JP2015086334A - 食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法 - Google Patents

食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015086334A
JP2015086334A JP2013227903A JP2013227903A JP2015086334A JP 2015086334 A JP2015086334 A JP 2015086334A JP 2013227903 A JP2013227903 A JP 2013227903A JP 2013227903 A JP2013227903 A JP 2013227903A JP 2015086334 A JP2015086334 A JP 2015086334A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
packaging
food packaging
food
taste
film layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013227903A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5886262B2 (ja
Inventor
松 秀 一 小
Shuichi Komatsu
松 秀 一 小
松 和 秀 小
Kazuhide Komatsu
松 和 秀 小
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PEARL PACKAGE PLANNING CO Ltd
Original Assignee
PEARL PACKAGE PLANNING CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PEARL PACKAGE PLANNING CO Ltd filed Critical PEARL PACKAGE PLANNING CO Ltd
Priority to JP2013227903A priority Critical patent/JP5886262B2/ja
Publication of JP2015086334A publication Critical patent/JP2015086334A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5886262B2 publication Critical patent/JP5886262B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】 収穫後の果実や野菜などの生鮮食品類を、その外的美観や輸送性、陳列性などが高まるよう包装すると共に、包装後の果実や野菜など包装対象物の酸化傷害を防ぐ上、糖度を向上させて、収穫後に品質を高めることができる新たな包装技術を提供する。【解決手段】 ポリフェノールPとトレハロースTとを所定重量比で含むポレハ(登録商標。)2を、ポレハ(登録商標。)2と水Wとが所定重量比、および、アルギン酸ナトリウムAを、アルギン酸ナトリウムAと前記水Wとが、所定重量比とするよう混合してなる、この発明の根幹をなす食品包装用塗料1を、包装体31の少なくとも包装対象物8に接するかまたは近接する適宜範囲に、薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域4を設けてなるものとした、食品包装用塗料1を利用した食品包装用品3である。【選択図】 図1

Description

この発明は、食品の包装技術に関連するものであり、特に、果物や野菜などの包装および保存に有効な包装用品や包装食品などを製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
果物や野菜を生産、輸送および販売する上で、色や形などの外観を高めると共に、できるだけ新鮮なまま顧客に届けることが肝要となるが、さらに、味覚の面でも糖度を高めてより美味しいものを提供しようとする技術の開発が多方面で進められており、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、遠赤外線放射材、エチレンガス吸着材、紫外線吸収材、湿度調整材、および断熱材からなる群より選択した少なくとも一種の資材を、袋体の表面および/または裏面に付着したものとするか、または袋体となるべき組成物に混合してなるものとし、紫外線や熱、冷えなどによる劣化を防止しつつ、遠赤外線による糖度向上や、エチレン生成を抑制して酸化傷害を防ぐことができる果実袋がある。
このように有袋栽培に用いることを目的とする果実袋は、収穫後の果実を包装するのに用いると、果実のエチレン生成を過剰に抑制し、果実の熟成を阻害して味覚を低下させてしまう虞があるという欠点を生じてしまうため、収穫後の果実や野菜などの包装用品として、そのまま利用できないものであり、こうした課題を解消する技術として、本願出願人は、既に、下記特許文献1(2)および特許文献1(3)などの糖度向上材、糖成分調整材および呈味調整材を混合した樹脂を成型した包装用品の開発に成功している。
このように有効成分を練り込んだ樹脂製包装用フィルムなどの包装用品類は、本願出願人によって既に実用化の段階になっているが、実際に使用して見ると、その有効成分が混合量の1%程度しか表面に露出しておらず、混合割合に比較して果実や野菜の鮮度維持や呈味向上などの効果が薄く、生産コストに見合った効果を得るのが困難であるという欠点を生じてしまっていることが判明した。
また、樹脂フィルムメーカーに生産を委託した場合には、大量生産が標準の生産体制となっているために少量生産が困難となり、小ロット生産食品用の包装用品の製造などには生産コストが嵩み、適さないという新たな問題点も生じてしまい、さらには、透明樹脂フィルムなどに上述のような添加物を混合すると、透明度が低下し、包装した生鮮食品類の品質を目視確認し難くなってしまったり、フィルム強度が低下して皺や破れなどを生じ易くなってしまうなど、新たな制約に対処していかなければならず、その利用範囲の拡大が難しいものとなっていた。
(従来の技術)
こうした理由から、本願出願人は、樹脂フィルムに直接、有効成分を塗布することはできないものかとの着想に至り、包装用フィルムに食品に有効な成分を、生鮮食品の包装に適した条件の下、塗布する技術の開発に着手したが、従前から、目的に応じた成分を樹脂フィルムに塗装する技術が多方面で開発されており、例えば、下記の特許文献1(4)示されているような、無機系多孔質物質、吸水性高分子物質、バインダー樹脂および溶媒の4成分、あるいは無機系多孔質物質、水溶性樹脂および溶媒の3成分を必須成分とし、内面結露や鮮度劣化を抑制できる包装材料用塗料や、特許文献1(5)のように、特定の天然石微粉末または天然土微粉末またはそれらの混合微粉末を配合した塗料を紙またはダンボールの表面に塗布することにより、消臭性能・遠赤外線の放射性能・保湿性能、抗菌性能等を付与し、食品や野菜・生花等の包装材料として求められる鮮度保持機能を有するものとした包装材料用塗料などが散見される。
(1)特開2000−37142号公報 (2)特許第4503087号公報 (3)特許第4997338号公報 (4)特開2002−138244号公報 (5)特開2008−95262号公報
(問題意識)
しかしながら、前者特許文献1(4)および1(5)に示されているような包装用塗料類は、本願出願人が、本来求めているポリフェノールおよびトレハロース(登録商標)を含む塗装を施した食品包装用品を提供可能とするものとはなっておらず、その塗装技術の根幹をなす領域は、本願出願人自らが開発しなければならない課題として残されたままであった。
このような技術的背景の下、この発明の開発に着手し、先ず、樹脂フィルムに対してポリフェノールおよびトレハロースを含む塗料を印刷してみることとし、野菜、根菜、果物などの食品が直接印刷面に接するように包装する必要があるため、トルエン、インキ、メジウムなどの揮発性物質は使用を避けなければならず、こうした新たな条件を踏まえて開発を進めたところ、印刷・乾燥後に有効成分が粉末状となってしまうために剥離・脱落し易く、そのままでは実用に耐えないことが判明し、更なる改善の必要性と新技術開発の必要性とを痛感するに至ったものである。
(発明の目的)
そこで、この発明は、収穫後の果実や野菜などの生鮮食品類を、その外的美観や輸送性、陳列性などが高まるよう包装すると共に、包装後の果実や野菜など包装対象物の酸化傷害を防ぐ上、糖度を向上させて収穫後に品質を高めることができる新たな包装技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な食品包装用塗料の外、それを利用した新規な構造の食品包装用品や、その食品包装用品を利用した新規な構造の包装食品、および、その食品包装用品の新規な製造方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の食品包装用塗料は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、ポリフェノールとトレハロースとを1:15ないし1:60の重量比で含むポレハ(登録商標。以下、全て同様であって表示を省略する。)を、ポレハと水とが、1:100ないし1:2の重量比に混合してなるものとした構成を要旨とする食品包装用塗料である。
この基本的な構成からなる食品包装用塗料を、より具体的なものとして示すならば、ポリフェノールとトレハロースとを1:15ないし1:60の重量比で含むポレハを、ポレハと水とが、1:100ないし1:2の重量比、および、アルギン酸ナトリウムを、アルギン酸ナトリウムと前記水とが、1:100ないし1:2の重量比とするよう混合してなるものとした構成からなる食品包装用塗料となる。
(関連する発明1)
上記した食品包装用塗料に関連し、この発明には、その食品包装用塗料を利用した食品包装用品も包含している。
即ち、包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けてなるものとする、この発明の基本をなす前記食品包装用塗料を利用した食品包装用品である。
より具体的には、包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状に定着してなる呈味調整皮膜層域を設けてなるようにする、この発明の基本をなす前記食品包装用塗料を利用した食品包装用品である。
表現を変えれば、包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、複数の通気孔加工部およびエンボス加工部の一方または両方を略均等に配した定着強化域を設け、該定着強化域に、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けてなるものとする、この発明の基本をなす前記食品包装用塗料を利用した食品包装用品となる。
(関連する発明2)
上記した食品包装用塗料、およびそれを利用した食品包装用品に関連し、この発明には、それらを利用した包装食品も包含している。
即ち、包装体内側面の呈味調整皮膜層域が、包装中に亘り、包装対象物に接するかまたは近接するよう、当該包装体が、包装対象物である食品類を包装してなるものとする、この発明の食品包装用品を利用した包装食品である。
(関連する発明3)
この発明の根幹をなす食品包装用塗料、およびそれを利用した食品包装用品に関連し、この発明には、その食品包装用品の製造方法も包含している。
即ち、包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に対し、印刷機または塗装機を用いて食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状の適宜形状や模様をなすか、または、連続薄膜層状をなすよう印刷または塗装した上乾燥して、呈味調整皮膜を定着した呈味調整皮膜層域を設けるようにした、この発明の食品包装用品の食品包装用品の製造方法である。
より具体的なものとして示すと、未加工または半加工シート状の包装素材体の、食品包装用品完成後に包装体の内側面となり、且つ少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に対し、印刷機または塗装機を用いて食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状の適宜形状や模様をなすか、または、連続薄膜層状をなすよう印刷および乾燥し、呈味調整皮膜を定着させて呈味調整皮膜層域を設けた後、包装対象物の包装工程を待たず所望形状に裁断および/または組立するか、または、包装対象物の包装工程に伴い、裁断および/または組立するかの何れか一方の工程を経て製造・保管または包装可能とするようにした、この発明の食品包装用品の食品包装用品の製造方法であるということができる。
以上のとおり、この発明の食品包装用塗料によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、収穫後の果実や野菜などの生鮮食品類を、その外的美観や輸送性、陳列性などが高まるよう包装すると共に、包装後の果実や野菜など包装対象物の酸化傷害を防ぐ上、糖度を向上させて、収穫後に品質を高めることができる新たな包装技術を提供することができ、特に、ポリフェノールとトレハロースとからなるポレハを水と混合することにより、給水性や吸湿性、適度な表面粗さや凹凸などを有するような様々な物品などに対し、各種印刷技術や、スタンプ技術、吹き付け塗装技術、刷毛塗り塗装技術などを利用して印刷または塗装することができ、従来品に比較して、生鮮食料品の鮮度をより長期間維持できるものとし、保存期間中に渡り、糖度を高めながら調整し、呈味を改善することができるという秀れた特徴が得られるものである。
加えて、この発明の食品包装用塗料にあっては、アルギン酸ナトリウムを含有することにより、従前までであれば、合成樹脂製フィルムなどのように表面が平滑で柔軟性を有する物品に印刷した場合、乾燥後に印刷層が剥離・脱落してしまうという難点を有していたものが、それらを大幅に改善して格段に秀れた定着安定性を得ることができる上に、調湿機能や保湿機能をも付加することができ、従前までであれば得られなかった鮮度維持機能、糖度調整機能および呈味向上などといった機能が格段に秀でてなる印刷物や塗装品などを、より巾広く提供できるようになるという新たな効果を奏するものとなる。
さらに、ポリフェノールとして、葡萄種子由来のプロアントシアニジンを選択的に利用することにより、抗酸化作用を格段に高め、その他のポリフェノールを使用した場合に比較して、より長期間に渡って鮮度を維持することができることとなり、しかも、トレハロースとの相乗効果によって果実や野菜などの糖度を高め、呈味を大幅に向上することができるという大きな効果が期待できるものとなる。
また、この発明の食品包装用塗料を利用した食品包装用品は、その包装体が包装した包装対象物の、少なくとも同包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けたから、使用した食品包装用塗料成分の殆どが、包装対象物に面して露出状となり、その鮮度維持と糖度調整および呈味向上の効果を遺憾なく発揮し得るものとすることができるから、従来品に比較し、より長期間に渡り高い鮮度維持機能を達成するものとなる上、格段に秀れた糖度調整および呈味改善機能を発揮することができるという利点が得られる。
そして、食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状に定着してなる呈味調整皮膜層域を設けた食品包装用品は、包装体に印刷や塗装することによって定着・乾燥した食品包装用塗料が包装体から連鎖的に剥離・脱落してしまうという問題を、より確実に防止することができて一段と呈味調整皮膜層域の定着安定性を高め、鮮度維持機能、糖度調整機能および呈味改善機能の信頼性を長期間に渡って持続可能なものにすることができるという特徴を発揮する。
加えて、包装体に複数の通気孔加工部およびエンボス加工部の一方または両方を略均等に配した定着強化域を設け、該定着強化域に食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けるようにした食品包装用品は、各通気孔加工部が通気性を確保して、過剰なエチレンガスの排出や調湿を促し、より高い鮮度維持効果を得ることができ、各エンボス加工部は、緩衝機能や滑り止め機能を果たして包装対象物を保護する効果を一層高めることができる上、それらは、呈味調整皮膜層域を、より細かく分断状としたり、凹凸形状にしたりすることにより、食品包装用塗料薄膜層の定着安定性を格段に高めるという大きな効果を奏するものとなる。
包装体が、透明樹脂フィルム製の場合に、呈味調整皮膜層域とは反対がわとなる、呈味調整皮膜層域の包装体外側面範囲に渡り、該包装体内側面が当該呈味調整皮膜層域であることを示すよう呈味調整域表示を印刷してなるものとした食品包装用品は、包装体が当該呈味調整皮膜層域を有していることを、誰もが一目で確認することができるから、誤使用を確実に防止し、確認作業を簡単にして生産効率を格段に高めることができるだけでなく、利用者および消費者がその効果を円滑に理解することができるものとなる上、市場における当該食品包装用品、およびそれを利用した包装食品の付加価値を高めると共に、市場における宣伝・広告効果を大いに発揮するものとなる。
この発明の食品包装用塗料および食品包装用品を利用した包装食品は、従来品に比較して、鮮度維持、糖度調整および呈味改善の機能を格段に高めたものとすることができるから、同様の包装対象物を同じ工数の包装工程を経た従来品と比較した場合に、当該食品包装用品がもつ特有且つ特段の効能により、包装対象物とした果物や野菜などの生鮮食品の鮮度を、より長期に渡って高品質のまま維持することができる上、その保存期間に亘って糖度を高めるよう適度に調整し続けることとなって、色や形などの外観および呈味を大幅に改善するものになるという秀でた負荷価値を有するものになるという特別の効果をもたらすものとなる。
この発明の食品包装用塗料を利用した食品包装用品の製造方法は、未加工または半加工シート状の包装素材体の段階に、食品包装用品完成後に包装体の内側面となり、且つ少なくとも包装対象物に接するか、または近接する適宜範囲に対し、印刷機または塗装機を用いて食品包装用塗料を定着するかするようにしたことにより、完成した食品包装用品の的確な範囲にのみ、効率的に呈味調整皮膜層域を配したものとすることができ、食品包装用塗料を無駄なく利用することができ、しかもその効果を最大に活かすことができるものとすることができ、大量生産および少量多品種生産の何れかを問わず生産効率を高めて、秀れた経済性を達成するという効果を奏することになる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ポレハは、食品包装用塗料、および、それを利用した食品包装用品に、包装対象物の保存性を高めて鮮度を維持可能とすると共に、その糖度を調整して呈味を向上し、外観を含めた全体品質を格段に高めるという機能を担い、ポリフェノールとトレハロースとを所定割合で混合してなるものであり、より具体的には、ポリフェノールとトレハロースとを1:15ないし1:60の重量比で含むものとしなければならず、この重量比範囲内に設定することにより、特にポリフェノールの増加促進効果が高く、包装対象物の保存性を高めることができるからである。
ポリフェノールは、包装対象物に抗酸化作用をもたらすことによって保存性を高める機能を担い、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ植物成分としなければならず、例えば、ワイン、茶、林檎、ブルーベリーなどに含まれるカテキン、葡萄、紫芋、ブルーベリー等に含まれるアントシアニンやプロアントシアニジン、茶、赤ワイン、柿、バナナなどのタンニン、ソバに含まれるルチン、大豆、葛に含まれるイソフラボンなどのフラボノイド、またはコーヒーなどに含まれるクロロゲン酸、苺などに含まれるエラグ酸、ゴマに含まれるリグナン、ウコンに含まれるクルクミン、桜の葉、パセリ、モモ、柑橘類に含まれるクマリンなどのフェノール酸の何れかによるものとすることができ、葡萄の種子、黒大豆、その他、原料を問わないが、特に強い抗酸化力を示す葡萄種子由来のプロアントシアニジンを使用するのが良い。
トレハロースは、抗菌性を有して包装対象物の保存性を高めると共に、包装対象物の糖度を調整して呈味を向上する機能を担い、2つのα−グルコースが1,1−グリコシド結合してできた二糖の一種であるということができ、澱粉から大量生産可能な株式会社林原製のものを利用するのが望ましく、3種類の異性体、α,α体、α,β体およびβ,β体のいずれであってもよい。
アルギン酸ナトリウムは、この発明の食品包装用塗料が包装対象物に接触または近接した場合においても、食品としての安全性を確保可能なものとする上、この発明の食品包装用塗料が塗装後の乾燥によって粉末化して剥離・離脱してしまうのを阻止して、包装体に確りと定着可能にする機能を分担し、より具体的に示すならば、褐藻に含まれる多糖類の一種であり、食物繊維の一種であるということができ、α−L−グルロン酸、β−D−マンヌロン酸がピラノース型で1,4−グリコシド結合で結合した構造のものということができる。
水は、この発明の食品包装用塗料を塗装や印刷などに適した濃度の水溶液とする機能を担い、食品としての安全を確保可能な程度に充分な品質を確保したものとしなければならず、例えば飲料用となる上水道水や、それに準ずる衛生管理を行うか、それ以上の水質を確保し、食品としても安全な水としなければならない。
この発明の食品包装用塗料は、ポレハと水とが、1:100ないし1:2の重量比に混合してなるものとしなければならず、この重量比範囲を外れてしまうと、塗装や印刷の作業性、および塗装や印刷後の品質を低下させてしまう虞を生じさせてしまうこととなるが、この重量比範囲に設定することにより、鮮度維持、糖度調整および呈味を向上する作用を高めることができ、また、アルギン酸ナトリウムを含有する場合には、アルギン酸ナトリウムと前記水とが1:100ないし1:2の重量比とするよう混合してなるものとしなければならず、この重量比範囲を外れさせると、乾燥後の定着力が低下したり、粘度が高すぎて塗装や印刷にムラを生じてしまう虞があり、この重量比範囲に設定することにより、塗装や印刷を高品質で行うことができる上、塗装や印刷後にも安定して定着力を呈するものとすることが可能となる。
印刷機は、様々な包装対象物用の包装体、またはその素材となる包装素材体に印刷可能とするものであり、具体的には、グラビア印刷機、オフセット枚葉印刷機、オフセット輪転印刷機、フレキソ印刷機、活版印刷機、スクリーン印刷機、シール印刷機、デジタル印刷機、オンデマンド印刷機、各種プリンター、その他、目的と利便性および利用可能性に応じて適宜、印刷機を選択して利用することが可能であり、刷毛塗り機能やスタンプ機能、吹き付け塗装機能などを有する様々な塗装機械や工業用ロボットなどに置き換えることができる。
包装体は、包装対象物を包装する食品包装用品本体となる機能を担い、包装用紙、包装用フィルム、包装用箱、包装用トレー、包装容器、包装袋などといった様々なものとすることができ、未加工または半加工シート状の包装素材体を加工したり、組み立てたりしてなるものということができ、より具体的には、樹脂フィルム、不織布、ヒートロン(登録商標)、和紙、スパンボンド(登録商標)、ロール和紙、段ボール、板紙、紙トレー、OP・PETトレー容器、発泡スチロール容器、食品容器などとすることができ、防雲OPP、OPP、片面ヒートシールタイプOP、両面ヒートシールタイプOPなどの樹脂フィルム、バリアNY、バリアPET、PET、AL、CPP、PP、PE、ラミネートフィルム、強化ポリなどのフィルム、または、それらの多層フィルム、ウレタン、スポンジなどのフルーツキャップ(商品名:緩衝材)、その他、様々な包装用品の本体部分であるということができ、また、食品以外の包装用品や、一般には包装用に頻繁には利用しない素材体や、全く包装用に利用されない素材体なども利用可能であって、例えるならば、布、木材、金属、皮革、ゴム、ゲル、石、貝殻、植物の葉、植物繊維、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、その他のあらゆる素材体とすることができる。
包装素材体は、包装体の完成前段階の素材であるということができ、包装対象物の包装工程を待たず所望形状に裁断および/または組立するか、または、包装対象物の包装工程に伴い、裁断および/または組立するかの何れか一方の工程を経て製造・保管または包装可能とするものとすべきであり、より具体的には、包装体の完成前段階の未加工または半加工の素材体であるということができ、フィルム、シート、テープ、紐、リボン、袋、箱、トレー、カップ、バケツ、ポット、蓋、その他の各種性状の素材体とすることが可能である。
呈味調整皮膜層域は、包装体の適所に、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した領域であり、包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に設定したものとしなければならず、この発明の食品包装用塗料を、塗布、吹き付け、浸漬などの塗装、印刷、その他の何れか、少なくとも1つの技術を用いて薄膜層状に定着したものとすべきであり、または、包装体の肉厚中に浸透した上、表面に薄膜層を呈するよう定着してなるものとすることができ、包装体の少なくとも包装対象物に接するか、または近接する適宜範囲に定着強化域を設け、該定着強化域に、この発明の食品包装用塗料を薄膜層状に定着したものとするかすることができ、後述する実施例に示すように、包装体の少なくとも包装対象物に接するか、または近接するかする適宜範囲に、食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状に定着さて、包装体が変形した場合にも、一段と柔軟に追従可能なものとし、連続的な剥離や脱落を一層確実に阻止可能なものとすることができる。
定着強化域は、包装体の適所に、この発明の食品包装用塗料が、より確実且つ安定的に定着可能とする機能を担い、包装体自体の適所に、複数の貫通孔や凹凸を点在状に設けたり、表面を荒らして粗目の表面に加工したりしたものとすべきであり、後述する実施例にも示すように、通気孔加工部やエンボス加工部を設けたものとするのが望ましく、複数の通気孔加工部は、包装体の包装機能を損ねることなく、同包装体の内外間通気を可能とする機能を分担し、且つ呈味調整皮膜層域食品包装用塗料の薄膜層を分断状とする機能をも兼ね備えたものであり、また、複数のエンボス加工部は、包装体に緩衝性および滑り止め機能を付与する機能を担っており、しかも呈味調整皮膜層域食品包装用塗料の薄膜層が、その凹凸形状に密着して、より強固且つ安定に定着するようにする機能を兼ねたものである。
呈味調整域表示は、包装体に呈味調整皮膜層域を設けてあることを利用者に明確に示すという機能を担い、呈味調整皮膜層域とは反対がわとなる呈味調整皮膜層域の包装体外側面範囲に渡り設けたものとしなければならず、模様や絵などの外、説明短文や一般名、商標などの文字や記号、マーク、イラスト、写真など様々な表現、および、それらの組合せによる表示とすることが当然可能であって、複数の点在状表示や面的表示、またはそれらの組合せなどによるものとすることができることは、言うまでもないことである。
包装食品は、食品包装用品によって包装した生鮮食品全般ということができ、具体的には、野菜、根菜、果物、穀物、それらやその他の加工食品類ということができ、より具体的には、例えば、茄子、トマト、苺、ネギ、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、モロヘイヤ、アスパラガス、その他殆ど全ての野菜、ゴボウ、ジャガイモ、長いも、その他殆ど全ての根菜、サクランボ、ラ・フランス、和梨、バナナ、林檎、桃、葡萄、その他殆ど全ての果物、玄米、白米、麦、大豆、小豆、その他の穀類、および、それらの加工品、お茶、コーヒーなどの原料および加工食品類などということができ、さらにまた、食品以外の鮮度を保持する必要のある有機物や薬品類、酸化や劣化の防止を要する無機物など様々な物品に置き換えて、それら全てを包装の対象物とすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする
図面は、この発明の食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
食品包装用塗料の製造工程および素材構成を示すブロック図である。 シート状の包装素材体の加工状態を示す正面図である。 食品包装用品の一例を示す正面図および側面図である。 複数の通気孔加工部を設けたシート状包装素材体の加工状態を示す正面図である。 複数のエンボス加工部を設けたシート状包装素材体の加工状態を示す正面図である。 合掌袋に加工する食品包装用品の一例を示す正面図である。 合掌袋とした食品包装用品の一例を示す正面図および側面図である。 厚紙製容器とした食品包装用品の一例を示す斜視図である。 発泡合成樹脂製の食品包装用品の一例を示す斜視図である。
図1に示す事例は、ポリフェノールPとトレハロースTとを所定重量比で含むポレハ2を、ポレハ2と水Wとが所定重量比、および、アルギン酸ナトリウムAを、アルギン酸ナトリウムAと前記水Wとが所定重量比とするよう混合してなる、この発明の根幹をなす食品包装用塗料1を、包装体31の少なくとも包装対象物8に接するか、または近接するかする適宜範囲に、薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域4を設けてなるものとした、この発明の食品包装用塗料を利用した食品包装用品における代表的な一実施例を示すものである。
それら図1からも明確に把握できるとおり、この発明の食品包装用塗料1は、その主要な成分であるポリフェノールPが、葡萄種子由来のプロアントシアニジンPからなるものとし、該ポリフェノールPであるプロアントシアニジンPと、株式会社林原製のトレハロースTとを1:15ないし1:60の重量比で含むポレハ2を製造し、該ポレハ2と水Wとが、1:100ないし1:2の重量比となり、且つ、褐藻類などに含まれる多糖類の一種であるアルギン酸ナトリウムAと前記水Wとが、1:100ないし1:2の重量比とするよう混合してなるものである。
アルギン酸ナトリウムAは、食物繊維の一種であり、より具体的には、α−L−グルロン酸、β−D−マンヌロン酸がピラノース型で1,4−グリコシド結合で結合した構造を持っているものと言うことができる。
図2および図3に示すように、この食品包装用塗料1を利用した食品包装用品3は、その包装体31が透明樹脂フィルム製の未加工シート状の包装素材体30からなるものであって、包装対象物(図示せず)の背面がわに接する範囲および近接する範囲となるロール巾略中央から左右何れか一方がわの、図2中右がわとなる適宜範囲に、図示しないグラビア印刷機によって、食品包装用塗料1が複数の細短帯形や複数の小短冊形のように、複数且つ均質に点在する分断薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域4を設けてなるものとしてある。
図2中の実線矢印に示すように、ロール巾中央を折り畳み、背面の内側面となる呈味調整皮膜層域4に、表面となる透明樹脂フィルムそのままの内側面を重ね合わせるようにして所定巾の包装袋3とするよう熔断および熔着を同時に行って裁断加工し、図3に示すように、背面の内側面だけに呈味調整皮膜層域4を設定し、一辺だけを開口部32とした食品包装用品3である。
さらに、図4に示すように、透明樹脂フィルム製の未加工シート状の包装素材体30背面の呈味調整皮膜層域4に渡って均質配置とするよう互いに等間を隔てて縦横に隣接するためにφ0.01mm〜10mmの複数の細かい孔である通気孔加工部50,50,……を穿設して定着強化域5とした上、前記図2および図3に示したように、図示しないグラビア印刷機によって背面の内側面のみに呈味調整皮膜層域4を設け、一辺だけを開口部32とするようにした食品包装用品3に加工したものとすることができる。
各通気孔加工部50,50,……の穿設加工は、図示しないグラビア印刷機により、食品包装用塗料1による印刷を施し、呈味調整皮膜層域4を設けた後に加工することが可能である。
また、図5に示すように、透明樹脂フィルム製の未加工シート状の包装素材体30背面の呈味調整皮膜層域4に渡り、互いに等間を隔てて千鳥型の均等配置となるよう、例えば短尺小帯形や小短冊形のエンボス加工部51,51,……を成型加工して定着強化域5とした上、前記図2および図3に示したように、図示しないグラビア印刷機により、背面の内側面だけに呈味調整皮膜層域4を設け、一辺だけを開口部32とするようにした食品包装用品3とすることができる。
各エンボス加工部51,51,……の成型加工は、図示しないグラビア印刷機によって食品包装用塗料1による印刷を施し、呈味調整皮膜層域4を設けた後に行うことができる。
更にまた、食品包装用品3は、図4および図5に示すような、通気孔加工部50,50,……とエンボス加工部51,51,……との両方について、透明樹脂フィルム製の未加工シート状の包装素材体30背面の同一の呈味調整皮膜層域4に渡って均質配置とするよう、互いに等間を隔てて設けたものとすることができる。
そして、図6および図7に示してあるとおり、食品包装用品3完成後に合掌袋となる透明樹脂フィルム製の未加工シート状包装素材体30の合掌袋完成後に、包装対象物(図示せず)の背面がわに接する範囲および近接する範囲となるロール巾左右端寄りの左右間全巾の各1/4巾の範囲に、図示しないグラビア印刷機により、食品包装用塗料1が複数の細短帯形や複数の小短冊形のように、複数且つ均質に点在する薄膜層状に定着し、呈味調整皮膜層域4,4を設定したものとした上、図6中の実線矢印に示すように、ロール巾左右端縁同士を接合・熱熔着すると共に、同図6中に破線で示すよう、長さ(送り移動)方向の所定寸法毎に裁断・熱熔着するようにして、図7図示のとおり、一端に開口部32を有した合掌袋である食品包装用品3とすることができる。
図2ないし図7に示す各食品包装用品3,3,……は、透明樹脂フィルム製の未加工シート状包装素材体30の包装体31完成後に、包装対象物(図示せず)の背面がわに接する範囲および近接する範囲となる内側面に設けた呈味調整皮膜層域4とは反対がわに、呈味調整皮膜層域4に対応する包装体31外側面範囲に渡り、該包装体31内側面が当該呈味調整皮膜層域4であることを示すよう、「−P.poleha−」などの商標は説明単文などを連続的または点在状に、一般的インク印刷によって表示した呈味調整域表示6を設けてなるものとすることができる。
図2ないし図7に示す各食品包装用品3,3,……は、各包装袋が、開口部32を残して完成した後に、開口部32を通じて包装対象物(図示せず)を封入後、開口部32を熱熔着などによって密閉して包装食品(図示せず)を得るものとすることができる外、透明樹脂フィルム製の未加工シート状包装素材体30を熔着・裁断して食品包装用品3を製造する工程中に、包装対象物を同時に封入・密閉するようにすることにより、各食品包装用品3,3,……が完成した時点で、既に包装対象物の包装工程を終え、包装食品を完成しているものとすることができる。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の食品包装用塗料1は、図1に示すように、ポレハ2に適宜重量比の水Wとアルギン酸ナトリウムAとを混合してなるから、アルギン酸ナトリウムAが粘性を高め、図2ないし図9の各食品包装用品3,3,……包装体31,31,……への定着力を大幅に強化するものとすることができ、しかも、ポレハ2に含むポリフェノールPをプロアントシアニジンPとしたことにより、格段に抗酸化力を高め、包装対象物としての野菜や果物などの糖度を調整する効果を一層強め、より効果的に呈味および外観を向上すると共に、より長期間に渡って鮮度を維持できるものとするという秀でた特徴を確認した。
図2および図3に示してあるように、透明樹脂フィルム製未加工シート状包装素材体30の、包装対象物の背面がわに接する範囲および近接することとなる範囲に、食品包装用塗料1が複数の細短帯形や複数の小短冊形のように、複数且つ均質に点在する薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域4を設けてなるものでは、包装体31の変形にも柔軟に追従し得ることが確認でき、その結果、食品包装用塗料1の薄膜層に亀裂を生じさせたり、剥離、脱落が連鎖的に広がったりするのを確実に阻止し得ることが証明され、より高い耐久強度を達成可能なものとなることを保証できる。
加えて、食品包装用品3は、透明樹脂フィルム製包装体31の包装対象物の背面がわに対応する範囲にだけ呈味調整皮膜層域4を設けてあることから、包装食品7として包装作業を完了した後には、包装対象物の表がわが透明樹脂フィルムを透して鮮明に品質を視認することができ、当該食品包装用品3の効果により、店頭陳列中に日々品質が向上して行く包装対象物を消費者が視覚的に確認することができ、他製品との格段の差別化を達成可能なものとなる。
図4に示すように、包装体31の呈味調整皮膜層域4に渡り、複数の細かい孔である通気孔加工部50,50,……を穿設して定着強化域5を設けたものは、包装完了後に、包装体31内外の通気性を確保して、過剰なエチレンや湿気を外部に放出可能とすることができると共に、食品包装用塗料1の薄膜層を更に細かく分断するようにすれば、包装体31の変形によって亀裂を生じさせたり、剥離、脱落が連鎖的に広がらせてしまうといった事態を一段と確実に阻止し、より高い耐久強度を達成するという効果を奏することとなる。
図5に示すもののように、包装体31の呈味調整皮膜層域4に渡り、エンボス加工部51,51,……を加工して定着強化域5となるようにしたものにあっては、その凹凸形状によって定着面積を拡大し、摩擦力を高めて食品包装用塗料1の薄膜層がより強固に定着するものとなり、しかも包装食品7を滑り難くなって保持し易くできるから、取り扱い時の不用意な落下を防止する機能を付与するようにできると共に、クッション性を高めていて、包装対象物を外部衝撃から保護できるようにする緩衝機能をも兼ね備えたものとなることが確認できた。
さらに、図4および図5に示してあるとおり、通気孔加工部50,50,……およびエンボス加工部51,51,……の双方を備えた包装体31とすることにより、食品包装用塗料1による鮮度保持や糖度調整、呈味改善および外観の向上機能に加え、通気性や緩衝性能などをも高めた食品包装用品3を提供することができるという大きな効果を有している。
この発明の食品包装用品3である透明合成樹脂フィルム製包装袋に、新鮮な「巨峰」(葡萄:登録商標)を包装し、21日間に渡って4ないし7℃で冷蔵保存する実験を行ったところ、軸は太く収穫直後のような黄緑色の状態を維持し、果皮表面のブルーム(白い粉)も豊富に有しており、果実糖度は収穫当初15°であったものが17.5°まで上昇し、糖度の上昇に伴い果実が巨峰特有のより黒色に近い黒紫色に変化して外観が向上し、一段と秀でた鮮度および呈味を得ることができた。
一方、同時に収穫した同品質の「巨峰」を、従来型の透明合成樹脂フィルム製包装袋で包装するようにしたものは、同じく21日間に渡り、4ないし7℃の条件下で冷蔵保存した場合、軸が細く深い緑色に変化し、果皮表面のブルームが大幅に減少して果実色がやや赤色に変化してしまい、その外観の悪化から、明らかに鮮度および品質の低下を確認できる状態となってしまっており、この実験によって、この発明の食品包装用品3の有効性を明確に実証することができた。
図8に示す食品包装用品3は、厚紙製器である同食品包装用品3の、包装対象物8の背面がわに接する内側面の全体(同図8中に斜線で示す範囲)に呈味調整皮膜層域4を設定し、組立前の平紙状態か、平紙を型抜きした状態か、または、容器組立後かの何れかの段階にて、印刷機による印刷か、刷毛塗装か、または吹き付け塗装かの何れかによって食品包装用塗料1を薄膜層状に定着したものとしてある。
図9に示す食品包装用品3は、発泡合成樹脂製容器である同食品包装用品3の、包装対象物8の背面がわに接する内側面の全体(同図9中に斜線で示す範囲)に呈味調整皮膜層域4を設定し、容器成型後に吹き付け塗装によって食品包装用塗料1を薄膜層状に定着したものとしてある。
図示していないが、前記以外にも、各種フルーツキャップ(商品名:緩衝材)や不織布製包装紙、不織布製包装袋などの包装対象物8に接するか、または近接するかする適宜範囲に亘り、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けてなるものとすることができる。
(実施例2の作用・効果)
図8に示す食品包装用品3は、厚紙製器内側面呈味調整皮膜層域4の紙繊維が、この発明の食品包装用塗料1を浸透し、強固に定着するものとなり、さらに、呈味調整皮膜層域4の厚紙の表面粗さの微細な凹凸が食品包装用塗料1の定着を一段と強固なものとし、アルギン酸ナトリウムAの粘性も相俟って、食品包装用塗料1の薄膜層が剥離したり脱落したりするのを、より確実に防止できる効果が得られる。
また、図9に示す食品包装用品3は、発泡合成樹脂製容器の発泡による凹凸形状や面粗さなどが、この発明の食品包装用塗料1をより強固に定着可能なものとすることとなって、アルギン酸ナトリウムAの粘性を活かして食品包装用塗料1薄膜層の剥離や脱落を一段と確実に防止できるという利点となる。
(結 び)
叙述の如く、この発明の食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの包装技術に比較して、生鮮食品などの鮮度維持期間を大幅に長期化することができると共に、糖度調整および呈味改善機能を格段に高めることができる上、効率的且つ低廉化にて生産および提供することができ、遥かに経済的なものとすることができるから、鮮度および品質管理を重視する農産物生産者、食品流通業界および食品販売業界はもとより、これまで店頭に陳列されている間に鮮度が低下してしまい、購入後、短期間の中に消費しなければ、新鮮な食品を味わうことができなかった消費者においても、格段の長期保存と、外観向上および呈味改善とを達成できる高機能が高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 食品包装用塗料
2 ポレハ
P ポリフェノール(プロアントシアニジン)
T トレハロース
A アルギン酸ナトリウム
W 水
3 食品包装用品
30 同 包装素材体
31 同 包装体
32 同 開口部
4 呈味調整皮膜層域(呈味調整皮膜)
5 定着強化域
50 同 通気孔加工部
51 同 エンボス加工部
6 呈味調整域表示
7 包装食品
8 包装対象物(食品類)

Claims (10)

  1. ポリフェノールとトレハロースとを1:15ないし1:60の重量比で含むポレハ(登録商標。以下、全て同様であって表示を省略する。)を、ポレハと水とが、1:100ないし1:2の重量比に混合してなるものとしたことを特徴とする食品包装用塗料。
  2. ポリフェノールとトレハロースとを1:15ないし1:60の重量比で含むポレハを、ポレハと水とが、1:100ないし1:2の重量比、および、アルギン酸ナトリウムを、アルギン酸ナトリウムと前記水とが、1:100ないし1:2の重量比とするよう混合してなるものとしたことを特徴とする食品包装用塗料。
  3. ポリフェノールが、プロアントシアニジンである、請求項1または2何れか一記載の食品包装用塗料。
  4. 包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けてなるものとした、請求項1ないし3何れか一記載の食品包装用塗料を利用した食品包装用品。
  5. 包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状に定着してなる呈味調整皮膜層域を設けた、請求項1ないし3何れか一記載の食品包装用塗料を利用した食品包装用品。
  6. 包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に、複数の通気孔加工部およびエンボス加工部の一方または両方を略均等に配した定着強化域を設け、該定着強化域に、食品包装用塗料を薄膜層状に定着した呈味調整皮膜層域を設けてなるものとした、請求項1ないし3何れか一記載の食品包装用塗料を利用した食品包装用品。
  7. 包装体が、透明樹脂フィルム製であって、少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する内側面の適宜範囲に設けた呈味調整皮膜層域とは反対がわとなる、呈味調整皮膜層域の包装体外側面範囲に渡り、該包装体内側面が当該呈味調整皮膜層域であることを示すよう呈味調整域表示を印刷してなるものとした、請求項4ないし6何れか一記載の食品包装用品。
  8. 包装体内側面の呈味調整皮膜層域が、包装中に亘り、包装対象物に接するかまたは近接するよう、当該包装体が、包装対象物である食品類を包装してなるものとした、請求項4ないし7何れか一記載の食品包装用品を利用した包装食品。
  9. 包装体の少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に対し、印刷機または塗装機を用いて食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状の適宜形状や模様をなすか、または、連続薄膜層状をなすよう印刷または塗装した上乾燥して、呈味調整皮膜を定着した呈味調整皮膜層域を設けるようにしてなる、請求項4ないし8何れか一記載の食品包装用品の製造方法。
  10. 未加工または半加工シート状の包装素材体の、食品包装用品完成後に包装体の内側面となり、且つ少なくとも包装対象物に接するかまたは近接する適宜範囲に対し、印刷機または塗装機を用いて食品包装用塗料を複数点在状配置とした分断薄膜層状の適宜形状や模様をなすか、または、連続薄膜層状をなすよう印刷および乾燥し、呈味調整皮膜を定着させて呈味調整皮膜層域を設けた後、包装対象物の包装工程を待たず所望形状に裁断および/または組立するか、または、包装対象物の包装工程に伴い、裁断および/または組立するかの何れか一方の工程を経て製造・保管または包装可能とするようにした、請求項4ないし8何れか一記載の食品包装用品の製造方法。
JP2013227903A 2013-11-01 2013-11-01 食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法 Active JP5886262B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013227903A JP5886262B2 (ja) 2013-11-01 2013-11-01 食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013227903A JP5886262B2 (ja) 2013-11-01 2013-11-01 食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015086334A true JP2015086334A (ja) 2015-05-07
JP5886262B2 JP5886262B2 (ja) 2016-03-16

Family

ID=53049498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013227903A Active JP5886262B2 (ja) 2013-11-01 2013-11-01 食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5886262B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017173557A1 (es) * 2016-04-08 2017-10-12 Universidad De Santiago De Chile Composicion polimerica biodegradable, antioxidante y antimicrobiana de hoja de murta
CN107251940A (zh) * 2017-05-09 2017-10-17 食曰(上海)生物科技有限公司 一种用于鲜枸杞的可食用保鲜剂及保鲜方法
JP2017210584A (ja) * 2016-05-27 2017-11-30 小松 秀一 食品包装用塗料、およびそれを利用した食品用包装容器
JP2017222788A (ja) * 2016-06-15 2017-12-21 小松 秀一 食品包装用塗料、およびそれを利用した食品用包装容器
CN108497052A (zh) * 2018-03-14 2018-09-07 中国科学院华南植物园 一种抑制香蕉果实出现糖点的方法
CN108633993A (zh) * 2018-03-14 2018-10-12 中国热带农业科学院海口实验站 一种香蕉果实的保鲜方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010045986A (ja) * 2008-08-19 2010-03-04 Minoru Sugano 糖度向上、糖成分調整および呈味調整に関する素材、方法および果実・野菜類
WO2011099424A2 (ja) * 2010-02-09 2011-08-18 Murata Moriyasu 食品包装用シート
JP2012001268A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Minoru Sugano 野菜・果実類保存用包装シート、袋および容器ならびに野菜・果実類の保存方法
JP2012200208A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Solgente Kk 生鮮食品の鮮度保持処理方法
JP2012213350A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Minoru Sugano 収穫された茶葉用ポリフェノール増加剤、樹脂ペレット、収穫された茶葉保存用シートおよびその製造方法
JP2012218388A (ja) * 2011-04-13 2012-11-12 Dic Corp 共押出多層フィルム及び該フィルムからなる包装材

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010045986A (ja) * 2008-08-19 2010-03-04 Minoru Sugano 糖度向上、糖成分調整および呈味調整に関する素材、方法および果実・野菜類
WO2011099424A2 (ja) * 2010-02-09 2011-08-18 Murata Moriyasu 食品包装用シート
JP2012001268A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Minoru Sugano 野菜・果実類保存用包装シート、袋および容器ならびに野菜・果実類の保存方法
JP2012200208A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Solgente Kk 生鮮食品の鮮度保持処理方法
JP2012213350A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Minoru Sugano 収穫された茶葉用ポリフェノール増加剤、樹脂ペレット、収穫された茶葉保存用シートおよびその製造方法
JP2012218388A (ja) * 2011-04-13 2012-11-12 Dic Corp 共押出多層フィルム及び該フィルムからなる包装材

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017173557A1 (es) * 2016-04-08 2017-10-12 Universidad De Santiago De Chile Composicion polimerica biodegradable, antioxidante y antimicrobiana de hoja de murta
JP2017210584A (ja) * 2016-05-27 2017-11-30 小松 秀一 食品包装用塗料、およびそれを利用した食品用包装容器
JP2017222788A (ja) * 2016-06-15 2017-12-21 小松 秀一 食品包装用塗料、およびそれを利用した食品用包装容器
CN107251940A (zh) * 2017-05-09 2017-10-17 食曰(上海)生物科技有限公司 一种用于鲜枸杞的可食用保鲜剂及保鲜方法
CN108497052A (zh) * 2018-03-14 2018-09-07 中国科学院华南植物园 一种抑制香蕉果实出现糖点的方法
CN108633993A (zh) * 2018-03-14 2018-10-12 中国热带农业科学院海口实验站 一种香蕉果实的保鲜方法
CN108497052B (zh) * 2018-03-14 2021-06-01 中国科学院华南植物园 一种抑制香蕉果实出现糖点的方法
CN108633993B (zh) * 2018-03-14 2021-07-06 中国热带农业科学院海口实验站 一种香蕉果实的保鲜方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5886262B2 (ja) 2016-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5886262B2 (ja) 食品包装用塗料、それを利用した食品包装用品、包装食品、および食品包装用品の製造方法
Qian et al. A review of active packaging in bakery products: Applications and future trends
Bodbodak et al. Recent trends in active packaging in fruits and vegetables
Han Innovations in food packaging
Jobling Essential oils: A new idea for postharvest disease control
Haghighi‐Manesh et al. Active packaging systems with emphasis on its applications in dairy products
US8172979B2 (en) Porous adhesive for corrugated cardboard and method of manufacturing corrugated cardboard using the same
Silberbauer et al. Packaging concepts for ready-to-eat food: recent progress
Altaf et al. Novel packaging technology for food industry
Hemavathi et al. Food packaging: polimers as packaging materials in food supply chains
Almenar Innovations in packaging technologies for produce
Bhat et al. Advances in apple packaging: A review
Ait-Oubahou et al. Packaging
Akelah et al. Polymers in food packaging and protection
ES2588261A1 (es) Envase de cartón para envasado activo de frutas y hortalizas frescas, y procedimiento de fabricación del mismo
CN105755896B (zh) 一种基于肉桂精油的抗菌包装纸制作方法
JP6419752B2 (ja) 食品包装用塗料、およびそれを利用した食品用包装容器
Lucera et al. Volatile compounds usage in active packaging systems
EP2835051A1 (en) Packaging container that extends the shelf life of food contained therein, particularly berries, by means of the incorporation of an antifungal agent in the surface thereof, preparation method and uses of same
Malik et al. Packaging of Fresh Mangoes and Processed Mango Products
Adhikary et al. Advances in postharvest packaging systems of fruits and vegetables
Handa et al. Safety and Regulatory Aspects of Active Packed Food Products
Choudhary et al. Influence of packaging material and storage temperature on the shelf life and quality of broccoli: A review
Sharma et al. Innovations in packaging for enhancing shelf life of horticultural produce
Rashed et al. Active Packaging of Foods

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151013

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5886262

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250