JP2015086411A - 材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これまでに、高強度熱延鋼板の材質安定性や溶接性について種々の検討がなされており、例えば次のような技術が公開されている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、980MPa以上の引張強さを有し、材質安定性および溶接性にも優れた高強度熱延鋼板を提供することを目的とする。
鋼板強度を向上させる手法としては、熱延鋼板の母相組織をベイナイトやマルテンサイトといった低温変態相とする手法が考えられる。しかし、マルテンサイトは、ベイナイトよりも高強度であるものの靭性に乏しい。そのため、マルテンサイトを主たる組織とする鋼板を自動車部材に適用した場合には、部材の衝撃エネルギー吸収能が低下する等、様々な支障をきたす。
一般的に、鋼のC含有量が高くなるにつれて、鋼の溶接性は低下する。一方、Cは固溶強化元素であり、C含有量を低減すると鋼の強度不足が問題となる。また、C含有量を低減すると、軟質な組織であるフェライトが生成し易くなるため、やはり鋼の強度不足が問題となる。
[1] 質量%で、C:0.09%以上0.17%以下、Si:1.0%超1.6%以下、Mn:1.5%以上2.5%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.08%以下、N:0.0080%以下、Ti:0.09%以上0.14%以下、V:0.05%以上0.25%以下を含有し、Cr、NiおよびMoの含有量をそれぞれ0.06%以下(0%を含む)に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ベイナイト相の面積率が80%以上であり、Fe析出量が0.50%以下である組織を有し、引張強さが980MPa以上であることを特徴とする材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板。
先ず、本発明熱延鋼板の成分組成の限定理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%(mass%)を意味するものとする。
Cは、ベイナイト相の生成を促進する効果を有する。また、Cは、固溶強化元素であり、ベイナイト相の強度を上昇させる効果も有する。引張強さ:980MPaの熱延鋼板を得るためには、C含有量を0.09%以上とする必要がある。一方、C含有量が0.17%を超えると、HAZ部での硬度差増大に起因した溶接性が低下する問題が顕在化する。溶融金属部に近い冷却速度が大きい領域ではマルテンサイト組織となるが、マルテンサイト組織の硬度はC量増大に伴い上昇する。0.17%を超えるC量を含有した場合、このマルテンサイト組織となり硬化する領域と、母材に近い領域、すなわち冷却速度が小さく軟化する領域との硬度差が大きくなる。このため、軟化領域で溶接継手が破断し易くなり、溶接継手の引張強さが低下する。したがって、C含有量は0.09%以上0.17%以下とする。好ましくは、0.10%超0.16%以下である。
Siは、鋼の靭性を阻害する粗大な酸化物やセメンタイトを抑制し、且つ、固溶強化にも寄与する元素である。また、Siは、熱延鋼板を製造する際、熱間圧延終了後の冷却・巻取り工程でのベイナイト変態開始温度(Bs点)を上昇させ、ベイナイト変態を生じさせる温度域を広げる作用を有するため、熱延鋼板の材質安定性向上に有効な元素でもある。更に、Siは、鋼のHAZ部での軟化を抑制する作用を有し、熱延鋼板の溶接性改善に重要な元素である。
Mnは、フェライト相の核生成を抑制する作用を有し、熱延鋼板の強度上昇に寄与する重要な元素である。後述する所望の金属組織を得るには、Mn含有量を1.5%以上とする必要がある。一方、Mn含有量が2.5%を超えると、鋼の鋳造性が著しく低下し、熱延鋼板の生産性が大幅に低下する。したがって、Mn含有量は1.5%以上2.5%以下とする。好ましくは1.6%以上2.4%以下である。
15≦−198×[%C]+220×[%Si]−80×[%Mn]≦150 …(1)
Pは、粒界に偏析して鋼の加工時に粒界割れの起点となる。このように、Pは、熱延鋼板の加工性を劣化させる有害な元素であるため、その含有量を極力低減することが好ましい。本発明では、上記問題点を回避すべく、P含有量を0.03%以下に制限する。好ましくは0.02%以下である。
Sは、鋼中でMnSなどの介在物として存在する。この介在物は、熱延鋼板を製造する際、熱間圧延中に伸展する。このように伸展した介在物は、加工時に割れの起点となるため、熱延鋼板の加工性に悪影響を及ぼす。したがって、本発明では、S含有量を極力低減することが好ましく、0.005%以下とする。好ましくは0.003%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには、Al含有量を0.02%以上とすることが好ましい。一方で、Alは、酸化物等を形成して曲げ加工時にボイドの起点となるため、Al含有量が0.08%を超えると熱延鋼板の曲げ性への悪影響が顕在化する。したがって、Al含有量は0.08%以下とする。好ましくは0.06%以下である。
Nは、製鋼、連続鋳造の段階でTiと結合してTiNを形成する。粗大なTiNは、フェライト核生成サイトになり易い。そのうえ、TiNが形成されると、固溶Tiが減少するため、鋼の焼入性が低下してフェライト相が生成し易くなり、引張強さ:980MPa以上の熱延鋼板を得ることが困難となる。したがって、本発明では、粗大なTiNの形成を抑制する必要があり、N含有量を0.0080%以下に制限する。好ましくは0.0070%以下である。但し、Nを低減しすぎると、TiNによる結晶粒の成長を抑制する作用がなくなり、結晶粒が粗大化して鋼板の靭性が低下する。このため、N含有量は0.0020%以上とすることが好ましい。
Tiは、固溶状態で熱延鋼板に存在している場合、フェライト相の核生成を抑制し、実質的に熱延鋼板の高強度化に寄与する元素である。このような効果を得るには、Ti含有量を0.09%以上とする必要がある。一方、Ti含有量が過剰に高くなると、熱延鋼板を製造する際、スラブ(鋼素材)の加熱段階で粗大なTiCを溶解することができない。粗大なTiCは応力集中部になり易く、熱延鋼板の靱性や加工性を低下させる。したがって、Ti含有量は0.14%以下とする。好ましくは0.10%以上0.13%以下である。
Vは、本発明において重要な元素のひとつである。Vは、Tiと同様に固溶状態でフェライト相の核生成を抑制する効果がある。本発明は、Siを適量含有させることを特徴のひとつとするが、フェライト生成元素であるSiを含有させると、フェライト変態がランアウトテーブル上での冷却中に開始してしまい、所望のベイナイト組織が得られなくなる。このような問題に対し、本発明者らによる検討の結果、TiとVとを複合添加することにより、所定量のSiを含有する場合であっても所望の焼入性を確保できることが確認された。また、この焼入性向上効果に加え、Vを適量含有すると、ベイナイトのラス構造が微細化することも確認された。これらの効果を得るには、V含有量を0.05%以上とする必要がある。一方、V含有量が0.25%を超えると、熱延鋼板の靱性が著しく低下する。したがって、V含有量は0.25%以下に限定する。好ましくは0.08%以上0.23%以下である。
Cr、Ni、Moはいずれも、熱延鋼板を製造する際、熱間圧延終了後の冷却・巻取り工程でのベイナイト開始温度を低下させる元素である。したがって、Cr、Ni、Moの含有量が高くなると、ランアウトテーブルでの冷却が遷移沸騰領域に差し掛かり、巻取り温度が不安定となる結果、熱延鋼板の材質安定性が悪化する。このような理由により、Cr、Ni、Moの含有量は可能な限り低減することが望ましいが、それぞれ0.06%までは許容できるため、上限量を0.06%とした。また、これらの元素の含有量は、それぞれ0.04%以下とすることが好ましく、不純物レベルまで低減してもよい。更に、これらの元素の含有量は、いずれも0%とすることがより一層好ましい。なお、これらの元素の合計含有量は、0.1%以下とすることが好ましい。
B :0.0001%以上0.005%以下
Bは、粒界に偏析し易く、オーステナイト→フェライト変態の開始を抑制する効果があり、熱延鋼板の材質安定性を高める元素である。このような効果を得るには、B含有量を0.0001%以上にすることが好ましい。一方、B含有量が0.005%を超えると上記効果が飽和するため、0.005%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.0003%以上0.003%以下である。
Ca:0.0001%以上0.005%以下、REM:0.0001%以上0.005%以下のうちから選ばれる1種または2種
Ca、REM(REM:Sc、Yおよび原子番号57から71までのランタノイド元素)は、鋼中の介在物の形態を制御し、介在物から発生するボイド発生を抑制するのに有効な元素である。このような効果を得るには、Ca、REMのうちから選ばれる1種以上を含有することが好ましく、これらの元素の含有量はいずれも0.0001%以上とすることが好ましい。一方、これらの元素はいずれも、含有量が0.005%を超えると上記効果が飽和するため、Ca、REMの含有量はいずれも0.005%以下とすることが好ましい。また、Ca:0.0003%以上0.002%以下、REM:0.0003%以上0.002%以下とすることがより好ましい。更に、Ca、REMの両者を含有する場合には、CaとREMの合計含有量を0.0002%以上0.006%以下とすることが好ましく、0.0003%以上0.002%以下とすることがより好ましい。
不可避的不純物としては、例えばSe、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Sr、Sb、Cu、Sn、Mg等が挙げられ、これらの含有量は合計で0.1%以下とすることが好ましい。
ベイナイト相の面積率:80%以上
本発明の熱延鋼板は、強度−靱性バランスに優れたベイナイト相を主たる組織とする。本発明におけるベイナイト相は、上部ベイナイト、下部ベイナイト、ベイニティックフェライトを対象とする。
ベイナイト相以外の組織を含有する場合には、当該組織としてフェライト相、マルテンサイト相および残留オーステナイト相が挙げられる。但し、マルテンサイト相や残留オーステナイト相が存在した状態であると、熱延鋼板の材質安定性が低下する。そのため、マルテンサイト相および残留オーステナイト相の面積率は、合計で7%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましい。
ベイナイト相の硬度(強度)は、固溶C量の減少に伴い大きく低下する。それゆえ、ベイナイトを主相とする熱延鋼板において、引張強さ:980MPa以上を得るには、一定量以上の固溶C量を確保する必要がある。ベイナイトを主相とする熱延鋼板の場合、固溶状態でないCは主にセメンタイトとして析出する。そのため、セメンタイトの析出を抑制すれば、十分な固溶C量を確保することができ、延いては所望の熱延鋼板強度が得られる。
本発明は、上記した組成の鋼素材(鋼スラブ)を加熱し、熱間圧延を施した後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とする。この際、前記加熱の加熱温度を1150℃以上1350℃以下とし、前記熱間圧延の仕上げ圧延温度を850℃以上とし、前記冷却を熱間圧延の仕上げ圧延終了後3s以内に開始し、前記冷却の平均冷却速度を15℃/s以上とし、前記巻き取り工程直前の巻取り温度を350℃以上550℃以下とすることを特徴とする。
上記の如く得られた鋼素材に熱間圧延を施すが、本発明においては、熱間圧延に先立ち鋼素材を加熱して実質的に均質なオーステナイト相とし、粗大な炭化物を溶解する必要がある。鋼素材の加熱温度が1150℃を下回ると、粗大な炭化物が溶解しないため、固溶C量が減少することになり、最終的に得られる熱延鋼板の強度が著しく低下する。一方、上記加熱温度が1350℃を上回ると、スケールが噛み込み、鋼板表面性状を悪化させる。
850℃を下回る温度で圧延すると、本発明鋼においては圧延荷重が著しく上昇し、製造が困難、もしくは不可能となる。更に、850℃を下回る温度で圧延すると、過度にオーステナイト相が加工された状態となるため、オーステナイト→フェライト変態が仕上げ圧延後の冷却過程で進行してしまい、所望の組織が得られなくなる。以上の理由により、仕上げ圧延温度は850℃以上とする。好ましくは、870℃以上960℃以下である。
仕上げ圧延終了後、強制冷却を開始するまでに3秒超の時間が経過する場合には、オーステナイト→フェライト変態が開始し、所望の組織が得られなくなる。また、仕上げ圧延終了後の鋼板を、高温状態に長時間保持すると、ひずみ誘起析出により炭化物が生成し、鋼板の高強度化に寄与する固溶C量が減少する。したがって、本発明では、フェライト変態を抑制する目的や、ひずみ誘起析出を抑制する目的で、熱間圧延終了後速やかに強制冷却を開始する必要があり、仕上げ圧延終了後、少なくとも3s以内に強制冷却を開始する。好ましくは2s以内である。
仕上げ圧延終了後、オーステナイト→フェライト変態開始を抑制するためには、出来る限り速やかに巻取り温度まで冷却する必要がある。仕上げ圧延後の強制冷却の平均冷却速度が15℃/sを下回ると、フェライト相が生成し、所望の組織が得られなくなる。したがって、仕上げ圧延終了後の平均冷却速度は15℃/s以上とする。好ましくは30℃/s以上である。但し、特に板厚が3.2mm以下の鋼板においては、過度に冷却速度が大きくなると、冷却停止温度の制御が困難となり、熱延鋼板の材質安定性が低下する。したがって、平均冷却速度は150℃/s以下とすることが好ましい。
本発明鋼において、ベイナイト相を得るための適切な巻取り温度は350℃以上550℃以下である。巻取り温度が350℃を下回ると、マルテンサイト相や残留オーステナイト相が生成し、熱延鋼板の材質安定性が低下する。一方、巻取り温度が550℃を上回ると、フェライト変態が進行するため、引張強さ:980MPa以上の熱延鋼板を得ることができなくなる。以上の理由により、巻取り温度は350℃以上550℃以下とする。好ましい巻取り温度の範囲は、350℃以上500℃以下である。なお、強制冷却を停止する温度は、巻取り温度と同様に、350℃以上550℃以下とすることが好ましく、350℃以上500℃以下とすることがより好ましい。
ベイナイト相の面積率
得られた熱延鋼板の、圧延方向に平行な断面の板厚中心部について、5%ナイタールによる腐食現出組織を走査型光学顕微鏡で1000倍に拡大して10視野分撮影した。ベイナイト相は粒内に腐食痕やセメンタイトが観察される形態を有する組織である。ベイナイト相の面積率は、画像解析によりベイナイト相とベイナイト相以外の相(フェライト相、マルテンサイト相等)とを分離し、観察視野に対するベイナイト相の面積率によって求めた。
得られた熱延鋼板の板厚中央部から薄膜法によってサンプルを作製し、透過型電子顕微鏡(倍率:135000倍)で観察を行い、各サンプルにつき50箇所以上のベイナイトラス組織についてラス間隔を測定し、得られたラス間隔の平均値を平均ラス間隔とした。
得られた熱延鋼板の板厚中央の位置からサンプルを採取し、10%AA系電解液(10vol%アセチルアセトン−1mass%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール)中で、サンプルの約0.2gを電流密度20mA/cm2で定電流電解した。次いで、定電流電解後の電解液を0.2μmのフィルターで濾過捕集し、捕集物に含まれるFe量をICP発光分析装置により定量した。電解したサンプル質量と、捕集物に含まれるFe量から、析出Fe量(質量比)を求めた。
強度特性
得られた熱延鋼板から、引張方向が圧延方向と垂直方向となるJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241(2011)の規定に準拠した引張試験を3回行い、平均の降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、全伸び(El)を求めた。引張試験のクロスヘッドスピードは、10mm/minとした。なお、降伏強さは、下降伏点または0.2%耐力とした。
得られた熱延鋼板から、引張方向が圧延方向と垂直方向となるJIS5号引張試験片を計153枚作製した。具体的には、巻取り後の各熱延鋼板(熱延コイル)について、51箇所の長手方向位置(コイル長手方向を50等分した位置、コイル長手方向の先端位置、およびコイル長手方向の尾端位置)を特定し、各長手方向位置において、板幅方向中央部から上記JIS5号引張試験片を各長手方向位置につき3枚ずつ採取した。
熱延鋼板毎に、153枚の引張試験片を用いてJIS Z 2241(2011)の規定に準拠した引張試験を行い、全引張試験片(計153個)の引張強さの標準偏差(引張強さのばらつき)を求めた。
得られた熱延鋼板を用いてアーク溶接を行い、溶接サンプルを作製した。溶接サンプルは、同一熱延鋼板から採取した幅200mm×長さ300mmのサンプルの長さ(300mm)の辺同士を突き合わせ溶接して作製した。なお、幅200mm×長さ300mmのサンプルは、サンプルの長さ方向が圧延方向と一致するように採取した。溶接条件は、板隙:1mm、溶接電流:180A、溶接電圧:20V、溶接ワイヤ:神戸製鋼製MG-50(ワイヤ径:1.2mm)、溶接速度:80cm/min、シールドガス:CO2(80%)+Ar(20%)の突き合わせ溶接とした。
次いで、各溶接サンプルから、JIS5号引張試験片を3枚ずつ作製し、JIS Z 2241(2011)の規定に準拠して、前記「(3)引張試験」の「強度特性」を評価する際に実施した引張試験と同一の引張条件で引張試験を行った。JIS5号引張試験片は、溶接サンプルの溶接ビード部が、試験片評点間距離中央部の試験片幅方向に横切るように作製した。また、引張試験のクロスヘッドスピードは、10mm/minとした。
引張試験により、破断までの最大荷重を計測し、板厚の影響を除くために最大荷重を板厚で除した値を求めた。また、溶接サンプルの破断位置を確認した。
Claims (6)
- 質量%で、
C :0.09%以上0.17%以下、 Si:1.0%超1.6%以下、
Mn:1.5%以上2.5%以下、 P :0.03%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.08%以下、
N :0.0080%以下、 Ti:0.09%以上0.14%以下、
V :0.05%以上0.25%以下
を含有し、Cr、NiおよびMoの含有量をそれぞれ0.06%以下(0%を含む)に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ベイナイト相の面積率が80%以上であり、Fe析出量が0.50%以下である組織を有し、引張強さが980MPa以上であることを特徴とする材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板。 - 前記組成に加えて更に、質量%でB :0.0001%以上0.005%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板。
- 前記組成に加えて更に、質量%でCa:0.0001%以上0.005%以下、REM:0.0001%以上0.005%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板。
- 鋼素材を加熱し、熱間圧延を施した後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、
C :0.09%以上0.17%以下、 Si:1.0%超1.6%以下、
Mn:1.5%以上2.5%以下、 P :0.03%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.08%以下、
N :0.0080%以下、 Ti:0.09%以上0.14%以下、
V :0.05%以上0.25%以下
を含有し、Cr、NiおよびMoの含有量をそれぞれ0.06%以下(0%を含む)に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、前記加熱の加熱温度を1150℃以上1350℃以下とし、前記熱間圧延の仕上げ圧延温度を850℃以上とし、前記冷却を熱間圧延の仕上げ圧延終了後3s以内に開始し、前記冷却の平均冷却速度を15℃/s以上とし、前記巻き取りの巻取り温度を350℃以上550℃以下とすることを特徴とする材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 前記組成に加えて更に、質量%でB :0.0001%以上0.005%以下を含有することを特徴とする請求項4に記載の材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えて更に、質量%でCa:0.0001%以上0.005%以下、REM:0.0001%以上0.005%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の材質安定性および溶接性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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