。電子回路は、デジタル回路を含んでもよい。回路121aは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサおよびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置等を備えてもよい。ROMには、本開示における容量劣化の推定を実現するための容量劣化推定プログラムやデータを格納してもよい。回路121aは、プロセッサがROMに格納された容量劣化推定プログラムを実行することで、容量劣化推定機能を発揮してもよい。ROMは、容量劣化推定プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例である。RAMは、プロセッサの作業領域等として利用してもよい。ただし、回路121aは、以上の構成に限定されない。
[装置の動作例]
図2は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図2に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。ただし、本開示に係る容量劣化推定方法は、蓄電装置100以外の構成で具現化されてもよい。
図2では、先ず、ステップ100(S100)において、回路121aにより、対象起電力カーブを取得する。
次いで、ステップ200(S200)において、回路121aにより、予め取得された正負極の起電力カーブを記憶領域から読み出す。ステップ200(S200)とステップ100(S100)とは、前後が入れ替わってもよく、また、同時でもよい。回路121aは、自らに搭載された不揮発性メモリから正負極の起電力カーブを読み出してもよいが、これに限定されない。
次いで、ステップ300(S300)において、回路121aにより、ステップ200(S200)で読み出された正負極の起電力カーブの差分即ち二次電池の算出起電力カーブをステップ100(S100)で取得された対象起電力カーブにフィッティングさせる。フィッティングは、正負極の起電力カーブを容量方向に相対的に移動させることで行う。
次いで、ステップ400(S400)において、回路121aにより、ステップ300(S300)におけるフィッティングの結果すなわちフィッティングで得られた二次電池の推定起電力カーブに基づいて、二次電池111の容量劣化を推定する。容量劣化の推定は、二次電池の推定起電力カーブから算出される二次電池111の推定容量に基づいて、容量劣化の推定値を算出することで行ってもよい。この場合、推定容量は、二次電池の推定起電力カーブ上の特定の電圧に対応する容量であってもよい。この場合、特定の電圧の好ましい態様の一例として、3.0Vを採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。また、容量劣化の推定値は、推定容量を新品の二次電池の推定起電力カーブから取得される推定容量で除した値であってもよいが、これに限定されない。
本実施形態の蓄電装置100によれば、回路121aが起電力カーブを用いたフィッティングを行うことで、充放電カーブを用いる場合のように二次電池の劣化による内部抵抗の上昇に依存することなく、誤差の小さい容量劣化推定が可能となる。また、本実施形態の蓄電装置100によれば、充放電サイクルによって容量を測定する場合と違って装置を停止させることなく容量劣化を高精度に推定することができ、ダウンタイムやエネルギーの無駄が生じることを回避することができる。また、本実施形態の蓄電装置100は、大型定置用蓄電池などの容易に充放電サイクルが実施できない態様の蓄電装置にも有効に適用することができる。
<2.第1の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
図3は、本変形例の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。本変形例の蓄電装置100は、図1の蓄電装置100に対して、対象起電力カーブを取得する構成が特定されている。以下、詳細に説明する。
図3に示すように、本変形例の蓄電装置100は、回路121aが、演算装置121に内蔵されている。図3には、1つの二次電池111が示されているが、二次電池111は、不図示の他の二次電池と接続されて一群の二次電池を構成してもよい。この場合、他の二次電池は、二次電池111と同一規格の二次電池であってもよく、または、異なる規格の二次電池であってもよい。また、一群の二次電池は、直列接続された構成であってもよい。または、一群の二次電池は、並列接続された二次電池群が複数群直列接続された構成であってもよい。もしくは、一群の二次電池は、直列接続された二次電池群が複数群並列接続された構成であってもよい。あるいは、一群の二次電池は、並列接続された二次電池群が複数群直列接続されたブロックが、複数ブロック並列接続された構成であってもよい。ただし、二次電池の接続態様は以上に限定されるものではない。
図3に示すように、二次電池111には、電圧計130が電気的に接続されている。また、二次電池111には、電流計140が電気的に接続されている。電圧計130は、二次電池111に並列接続されている。複数の二次電池111を直列接続する場合や並列接続された二次電池群すなわち並列ブロックを直列接続する場合には、電圧計130を、二次電池111または並列ブロック毎に並列接続してもよい。電流計140は、二次電池111に直列接続されている。電圧計130は、信号線SLを介して演算装置121に接続されている。電流計140は、信号線SLを介して演算装置121に接続されている。電圧計130は、二次電池111の端子電圧を測定し、測定結果を電圧データとして演算装置121に出力する構成である。電流計140は、二次電池111の放電電流または充電電流を測定し、測定結果を電流データとして演算装置121に出力する構成である。演算装置121は、回路121aと計器130、140とを結ぶアナログ・フロントエンド回路を備えてもよい。
図3に示すように、演算装置121には、信号線SLを介してメモリ122が接続されている。演算装置121は、電圧計130から入力された電圧データをメモリ122に保持する構成である。また、演算装置121は、電流計140から入力された電流データをメモリ122に保持する構成である。複数の二次電池111を搭載する場合、演算装置121は、各二次電池111にそれぞれ対応する電圧データを、各二次電池111の電池番号等の二次電池111の識別情報と対応付けてメモリ122に格納してもよい。
回路121aは、電流値0Aの状態における電圧データ(以下、解放電圧データと称する)に基づいて、二次電池111の起電力カーブすなわち本変形例の対象起電力カーブを推定する構成である。例えば、回路121aは、一定時間に亘って解放電圧データを蓄積し、蓄積された解放電圧データすなわち解放電圧データの遷移に基づいて二次電池111の起電力を推定する構成でもよい。そして、回路121aは、推定された起電力と現時点すなわち起電力の推定時の放電容量とを保持することを異なる放電容量毎に繰り返すことで対象起電力カーブを取得する構成でもよい。より具体的には、回路121aは、起電力および放電容量のデータを、互いに対応関係を持たせた状態でメモリ122に保持する構成でもよい。解放電圧データに基づく起電力の推定の具体例については、後述の<15.第5の実施形態の第1の変形例>に説明を譲る。
複数の二次電池111を搭載する場合、回路121aは、容量劣化の推定のための演算を時間分割で行ってもよい。
図3に示すように、容量劣化推定装置120は、二次電池111、電圧計130、電流計140およびメモリ122などとともに、組電池101すなわち蓄電アセンブリを構成してもよい。組電池101は、外装ケースすなわちシステムラックに収容されていてもよい。蓄電装置100は、複数の組電池101を備える構成であってもよい。蓄電装置100は、複数の組電池101が主制御装置に有線または無線で通信接続される構成であってもよい。主制御装置は、各組電池101の動作を制御すなわち管理する構成であってもよい。各組電池101の演算装置121には、主制御装置との通信を行う通信モジュールが搭載されていてもよい。通信モジュールは、回路121aの機能ブロックの1つであってもよく、または、回路121aと別体の構成であってもよい。
[装置の動作例]
図4は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図4に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図4の動作例は、図2に対して、ステップ100(S100)の処理が更に特定されている。すなわち、図4では、ステップ100(S100)として、ステップ101(S101)〜ステップ104(S104)の一連のステップを実行する。
具体的には、ステップ101(S101)では、回路121aにより、電圧計130から電圧データを取得するとともに、電流計140から電流データを取得する。
ステップ102(S102)では、回路121aにより、ステップ101(S101)で取得された電流データに基づいて、現時点の放電容量を算出する。放電容量の算出は、電流データ値と前回の電流データの取得時刻からの経過時間との積を、前回算出された放電容量に加算することで行ってもよい。前回の放電容量は、メモリ122等の記憶装置に保持してもよい。
ステップ103(S103)では、回路121aにより、ステップ101(S101)で取得された電圧データおよび電流データに基づいて、一定時間分の解放電圧データを蓄積する。
ステップ104(S104)では、回路121aにより、ステップ103(S103)で蓄積された解放電圧データに基づいて起電力を推定し、推定された起電力のデータを、ステップ102(S102)で算出された放電容量のデータと対応付けて保持する。
ステップ105(S105)では、回路121aにより、起電力のデータが指定された容量範囲にわたって蓄積されたか否かを判定する。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、対象起電力カーブの取得を終了し、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ101(S101)に戻る。
本変形例の蓄電装置100によれば、図1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、又は、拡散成分による時定数を考慮して一定時間分の解放電圧データに基づいて起電力すなわちOCV値を求めることで、対象起電力カーブの推定精度を確保することができる。
<3.第1の実施形態の第2の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図3の蓄電装置100に対して、フィッティングの態様が特定されている。
具体的には、本変形例の回路121aは、フィッティングの際に、二次電池111の正負極の起電力カーブの容量方向における位置および形状を変化させる構成である。
[装置の動作例]
[起電力カーブの遷移例]
図5Aの実線のカーブCPAは、予め取得されている正極の起電力カーブCPAである。図5Bの実線のカーブCNAは、予め取得されている負極の起電力カーブCNAである。
回路121aは、予め取得されている正極の起電力カーブCPAと、予め取得されている負極の算出起電力カーブCNAとを、容量方向における位置および形状をパラメータとして変化させていく。図5Aの破線のカーブCPCは、予め取得されている正極の起電力カーブCPAのパラメータを変化させることで得られる二次電池111の正極の算出起電力カーブCPCの一例である。図5Bの破線のカーブCNCは、予め取得されている負極の起電力カーブCNAのパラメータを変化させることで得られる二次電池111の負極の算出起電力カーブCNCの一例である。
回路121aは、パラメータを変化させていく過程で、パラメータの変化の都度、正極の算出起電力カーブCPCと負極の算出起電力カーブCNCとの差分である二次電池の算出起電力カーブと、図5Cにおいて破線で示される対象起電力カーブCとを比較する。
そして、回路121aは、対象起電力カーブCとの差異が最も小さくなるパラメータの組み合わせに該当する二次電池の算出起電力カーブを、フィッティングの結果すなわち図5Cに実線で示される二次電池の推定起電力カーブCとする。
[フローチャート]
図6は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図6の動作例は、図2に対して、ステップ300(S300)の処理が更に特定されている。すなわち、図6では、ステップ300(S300)として、ステップ310(S310)〜ステップ330(S330)を実行する。
具体的には、ステップ310(S310)では、回路121aにより、正負極の起電力カーブの容量方向における位置を変化させる。位置の変化は、1回につき一定の容量[mAh]刻みで行ってもよい。容量刻みを変化させる場合も本開示の範囲内である。位置の変化を一定の容量刻みで行う場合における容量の刻み幅の好ましい態様の一例として10mAhを採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。このとき、正極の起電力カーブの移動範囲の好ましい態様の一例として、0mAh〜200mAhを採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。また、負極の起電力カーブの移動範囲の好ましい態様の一例として、−200mAh〜0mAhを採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。
ステップ320(S320)では、回路121aにより、正負極の起電力カーブの形状を変化させる。1回あたりの形状の変化量は限定されない。ステップ320(S320)は、ステップ310(S310)と前後が入れ替わってもよく、または、同時であってもよい。
ステップ330(S330)では、回路121aにより、フィッティングの処理を終了すべきか否かを判定し、肯定的な判定結果が得られた場合には処理を終了し、否定的な判定結果が得られた場合にはステップ310(S310)に戻る。このとき、回路121aは、正負極の起電力カーブについての予定されていた合計変化量の変化が完了したことをフィッティングの終了の判定基準としてもよいが、これに限定されない。
本変形例の蓄電装置100によれば、図1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。または、本変形例の蓄電装置100によれば、対象起電力カーブの容量方向における位置の変化量が有効電荷担体量(例えば、有効リチウム量等)の減少を反映していることに基づき、有効電荷担体量の減少の把握に好適なフィッティングが可能となる。ここで、容量劣化の要因が有効電荷担体量の減少にある場合、電極への電荷担体(例えば、金属リチウム)の析出およびこれにともなう短絡の危険性が高まる。本変形例の蓄電装置100のように、起電力カーブの容量方向における位置をパラメータとしたフィッティングを行うことは、容量劣化の要因が有効電荷担体量の減少にあることを検知して短絡を未然に回避する上で有効である。また、本変形例の蓄電装置100によれば、対象起電力カーブの容量方向における形状が有効活物質の減少を反映していることに基づき、有効活物質の減少の把握に好適なフィッティングが可能となる。すなわち、起電力カーブの形状をパラメータとしたフィッティングを行うことで、容量劣化の要因が有効活物質の減少にあることを検知することができる。
ここで、図7は、比較例として、一定電流での充放電によって得られた二次電池の充放電カーブを用いたフィッティングを示す模式図である。図7Aに示すように、フィッティング対象となる二次電池の放電カーブは、二次電池の劣化の進行にともなう内部抵抗の増加により、内部抵抗が常に一定の架空の放電カーブCではなく、内部抵抗が増加した対象放電カーブCとなる。内部抵抗の変化には、充電率(SOC)に対する依存性があるため、対象放電カーブCは、架空の放電カーブCを単純に電圧方向に移動させたものではない。容量劣化の推定では、正極の放電カーブと負極の放電カーブとの容量方向における位置および形状を変化させて、その差分を対象放電カーブCにフィッティングさせる。しかし、対象放電カーブCへのフィッティング結果は、図7Bにおいて破線で示す二次電池の推定放電カーブCのように、対象放電カーブCとの誤差が大きいものとなる。図7Bの例では、容量が対象放電カーブCよりも小さく見積もられ、容量劣化が実際よりも悪く推定される。また、図7Cに示すように、二次電池の推定放電カーブCのうちの正極成分である正極の推定放電カーブCepは、真の正極の推定放電カーブCep(T)と大幅に異なるものとなる。さらに、図7Cに示すように、二次電池の推定放電カーブCのうちの負極成分である負極の推定放電カーブCenは、真の負極の推定放電カーブCen(T)と大幅に異なるものとなる。このような推定放電カーブは、有効活物質量および有効電荷担体量の推定誤差が大きいものとなる。これに対して、本変形例の蓄電装置100では、上記の如く、対象起電力カーブをフィッティング対象として位置および形状をパラメータとした簡便なフィッティングを行うことで、有効活物質量および有効電荷担体量の推定誤差を有効に低減することができる。すなわち、本変形例の蓄電装置100によれば、劣化の原因を把握するにとどまらず原因の程度までも簡便かつ高精度に把握することができる。
<4.第1の実施形態の第3の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図5で説明した蓄電装置100に対して、フィッティングの態様が特定されている。
具体的には、本変形例の回路121aは、フィッティングの際に、正負極の起電力カーブの形状を、正負極の起電力カーブを容量方向に拡大または縮小させることで変化させる構成である。
[装置の動作例]
図8は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図8に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図8の動作例は、図6に対して、ステップ320(S320)の処理が更に特定されている。すなわち、図8では、ステップ320(S320)として、ステップ321(S321)〜ステップ323(S323)を実行する。
具体的には、ステップ321(S321)では、回路121aは、今回の正負極の起電力カーブの容量方向への形状変化すなわち倍率変化が拡大である場合には、ステップ322(S322)に進み、縮小である場合には、ステップ323(S323)に進む。正極の起電力カーブと負極の起電力カーブとで拡大または縮小が互いに一致する場合および互いに異なる場合のいずれの態様も本開示の範囲内である。一定の倍率の範囲の中で、形状変化に適用される倍率を降順および昇順のいずれか一方に変化させていく場合には、形状変化は縮小および拡大のいずれか一方のみとなる。その場合には、図8の処理は、実質的にステップ322(S322)の繰り返し又はステップ323(S323)の繰り返しとなる。例えば、1〜0.7倍の範囲の中で倍率を降順に変化させて縮小のみを行ってもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。本開示は、前回の形状変化と今回の形状変化とで縮小と拡大とが切り替わることを除外しない。
ステップ322(S322)では、回路121aにより、正極および/または負極の起電力カーブを容量方向に拡大させて、処理を終了する。拡大は、一定の倍率の刻み幅で行ってもよい。一定の倍率の刻み幅の好ましい態様の一例として0.05すなわち回数を追うごとに倍率が0.05ずつ増加する態様を採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。拡大の倍率の刻み幅を変化させる場合も本開示の範囲内である。
ステップ323(S323)では、回路121aにより、正極および/または負極の起電力カーブを容量方向に縮小させて、処理を終了する。縮小も、一定の倍率の刻み幅で行ってもよい。一定の倍率の刻み幅の好ましい態様の一例として0.05すなわち回数を追うごとに倍率が0.05ずつ減少する態様を採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。縮小の倍率の刻み幅を変化させる場合も本開示の範囲内である。
本変形例の蓄電装置100によれば、図5で説明した蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、有効活物質の減少の把握に好適なフィッティングを簡便かつ迅速に行うことができる。
<5.第1の実施形態の第4の変形例>
本変形例の蓄電装置100は、予め取得された正負極の起電力カーブの態様が特定されている。以下、詳細に説明する。
[正負極の起電力カーブ]
予め取得された正負極の起電力カーブは、次のようにして取得されたものである。以下は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
先ず、二次電池111の正極材料を正極に、金属リチウムなどの電荷担体を負極にした第1のコイン型電池と、二次電池111の負極材料を正極に、電荷担体を負極にした第2のコイン型電池とを作製する。
そして、第1のコイン型電池については、起電力測定用の回路などに搭載した上で、満充電状態から一定の放電深度(DOD)の間隔で放電させるたびに一定時間放電を休止させ、その都度起電力を測定していく。この際に、放電深度の間隔および放電休止時間の好ましい態様の一例として、放電深度1%、放電休止時間3時間を採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。これにより、図9Aに示すように、第1の起電力カーブCを得る。第2のコイン型電池については、起電力測定用の回路などに搭載した上で、完全放電状態から一定の充電率間隔で充電させるたびに一定時間充電を休止させ、その都度起電力を測定していく。このとき、充電率間隔および充電休止時間の好ましい態様の一例として、充電率1%、充電休止時間3時間を採用してもよいが、本開示はこのような態様に限定されない。これにより、図9Bに示すように、第2の起電力カーブCを得る。
また、代表となる新品の二次電池を用意し、これを起電力測定用の回路などに搭載した上で、満充電状態から一定の放電深度の間隔で放電させるたびに一定時間放電を休止させ、その都度起電力を測定していく。このとき、放電深度の間隔および放電休止時間の好適な態様の一例として、放電深度1%、放電休止時間3時間を採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。これにより、図9Cに示すように、新品電池の起電力カーブCNEWを得る。
次に、カーブ算出用の電子装置などを用いて、新品電池の起電力カーブCNEWに対して、第1の起電力カーブCおよび第2の起電力カーブCの横軸方向の位置および拡大縮小倍率を変化させる。この変化の過程で、両カーブC、Cの差分である算出起電力カーブCが新品電池の起電力カーブCNEWに最も近似するときのパラメータの値を記録する。
そして、記録したパラメータによって第1の起電力カーブCと第2の起電力カーブCとを移動および拡大/縮小させたものが、それぞれ、正極の起電力カーブ、負極の起電力カーブとなる。本変形例の蓄電装置100は、このようにして求められた正負極の起電力カーブが、容量劣化推定装置120の記憶領域または容量劣化推定装置120が読み出し可能な外部記憶装置の記憶領域に記憶されている。
本変形例によれば、新品電池の起電力カーブへのフィッティングに基づいて取得された正負極の起電力カーブを適用することができるので、容量劣化の推定精度を有効に確保することができる。
<6.第2の実施形態>
[装置の構成例]
本実施形態の蓄電装置100は、第1の実施形態の蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本実施形態の回路121aは、予め取得されたフィッティングに必要な容量範囲に基づいて、少なくともフィッティングに必要な容量範囲(以下、必要容量範囲と称する)に該当する二次電池の起電力カーブ即ち対象起電力カーブを取得する構成である。
[装置の動作例]
以下に説明する本実施形態の蓄電装置100の動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
[起電力カーブの遷移例]
本実施形態の回路121aは、図10Aに示すように、必要容量範囲に該当する対象起電力カーブCを取得する。対象起電力カーブは、必要容量範囲に該当するものであれば、必要容量範囲以外の容量にも該当する場合であっても、本実施形態の開示の範囲内である。そして、演算装置121は、図10Bに示すように、必要容量範囲に該当する対象起電力カーブCに二次電池の算出起電力カーブをフィッティングさせることで、二次電池の推定起電力カーブCを取得する。必要容量範囲は、予め回路121aの記憶領域または外部記憶装置の記憶領域に記憶させておいてもよい。
[フローチャート]
図11は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図11の動作例は、図2に対して、ステップ100(S100)の処理が更に特定されている。すなわち、図2では、ステップ100(S100)として、ステップ110(S110)およびステップ120(S120)を実行する。
具体的には、ステップ110(S110)では、回路121aにより、必要容量範囲を記憶領域から読み出す。
ステップ120(S120)では、回路121aにより、ステップ110(S110)で読み出された必要容量範囲に該当する対象起電力カーブを取得する。
本実施形態の蓄電装置100によれば、第1の実施形態の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、対象起電力カーブの容量範囲を必要な範囲に抑えることで、フィッティングの迅速性および簡便性を向上させることが可能となる。より具体的には、本実施形態の蓄電装置100によれば、全SOC範囲にわたって二次電池の起電力を直接測定する場合に比較して、対象起電力カーブの測定の所要時間を短縮することができる。
更に、本実施形態の蓄電装置100は、二次電池111を実際に使用するときに、充電、放電および休止がランダムに繰り返されることが多い用途に特に適している。容量劣化は急速に進むものではないため、二次電池111を使用している間に休止状態になる度に起電力と放電容量のデータとを蓄積していけば、対象起電力カーブの範囲に十分な量のデータを得ることができる。図4で説明した如き電流データと電圧データとから対象起電力カーブを推定する態様を本実施形態に組み合わせることで、対象起電力カーブの実測のための作業を一切要せずに対象起電力カーブを短時間で取得することができる。
また、必要容量範囲に二次電池111の実使用範囲に該当する容量範囲を含めれば、起電力データを効率よく蓄積することができる。
<7.第2の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図10で説明した蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本変形例の回路121aは、必要容量範囲が、対象起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲とされた構成である。特徴点の態様は特に限定されないが、好ましい態様の一例として、変曲点などを採用してもよい。
[装置の動作例]
以下に説明する本変形例の蓄電装置100の動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
[起電力カーブの遷移例]
本変形例の回路121aは、図12Aに示すように、対象起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲に該当する対象起電力カーブCすなわち複数の特徴点Pを含む対象起電力カーブCを取得する。そして、回路121aは、図12Bに示すように、複数の特徴点Pを含む対象起電力カーブCに二次電池の算出起電力カーブをフィッティングさせることで、二次電池の推定起電力カーブCを取得する。
[フローチャート]
図13は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図13の動作例は、図11に対して、ステップ100(S100)の処理が更に特定されている。すなわち、図13では、ステップ100(S100)として、ステップ111(S111)およびステップ121(S121)を実行する。
具体的には、ステップ111(S111)では、回路121aにより、特徴点が複数現れる容量範囲を記憶領域から読み出す。
ステップ121(S121)では、回路121aにより、ステップ111(S111)で読み出された特徴点が複数現れる容量範囲に該当する対象起電力カーブすなわち複数の特徴点を含む対象起電力カーブを取得する。
本変形例の蓄電装置100によれば、図10で説明した蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。または、本変形例によれば、複数の特徴点を含む対象起電力カーブへのフィッティングを行うことで、対象起電力カーブの取得時間の短縮化とフィッティングの精度の確保とを両立させることができる。
<8.第2の実施形態の第2の変形例>
本変形例の蓄電装置100は、特徴点が複数現れる容量範囲の態様が特定されている。以下、詳細に説明する。
[特徴点が複数現れる容量範囲]
特徴点が複数現れる容量範囲は、次のようにして予め取得されたものである。
先ず、二次電池111と同一品種の新品電池を用意し、これを起電力カーブ測定用の回路などに搭載した上で、新品電池の起電力カーブを測定する。
次に、電子装置などにより、新品電池の起電力カーブにおける選択された狭小容量範囲に該当するカーブ部分を対象としたフィッティングを行う。狭小容量範囲の態様は限定されず、例えば、一定の充電率の範囲であってもよい。この場合、狭小容量範囲の好ましい態様の一例として充電率1%を採用してもよいが、本開示はこれに限定されない。狭小容量範囲に該当するカーブ部分へのフィッティングには、予め取得されている新品電池の正負極の起電力カーブを用いてもよい。
狭小容量範囲に該当するカーブ部分を対象としたフィッティングの過程で、類似度が一定範囲に収まるようなフィッティングパラメータの場合の数をカウントする。類似度の態様は限定されないが、好ましい態様の一例として、狭小容量範囲に該当するカーブ部分と新品電池の算出起電力カーブとの差分の二乗平均すなわち最小二乗法を採用してもよい。
次に、狭小容量範囲を変更すなわちずらし、変更後の狭小容量範囲に該当するカーブ部分を対象としたフィッティングと、このフィッティングの過程で類似度が一定範囲に収まるようなフィッティングパラメータの場合の数のカウントとを行う。狭小容量範囲のずらし方は限定されないが、充電率100%側から0%側にずらすことが効率的である。
以上のような処理を、狭小容量範囲をずらしながら例えば全容量範囲が網羅されるまで繰り返す。これにより、図14中に実線で示される曲線Cのように、容量に応じたカウント値の変化を示すデータが得られる。なお、図14には、付加情報として、新品電池の起電力カーブCNEWが破線で示されている。
次に、狭小容量範囲の変化に応じたカウント値の変化についての極小値が示される狭小容量範囲を検出し、検出された狭小容量範囲を特徴点に該当する容量範囲と決定する。図14の例では、曲線C上に極小値をとる点が3点p〜pあるが、各点p〜pに対応する容量に対象起電力カーブCNEW上において対応する点が特徴点となる。
そして、特徴点に該当する容量範囲を複数含むような一連の容量範囲を、特徴点が複数現れる容量範囲として取得する。図14の例で言えば、3か所p〜pの容量を含む範囲を選択すればよい。本変形例の蓄電装置100は、このようにして取得された特徴点が複数現れる容量範囲が、容量劣化推定装置120の記憶領域または容量劣化推定装置120が読み出し可能な外部記憶装置の記憶領域に記憶されている。
カウント値の変化が極小値をとる極値点が3か所以上得られた場合には、カウント値が相対的に少ない2か所を選択し、選択された2か所で挟まれた容量範囲を特徴点が複数現れる容量範囲として取得してもよい。カウント値が少ない極少値は、新品電池の起電力カーブのより強い特徴が反映されていると言えるので、カウント値が少ない極小値に対応する2点で挟まれた容量範囲を選択することで、強い特徴が表れた対象起電力カーブを取得することができる。このようにすることで、フィッティングの精度を更に向上させることができる。
[フローチャート]
図15は、本変形例の容量劣化推定方法を示すフローチャートである。
図15では、先ず、ステップ601(S601)において、起電力カーブ測定用の回路などにより、新品電池の起電力カーブを測定する。
次いで、ステップ602(S602)において、マイクロコンピュータ等の電子装置などにより、ステップ601(S601)で測定された新品電池の起電力カーブのうちの選択された狭小容量範囲を対象としたフィッティングを開始する。電子装置は、起電力カーブ測定用の回路に搭載されていてもよい。
次いで、ステップ603(S603)において、電子装置などにより、ステップ602(S602)のフィッティングの過程で、類似度が一定範囲に収まるようなフィッティングパラメータの場合の数をカウントする。
次いで、ステップ604(S604)において、電子装置などにより、全ての狭小容量範囲についてのカウント値の取得が完了したか否かを判定する。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ605(S605)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ608(S608)に進む。
ステップ605(S605)に進んだ場合には、電子装置などにより、狭小容量範囲の変化に応じたカウント値の変化についての極小値を検出して、ステップ606(S606)に進む。
ステップ608(S608)に進んだ場合には、電子装置などにより、狭小容量範囲の選択を変更してステップ602(S602)に進む。
次いで、ステップ606(S606)において、電子装置などにより、狭小容量範囲の変化に応じたカウント値の変化についての極小値が示される狭小容量範囲を、特徴点に該当する容量範囲と決定する。
次いで、ステップ607(S607)において、電子装置などにより、ステップ606(S606)において決定された特徴点に該当する容量範囲を複数含むような一連の容量範囲を、特徴点が複数現れる容量範囲として取得する。
本変形例によれば、特徴点が複数現れる容量範囲を新品電池の起電力カーブへのフィッティングによって簡便かつ適切に取得することができる。
<9.第3の実施形態>
[装置の構成例]
本実施形態の蓄電装置100は、第1又は第2の実施形態の蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本実施形態の回路121aは、予め取得されたフィッティングに不要な容量範囲(以下、不要容量範囲と称する)に基づいて、不要容量範囲に該当する二次電池の起電力カーブを取得対象から除外する構成である。不要容量範囲は、予め回路121aの記憶領域または外部記憶装置の記憶領域に記憶させておいてもよい。
[装置の動作例]
図16は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図16に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図16の動作例は、図2に対して、ステップ100(S100)の処理が更に特定されている。すなわち、図16では、ステップ100(S100)に、ステップ130(S130)およびステップ140(S140)が含まれる。ステップ100(S100)には、第2の実施形態で説明した図11のステップ110(S110)およびステップ120(S120)または図13のステップ111(S111)およびステップ121(S121)も含まれてもよい。
ステップ130(S130)では、回路121aにより、不要容量範囲を記憶領域から読み出す。
ステップ140(S140)では、回路121aにより、ステップ130(S130)で読み出された不要容量範囲に該当する対象起電力カーブを取得対象から除外する。すなわち、不要容量範囲に該当する対象起電力カーブを取得しない。本実施形態を第2の実施形態と組み合わせる場合、回路121aは、少なくとも必要容量範囲に該当し、かつ、不要容量範囲に該当しない対象起電力カーブを取得する。
本実施形態の蓄電装置100によれば、第1の実施形態の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、フィッティングに不要な容量範囲の起電力カーブを用いないことで、容量劣化をより高精度に推定することが可能となる。
<10.第3の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図16で説明した蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本変形例の回路121aは、不要容量範囲が、対象起電力カーブにおいて起電力が閾値以下となる容量範囲とされた構成である。閾値は限定されないが、好ましい態様の一例として、放電末期の容量減少にともなう起電力の低下すなわちカーブの傾きが急峻となり始める電圧を採用することができる。閾値は、新品電池の起電力カーブに基づいて特定された電圧であってもよい。閾値の好ましい態様の一例として、3.2Vを採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。
[装置の動作例]
以下に説明する本変形例の蓄電装置100の動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
[起電力カーブの遷移例]
本変形例の回路121aは、図17Aに示すように、起電力が閾値Vth以下となる容量範囲が除外された対象起電力カーブCを取得する。そして、回路121aは、図17Bに示すように、起電力が閾値Vth以下となる容量範囲が除外された対象起電力カーブCに二次電池の算出起電力カーブをフィッティングさせることで、二次電池の推定起電力カーブCを取得する。
[フローチャート]
図18は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図18の動作例は、図16に対して、ステップ100(S100)の処理が更に特定されている。すなわち、図18では、ステップ100(S100)として、ステップ131(S131)およびステップ141(S141)を実行する。
具体的には、ステップ131(S131)では、回路121aにより、起電力が閾値以下となる容量範囲を記憶領域から読み出す。
ステップ141(S141)では、回路121aにより、ステップ131(S131)で読み出された起電力が閾値以下となる容量範囲に該当する対象起電力カーブを取得対象から除外する。このとき、第2の実施形態で説明した如く、取得される対象起電力カーブを必要容量範囲によって更に絞ってもよい。
本変形例の蓄電装置100によれば、図16で説明した蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。または、本変形例によれば、二次電池111の放電末期側の起電力の落差が大きい範囲に該当する対象起電力カーブを取得しないようにすることができるので、フィッティングの精度を向上させることができる。具体的には、放電末期側のカーブは、僅かなずれでも類似度が悪化してしまうため、正しくないフィッティングパラメータによって算出された二次電池の算出起電力カーブに対応する類似度が最適となる可能性がある。本変形例では、起電力が閾値以下となる容量範囲を除外することで、急峻な変化を示すカーブ部分を取得しないようにすることができるので、フィッティングの誤差を有効に低減することができる。
<11.第4の実施形態>
[装置の構成例]
本実施形態の蓄電装置100は、第1〜第3の実施形態の蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本実施形態の回路121aは、容量方向への変化後の正負極の起電力カーブの差分と対象起電力カーブとから算出される類似度に基づき、類似度に対する予め設定された判断基準にしたがってフィッティングの信憑性を判断する構成である。また、本実施形態の回路121aは、信憑性を有すると判断された場合の正負極の起電力カーブの差分をフィッティングの結果とする構成である。
[装置の動作例]
図19は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図19に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図19の動作例は、図2に対して、ステップ300(S300)の処理が更に特定されている。すなわち、図19では、ステップ300(S300)として、ステップ301(S301)〜ステップ306(S306)を実行する。
具体的には、ステップ301(S301)では、回路121aにより、正負極の起電力カーブを容量方向に所定の変化量だけ変化させる。この変化は、一定の容量刻み幅による位置変化および一定の拡大縮小倍率による拡大または縮小であってもよいが、これらに限定されない。
次いで、ステップ302(S302)において、回路121aにより、ステップ301(S301)における変化後の正負極の起電力カーブの差分すなわち二次電池の算出起電力カーブと、対象起電力カーブとに基づき、類似度を算出する。
次いで、ステップ303(S303)において、回路121aにより、ステップ301(S301)における変化によるフィッティングが、信憑性を有するか否かを判定すなわち判断する。本ステップにおける判定は、ステップ302(S302)において算出された類似度に基づいて行う。本ステップにおける判定は、類似度に対する予め設定された判断基準にしたがって行う。そして、本ステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ304(S304)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ305(S305)に進む。
ステップ304(S304)に進んだ場合には、回路121aにより、S301(S301)における変化によって得られた二次電池の算出起電力カーブを、フィッティングの結果すなわち二次電池の推定起電力カーブとする。ステップ304(S304)の後は、ステップ306(S306)に進む。
ステップ305(S305)に進んだ場合には、回路121aにより、S301(S301)における変化によって得られた二次電池の算出起電力カーブを、フィッティングの結果としない。ステップ305(S305)の後は、ステップ306(S306)に進む。
次いで、ステップ306(S306)において、回路121aにより、フィッティングを終了すべきか否かを判定する。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了し、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ301(S301)に戻る。このとき、回路121aは、ステップ301(S301)の繰り返しによる変化量の合計値が閾値に達した場合に処理を終了してもよく、または、二次電池の推定起電力カーブが決定された時点で処理を終了してもよいが、これらに限定されない。
以上のステップを実行する過程で、類似度如何によっては二次電池の推定起電力カーブが複数得られる場合がある。この場合に、図2のステップ400(S400)で説明した如く推定容量を算出すると、二次電池の推定起電力カーブが複数存在することで、各推定起電力カーブにそれぞれ対応する複数の推定容量すなわち容量劣化の推定値が算出され得る。この場合には、すべての二次電池の推定起電力カーブについての推定容量を算出し、推定容量の最大値と最小値との間のどこかの容量を真値と決定してもよい。真値を決定する場合、決定方法は限定されず、各推定容量の平均値などで決定してもよい。また、真値を決定せずに、推定容量の最大値と最小値とに挟まれた一定幅の容量を算出結果とすることも本開示の範囲内である。
本実施形態の蓄電装置100によれば、第1の実施形態の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、類似度を用いたフィッティングによって、容量劣化を効率的に推定することができる。もしくは、本実施形態によれば、類似度に基づく信憑性の判断を行うことで、電池容量の誤算を回避したり、ある程度の誤差範囲を許容した電池容量の算出といった柔軟な対応をしたりすることが可能となる。
<12.第4の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図19で説明した蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本変形例の回路121aは、類似度として、二次電池の算出起電力カーブと対象起電力カーブとの差分の二乗平均平方根を算出する構成である。また、本変形例の回路121aは、類似度に対する予め設定された判断基準として、二乗平均平方根で表される電圧値が閾値以下であることを用いる構成である。
[装置の動作例]
図20は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図20に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図20の動作例は、図19に対して、ステップ302(S302)およびステップ303(S303)の処理が更に特定されている。すなわち、図20では、ステップ302(S302)の具体例として、ステップ3021(S3021)およびステップ3022(S3022)を実行する。また、図20では、ステップ303(S303)の具体例として、ステップ3031(S3031)を実行する。
具体的には、ステップ3021(S3021)では、回路121aにより、二次電池の算出起電力カーブと対象起電力カーブとの差分を算出する。
ステップ3022(S3022)では、回路121aにより、ステップ3021(S3021)で算出された二次電池の算出起電力カーブと対象起電力カーブとの差分についての二乗平均平方根を類似度として算出する。
ステップ3031(S3031)では、回路121aにより、ステップ3022(S3022)によって算出された二乗平均平方根が閾値以下か否かを判定する。このとき、閾値の好ましい態様の一例として1mVを採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ304(S304)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ305(S305)に進む。
本変形例の蓄電装置100によれば、最小二乗法によってフィッティングを効率的に行うことができる。
<13.第4の実施形態の第2の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置100は、図19で説明した蓄電装置100に対して、回路121aの構成が更に特定されている。
具体的には、本変形例の回路121aは、類似度として、次の数式1に示される関数を用いる構成である。
Figure 2015087344
但し、数式1において、dは、図21に示すように、二次電池の算出起電力カーブCを構成するi番目のデータ値と、同図において丸点で離散的に示される対象起電力カーブCを構成するi番目のデータ値との差分すなわち起電力差である。aは、dに対応する放電容量の位置での二次電池の算出起電力カーブCの傾きである。隣接するデータ間の容量幅は限定されない。
なお、第2の実施形態の如く対象起電力カーブの容量範囲を限定する場合には、二次電池の算出起電力カーブCの全データのうちの対象起電力カーブの容量範囲に該当する一部のデータが、数式1の関数を用いた類似度の導出に用いられることになる。
また、本変形例の回路121aは、容量劣化による二次電池の起電力カーブの容量方向への変化量を、正極と負極とで個別に推定する構成である。具体的には、数式1の関数で評価される二次電池の算出起電力カーブCは2つある。1つ目の二次電池の算出起電力カーブCは、正極の起電力カーブは固定したまま負極の起電力カーブを容量方向に変化させた場合に両極のカーブの差分から求められるカーブ(以下、正極側を固定した二次電池の算出起電力カーブと称する)である。2つ目の二次電池の算出起電力カーブCは、負極の起電力カーブは固定したまま正極の起電力カーブを容量方向に変化させた場合に両極のカーブの差分で求められるカーブ(以下、負極側を固定した二次電池の算出起電力カーブと称する)である。
本変形例の回路121aは、正極側を固定した二次電池の算出起電力カーブについての数式1の関数が最小となるときの負極の算出起電力カーブすなわち負極の推定起電力カーブを求める構成である。また、本変形例の回路121aは、負極側を固定した二次電池の算出起電力カーブについての数式1の関数が最小となるときの正極の算出起電力カーブすなわち正極の推定起電力カーブを求める構成である。そして、本変形例の回路121aは、以上のようにして算出された正極の推定起電力カーブと負極の推定起電力カーブとの差分を求めることで、二次電池の推定起電力カーブすなわちフィッティングの結果を取得する構成である。
[装置の動作例]
図22は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図22に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図22では、ステップ301(S301)の具体例として、ステップ301a(S301a)およびステップ301b(S301b)を実行する。また、図22では、ステップ302(S302)の具体例として、ステップ3021a(S3021a)、3021b(S3021b)、3022a(S3022a)および3022b(S3022b)を実行する。さらに、図22では、ステップ303(S303)の具体例として、ステップ3031a(S3031a)およびステップ3031b(S3031b)を実行する。さらにまた、図22では、ステップ304(S304)の具体例として、ステップ3041(S3041)を実行する。また、図22では、ステップ306(S306)の具体例として、ステップ3061a(S3061a)およびステップ3061b(S3061b)を実行する。
具体的には、ステップ301a(S301a)では、回路121aにより、負極の起電力カーブを容量方向に所定の変化量だけ変化させて、正極側を固定した二次電池の算出起電力カーブを求める。ステップ301b(S301b)では、回路121aにより、正極の起電力カーブを容量方向に所定の変化量だけ変化させて、負極側を固定した二次電池の算出起電力カーブを求める。
ステップ301a(S301a)の次工程であるステップ3021a(S3021a)では、回路121aにより、正極側を固定した二次電池の算出起電力カーブにおけるi番目のデータ値と対象起電力カーブにおけるi番目のデータ値との差分dを算出する。また、ステップ3021a(S3021a)では、回路121aにより、正極側を固定した二次電池の算出起電力カーブの傾きaを算出する。ステップ3021a(S3021a)における差分dおよび傾きaの算出は、全てのiについて行う。
ステップ301b(S301b)の次工程であるステップ3021b(S3021b)では、回路121aにより、負極側を固定した二次電池の算出起電力カーブにおけるi番目のデータ値と対象起電力カーブにおけるi番目のデータ値との差分dを算出する。また、ステップ3021b(S3021b)では、回路121aにより、負極側を固定した二次電池の算出起電力カーブの傾きaを算出する。ステップ3021b(S3021b)における差分dおよび傾きaの算出も、全てのiについて行う。
ステップ3021a(S3021a)の次工程であるステップ3022a(S3022a)では、回路121aにより、前工程で算出されたdおよびaを数式1に代入して、正極側を固定した二次電池の算出起電力カーブについての類似度を算出する。ステップ3021b(S3021b)の次工程であるステップ3022b(S3022b)では、回路121aにより、前工程で算出されたdおよびaを数式1に代入して、負極側を固定した二次電池の算出起電力カーブについての類似度を算出する。
ステップ3022a(S3022a)の次工程であるステップ3061a(S3061a)では、回路121aにより、負極の起電力カーブの容量方向への所定の変化量ずつの変化が、所定の容量範囲について終了したか否かを判定する。所定の容量範囲は400mAh〜1600mAhであってもよいが、これに限定されない。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3031a(S3031a)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ301a(S301a)に戻って負極の起電力カーブを容量方向に更に変化させる。
ステップ3022b(S3022b)の次工程であるステップ3061b(S3061b)では、回路121aにより、正極の起電力カーブの容量方向への所定の変化量ずつの変化が、所定の容量範囲について終了したか否かを判定する。所定の容量範囲は400mAh〜1600mAhであってもよいが、これに限定されない。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3031b(S3031b)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ301b(S301b)に戻って、正極の起電力カーブを容量方向に更に変化させる。
ステップ3031a(S3031a)では、回路121aにより、ステップ3022a(S3022a)の繰り返しによって取得された複数回分の類似度の算出結果に基づいて、負極の推定起電力カーブを検出する。ステップ3031b(S3031b)では、回路121aにより、ステップ3022b(S3022b)の繰り返しによって取得された複数回分の類似度の算出結果に基づいて、正極の推定起電力カーブを検出する。ステップ3031a(S3031a)およびステップ3031b(S3031b)では、数式1の値が最小であることを、信憑性の判断基準としている。
正極の推定起電力カーブを検出するまでの一連の処理と、負極の推定起電力カーブを検出するまでの一連の処理との時系列な前後関係は限定されない。例えば、正極の推定起電力カーブを検出した後に負極の推定起電力カーブを検出してもよく、または、負極の推定起電力カーブを検出した後に正極の推定起電力カーブを検出してもよい。
ステップ3041(S3041)では、回路121aにより、前工程であるステップ3031a(S3031a)で算出された負極の推定起電力カーブと、前工程であるステップ3031b(S3031b)で算出された正極の推定起電力カーブとの差分を求める。このようにして、二次電池の推定起電力カーブを得る。ステップ3031a(S3031a)、ステップ3031b(S3031b)およびステップ3041(S3041)は、実質的に、図19のステップ305(S305)で述べたような信憑性のない算出起電力カーブを推定起電力カーブにしない処理を内包する。
本変形例の蓄電装置100によれば、数式1のような傾きaの逆数を重みとした関数を類似度の算出に用いることで、傾きの大きなカーブ部分では容量方向の僅かなずれでも差分が大きくなる現象に、第3の実施形態とは別の手法で対処することができる。本変形例では、第3の実施形態で除外した起電力が閾値以下のカーブ部分を対象としたフィッティングを高精度に行うことができる。ただし、本変形例を第3の実施形態と組み合わせることも、本開示の範囲内である。また、本変形例の蓄電装置100によれば、傾きが小さい中間部分に特徴が強く出てくる負極(図5B参照)と、傾きが大きい部分に特徴のある正極(図5A参照)とを分離して個別にフィッティングすることで、フィッティング効率を高めることができる。
<14.第5の実施形態>
[装置の構成例]
本実施形態の蓄電装置100は、第1〜第4の実施形態の蓄電装置100に対して構成が更に特定されている。以下、詳細に説明する。
本実施形態の回路121aは、フィッティングの際における正負極の起電力カーブの位置の変化量が閾値以上となった場合に、電池交換の信号を出力する構成である。電池交換の信号の態様は限定されず、画像信号または音声信号もしくはこれらの双方などであってもよい。本開示では、充放電サイクルを利用して容量劣化を推定する場合のように蓄電装置を停止させる必要がないので、電池交換の信号は、回路121aが備えられた蓄電装置100の稼働状態すなわち実使用状態において出力することも可能である。この場合、電池交換をすみやかに促すことができる。
[装置の動作例]
図23は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図23に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図23では、先ず、ステップ701(S701)において、回路121aにより、フィッティングの際に、正負極の起電力カーブの位置の変化量を監視する。
次いで、ステップ702(S702)において、回路121aにより、変化量の合計が閾値以上となったか否かを判定する。そして、肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ703(S703)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ701(S701)に戻る。ステップ702(S702)の処理は、容量劣化の推定後に行ってもよい。
次いで、ステップ703(S703)において、回路121aにより、電池交換の信号を出力する。
本実施形態によれば、有効電荷担体量の減少量が大きくなった場合に電池交換を促すことができるので、電荷担体の析出による短絡の回避についての容易性および確実性を高めることができる。
<15.第5の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
図24は、本変形例の蓄電装置100の構成例を模式的に示す全体図である。本変形例の蓄電装置100は、図23で説明した蓄電装置100に対して構成が更に特定されている。以下、詳細に説明する。
[機器200]
図24に示すように、本変形例の蓄電装置100には、機器200が接続されている。機器200は、電源201、負荷202、切り替えスイッチ203および表示器204を備える。電源201および負荷202は、切り替えスイッチ203の動作によって二次電池111に電気的に接続される。電源201は、二次電池111との接続状態において二次電池111に充電電流を供給する。負荷202は、二次電池111との接続状態において二次電池111から放電電流を供給される。表示器204は、回路121aに信号線SLを介して接続される。表示器204は、回路121aから出力された画像信号を表示する。画像信号は、電池交換の信号を含む。機器200は、切り替えスイッチ203以外のスイッチを更に備えてもよい。機器200の具体的な態様は限定されない。機器200が一般家庭の機器であれば、電源201は商用電源を直流に変換するコンバータや太陽電池などであり、負荷202は各種電気製品であってもよい。機器200が電気自動車である場合には、電源201はモータや太陽電池などであり、負荷202は、各種電装機器であってもよい。
[スイッチ150]
図24に示すように、本変形例の蓄電装置100は、二次電池111の電路上にスイッチ150を備える。スイッチ150は、オン動作によって電路を接続状態に切り替え、オフ動作によって電路を切断状態に切り替える構成である。
[回路121a]
本変形例の回路121aは、電圧計130から取得される電圧データに基づいて電圧異常を検知する構成である。また、本変形例の回路121aは、電圧異常が検知された場合に、スイッチ150をオフ状態に切り替えて、機器200からの充電時における過充電および機器200への放電時における過放電を防止する構成である。さらに、本変形例の回路121aは、電圧異常が検知された場合に、電圧異常の信号を出力する構成である。電圧異常の信号の態様は限定されず、例えば、画像信号または音声信号もしくはこれらの双方であってもよい。
また、本変形例の回路121aは、時間をカウントしながら一定時間分の解放電圧データを蓄積し、時間0秒からの電圧降下量を次の数式2でフィッティングする構成である。
Figure 2015087344
但し、数式2において、tは時間であり、A、Bはフィッティングパラメータである。
そして、回路121aは、時間0秒のときの電圧からAだけ減じた値を起電力の推定値とする構成である。
さらに、本変形例の回路121aは、算出された容量劣化の推定値によって、メモリ122に保持されている現在の電池容量を更新する構成である。さらにまた、本変形例の回路121aは、更新された電池容量から算出された放電容量を減じることで、電池残量を算出する構成である。また、本変形例の回路121aは、電池残量の信号を出力する構成である。電池残量の信号の態様は限定されず、例えば、画像信号または音声信号もしくはこれらの双方であってもよい。メモリ122は、電池容量、放電容量、有効リチウム量および時間カウントと、起電力と放電容量の対となるデータの列を保持することができるメモリ容量を有する。例えば、起電力と放電容量との対を各16ビットすなわち合計32ビットで管理して300点保持するには、最低でも1200バイトが必要となる。更に、電池容量、放電容量、有効リチウム量および時間カウントの4つのデータをそれぞれ16ビットで格納する場合、更に64ビットすなわち8バイトが必要となり、合計で1208バイトを要することになる。この場合、電池本数×1.3キロバイトのメモリを確保することで十分に対応することができる。その他に、フィッティングの演算に5キロバイトを要すると、電池1本あたり1.8キロバイトを確保すればよい。電池10本では18キロバイトである。ただし、以上のメモリ容量の態様はあくまで例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
[装置の動作例]
[第1のフローチャート]
図25は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示す第1のフローチャートである。図25に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。以下、図25の動作例について、図4との相違点を中心に説明する。
図25では、図4のステップ101(S101)に示した電圧・電流データの取得を、ステップ1011(S1011)における電圧データの取得と、ステップ1012(S1012)における電流データの取得とに分けている。
ステップ1011(S1011)の前工程すなわち図25の最初の工程であるステップ801(S801)では、回路121aにより、時間のカウント値をリセットする。
ステップ1011(S1011)とステップ1012(S1012)との間において、回路121aにより、ステップ802(S802)を実行する。すなわち、ステップ1011(S1011)で取得された電圧が安定範囲内に収まっているか否かを判定し、判定結果が肯定的であればステップ1012(S1012)に進み、判定結果が否定的であれば、ステップ805(S805)に進む。
ステップ805(S805)に進んだ場合、回路121aにより、スイッチ150をオフしてステップ806(S806)に進む。ステップ806(S806)では、回路121aにより、電圧異常の信号を出力して処理を終了する。
ステップ1012(S1012)の次工程である放電容量の算出工程(S102)の後は、回路121aにより、ステップ803(S803)およびステップ804(S804)の一連の処理を行う。すなわち、電池残量を算出し(S803)、電池残量の信号を出力する(S804)。
ステップ804(S804)の次工程は、図4のステップ103(S103)の具体例としてのステップ1031(S1031)〜ステップ1034(S1034)である。ステップ1031(S1031)では、電流値が0Aか否かを判定し、判定結果が肯定的であればステップ1032(S1032)に進み、判定結果が否定的であればステップ801(S801)に戻る。ステップ1032(S1032)では、電圧データと時間データをメモリに転送する。ステップ1033(S1033)では、時間カウントを進める。ステップ1034(S1034)では、時間カウントが閾値時間に達したか否かを判定する。このとき、閾値時間の好ましい態様の一例として、2分を採用してもよいが、本開示はかかる態様に限定されない。そして、ステップ1034(S1034)の判定結果が肯定的であればステップ1041(S1041)に進み、判定結果が否定的であればステップ1011(S1011)に戻る。
ステップ1041(S1041)と次工程のステップ1042(S1042)は、図4のステップ104(S104)の具体例である。ステップ1041(S1041)では、起電力を推定する。ステップ1042(S1042)では、起電力と放電容量のデータをメモリに転送する。
ステップ1042(S1042)の次工程は、図4のステップ105(S105)の具体例としてのステップ1051(S1051)である。ステップ1051(S1051)では、指定容量範囲に一定間隔のデータが溜まったか否かを判定する。このとき、指定容量範囲が400mAh〜1600mAh、一定間隔が20mAhである場合、400mAh〜1600mAhを20mAhで区切った60個の範囲のそれぞれに最低でも1点のデータがある状態で、データが溜まったということになる。ただし、本開示はかかる態様に限定されるものではない。そして、ステップ1051(S1051)の判定結果が肯定的であれば容量劣化推定のための以降の工程(図2のS200〜S400)に進み、判定結果が否定的であればステップ801(S801)に戻る。
ステップ200(S200)〜ステップ400(S400)の後は、第2のフローチャートに移行する。
[第2のフローチャート]
図26は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示す第2のフローチャートである。図26に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図26では、先ず、ステップ807(S807)において、回路121aにより、メモリ内の電池容量を更新する。
次いで、ステップ808(S808)において、回路121aにより、電池残量を算出する。二次電池の推定起電力カーブが1つも無い場合や、電池容量の範囲が新品の電池容量の所定割合(例えば、10%)を超える場合には、電池容量を更新せずに電池残量を算出してもよい。
次いで、ステップ809(S809)において、回路121aにより、電池残量の信号を出力する。
次いで、ステップ810(S810)において、回路121aにより、メモリ内の起電力と放電容量のデータを消去する。
次いで、図23で説明した電池交換の信号の出力処理に移行する。図26では、図23のステップ701(S701)およびステップ702(S702)の具体例として、ステップ7012(S7012)を実行する。ステップ7012(S7012)では、有効リチウム量が一定量を下回っているか否かを判定し、判定結果が肯定的であればステップ703(S703)に進み、判定結果が否定的であれば図25のステップ801(S801)に戻る。有効リチウム量は、正負両極の起電力カーブの容量方向への移動量の和を新品の電池容量で除したものを1から減じた値に比例するため、この値が所定値たとえば0.8を下回ることを、有効リチウム量が一定量を下回ることの判断基準としてもよい。この場合、20%のリチウムが副反応や析出で失われていることになる。
本変形例によれば、図23で説明した蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができ、または、金属リチウムの析出による短絡を未然に回避することができる。
<16.第6の実施形態>
[装置の構成例]
本実施形態の蓄電装置100は、第1〜第5の実施形態の蓄電装置100に対して、回路121aの構成が相違する。
すなわち、本実施形態の回路121aは、通信によって取得された二次電池111の電圧データおよび電流データに基づいて、対象起電力カーブを取得する構成である。
より具体的な構成例を図27に示す。図27に示すように、蓄電装置100は、演算装置121に接続された第1の通信機123を備える。回路121aは、第1の通信機123を介して、二次電池111の電圧データおよび電流データを通信によって受信する。そして、回路121aは、受信された電圧データおよび電流データに基づいて、対象起電力カーブを取得する。本実施形態では、回路121aが、二次電池111の温度データ等の電圧データおよび電流データ以外の二次電池111の情報も受信することを除外しない。
回路121aおよびメモリ122は、二次電池111と離隔された位置に配置されていてもよい。回路121aは、ネットワークを介して二次電池111の情報の提供元と通信接続されてもよい。
ネットワークは、外部ネットワーク等であってもよい。外部ネットワークは、インターネット等であってもよい。演算装置121は、インターネット上のサーバ等であってもよい。回路121aによる二次電池111の情報の受信形態は限定されず、如何なるルートを経て二次電池111の情報が回路121aに受信されようと本開示における容量劣化推定装置の範囲内である。第1の通信機123の通信方式等の具体的な態様も限定されず、提供元と通信接続されるあらゆる態様の通信機を採用してもよい。第1の通信機123は、演算装置121に備えられてもよい。
二次電池111の情報の提供元は、二次電池111側に設けられた通信機や二次電池111の情報を取得したネットワーク上のコンピュータなどであってもよいが、これらに限定されない。通信接続の確立のトリガも限定されない。例えば、回路121a側から提供元に二次電池111の情報を要求し、提供元が要求に応答する構成でもよく、または、常時もしくは定期的に提供元から回路121a側に二次電池111の情報が送信される構成でもよい。
[装置の動作例]
図28は、本実施形態の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図28に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
本実施形態では、図2のステップ100(S100)の具体例として、ステップ1001(S1001)〜ステップ1004(S1004)を実行する。
具体的には、ステップ1001(S1001)では、回路121aにより、二次電池111の情報の提供元との通信接続を確立する。
ステップ1002(S1002)では、回路121aにより、電圧データを通信によって提供元から受信する。
ステップ1003(S1003)では、回路121aにより、電流データを通信によって提供元から受信する。
ステップ1004(S1004)では、回路121aにより、ステップ1002(S1002)において受信された電圧データおよびステップ1003(S1003)において受信された電流データに基づいて対象起電力カーブを算出する。その後は、容量劣化推定のための以降の工程(図2で説明したS200〜S400)を実行する。
本実施形態によれば、第1〜第5の実施形態と同様の作用効果を奏することができ、または、複数の場所に存在する二次電池111の容量劣化を単一の回路121aによって推定することも可能となる。
<17.第6の実施形態の第1の変形例>
[装置の構成例]
本変形例の蓄電装置1は、図27の蓄電装置100に対して、二次電池111側の構成が特定されている。
具体的には、図29に示すように、本変形例の蓄電装置100は、電圧計130および電流計140に接続された第2の通信機170を備える。
第2の通信機170は、電圧計130から入力された電圧データおよび電流計140から入力された電流データを回路121aに向けて送信する構成である。第2の通信機170の具体的な態様は限定されない。本変形例では、二次電池111に温度計等の電圧計130および電流計140以外の計器すなわちセンサを接続した場合、第2の通信機17が該計器の検出データを回路121a側に送信することを除外しない。
[装置の動作例]
図30は、本変形例の蓄電装置100の動作例を示すフローチャートである。図30に示す動作例は、本開示に係る容量劣化推定方法の一実施形態を含む。
図30では、先ず、ステップ1005(S1005)において、第2の通信機170により、第1の通信機123との通信接続を確立する。
次いで、ステップ1006(S1006)において、電圧計130により、二次電池111の端子電圧を測定し、電圧データを第2の通信機170に出力する。
次いで、ステップ1007(S1007)において、電流計140により、二次電池111の電流を測定し、電流データを第2の通信機170に出力する。
次いで、ステップ1008(S1008)において、第2の通信機170により、電圧データを回路121a側に送信する。
次いで、ステップ1009(S1009)において、第2の通信機170により、電流データを回路121a側に送信する。その後は、図28で説明したステップ1002(S1002)以降の処理に移行する。
本変形例によれば、第1〜第5の実施形態と同様の作用効果を奏することができ、または、二次電池111ごとに回路121aを備える必要がなくなり、コストを削減することができる。
上述の各実施形態および変形例は、これらを適宜組み合わせてもよい。任意の1つの実施形態または変形例中のある構成部を、他の実施形態または変形例に追加したり、他の実施形態または変形例中の構成部と置換したりする場合も、本開示の範囲内である。例えば、図29に示した第2の通信機170に図24で示した表示器204をGPU(Graphics Processing Unit)等の画像処理回路を介して接続してもよい。この場合、図27に示した容量劣化推定装置120から第1の通信機123を介して送信された各種警告信号(例えば、電池交換の信号等)を、第2の通信機170で受信して表示器204に表示するようにしてもよい。
各実施形態および変形例に記載された作用効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の作用効果があってもよい。本開示は、各実施形態および変形例に記載された複数の作用効果のいずれか一つを奏すればよい。
また、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
(1)予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成の回路を備える容量劣化推定装置。
(2)前記回路は、予め取得された前記フィッティングに必要な容量範囲に基づいて、少なくとも前記フィッティングに必要な容量範囲に該当する前記二次電池の起電力カーブを取得する構成の(1)記載の容量劣化推定装置。
(3)前記フィッティングに必要な容量範囲は、前記二次電池の起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲である(2)記載の容量劣化推定装置。
(4)前記回路は、予め取得された前記フィッティングに不要な容量範囲に基づいて、前記フィッティングに不要な容量範囲に該当する前記二次電池の起電力カーブを取得対象から除外する構成の(2)または(3)記載の容量劣化推定装置。
(5)前記フィッティングに不要な容量範囲は、前記二次電池の起電力カーブにおいて起電力が閾値以下となる容量範囲である(4)記載の容量劣化推定装置。
(6)前記回路は、前記容量方向への変化後の前記両極の起電力カーブの差分と前記二次電池の起電力カーブとから算出される類似度に基づき、前記類似度に対する予め設定された判断基準にしたがってフィッティングの信憑性を判断し、信憑性を有すると判断された場合の前記両極の起電力カーブの差分をフィッティングの結果とする構成の(1)〜(5)のいずれかに記載の容量劣化推定装置。
(7)前記回路は、通信によって取得された前記二次電池の電圧情報および電流情報に基づいて前記二次電池の起電力カーブを取得する構成の(1)〜(6)のいずれかに記載の容量劣化推定装置。
(8)前記回路は、前記フィッティングの際に、前記両極の起電力カーブの容量方向における位置および形状を変化させる構成の(1)〜(7)のいずれかに記載の容量劣化推定装置。
(9)前記回路は、前記フィッティングの際における前記両極の起電力カーブの前記位置の変化量が閾値以上となった場合に、電池交換の信号を出力する構成の(8)記載の容量劣化推定装置。
(10)前記回路は、前記電池交換の信号を前記回路が備えられた蓄電装置の稼働状態において出力する構成の(9)記載の容量劣化推定装置。
(11)前記回路は、前記両極の起電力カーブの前記形状を、前記両極の起電力カーブを容量方向に拡大または縮小させることで変化させる構成の(8)〜(10)のいずれかに記載の容量劣化推定装置。
(12)コンピュータを、
予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる手段
として機能させる容量劣化推定プログラム。
100 蓄電装置
111 二次電池
120 容量劣化推定装置
121a 回路

Claims (14)

  1. 予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成の回路を備える容量劣化推定装置。
  2. 前記回路は、予め取得された前記フィッティングに必要な容量範囲に基づいて、少なくとも前記フィッティングに必要な容量範囲に該当する前記二次電池の起電力カーブを取得する構成の請求項1記載の容量劣化推定装置。
  3. 前記フィッティングに必要な容量範囲は、前記二次電池の起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲である請求項2記載の容量劣化推定装置。
  4. 前記回路は、予め取得された前記フィッティングに不要な容量範囲に基づいて、前記フィッティングに不要な容量範囲に該当する前記二次電池の起電力カーブを取得対象から除外する構成の請求項2記載の容量劣化推定装置。
  5. 前記フィッティングに不要な容量範囲は、前記二次電池の起電力カーブにおいて起電力が閾値以下となる容量範囲である請求項4記載の容量劣化推定装置。
  6. 前記回路は、前記容量方向への変化後の前記両極の起電力カーブの差分と前記二次電池の起電力カーブとから算出される類似度に基づき、前記類似度に対する予め設定された判断基準にしたがってフィッティングの信憑性を判断し、信憑性を有すると判断された場合の前記両極の起電力カーブの差分をフィッティングの結果とする構成の請求項1記載の容量劣化推定装置。
  7. 前記回路は、通信によって取得された前記二次電池の電圧情報および電流情報に基づいて前記二次電池の起電力カーブを取得する構成の請求項1記載の容量劣化推定装置。
  8. 前記回路は、前記フィッティングの際に、前記両極の起電力カーブの容量方向における位置および形状を変化させる構成の請求項1記載の容量劣化推定装置。
  9. 前記回路は、前記フィッティングの際における前記両極の起電力カーブの前記位置の変化量が閾値以上となった場合に、電池交換の信号を出力する構成の請求項8記載の容量劣化推定装置。
  10. 前記回路は、前記両極の起電力カーブの前記形状を、前記両極の起電力カーブを容量方向に拡大または縮小させることで変化させる構成の請求項8記載の容量劣化推定装置。
  11. 二次電池と、
    予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる構成の回路を有する容量劣化推定装置と
    を備える蓄電装置。
  12. 予め取得された正極及び負極の起電力カーブを容量方向に相対的に変化させて両極の起電力カーブの差分を二次電池の起電力カーブにフィッティングさせる容量劣化推定方法。
  13. 前記二次電池の起電力カーブの特徴点が複数現れる容量範囲を予め取得し、取得された前記容量範囲に基づいて、前記複数の特徴点が含まれる前記二次電池の起電力カーブを取得する請求項12記載の容量劣化推定方法。
  14. 新品の二次電池の起電力カーブにおける選択された狭小容量範囲に該当するカーブ部分を対象としたフィッティングを、前記狭小容量範囲をずらしながら繰り返し、
    前記狭小容量範囲毎に類似度が一定範囲に収まるようなフィッティングパラメータの場合の数をカウントし、
    前記狭小容量範囲の変化に応じたカウント値の変化についての極小値が示される狭小容量範囲を、前記特徴点に該当する容量範囲と決定し、
    前記特徴点に該当する容量範囲を複数含むような一連の容量範囲を、前記特徴点が複数現れる容量範囲として取得する請求項13記載の容量劣化推定方法。
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