本発明の車両用エンジン始動操作システムの一実施形態を、図面を用いて説明する。
本実施形態の車両用エンジン始動操作システム1Aは、図1〜図5に示すように、車両2の運転席に着座した運転者が操作可能に設けられ、当該車両2のエンジン9の始動操作を受け付ける第一の始動操作部9E(図2参照)と、その運転席よりも後方に位置する後方側ドア2DR,2DL,2DB(図3参照)の開状態において開放されるドア開口20Hの周辺部(図4参照:ここではドア2DLのドア開口周辺部のみ)に設けられ、当該車両2のエンジンの始動操作を受け付ける第二の始動操作部3E(図4及び図5参照)と、第一の始動操作部9E又は第二の始動操作部3Eに所定の始動操作がなされた場合に、停止中のエンジンを始動させ、かつ少なくとも空調装置8を含む各種の車載機器5〜8…に対しバッテリ2Bからの駆動電力の供給を開始させる始動制御を行う主制御部(メイン制御部)20と、を備える。
また、図1に示す本実施形態の車両用エンジン始動操作システム1Aは、車両2と携帯通信端末4とを有した構成をなす。即ち、本実施形態の車両2は、キーをなす携帯通信端末4を用いて車両2の各ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DB(図3参照)の施錠及び解錠並びに車載エンジン9の始動を行ういわゆるスマートエントリーシステム及びスマートスタートシステムを備える。本実施形態の携帯通信端末4は、スマートエントリーシステム及びスマートスタートシステムのキー(スマートキーや、電子キー、携帯キー等ということもできる)であり、車両2との間での無線通信が可能である。
なお、本実施形態における車両2は、図2に示すエンジン(内燃機関)9を走行源(駆動源)とする車両である。また、本実施形態における車両2は、左右双方の後席のドア2DR,2DLがパワースライドドアであり、バックドア2DBがスイング式のパワーバックドアであり、それぞれに対応する駆動部5D(図2参照)によって電動開閉可能である。
本実施形態の車両用エンジン始動操作システム1Aの主制御部20は、スマートECUである。主制御部20は、CPU,ROM,RAM等を備えた通常のコンピュータと同様の構成を有するとともに、図2に示すように、CAN等の車内LAN(車両通信手段)10を介して、エンジン9の制御を司るエンジンECU90、各ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBの施錠及び解錠の状態(ロック状態)の検出、施錠及び解錠を切り替える駆動制御、開閉状態の検出、電動開閉の駆動制御等を行うドアECU50、車両2に搭載された空調装置8を制御するエアコンECU80、各パワーウィンドウ2Wやサンルーフ2Sの開閉駆動を制御するパワーウィンドウECU60、サイドミラー(ここではドアミラー)2Mの開閉駆動を制御するサイドミラーECU(ドアミラーECU)70等の他の制御部とも接続し、情報の送受信を行う。また、主制御部20は、運転者のブレーキ操作の有無を検出するブレーキセンサ25、運転席の着座センサ26、車速センサ27、報知部28とも接続しているが、これらとは他のECU(制御部)を介して接続して、情報の授受が可能とされていてもよい。
スマートエントリーシステム、スマートスタートシステムといったキー4を用いるシステムに関する構成として、車両2は、図1に示すように、スマートECUをなす主制御部20、LF送信部21、RF受信部22、ドアアンテナ(バックドア外アンテナを含む)20a、室内アンテナ21a、エンジン9の始動操作部9Eを備える。
主制御部20は主に、スマートエントリーシステムやスマートスタートシステムに関する制御全般を司るものであり、記憶部29と接続する。記憶部29は、スマートエントリーシステムやスマートスタートシステムにおいて、対応するキー4との照合に用いるマスターコード(マスター情報)を記憶している。
LF送信部21は、主制御部20からの指令に基づき、スマートエントリーシステム、スマートスタートシステムに関する各種信号をLF(low frequency)帯域の電磁波として発信するものであり送信アンテナ20aあるいはアンテナ21aと共に車両2側の無線受信部を構成する。
RF受信部22は、キー4から発信される、スマートエントリーシステム、スマートスタートシステムにおけるキー照合に関係したRF(UHF:Ultra High Frequency)帯域の信号を受信するものであり、受信アンテナ22aと共に車両2側の無線受信部を構成する。
ドアアンテナ(バックドア外アンテナ)20aは、それぞれ車両2の各ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBに配置されて、LF送信部21から送信されてきた、スマートエントリーシステムにおける車室外照合に関係したLF信号を車外の所定のドア周辺エリア200へ送信する。
室内アンテナ21aは、LF送信部21から送信されてきた、スマートスタートシステムにおける車室内照合に関係するLF信号を、車室内全体を通信エリア(第一の無線送信エリア)210とする形で送信するものであり、LF送信部21と共に本発明の第一の無線送信部を構成する。
キー4は、車両2のスマートエントリーシステム、スマートスタートシステムに関するスマートキーであり、駆動電源として内蔵のボタン電池(内蔵電池)を備える。キー4は、その主な構成として、制御部40、RF(UHF)送信部41、RFアンテナ41a,LF受信部42、LFアンテナ42a、記憶部49、操作部44,45を備える。RF送信部41及びRFアンテナ41aはキー4側の無線送信部、LF受信部42及びLFアンテナ42aはキー4側の無線受信部を構成する。
制御部40は、キー4で必要となる情報処理全般を行う制御回路である。RF送信部41は、スマートエントリーシステム、スマートスタートシステム、キーレスエントリーシステム等に関するRF(UHF)帯域の信号を、RFアンテナ41aを介して車両2に向けて送信する。送信される信号には、キー4のIDコード(識別情報、識別コード、識別信号)が含まれる。LF受信部42は、スマートエントリーシステム、スマートスタートシステム、キーレスエントリーシステム等に関係して車両2から送信されるLF信号をLFアンテナ42aを介して受信する。LFアンテナ42aは、あらゆる方向からの電波を受信可能なように3軸方向(互いに直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向)のアンテナを有する。記憶部49は、キー4で必要となる各種情報を記憶する記憶部であり、対応する車両2に固有のIDコード(つまりはキー4に固有のIDコード)を記憶している。
スマートエントリーシステムの動作について図1及び図3を用いて説明する。
車両2側の主制御部20は、対応するキー4を探索する探索信号を、LF送信部21からLFアンテナ21aを介して車外のドア周辺エリア200(図3(a)参照)に所定周期で送信させる。ユーザーがキー4を携帯しつつ車両ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBに接近すると、キー4側の制御部40は、その探索信号を、LFアンテナ42aを介してLF受信部42にて受信し、その応答信号(探索応答信号)を、RF送信部41からRFアンテナ41aを介して送信する。車両2側の主制御部20は、その応答信号を、RFアンテナ22aを介してRF受信部22にて受信すると、そのキー4に対しIDコード(識別情報)を要求する要求信号を、LF送信部21からLFアンテナ21aを介して車外のドア周辺エリア200(図3(a)参照)に送信する。キー4側の制御部40は、その要求信号をLF受信部42にて受信すると、要求されたIDコード(記憶部49に記憶された識別情報)を含む応答信号(要求応答信号)を、RF送信部41からRFアンテナ41aを介して送信する。車両2側の主制御部20は、その応答信号を、RFアンテナ22aを介してRF受信部22にて受信すると、この応答信号に含まれるIDコード(識別情報)と、記憶部29に記憶されているマスターコードとを照合する。そして、それら両コードが一致(照合成功)することにより、制御部40は車両ドアの解錠が許可される。その結果、車両ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBのノブにユーザーが所定操作(例えばタッチスイッチへのタッチ操作等)をすることで、車両ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBは解錠する。
スマートスタートシステムの動作について図1及び図3を用いて説明する。
車両2側の主制御部20は、ユーザーが車両ドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBを開けると、対応するキー4を探索する探索信号を、LFアンテナ21aを介してLF送信部21から車室内全体(符号210:図3(b)参照)に所定周期で送信させる。そして、そのユーザーがキー4を携帯しつつ車室内に進入すると、キー4側の制御部40は、その探索信号をLFアンテナ42aを介してLF受信部42にて受信して、その応答信号(探索応答信号)をRF送信部41からRFアンテナ41aを介して送信する。車両2側の主制御部20は、その応答信号を、RFアンテナ22aを介してRF受信部22にて受信すると、そのキー4に対しIDコード(識別情報)を要求する要求信号を、LFアンテナ21aを介してLF送信部21から車室内全体(符号210:図3(b)参照)に送信する。キー4側の制御部40は、その要求信号をLFアンテナ42aを介してLF受信部42にて受信すると、要求されたIDコード(記憶部49に記憶された識別情報)を含む応答信号(要求応答信号)を、RF送信部41からRFアンテナ41aを介して送信する。車両2側の主制御部20は、その応答信号をRFアンテナ22aを介してRF受信部22にて受信すると、この応答信号に含まれるIDコード(識別情報)と、記憶部29に記憶されているマスターコードとを照合する。それら両コードが一致(照合成功)することにより、主制御部20はエンジンECU90に対して車両2のエンジン始動を許可する。その結果、所定のエンジン始動操作(例えばプッシュスイッチをなす始動操作部9Eへのプッシュ操作等)をすることによりエンジンECU90は、スタータ9Sによってエンジン9を始動させる。なお、エンジン9の始動に伴いエアコンECU80も、直前の電源OFF時に設定されていた空調出力設定に復帰させる形で駆動を開始する。ただし、直前の電源OFF時の空調出力設定がOFF(駆動停止)であればOFFのままとなる。
また、本実施形態の車両用エンジン始動操作システム1Aは、公知のキーレスエントリーシステムも備える。ここでの操作部44,45は施錠操作部44と解錠操作部45であり、操作に伴い車両2側の主制御部20との無線通信(RF)による照合処理が実行され、照合一致となると主制御部20は各施錠駆動部5Cを駆動させてドア2DD,2DA,2DR,2DL,2DBを施錠又は解錠させる。
このように本実施形態の車両用エンジン始動操作システム1Aでは、上述したスマートスタートシステムにおけるキー4との無線通信による照合処理を行ってキー4の照合が成功している状態において、第一の始動操作部9Eに所定の始動操作がなされた場合に、制御部20が、エンジン9が停止中であればこれを始動させ、かつ少なくとも空調装置8を含む車載機器5〜8…に対しバッテリ2Bからの駆動電力の供給を開始させる始動制御(以下、第一の始動制御という)を実行するが、キー4の照合が成功していない状態では、第一の始動操作部9Eに所定の始動操作がなされた場合でも、当該始動制御を禁止して実行しない(第一の制御手段)。なお、エンジン9の駆動状態において第二の始動操作部3Eに所定の始動操作がなされた場合、主制御部20は、エンジンを停止させ、かつ各車載機器5〜8…に対しバッテリ2Bからの駆動電力の供給を遮断して電源OFF状態とする。
ただし、主制御部20は、予め定められた前提状態(以下、第一の前提状態という)を満たしたことを条件に第一の始動制御の開始を許可し、満たしていなければ第一の始動制御の開始を禁止する(第一の許可手段)。ここでは、車両2のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出部25を、主制御部20に接続した形で備えており、上記第一の前提状態は、そのブレーキ操作検出部25によりブレーキ操作が検出された状態である。スマートスタートシステムにおけるキー4との無線通信による照合処理によってキー4の照合が成功している状態で、この第一の前提状態となり、その上で、第一の始動操作部9Eに所定の始動操作がなされることで、上記第一の始動制御が実行される。
なお、第一の始動操作部9Eは、従来の車両と同様、運転席のユーザー(運転者)によって操作可能となるよう、運転席前方のハンドル付近に設けられた周知のものであり、ここではプッシュスイッチとして設けられている。
一方で、第一の始動操作部9Eとは別の位置には、第一の始動操作部9Eとは別の第二の始動操作部3Eを有する。第二の始動操作部3Eに所定の始動操作がなされた場合、主制御部20は、エンジン9が停止中であればこれを始動させ、かつ少なくとも空調装置8を含む車載機器5,6,7,8…に対しバッテリ2Bからの駆動電力の供給を開始させるとともに、その駆動電力の供給を受けた空調装置8に予め定められた強制空調出力を開始させる始動制御(以下、第二の始動制御という)を実行する(第二の制御手段)。他方、エンジン9の駆動状態において第二の始動操作部3Eに所定の始動操作がなされた場合、主制御部20は、エンジンを停止させ、かつ各車載機器5,6,7,8…に対しバッテリ2Bからの駆動電力の供給を遮断して電源OFF状態とする。
ただし、制御部20は、第一の前提状態とは異なる予め定められた第二の前提状態を満たしたことを条件に、第二の始動制御の開始を許可し、満たしていなければ第二の始動制御の開始を禁止する(第二の許可手段)。ここでいう第二の前提状態は、キー4が後方側ドア2DLの開口20Hの周辺領域310(図3(c)参照)内に位置する状態と、その後方側ドア2DLが開いている状態(開状態)と、運転席に搭乗者が不在である状態と、車両2の停止状態との全てが満たされた状態である。ただし、これらのうちいずれか1以上を省略して構成してもよし、他の前提状態(例えばパーキングブレーキのON状態等)を追加してもよい。
第二の始動操作部3Eは、本実施形態においては、前席ドア2DA(ここでは助手席側のドア)と、その車両後方に位置する後席ドア2DLとの間に形成されるピラー20P(Bピラー)に設けられる(図4参照)。さらにいえば、本実施形態の第二の始動操作部3Eは、ピラー20Pの上部に設けられており、例えばシートベルト20Bが引き出されるベルト引出口の上側、又は上方に延出するシートベルト20Bを下方に折り返す折り返し部の上側に設けることができる。これにより、後席に座る人に誤操作されにくくできる上、荷物による誤操作もより発生しにくくなる。
また、第二の始動制御を実行させるための照合処理は、本実施形態においては、上述したスマートスタートシステムにおける照合処理とは別の、キー4との無線通信による照合処理である。この照合処理は、上記第二の前提状態に含まれる、キー4が後方側ドア2DLの開口20Hの周辺領域310(図3(c)参照)内に位置する状態を特定するために実施される。なお、照合処理のための無線通信によってキー4の位置が特定済みであるということは、その際にキー4の照合処理が成功したことを意味する。
具体的には、上述したスマートスタートシステムに用いられる無線送信部(以下、第一の無線送信部という)21とは別の第二の無線送信部31が用意され、そのアンテナ31aとして、後方側ドア2DLのドア開口20Hの周辺領域310に第二の無線送信エリア310(図3(c)参照)を形成する、室内アンテナ21aとは別の室内アンテナ31aが配置される。
室内アンテナ31aは、LF送信部31から送信されてきた、スマートスタートシステムと同様のキー4の照合に関係するLF信号を、第二の無線送信エリア310に送信する。本実施形態の無線送信部31は、第二の始動操作部3Eに近接して配置されており、ここでは、第二の始動操作部3Eと同様、ピラー20P(Bピラー)に設けられる(図4参照)。本実施形態の室内アンテナ31aは、LF送信部31と共に本発明の第一の無線送信部を構成する。
本実施形態において、第二の始動操作部3Eと第二の無線送信部31は、操作ユニット(操作装置)3として形成され、ピラー20P(Bピラー)に組み付けられている。ここでの操作ユニット3は、インパネ外に設けられたインパネ外始動操作ユニット3である。
本実施形態のインパネ外始動操作ユニット3は、図5に示すように複数の操作部3sからなる操作部群30S(図1参照)が設けられた操作パネル30Pを備える。操作部群30Sには、第二の始動操作部3Eの他にも、車両2の車室内に空調変化をもたらす予め定められた空調関連駆動部を駆動させる空調駆動操作を受け付ける1以上の操作部3sが設けられる。本実施形態の空調関連駆動部には、車両2の電動開閉可能な各ドア2DR,2DL,2DBを電動開閉駆動させる開閉駆動部5Dと、各ドア2DD,2DA,2DR,2DLのパワーウィンドウ2Wを電動開閉駆動させる開閉駆動部6Dと、車両天井部のサンルーフ2Sを電動開閉駆動させる開閉駆動部6Sと、が存在する。
操作部群30Sには、空調装置8の空調操作部8sとして、空調装置8のON/OFFスイッチ、吹き出し温度設定スイッチ、吹き出し風量設定スイッチ、吹き出しモード(吹き出し口)設定スイッチ、AUTOモード設定スイッチ等の一群が設けられる。また、それら各スイッチ8s上やその周辺には、対応するスイッチ8sによる設定状態の表示部(液晶画面等の画面表示部やLED等の点灯表示部)30tも設けられる。
なお、本実施形態の操作部群30Sには、サイドミラー(ここではドアミラー)を後方視認可能な使用位置と車両内側を向く格納位置との間で電動開閉駆動させる開閉駆動部7Dを駆動させる駆動操作を受け付ける操作部3sも含まれている。
ただし、いずれの操作部3sも、始動操作部3E,9Eへの操作に基づいてエンジン9が始動し、空調装置8を含む車載機器5〜8…に対しバッテリ2Bかからの駆動電力の供給が開始された状態でなければ、操作を受け付けない、あるいは操作による操作対象の制御を受け付けない。
ここで、主制御部20によって実行される第二の始動操作部3Eの操作受付処理について、図6を用いて説明する。
図6に示す第二の始動操作部3Eの操作受付処理は、第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作がなされることにより、主制御部20によって実行される。このとき、主制御部20は、対応するキー4を探索する探索信号をLF送信部21から車室内全体(第一の無線送信エリア210:図中の第1エンジンSW照合エリア)に所定周期で送信させて、上述したスマートスタートシステムにおける探索信号の無線送信を実行しているが、第二の始動操作部3Eに所定の始動操作がなされた場合には、LF送信部21からの探索信号によるキー4の探索中であるか否かを判定して、探索中であれば(S1:No)探索終了まで待機し(S9)、探索中でなければ(S1:Yes)、LF送信部21とは別のLF送信部31から探索信号を送信して、キー4の探索を実行する。
なお、本実施形態においては、LF送信部31の送信タイミングが、LF送信部21からの探索信号の送信タイミングに対し時間をずらした形で予め定められており、主制御部20は、その送信タイミングの到来を特定し、当該タイミングの到来を特定するに伴い(S1:Yes)、対応するキー4を探索する探索信号をLF送信部31から、後方側ドア2DLのドア開口20Hの周辺に定められた所定の送信エリア(第二の無線送信エリア310:図中の第2エンジンSW照合エリア)に送信させ、そのエリア310において、車両2に対応するキー4の探索を開始する(S2)。
即ち、主制御部20は、LF送信部31に対しLFアンテナ31aから無線送信エリア310に探索信号を無線送信させる(端末探索手段)。無線送信エリア310内のキー4は、この探索信号をLFアンテナ42aを介してLF受信部42にて無線受信すると、制御部40が、応答信号(探索応答信号)をRF送信部41からRFアンテナ41aを介して無線送信する。主制御部20は、この応答信号をRFアンテナ22aを介してRF受信部22にて受信すると(端末探索手段)、無線受信した応答信号(探索応答信号)に基づいて、当該応答信号を送信したキー4が存在するか否かと、後方側ドア2DLのドア開口20Hの周辺に定められたドア開口周辺領域内に位置するか否かを特定する(端末探索手段、端末位置特定手段)。ここでは、探索信号の送信エリア310が、ドア開口周辺領域と一致しているため、応答信号を無線受信できることで、キー4が、ドア開口周辺領域310内に位置すると特定できるし、応答信号が無線受信できなければ、キー4が、ドア開口周辺領域310内に位置すると特定できる(端末位置特定手段)。
このように本実施形態では、LF送信部21,31から送信される探索信号が時間をずらして送信されるため、それぞれの探索信号の送信エリアが互いに重ならない。その結果、LF送信部21,31のどちらから送信された探索信号に対しキー4が応答信号を返信したかを、主制御部20は、その応答信号の受信タイミングから特定することができる。LF送信部31から送信された探索信号の応答信号と特定できたならば、キー4が、ひいてはキー4を所持したユーザーが、後方側ドア2DLのドア開口20Hの周辺に存在していることを特定できる。つまり、キー4を所持している車両2の関係者が、後方側ドア2DLのドア開口20Hの周辺に存在していることを確認できる。
なお、本実施形態のスマートスタートシステムでは、図3(b)に示すように、複数(ここでは3)あるLFアンテナ21aからそれぞれ時間をずらした形で探索信号が順に(ここでは車両前方のものから順に所定間隔おきに)送信されるが、全てのLFアンテナ21aから送信が終了した後には、探索信号が順に送信される際の時間間隔よりも長い時間間隔が経過した後に、再び同じように繰り返す形で探索信号が順に送信されるよう構成されている。本実施形態においては、この全てのLFアンテナ21aから送信が終了した後で、かつ次のLFアンテナ21aからの送信が始まる前のタイミングで、図3(c)に示すように、LF送信部31からの探索信号の送信が行われるものとする。
さらに、ドア開口周辺領域310内に位置すると特定されたキー4が、車両2に対応するキー4であるか否かを特定するために、主制御部20は、LF送信部31に対しLFアンテナ31aから無線送信エリア310に、キー4の識別情報の要求信号を無線送信させる。無線送信エリア31内のキー4は、この要求信号をLFアンテナ42aを介してLF受信部42にて無線受信すると、制御部40が、要求されたIDコード(記憶部49に記憶された識別情報)を含む応答信号(要求応答信号)をRF送信部41からRFアンテナ41aを介して無線送信する。主制御部20は、この応答信号をRFアンテナ22aを介してRF受信部22にて受信すると(識別情報取得手段)、この応答信号に含まれるIDコードと、記憶部29に記憶されているマスターコードとを照合する(照合手段)。それら両コードが一致(照合成功)することにより、主制御部20は、ドア開口周辺領域310内に位置するキー4が、車両2に対応するキー4であると特定する(対応端末特定手段)。
図6に戻る。車両2に対応するキー4がドア開口周辺領域310内に位置すると特定され、かつそのキー4の照合が成功すると(S4:Yes)、主制御部20は、後方側ドア2DLが開状態にあるか否かを特定する(開状態特定手段)。ここでは、主制御部20が、後方側ドア2DLの開状態を検出する開状態検出部5Aの検出結果をドアECU50から通信取得し、取得した検出結果に基づいて、後方側ドア2DLが開状態にあるか否かを特定する。
後方側ドア2DLが開状態にあることを特定すると(S4:Yes)、主制御部20は、次に着座センサ26にバッテリ2Bから駆動電源を供給して電源ONとし(S5)、その着座センサ26の検出結果に基づいて、車両2の運転席の搭乗者が存在するか否かを特定する(運転者特定手段)。ここでは、主制御部20が、運転席に設けられた着座センサ26の検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて、運転席の搭乗者が存在するか否かを特定する。ここでの着座センサ26は、運転席の背もたれや座部に設けられた荷重センサや感圧センサ、シートベルト20Bの装着検出センサ等とすることができる。
なお、本実施形態においては、着座センサ26の電源の供給制御を主制御部20が行う構成になっているが、他のECUが着座センサの電源供給制御を行う場合、図6のS5の処理は、「運転席着座センサ26の電源ON」ではなく、当該ECUへの主制御部20からの「運転席着座センサ26の電源ONの要求信号の送信」とすることができる。さらにこの場合、運転席の搭乗者が存在するか否かの特定(判定処理)を、主制御部20ではなく、運転席着座センサ26の電源ONの機能を担う別のECUに行わせ、その結果(判定結果)を、CAN等の車両通信手段10を介して通信取得し、その取得情報に基づいて主制御部20が最終的な特定結果を判断する構成としてもよい。
運転席の搭乗者が存在しないことを特定すると(S6:Yes)、主制御部20は、車両2が停車中であるか否かを特定する(停車特定手段)。ここでは、主制御部20が、車速センサ27の検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて、車両2が車速ゼロの停車状態にあるか否かを特定する。
車両2に対応するキー4がドア開口周辺領域310内に位置するとともに照合も成功し(S3:Yes)、後方側ドア2DLが開状態にあり(S4:Yes)、運転席に搭乗者が存在せず(S6:Yes)、車両2が停車中である(S7:Yes)という第二の前提状態をすべて満たした場合(S7:Yes)、主制御部20は、エンジンECU90に対して車両2のエンジン始動を許可する。その結果、所定のエンジン始動操作(例えばプッシュスイッチをなす始動操作部9Eへのプッシュ操作等)をすることにより、主制御部は、エンジンECU90に、エンジン9が停止していればスタータ3Sを駆動させてエンジン9を始動させ、エンジン9が始動していれば停止させる(S8)。加えて、主制御部20は、エンジン9を始動させるときに、イグニッションスイッチ2sをONとして(イグニッション電源のON)、バッテリ2Bから各車載機器5〜8…に駆動電源の供給を開始し、エンジン9を停止させるときには、イグニッションスイッチ2sをOFFとして(イグニッション電源のOFF)、バッテリ2Bから各車載機器5〜8…に駆動電源の供給を遮断する(S8)。
また、本実施形態においては、車載機器5〜8…に駆動電源が供給されるに伴い、主制御部20は、空調装置8に予め定められた強制空調出力を開始させる(S8)。本実施形態における強制空調出力とは、少なくとも空調装置8によって空調された気流が車室内の吹き出し口から吐出している出力状態とする。
なお、ここでいう空調された気流とは、空調装置8のブロワや、コンプレッサ等の冷凍サイクルの各部、ヒータコア等といったエアコン駆動部8D(図3参照)の駆動によって、温度や湿度が調整された気流のことである。これら各エアコン駆動部8Dは、エンジン9の始動やイグニッション電源ONによって駆動源ないしは駆動電源を得ることにより駆動状態となる駆動部であり、空調された気流はこの駆動状態において得ることができる。
一方で、空調装置8は、OFFに移行する前に、OFF直前の空調出力条件を記憶する機能を備える。これは電源OFFのときも、ユーザー操作によるOFFのときも同じであり、ONに移行するに伴いOFF直前に記憶された空調出力条件での出力が開始される。ただし、直前の電源OFF時に空調装置8がマニュアルでOFF(駆動停止)に設定されていた場合は、ONに移行してもOFFのままである。つまり、空調された気流が車室内の吹き出し口から吐出しない状態のままである。しかしながら、上記強制空調出力が実行されることで、直前の電源OFF時に空調装置8がマニュアルでOFF(駆動停止)に設定されていた場合でも、強制的にONに切り替えられて、そのマニュアルOFFの直前に記憶された空調出力条件に空調された気流の出力が強制的に開始される。
なお、本発明においては、第二の始動操作部への操作によって、強制空調出力が行われず、空調装置8が駆動停止のまま空調出力が開始されなくてもよい。この場合、本実施形態の構成であれば、操作部3sへの操作で空調装置8を駆動させて空調出力を開始させることができる。
これにより、本処理は終了となる。また、上記前提条件(S3,S4,S6,S7)が1つでも満たされなければ、主制御部20は、エンジン始動、電源供給、強制空調出力のいずれも行うことなく、本処理を終了する。
なお、この図6の処理の実行開始のきっかけとなる第二の始動操作部3Eへの操作は、通常のプッシュ操作、つまりはオン/オフ(プッシュ/プッシュ解除)が検出される操作と定めてもよいが、例えば、2秒のオン検出継続(プッシュ状態継続)の後のオフ検出(プッシュ解除)される操作や、あるいは5秒以内に3回のオン/オフ(プッシュ/プッシュ解除)が検出される操作とすることができる。つまり、第二の始動操作部3Eを操作して図6の処理を実行させるための所定の操作は、第二の始動操作部3Eへの所定時間以上の長押し操作や、第二の始動操作部3Eへの予め定められたパターンに従うパターン操作等とすることができる。図6の処理を実行させるための第二の始動操作部3Eへの操作は、少なくともエンジン9の始動あるいはイグニッション電源のONをさせる際の第一の始動操作部9Eへの始動操作よりも操作負担の大きい操作として定めることで、荷物による誤オンや子供のいたずら操作等を防止でき、ユーザーの操作意図がより確実なときに操作を受け、その他の時に操作を受け付けないようにできる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
以下、本発明の他の実施形態及び変形例について説明する。なお、上記実施形態をなすエンジン始動操作システム1Aや他の実施形態のエンジン始動操作システムと共通の機能部や同様の機能部については説明を省略したり、同一符号を付して詳細説明を省略したりしている。また、上記実施形態と下記複数の変形例は、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
上記実施形態におけるスマートエントリーシステム、スマートスタートシステム、キーレスエントリーシステムや、図6の処理のような車両2側とキー4側との双方でなされる通信処理については、上述のような無線通信処理に限られる必要はなく、少なくともキー4のIDコードがキー4から無線送信され、車両2側で無線受信される処理となっていればよい。図6の処理については、キー4がドア開口周辺領域310内に位置するか否かを特定可能であれば、他の無線通信内容でもよいし、無線通信とは別の方法でもよい。
図7は、本発明の第二実施形態のエンジン始動操作システム1Bである。上記第一実施形態では、第一の始動操作部9Eによるエンジン始動を許可するためのキー4との無線通信による照合と、第二の始動操作部3Eによるエンジン始動を許可するためのキー4との無線通信による照合との双方を、時間をずらして行うことで区別し、これによりキー4の位置を特定(図6のS2,S3)できるよう構成されているが、本発明では、第二実施形態のように、第一の始動操作部9Eによるエンジン始動を許可するためのキー4との無線通信による照合と、第二の始動操作部3Eによるエンジン始動を許可するためのキー4との無線通信による照合との双方において、無線通信の周波数を異なるようにして区別してもよい。
図7の第二実施形態では、第一の始動操作部9Eによるエンジン始動を許可するための車両2側からキー4への探索信号及び要求信号の無線送信が、スマートスタートシステムと同様、LFアンテナ21a及びLF送信部21によるLF帯での無線通信であるが、第二の始動操作部3Eによるエンジン始動を許可するための車両2側からキー4への探索信号及び要求信号の無線送信が、RFアンテナ33a及びRF送信部33によるRF帯での無線通信である。このため、双方が同時に発信されても、周波数の違いによって受信内容を区別することができる。
なお、第二実施形態においては、キー4側にRF帯の信号を送受信するRF受信部及びRF送信部とRFアンテナを設ける必要がある。ここではキー4に、RFアンテナ43aを共用するRF送受信部43が設けられており、車両2側のRF送信部33及びRF受信部32,22との間での双方向無線通信が可能とされている。これにより、図6のS1及びS2の処理を省略することが可能となる。つまり、時間制約なくキー4の探索が可能となる。
なお、第二実施形態においては、RF受信部32,22はいずれか一方を省略してもよい。
また、第二実施形態においては、車両2側(RF送信部33)からキー4へのRF帯での無線送信については、キー4側(RF送受信部43)から車両2側に無線送信される応答信号よりも出力を絞って、送信エリアが図3(c)のようなドア開口周辺領域310となるようにする必要がある。
図8は、本発明の第三実施形態のエンジン始動操作システム1Cである。上記第一及び第二実施形態とは異なり、図9に示すように、インパネ外始動操作ユニット3が車両2側に対し着脱可能なリモコン(可搬型の操作装置)として設けられている点に特徴がある。インパネ外始動操作ユニット3において、第二の始動操作部3Eや空調操作部8Pを含む各操作部3sに操作がなされると、制御部30は、RF送信部33からRFアンテナ33aを介して、操作された操作部3s(第二の始動操作部3Eを含む)に対応する操作信号を主制御部20に無線送信させる。そして、主制御部20は、エンジン9の始動状態において、この操作信号をRFアンテナ22aを介してRF受信部22にて無線受信すると、無線受信した操作信号に応じた指令信号を、対応するECU又は駆動部等の制御対象に送信して、対応する操作内容を実行させる。
一方で、図6におけるS2及びS3の処理は、車両2側からキー4への探索信号及び要求信号の無線送信を、RF送信部33から無線アンテナ33aを介して無線送信する形で行われる。それらの探索信号及び要求信号は、キー4にてRFアンテナ43aを介してRF送受信部43が無線受信し、その応答信号は、RFアンテナ43aを介してRF送受信部43が無線送信して、車両2側のRFアンテナ22aを介してRF受信部32に無線受信させる。これにより、インパネ外始動操作ユニット3の制御部30にて、図6におけるキー4の位置特定処理と照合処理が行われる。
また、図6におけるS1の処理について、第三実施形態では上記実施形態とは異なり省略できる。つまり、第三実施形態において、インパネ外始動操作ユニット3は、RF送信部33からの探索信号の無線送信(図6のS2)を、第二の始動操作部3Eが操作されるに伴い実行するよう構成される。そして、上記のようなキー4との無線通信により照合処理が終了すると、制御部30は、その照合結果を示す照合結果信号をRF送信部33から無線アンテナ33aを介して無線送信する。一方で、主制御部20は、図6の処理におけるS1として、例えば所定のドア(例えば2DL)の開状態を特定し、その開状態が特定されるに伴いS2として、RF受信部22を照合結果信号の受信待機状態とする。RF受信部22が照合結果信号を無線アンテナ22aを介して無線受信すると、主制御部20は、S3としてその照合結果信号に基づいて照合が成功したか否かを判定し、照合が成功した場合を、ドア開口周辺領域310(インパネ外始動操作ユニット3の周辺領域)にキー4が存在すると判定して(図6のS3:Yes)、図6のS4以降の処理を実行する。このように第三実施形態においては、探索信号や要求信号として、他処理に用いられているLF信号とは周波数が異なるRF信号を出力するため混信することがなく、仮に他のLF信号の発信タイミングと重なったとしても問題がない。キー4側では、LF信号の受信に対する応答信号か、RF信号に対する応答信号かを、返信するRF信号(応答信号)に載せることで、主制御部20や制御部30は、LF・RFのどちらの信号に対する返信・応答かを識別することができる。なお、インパネ外始動操作ユニット3から送信されるRF信号については、同じ内容(同じデータ)の信号を複数(例えば3回)送信することで、キー4側に確実に受信させることができる。
なお、第三実施形態のインパネ外始動操作ユニット3は、車両2側(例えばBピラー20P)から取り外した状態でも、各操作部3sが使用可能となるよう電池3Bで駆動するよう構成される。これにより、インパネ外始動操作ユニット3の制御部30と主制御部20との間の有線接続が不要になる。有線接続が不要となれば、インパネ外始動操作ユニット3、ひいては第二の始動操作部3Eの配置位置に制約がなくなり、例えば、インパネ外始動操作ユニット3や第二の始動操作部3Eを、運転席側の後席ドア2DRやバックドア2DBのドア開口20Hの周辺部に配置変更したり、追加配置したりすることが可能となる。インパネ外始動操作ユニット3を配置変更したり、追加配置をした場合、図6の処理は、配置されたユニット3毎に実行され、S4の処理であるドアの開状態の特定が、各ユニット3に対応するドア(各ユニット3付近に位置するドア)の開状態の特定とすればよい。
なお、この電池3Bは、車両2側の所定位置(例えばBピラー20P)に取り付けられた際に、バッテリ2Bにより充電される構成でもよい。また、車両2側においてインパネ外始動操作ユニット3が取り付けられる所定位置(配置部)は、該インパネ外始動操作ユニット3を収容する収容部20C(ポケット部20C:図9参照)として設けられているとよい。さらにいえば、収容部20Cにインパネ外始動操作ユニット3が収容されることで、電池3Bが充電状態となるよう構成されるとよい。
また、第三実施形態において、第二の始動操作部3Eによるエンジン始動を許可するための車両2側からキー4への探索信号及び要求信号の無線送信は、インパネ外始動操作ユニット3のRFアンテナ33aを介してRF送信部33からなされるが、探索信号及び要求信号は、その送信エリアが図3(c)のようなドア開口周辺領域310となるようにする必要がある。このため、第三実施形態におけるインパネ外始動操作ユニット3は、車両2側(例えばBピラー20P)の所定位置への取り付け状態を検出する取付検出部を備えて構成され、制御部30は、この取付検出部がインパネ外始動操作ユニット3の取り付け状態を検出している場合に限り、キー4との無線通信(キー4への探索信号及び要求信号の無線送信とそれらの応答信号の無線受信)を許可し、取り付け状態を検出していない場合には、当該無線通信を禁止するように構成してもよい(無線通信禁止手段)。
なお、この取付検出部は、上記収容部20Cにインパネ外始動操作ユニット3が収容されているか否かを検出する収容検出部として構成することができ、さらにいえば、収容状態で電池3Bが充電される構成であれば、電池3Bが充電状態にあるか否かを検出する充電検出部として構成してもよい。
図10は、本発明の第四実施形態のエンジン始動操作システム1Dである。上記第一〜第三の実施形態においては、ドア2DLのドア開口周辺領域(上記実施形態では符号310)にキー4が存在するか否かを特定するにあたって、当該ドア開口周辺領域のみに探索信号を無線送信することにより、当該ドア開口周辺領域を探索エリアとして形成しているが、第四実施形態においては、図11に示すように、LFアンテナ(無線送信部)21a’が、互いの送信エリアの一部が重なる形で車室内全体を送信エリアとするよう、互いに異なる位置に3以上設けられる。主制御部20は、それら3以上のLFアンテナ(無線送信部)21a’から無線送信されたそれぞれの探索信号に対する応答信号を、RFアンテナ22aを介してキー4から無線受信し、無線受信した各応答信号(各探索応答信号)に基づいて、それら各応答信号を送信したキー4がドア開口周辺領域310内に位置するか否かを特定する。
具体的にいえば、異なる位置に3以上設けられたLFアンテナ(無線送信部)21a’を介して無線送信される各探索信号に対し、キー4では、それら各探索信号を受信するとともにそれぞれの受信電波強度(RSSI値)を測定して、その測定結果(測定値)を応答信号(探索応答信号)としてRF送信部41からRFアンテナ41aを介して無線送信する。そして、車両2側の主制御部20では、各探索信号に対する受信電波強度に基づいて、キー4の位置を特定する。このように、図6の処理におけるキー4の位置特定の処理(S2,S3)は、異なる位置に設けられた3以上のLFアンテナ(無線送信部)21a’から無線送信される信号の応答信号(RSSIや時間等)に基づいた3点測量の原理に従う方法や、特開2012−107377号公報、もしくは特開2012−225147号公報で提案されるような方法で行うことができる。
なお、1つの第二の始動操作部3Eに対し1つのLFアンテナ(無線送信部)21a’を対応付け、そのLFアンテナ21a’を、対応する第二の始動操作部3Eの周辺のドア(第二の始動操作部3Eに対応付けられたドア:ここではドア2DL)の開口20Hの周辺部に設けることで、このドアの周辺部をなすエリア(ドア開口周辺領域310)に確実に探索信号が送信され、その探索信号に対する応答信号については確実に受信可能な構成となる。
図12は、本発明の第五実施形態のエンジン始動操作システム1Eである。上記第四実施形態のエンジン始動操作システム1Dでは、第二の始動操作部に所定の始動操作がなされた場合に、制御部30が主制御部20に送信する始動信号の他、他の操作部3sに操作がなされた場合に制御部30が主制御部20に送信する操作信号を、図8の実施形態と同様に無線送信(RF)で行っているが、第五実施形態のエンジン始動操作システム1Eでは、これを図1及び図7と同様に有線送信で行うよう構成されており、他は上記第四実施形態のエンジン始動操作システム1Dと同様である。
図13は、本発明の第六実施形態のエンジン始動操作システム1Fである。上記第一実施形態と同様の構成を備えるが、第二の始動操作部を複数有する点で異なる。この場合、始動操作部は、第一の始動操作部9Eと複数の第二の始動操作部3Eとが存在するため、上記第一実施形態と同様に第一の始動操作部9Eへの操作が優先されるようにするだけでなく、複数ある第二の始動操作部3Eの中でも優先順位を定め、優先順位の高い始動操作部の操作が優先的に有効化されるよう構成される。
図13の場合は、第二の始動操作部3Eが、図14に示すように、助手席のドア2DAとその車両後方に位置する後席ドア2DLとの間に形成されるピラー20P(Bピラー)と、その逆側の、運転席のドア2DDとその車両後方に位置する後席ドア2DRとの間に形成されるピラー20P(Bピラー)との双方に設けられる(図14参照)。さらにいえば、双方のピラー20Pにそれぞれインパネ外始動操作ユニット3を設ける形で、第二の始動操作部3Eが設けられている。
なお、双方のインパネ外始動操作ユニット3は、第一実施形態の操作ユニット3と同様に構成される。また、キー4の構成についても同様であるため、図13においては図示を省略している。
図13の構成において、運転席側と助手席側の第二の始動操作部3Eのうち優先されるべき始動操作部3Eは、予め定められた方の始動操作部3E(例えば運転席から遠い助手席側の第二の始動操作部3E)として固定的に定めてもよい。
この場合、主制御部20は、優先順位の高い方の第二の始動操作部3Eについては、所定の始動操作がなされた場合に図6の処理を実行して、優先順位の低い方の第二の始動操作部3Eについては、所定の始動操作がなされた場合に図15に示す処理を実行するように構成できる。なお、ここでは優先順位の低い方の始動操作部3Eを第三の始動操作部3Eと称するものとする。
即ち、図15の処理では、優先順位の低い方の第三の始動操作部3Eに所定の始動操作がなされると、主制御部20は、まずは第二の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態のうち、第二の始動操作部3Eに特有の前提状態を満たしたか否かを判定する(S13,S14)。具体的には、図6のS1〜S4,S9と同様の処理を実施する(S11〜S14、S22)。即ち、第二の始動操作部3Eに対応するドア2DLの開口周辺領域310(図14参照)にキー4が存在するかを探索し(S12)、存在する場合には(S13:Yes)、第二の始動操作部3Eに対応するドア2DLが開状態にあるか否かを判定する(S14)。
第二の始動操作部3Eに特有の前提状態を全て満たしている場合(S13:NoかつS14:No)、主制御部20は、第二の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態が満たされる可能性があると判断して、第三の始動操作部3Eへの操作の受付を禁止(無効化)して、本処理は終了となる。
他方、第二の始動操作部3Eに特有の前提状態を1つでも満たしていない場合(S14:Yes)、主制御部20は、第二の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態が満たされる可能性がないと判断して、第二の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態のうち、第三の始動操作部3Eと共通の前提状態を満たしたか否かを判定する(S16,S17)。具体的には、図6のS5〜S7と同様の処理を実施する(S15〜S17)。即ち、運転席にユーザーが存在するか否かを特定し(S15及びS16)、存在する場合には(S16:Yes)、第二の始動操作部3Eに対応するドア2DLが開状態にあるか否かを判定する(S17)。
第二の始動操作部3Eと第三の始動操作部3Eとの共通の前提状態を1つでも満たしていない場合(S16:No又はS17:No)、主制御部20は、第三の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態が満たされる可能性がないと判断して、第三の始動操作部3Eへの操作の受付を禁止(無効化)して、本処理は終了となる。
他方、第二の始動操作部3Eと第三の始動操作部3Eとの共通の前提状態を全て満たしている場合(S17:Yes)、主制御部20は、第三の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態が満たされる可能性があるが、第二の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態が満たされる可能性が無いと判断して、第三の始動操作部3Eに対応する上記第二の前提状態のうち、第三の始動操作部3Eに特有の前提状態を満たしたか否かを判定する(S13,S14)。具体的には、図6のS1〜S4,S9と同様の処理を実施する(S11〜S14、S22)。即ち、第三の始動操作部3Eに対応するドア2DRの開口周辺領域310(図14参照)にキー4が存在するかを、第二の始動操作部3Eの場合(S12)と同様に探索し(S18)、存在する場合には(S19:Yes)、第三の始動操作部3Eに対応するドア2DRが開状態にあるか否かを判定する(S14)。ドア2DRの開状態は、ドア2DLの場合と同様、当該ドア2DRの開状態検出部5Aの検出結果に基づいて主制御部20が特定する。
第三の始動操作部3Eに特有の前提状態を全て満たしている場合、(S14:Yes)、主制御部20は、図6のS8と同様に図15の上述の第二の始動制御を実行する。
図15の処理によれば、主制御部20は、第二の始動操作部3Eにおいて上記第二の前提状態を1つでも満たしていないことを条件に、第三の始動操作部3Eへの所定の始動操作による第二の始動制御の開始を許可し、満たしていなければ第二の始動制御の開始を禁止する(第三の許可手段)。これにより、優先する第二の始動操作部への操作が、第三の始動操作部への操作によって妨げられることがないように制御できる。
また、図13の構成において、運転席側と助手席側の第二の始動操作部3Eのうち優先されるべき始動操作部3Eは、先に操作された第二の始動操作部3Eとしてもよい。
この場合、主制御部20は、複数ある第二の始動操作部3Eのいずれかに対し所定の始動操作がなされた場合に、当該始動操作以降の予め定められた操作無効期間(操作無効時間)の間、当該始動操作がなされた第二の始動操作部3Eを除く第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作による第二の始動制御の開始を禁止し、操作無効期間を過ぎた場合に、第二の始動制御の開始を許可する(第三の許可手段)。
具体的には、図16のような処理を実行する。なお、図16の処理は、複数ある第二の始動操作部3Eにおいてそれぞれ実施される処理であり、その処理の主体となる第二の始動操作部3Eを第三の始動操作部3E、他の第二の始動操作部3Eをそのまま第二の始動操作部3Eと称することとする。
まず主制御部20は、図6のS1〜S7、S9と同様の処理を実施する(S31〜S38)。ただし、本処理では、キー4が当該処理の主体となる第三の始動操作部3Eに対応するドアの開口20Hの周辺領域310に存在するか否かを判定する処理(S34)が必要であるため、ここでは、第三の始動操作部3Eへの所定の始動操作によって第二の始動制御の開始が許可されるための第二の前提状態に含まれる無線照合処理における照合エリア310(図14の無線送信エリア310の一方)と、第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作によって第二の始動制御の開始が許可されるための第二の前提状態に含まれる無線照合処理における照合エリア310(図14の無線送信エリア310の他方)と、第一の始動操作部9Eへの所定の始動操作によって第一の始動制御の開始が許可されるための第一の前提状態に含まれる無線照合処理における照合エリア210(図3(b)の無線送信エリア210)とが重ならないよう、ここではそれらの無線送信エリア310,310,210を時間をずらして形成しており、この点において図6の処理とは異なる。例えば、それらの無線送信エリア310,310,210のそれぞれにおける探索信号の送信タイミングを予めずらして設定しておけばよい。
そして、第三の始動操作部3Eに関する第二の前提状態がすべて満たされている場合(S38:Yes)、主制御部20は、他の始動操作部9E,3Eへの所定の始動操作によって第一の始動制御や第二の始動制御が実行されていない状態が、予め定められた操作無効期間以上(例えば2秒)の間継続して続いているか否かを判定し、操作無効期間以上継続して続いている場合には(S39:Yes)、第二の始動制御を許可して実行させるが(S40)、操作無効期間以上継続して続いていない場合には(S39:No)、第二の始動制御を禁止して実行させることなく、本処理を終了する。
なお、複数ある第二の始動操作部3Eに対する、上述のような優先順の設定は、第二の始動操作部3Eだけでなく、インパネ外始動操作ユニット3の優先順として設定されてもよく、各インパネ外始動操作ユニット3の他の操作部3sに対しても優先設定されてよい。
図17は、本発明の第七実施形態のエンジン始動操作システム1Gである。ここでは、図13の実施形態におけるインパネ外始動操作ユニット3を、図8や図10の実施形態と同様、Bピラー20Pに対し着脱可能に取り付けて、取り外した際にはリモコンとして使用できるように無線通信可能に構成されている。図17では、双方のインパネ外始動操作ユニット3をリモコン化してもよいが一方のみとしている。ここでは特に優先順位の高い方(運転席から遠い方)のインパネ外始動操作ユニット3をリモコン化している。
図18は、本発明の第八実施形態のエンジン始動操作システム1Iである。ここでは、キー4の探索を、所定の近距離無線通信によって行うよう構成されている。ここでの近距離無線通信は、近距離無線通信部をなすトランスポンダ送受信部36を用いる形でなされている。他方、キー4にはもともと、主にハンドル脇にある第一のエンジン始動部9Eをなすエンジンスイッチ9E内に配置された別のトランスポンダ送受信機(図示無し)と通信するためのトランスポンダ送受信部(トランスポンダ機能部)46が内蔵されているため、ここではこれを近距離無線通信部として利用し、近距離LF通信を行う。
なお、本発明の近距離無線通信は、上記実施形態のようなトランスポンダ通信(近距離LF通信)に限られるものではなく、他の近距離無線通信でもよい。例えば、Bluetooth(登録商標)やFeliCa(登録商標)等、さらにはISO/IEC 14443、ISO/IEC 18092、ISO/IEC 15693、ISO/IEC 21481等の国際規格に準拠する通信技術である無線通信(NFC:Near field communication)のうちのいずれかを用いることができ、それらの中でも、かざす形での非接触通信が可能となる通信距離数十数センチ以内や十cm以内となるもの等を用いることができる。この場合、キー4の代わりに、スマートフォン等の携帯通信端末を用いることができる。
こうした近距離無線通信を適用した場合でも、図6や図15、図16の処理における位置特定とキー照合の処理については、他のLFやRFによる無線通信を近距離無線通信に置き換える形で、他の実施形態と同様にして実施される。ただし、キー4に代わってスマートフォン等の近距離無線通信用の携帯通信端末を用いる場合は、携帯通信端末側のアプリケーションを起動して近距離無線通信可能な状態としておく必要がある。
なお、上記実施形態のうち、図10および図12に示す実施形態のように、車室内全体にキー4の探索信号を送信し、その応答信号に基づいて、車室内のどの位置にキー4が存在するかを特定できる構成においては、第二の前提状態に含まれるキー4の位置しなければならないエリア310を、任意に変更することが可能である。例えば、インパネ外始動操作ユニット3の操作部3sに、エリア変更操作部3sを設けて、ドア2DL,2DR,2DBのいずれかが開状態となった状態で、そのドア付近でエリア変更操作部3sに対し所定のエリア変更操作(例えば第一の始動操作部への所定の始動操作よりも操作難易度の高い、長押し等の操作)をすることにより、制御部30が、現在登録されているエリア310をそのドアの周辺領域に変更、現在登録されているエリア310にそのドアの周辺領域を追加ないし削除するようにしてもよい。また、図1や図7、図8等のように第二の無線通信部が固定設置されている場合であっても、ドア2DL,2DR,2DBの開口20Hの周辺部全てに、インパネ外始動操作ユニット3(少なくとも第二の無線通信部)を設けておけば、上記のように、ドア2DL,2DR,2DBのいずれかが開状態となった状態で、そのドア付近でエリア変更操作部3sに対し所定のエリア変更操作(例えば第一の始動操作部への所定の始動操作よりも操作難易度の高い、長押し等の操作)をすることにより、制御部30が、現在登録されているエリア310をそのドアの周辺領域に変更、現在登録されているエリア310にそのドアの周辺領域を追加ないし削除するようにしてもよい。
ところで、上記実施形態において、第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作によって実施される第二の始動制御には、空調装置8による強制空調出力含まれているが、これを除いてもよい。
また、強制空調出力については、強制空調出力用の空調出力条件(強制空調出力条件)を予め定めておき、この条件に従い開始されるようにしてもよい。例えば、主制御部20が、エアコンECU80に対し、エアコンセンサ8Tの1つである車両2の車室内温度を検出する温度検出部8tの検出結果(車室内温度)が予め定められた基準高温度を上回る場合に所定出力条件として定められた最大冷房出力(例えば設定温度最低及び設定風量最大)にて強制空調出力を開始させ、検出結果(車室内温度)が予め定められた基準低温度を下回る場合に所定出力条件として定められた最大暖房出力(例えば設定温度最高及び設定風量最大)にて強制空調出力を開始させるようにしてもよい。
なお、この場合、主制御部20は、例えば着座センサ26の検出結果に基づいて運転席へのユーザーの着座が検出された場合に、強制空調出力状態から通常のエアコン制御状態に復帰させることができる。強制空調出力の条件を維持したまま移行するようにしてもよいが、空調装置8の直前のOFF時の設定条件に変更して移行することで、ユーザーの好みに近い通常エアコン制御を開始できる。
また、上記実施形態において、主制御部20は、強制空調出力開始時のパワーウィンドウECU60に対し、全パワーウィンドウ2Wやサンルーフ2Sが全開になるよう各駆動部6D,6Sを駆動制御するようにしてもよい。これにより、外気の流入・内気の流出によって車室内をより素早く空調できる。その場合、強制空調出力が終了する際に、主制御部20は、パワーウィンドウECU60に対し、全パワーウィンドウやサンルーフ2Sが全閉になるよう各駆動部6D,6Sを駆動制御する。
なお、上記実施形態における車両2は、エンジン9を走行源(駆動源)とする車両であったが、本発明は、電動モータを走行源(駆動部)とする電気自動車やハイブリッド車を含む、あらゆる車両を対象としてよい。エンジン9を駆動源とする車両2において、第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作によって空調装置8による強制空調出力を開始される構成が採用されている場合は、本実施形態のように、空調装置8のコンプレッサの駆動(本実施形態においてはエンジン9の回転駆動と連動して駆動する)等のために、第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作によってエンジン9も始動することが望ましい。ただし、電動モータを駆動部とする車両2において、第二の始動操作部3Eへの所定の始動操作によって空調装置8による強制空調出力が開始される構成が採用されている場合は、別の駆動源(電動モータ等)でコンプレッサが駆動するならば、エンジン9の始動を必須条件としない構成も考えられる。しかしながら、いずれのタイプの車両2においても、第二の始動操作部3Eが操作されたときに、走行源を駆動状態とすることを必須とすることによって、走行源から得られる回生電力によってバッテリ2が充電可能な状態となる構成を備えることが望ましい。