JP2015085270A - 汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法 - Google Patents

汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法 Download PDF

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Abstract

【課題】汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法を提供する。
【解決手段】鋼管矢板3同士を止水構造の継手4及び/又は継手片5、5’により相互に連結した構造で地中へ一定の深度まで建て入れて、平面視が閉ループ形状の止水壁2が構築する。鋼管矢板3には、止水構造の継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面である鋼管3aの鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んだ内側地盤1に向かって開口し同内側地盤1中の汚染水などを当該鋼管3aの内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6が複数設けられており、内側地盤1の汚染水などが前記通水孔6を通じて止水壁2を構成する鋼管3aの内部へ流れ込み溜まる。同汚染水を適時に汲み出す汲み出し手段15、16、17が設備され、汲み出した汚染水などが送給される浄化処理施設19が設備される。
【選択図】図1

Description

この発明は、地面又は地中へ漏出し浸透・拡散等した有害物質、有害液体など(以下、単に汚染水の用語で代表する。)により汚染された地盤を、処理目的に応じて処理に必要な地下深度まで、鋼管矢板による止水壁(遮水壁)を構築して完全に囲い込み、少なくとも周辺地盤へ汚染水が拡散・浸透して汚染被害(領域)が拡大することは確実に遮断し、或いは周辺地盤から地下水などが流入して汚染水の処理水量が際限なく増量し汚染領域が拡大することを先ずは防止又は阻止し、その状態を保って、前記汚染領域地盤へ漏出し又は浸透した汚染水を、前記止水壁を構成する鋼管矢板の鋼管内部空間へ積極的に集水し、更にこれを適時に汲み上げて、適切な浄化処理等を進めること、更にまた、鋼管矢板による前記止水壁(遮水壁)の外側地盤に地下水などの滞留現象などが発生した場合には、その地下水なども別異の鋼管の内部空間を利用して適時に集水し、汲み上げて廃棄処理等を行う、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム、及び遮断処理システム工法の技術分野に属する。
2011年3月の東日本大震災による東京電力福島原子力発電所の事故に関連して、汚染された雨水を保管するタンクから大量の放射能汚染水が漏れ出し、周辺地盤の地中へ浸透、拡散した流出事故の対策処理が未だに不十分だとしきりに報道されている。現在も可能な限りの努力で事故処理対策が懸命に実施されているようである。
しかし、現在に至ってもなお、汚染水の流出事故は解決し或いは終息したとは聞こえてこない。むしろ地中へ漏出し又は浸透・拡散した汚染水の処理が後手に回り、言わば後追い対策となって苦闘している様子が、次々と報道されている。汚染水の流出量が多くて処理しきれないとも聞かされる。周辺地盤から地下水が流入して、汚染水などの処理量が増量し、対策処理を困難にしているようにも懸念される。
とは言え、漏出した汚染水などが海洋へ流出することだけは、絶対に阻止しなければ、海が死に、漁業が壊滅することになるので、是非とも防止しなければならない。
ところで、止水壁(遮水壁)が地下水脈を遮断した場合には、止水壁による囲いの中に地下水が流入することは防止できる。しかし、逆に止水壁の外側地盤中に、地下水脈を遮断したことに起因する地下水の滞留現象を生じることは当然で、外側地盤の構造が破壊される懸念がある。よって、その対策・処理も不可欠である。
或いは汚染地盤や外側地盤の地表面に大量の降雨その他の原因で溜まり水が発生すると、人や車両、物資などの移動、輸送に支障を来たす場合があるので、やはり、そうした溜まり水なども積極的に解消する対策法が望まれる。
しかし、現状で確認される先行技術を調査しても、上記した汚染水の流出事故の対策、及び地下水の滞留解消に適応する処理技術は、未だ見当たらないのが実情である。せいぜい下記3件の特許文献を注目できる程度である。
実公平3−52256号公報 特開平10−165916号公報 特許第4448257号(特開2002−294692号公報)
上述した背景技術に関連して挙示した上記の先行技術文献1〜3を精査すると、地盤の液状化防止、或いは地下水の浄化、又は海面立地の遮水設備(又は遮水構造)などに関し、鋼管矢板を使用して止水壁(遮水壁)を構築する構造や施工法が提案されていることは認められる。
しかし、上述した東京電力福島原子力発電所で発生した汚染水流出事故のように、貯蔵タンクから地盤へ漏れ出した汚染水が近くの海洋や河川へ流出する危険性がある場合に、それを未然に且つ可及的速やかに防止する対策として、汚染水が地中へ浸透、拡散する現象をきっちり遮断し阻止するだけでなく、事故原因である汚染水などを地上へ積極的に排除して浄化処理などを施し、もって周辺の地盤環境の健全性、とりわけ海洋への流出などを未然に防止して、安全性の高い環境を積極的に実効性ある内容で回復するために有効と思われる対策技術は見当たらない。
その上、上記止水壁で取り囲んだ地盤領域に地下水脈が存在する場合に、止水壁でその地下水脈を遮断すると、止水壁で取り囲んだ内側地盤へ地下水が流入する不都合、不具合は防止できる。しかし、止水壁より外側の地盤(以下、外側地盤又は外周地盤と略す場合がある。)には、当然、止水壁による地下水脈の遮断(せき止め)結果として、同外側地盤に地下水の滞留現象を生じることを避けられず、同外側地盤の構造が不安定になる事態が懸念される。
上記のような場合には、止水壁で取り囲んだ内側地盤の汚染水流出事故対策と並行して、止水壁(遮水壁)より外側の外周地盤に滞留する地下水の適切な排除処理も、同時並行的に進める必要に迫られるが、現状、そうした対策にまで適応する先行技術は見当たらない。
因みに言うと、上記特許文献1に開示された「液状化防止矢板構造物」の発明は、孔あき鋼管矢板を使用する点を注目できる。しかし、同鋼管矢板には、鋼管壁の全円周面にわたり通水孔を設けて、液状化の可能性がある砂質地盤が地震時に発生する過剰間隙水圧を、360度全方位にわたり孔あき鋼管矢板の鋼管内部へ消散させ、もって過剰間隙水圧の上昇を抑制して、砂質地盤の液状化による矢板構造物の変形、移動等を防ぐ技術的思想と認められる。
従って、このような鋼管矢板構造物により汚染水が流出した地盤を取り囲んでも、地中へ漏出し又は浸透した汚染水の拡散を防止する機能(遮断効果)は決して得られない。
地中へ漏れ出した汚染水は、鋼管矢板壁の通水孔を自由に通過して外周地盤へ流出、拡散してしまうから、汚染水などの流出事故対策も技術としては全く成り立たない。また、逆に外周地盤からは地下水が自由に流入して汚染水などを増量させる不都合も何ら解決できない。
上記特許文献2に開示された「土木構造物の遮水設備」に関する発明は、海面埋め立て地から外部(海洋側)へ汚染水が漏出し又は浸透するのを防止する目的で鋼管矢板壁を構築する。その上で鋼管矢板に保水部を形成し、各保水部に対する給水手段を設けて、常に保水部内の水位を前記汚染水の水位よりも高く維持することにより、汚染水等を外海や埋め立て地へ流出させない技術的思想と認められる。
したがって、鋼管矢板壁で取り囲んだ地盤領域内へ漏出し又は浸透した汚染水等を、積極的に汲み上げたり排出処理する対策技術としては、やはり成り立たないことが明らかである。
上記特許文献3に開示された「地下水浄化用矢板壁及び地下水浄化設備」の発明は、鋼管矢板を矢板壁に使用するほか、同鋼管の管壁に複数の孔が形成され、透水性を備えている構成は注目できる。
しかし、この発明は、前記鋼管矢板を地盤中へ建て込み、鋼管同士を継手で接合した上で、前記鋼管の中空部内へ、浄化剤を充填した透水性容器を収納せしめ、汚染された地下水が鋼管矢板の管内を内外方向へ通過する際に浄化作用が働いて浄化機能を期待できる、という技術的思想にすぎない。つまり、汚染された地下水は、鋼管矢板による囲みの内外方向へ出入りが自由の構成であり、汚染水が囲みの外周領域へ漏出し拡散、浸透する現象を阻止する作用効果は全く期待できない。
従って、本発明の目的は、鋼管の管壁に複数の通水孔を一定の向きにのみ限定して形成した鋼管矢板を使用して、地盤へ漏出し拡散、浸透した汚染水などによる汚染が未だ及んでいない外周辺部に沿って止水壁(遮水壁)を構築することで、同汚染地盤領域を前記止水壁で十分大きく取り囲んで遮断することにより、汚染水などの更なる浸透・拡散を遮断(阻止)する。その上で、当該止水壁で取り囲んだ内側地盤(汚染地盤)へ漏出し拡散した汚染水など、或いは同地盤の地表面へ降雨等により発生した水溜まり、或いは地中の汚染水等を希釈する目的で行った地表面への打ち水等を、前記止水壁を構成する鋼管矢板の鋼管壁へ内向きにのみ設けた通水孔を通じて鋼管内部へ積極的に集水する。そして、同鋼管内部に溜まった汚染水などは、適時に地上へ汲み上げ、浄化処理等を施した上で、放棄などする処理が可能とした、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法を提供することである。
本発明の次の目的は、上記したように汚染水などによる汚染が未だ及ばない周辺地盤を大きく囲い込んだ止水壁で、当該汚染地盤の地下に存在する地下水脈を遮断して、囲い込んだ内側地盤へ外側地盤から地下水などが流入しない構成とし、もって汚染水などが地下水によって増量・拡散される不都合を解決した、汚染水などが漏出・拡散した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法を提供することである。
本発明の更なる目的は、上記のように地下水脈を遮断する深さまで建て入れて構築した止水壁(遮水壁)により地下水脈を遮断した結果、当該止水壁の外側地盤中に発生するであろう、地下水の滞留現象による弊害、或いは同外側地盤地表面への降雨などによる水溜まりや表面流水などを積極的に排除して解消する手段として、同止水壁(遮水壁)を構成する鋼管矢板の別異の鋼管の管壁に外向きの通水孔を設けて、同鋼管の内部へ前記滞留地下水や雨水などの集水を積極的に行い、更に鋼管内部へ溜まった地下水などは適時に汲み上げ、適切に処理して放棄等することを可能にした、汚染水などが漏出・拡散した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法を提供することである。
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システムは、
汚染水などが漏出・拡散等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置で、鋼管矢板3の隣接するもの同士を止水構造の継手4及び/又は継手片5、5’により相互に連結した構造で地中へ一定の深度まで建て入れて、平面視が閉ループ形状の止水壁2が構築されており、
前記鋼管矢板3には、前記止水構造の継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面である鋼管3aの鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んだ内側地盤1に向かって開口し同内側地盤1中の汚染水などを当該鋼管3aの内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6が複数設けられており、
前記内側地盤1の汚染水などが前記通水孔6を通じて止水壁2を構成する前記鋼管3aの内部へ流れ込み溜まることに対し、同汚染水を適時に汲み出す汲み出し手段15、16、17が設備され、更に汲み出した前記汚染水などが送給される浄化処理施設19が設備されており、汚染水などに必要な最終処理が行われる構成であることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明に係る、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システムにおいて、
止水壁2を構成する鋼管矢板3は、止水構造の継手4又は継手片5、5’により連結された複数の鋼管列のうち、一の鋼管3aには前記継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んだ内側地盤1に向かって開口し同内側地盤1中の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で内向きの通水孔6が複数設けられ、
他の鋼管3aには、前記継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面であって、前記鋼管3aの通水孔6の設置場所とは反対側の鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んで仕切られた外側の地盤13に向かって開口し同外側地盤13中の地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で外向きの通水孔6’が複数設けられており、
前記内向きの通水孔6、又は外向きの通水孔6’を備えた各鋼管3aの内部へ流れ込み溜まった汚染水又は地下水などを各別に汲み出す汲み出し手段15、16、17を設備して各別に汲み出す構成とされ、更に同汚染水又は地下水などを送給する浄化処理施設19及び/又は投棄処理施設20が設備され、それぞれの設備によって必要な最終処理が行われる構成であることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した発明に係る、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システムにおいて、
鋼管矢板3は、止水構造の継手4で接合された少なくとも2本組みの鋼管3a、3aで構成され、同鋼管3aのうち少なくとも1本の鋼管には、継手4又は継手片5、5’で区画された一つの外周面である鋼管壁にのみ、前記内側地盤の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6が内向きに複数設けられ、
他の少なくとも1本の鋼管3aには、継手4又は継手片5、5’で区画された外周面のうち、前記内向きの通水孔6の設置場所とは反対側の外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁2の外側地盤13に溜まった地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6’が外向きに複数設けられており、
前記内向きの通水孔6、又は外向きの通水孔6’を備えた各鋼管3aの内部へ流れ込み溜まった汚染水又は地下水などを各別に汲み出す汲み出し手段15、16、17が設備され、
それぞれの汲み出し手段によって各別に汲み出された汚染水又は地下水などを送給する浄化処理施設19及び/又は投棄処理施設20が設備され、それぞれの施設によって必要な最終処理が行われる構成であることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した発明に係る、汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システムにおいて、
鋼管矢板3を構成する鋼管3aの管壁に設けた通水孔6又は6’に、汚染水又は地下水など以外の土粒や石粒、その他のゴミ類が流入することを防ぐフィルター部材が設置されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明に係る、汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システム工法は、
汚染水などが漏出・拡散等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置に、鋼管矢板3の隣接するもの同士を止水構造の継手4又は継手片5、5’により相互に連結した構造で地中へ一定の深まで建て入れて、平面視が閉ループ形状の止水壁2を構築する段階と、
上記鋼管矢板3は、止水構造の継手4又は継手片5、5’により区分された鋼管の一つの外周面部である管壁にのみ、予め当該止水壁2で取り囲んだ内側地盤1に向かって開口し、同内側地盤1中の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6を複数設けておく段階と、
前記内側地盤1から汚染水などが通水孔6を通じて止水壁2を構成した鋼管3aの内部へ流れ込み溜まることに対し、溜まった汚染水などを適時に汲み出す汲み出し手段を設備して汲み上げ、浄化処理施設19へ送給し、同施設19において又は必要な処理施設を増設して必要とする最終処理を行う段階とから成ることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、上記請求項5に記載した、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム工法において、
鋼管矢板3の建て入れは、汚染水などが漏出・拡散等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置で、先行して地中へ建て入れた鋼管矢板3の一側の継手片5又は5’へ、後行の鋼管矢板3の該当する継手片5’又は5を連結状態にして建て入れる工程を繰り返すと共に、前記継手片5、5’相互の連結部分の隙間へ止水材料を充填して止水構造を完成する段階を含むことを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項5又は6に記載した、汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システム工法において、
汚染水などが拡散・漏出等した地盤1の汚染領域の外周位置を取り囲む配置に、地中の一定深まで到達する鋼管矢板3を建て入れて止水壁3を構築する段階は、
前記鋼管矢板3を、少なくとも2本組みの鋼管3a、3aがその全長にわたり止水構造の継手4により並列配置に接合された構成とし、且つ少なくとも1本の鋼管3aにおいて前記継手4又は継手片5又は5’により区分された一つの外周面である鋼管壁にのみ、前記内側地盤1の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で内向きの通水孔6を複数設け、
他の少なくとも1本の鋼管3aには前記継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面であって、前記内向きの通水孔6の設置位置とは反対側の外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁2の外側地盤13の地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で外向きの通水孔6’を複数設けた構成とし、
上記構成の鋼管矢板3を汚染水などが拡散・漏出等した地盤の汚染領域の外周位置へ建て入れて止水壁2を構築し、その内側地盤1から前記内向きの通水孔6を通じて汚染水などが鋼管3aの内部へ流入して溜まり、また、外側地盤13の地下水などは外向きの通水孔6’を通じて異なる鋼管3aの内部へ流入して溜まることに対し、各鋼管内部に溜まった汚染水や地下水などを、それぞれ別異の汲み出し手段を用いて各別に汲み出し、浄化処理施設19及び/又は投棄処理施設20へ各別に送給して、それぞれに必要な最終処理を行う段階を含むことを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、上記請求項5〜7のいずれか一に記載した、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム工法において、
上記鋼管矢板3を、地中一定の深さまで到達するように建て入れて止水壁2を構築する段階は、直下の地下水脈27を遮断する深さまで建て入れた止水壁2を構築することを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、上記請求項5〜8のいずれか一に記載した、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム工法において、
上記鋼管矢板3を、地中一定の深さまで到達するように建て入れて止水壁2を構築する段階は、鋼管矢板3が地下水脈27を遮断する深度まで建て入れて行うほか、更に、同止水壁2の外側地盤13に滞留する地下水の弊害を防止するため、前記止水壁2の位置よりも地下水脈の上流側位置に、同地下水脈27を遮断する補助の止水壁30を、必要な地盤範囲まで、鋼管矢板3を構成する鋼管3aに設けた前記通水孔6を、地下水脈27の上流側及び/又は下流側へ向けた配置に建て入れて構築する段階を加え、
上記補助の止水壁30で遮断された地盤13中に滞留する地下水などは、同補助の止水壁30を構成する鋼管矢板3の前記通水孔6又は6’を通じて鋼管内部へ取り込み、溜まった地下水などは汲み出し手段15、16、17を用いて適時に汲み出し、投棄処理施設20などへ送給して最終処理を行う段階を含むことを特徴とする。
本発明による、汚染水などが漏出・拡散した地盤の遮断処理システム、及び遮断処理システム工法によれば、汚染水などが漏出し拡散・浸透した地盤の汚染領域の外周位置を、地中一定の深さに到達する止水壁2(遮水壁)で取り囲み遮断(遮水)するから、先ずは前記汚染水などが止水壁2より外側の地盤領域13へ漏出し、拡散、浸透する不都合、或いは地表面流水として流失する危険や不都合は完全に止めることができる。したがって、止水壁2の構築後は、タンク10等から汚染水などが漏出・拡散する事故の対処にのみ専念すればよく、対策処理を一元化して簡単化できる。
そして、止水壁2(遮水壁)で取り囲んだ地盤領域1内へ、外側地盤13から地下水や地表面流水が流入することも阻止できるから、汚染水などの処理水量が時々刻々と増量する不都合を未然に完全に防止でき、対策処理を容易化することができる。
なお、上記止水壁2(遮水壁)を構築しただけでは、外側地盤13へ地下水27の滞留による弊害の防止が更に必要と考える場合には、図5に示し、上記請求項9に記載した発明の通り、汚染地盤1を取り囲む止水壁2の構築位置よりも、地下水脈27の上流側位置に、鋼管矢板3による補助の止水壁30を必要な範囲(位置)まで構築すると、地下水脈27の流れを補助の止水壁30により遮断でき、前記地下水滞留による弊害の発生を阻止し又は軽減化できる。
のみならず、前記補助の止水壁30でせき止めて、その上流側地盤に滞留する地下水、或いは下流側の地盤(外側地盤13など)に滞留する地下水などを、鋼管矢板3の各鋼管3aに設けた通水孔6又は6’を通じて鋼管内部へ流入させ溜める集水を行わせ、更にその溜まり水を汲み出し手段15、16、17を用いて適時に汲み出し、適所へ放棄などする対策も実施できる。かくすると、止水壁2で取り囲んだ、汚染水などが漏出・拡散などした汚染地盤1の事故対策処理を早期に容易、且つ確実に安全に達成することができる。
本発明による、汚染水などが漏出・拡散した地盤の遮断処理システム、及び遮断処理システム工法によれば、汚染水などが漏出・拡散などした汚染地盤1の汚染領域の外周位置を取り囲んだ止水壁2で汚染水などの拡散、浸透を当該汚染地盤1内に止め、その上で同止水壁2を構成する鋼管3aに設けた通水孔6又は6’で、内側の汚染地盤1及び/又は外側地盤中の汚染水や地下水などを鋼管内部へ流入させる集水作用を発揮させることができる。そして、集水し溜まった汚染水は、汲み出し手段15、16、17を用いて適時に地上等へ汲み出し、浄化処理施設19及び/又は投棄処理施設20へ送給し、必要な最終処理を行うから、汚染地盤1中の汚染水などは積極的に確実に排除できる。
必要によっては、同汚染地盤1の地面へ上記の処理水や清浄水、或いは消毒液等を散水又は放水等して地中へ浸透させ、地中の汚染水等と接触させることにより、汚染水の希釈化、無害化を積極的に図ることもできる。前記散水等に、上記のように必要な最終処理を行った処理水を転用すると、処理システムの閉循環化を実現することも可能である。
勿論、止水壁2の外側地盤13に滞留するであろう地下水など、及び補助の止水壁30の上流側及び下流側に滞留するであろう地下水も、同止水壁2或いは止水壁30を構成する鋼管3aに設けた通水孔6、6’を通じて同鋼管3aの内部へ取り入れる集水作用を行わせ、その溜まり水を適時に汲み出し手段15、16、17を用いて汲み出し、適所へ放棄し、或いは再利用に供するなどの対策も並行して実施できるから、止水壁2で仕切った内側の汚染地盤、或いは外側地盤13について、それぞれ必要な対策処理を並行して行える。従って、汚染水などが漏出した汚染地盤1における事故処理対策などは、必要十分に確実に行うことができる。
なお、本発明による汚染水などが漏出・拡散などした汚染地盤の遮断処理システム、及び遮断処理システム工法の更なる作用、効果として、上記構成の止水壁2で取り囲んだ内側地盤1の液状化防止対策として実施することも可能である。即ち、内側地盤1或いは外側地盤13が砂質地盤で地震時に液状化するおそれが有る場合に、止水壁2を構成する鋼管3aの通水孔6(又は6’)を通じて集水することにより過剰間隙水圧を消散させ、過剰間隙水圧の上昇を抑制して同地盤の液状化を防止する処理も実施可能である。
本発明による汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム、及び遮断処理システム工法の実施例1の全体概要を簡単化して示した説明用の斜視図である。 A、Bは本発明の実施に使用する鋼管矢板の一例を示した平面図と正面図である。 A〜Cは本発明の実施に用いる鋼管矢板同士を、止水性を発揮する連結構造で建て入れることを可能ならしめる連結片の異なる実施例を示した平面図である。 A〜Cは本発明の実施に用いる鋼管矢板の実施例であって、各鋼管に加工した通水孔の異なる構成例を示した正面図、Dは鋼管を4本並列させた実施例の正面図である。 本発明による汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム、及び遮断処理システム工法の実施例3の全体概要を簡単化して示した説明用の斜視図である。
本発明による汚染水などが漏出・拡散等した地盤の遮断処理システムは、汚染水などが漏出・拡散等した地盤1の汚染領域の外周位置を取り囲む配置で、鋼管矢板の隣接するもの同士を、止水構造の継手又は継手片により相互に連結した構造で地中へ一定の深度まで建て入れて、平面視が閉ループ形状の止水壁2を構築する。
前記鋼管矢板3には、前記止水構造の継手4又は継手片5、5’により区分された鋼管の一つの外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んだ内側地盤1に向かって開口し同内側地盤1中の汚染水などを当該鋼管3aの内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6を複数設ける。
前記内側地盤1の汚染水などが前記通水孔6を通じて止水壁2を構成する前記鋼管3aの内部へ流れ込み溜まることに対し、適時にその汚染水を汲み出す汲み出し手段15、16、17を設備し、更に汲み出した前記汚染水などを送給する浄化処理施設19を設備して、この施設で前記汚染水などに必要な最終処理(浄化処理など)を行う。
或いは、上記の止水壁2を構成する鋼管矢板3としては、止水構造の継手4又は継手片5、5’により連結された複数本の鋼管3aのうち、一つの鋼管3aには前記継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んだ内側地盤1に向かって開口し同内側地盤中の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6を複数設ける。
或いは他の鋼管3aには、前記継手4又は継手片5、5’により区分された一つの外周面であって、前記鋼管の通水孔6の設置場所とはハンタン側区域の鋼管壁にのみ、当該止水壁2で取り囲んだ位置より外側の地盤13に向かって開口し同外側地盤13中の地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔6’を複数設ける。
そして、前記内向きの通水孔6、又は外向きの通水孔6’を備えた各鋼管3aの内部へ流れ込み溜まった汚染水又は地下水などは、適時に各別に汲み出す汲み出し手段15、16、17を設け、更に各別に汲み出した汚染水又は地下水などをそれぞれ送給する浄化処理施設19及び/又は投棄処理施設20を設備して、止水壁2の内側地盤1のみならず、外側地盤13の双方から各鋼管内部へ取り入れた前記汚染水又は地下水なども、それぞれ並行して必要な最終処理を行う。
なお、止水壁2により地下水脈27を遮断した場合に、同止水壁2の位置より外側及び/又は下流側に溜まる地下水などによる弊害を未然に防ぐため、同止水壁2を構成する鋼管3aに設けた外向きの通水孔6’が、地下水脈27の上流側及び/又は下流側へ向く配置に鋼管矢板3を建て入れて、補助の止水壁30を必要な地盤範囲まで構築する。
そして、前記補助の止水壁30で遮断されて上流側の地盤中に滞留する地下水及び/又は下流側の地盤中に滞留する地下水などは、同補助の止水壁30を構成する鋼管3aの通水孔6及び/又は6’を通じて鋼管内部へ取り入れて溜める。そして、溜まった地下水などは、適時に汲み出し手段15、16、17を用いて汲み出し、浄化処理施設19或いは投棄処理施設20などへ送給して最終処理を行うことにより、地下水の滞留現象の不都合をも解消する。
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明による、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法の実施例1を示している。
この実施例1は、一例として、染水等を貯蔵したタンク(水槽)10から汚染水等が直下の地盤へ漏出し拡散等した場合の事故対策について示している。図中の符号11は、海洋12と陸地13との境界を仕切った岸壁を示す。
図1は、タンク(水槽)10から汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤1の汚染領域の最外周位置を十分大きく取り囲む配置で、鋼管矢板3による止水壁2を、平面視が閉ループ形状に構築して、汚染水はもとより地下水の流れや拡散をも完全に遮断した構成とした実施例を示している。
そして、図2は、上記の止水壁2の構築に使用する鋼管矢板3の一例を示している。図2に示した鋼管矢板3は、一例として2本の鋼管3a、3aを並列の配置とし、止水構造の継手4で全長にわたり一連に止水性を発揮する構造に連結している。更に、各鋼管3a、3aの両横位置には、通例雌、雄関係(又は雌同士、雄同士でも可。)で連結できる継手片5又は5’をやはり全長にわたり止水構造に備えた構成とされている。
(鋼管矢板の特長及び機能)
以下に、本発明で使用する鋼管矢板3の構成及び機能の特長について説明する。
使用する鋼管矢板3としては、既に市販されている、例えば新日本製鐵株式会社製の「連結鋼管矢板」(Cat.NoPC607 20119改1タ)などを好適に適用することが出来る。適用する杭径及び杭長は、実施する地盤の構成、特に地下水の深さに応じて適宜に定める。杭径の一例を示すと、φ400〜φ1000程度が好適である。杭長に関しては、必要に応じて継ぎ足し施工を行うことになる。
本発明で使用する鋼管矢板3の構成上の特長は、図2A、Bで明らかなとおり、並列する2本(但し、2本の限りではない。)の鋼管3a、3aで構成する場合には、少なくとも1本の鋼管3aに、前記止水構造の継手4と継手片5又は5’とで区分された(仕切られた)鋼管の約半円周相当の一つ(一方)の外周面である鋼管壁にのみ、図2Bの例では、右側の鋼管3の正面側の鋼管壁にのみ、図1に例示したように止水壁2で閉ループ形状に取り囲んだ内側の汚染地盤1に向かって開口し、同内側地盤1中の汚染水などを当該鋼管3aの内部へ取り入れて(集水して)溜めることに適切な口径と配置の通水孔6が複数設けられている。
前記通水孔6の口径は、地盤を構成する土粒や石粒、或いはゴミ類の流入をできるだけ防げるように、例えばφ10mm〜φ20mm程度とすることが好ましい。場合によっては、各通水孔6の口部へ、土粒や石粒、或いはゴミ類の流入を阻止する網構造のようなフィルター類を取り付けて実施することも好ましい。通水孔6の配置やピッチに関しては、地盤中の汚染水などの集水効果を発揮する限り、特段の条件はない。例えば図2Bのように市松模様状の配置で設けるほか、縦に一列又は複数列の配置、その他以下に例示する各種の配置やピッチで実施することができる。因みに、図4A〜Dは通水孔6を螺旋状配置に設けた実施例を示している。
本発明で使用する鋼管矢板3の構成上の更なる特長は、図2A、Bで明らかな通り、2本の鋼管3a、3aで構成した場合に、上記通水孔6は、決して同鋼管3aの全円周にわたっては設けない。必ず止水構造の継手4と継手片5又は5’とで区分された(仕切られた)鋼管の一方の半円周相当の外周面である鋼管壁にのみ通水孔6を設け、残り半円周の鋼管壁には決して通水孔を設けない。残り半円周の鋼管壁で、内側地盤1中の汚染水や地下水等の流れや拡散を遮断する止水機能(遮水機能)を発揮させる構成とすることが重要だからである。即ち、平面視を閉ループ形状に取り囲み閉じ込めた内側地盤1中の汚染水などを、止水壁2の全周にわたり、鋼管矢板3の前記通水孔6により鋼管3aの内部へ集水することが可能に構成し、且つ止水壁2より外方の地盤13(外側地盤)へ汚染水や地下水等が漏出、拡散することを完全に阻止(遮断)する遮水機能が必要だからである。
かくして上記止水壁2で取り囲んだ内側地盤1の汚染水などは、上記通水孔6を通じて鋼管3aの内部へ集水し、収集した汚染水等は、後述するように適時に鋼管3aから汲み上げて、浄化処理その他の最終処理を行い廃棄処分などする。
その一方では、上記汚染水などの処理と並行して、上記止水壁2を構成する鋼管矢板3の異なる鋼管3aに、止水壁2の外側領域の地盤13(以下、単に外側地盤13という。)に滞留することになるであろう地下水などを排除することも可能に構成することができる(請求項2の発明)。
そのための手段として、例えば図2A、Bに例示した残る左側の1本の鋼管3aに、やはり止水構造の継手4と継手片5とで区分された同鋼管3aの半円周相当の外周面であって、前記右側の鋼管3aに設けた通水孔6の設置場所とは約180度反対側となる鋼管壁にのみ、外向きの通水孔6’を設ける。そして、この鋼管3aの通水孔6’によって外側地盤13中に滞留する地下水などを集水させ、地上へ汲み上げて排除することが可能な構成の止水壁2を構築することができる。
その他、本発明の実施に使用する鋼管矢板3の更に異なる実施例を、図4A〜Dに基づいて説明する。
図4Aに例示した鋼管矢板31は、止水構造の継手4で接合し並列させた2本の鋼管3a、3aの双方に、止水構造の継手4と継手片5又は5’とで区分された各鋼管3a、3aのうち同じ向きの半円周相当の外周面である鋼管壁にのみ、螺旋状配置に、同じ向きの通水孔6を設けた構成である。2本の鋼管3a、3aの両外側(両横)位置に、隣接する鋼管矢板3と連結する継手片5と5’が設けられている構成は変わらない。
図4Bに例示した鋼管矢板32は、図4Aの実施例と同様に、2本の鋼管3a、3aを止水構造の継手4で接合して並列させ、同継手4と継手片5又は5’とで区分された各鋼管3a、3aの同じ向きの半円周相当の外周面である鋼管壁にのみ通水孔6を設けている。但し、通水孔6の配置として、螺旋の向きが左巻きと右巻きとに異なる構成とされていることが特徴である。
図4Cに例示した鋼管矢板33は、左側1本の鋼管3aにのみ、止水構造の継手4と継手片5とで区分された鋼管3aの一方の半円周相当の外周面である鋼管壁にのみ、螺旋状の配置に通水孔6を設け、他の1本の鋼管3aには通水孔を一切設けない構成を示している。もっとも、当該他の鋼管3aには、必要に応じて、図2Aで例示したように、前記通水孔6を設けた左側の鋼管3aとは180°正反対側(背面側)の外周面である鋼管壁にのみ、外側地盤13の地下水等を収集する外向きの通水孔6’を設けた構成で実施することもできる。
更に、図4Dに例示した鋼管矢板34は、並列に配置した4本の鋼管3aを一組とし、それぞれの鋼管同士を止水構造の継手4で接合した上で、各止水構造の継手4と継手片5又は5’とで区分された鋼管の同じ向きの半円周相当の外周面である鋼管壁にのみ、螺旋状の配置に通水孔6を設けた構成とされている。両外側の鋼管3aの両横位置にそれぞれ、隣設の鋼管矢板と連結する継手片5と5’が設けられている構成は変わらない。
なお、本発明で使用する鋼管矢板3の構成及び機能に関し、更に異なる構成例を逐一列挙して説明すると際限が無いので、以上をもって一応止める。但し、同様の技術的思想にて多種多様な構成の鋼管矢板が実施例として提案され、実施の必要に供されるであろうことを念のため言及しておく。
極端な実施例として、1本の鋼管のみで成る鋼管矢板を用意し、同鋼管の両横位置に継手片5と5’を設けた構成とし、前記左右の継手片で区分される一方の半円周相当の鋼管壁にのみ、通水孔を設けた構成の鋼管矢板を使用して同様に止水壁2を構築し実施することもできる。
上記した何れかの実施例の鋼管矢板3又は31〜34を採用して本発明による地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法を実施するが、いずれの鋼管矢板を選択するかは、施工対象とする地盤の構成と汚染状況や汚染の種類、対応可能な対策の内容、或いは地下水脈等の有無や深さ位置など、及び施工法の検討その他の諸条件を総合判断して、採否を決定し実施することになる。
(止水壁の構築等)
再び図1に示した実施例1の説明に戻る。
本発明による地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法の実施は、図1に実施例1を示した通り、例えば汚染水等を貯蔵したタンク(水槽)10から直下の地盤1へ汚染水等が漏出し拡散等した場合に、その事故処理対策として実施することに適する。
その実施に際しては先ず、汚染水などが漏出・拡散等した地盤1における、汚染領域の現状を把握し、汚染領域の最外周位置に沿って、少なくとも前記汚染箇所を外すことのないように、必要十分な余裕をもって大きく取り囲む配置の線上に沿った位置に、上記したいずれかの構成の鋼管矢板3又は31〜34(以下、鋼管矢板3で代表させる。)を選択して用い、順次に建て入れ施工を行って、平面視が完全に閉じた閉ループ形状の止水壁2(遮水壁)を可及的速やかに構築することから始める。
上記構成の鋼管矢板3を地中へ垂直姿勢に建て入れて連続する止水壁2を構築する施工に使用する杭打ち機の機種や、同杭打ち機を使用して施工する鋼管矢板の建て入れ施工法などは、既に当業者に種々公知、周知であり、技術水準になっているから、ここではその技術内容を逐一詳細に説明することは省略する。
本発明を実施する鋼管矢板の建て入れ施工法として肝要な技術的思想と、実施内容の要点を中心に以下の説明を進める。
上記したいずれの鋼管矢板3を採用し使用するかは、現地の地盤状況(構成)及び汚染事故の原因と汚染進行状況などに応じて決定することは上述した。
図1に示した実施例1の場合は、同鋼管矢板3の鋼管3aに設けた通水孔6が、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤1に向く配置として建て入れ施工を進める。また、構築方向の前後に隣接する鋼管矢板3、3同士は、双方の継手片5又は5’同士を相互に連結した構成で建て入れて施工を進める。
上記のような施工法を前提に採用される継手片5、5’の構成は、地上で予め相互に連結した状態にして建て入れ施工を進め得る構成が至便であるが、その構成の如何を問わない。既に当業者に公知、周知の構成である各種の継手片5又は5’を適宜採用して実施できる。
因みに、図3Aに例示した継手片5と5’は、小径の鋼管によるリング形状で成り、それぞれのリングは円周方向の一部に切り欠き5aと5a’を形成されている。それぞれの切り欠き5aと5a’部分を互い違いに差し入れて機械的な連結構造を実現した上で、建て入れ施工を進める構成である。
図3Bに例示した継手片5と5’は、右方の継手片5は、やはり小径鋼管によるリング形状で成り、その円周方向の一部に切り欠き5bが形成されている。左方の継手片5b’は、前記切り欠き5bへ差し入れることが可能なT形材で成り。両者の嵌め合わせによって機械的な連結構造を実現する構成とされている。
図3Cに例示した継手片5と5’は、右方の継手片5は背高が低い溝形鋼状に形成され、そのウエブ中央の位置に切り欠き5cが形成されている。左方の継手片5’は、やはり背高の低いT形材で成り、そのT頭部5c’を前記切り欠き5cを利用して右方の継手片5へ嵌め合わせ連結してから建て入れ施工することにより、機械的な連結構造を実現できる構成とされている。
もとより継手片5又は5’の形状、構成及び連結態様は上記の限りではない。既に種々な構成例が当業者に公知、周知で技術水準になっているから、好適な構成の継手片を選択し採用して実施することができる。
本発明の実施で重要なことは、上記何れの継手片5又は5’を採用して実施する場合でも、鋼管矢板3の建て入れ施工を所定の深さまで行った後には、必ず継手片5又は5’の連結部分の隙間部分へ遅滞なく、セメントミルクその他の流動性又は粘調性を有する止水材14を密実に充填して、連結部分の隙間を完全に塞ぎ完全な止水性を確保した構成に完成することが肝要である。
再び図1の説明に戻る。汚染水等を貯蔵したタンク(水槽)10から直下の地盤1へ汚染水等が漏出し拡散等した場合の事故処理対策として、図示例の場合は、同汚染地盤1中の汚染領域及び汚染水の拡散状況などを予め調査して適正に把握する。そして、同汚染領域の最外周位置よりも更に適度な余裕を確保した外側位置を、つまり汚染領域を大きく取り囲む平面位置に沿った線上に、上記いずれかの鋼管矢板3又は31〜34などを選択、使用して、順次に地盤中へ建て入れて止水壁2を構築する施工を迅速に行う。
こうして平面視が完全に閉じた閉ループ形状の止水壁2(遮水壁)を可及的速やかに構築すると、汚染水等が漏出し拡散・浸透等した汚染地盤1を特定して仕切り、閉じ込めることができる。その結果、同汚染地盤1中の汚染水等が更に拡散・浸透して止水壁2の位置へ到達しても、同止水壁2の位置から外方地盤へ漏出、拡散することは絶対的に確実に阻止できる。
のみならず、止水壁2の位置まで拡散し到達してきた汚染水などは、そのまま止水壁2を構成する鋼管矢板3の内向きの通水孔6を通じて鋼管3aの内部へ流入するので、集水作用が始まる。したがって、汚染水等の漏出、拡散の速度に対して、止水壁2(遮水壁)の構築を先行して完成させるかぎり、地盤1中へ漏出、拡散した汚染水等は余さず確実に集水し処理することが可能である。前記処理のために必要な時間を確保するため、止水壁2は、汚染領域の外延位置との間に、建て入れ施工に必要な距離又は施工時間を確保した位置へ構築を進めることが肝要である。
上記のようにして完成した止水壁2の各鋼管3a内には、内向きの各通水孔6を通じて、時間の経過と共に、汚染地盤1中へ漏出し、浸透・拡散等した汚染水や地下水などが、それなりの流水勾配にしたがって浸透し、次々と流れ込んで溜まる集水現象が発生する。
従って、鋼管内部に集水する汚染水や地下水などが相当多量であると判断される場合には、鋼管矢板の選択に際して前記の点を考慮し、例えば図1または図4Bもしくは図4Dに例示したごとく、鋼管矢板3を構成する全ての鋼管3aに内向きの通水孔6を設けた鋼管矢板3を使用して施工を行い、止水壁2を構築するべきである。かくすると、施工後に止水壁2へ到達した汚染水や地下水などは、通水孔6を通じて各鋼管3aの内部へ順次に流入して溜まる。よって効果的に、十分大きな集水能力と、収容能力を発揮する止水壁2を構築できる。
逆に、集水するべき汚染水や地下水などが少量であると知見された場合には、例えば図2又は図4Cに例示したごとく、一部の鋼管3aにのみ通水孔6を設けた鋼管矢板3を採用して止水壁2を構築すれば良い。この場合も、相応に汚染水や地下水などの集水能力と収容能力を発揮する止水壁2を構築することができる。
上記のようにして鋼管矢板3による止水壁2を、図1に示した如く平面視が閉ループ形状に構築を完成すると、汚染地盤1中を浸透、拡散する汚染水の流動態様が如何様であれ、同止水壁2の位置に到達すると、汚染水は必ず止水壁2の位置で更なる拡散・浸透を完全に阻止され、且つ同止水壁2を構成する鋼管3aの各通水孔6を通じて鋼管内部へ流れ込み集水される。そして、同止水壁2を構成する鋼管3aの内部に溜まった汚染水等は、必要に応じて適時に、汲み上げ手段によって汲み上げて排除することができる。
その準備として、上記止水壁2の構築と並行する作業として、別途用意した集水タンク15を汚染地盤1の近傍の適所へ設置する。そして、同集水タンク15から出発する汲み上げ用のヘッダーパイプ16を止水壁2の位置へ向かって敷設する。一方、上記止水壁2を構成する鋼管3aのうち内向きの通水孔6を設けた各鋼管3aには、汲み上げ用パイプ17を挿入し、この汲み上げ用パイプ17を接続した汲み上げ用ヘッダー18は、前記ヘッダーパイプ16と接続して、汚染水などの汲み上げ手段(回路施設)を設備することが行われる。各汲み上げ用パイプ17は、その下端部にいわゆるフートバルブを備え、汲み上げ用ヘッダー18との接続位置には開閉弁を設けることは当然であるが、その図示は省略した。
一方、汚染水などの汲み上げ処理手段として、上記集水タンク15内に、例えば真空ポンプ方式の揚水システムなどを設置し、その真空引き作用により各鋼管3aの内部に溜まった汚染水や地下水などを、各汲み上げ用パイプ17の開閉弁の開閉操作で適時に効率よく汲み上げて排除する揚水システム(汲み上げ手段)が構築される。もっとも、汲み上げ手段の構成は上記した内容に限らない。
一方、前記集水タンク15に隣接して、汲み上げた汚染水や地下水などを無害化処理する浄化処理施設19が連通管21により接続して設置される。こうして、上記集水タンク15へ真空ポンプ方式の揚水システムなどで汲み上げた汚染水や地下水などは、更に浄化処理施設19へ送って必要な最終処理を行う。この最終処理を行った浄化処理水は、その水質に応じて、例えば放水管20を通じて海洋12等へ放棄することができる。或いは前記浄化処理水の全部又は一部を、上記止水壁2で取り囲んだ汚染地盤1の地盤面などへ散水などして、同地盤中の汚染水や地下水を希釈化し汚染度を低下させる浄化補助処理に利用することなども積極的に進めることが可能である。
なお、上記汚染水などの汲み上げ手段としては、上記真空ポンプ方式の揚水システムに限らない。止水壁2の各鋼管3aの内部に溜まった汚染水や地下水などを、適時に効率よく汲み上げて排除できる構成、機能であるかぎり、揚水ポンプや水中ポンプその他の公知、周知の揚水システムを適宜に採用して実施することができる。
なお、上記した地盤の遮断処理システムの構成を、液状化の可能性がある砂質地盤について、一定大きさの平面績毎に平面視が閉ループ形状に取り囲む配置で止水壁2を構築し、同止水壁2を構成する各鋼管3aの通水孔6又は6’を通じて地下水のくみ上げに使用すると、地震時に発生する過剰間隙水圧の上昇を抑制することができ、当該地盤の液状化防止に有効に働かせることができる、
図示することは省略したが、図1の実施例に似て異なる実施態様として、上記止水壁2の構築に際し、図2或いは図4Cに例示した鋼管矢板3又は33のように、複数本の鋼管3a、3aで構成したうち少なくとも1本の鋼管3aに、内側地盤1に向かって開口する通水孔6を設け、他の少なくとも1本の鋼管3aには外側地盤13に向かって開口する通水孔6’を設けた構成の鋼管矢板3又は33を使用して、やはり平面視が完全に閉じた閉ループ形状の止水壁2を同様に構築した、地盤の遮断処理システムも同様に実施することができる。
本実施例2の意図は、止水壁2を上記のように構成すると、一方では汚染水等が漏出し拡散等した汚染地盤1(内側地盤)から、内向きの通水孔6を通じて汚染水等を積極的に効率よく集水して鋼管内部に溜め、排除処理することができる。
と同時に、止水壁2の外側地盤13に向かって開口する外向きの通水孔6’によって、同外側地盤13中の地下水が同止水壁2の近傍に滞留した場合に、それを通水孔6’を通じて当該鋼管3aの内部に収容し集水することができる。
よって、後者の鋼管3aにも、上記した汲み上げ用パイプを挿入し、この汲み上げ用パイプを共通に接続した汲み上げ用ヘッダーを前記ヘッダーパイプ16と接続した汲み上げ手段を設備すると、上記真空ポンプ方式の揚水システムを働かせることにより、前記の各鋼管内部に溜まった地下水などを、適時に効率よく汲み上げて排除できる。よって、外側地盤中に地下水が滞留すること、及び外側地盤13の地表面へ降雨などによる水溜まりが発生した場合の解決策として積極的に実施できる。
つまり、内側の上記汚染水の汲み上げ排除処理と並行して、止水壁の外側に滞留する地下水や水溜まりなども排除する遮断処理システムを二元処理方式として実施することができる。
更に、図5に示した実施例3を説明する。
この実施例3も、地盤の遮断処理システム及び遮断処理システム工法としての原理、原則において、上記実施例1、2と大差はない。
本実施例3も、基本的には図5を図1と対比して見ると明らかなように、汚染水等を貯蔵したタンク10から直下の地盤1へ汚染水等が漏出し拡散等した場合の事故処理対策として好適に実施できる。即ち、地盤1が汚染水等により汚染された領域や拡散・浸透の状況などを、事前調査などにより適正に確認・把握して、同汚染領域の最外周位置よりも更に適度な時間的余裕分を確保した外側位置に沿って大きく取り囲む平面配置で、上記いずれかの構成の鋼管矢板3又は31〜34を選択、採用し、これを順次に建て入れ施工して、遮水構造で連続する止水壁2を構築する施工法の内容に変わりはない。
そして、構築した止水壁2における上記内向きの通水孔6を備えた鋼管3aの内部へ汚染地盤1から流入する汚染水などが溜まると、それを適時に汲み上げ浄化処理する施設として、用意した集水タンク15を汚染地盤1の近傍の適所へ設置する。そして、同集水タンク15に備えた例えば真空ポンプ方式の揚水システムから出発する汲み上げ用のヘッダーパイプ16を止水壁2に向かって敷設する。このヘッダーパイプ16に対し、上記止水壁2を構成する鋼管3aのうち内向きの通水孔6を設けた各鋼管3aに対して、汲み上げ用パイプ17を各別に挿入し、同汲み上げ用パイプ17を共通に接続した汲み上げ用ヘッダー18を、前記ヘッダーパイプ16と接続して、汚染水などの汲み上げ手段を設備する構成までは、図1に示した上記実施例1とほぼ共通する。
場合によっては、上記実施例2と同様に、止水壁2を構成する鋼管矢板3のうち、外向きの通水孔6’を備えた鋼管3aに関しては、外側地盤13中の地下水などが止水壁2の外側領域に滞留し、外向きの通水孔6’を通じて鋼管内部に流入し溜まることに関し、その地下水を適時に汲み上げて処理する別異の汲み上げ処理手段も設備する。そして、図5に具体的に記載することは省略したが、別異の集水タンク15を汚染地盤1の近傍の適所へ設置し、同集水タンク15に備えた真空ポンプ方式の揚水システムから出発する汲み上げ用のヘッダーパイプ16を止水壁2に向かって敷設し、同止水壁2を構成する鋼管3aのうち外向きの通水孔6’を設けた各鋼管3aに対して、汲み上げ用パイプ17を各別に挿入し、同汲み上げ用パイプ17を共通に接続した汲み上げ用ヘッダー18を、前記ヘッダーパイプ16と接続して、外側地盤13の地下水などの汲み上げ手段をも併設することも好適に実施できる。
特に本実施例3では、図5に例示したように、上記汚染地盤1の外側地盤13の構成として、地表側の透水層25と、地下側の不透水層26との簡に、かなりな流量による地下水脈27が確認され、同地下水脈27に起因する弊害が懸念される場合について、予めその地下水に対する対策を次のように構成している。
即ち、上記止水壁2の位置よりも地下水脈27の上流側位置に、地下水遮断用として、補助の止水壁30を構築した構成に特徴を有する。
即ち、地下水脈27の流量が大きいと、上記した止水壁2で汚染地盤1を取り囲んだ場合、結果的に地下水脈27を遮断することになり、同地下水脈27の地下水の流れを止水壁2でせき止める。その結果、止水壁2の外側地盤13中に滞留するであろう多量の地下水に起因する種々な弊害が懸念される。
そこで前記弊害の懸念を未然に積極的に解決する手段として、図5の実施例では、上記汚染地盤1を取り囲む止水壁2の構築と並行して、又は同止水壁2の構築に先行して、同止水壁2の構築位置よりも地下水脈27の上流側位置の外側地盤13中に、地下水脈27を遮断して、その地盤中に滞留する地下水を積極的に汲み上げて処理する目的で、補助の止水壁30を構築している。
図5の実施例ではまた、上記汚染地盤1を取り囲む止水壁2よりも地下水脈の下流側であって、海洋12と陸地13とを仕切る岸壁11に接近して沿う位置にも、念のため汚染水などが止水壁2による囲い込みから漏れて海洋12の方へ流失する危険を未然に防止する手段として、流失防止壁31を、やはり上記した各種の鋼管矢板3又は31〜34のいずれかを選択し使用して構築した場合を示している。
勿論、この流失防止壁31にも、上述した汚染水などの汲み上げ手段を設備することに変わりない。
上記した地下水防御用である補助の止水壁30及び流失防止壁31も、上記したいずれかの構成の鋼管矢板3又は31〜34を選択し使用して構築する。
その場合、各鋼管矢板3又は31〜34を構成する特定の鋼管3aに設けた内向きの通水孔6又は外向きの通水孔6’がそれぞれ、地下水脈の上流側又は下流側に向けて、或いは流失防止壁31よりも上流側又は下流側に向けた配置で、それぞれ地中へ建て入れて地下水防御用の止水壁30或いは流出防止壁31を構築する。
勿論、上記地下水防御用の止水壁30、及び流出防止壁31に関しても、通水孔6又は6’を備えた各鋼管3aの内部へ流入して溜まる汚染水や地下水等を適時に汲み上げる手段として、上述した集水タンク15から出発する汲み上げ用ヘッダーパイプ16に対し、上記地下水防御用の止水壁30又は流出防止壁31を構成する鋼管3aのそれぞれに、汲み上げ用パイプ17を挿入し、同汲み上げ用パイプ17を共通に接続した汲み上げ用ヘッダー18を、前記ヘッダーパイプ16と接続するなどして、汚染水や地下水などの汲み上げ手段を設備することも、図1に示した実施例1或いは2と共通する。
勿論、上記汲み上げ手段を通じて汲み上げた汚染水や地下水等は、上記集水タンク15から最終処理施設19へと送って必要な最終処理を行う。その上で、例えば放水管20を通じて海洋12へ放棄する等の処置を行う。かくすると、地下水脈27に起因してどんどん滞留するであろう地下水等による各種の弊害発生を未然に防止できる。
上記の構成によれば、万が一にも、止水壁2で捕捉し外れた汚染水等が、地下水と共に海洋12側へ流れ込む危険性は未然に防止できる。
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成や形態に限定されるものではない。当業者が必要に応じて通常行う設計変更や、変形応用等の範囲内で様々に適宜実施することが可能であることを申し添える。
3 鋼管矢板
4 継手
5、5’ 継手片
3a 鋼管
1 内側地盤(汚染地盤)
6、6’ 通水孔
15、16、17 汲み出し手段
19 浄化処理設備
20 投棄処理施設

Claims (9)

  1. 汚染水などが漏出・拡散等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置で、鋼管矢板の隣接するもの同士を止水構造の継手又は継手片により相互に連結した構造で地中へ一定の深度まで建て入れて、平面視が閉ループ形状の止水壁が構築されており、
    前記鋼管矢板には、前記止水構造の継手又は継手片により区分された鋼管の一つの外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁で取り囲んだ内側地盤に向かって開口し同内側地盤中の汚染水などを当該鋼管の内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔が複数設けられており、
    前記内側地盤の汚染水などが前記通水孔を通じて止水壁を構成する前記鋼管の内部へ流れ込み溜まると、同汚染水を適時に汲み出す汲み出し手段が設備され、更に汲み出した前記汚染水などを送給する浄化処理施設が設備されており、くみ出した汚染水などに必要な最終処理が行われる構成であることを特徴とする、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム。
  2. 止水壁を構成する鋼管矢板は、止水構造の継手又は継手片により連結された複数の鋼管列のうち、一の鋼管には前記継手又は継手片により区分された一つの外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁で取り囲んだ内側地盤に向かって開口し同内側地盤中の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で内向きの通水孔が複数設けられ、
    他の鋼管には、前記継手又は継手片により区分された一つの外周面であって、前記鋼管の通水孔の設置場所とは反対側の鋼管壁にのみ、当該止水壁で取り囲んで仕切られた外側地盤に向かって開口し同外側地盤中の地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で外向きの通水孔が複数設けられており、
    前記内向きの通水孔、又は外向きの通水孔を備えた各鋼管の内部へ流れ込み溜まった汚染水又は地下水などを各別に汲み出す汲み出し手段を設備して各別に汲み出す構成とされ、更に同汚染水又は地下水などを送給する浄化処理施設及び/又は投棄処理施設が設備され、それぞれの設備によって必要な最終処理が行われる構成であることを特徴とする、請求項1に記載した発明に係る、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム。
  3. 鋼管矢板は、止水構造の継手で接合された少なくとも2本組みの鋼管で構成され、同鋼管のうち少なくとも1本の鋼管には、継手又は継手片で区画された一つの外周面である鋼管壁にのみ、前記内側地盤の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔が内向きに複数設けられ、
    他の少なくとも1本の鋼管には、継手又は継手片で区画された外周面のうち、前記内向きの通水孔の設置場所とは反対側の外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁の外側地盤に溜まった地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔が外向きに複数設けられており、
    前記内向きの通水孔、又は外向きの通水孔を備えた各鋼管の内部へ流れ込み溜まった汚染水又は地下水などを各別に汲み出す汲み出し手段が設備され、
    それぞれの汲み出し手段によって各別に汲み出された汚染水又は地下水などを送給する浄化処理施設及び/又は投棄処理施設が設備され、それぞれの施設によって必要な最終処理が行われる構成であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した発明に係る、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム。
  4. 鋼管矢板を構成する鋼管の管壁に設けた通水孔に、汚染水又は地下水など以外の土粒や石粒、その他のゴミ類が流入することを防ぐフィルター部材が設置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システム。
  5. 汚染水などが漏出・拡散等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置に、鋼管矢板の隣接するもの同士を止水構造の継手又は継手片により相互に連結した構造で地中へ一定の深まで建て入れて、平面視が閉ループ形状の止水壁を構築する段階と、
    上記鋼管矢板は、止水構造の継手又は継手片により区分された鋼管の一つの外周面部である一つの管壁にのみ、予め当該止水壁で取り囲んだ内側地盤に向かって開口し、同内側地盤中の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で通水孔を複数設けておく段階と、
    前記内側地盤から汚染水などが通水孔を通じて止水壁を構成する鋼管の内部へ流れ込み溜まった場合に、溜まった汚染水などを適時に汲み出す汲み出し手段を設備して汲み上げ、浄化処理施設へ送給し、同施設において又は必要な処理施設を増設して必要とする最終処理を行う段階とから成ることを特徴とする、汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システム工法。
  6. 鋼管矢板の建て入れは、汚染水などが漏出・拡散等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置で、先行して地中へ建て入れた鋼管矢板の一側の継手片へ、後行の鋼管矢板の該当する継手片を連結状態にして建て入れる工程を繰り返すと共に、前記継手片相互の連結部分に止水材料を充填して止水構造を完成する段階を含むことを特徴とする、上記請求項5に記載した、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム工法。
  7. 汚染水などが拡散・漏出等した地盤の汚染領域の外周位置を取り囲む配置に、地中の一定深まで到達する鋼管矢板を建て入れて止水壁を構築する段階は、
    前記鋼管矢板を、少なくとも2本組みの鋼管がその全長にわたり止水構造の継手により並列配置に接合された構成とし、且つ少なくとも1本の鋼管において前記継手又は継手片により区分された一つの外周面である鋼管壁にのみ、前記内側地盤の汚染水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で内向きの通水孔を複数設け、
    他の少なくとも1本の鋼管には前記継手又は継手片により区分された一つの外周面であって、前記内向きの通水孔の設置位置とは反対側の外周面である鋼管壁にのみ、当該止水壁の外側地盤の地下水などを鋼管内部へ取り入れて溜めることに適切な口径と配置で外向きの通水孔を複数設けた構成とし、
    上記構成の鋼管矢板を、汚染水などが拡散・漏出等した地盤の汚染領域の外周位置へ建て入れて止水壁を構築し、その内側地盤から前記内向きの通水孔を通じて汚染水などが鋼管内部へ流入して溜まり、また、外側地盤の地下水などが外向きの通水孔を通じて異なる鋼管の内部へ流入して溜まると、各鋼管内部に溜まった汚染水や地下水などを、それぞれ別異の汲み出し手段を用いて各別に汲み出し、浄化処理施設及び/又は投棄処理施設へ各別に送給して、それぞれに必要な最終処理を行う段階を含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載した、汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システム工法。
  8. 上記鋼管矢板を、地中一定の深さまで到達するように建て入れて止水壁を構築する段階は、直下の地下水脈を遮断する深さまで建て入れた止水壁を構築することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一に記載した汚染水などが拡散・漏出等した汚染地盤の遮断処理システム工法。
  9. 上記鋼管矢板を、地中一定の深さまで到達するように建て入れて止水壁を構築する段階は、鋼管矢板が地下水脈を遮断する深さまで建て入れて行うほか、同止水壁の外側地盤に滞留する地下水の弊害を防止するため、前記止水壁の位置よりも地下水脈の上流側位置に、同地下水脈を遮断する補助の止水壁を、必要な地盤範囲まで、鋼管矢板を構成する鋼管に設けた前記通水孔を、地下水脈の上流側へ向けた配置に建て入れて構築する段階を加え、
    上記補助の止水壁で遮断された地盤中に滞留する地下水は、同補助の止水壁を構成する鋼管矢板の前記通水孔を通じて鋼管内部へ取り込み、溜まった地下水は汲み出し手段を用いて適時に汲み出し、投棄処理施設などへ送給して必要な最終処理を行う段階を含むことを特徴とする、上記請求項5〜8のいずれか一に記載した、汚染水などが漏出・拡散等した汚染地盤の遮断処理システム工法。
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