JP2015085662A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】EVAなどの封止材を利用した太陽電池モジュールに対して高絶縁特性を有し、且つ、工業的製造においても成形しやすく、また、使用環境下によっても太陽電池モジュール内の太陽電池セルや電線などの変形が発生しない太陽電池モジュールの提供。
【解決手段】表面耐候材層1および3、エチレン・α−オレフィン系共重合体を含む封止材層2および太陽電池素子4を少なくとも有する電池モジュールであって、該エチレン・α−オレフィンは一部シラン変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含み、また、当該エチレン・α−オレフィン共重合体の成分として、高温下で高流動性を示す成分と高温化で低流動性を示す成分とを特定の量含ませ、且つ、エチレン・α−オレフィン共重合体の流動性を特定の範囲にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関し、より具体的には封止材に特徴を有する太陽電池モジュールに関する。
近年、省エネルギーと環境問題に対する意識の向上を受けて、クリーンなエネルギーを産み出す太陽電池に対して期待が益々大きくなり、当該電池が普及しつつある。太陽電池としては、例えば太陽電池セルに単結晶シリコンや多結晶シリコンを用いたものが知られている。
これらの太陽電池は、一般的に、太陽光を受光する側から表面保護層、太陽電池セルなどの発電素子を含む光電変換層、そして裏面保護層の順で積層されてなる太陽電池モジュールとして太陽光発電に利用される。具体的には、表面保護層、裏面保護層などの保護層の間に、電線等で複数の太陽電池セルを接続した光電変換層を、封止材シートなどに包んで挟み込み、モジュール全体を真空ラミネーターで加熱加圧成形して真空引き製造するのが一般的である。
現在、封止材として、エチルビニルアセテート(EVA)が、透明性、柔軟性、および接着性等が優れる理由で広く利用されるが、使用時間の経過とともに太陽電池モジュールの発電能力を大きく低下させる懸念が持たれている。
例えば、EVA中のエステル結合部位が劣化・分解して発生した遊離酸が、発電素子を腐食・劣化させる懸念がある。
また、近年、発電時に、太陽電池モジュールの太陽電池セルと太陽電池モジュールを保護するための外枠フレームとの間に高電圧がかかる大規模太陽光発電システムが開発されている。封止材は、この際、太陽電池セルと外枠フレーム間での短絡防止の役目を担うが、EVAは高い導電特性を持つため、発電システムの発電能力を瞬時に消失させ経済的にも甚大な被害を与えるPotential Induced Degradation(PID)現象が恐れられている。特に、屋外で使用される太陽電池モジュールに対しては、太陽電池セル近傍の金属イオンや酸などと相まって、雨水等の付着でPIDが促進すると推定されるため非常に憂慮される。
こうした背景の中、封止材として、高い絶縁特性を有したシラン変性ポリオレフィンを用いることが提案されており、この封止材は、太陽電池モジュールの外観特性を高くでき、モジュール成形性に優れ、遊離酸を発生させない特徴を有している。
封止材にEVA以外のポリオレフィン系樹脂組成物を用いた太陽電池モジュールの具体例として、特許文献1に、モジュール作製時の高温下で高流動性のシラン変性ポリオレフィン封止材を用いて良好な太陽電池モジュール成形性を発現させ、生産加工性を向上させる方法が記載されている。
また、特許文献2には、絶縁性の高いシラン変性体を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体を封止材として、高いモジュール成形性を持つ封止材及び当該封止材を用いて作製した太陽電池モジュールが提案されている。
特許文献3には、封止材シートの中間層にポリオレフィンを、そしてこの両最外面に接着樹脂を配した封止材シートを用いて作製した太陽電池モジュールが記載されており、その封止材シートの最外面にシラン変性ポリオレフィンを配した封止材を用いた太陽電池モジュールも記載されている。
特開2012−009773号公報 特開2012−238768号公報 WO2012/060086号公報
しかしながら、特許文献1に記載の太陽電池モジュールでは、封止材が、高温時に高流動性の単一のシラン変性ポリオレフィンで実質的に占められるため、太陽電池モジュール製造時においては良好な成形性を有する反面、製造された太陽電池モジュールを高温環境下で使用すると太陽電池モジュール内の封止材の熱変形が発生する恐れがあった。
また、特許文献2に記載の太陽電池モジュールは、高温下で低流動性の単一シラン変性ポリオレフィンが実質的に占める封止材が使用されているため、製品の太陽電池モジュール内封止材の熱変形懸念を軽減できるが、光電変換層に結晶シリコン系の太陽電池セルが使用されている場合、それらを封止して太陽電池モジュールを成形する時に、高剛性の軟化封止材を割れやすいセルに押し付けるためセル割れが起こり易く、成形の難易度が高かった。
特許文献3に記載の太陽電池モジュールは、高温下で極めて低流動性のシラン変性ポリオレフィンが封止材の最外層となるため、特許文献2に記載の太陽電池モジュールと同様に、結晶シリコン系セルが太陽電池モジュール作製時に破損する恐れがあり、また、裏面保護層や表面保護層などの接着部分との境界にある微細な凹凸に対して封止材の封入性が乏しく、当該境界に気泡や剥離が発生を抑制し難い課題があった。
従って、本発明は、EVAなどの封止材を利用した太陽電池モジュールに対して高絶縁特性を有し、且つ、工業的製造においても成形しやすく、また、使用環境下によっても太陽電池モジュール内の太陽電池セルや電線などの変形が発生しない太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、封止材層にエチレン・α−オレフィン共重合体を含み、該エチレン・α−オレフィンは一部シラン変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含み、また、当該エチレン・α−オレフィン共重合体の成分として、高温下で高流動性を示す成分と高温下で低流動性を示す成分とを特定の量含ませ、且つ、エチレン・α−オレフィン共重合体の流動性を特定の範囲にすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1]表面保護層と裏面保護層の間に、電線で接続された2以上の太陽電池セルを含む光電変換層を積層してなり、該光電変換層がエチレン・α−オレフィン系共重合体を含む封止材層により包埋される太陽電池モジュールであって、該エチレン・α−オレフィン系共重合体が以下の要件a)〜d)を満足する、太陽電池モジュール。
a)シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体を含む
b)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、4.0g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%以上90重量%未満含む
c)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが4.0g/10分を超え、50g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%超90重量%以下含む
d)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、10g/10分未満である
[2]前記エチレン・α−オレフィン系共重合体の密度が900kg/m3未満であるこ
とを特徴とする[1]に記載の太陽電池モジュール。
[3]前記エチレン・α−オレフィン系共重合体のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3mol%超であることを特徴とする[1]または[2]に記載の太陽電池モジュール。
[4]前記エチレン・α−オレフィン系共重合体の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が30℃以上100℃未満であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[5]前記シラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体が、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[6]前記シラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量が、エチレン・α−オレフィン系共重合体全量に対し3重量%以上100重量%以下であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、特定の性質を有する封止材を用いて封止材層を形成することで、該封止材が従来に比べてより優れた凹凸封入性を有するため、優れた外観特性を持つ太陽電池モジュールを提供できる。また、モジュール成形性に優れ、工業的に有利に製造できる太陽電池モジュールを提供できる。加えて、封止材層に剛性を付与させたため、高温使用環境下における製品モジュールの熱変形に関する懸念を軽減させた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の実施態様に係る太陽電池モジュールの層構成を表す模式図である。
以下、本発明をより詳細に説明するが、以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュールは、表面保護層、封止材層、光電変換層である太陽電池セル、封止材層そして裏面保護層の順で構成される。このことで、発電の心臓部である太陽電池セルは、表裏保護層と封止材層によって外界から隔絶されるとともに、太陽電池モジュールに加わる外力に対する耐衝撃性等が付与される。
<表面保護層>
本発明の太陽電池モジュールにおける表面保護層について説明する。
表面保護層は、太陽電池モジュールに機械的強度、耐候性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。表面保護層は受光面側に位置するため、光電変換層の光吸収を妨げない観点から、全光線透過率は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS K 7361−1によって測定できる。
表面保護層の材質としては、熱膨張係数が低いこと、剛性が高いこと、透明性が高いこと、耐熱性が高いことなどから、ガラスが好適に使用される。表面保護層で使用されるガラスは特に限定されないが、市販のものを使用することができる。
ガラスとしては、太陽電池モジュールの発電特性等を低下させない限りにおいてはその種類は限定されず、白板ガラスや青板ガラス等のガラスを用いることができる。これらの中で、発電特性に影響を及ぼす金属種等の含有量が少なく、着色なく、熱処理により強化された機械物性を示す白板強化ガラスを使用することが一般的である。
この他、表面保護層には、樹脂も好適に用いることができる。例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。これらの中で、太陽電池モジュールの表面保護層に具備させたい、例えば、透明性、剛性、防汚性等の特性を、目的に応じて太陽電池モジュールに具備可能で、且つ、比較的安価である理由から、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、さらに安価である理由から、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)がより好ましい。
これらの樹脂は、市販のものを用いることができるが、具体的な例示としてはポリカーボネートではタキロン(株)製ポリカーボネートプレート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)」、ポリメチルメタクリレートでは三菱レイヨン(株)製「アクリライト(登録商標)」,住友化学(株)製「スミペックス(登録商標)」、ETFEでは旭硝子(株)製のETFE(型式:100HK−DCS)等が挙げられる。
表面保護層の厚さは、特に限定されないが、通常0.02mm以上であり、好ましくは0.03mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上であり、さらに好ましくは0.1mm以上であり、太陽電池モジュールの剛性を特に高める目的では、0.5mm以上がより好ましく、1mm以上がさらに好ましく、2mm以上が特に好ましい。一方、上限は特段限定されないが、通常10mm以下であり、太陽電池モジュールの軽量化等の理由から、8mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましく、適度な耐衝撃性と軽量性を付与できることから5mm以下が特に好ましい。
表面保護層には、必要に応じて、他の層との接着性などを改良するために、アルコール等による洗浄処理や、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。また、市販の白板強化ガラスが有するように、受光面と反対側の面に形作られる凹凸を持つものも好適に用いることができる。
<光電変換層>
本発明の太陽電池モジュールの光電変換層について説明する。
光電変換層は、光エネルギーを直接電力に変換することができる太陽電池セルを有する層であり、通常、複数の太陽電池セルを電線等で接続してなる。太陽電池セルで発生した電気は、電線を通じ外部変換機を介して取り出すことができる。
太陽電池セルの素子としては、単結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、アモルファスシリコン太陽電池素子、微結晶シリコン太陽電池素子、球状シリコン太陽電池素子などのシリコン系太陽電池素子を用いることができる。また、CIS系太陽電池素子、CIGS系太陽電池素子、GaAs系太陽電池素子などの化合物太陽電池素子を採用することもできる。さらに色素増感太陽電池素子、有機薄膜太陽電池素子、多接合型太陽電池素子、HIT太陽電池素子等を採用してもよい。
例えば、シリコン系太陽電池素子は市販のものでよく、例えば、JAソーラー社、インリー・グリーン・エナジー社製、シャープ社製、京セミ社製、富士電機社製などの太陽電池セルが挙げられる。
太陽電池セルの素子の各電極は、導電性を有する任意の材料を1種又は2種以上用いて形成することができる。電極材料(電極の構成材料)としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属、あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO:酸化スズインジウム);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;そのような導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、
カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。
各電極の厚さ及び光電変換層の厚さは、必要とされる出力等に基づき、決定することができる。
さらに電極に接するように補助電極を設置してもよい。特に、ITOなど導電性のやや低い電極を用いる場合には効果的である。補助電極材料としては、導電性が良好ならば上記金属材料と同じ材料を用いることができるが、銀、アルミニウム、銅が例示される。
本発明において、太陽電池セルは電線によって太陽電池セル上の集電電極にハンダ或いは導電接着剤で接続される。さらに、配線された複数の太陽電池セルの正極、負極の末端から、ジャンクションボックスまでをバスバーで接続して光電変換層で発電した電気を取り出すことが可能となる。
<裏面保護層>
本発明の太陽電池モジュールに用いる裏面保護層について説明する。
本発明の裏面保護層は、特に限定されないが、市販されている各種の裏面保護フィルム(バックシート)を用いることができる。例えば、外界と接する側にポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニリデン等のフッ素系膜が存在し、一方、受光側にはエチルビニルアセテート(EVA)、ポリエステル系膜、ポリオレフィン膜、或いは、ポリフッ化ビニル等の封止材に対して優れた接着性を有する膜が存在し、これら両膜の間にポリエチレンテレフタレート等の中心層を有する構造を持つものを用いることができる。
具体的な例示としてはデュポン(株)社製「Tedlar(登録商標)」等が挙げられる。
また、本発明の裏面保護層には、特に限定されないが、表面保護層と同様の樹脂も用いることができる。裏面保護層の厚さは、特に限定されないが、通常0.02mm以上であり、好ましくは0.03mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上であり、太陽電池モジュールの剛性を特に高める目的では、0.2mm以上がさらに好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。一方、上限は特段限定されないが、通常10mm以下であり、太陽電池モジュールの軽量化等の理由から、8mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましく、適度な耐衝撃性と軽量性を付与できることから5mm以下が特に好ましい。
<封止材層>
本発明の太陽電池モジュールの封止材層について説明する。
本発明によれば、封止材層を形成する封止材が特定の性質を有するため、従来から使用されているEVA等に比べてより優れた凹凸封入性を有し、優れた外観特性を持つ太陽電池モジュールを提供できる。また、モジュール成形性に優れ、工業的に有利に製造できる太陽電池モジュールを提供できる。加えて、封止材層に剛性を付与させたため、高温使用環境下における製品モジュールの熱変形に関する懸念を軽減させた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、封止材にエチレン・α−オレフィン系共重合体を用い、当該エチレン・α−オレフィン系共重合体の成分として、シラン変性させたエチレン・α−オレフィン系共重合体を含み、また、高温下で高流動性を示す成分と高温下で低流動性を示す成分とを特定の量含ませ、且つ、エチレン・α−オレフィン系共重合体の流動性等の物性を特定の範囲にすることで、上記特性を有する優れた太陽電池モジュールを提供できることを見出した。
本発明で提供する太陽電池モジュールを構成する封止材層は、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体を含む封止材から形成される。また、エチレン・α−オレフィン系共重合体は、シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体(以下、シラン変性ポリオレフィンともいう。)を含む。封止材には、目的に応じて適宜後述の粘着付与樹脂やその他の成分も含有させることができる。
[エチレン・α−オレフィン系共重合体]
封止材に含まれるエチレン・α−オレフィン系共重合体は、従来から封止材として用いられているEVA等に対して高絶縁特性を持つことが知られている。
当該エチレン・α−オレフィン系共重合体は、エチレンと、α−オレフィンとを共重合して得られる。α−オレフィンとしては、通常、炭素数3〜20のα−オレフィンを1種類で単独か、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。好ましい化学構造としては、炭素数が10以下のα−オレフィンであり、とくに好ましくは炭素数が3〜8である。具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらの中で、入手が容易なプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが好ましく、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンがより好ましく、1−オクテン、1−ヘキセンが更に好ましく、1−オクテンが特に好ましい。なお、エチレン・α−オレフィン系共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する封止材の原料としての観点から、柔軟性の観点からランダム共重合体が好ましい。
本発明では、エチレン・α−オレフィン系共重合体は封止材中に通常10重量%以上含まれ、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましく、例えば、さらに封止材のPID耐性を向上させたり、EVAを共存させた場合に発生する遊離酸の問題をさらに抑制できる理由から、目的に応じて50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、特に、EVAを共存させた場合に発生する遊離酸の問題が無く、高いPID耐性を有したハイエンドな太陽電池モジュールを作製できる理由から80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、95重量%以上含まれることが特に好ましい。上限は特段規定されず、エチレン・α−オレフィン系共重合体が封止材中に100%であることも、本発明の好ましい態様である。
本発明において、エチレン・α−オレフィン系共重合体は、以下のa)〜d)の要件を充足する。
a)シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体を含む
b)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、4.0g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%以上90重量%未満含む
c)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが4.0g/10分を超え、50g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%超90重量%以下含む
d)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、10g/10分未満である
要件a)
封止材層を形成する封止材は、アルキシキシラン官能基を有するシラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体を含有する。当該アルキシキシラン官能基は、例えば、表面保護層の代表的な例であるガラス表面に存在するシラノール基等の封止材と隣接した部材表面に存在する親水基に対して親和性を示すことが知られ、封止材と隣接部材との接着を強固にする性質がある。そのため、封止材に上記のシラン変性ポリオレフィンを含ませることは、封止材による部材封入性や隣接部材への接着性や、それら性質の経時での維持性を高めるため有効である。
シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体が含まれる量は、エチレン・α−オレフィン系共重合体全体量に対して、通常、3重量%以上、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましく、15重量%以上がさらにより好ましく、封止材による部材封入性や隣接部材への接着性や、それら性質の経時での維持性を高められる理由から、18重量%以上が好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、23重量%以上がさらに好ましく、25重量%以上が特に好ましい。一方上限は、通常、100重量%以下、90重量%以下がより好ましく、80重量%以下がさらに好ましく、60重量%以下がさらに好ましく、作製された太陽電池モジュールに封止材由来の剛性がもたらされる他、製造コストの高いシラン変性ポリオレフィンの使用を軽減できる理由から、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましく、35重量%以下が特に好ましい。
シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体は、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体を、後述する方法などでシラン変性したものである。当該、シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体には、エチレン単独重合体(ポリエチレン)、主成分のエチレンとエチレンやα−オレフィン以外のビニルエステル(例えば酢酸ビニル等)又は不飽和カルボン酸エステル(例えばエチルアクリレート等)との共重合体、プロピレン単独重合体、主成分のプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体等を単独、或いは、2種以上を任意の組み合わせでシラン変性エチレン・α―オレフィン系共重合体に併用してもよい。
シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体は、上記のエチレン・α−オレフィン系共重合体に、加水分解可能な有機基を有するオレフィン性不飽和シラン化合物を、ラジカル発生剤の存在下に共重合させることによって得られる。この反応において、当該不飽和シラン化合物は、ベースとなるエチレン・α−オレフィン系共重合体相互の架橋点となりうるようなアルコシキシラン官能基を有するシラン変性体を生成する。
ここで、加水分解可能な有機基を有するオレフィン性不飽和シラン化合物とは、下記一般式(1):
RSiR’n3-n (1)
(式中、Rは1価のオレフィン性不飽和炭化水素基を示し、Yは加水分解し得る有機基示し、R’は脂肪族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいはYと同じものを示し、nは0、1又は2を示す。)
で表されるシラン化合物をいう。
一般式(1)において、Rはビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基等が好ましく、R’はメチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が好ましく、Yはメトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオノキシ基、アルキルないしアリールアミノ基が好ましい。
また、好ましいシラン化合物としては、例えば、下記一般式(2)
CH2=CHSi(OA)3 (2)
(式中、Aは炭素数1〜8の1価の炭化水素基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
さらに具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、CH2=C(CH3)COOC36Si(OA)3(但し、Aは上記と同義である。)で表
される化合物、例えばγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランγ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
これらは単独で用いても、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
これら化合物の添加量は、シラン変性エチレン・α−オレフィン系重合体の全量を基準にして、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上であり、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは4重量%以下である。添加量が少なすぎると充分なグラフト化が困難となる傾向があり、また多すぎると成形不良となる傾向があるとともに経済的でなくなる。この添加量は、シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体におけるシラン化合物に由来する単位と同じ意味をもつものである。
使用されるラジカル発生剤としては、重合開始作用の強い種々の有機過酸化物及びパーエステル、例えば、ジクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらの中で、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドが好ましい。
これらラジカル発生剤は、単独で用いても、2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
ラジカル発生剤の使用量は、シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体の全量を基準にして、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上であり、通常0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下である。使用量が少なすぎると充分なグラフト化反応が困難となる傾向があり、また多すぎると押出加工性が低下するとともに成形表面が悪くなる傾向がある。
また、シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体としては、前記シラン化合物と、例えばエチレン及びα−オレフィンとの通常のランダム共重合体であって、低密度ポリエチレンにおける通常の高圧重合条件下にラジカル共重合させることにより得られる共重合体であってもよい。このラジカル共重合の場合、酢酸ビニルやアクリル酸、メタクリル酸及びそれらのエステル等をさらに共重合してもよい。これら共重合体中のシラン化合物に由来する単位の含量は、前記と同様である。
上記シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体の中で、シラン化合物をグラフトさせたポリオレフィンが好ましい。また、本発明で用いられるシラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体は、シラン化合物に由来する単位の含量が適当であれば二種以上のシラン含有ポリオレフィンをブレンドしたもの、又は、シラン変性エチレン・α−オレフ
ィン系共重合体とポリオレフィンとをブレンドしたものも用いられる。
シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体は、成形性および耐久性の観点から190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるメルトフローレ−ト(MFR)が、通常、0.1g/10min以上、0.2g/10min以上がより好ましく、0.3g/10min以上がさらに好ましく、0.4g/10min以上がさらに好ましく、当該共重合体の製造や購入による調達容易性等の理由から、0.5g/10min以上が特に好ましい。一方上限は、通常、90g/10min以下、80g/10min以下がより好ましく、70g/10min以下がさらに好ましく、60g/10min以下がさらに好ましく、共重合体の製造、保管や購入による調達容易性等の理由から、50g/10min以下がより好ましく、40g/10min以下がさらに好ましく、太陽電池モジュールの剛性を当該共重合体由来の高流動性で損なわせない理由から、35g/10min以下がより好ましく、30g/10min以下が特に好ましい。
熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する封止材の原料としての観点から、シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体の密度は、通常、850kg/m3以上、860kg/m3以上がより好ましく、865kg/m3以上が
さらに好ましく、870kg/m3以上がさらに好ましく、当該共重合体を原料として作
製した封止材が、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を発現しつつ、作製した太陽電池モジュールに剛性も付与する理由から、875kg/m3以上より好まし
く、880kg/m3以上が特に好ましい。一方上限は、通常、900kg/m3未満、898kg/m3以下がより好ましく、896kg/m3以下がさらに好ましく、894kg/m3以下がさらに好ましく、当該共重合体を原料として作製した封止材が、熱ラミネー
ション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する理由から、892kg/m3以下がより好ましく、890kg/m3以下が特に好ましい。
シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体中のα−オレフィンに由来する構成単位の割合は、通常、3.0mol%以上、好ましくは3.5mol%以上、より好ましくは4.0mol%以上、さらに好ましくは4.5mol%以上、熱ラミネーション時に封止材が隣接部材に優れた接着・封止性を発現する理由から、5.0mol%以上が特に好ましい。α−オレフィンに由来する構成単位の割合が、3.0mol%未満であると、一般的に結晶性が高く、透明性が低下する傾向の他に、特に問題であるのは、太陽電池の発電素子である太陽電池セルに対して軟化度合が不十分になって、太陽電池モジュールの熱ラミネーション時に太陽電池セルの割れ等が発生する懸念がある。また、太陽電池モジュール内のバスバー電極や各種配線、さらにはガラス板の受光面と反対側に施された表面凹凸箇所に対する軟化封止材の凹凸封入性が乏しく、これらの境界域に気泡や剥離が発生する場合がある。
一方、上限は特段限定されないが、通常、90mol%以下、好ましくは70mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、熱ラミネーション条件によって封止材の軟化によるベタツキ等の問題を抑制したい場合は、20mol%以下がより好ましく、10mol%以下がさらに好ましく、10mol%未満が特に好ましい。
シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度は、通常、40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、作製した太陽電池モジュールを高温環境下で使用する際に封止材層に由来した熱変形をより抑制できる理由から、80℃以上がより好ましく、85℃以上がさらに好ましく、90℃以上が特に好ましい。
一方、上限は、通常、100℃未満、好ましくは99.8℃以下、より好ましくは99.6℃以下、さらに好ましくは99.5℃以下、熱ラミネーション時に封止材が隣接部材
に優れた接着・封止性を誘起する樹脂流動性を発現する理由から、99.4℃以下がより好ましく、99.3℃以下がさらに好ましく、99.2℃以下が特に好ましい。
要件b)及びc)
封止材に含まれるエチレン・α−オレフィン系共重合体は、熱ラミネーション時等の高温下で高流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体成分と低流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体成分とを特定の量含む。これら高流動性と低流動性のエチレン・α−オレフィン系共重合体は、上記のシラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体単独か、未変性のエチレン・α−オレフィン系共重合体単独か、或いは、これらが混合されたエチレン・α−オレフィン系共重合体である。
本発明において高流動性成分は、熱ラミネーション時に隣接部材近傍の凹凸の封入性を高め、太陽電池セルの破損を抑制したりする役目をする。一方、低流動性成分は、太陽電池モジュールの封止材層に剛性も付与させることから、封止材層の物性を、高温使用環境下で用いられた太陽電池モジュールが熱変形に関する懸念を軽減する方向に寄与する。本発明では、エチレン・α−オレフィン系共重合体の流動性をメルトフローレート(MFR)で表し、エチレン・α−オレフィン系共重合体は、以下の要件b)及びc)を充足する。
b)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、4.0g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%以上90重量%未満含む
c)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが4.0g/10分を超え、50g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%超90重量%以下含む
封止材層に剛性を付与する、熱ラミネーション時等の高温下で低流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体成分のMFRは、通常、0.1g/10分以上、0.3g/10分以上がより好ましく、0.5g/10分以上がさらに好ましく、0.7g/10分以上がさらにより好ましく、封止材層に剛性も付与させつつ熱ラミネーション時の太陽電池セルの破損を抑制しやすい理由から、0.9g/10分以上が好ましく、1.1g/10分以上がさらに好ましく、1.3g/10分以上がさらに好ましく、1.5g/10分以上が特に好ましい。一方上限は、通常、4.0g/10分以下、3.5g/10分以下がより好ましく、3.0g/10分以下がさらに好ましく、2.7g/10分以下がさらに好ましく、作製された太陽電池モジュールに封止材由来の剛性や耐熱変形性の抑制をより付与できる理由から、2.5g/10分以下がより好ましく、2.0g/10分以下が特に好ましい。
熱ラミネーション時等の高温下で低流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体成分量は、当該封止材層に含まれるエチレン・α−オレフィン系共重合体全体量に対して、通常、10重量%以上、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらに好ましく、35重量%以上がさらにより好ましく、封止材層に剛性も付与させて作製した太陽電池モジュールに剛性を持たせる理由から、40重量%以上が好ましく、45重量%以上がさらに好ましく、48重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上が特に好ましい。一方上限は、通常、90重量%未満、85重量%以下がより好ましく、80重量%以下がさらに好ましく、78重量%以下がさらに好ましく、封止材層に剛性も付与させつつ熱ラミネーション時の太陽電池セルの破損を抑制しやすい理由から、75重量%以下がより好ましく、73重量%以下がさらに好ましく、70重量%以下が特に好ましい。
高い凹凸封入性を示すとともに、太陽電池セルの破損を抑制する特性を封止材に具備させる、熱ラミネーション時等の高温下で高流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重
合体成分のMFRは、通常、4g/10分超、5g/10分以上がより好ましく、12g/10分以上がさらに好ましく、14g/10分以上がさらにより好ましく、封止材凹凸封入性をより高められる理由から、16g/10分以上が好ましく、18g/10分以上がさらに好ましく、20g/10分以上が特に好ましい。一方上限は、通常、50g/10分以下、45g/10分以下がより好ましく、40g/10分以下がさらに好ましく、35g/10分以下がさらに好ましく、高流動材の配合は上記の凹凸封入性等の向上に効果がある一方で、熱ラミネーション時に軟化封止材が太陽電池モジュール端部からの過度なはみ出しが起こる懸念をより抑制するため、30g/10分以下がより好ましく、25g/10分以下が特に好ましい。
熱ラミネーション時等の高温下で高流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体成分量は、当該封止材層に含まれるエチレン・α−オレフィン系共重合体全体量に対して、通常、10重量%超、13重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましく、17重量%以上がさらにより好ましく、熱ラミネーション時に凹凸封入性等を向上させる上で重要な封止材の流動性を高められる理由から、19重量%以上が好ましく、21重量%以上がさらに好ましく、23重量%以上がさらに好ましく、25重量%以上が特に好ましい。一方上限は、通常、90重量%以下、75重量%以下がより好ましく、60重量%以下がさらに好ましく、50重量%以下がさらに好ましく、高流動材量が多いと上記の凹凸封入性等の向上に効果がある一方で、熱ラミネーション時に軟化封止材が太陽電池モジュール端部からの過度なはみ出しが起こる懸念をより抑制するため、45重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましく、35重量%以下が特に好ましい。
高流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体は、熱ラミネーション時に高流動性を示すため、低流動材と比較して隣接部材周囲の凹凸をより多く封入し、隣接部材との接触割合が大きいと推定できる。この高流動材にシラン変性基を含ませることは、高流動材と隣接部材との接着において、シラン変性基であるアルコキシシラン変性基が隣接部材の有する極性官能基と接着をより強固にする方向の相互作用を引き起こすと期待できる。
高流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体成分中のシラン変性体の含有量は、高流動性を示すエチレン・α−オレフィン系共重合体全体量に対して、通常、3.0重量%超、10重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、30重量%以上がさらにより好ましく、上記相互作用がより強くなると期待できる理由から、40重量%以上がより好ましく、50重量%以上が特に好ましい。一方上限は、通常、100重量%以下である。
要件d)
エチレン・α−オレフィン系共重合体は、成形性および耐久性の観点から、JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定される当該封止材のメルトフローレ−ト(MFR)は、通常、0.1g/10分以上、0.5g/10分以上がより好ましく、1g/10分以上がさらに好ましく、1.5g/10分以上がさらに好ましく、熱ラミネーション時に軟化した封止材を太陽電池セルに押し付ける際に当該セルが割れる等のリスクを軽減できる理由から、2g/10分以上がより好ましく、2.5g/10分以上がさらに好ましい。一方上限は、通常、10g/10分以下、8g/10分以下がより好ましく、7g/10分以下がさらに好ましく、5g/10分以下がさらに好ましく、作製された太陽電池モジュールに封止材由来の剛性がもたらされる理由から、4g/10分以下がより好ましく、3.5g/10分以下がさらに好ましく、3g/10分以下が特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン系共重合体のメルトフローレ−ト(MFR)は、前記のエチレン・α−オレフィン系共重合体の高流動性成分と低流動成分との配合を目的に応じて前記の通りに配合することで、上記範囲内に調整することができる。
エチレン・α−オレフィン系共重合体の密度は、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する封止材の原料としての観点から、通常、850kg/m3以上、860kg/m3以上がより好ましく、865kg/m3以上がさらに好ま
しく、870kg/m3以上がさらに好ましく、当該共重合体を原料として作製した封止
材が、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を発現しつつ、作製した太陽電池モジュールに剛性も付与する理由から、875kg/m3以上より好ましく、880
kg/m3以上が特に好ましい。一方上限は、通常、900kg/m3未満、898kg/m3以下がより好ましく、896kg/m3以下がさらに好ましく、894kg/m3以下
がさらに好ましく、当該共重合体を原料として作製した封止材が、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する理由から、892kg/m3以下
がより好ましく、890kg/m3以下が特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン系共重合体の密度は、エチレン単位の含有割合とα−オレフィンの含有割合とのバランスにより調整することができる。
エチレン・α−オレフィン系共重合体中のα−オレフィンに由来する構成単位の割合は、通常、3.0mol%以上、好ましくは3.5mol%以上、より好ましくは4.0mol%以上、さらに好ましくは4.5mol%以上、熱ラミネーション時に封止材が隣接部材に優れた接着・封止性を発現する理由から、5.0mol%以上が特に好ましい。α−オレフィンに由来する構成単位の割合が、3.0mol%未満であると、一般的に結晶性が高く、透明性が低下する傾向の他に、特に問題であるのは、太陽電池の発電素子である太陽電池セルに対して軟化度合が不十分になって、太陽電池モジュールの熱ラミネーション時に太陽電池セルの割れ等が発生する懸念がある。また、太陽電池モジュール内のバスバー電極や各種配線、さらにはガラス板の受光面と反対側に施された表面凹凸箇所に対する軟化封止材の凹凸封入性が乏しく、これらの境界域に気泡や剥離が発生する場合がある。
一方、上限は特段限定されないが、通常、90mol%以下、好ましくは70mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、熱ラミネーション条件によって封止材の軟化によるベタツキ等の問題を抑制したい場合は、20mol%以下がより好ましく、10mol%以下がさらに好ましく、10mol%未満が特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン系共重合体中の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度は、通常、30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上、作製した太陽電池モジュールを高温環境下で使用する際に封止材層に由来した熱変形をより抑制できる理由から、70℃以上がより好ましく、75℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。
一方、上限は、通常、100℃未満、好ましくは99.8℃以下、より好ましくは99.6℃以下、さらに好ましくは99.5℃以下、熱ラミネーション時に封止材が隣接部材に優れた接着・封止性を誘起する樹脂流動性を発現する理由から、99.4℃以下がより好ましく、99.3℃以下がさらに好ましく、99.2℃以下が特に好ましい。
結晶融解ピーク温度は、前記のエチレン・α−オレフィン系共重合体の高流動性成分と低流動成分との配合を目的に応じて前記の通りに配合することで上記範囲内に調整することができる。
次に封止材層を形成する封止材の好ましい物性についても説明する。
熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する封止材の原料としての観点から、封止材の密度は、通常、850kg/m3以上、860kg/m3以上がより好ましく、865kg/m3以上がさらに好ましく、870kg/m3以上がさ
らに好ましく、当該共重合体を原料として作製した封止材が、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を発現しつつ、作製した太陽電池モジュールに剛性も付与する理由から、875kg/m3以上より好ましく、880kg/m3以上が特に好ましい。一方上限は、通常、900kg/m3未満、898kg/m3以下がより好ましく、896kg/m3以下がさらに好ましく、894kg/m3以下がさらに好ましく、当該共重合体を原料として作製した封止材が、熱ラミネーション時に隣接部材に優れた接着・封止性を現す流動性を発現する理由から、892kg/m3以下がより好ましく、890kg/m3以下が特に好ましい。
封止材の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度は、通常、20℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、作製した太陽電池モジュールを高温環境下で使用する際に封止材層に由来した熱変形をより抑制できる理由から、80℃以上がより好ましく、85℃以上がさらに好ましく、90℃以上が特に好ましい。
一方、上限は、通常、100℃未満、好ましくは99.8℃以下、より好ましくは99.6℃以下、さらに好ましくは99.5℃以下、熱ラミネーション時に封止材が隣接部材に優れた接着・封止性を誘起する樹脂流動性を発現する理由から、99.4℃以下がより好ましく、99.3℃以下がさらに好ましく、99.2℃以下が特に好ましい。
本発明の封止材は、光電変換層の光吸収を妨げない観点から、全光線透過率は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS K 7361−1によって測定できる。
本発明の封止材は、上記光電変換層を完全に埋包する観点から、厚みが300〜1000μmであることが好ましい。厚みが300μm未満であると、表裏保護層表面の凹凸、太陽電池セル近傍の凹凸、そして太陽電池モジュール内に配線される導線近傍の凹凸封入性が不足して絶縁不良等の発電不良が生じたり、これら表面や界面近傍に剥離や気泡が出現して太陽電池モジュールの外観不良が発生するおそれがある。厚みが1000μmを超えると、太陽電池モジュールの重量や製造コストが増加する他、全光線透過率が低下するため発電量が低下する等の問題が発生する。
上記封止材の厚みは、上記の凹凸封入性等の理由から、通常、300μm以上が好ましく、350μm以上がより好ましく、380μm以上がさらに好ましく、熱ラミネーション時に軟化した封止材を太陽電池セルに押し付ける際に当該セルが割れる等のリスクを軽減できる他、凹凸封入性が高い理由から、400μm以上が好ましく、440μm以上が好ましく、460μm以上が特に好ましい。一方上限は、通常、1000μm以下、800μm以下がより好ましく、700μm以下がさらに好ましく、750μm以下がさらにより好ましく、太陽電池モジュールの軽量化、製造経済性、外観的な理由から、700μm以下がより好ましく、650μm以下がさらに好ましく、620μm以下がさらにより好ましく、600μm以下が特に好ましい。
本発明の封止材は、通常の熱可塑性樹脂のシート成形法に従い、例えば、Tダイを備えた押出機により、100〜250℃程度の温度で溶融押出し、冷却固化させることにより、0.1〜1.0mm程度の厚みで成形される。
本発明の封止材は、積層一体化することにより製造してもよい。上記積層一体化する方法は、特に限定されず、例えば、シラン変性ポリオレフィンを含んだ架橋層の一面に架橋剤を含んだ触媒層を押出ラミネートして形成する方法や、架橋層と触媒層とを共押出して形成する方法等が挙げられる。なかでも、共押出工程により同時に成膜加工され積層されることが好ましい。
上記Tダイ成形における、押出設定温度は、架橋層及び接着層に含まれるオレフィン系
共重合体の融点より30℃以上、かつ、分解温度より30℃未満であることが好ましい。
上記封止材は、接着性の観点から、表面にエンボス形状を与えることも好適に利用できる。上記エンボス形状は、規則的な凹凸形状であっても、ランダムな凹凸形状であってもよい。
光電変換層に貼り合せる前にエンボス賦形して形成するのが、エンボスの転写ムラが無く、均一なエンボス形状が得られるので好ましい。
特に、封止材の接着剤層と架橋層とを、共押出工程により同時に成膜加工し、冷却ロールにエンボスロールを用いて、溶融樹脂を冷却する際に同時にエンボス賦形したものは、太陽電池セルに貼り合せる工程でエンボス形状が変形することなく、均一なエンボス形状が保てるので、より好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用いる封止材には、粘着付与樹脂を使用してもよい。粘着付与樹脂とは、エチレン・α−オレフィン共重合体およびシラン変性ポリオレフィンの透明性、流動性、接着力および粘着力を向上させる樹脂を言う。
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂の使用が好ましい。
ロジン系樹脂とは、ロジンとロジン誘導体をいう。ロジンはガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンである。ロジン誘導体としては、重合ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、強化ロジン、ロジンエステル、重合ロジンエステル、ロジンフェノールの形態が挙げられる。エステル化に使用する多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
石油系樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン系樹脂、ピュアモノマー樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂及びこれらの水素化物等が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、テルペン重合体、β−ピネン重合体、テルペンフェノール樹脂及び芳香族変性テルペン重合体等が挙げられる。
透明性の観点から、石油系樹脂水素化物、テルペン系樹脂水素化物が特に好ましい。
粘着付与剤を含むと樹脂の流動性が向上するため、結果的に(気密)密着性が向上する。
本発明の粘着付与剤の含有量は、特に限定されないが、封止材全体量に対し30重量%以下が好ましく、1重量%以上20重量%以下がより好ましい。
粘着付与剤としては、耐熱性の観点から軟化点が大きいほうが好ましい。具体的には軟化点が100℃以上160℃以下の粘着付与剤が好ましい。
<その他成分>
封止材には、軟化剤(可塑剤)、腐食防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、防カビ剤、pH調整剤、難燃剤、結晶核剤、導電性粒子、無機粒子、有機粒子、粘度調整剤、滑剤、表面処理剤、レベリング剤、架橋剤、消泡剤、重合性単量体、光重合性開始剤等、更なる機能付与を目的として、各種成分が含まれていてもよい。
<太陽電池モジュールの製造方法>
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、公知の方法である真空ラミネーション装置や熱プレス装置にて製造することができる。例えば、表面保護層、封止層、太陽電池セル、封止層、裏面保護層を含む多層体を、真空ラミネーション装置内へ配置し、真空引きの後、加熱し、一定時間経過後に冷却することにより、太陽電池モジュールを得ることがで
きる。
上記熱ラミネート条件は特に限定されず、通常行う条件で熱ラミネートが可能である。
ラミネーションは、真空条件で行うことが好ましく、通常、15000Pa以下、好ましくは10000Pa以上、より好ましくは5000Pa以上、さらに好ましく1500Pa以下、原材料が持ちこんだ気体により製品モジュール内に気泡等の気体で満たされる空間発生を抑制する効果が高く生産性も向上する理由から、より好ましく1000Pa以下、さらに好ましくは700Pa以下、特に好ましくは150Pa以下である。一方下限は、通常、10Pa以上、好ましくは15Pa以上、より好ましくは20Pa以上、安価で経済的な減圧装置を利用できる理由から、より好ましく30Pa以上は、さらに好ましくは45Pa以上、特に好ましくは60Pa以上である。
減圧時間は、通常1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは6分以上、上記の気泡等を除く効果が高い理由から、より好ましくは8分以上、10分以上であることが特に好ましい。一方上限は30分以下、好ましくは25分以下、より好ましくは20分以下、上記の気泡等を効果に除き生産性が高い理由から15分以下が特に好ましい。
加熱ラミネーションに至る前に、上記の多層体をラミネーション装置等で加熱して封止材を軟化(以下、予備加熱とする)させて、封止材が太陽電池セルの封止や近傍の層と密着できるようにする必要がある。封止材の加熱は、前記の減圧行程の前後で行うか、或いは、減圧と同時期に行うことができる。これらの中では、上記の気泡等を効果に除く目的からは、封止材が軟化する前に減圧できる前記の減圧行程の前に行うか減圧と同時期に行うことがより好ましく、生産性の観点を加えると減圧と同時期に行うことが特に好ましい。予備加熱と減圧を同時期に行う場合には、まず、減圧を先行させて概ね原材料が持ちこんだ気体を除去した後、予備加熱を行う方法も好適に用いられる。減圧開始から予備加熱開始までの時間は、通常、0.01分以上、0.1分以上がより好ましく、0.5分以上がさらに好ましく、上記の持ち込み気体の除去効果が高い理由から1分以上がより好ましく、2分以上がさらに好ましく、3分以上が特に好ましい。上限は、生産性の観点から25分以下、15分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましく、5分以下が特に好ましい。
前記の予備加熱の温度は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、封止材を軟化させて太陽電池セル等との十分な密着性を短時間に付与できる理由から120℃以上が特に好ましい、一方上限は200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下、封止材を初めとした前記多層体を構成する各部材に対する熱劣化を抑制する観点から、160℃以下がより好ましく、155℃以下がさらに好ましく、150℃以下が特に好ましい。
一方、予備加熱時間は、封止材が太陽電池セル等との十分な密着性を有する程度に軟化するために必要な時間である。通常3分以上、好ましくは4分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは8分以上、10分以上が特に好ましい。一方上限は30分以下、好ましくは25分以下、より好ましくは20分以下、上記の気泡等を効果に除き生産性が高い理由から15分以下が特に好ましい。
熱ラミネーションの加圧条件は、通常圧力が50kPa以上、好ましくは70kPa以上、より好ましくは90kPa以上で実施しても良い。一方上限値は、3010kPa以下であることが好ましい。上記範囲の加圧条件とすることで、太陽電池モジュールを損傷することなく、また適度な接着性を得ることができるため、耐久性の観点からも好ましい。
熱ラミネーションの温度条件は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、封止材
が太陽電池セルを初めとした隣接部材と良密着できるほど短時間で十分に軟化する理由から120℃以上が特に好ましい、一方上限は200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下、封止材を初めとした前記多層体を構成する各部材に対する熱劣化を抑制する観点から、160℃以下がより好ましく、155℃以下が特に好ましい。
また、熱ラミネーションの加圧時間は、通常3分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは6分以上、さらに好ましくは8分以上、軟化した封止材を確実に隣接部材に接着させられる観点から10分以上が特に好ましい。一方上限は60分以下、好ましくは45分以下、より好ましくは30分以下、さらに好ましくは25分以下、15分以下が特に好ましい。
加圧ラミネーションの後、作製したモジュールを室温まで冷却するが、この際に急な冷却になりすぎると太陽電池モジュールの各種構成部材の急な収縮によりセルが割れたり、部材同士の接着界面が剥離する等の問題が生じる場合は、公知の方法で段階的に作製モジュールを冷却してこれらの課題を解消できる。例えば、ラミネーションのプロセス上でより後段・下流側に、加熱ラミネーション温度より低く、室温より高温である低温環境を設置して段階的に作成モジュールを冷却したりすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、以下において、各種の物性ないし特性の評価方法は以下の通りである。
<MFR>
JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件にてMFRを測定した。
<密度>
JIS K7112に準拠し、密度を測定した。
<外観評価>
作製した太陽電池モジュールの封止材とガラスとの界面、及び、封止材とセルやバスバー電極界面に剥離が目視で観られるかを観察した。
<結晶融解ピーク温度>
示差走査熱量計(メトラー・トレド社製 DSC823e)を用いて、試料3mgを10度/minの昇温速度で25度から450度まで昇温して測定されたサーモグラムから求めた。
〔実施例1〕
[シラン変性ポリオレフィンAの製造]
密度885kg/m3 、190℃でのメルトフローレート30g/10分の直鎖状エチレン−1−オクテンランダム共重合体100重量部、ビニルトリメトキシシラン3重量部、及びジ−t−ブチルパーオキサイド0.08重量部を、2分間ドライブレンドした後、スクリュー径45mm、L/D25の二軸押出機に供給し、200℃で溶融混練してグラフト反応工程に付した後、ストランド状に溶融押出し、ペレット化することにより、ビニルトリメトキシシラン変性エチレン−1−オクテンランダム共重合体のシラン変性ポリオレフィンAのペレットを得た。得られた変性物は、190℃でのメルトフローレート23g/10分、α−オレフィンに由来する構成単位の含有割合10mol%であった。
[封止材Aの製造]
密度890kg/m3 、190℃でのメルトフローレート1.6g/10分、α−オレフィンに由来する構成単位の含有割合8.0mol%のエチレン・α−オレフィンである直鎖状エチレン−1−オクテンランダム共重合体70重量%と上記で作製したメルトフローレート30g/10分のシラン変性ポリオレフィンA30重量%を用いた。上記製造し
たシラン変性ポリオレフィンA30重量部を、幅300mmのTダイを備えた、スクリュー径50mm、L/D28の押出機より、ダイ温度200℃でシート状に溶融押出し、冷却することにより、厚み0.5mmの封止材Aを成形した。このため、この封止材は、シラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体を30重量%含む。また、この封止材は、JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、4.0g/10分以下である共重合体成分70重量%と、4.0g/10分を超え、50g/10分以下である共重合体成分30重量%を含む。この封止材の190℃でのメルトフローレートは3g/10分、密度889kg/m3、α−オレフ
ィンに由来する構成単位の含有割合は9.0mol%であった。結晶融解ピーク温度は、98.0℃であった。
[太陽電池モジュールの製造]
上記製造した太陽電池用封止材Aと多結晶セルを単セル用いて、図1に示したタイプの太陽電池モジュールを作製・評価した。ガラスには、旭硝子ファブリテック社製の太陽電池用の白板強化ガラス(190mm×190mm、3.2mm厚、エンボス付き)を用いた。セルには、2mm幅の導線(日立電線社製)とShinsung社製の多結晶セル(156mm×156mm)を用いて作製した2本バスバータイプのものを用いた。バックシートには、中心層がポリエステル系であってフッ素系表面を有するものを使用した。
真空ラミネーター(NPC社製 LM−50×50−S)の150℃に加熱した熱盤上に、上下関係や層構成が図1のようになるようにして、上記に記載した必要材料を設置した。当該積層された材料の周囲を15分間減圧した。当該積層された材料を、5分間かけて、その上部から絶対圧として1気圧の圧力が加わるように昇圧した後、10分間加圧してラミネーションを行って、太陽電池モジュールを作製した。その結果、10分間の短時間の加圧ラミネーションにもかかわらず、封止材とガラスとの界面、及び、封止材とセルやバスバー電極界面に剥離の観られない外観の良い仕上がりであった。
[比較例1]
[シラン変性ポリオレフィンBの製造]
密度890kg/m3 、190℃でのメルトフローレート1.5g/10分のエチレン−1−オクテンランダム共重合体50重量部、密度880kg/m3 、190℃でのメルトフローレート18g/10分のエチレン−1−オクテンランダム共重合体50重量部、ビニルトリメトキシシラン2重量部、及びジ−t−ブチルパーオキサイド0.05重量部を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、ビニルトリメトキシシラン変性エチレン−1−オクテンランダム共重合体のシラン変性ポリオレフィンBのペレットを得た。得られた変性物は、190℃でのメルトフローレート3g/10分、α−オレフィンに由来する構成単位の含有割合8.0mol%であった。
[封止材Bの製造]
密度890kg/m3 、190℃でのメルトフローレート1.6g/10分、α−オレフィンに由来する構成単位の含有割合8.0mol%のエチレン・α−オレフィンである直鎖状エチレン−1−オクテンランダム共重合体を80重量%とし、上記で作製したメルトフローレート1.5g/10分の共重合体と18g/10分の共重合体とを1:1の重量部比で構成される上記シラン変性ポリオレフィンB20重量%を用いた。これら以外は実施例1と同様な操作を行い、封止材Bを成形した。このため、この封止材は、シラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体を20重量%含む。また、この封止材は、JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、4.0g/10分以下である共重合体成分90重量%と、4.0g/10分を超え、50g/10分以下である共重合体成分10重量%を含む。この封止材の190℃でのメルトフローレートは1g/10分、密度890kg/m3、α−オレフィンに
由来する構成単位の含有割合は8.0mol%であった。結晶融解ピーク温度は、99.
2℃であった。
[太陽電池モジュールの製造]
封止材Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。その結果、封止材とガラスとの界面、及び、封止材とセルやバスバー電極界面に剥離が複数で観測され、外観不良だけでなく、太陽電池の発電能力や耐久性を懸念させる仕上がりであった。
Figure 2015085662
1 表面保護層
2 封止材層
3 裏面保護層
4 光電変換層(太陽電池セル)

Claims (6)

  1. 表面保護層と裏面保護層の間に、電線で接続された2以上の太陽電池セルを含む光電変換層を積層してなり、該光電変換層がエチレン・α−オレフィン系共重合体を含む封止材層により包埋される太陽電池モジュールであって、該エチレン・α−オレフィン系共重合体が以下の要件a)〜d)を満足する、太陽電池モジュール。
    a)シラン変性エチレン・α−オレフィン系共重合体を含む
    b)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、4.0g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%以上90重量%未満含む
    c)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが4.0g/10分を超え、50g/10分以下であるエチレン・α−オレフィン系共重合体成分を10重量%超90重量%以下含む
    d)JIS K7210に準拠した190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1g/10分以上、10g/10分未満である
  2. 前記エチレン・α−オレフィン系共重合体の密度が900kg/m3未満であることを
    特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記エチレン・α−オレフィン系共重合体のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3mol%超であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記エチレン・α−オレフィン系共重合体の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が30℃以上100℃未満であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記シラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体が、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記シラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量が、エチレン・α−オレフィン系共重合体全量に対し3重量%以上100重量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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