JP2015084485A - 無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信制御方法 - Google Patents

無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】端末装置における通信品質の低下を抑えつつ無線エリアの縮小を行う。【解決手段】無線通信装置は、自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出部と、移動対象検出部が検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であること示す検出結果情報を送信する第1の制御部と、を備える。端末装置は、無線通信装置から検出結果情報を受信した際に、無線通信装置による無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答を行う第2の制御部を備える。第1の制御部は、端末装置からの応答に応じて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定する。【選択図】図2

Description

本発明は、無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信制御方法に関する。
無線LANの普及に伴い、アクセスポイント(AP)の無線エリアが重なる場合には、事前の置局設計における周波数の棲み分けや周波数再配置技術を適用して、各アクセスポイントが使用する周波数チャネルをずらすことにより、干渉の発生を抑えている。
図10は、周波数チャネルの割り当てにより干渉の回避がなされている一例を示す図である。同図に示す例では、6つのアクセスポイント91(91−1〜91−6)が設置されている。5つの端末装置(MT)のうち端末装置92−1及び92−2がアクセスポイント91−1と通信し、端末装置92−3がアクセスポイント91−2と通信し、端末装置92−4がアクセスポイント91−5と通信し、端末装置92−5がアクセスポイント91−6と通信している。アクセスポイント91−1、92−2、91−5及び91−6が周波数チャネルf1を使用し、アクセスポイント91−3が周波数チャネルf3を使用し、アクセスポイント91−4が周波数チャネルf2を使用している。また、同図においては、点線で示されている円は、当該円の中心に位置するアクセスポイント91の無線エリアを示している。同図に示すように、無線エリアが重なる場合には、異なる周波数チャネルを利用することにより、干渉の発生を抑えることができる。
しかし、セルラネットワークなどのように、アクセスポイントを設置する前に置局設計を行える場合と異なり、家庭内においてユーザがアクセスポイントを自由に設置する場合には、置局設計を行うことが難しく、効率的に周波数チャネルを割り当てることができないことが多い。また、集合住宅などにおいては、アクセスポイントを設置する位置の周辺に既に多数のアクセスポイントや端末装置が存在する場合があり、このような場合には同一周波数チャネルの無線エリアが重なってしまう。同一周波数チャネルの無線エリアが重なった領域に位置する端末装置では干渉によりスループットが低下してしまう。
図11は、同一周波数チャネルのアクセスポイントが増加して干渉が発生してしまう一例を示す図である。同図に示す例では、4つのアクセスポイント91(91−1〜91−4)が設置されているところにアクセスポイント91−5を設置した場合に干渉が発生することを示している。アクセスポイント91−5を設置する前では、アクセスポイント91−1〜91−4の無線エリアそれぞれは重なっておらず、各アクセスポイント91−1〜91−4は周波数チャネルf1を使用している。
この状況において、周波数チャネルf1を使用するアクセスポイント91−5が新たに設置され、無線エリアに重なる領域が生じると、無線エリアが重なる領域に位置する端末装置92−2は、アクセスポイント91−5から干渉を受けることになる。また、アクセスポイント91−5は、端末装置92−2から干渉を受けることになる。無線エリアが重なる領域に位置する端末装置92−2やアクセスポイント91−5は電波干渉によりスループットが低下してしまう。
前述のように、多数のアクセスポイントがユーザにより自由に設置される状況では、置局設計を予め行うことは困難である。また、このような状況では、周波数再配置技術を適用したとしても、アクセスポイントやアクセスポイントと通信する端末装置(MT)の数が増加すると、近接するアクセスポイントや端末装置が同じ周波数帯を利用せざるを得ない状況が生じてアクセスポイントと端末装置との間で発生してしまう。
干渉の発生頻度が高くなると、通信エラー発生確率が上昇したり、RTSとCTSのやりとりに要する時間が増加したりして無線LANのスループットが低下してしまう。周波数の棲み分けで干渉を回避することが困難になっている状況においては、干渉を回避するためには小セル化が有効である。アクセスポイントの送信電力を削減してアクセスポイントの無線エリアを縮小する小セル化を行うことにより、干渉の発生頻度を低くすることが行われている。また、電波状態が良好な地点に端末装置を誘導する技術(例えば、非特許文献1)や、端末装置の位置を制御する際の効用やコストについての検討(例えば、非特許文献2)なども行われている。
Shigeru Kaneda, Yoshikazu Akinaga, Noriteru Shinagawa, Akira Miura, and Mineo Takai, "Integrated User and Network Simulation for Traffic Control by Influencing User Behavior," PE-WASUN '05 Proceedings of the 2nd ACM international workshop on Performance evaluation of wireless ad hoc, sensor, and ubiquitous networks, ACM, 2005 寒川知生、新熊亮一、高橋達郎、「[奨励講演]モバイルサービスにおける位置制御のためのユーザ効用とユーザコストの定量的モデルとその応用例」、信学技報、MoMuC2006−53、2006年11月
しかしながら、前述の小セル化を行うと端末装置における受信電波状態(受信信号強度)が変化して通信品質が著しく低下してしまう可能性があるという問題がある。また、非特許文献1や非特許文献2などに記載の技術では、小セル化に伴う受信電波状態の変化が考慮されていない。
上記事情に鑑み、本発明は、端末装置における通信品質の低下を抑えつつ、無線エリアの縮小を行うことができる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信制御方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、無線通信装置と端末装置とを備える無線通信システムにおいて、前記無線通信装置は、自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている前記端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出部と、前記移動対象検出部が検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であることを示す検出結果情報を送信する第1の制御部と、を備え、前記端末装置は、前記無線通信装置から検出結果情報を受信した際に、前記無線通信装置による無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答を行う第2の制御部を備え、前記第1の制御部は、前記端末装置からの応答に応じて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定することを特徴とする無線通信システムである。
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムにおいて、前記第2の制御部は、前記無線通信装置による無線エリアの縮小を行った場合においても予め定めた通信品質が得られる場合には無線エリアの縮小を許諾する応答を行い、又は前記無線通信装置による無線エリアの縮小を行った場合においても自装置の移動により予め定めた通信品質が得られる場合には無線エリアの縮小を許諾する応答を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムにおいて、前記無線通信装置は、自装置の無線エリアを縮小する場合に前記移動対象検出部が検出した端末装置に対して予め定められた通信品質が得られる位置への移動を指示する位置調整情報を送信した後に、当該端末装置から得た端末情報に基づいて前記通信品質が得られるか否かを判定する位置調整部を更に備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムにおいて、前記位置調整部は、前記端末装置の受信信号強度、前記端末装置から受信する信号の周波数変化、又は、前記端末装置の時系列の端末情報に基づいて、前記位置調整情報を生成することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、無線通信装置と端末装置とを備える無線通信システムにおける無線通信装置であって、自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている前記端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出部と、前記移動対象検出部が検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であることを示す検出結果情報を生成して送信し、前記端末装置から前記検出結果情報に応じて送信される応答であって無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答に基づいて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定する制御部とを備えることを特徴とする無線通信装置である。
また、本発明の一態様は、無線通信装置と端末装置とを備える無線通信システムにおける無線通信制御方法であって、前記無線通信装置が自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている前記端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出ステップと、前記無線通信装置が前記移動対象検出ステップにおいて検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であることを示す検出結果情報を送信する検出結果通知ステップと、前記端末装置が前記無線通信装置から検出結果情報を受信した際に、前記無線通信装置による無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答を行う応答ステップと、前記無線通信装置が前記端末装置からの応答に応じて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定する決定ステップとを有することを特徴とする無線通信制御方法である。
本発明によれば、無線エリアの縮小に際して影響を受ける端末装置を事前に検出し、当該端末装置に影響があること及び通信品質を保つためには移動が必要であることを通知した上で、当該端末装置から無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答に基づいて無線エリアの縮小の実施を決定することにより、無線エリアの縮小に伴う端末装置における通信品質の低下を抑えつつ無線エリアの縮小を行うことができる。
本発明に係る第1の実施形態における無線通信システムの構成例を示す図である。 本実施形態におけるアクセスポイント1と端末装置2との構成例を示すブロック図である。 本実施形態におけるアクセスポイント1が行う送信電力削減処理を示すフローチャートである。 本実施形態における端末装置2が行う応答処理を示すフローチャートである。 本発明に係る第2の実施形態における無線通信システムの構成例を示す図である。 本実施形態におけるアクセスポイント3と端末装置2との構成例を示すブロック図である。 本実施形態におけるアクセスポイント3が行う送信電力削減処理を示す第1のフローチャートである。 本実施形態におけるアクセスポイント3が行う送信電力削減処理を示す第2のフローチャートである。 本実施形態における端末装置2が行う応答処理を示すフローチャートである。 周波数チャネルの割り当てにより干渉の回避がなされている一例を示す図である。 同一周波数チャネルのアクセスポイントが増加して干渉が発生してしまう一例を示す図である。
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態における無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信制御方法を説明する。図1は、本発明に係る第1の実施形態における無線通信システムの構成例を示す図である。同図に示すように、本実施形態における無線通信システムは、複数のアクセスポイント1(1−1〜1−5)と複数の端末装置2(2−1〜2−5)とを備えている。アクセスポイント1−1は端末装置2−1及び端末装置2−2と通信をしている。アクセスポイント1−2は端末装置2−3と通信をしている。アクセスポイント1−4は端末装置2−4と通信をしている。アクセスポイント1−5は端末装置2−5と通信をしている。また、各アクセスポイント1及び各端末装置2は周波数チャネルf1を用いている。
同図に示す例では、アクセスポイント1−3の無線エリアには他のアクセスポイント1の無線エリアと重なっている領域がある。アクセスポイント1−3の無線エリアとアクセスポイント1−1の無線エリアとが重なっている領域に端末装置2−2が位置している。このような場合、アクセスポイント1−1は自身の送信電力を削減して無線エリアを縮小する。更に、端末装置2−2がユーザ対してアクセスポイント1−1の縮小した無線エリア内に移動することを促すメッセージを出力することにより、端末装置2−2の通信品質の低下を抑える。
図2は、本実施形態におけるアクセスポイント1と端末装置2との構成例を示すブロック図である。無線通信装置としてのアクセスポイント1は、同図に示すように、無線部11、端末情報取得部12、端末情報記憶部13、制御部14、移動対象検出部15、及び、入出力部16を備えている。
無線部11は、無線通信システムにおいて用いられる規格に基づいて、入力される信号を無線信号に変換して送信し、受信した信号のうち自装置宛の信号に対して復調・復号を行い当該信号に含まれる情報を取得する。
端末情報取得部12は、無線部11が受信した信号と当該信号から取得した情報とから、自装置から当該信号を送信した端末装置2までの電波的な距離を算出するために必要な端末情報を端末装置2ごとに取得する。電波的な距離を算出するために必要な端末情報は、例えば、RSSI(受信信号強度)や自装置からの距離、GPS等を利用して得られる端末装置2の位置、SN比(又はDU比)、自装置と端末装置2との間の伝搬路情報などを含む情報であって端末装置2の受信環境を示す情報である。端末情報取得部12は、予め定められた周期又は任意のタイミングで自装置と通信をしている端末装置2それぞれの端末情報を取得する。
端末情報記憶部13には、端末情報取得部12が取得する端末情報を、端末装置2の識別子と対応付けて記憶する。
制御部14は、自装置に備えられている他の機能部(無線部11、端末情報取得部12、端末情報記憶部13、移動対象検出部15、及び、入出力部16)の動作を制御する。
移動対象検出部15は、端末情報記憶部13に記憶されている端末情報又は端末情報取得部12が取得した端末情報と無線部11における送信電力の削減量又は削減後の送信電力に基づいて、送信電力削減後における各端末装置2の受信品質を算出する。移動対象検出部15が算出する各端末装置2の受信品質としては、例えば、自装置が送信した信号のSN比、RSSIなどが用いられる。
入出力部16は、アクセスポイント1の管理や運用などをする管理者からの操作を受付、また、管理者に対して自装置の状態などを通知するためのテキストや映像、音声などを出力する。
端末装置2は、無線部21、制御部22、端末情報取得部23、及び、入出力部24を備えている。無線部21は、アクセスポイント1が備えている無線部11と同様に、無線通信システムにおいて用いられている規格に基づいて、入力される信号を無線信号に変換して送信し、受信した信号のうち自装置宛の信号に基づいて復調・復号を行い当該信号に含まれる情報を取得する。
制御部22は、自装置に備えられている他の機能部(無線部21、端末情報取得部23、及び、入出力部24)の動作を制御する。
端末情報取得部23は、自装置が通信しているアクセスポイント1との電波的な距離を算出するために必要な端末情報を取得する。端末情報は、前述のように、自装置が通信しているアクセスポイント1から受信する信号のRSSIや、GPS等を利用して得られる自装置の位置などである。端末情報取得部23は、予め定められた周期又は任意のタイミングで端末情報を取得し、無線部21を介してアクセスポイント1に取得した端末情報を送信する。
入出力部24は、端末装置2を利用しているユーザからの操作を受付、また、ユーザに対して自装置の状態などを通知するためのテキストや映像、音声などを出力する。
図3は、本実施形態におけるアクセスポイント1が行う送信電力削減処理を示すフローチャートである。アクセスポイント1において、送信電力削減処理を開始する状態が検出されると、制御部14が送信電力削減量を決定する(ステップS101)。送信電力削減処理を開始する状態とは、例えば、自装置と通信をしている端末装置2において干渉を受けている状態(SN比の低下、同一周波数の他アクセスポイントの検出など)や、管理者の操作を入出力部16が受け付けた状態である。送信電力削減量の決定は、例えば、予め定められた電力量を削減量に選択したり、管理者が入出力部16に入力する電力量を削減量に選択したり、自装置が通信している端末装置2との通信を維持できる送信電力になる削減量を選択したりする。
制御部14は、自装置が送信電力を削減して無線エリアの縮小を予定していることを示す予告情報を、無線部11を介して自装置と通信をしている端末装置2に送信することにより、無線エリアの縮小を通知する(ステップS102)。
端末情報取得部12は、予告情報に応じて端末装置2から送信された端末情報を、無線部11を介して取得し、取得した端末情報を端末情報記憶部13に記憶させる(ステップS103)。
移動対象検出部15は、ステップS101において決定された送信電力削減量と、端末情報記憶部13に記憶されている各端末装置2の端末情報とに基づいて、自装置と通信をしている端末装置2それぞれの受信品質を算出する。移動対象検出部15は、算出した受信品質に基づいて各端末装置2を移動させる必要の有無を判定して、移動が必要な端末装置2を検出する(ステップS104)。
移動対象検出部15による各端末装置2の移動の要否の判定において、端末装置2が受信する不要波(被干渉波)の電力は端末装置2の位置によらず一定であることを前提にする。この前提において、例えば、現在の端末装置2のSN比を維持する場合はすべての端末装置2に移動が必要となる。この場合は、自装置に帰属する(自装置と通信をする)端末装置2すべてを、移動が必要な端末装置2として移動対象検出部15が検出することになる。
また、各端末装置2において所定の通信品質を維持できるか否かに基づいて、端末装置2を移動させる必要の有無を判定する場合は、例えば以下のようにして端末装置2を検出する。ここで示す例ではSN比に基づいて判定を行う。端末装置2の現在の受信電力をRMiとし、アクセスポイント1における送信電力削減量をP_rdcとし、被干渉電力をIPMiとする。現在の通信ビットレートから、当該ビットレートを維持するために必要なSN比の値SNRMiを算出する。なお、通信ビットレートとSN比との対応関係を示すテーブルを移動対象検出部15に備えていてもよい。
送信電力削減後のSN比がSNRMi以上である必要があることから、次式(1)が満たされる場合に端末装置2は移動が必要となる。
(RMi−P_rdc)/IPMi<SNRMi …(1)
式(1)を整理すると次式(2)となり、端末装置2の受信電力RMiが次式(2)を満たす場合に移動対象となる。
RMi<SNRMi・IPMi+P_rdc …(2)
移動対象検出部15が移動対象の端末装置2を検出する際の条件、例えば、「無線エリアの縮小によりアクセスポイント1の無線エリア外になる」、「無線エリアの縮小によりリンク速度が低下する」などは、無線通信システムに対して予め定められた条件が用いられる。移動対象検出部15は、送信電力を削減して無線エリアを縮小した場合において予め定められた条件に該当する端末装置2を移動が必要な端末装置2として検出する。
制御部14は、移動対象検出部15の検出結果に基づいて、移動が必要な端末装置2に対しては移動が必要であることを通知する検出結果情報を、移動が必要ない端末装置2に対しては移動が必要でないことを通知する検出結果情報を、無線部11を介して各端末装置2に送信して検出結果を通知する(ステップS105)。
制御部14は、自装置と通信をしている端末装置2すべてから、無線エリアの縮小を許諾するか否かを示す可否情報を受信したか否かを判定する(ステップS106)。すべての端末装置2から可否情報を受信していた場合(ステップS106:YES)、制御部14は処理をステップS108に進める。一方、すべての端末装置2から可否情報をしていない場合(ステップS106:NO)、制御部14は処理をステップS107に進める。
制御部14は、検出結果を各端末装置2に通知してから所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS107)。所定期間が経過している場合(ステップS107:YES)、制御部14は処理をステップS108に進める。一方、所定期間が経過していない場合(ステップS107:NO)、制御部14は処理をステップS106に戻し、所定期間が経過するか又はすべての端末装置2から可否情報を受信するまで待機する。なお、所定期間は、端末装置2それぞれに検出結果を通知した後に、端末装置2のユーザが無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答を行うまでに要する時間や、端末装置2の移動に要する時間などに基づいて定められる期間である。
制御部14は、受信した可否情報において無線エリアの縮小を拒否する可否情報が含まれているか否か、すなわち無線エリアの縮小を拒否する端末装置2(ユーザ)が存在するか否かを判定する(ステップS108)。無線エリアの縮小を拒否する端末装置2が存在する場合(ステップS108:YES)、制御部14は、無線エリアの縮小を行わない旨の処理結果を含む通知情報を、無線部11を介して各端末装置2に送信して結果を通知するとともに、通知情報を入出力部16に出力して管理者に対して通知し(ステップS111)、送信電力削減処理を終了させる。
一方、無線エリアの縮小を拒否する端末装置2が存在しない場合(ステップS108:NO)、制御部14は、ステップS101において決定した送信電力削減量にて送信電力を削減させる制御を無線部11に対して行う(ステップS109)。
端末情報取得部12は、自装置と通信をしている各端末装置2の端末情報を取得して、端末情報記憶部13に記憶されている端末情報を更新する(ステップS110)。
制御部14は、無線エリアの縮小を行った旨の処理結果を含む通知情報を、無線部11を介して各端末装置2に送信して結果を通知するとともに、通知情報を入出力部16に出力して管理者に対して通知し(ステップS111)、送信電力削減処理を終了させる。
図4は、本実施形態における端末装置2が行う応答処理を示すフローチャートである。端末装置2が行う応答処理は、アクセスポイント1が行う送信電力削減処理に対する応答として行う処理である。端末装置2において、自装置が通信しているアクセスポイント1から予告情報を無線部21が受信すると、制御部22は応答処理を開始させる。応答処理を開始すると、端末情報取得部23は、自装置の端末情報を取得し、無線部21を介してアクセスポイント1に取得した端末情報を送信する(ステップS201)。
アクセスポイント1から無線部21が検出結果情報を受信すると、制御部22は受信した検出結果情報を入出力部24に出力してユーザに自装置が移動する必要があるか否かを通知し(ステップS202)、入出力部24が無線エリアの縮小を許諾するか否か選択を受け付ける(ステップS203)。
制御部22は、入出力部24が受け付けた、無線エリアの縮小を許諾するか否かの選択を示す可否情報を生成し、無線部21を介してアクセスポイント1に生成した可否情報を送信する(ステップS204)。
制御部22は、無線部21が受信した通知情報を、入出力部24に出力してユーザに対して無線エリアの縮小が行われたか否かを示す情報を通知し(ステップS205)、応答処理を終了させる。
以上説明したように、本実施形態における無線通信システムによれば、アクセスポイント1の無線エリアの縮小を行う際に、無線エリアの縮小によって一定以上の影響を受ける端末装置2を無線エリアの縮小を行う前に検出し、各端末装置2に一定以上の影響が生じるか否かを通知する。また、一定以上の影響が生じる端末装置2に対しては、通信品質を保つための移動を促して通信品質の低下を抑えることができる。また、無線エリアの縮小に際して、各端末装置2に対して無線エリアの縮小を許諾するか否かを問い合わせ、問い合わせ結果に応じて無線エリアの縮小を行うか否かを決定することにより、端末装置2における通信品質の低下を抑えることができる。また、無線エリアの縮小に伴い端末装置2が移動する場合には、当該端末装置2が他のアクセスポイント1の無線エリアに対して与える干渉が低減される。
なお、本実施形態において、アクセスポイント1が各端末装置2に送信する検出結果情報に、移動対象検出部15において算出される無線エリア縮小後の通信品質を含めるようにしてもよい。これにより、端末装置2のユーザは、無線エリア縮小により受ける影響に基づいて無線エリアの縮小を許諾するか否かの選択を行うことができ、ユーザの利用状況に応じた選択を行うことができる。
また、本実施形態において、無線エリアの縮小を拒否する端末装置2が存在する場合には無線エリアの縮小を行わないとする送信電力削減処理を説明したが、アクセスポイント1と通信をしている端末装置2のうち所定の割合以上の端末装置2が無線エリアの縮小を許諾した場合には無線エリアの縮小を行うようにしてもよい。
また、本実施形態において、移動対象検出部15は端末情報記憶部13に記憶されている端末情報を用いて移動対象となる端末装置2を検出する動作を説明したが、端末情報取得部12が取得した端末情報を用いるようにしてもよい。
[第2の実施形態]
図5は、本発明に係る第2の実施形態における無線通信システムの構成例を示す図である。同図に示すように、本実施形態における無線通信システムは、複数のアクセスポイント3(3−1〜3−5)と複数の端末装置2(2−1〜2−2)とを備えている。アクセスポイント3−1は端末装置2−1及び端末装置2−2と通信をしている。アクセスポイント3−2は端末装置2−3と通信をしている。アクセスポイント3−4は端末装置2−4と通信をしている。アクセスポイント3−5は端末装置2−5と通信をしている。また、各アクセスポイント3及び各端末装置2は周波数チャネルf1を用いている。
同図に示す例では、アクセスポイント3−3の無線エリアには他のアクセスポイント3の無線エリアと重なっている領域がある。このような場合、例えば、アクセスポイント3−1は、自装置の無線エリアを縮小してアクセスポイント3−3の無線エリアに位置する端末装置2に対して与える干渉を低減させる。このとき、アクセスポイント3−1は、自装置と通信をしている端末装置2(自装置に帰属している端末装置2)に対して、縮小した無線エリア内において通信品質の低下を軽減できる位置への移動を促す情報を提供する。移動を促す情報を提供することにより、無線エリアの縮小を行った際における端末装置2の通信品質の低下を抑える。移動を促す情報は、端末装置2の受信信号強度の履歴や現在の受信信号強度、端末装置2の移動に伴って生じるドップラー効果による信号の周波数変化などに基づいて生成する。
図6は、本実施形態におけるアクセスポイント3と端末装置2との構成例を示すブロック図である。無線通信装置としてのアクセスポイント3は、同図に示すように、無線部11、端末情報取得部12、端末情報記憶部33、制御部14、移動対象検出部15、入出力部16、及び、位置調整部37を備えている。なお、本実施形態におけるアクセスポイント3において、第1の実施形態におけるアクセスポイント1と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。また、端末装置2は第1の実施形態における端末装置2と同じ構成である。
端末情報記憶部33は、端末装置2の識別子と、端末情報取得部12が取得する端末情報と、当該端末情報を取得した時刻とを対応付けて記憶する。換言すると、端末情報記憶部33は、各端末装置2の端末情報を時系列で記憶する。
位置調整部37は、自装置の無線エリアを縮小する際に、自装置と通信をしている端末装置2に対して通信品質を維持できる位置、又は通信品質の低下を軽減できる位置を算出する。位置調整部37により算出された位置を示す位置情報は、無線部11を介して端末装置2に送信される。
図7と図8とは、本実施形態におけるアクセスポイント3が行う送信電力削減処理を示すフローチャートである。アクセスポイント3において、送信電力削減処理を開始する状態が検出されると、制御部14が送信電力削減量を決定する(ステップS301)。なお、送信電力削減量の決定手法は、第1の実施形態と同様である。
制御部14は、自装置が送信電力を削減して無線エリアの縮小を予定していることを示す予告情報を、無線部11を介して自装置と通信をしている端末装置2に送信することにより、無線エリアの縮小を通知する(ステップS302)。
端末情報取得部12は、予告情報に応じて端末装置2から送信された端末情報を、無線部11を介して取得し、取得した端末情報を端末情報記憶部33に記憶させる(ステップS303)。
移動対象検出部15は、ステップS301において決定された送信電力削減量と、端末情報記憶部33に記憶されている各端末装置2の端末情報とに基づいて、自装置と通信をしている端末装置2それぞれの受信品質を算出する。移動対象検出部15は、算出した受信品質に基づいて各端末装置2を移動させる必要の有無を判定して、移動が必要な端末装置2を検出する(ステップS304)。なお、移動対象検出部15による各端末装置2の移動の要否の判定は、第1の実施形態と同様である。
位置調整部37は、端末情報記憶部33に記憶されている各端末装置2の最新の端末情報に基づいて、移動対象検出部15が検出した移動の必要な端末装置2ごとに移動先を選定する際の条件を算出する(ステップS305)。位置調整部37による条件の算出は、例えば、以下のように行われる。前提として、第1の実施形態と同様に、端末装置2が受信する不要波(被干渉波)の電力は端末装置2の位置によらず一定であるとする。
各端末装置2において現在のSN比を維持する場合の条件は、現在の端末装置2の受信電力値RPMiと送信電力削減後の端末装置2が移動した先での受信電力値RMvMiが一定であればよいので、ステップS301において決定された送信電力削減量P_rdcを用いて次式(3)で表される。
RMvMi ≧ RPMi−P_rdc+L(pos_mv)
−L(pos_org) …(3)
式(3)におけるpos_mvは端末装置2の移動先の位置であり、pos_orgは端末装置2の移動前の位置(処理開始時の位置)であり、L(pos)は位置posにおける伝搬損失(距離減衰)である。式(3)は以下のようにして得られる。受信電力は次式(4)で得られる。
(受信電力:RSSI)=(送信電力)+(定数)+(伝搬損失)…(4)
処理開始時におけるRSSI(R_org)と移動後におけるRSSI(R_mv)とは次式(5)と次式(6)とで得られる。
R_org=P_org+A+L(pos_org) …(5)
R_mv =(P_org−P_rdc)+A+L(pos_mv) …(6)
式(5)及び式(6)における、P_orgは処理開始時(送信電力削減前)における送信電力であり、Aはアンテナ利得やケーブル損失等の定数である。送信電力削減の前後において現在のSN比を維持する場合には、次式(7)を満たす必要がある。
R_mv≧R_org …(7)
式(5)〜式(7)より次式(8)が得られる。
(P_org−P_rdc)+A+L(pos_mv)≧
P_org+A+L(pos_org) …(8)
式(8)を変形すると次式(9)が得られる。
L(pos_mv)≧L(pos_org)+P_rdc …(9)
位置調整部37は、各端末装置2の移動先の条件として式(9)を満たす位置をpos_mvの候補として算出することができる。なお、現在のビットレートを維持するための指標としてSN比が与えられる場合、式(3)におけるRPMiに代えてSNRMi・IPMiを用いるようにしてもよい。また、位置調整部37は、端末情報記憶部33に記憶されている各端末装置2に対する時系列の端末情報に基づいて、式(9)を満たす端末装置2の位置を移動先候補情報として生成する。
制御部14は、移動対象検出部15の検出結果と、位置調整部37が生成した移動先候補情報とを含む検出結果情報を、無線部11を介して各端末装置2に送信して検出結果を通知する(ステップS306)。
制御部14は、検出結果を各端末装置2に通知してから所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS307)。所定期間が経過している場合(ステップS307:YES)、制御部14は無線エリアの縮小を中止し(ステップS308)、処理をステップS312に進める。一方、所定期間が経過していない場合(ステップS307:NO)、制御部14は、自装置と通信をしている端末装置2すべてから許諾情報を受信したか否かを判定する(ステップS309)。なお、本実施形態における所定期間は、端末装置2それぞれに検出結果を通知した後に、移動が必要な端末装置2が移動に要する時間などに基づいて定められる期間である。
すべての端末装置2から許諾情報を受信していない場合(ステップS309:NO)、制御部14は処理をステップS321(図8)に進める。一方、すべての端末装置2から許諾情報を受信している場合(ステップS309:YES)、制御部14は、ステップS301において決定した送信電力削減量にて送信電力を削減させる制御を無線部11に対して行う(ステップS310)。
制御部14は、無線エリアを縮小したか否かの処理結果を含む通知情報を、無線部11を介して各端末装置2に送信して結果を通知するとともに、通知情報を入出力部16に出力して管理者に対して通知する(ステップS311)。
端末情報取得部12は、自装置と通信をしている各端末装置2の端末情報を取得して、端末情報記憶部33に記憶させて端末情報を更新し(ステップS312)、送信電力削減処理を終了させる。
ステップS309において、すべての端末装置2から許諾情報を受信していない場合(ステップS309:NO)、制御部14は、以下に説明するステップS321からステップS325までの各処理を、移動が必要な端末装置2ごとに行わせる。また、制御部14は、移動が必要な端末装置2すべてに条件適合の通知が行われると、処理をステップS307に戻す。
端末情報取得部12は、移動が必要な端末装置2の端末情報を取得する(ステップS321)。
位置調整部37は、ステップS321において取得した端末情報に基づいて、端末装置2がステップS305において算出された条件を満たす位置に存在するか否かを判定する(ステップS322)。条件を満たす位置に端末装置2が存在する場合(ステップS322:YES)、位置調整部37は、端末装置2に対して現在の位置が条件に適合していることを示す条件適合情報を、無線部11を介して当該端末装置2に送信することにより、条件適合を通知する(ステップS325)。
条件を満たす位置に端末装置2が存在しない場合(ステップS322:NO)、位置調整部37は、ステップS321において取得した端末情報や、端末装置2から受信する信号のドップラー効果による周波数変化などから、端末装置2が移動先とすべき位置や移動すべき方向を算出する(ステップS323)。位置調整部37は、算出した端末装置2が移動先とすべき位置又は移動すべき方向を示す位置調整情報と、端末装置2の現在の位置が条件に適合していないことを示す条件不適合情報を、無線部11を介して当該端末装置2に送信することにより、条件不適合を通知し(ステップS324)、処理をステップS321に戻す。位置調整情報は端末装置2に対する移動を促す情報である。
位置調整部37による端末装置2が移動先とすべき位置の算出は、例えば、以下のようにしてもよい。位置調整部37は、端末情報などに基づいて、自装置に対する端末装置2の位置を取得する。端末装置2の位置や自装置の位置はGPS等を利用して取得する。位置調整部37は、伝搬損失に基づいて端末装置2の移動先における受信電力の推定値を算出する。例えば、自由空間伝搬であれば伝搬損失L(pos)=−(4πd/λ)であるため、式(3)の不等式は次のように変形できる。
L(pos_mv)≧L(pos_org)+P_rdc …(10)
d(pos_mv)≦√((4πd(pos_org)/λ)−P_rdc)
…(11)
式(11)におけるd(pos)はアクセスポイント3から端末装置2までの距離を示す。式(11)により得られる位置の条件に基づいて、アクセスポイント3を基準としたときの端末装置2の位置を極座標(ri,θi)としたときに、(d(pos_mv),θi)を端末装置2の誘導先座標(移動先とすべき位置)として設定する。なお、誘導先座標の位置が移動不可能な位置である場合には、式(11)を満たす別の値、例えば(d(pos_mv)*0.9,θi)を誘導先座標として設定するようにしてもよい。また、端末装置2に対する位置調整情報として、XY座標やGPS座標などが必要になる場合には適宜変換して設定するようにしてもよい。
また、位置調整部37は、端末情報記憶部33に記憶されている端末情報に基づいて、端末装置2が過去に誘導先座標に位置していたことがあることを検出した場合、誘導先座標に位置していた時期又は時刻を位置調整情報に含めるようにしてもよい。また、端末情報におけるRSSIなどの時間変化に基づいて、端末装置2の移動が受信品質を高める方向であるか否かを判定し、判定結果に基づいて当該移動が条件を満たす位置に近づいているか否かを示す簡易的な情報を位置調整情報としてもよい。
図9は、本実施形態における端末装置2が行う応答処理を示すフローチャートである。端末装置2が行う応答処理は、アクセスポイント3が行う送信電力削減処理に対する応答として行う処理である。端末装置2において、自装置が通信しているアクセスポイント3から予告情報を無線部21が受信すると、制御部22は応答処理を開始させる。応答処理を開始すると、端末情報取得部23は、自装置の端末情報を取得し、無線部21を介してアクセスポイント3に取得した端末情報を送信する(ステップS401)。
アクセスポイント3から無線部21が検出結果情報を受信すると、制御部22は受信した検出結果情報を入出力部24に出力してユーザに自装置が移動する必要があるか否かを通知する(ステップS402)。
制御部22は、受信した検出結果情報に基づいて、自装置が移動する必要があるか否かを判定し(ステップS403)、移動の必要がない場合(ステップS403:NO)、処理をステップS410に進める。
移動の必要がある場合(ステップS403:YES)、制御部22は自装置のユーザに対して通信保証を受けるか否かの選択を促すメッセージを入出力部24に出力し、入出力部24がユーザの選択を受け付ける。通信保証とは、現在の通信品質の維持、又は予め定められた通信品質以上を得られるように端末装置2を移動させる誘導を受けることである。
通信保証を受けないことが選択された場合(ステップS404:NO)、制御部22は処理をステップS410に進める。
通信保証を受けることが選択された場合(ステップS404:YES)、制御部22は入出力部24に自装置の移動を促すメッセージと移動先候補情報とを出力させ(ステップS405)、移動が完了すると端末情報取得部23は、自装置の端末情報を取得し、無線部21を介してアクセスポイント3に取得した端末情報を送信する(ステップS406)。
ステップS406において送信した端末情報の返信としてアクセスポイント3から受信した信号が条件適合情報である場合(ステップS407:YES)、制御部22は無線エリアの縮小に伴う自装置の位置の改善が完了したことを示すメッセージを入出力部24に出力して、ユーザに通知する(ステップS409)。
制御部22は、自装置が条件を満たす位置に移動した後に、無線部21を介して許諾情報をアクセスポイント3に送信する(ステップS410)。
制御部22は、無線部21がアクセスポイント3から通知情報を受信すると、通知情報を入出力部24に出力してユーザに対して、無線エリアの縮小が行われたか否かの処理結果を通知し(ステップS411)、応答処理を終了させる。
一方、ステップS406において送信した端末情報の返信としてアクセスポイント3から受信した信号が条件不適合情報である場合(ステップS407:NO)、制御部22は、受信した条件不適合情報に含まれる位置調整情報を入出力部24に出力し、自装置の移動先又は移動方向を示す情報をユーザに提示する(ステップS408)。制御部22は、位置調整情報をユーザに提示することにより、自装置の通信品質の低下を抑制する位置への自装置の移動を促し、処理をステップS406に戻す。
以上説明したように、本実施形態における無線通信システムによれば、アクセスポイント3の無線エリアの縮小を行う際に、無線エリアの縮小によって一定以上の影響を受ける端末装置2を無線エリアの縮小を行う前に検出し、当該端末装置2に情報を提供することにより移動を促す。アクセスポイント3は、無線エリアの縮小を行った場合においても現在と同程度の通信品質を得られる位置や所定の通信品質を維持できる位置への移動を促す位置調整情報を端末装置2に対して提供する。これにより、端末装置2のユーザは、アクセスポイント3から提供される位置調整情報に基づいて、端末装置2を移動させることにより通信品質の低下を抑えることができる位置への移動を容易に行うことができる。
なお、本実施形態において、位置調整部37は、自装置の無線エリアにおける各位置と受信電力との対応関係を予め測定した結果を示す受信電力マップを備え、受信電力マップに基づいて、通信品質を維持できる位置へ誘導する位置調整情報を生成するようにしてもよい。
なお、各実施形態におけるアクセスポイントにおいて、干渉波の受信電力がCSMA/CAの検出閾値以下になる端末装置2の位置を推定し、当該位置が無線エリアに含まれる範囲において送信電力削減量を決定するようにしてもよい。
また、各実施形態におけるアクセスポイントは一つの装置として構成する場合について説明したが、複数の装置として構成して各装置がネットワークを介して互いに通信することにより、前述の送信電力削減処理を実行するようにしてもよい。例えば、無線LANにおけるアクセスポイントとしての機能を無線通信装置に備え、端末情報取得部、端末情報記憶部、移動対象検出部、位置調整部を備えたサーバ装置を設けるようにしてもよい。この場合、無線通信装置とサーバ装置とがネットワークを介して通信することにより、送信電力削減処理を実行して無線エリアの縮小を行う。
また、各実施形態では、アクセスポイントが送信電力削減処理を開始する状態の検出を行う構成について説明したが、端末装置2が送信電力削減処理の開始をアクセスポイントに対して要求するようにしてもよい。この場合、端末装置2の要求に応じて、アクセスポイントは送信電力削減処理を開始することになる。また、送信電力削減処理の開始を端末装置2が要求した場合、アクセスポイントは当該端末装置2が無線エリアの境界に位置するように送信電力削減量を決定するようにしてもよい。
また、各実施形態において、各端末装置2が受ける干渉波の干渉源が不明である場合、送信電力削減量を、送信電力削減後のSN比が許容できる値となるように決定してもよい。例えば、アクセスポイントは、予告情報を各端末装置2に送信して移動を促し、各端末装置2が移動した位置において受ける干渉波の受信電力と許容できるSN比及びアクセスポイント−端末装置間の伝搬損失とに基づいて送信電力削減量を決定するようにしてもよい。このとき、許容できるSN比は、各端末装置2に対して共通の値を用いてもよいし、端末装置2ごとに異なる値を用いてもよい。また、端末装置2が予告情報を受信したときのSN比を許容できるSN比として用いることにより、端末装置2の移動前後においてSN比が変化しないようにしてもよい。
上述した実施形態におけるアクセスポイント1やアクセスポイント3をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1、1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、3、3−1、3−2、3−3、3−4、3−5…アクセスポイント
2、2−1、2−2、2−3、2−4、2−5…端末装置
11、21…無線部
12、23…端末情報取得部
13、33…端末情報記憶部
14、22…制御部
15…移動対象検出部
16、24…入出力部
37…位置調整部
91、91−1、91−2、91−3、91−4、91−5、91−6…アクセスポイント
92−1、92−2、92−3、92−4、92−5…端末装置

Claims (6)

  1. 無線通信装置と端末装置とを備える無線通信システムにおいて、
    前記無線通信装置は、
    自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている前記端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出部と、
    前記移動対象検出部が検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であることを示す検出結果情報を送信する第1の制御部と、を備え、
    前記端末装置は、
    前記無線通信装置から検出結果情報を受信した際に、前記無線通信装置による無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答を行う第2の制御部を備え、
    前記第1の制御部は、
    前記端末装置からの応答に応じて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定する
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
    前記第2の制御部は、
    前記無線通信装置による無線エリアの縮小を行った場合においても予め定めた通信品質が得られる場合には無線エリアの縮小を許諾する応答を行い、又は前記無線通信装置による無線エリアの縮小を行った場合においても自装置の移動により予め定めた通信品質が得られる場合には無線エリアの縮小を許諾する応答を行う
    ことを特徴とする無線通信システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
    前記無線通信装置は、
    自装置の無線エリアを縮小する場合に前記移動対象検出部が検出した端末装置に対して予め定められた通信品質が得られる位置への移動を指示する位置調整情報を送信した後に、当該端末装置から得た端末情報に基づいて前記通信品質が得られるか否かを判定する位置調整部を更に備える
    ことを特徴とする無線通信システム。
  4. 請求項3に記載の無線通信システムにおいて、
    前記位置調整部は、
    前記端末装置の受信信号強度、前記端末装置から受信する信号の周波数変化、又は、前記端末装置の時系列の端末情報に基づいて、前記位置調整情報を生成する
    ことを特徴とする無線通信システム。
  5. 無線通信装置と端末装置とを備える無線通信システムにおける無線通信装置であって、
    自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている前記端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出部と、
    前記移動対象検出部が検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であることを示す検出結果情報を生成して送信し、前記端末装置から前記検出結果情報に応じて送信される応答であって無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答に基づいて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定する制御部と
    を備えることを特徴とする無線通信装置。
  6. 無線通信装置と端末装置とを備える無線通信システムにおける無線通信制御方法であって、
    前記無線通信装置が自装置の無線エリアを縮小する際における送信電力削減量と、自装置と通信をしている前記端末装置の受信環境を示す端末情報とに基づいて、無線エリアを縮小した場合に一定以上の影響を受ける端末装置を検出する移動対象検出ステップと、
    前記無線通信装置が前記移動対象検出ステップにおいて検出した端末装置に対して無線エリアの縮小に際して通信品質の低下を抑えるために移動が必要であることを示す検出結果情報を送信する検出結果通知ステップと、
    前記端末装置が前記無線通信装置から検出結果情報を受信した際に、前記無線通信装置による無線エリアの縮小を許諾するか否かの応答を行う応答ステップと、
    前記無線通信装置が前記端末装置からの応答に応じて無線エリアの縮小を実施するか否かを決定する決定ステップと
    を有することを特徴とする無線通信制御方法。
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