JP2015083865A - 回転慣性質量ダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】回転慣性質量ダンパの負担する制限荷重の安定化を図ることが可能な回転慣性質量ダンパを提供する。【解決手段】構造物に固定される第一連結部及び第二連結部と、前記構造物の振動に伴い生じる各連結部間の相対変位を回転運動に変換するねじ変換機構と、前記ねじ変換機構によって生成された回転運動が伝達される慣性質量要素としての回転筒と、作動油が充填されたシリンダ及び当該シリンダ内を二つの圧力室に分割するピストンを有し、前記圧力室内の作動油の油圧を介して前記第一連結部とねじ変換機構との間で軸方向荷重を伝達する軸力制限機構と、を備えている。前記軸力制限機構は、いずれか一方の圧力室内における作動油の圧力が制限値を超えた場合に開放されて前記シリンダに対する前記ピストンの移動を許容するリリーフ弁を有し、かかるリリーフ弁が開放されると前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位の一部が当該軸力制限機構で吸収される。【選択図】 図1

Description

本発明は、構造物に作用する振動に伴って生じる二つの部位間の相対変位を回転運動に変換し、かかる回転運動を錘である質量体に伝達して、当該質量体に生じる回転慣性質量効果を利用して前記構造物の振動を抑制する回転慣性質量ダンパに関する。
地震動による構造物の損傷を防止する制振構造として、かかる地震動に伴う構造物への入力エネルギを当該構造物内に配置したダンパによって吸収させるものがあり、この用途で使用されるダンパとしては特許文献1に開示される回転慣性質量ダンパが知られている。
この回転慣性質量ダンパは、構造物の別々の部位に生じる相対振動を錘の回転運動に変換し、かかる錘の回転運動によって生じた慣性質量効果を前記構造物に反力として作用させることによって、前記構造物に対する地震動の入力エネルギの消費を図るものである。前記構造物の相対振動を回転運動に変換する機構としては、ねじ軸及びこれに螺合するナット部材からなるねじ変換機構が用いられている。構造物の相対振動を前記ねじ軸の軸方向振動としてダンパに入力すると、ねじ変換機構が相対振動を回転運動に変換する際の増幅効果で、前記錘の実際の質量の1000倍程度の慣性質量効果を得ることができる。
また、特許文献1に開示される回転慣性質量ダンパでは、前記ナット部材が摩擦板を介して前記錘に接続されており、慣性質量効果を生じた錘から前記ナット部材に対して所定以上の回転トルクが伝達される場合には、前記摩擦板が滑ることによって前記ナット部材に伝達されるトルクの上限値が制限されるようになっている。これは、地震時に想定を超える過大な相対加速度が回転慣性質量ダンパに作用し、それに伴って過大な反力を生じた場合に、かかる反力からダンパと構造物との接合部や前記ねじ変換機構を保護するためである。
特開2011−144831号公報
特許文献1の回転慣性質量ダンバでは、前記錘と前記ナット部材との間に介装された摩擦板の発生する摩擦力に依存して、当該回転慣性質量ダンパの負担する荷重の上限値、すなわち制限荷重が設定される。しかし、前記摩擦板の摩擦係数には速度依存性、温度依存性があることから、前記制限荷重の安定性に課題がある。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、回転慣性質量ダンパの負担する制限荷重の安定化を図ることが可能な回転慣性質量ダンパを提供することにある。
本発明の回転慣性質量ダンパは、構造物を含む系内の別々の部位に固定される第一連結部及び第二連結部と、前記構造物の振動に伴い生じる前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位を回転運動に変換するねじ変換機構と、前記ねじ変換機構によって生成された回転運動が伝達される慣性質量要素としての回転筒と、作動油が充填されたシリンダ及び当該シリンダ内を二つの圧力室に分割するピストンを有し、前記圧力室内の作動油の油圧を介して前記第一連結部とねじ変換機構との間で軸方向荷重を伝達する軸力制限機構と、を備えている。前記軸力制限機構は、いずれか一方の圧力室内における作動油の圧力が制限値を超えた場合に開放されて前記シリンダに対する前記ピストンの移動を許容するリリーフ弁を有し、かかるリリーフ弁が開放されることにより前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位の一部が当該軸力制限機構で吸収されるように構成されている。
前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位に伴い、前記軸力制限機構のピストンとシリンダとの間に軸方向荷重が作用し、圧力室内の作動油の圧力が制限値を超えた場合には、前記リリーフ弁の働きにより、シリンダ内における前記ピストンの軸方向への移動が許容され、前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位の一部が当該軸力制限機構で吸収されるので、前記ねじ変換機構によって回転筒に与えられる回転加速度が減じられる。すなわち、前記シリンダ内の作動油の圧力のみに依存して回転慣性質量ダンパの負担する制限荷重が決定されている。これにより、本発明の回転慣性質量ダンパによれば、当該ダンパが負担する軸方向荷重の制限値の安定化を図ることが可能となる。
本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第一実施形態を示す断面図である。 リリーフ弁の一例を示す断面図である。 本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第二実施形態を示す断面図である。 本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第三実施形態を示す断面図である。 本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第四実施形態を示す断面図である。 本発明の回転慣性質量ダンパに適用する軸受機構の変形例を示す断面図である。 区画壁に設けられた各種通路を模式的に示す図である。 図6に示す軸受機構の変形例において、リリーフ弁が開放された際の回転筒の変位動作を示す説明図である。 図6に示す軸受機構の変形例において、地震動等の収束後における回転筒の初期位置への復帰動作を説明する図である。 本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第五実施形態を示す断面図である。 本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第六実施形態を示す断面図である。 図11に示す回転慣性質量ダンパが備える軸力制限機構の拡大図である。
以下、本発明の回転慣性質量ダンパについて具体的に説明する。
本発明の回転慣性質量ダンパは、ビルディング、塔、橋梁等の構造物を含む系内の別々の部位に固定される第一連結部と第二連結部とを備えている。構造物を含む系とは、当該構造物が固定された基礎地盤を含む意であり、例えば構造物の内部に回転慣性質量ダンパが配置されている場合の外、前記第一連結部は構造物に、第二連結部は基礎地盤に固定される場合を含む。
前記構造物が振動すると、当該構造物を含む系の別々の部位に固定された前記第一連結部と第二連結部との間には一軸方向の相対変位が生じることになり、本発明の回転慣性質量ダンパはこの相対変位をねじ変換機構によって回転運動に変換し、その回転運動を回転筒に伝達する。
前記回転筒は前記第一連結部や第二連結部に対して回転自在に保持されている。かかる回転筒は質量を有することから、前記ねじ変換機構によって回転運動を与えられると慣性質量効果を発揮する。当該慣性質量効果は前記第一連結部と第二連結部の相対振動に対して反力として作用し、前記構造物に入力された振動を減少させることができる。前記回転筒がより大きな慣性質量効果を発揮するためには、かかる回転筒の外径は可及的に大きい方が好適である。
前記ねじ変換機構は、螺旋状の雄ねじが形成されたねじ軸と、このねじ軸に螺合するナット部材とから構成される。例えば、ナット部材に対してねじ軸を軸方向へ進退させると、かかる軸方向運動がナット部材の回転運動に変換され、又はねじ軸に対してナット部材を軸方向へ進退させると、かかる軸方向運動がねじ軸の回転運動に変換される。このとき、ねじ軸のリードを適切に設定することにより、第一連結部と第二連結部との間の軸方向変位を増幅して回転運動に変換することができ、回転筒の質量が小さい場合でも大きな慣性質量を得ることができる。前記ねじ変換機構は、前記ねじ軸とナット部材が直接摺接した滑りねじであっても良いが、回転運動への変換効率を高めるため、両者の間にボールが介在するボールねじを使用するのが好ましい。
一方、前記第一連結部とねじ変換機構の間には軸力制限機構が設けられている。この軸力制限機構は、前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位に伴う軸方向荷重を負荷し、前記第一連結部の軸方向変位を前記ねじ変換機構に伝達する。これにより、ねじ変換機構のナット部材とねじ軸との間に軸方向変位が生じ、かかる軸方向変位が前記回転筒の回転運動に変換される。
前記軸力制限機構は、作動油が満たされたシリンダと、当該シリンダ内を二つの圧力室に分割するピストンとを備えている。かかる軸力制限機構は前記圧力室内の作動油が発揮する圧力によって軸方向荷重を負荷しており、シリンダに対してピストンが変位しない状態では、前記ねじ変換機構によって前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位の総てが回転運動に変換されている。
また、各圧力室には、当該圧力室内における作動油の圧力が所定の制限値を超えた場合に、当該圧力室から作動油を流出させるリリーフ弁が設けられている。一方の圧力室内の作動油が前記ピストンに押圧されて、その圧力が所定の制限値を超えると、前記リリーフ弁が開いて作動油が流出し、当該圧力室内の作動油の圧力が制限値に保持される。その結果、リリーフ弁が動作すると、前記ピストンがシリンダ内を軸方向へ移動することになる。このことは、前記ねじ変換機構に作用する軸方向荷重が制限荷重を超えた場合に、前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位量の一部は回転運動に変換されることなく、そのまま第一連結部に対するねじ変換機構の軸方向移動量になることを意味する。
すなわち、前記リリーフ弁が動作することにより、回転慣性質量ダンパが負担する軸方向荷重を頭打ちにすることができ、過大な軸方向の入力が当該ダンパに作用した場合であっても、ダンパそれ自体を保護することが可能となる。
前記リリーフ弁が動作する作動油の圧力は任意に設定することができ、例えば、慣性質量を生じた回転筒がねじ変換機構に及ぼすトルクから当該ねじ変換機構を保護する観点、あるいは回転慣性質量ダンパが構造物に及ぼす反力から前記第一連結部及び第二連結部を保護する観点等に基づいて設定することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明を適用した回転慣性質量ダンパの複数の実施形態を説明する。
図1は本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第一実施形態を示す断面図である。
この第一実施形態の回転慣性質量ダンパは、長手方向の両端に位置する第一連結部1及び第二連結部2と、軸力制限機構8を介して前記第一連結部1に接続された中空状の固定筒3と、前記第二連結部2に接続されたねじ軸4と、このねじ軸4に螺合して当該ねじ軸4と相まってねじ変換機構を構成するナット部材5と、前記固定筒3の外側に設けられると共に前記ナット部材5に固定された回転筒6と、この回転筒6の周囲に設けられると共に当該回転筒6と一緒に回転する付加錘7と、を備えている。
前記第一連結部1は円盤状に形成されており、複数本のボルトを用いて構造物や基礎地盤に固定される。円盤状に形成された第一連結部1の中心には球面軸受10を介して連結軸11の一端が接続されており、かかる連結軸11は前記球面軸受10の揺動範囲で第一連結部1に対して自在に傾斜することができる。但し、回転慣性質量ダンパの発生するトルクでは摩擦により回転しないことを前提とする。
また、前記第二連結部2も第一連結部1と同様に形成されており、かかる第二連結部2の中心には球面軸受10を介して前記ねじ軸4の一端が接続されている。また、このねじ軸4には多数のボールを介してナット部材5が螺合しており、ねじ軸4とナット部材5が組み合わさることでボールねじ装置を構成している。
一方、前記回転筒6は前記固定筒3に対してその半径方向に重ねて配置されており、前記固定筒3の外周面と回転筒6の内周面との間には回転軸受100が設けられている。この回転軸受100は固定筒3と回転筒6との間に作用する半径方向荷重及び軸方向荷重の双方を負荷しており、例えばクロスローラ軸受等が用いられる。従って、前記回転筒6は前記固定筒3から作用する軸方向荷重を前記ナット部材5に伝達しつつ、当該固定筒3の周囲を自在に回転することができる。
また、前記付加錘7は所謂フライホイールであり、前記回転軸受100によって前記固定筒3の周囲で回転自在に保持されている。この付加錘7は前記ナット部材5に回転が生じると、当該ナット部材5及び回転筒6と一緒に回転し、これらが一体となって慣性質量効果を発揮する。また、前記付加錘7と固定筒3との間にはシリコンオイル等の粘性流体を充填した作用室7aが設けられており、前記固定筒3に対する付加錘7の回転に応じ、当該付加錘に対して粘性流体から剪断抵抗力が作用するように構成されている。
更に、前記連結軸11に対して固定筒3を接続する軸力制限機構8は作動油が充填されたシリンダ8aと当該シリンダ内を移動するピストン8bとから構成されている。前記連結軸11は前記固定筒3の中心に位置しており、かかる固定筒3には中心に貫通孔の開いた2枚の円板3a,3bが固定されている。これら円板3a,3bは当該固定筒3の軸方向に距離をおいて存在し、各円板3a,3bの中心に設けられた貫通孔には前記連結軸11が挿通されている。また、各円板3a,3bの貫通孔の内周面にはオイルシールが設けられており、前記オイルシールは前記連結軸11の外周面に摺接している。これにより、前記連結軸11と固定筒3との間には一対の円板3a,3bによって密閉されたシリンダ8aが存在し、このシリンダ8aには作動油が充填されている。
前記連結軸11には円盤状のピストン8bが設けられており、かかるピストン8bは前記固定筒3に固定された一対の円板3a,3bの間に位置している。また、連結軸11は前記ピストン8bの中心を貫通し固定されている。前記ピストン8bの外周面にはオイルシールが設けられており、このオイルシールは固定筒3の内周面に摺接している。すなわち、作動油が充填された前記シリンダ8aは前記ピストン8bによって二つの圧力室15に分割されており、作動油は各圧力室15に密閉された状態となっている。前記ピストン8bは固定筒3に対して軸方向へ移動自在である。但し、前記ピストン8bがシリンダ8aを二つの圧力室15に二分し、且つ、各圧力室15には作動油が密閉されているので、固定筒3に対するピストン8bの軸方向への移動は各圧力室15内における作動油の圧力に応じて制限されることになる。尚、前記固定筒3の内周面には当該固定筒3に対するピストン8bの回転を防止する突条が設けられており、前記ピストン8bはこの突条と噛み合うことにより、前記シリンダ8a内を回転することなく軸方向へ移動自在である。
前記ピストン8bには二つの圧力室15を連通する移送路62が設けられると共に、かかる移送路62には前記圧力室15の内圧に応じて当該移送路62を開放するリリーフ弁が設けられている。すなわち、この第一実施形態では前記ピストン8bを挟んで作動油が往来する単一の油圧系が存在することになる。いずれか一方の圧力室15の内圧がリリーフ弁に設定された制限値を超えない場合、かかるリリーフ弁は閉じており、前記ピストン8bによって区画された二つの圧力室15の間における作動油の往来はない。また、圧力室15の内圧がリリーフ弁に設定された制限値を超えると、かかるリリーフ弁は移送路62を開放するので、内圧が高い側の圧力室15から低い側の圧力室15に向けて作動油が流動することになる。
図2は前記移送路62とリリーフ弁63の一例を示すものである。前記移送路62はその途中にテーパ管路を有しており、前記リリーフ弁63は移送路62のテーパ管路を塞ぐ円錐状に形成されると共に、弾性部材64によって前記テーパ管路の小径部に向けて付勢されている。前記弾性部材64の発揮する付勢力がリリーフ弁63の開放圧力、すなわち圧力室15における作動油の圧力の制限値(上限値)を決定している。尚、前記ピストン8bの外周面にはオイルシール65が設けられており、かかるオイルシール65はピストン8bと固定筒3との隙間を密閉している。
このため、リリーフ弁63が弾性部材64の付勢力によってテーパ管路に押し込まれている状態では、前記移送路62は閉塞されており、前記作動油が移送路62を通じて一方の圧力室15から他方の圧力室15に移動することはない。また、圧力室15における作動油の内圧がリリーフ弁63に設定された制限値を超えると、かかるリリーフ弁63は弾性部材64の付勢力に抗してテーパ管路から後退し、作動油は前記移送路62を通じて内圧の高い圧力室15から内圧の低い圧力室15へ流動することになる。尚、この形式のリリーフ弁63は一方向にのみ動作することから、前記ピストン8bには動作方向の互いに異なる一対の移送路62及びリリーフ弁63が一組として設けられている。
次に、この第一実施形態の回転慣性質量ダンパの動作について説明する。
例えば地震によって構造物が変形し、かかる構造物の別々の部位に固定されていた前記第一連結部1と第二連結部2との間に相対振動が生じると、この相対振動によって第二連結部2に接続されているねじ軸4が軸方向へ押し引きされることになる。ねじ軸4に作用する軸方向荷重は前記ナット部材5を介して回転筒6に伝達され、更に回転軸受100を介して固定筒3に伝達される。
この際、前記固定筒3に設けられた円板3a,3bは前記シリンダ8aに充填されている作動油を押圧し、前述の相対振動の加速度方向に応じ、ピストン8bによって二分された一対の圧力室15の作動油はその圧力が交互に高まることになる。このとき、前記リリーフ弁63が閉塞されている状態では、前記ピストン8bはシリンダ8a内を軸方向へ移動することができず、当該ピストン8bと一対の円板3a,3bの位置関係は変化することなく保たれるので、固定筒3は連結軸11に対して軸方向に変位することはない。すなわち、各圧力室15の作動油は前記ねじ軸4に作用する軸方向荷重の大きさに応じた反力を固定筒3及び回転筒6を介してナット部材5に及ぼすことになる。
このため、前記第一連結部1と第二連結部2との間の相対振動に伴ってねじ軸4が軸方向へ押し引きされると、当該ねじ軸4に螺合するナット部材5が回転を生じ、その回転はナット部材5に固定された回転筒6及び前記付加錘7に伝達される。従って、前記第一連結部1と第二連結部2との間の相対振動は、ねじ軸4及びナット部材5で構成されるねじ変換機構によって固定筒3の周囲の回転振動に変換され、この回転振動が慣性質量要素としての前記回転筒6及び付加錘7に伝達される。そして、かかる回転に伴い、回転筒6及び付加錘7では慣性質量効果が生じ、かかる慣性質量効果は相対振動の加速度方向の変化に対し反力として作用する。これにより、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動を減少させることができる。
また、固定筒3に対して付加錘7が回転すると、前記作用室7aに密閉された粘性流体はその粘性により付加錘7の回転に対して剪断抵抗力を及ぼす。この剪断抵抗力の大きさは粘性流体の組成や前記作用室7aの軸方向長さ、あるいは前記作用室7aにおける粘性流体の剪断隙間などを適宜選定することにより、任意に調整することが可能である。従って、この第一実施形態の回転慣性質量ダンパでは、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動に対して、慣性質量効果による慣性力と粘性流体による減衰力の双方を並列的に及ぼすことができ、当該相対振動を効果的に減少させることができる。
一方、想定外の巨大地震等により、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動の加速度が過大となった場合には、ねじ軸4から回転筒6及び固定筒3に作用する軸方向荷重も過大なものとなる。この際、固定筒3の円板3a,3bのいずれか一方が圧力室15内の作動油を押圧し、作動油の圧力がリリーフ弁63に設定された開放圧力を上回ると、移送路62を通じて高圧の作動油が他方の圧力室15、すなわち低圧側の圧力室15に流動する。これにより、ピストン8bが形成された連結軸11は固定筒3に対して軸方向へ移動することになる。また、相対振動の加速度方向が変化すると、一対の圧力室15に満たされた作動油の低圧/高圧の関係が逆転し、依然として作動油の圧力がリリーフ弁63の開放圧力を上回るのであれば、ピストン8bはシリンダ8a内を先程とは逆方向へ移動することになる。
従って、前記第一連結部1と第二連結部2との間に過大な加速度の相対振動が作用するのであれば、前記軸力制限機構8は軸方向荷重を制限荷重の範囲で負担しながら連結軸11に対する固定筒3の軸方向への変位を許容するので、かかる固定筒3の軸方向変位の分だけ、入力された相対振動の回転振動への変換を減じることができる。通常、前記回転筒6及び付加錘7で発生する慣性質量効果の増加は、前記第一連結部1と第二連結部2との間に入力される相対振動の加速度に依存しているが、このダンパでは前記リリーフ弁63に設定された開放圧力に応じて、慣性質量効果の増加に臨界値が存在し、加振時にダンパが構造物に対して及ぼす反力に上限を設けることができる。また、この上限はリリーフ弁63に設定された開放圧力にのみ依存しているので、極めて安定したものとすることができる。
図3は本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第二実施形態を示す断面図である。
前述の第一実施形態の回転慣性質量ダンパでは、連結軸11と固定筒3との間に前記軸力制限機構8を設けていたが、この第二実施形態では固定筒3と回転筒6との間に軸力制限機構9を設け、かかる軸力制限機構9が固定筒3に対して回転筒6の回転を支承する回転軸受として機能している。すなわち、前記軸力制限機構9は作動油を用いた流体軸受の如く機能し、作動油の発揮する圧力で固定筒3に対する回転筒6の回転を支承している。このため、第一実施形態で固定筒3と回転筒6との間に設けていた回転軸受100は不要となり、部品点数の減少による生産コストの低下、装置の小型化を図ることができる。以下に第二実施形態の回転慣性質量ダンパを具体的に説明するが、第一実施形態と機能作用が共通する構成については説明を省略し、図3中に第一実施形態と同一の符号を付すことにする。
前記連結軸11はその一端が前記第一連結部1に対して球面軸受10を介して固定される一方、他端は固定筒3に対して固定されている。前記固定筒3の外周面には周方向に沿って一対の区画壁30が形成されている。これら区画壁30は軸方向に距離をおいて存在し、各区画壁30の外周面にはオイルシールが設けられている。これらオイルシールは前記回転筒6の内周面に摺接している。従って、固定筒3と回転筒6との間には一対の区画壁30によって密閉されたシリンダ9aが存在し、このシリンダ9aには作動油が充填されている。
また、前記回転筒6の内周面には周方向に沿ってピストン9bが突出しており、かかるピストン9bは前記固定筒3に形成された一対の区画壁30の間に位置している。前記ピストン9bの先端にはオイルシールが設けられており、このオイルシールは固定筒3の外周面に摺接している。すなわち、作動油が充填された前記シリンダ9aは前記ピストン9bによって二つの圧力室61に分割されており、作動油は各圧力室61に密閉された状態となっている。前述の如く、回転筒6はシリンダ9aに満たされた作動油の圧力で固定筒3に対して保持されており、かかる回転筒6は固定筒3に対して軸方向へ移動自在である。但し、前記回転筒6のピストン9bが円筒状空間を二つの圧力室61に二分し、且つ、各圧力室61には作動油が密閉されているので、固定筒3に対する回転筒6の軸方向への移動は各圧力室61内における作動油の圧力に応じて制限されることになる。
前述の第一実施形態と同様に、前記ピストン9bには二つの圧力室61を連通する移送路62が設けられると共に、かかる移送路には前記圧力室61の内圧に応じて当該移送路62を開放するリリーフ弁63が設けられている。このリリーフ弁63の構造については図2を用いて説明した第一実施形態のそれと同じである。
次に、この第二実施形態の回転慣性質量ダンパの動作について説明する。
前記第一連結部1と第二連結部2との間に相対振動が生じると、この相対振動によって第二連結部2に接続されているねじ軸4が軸方向へ押し引きされることになる。ねじ軸4に作用する軸方向荷重は前記ナット部材5を介して回転筒6に伝達される。
この際、回転筒6に設けられたピストン9bはシリンダ9aに充填されている作動油を押圧し、前述の相対振動の加速度方向に応じ、ピストン9bによって二分された一対の圧力室61の作動油はその圧力が交互に高まることになる。前記リリーフ弁63が閉塞されている状態では、前記ピストン9bはシリンダ9a内を軸方向へ移動することができず、各圧力室61の作動油は前記ねじ軸4に作用する軸方向荷重の大きさに応じた反力を回転筒6及びこれに固定されたナット部材5に及ぼす。
このため、前記第一連結部1と第二連結部2との間の相対振動に伴ってねじ軸4が軸方向へ押し引きされると、当該ねじ軸4に螺合するナット部材5が回転を生じ、その回転はナット部材5に固定された回転筒6及び前記付加錘7に伝達される。このとき、いずれかの圧力室61に満たされた作動油はピストン9bに作用する軸方向荷重によって高圧になっているので、回転筒6は作動油の圧力によって固定筒3の周囲に均等に保持されることになり、その回転が固定筒3に対して支承される。
すなわち、この実施形態の回転慣性質量ダンパでは、作動油が満たされた一対の圧力室61がスラスト軸受及びラジアル軸受の如く機能し、固定筒3に対する回転筒6の回転を支承する。従って、前記第一連結部1と第二連結部2との間に相対振動が作用すると、かかる相対振動がねじ軸4及びナット部材5で構成されるねじ変換機構によって固定筒3の周囲の回転振動に変換され、この回転振動が慣性質量要素としての前記回転筒6及び付加錘7に伝達される。そして、かかる回転に伴い、回転筒6及び付加錘7では慣性質量効果が生じ、かかる慣性質量効果は相対振動の加速度方向の変化に対し反力として作用する。これにより、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動を減少させることができる。
また、前記回転筒6が固定筒3に対して回転すると、各圧力室61に密閉された作動油はその粘性により回転筒6の回転に対して剪断抵抗力を及ぼす。この剪断抵抗力の大きさは作動油の組成や前記シリンダの軸方向長さなどを適宜選定することにより、任意に調整することが可能である。従って、作動油を用いた前述の軸力制限機構は粘性減衰機構としても機能しており、この点においても前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動を効果的に減少させることができる。
尚、前記軸力制限機構が発揮する粘性減衰力が不足する場合には、前述の第一実施形態と同様に、当該軸力制限機構とは別に、粘性流体を封入した作用室を前記固定筒と回転筒との間に設けても良い。
また、第一実施形態と同様に、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動の加速度が過大となり、いずれか一方の圧力室における作動油の圧力がリリーフ弁63に設定された開放圧力を上回ると、高圧の作動油が移送路62を通じて低圧側の圧力室61に流動し、前記ピストン9bを有する回転筒6は固定筒3に対して軸方向へ移動することになる。従って、前記第一連結部1と第二連結部2との間に過大な加速度の相対振動が作用するのであれば、前記固定筒3と回転筒6との間に設けられた軸力制限機構9は、軸方向荷重を制限荷重の範囲で負担しながら固定筒3に対する回転筒6の軸方向への変位を許容し、かかる回転筒6の軸方向変位の分だけ、入力された相対振動の回転振動への変換を減じる。これにより、加振時にダンパが構造物に対して及ぼす反力に上限を設けることができ、その上限はリリーフ弁63に設定された開放圧力にのみ依存して極めて安定したものとなる。
図4は本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第三実施形態を示す断面図である。
この第三実施形態の回転慣性質量ダンパは、前述の第二実施形態のダンパに対し、固定筒3と回転筒6との関係が逆転している。すなわち、固定筒3の内径は回転筒6の外径よりも大きく形成され、固定筒3が回転筒6の周囲に配置されている。また、付加錘7は回転筒6に固定された状態で固定筒3の内部に収容されており、回転筒6が固定筒3に対して回転を生じた際に、付加錘7も回転筒6と一緒に回転する。これ以外の構成は前述した第二実施形態の回転慣性質量ダンパと同一なので、それらの構成については図4中に第二実施形態と同一の符号を付し、ここではその説明は省略する。
そして、この第三実施形態の回転慣性質量ダンパも第二実施形態の回転慣性質量ダンパと同様に動作し、作動油を満たしたシリンダ9aと及びその内部を移動するピストン9bからなる軸力制限機構9が固定筒3に対して回転筒6の回転を支承する回転軸受として機能している。但し、回転筒6及び付加錘7が固定筒3の内側に配置されているので、仮にダンパの外径が同じであれば、動作時に発生する慣性質量効果は第二実施形態の回転慣性質量ダンパに比べて小さくなり、その分だけ入力振動に対する反力も小さくなる。
図5は本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第四実施形態を示す断面図である。
この第四実施形態の回転慣性質量ダンパは、前述の第二実施形態のダンパの構造を簡易にし、部品点数の減少を図ったものである。この実施形態では、前述の如く固定筒3と回転筒6との間に軸力制限機構9を設けるのではなく、第一連結部1に接続された軸部材12と回転筒6との間に当該軸力制限機構9を設け、それによって前記固定筒3を省略し、装置全体の小型化、低コスト化を図っている。
円盤状に形成された第一連結部1の中心には球面軸受10を介して軸部材12の一端が接続されている。この軸部材12は第二実施形態の固定筒3に代わるものであり、回転筒6の回転中心をなしている。ナット部材5に固定された回転筒6には中心に貫通孔の開いた2枚の円板13が固定されている。これら円板13は軸方向に距離をおいて存在し、各円板13の中心に設けられた貫通孔には前記軸部材12が挿通されている。また、各円板13の貫通孔の内周面にはオイルシールが設けられており、前記オイルシールは前記軸部材12の外周面に摺接している。これにより、前記軸部材12と回転筒6との間には一対の円板13によって密閉されたシリンダ90aが存在し、このシリンダ90aには第二実施形態と同様に作動油が充填されている。
また、前記軸部材12には円盤状のピストン90bが設けられており、かかるピストン90bは前記回転筒6に固定された一対の円板13の間に位置している。また、軸部材12は前記ピストン90bの中心を貫通し固定されている。前記ピストン90bの外周面にはオイルシールが設けられており、このオイルシールは回転筒6の内周面に摺接している。すなわち、第二実施形態と同様に、作動油が充填された前記シリンダ90aは前記ピストン90bによって二つの圧力室91に分割されており、作動油は各圧力室91に密閉された状態となっている。
そして、この第四実施形態においても、前記ピストン90bには二つの圧力室91を連通する移送路62が設けられると共に、かかる移送路62には前記圧力室91の内圧に応じて当該移送路62を開放するリリーフ弁63が設けられている。リリーフ弁63の構造は図2を用いて説明したものと同じである。
このように構成された第四実施形態の回転慣性質量ダンパにおいても、作動油が満たされた一対の圧力室91がスラスト軸受及びラジアル軸受の如く機能し、第一連結部1に接続された軸部材12に対して回転筒6の回転を支承する。これにより、回転筒6の回転に伴い発生した慣性質量効果を入力された相対振動に対して反力して作用させ、相対振動の制振効果を高めることができる。
また、想定外の巨大地震等により、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動の加速度が過大となった場合には、軸力制限機構9が軸方向荷重を制限荷重の範囲内で負担しながら前記軸部材12に対する回転筒6の軸方向への変位を許容するので、加振時にダンパが構造物に対して及ぼす反力に上限を設けることができる。
また、この第四実施形態の回転慣性質量ダンパは、第二実施形態のそれと比べて簡易な構造であり、当該ダンパの小型化、生産コストの低減に有効である。
次に、前記軸力制限機構8,9の変形例について図6〜図9を用いながら説明する。
既に説明してきた第一乃至第四実施形態の回転慣性質量ダンパにおける軸力制限機構では、ピストンを挟んで位置する一対の圧力室が移送路62で連結されて単一の油圧系を構成しており、当該ダンパに作用する軸方向荷重が過大なものとなった場合は、一方の圧力室から他方の圧力室に対して作動油が流動するように構成していた。しかし、図6に示す軸力制限機構101では、ピストン102の両側に互いに独立した2系統の油圧系を設け、当該ダンパに作用する軸方向荷重が過大なものとなった場合は、その軸方向荷重の向きに応じていずかれ一方の油圧系が動作し、他方の油圧系がそれに追随するように構成した。
各油圧系においては、圧力室103の隣に区画壁104を挟んでリザーブ室105を設けており、ダンパに作用する軸方向荷重が過大なものとなった場合は、各圧力室103からこれに隣接するリザーブ室105に対して作動油が流動するように構成している。このため、各圧力室103とこれに対応するリザーブ室105を仕切る区画壁104には移送路62及びリリーフ弁63が設けられている。
また、各リザーブ室105には弾性部材106で付勢された加圧板107が設けられており、作動油の温度上昇による体積膨張や前記移送路62を介して圧力室103からリザーブ室105に排出された作動油の容量に応じて前記加圧板107が固定筒3の軸方向へ移動し、当該リザーブ室105の容積が変化するようになっている。また、前記加圧板107は弾性部材106の付勢力に応じてリザーブ室105に収容された作動油を押圧している。すなわち、これら加圧板107及び弾性部材106は作動油の予圧機構を構成しており、回転筒6に対して何ら軸方向荷重が作用していない状態では、前記圧力室103内の作動油の圧力はこの予圧機構によって与えられている。
前記区画壁104には圧力室103内の作動油をリザーブ室105に流動させる移送路62の外、リザーブ室105内の作動油を圧力室103に吸い込む吸引路34が設けられている。図7は前記区画壁104に形成された各通路62,34を模式的に示した図である。前記区画壁104には移送路62が設けられ、この移送路62にはリリーフ弁63が取り付けられている。前記リリーフ弁63は前記圧力室103内の作動油の圧力が制限値を超えた場合に開放され、それに伴って圧力室103内の作動油が前記移送路62を通じてリザーブ室105に流動するようになっている。また、前記区画壁104には前述の吸引路34が設けられ、この吸引路34には逆止弁35が取り付けられている。この逆止弁35は前記リザーフ室105の作動油の圧力が圧力室103のそれよりも高い場合のみ開放され、それに伴ってリザーブ室105内の作動油が前記吸引路34を通じて圧力室103に流動するようになっている。加えて、この逆止弁35は作動油が吸引路34内を圧力室103からリザーブ室105へ逆流するのを防止している。
更に、前記区画壁104には移送路62及び吸引路34の外に、前記圧力室103とリザーブ室105を連通する復帰路36が設けられている。この復帰路36には何ら弁は設けられていないが、当該復帰路36の断面積は前記移送路62や吸引路34に比べて十分に小さく形成されている。この復帰路36は、本発明の回転慣性質量ダンパに対して何ら軸方向荷重が作用していない状態で、ピストン102の両側に位置する一対の圧力室103の容積を均等にするために使用される。
この軸力制限機構101の動作について説明する。
前述の第一乃至第四実施形態と同様に、前記リリーフ弁63が閉塞されている状態では、回転筒6に対して軸方向荷重が作用したとしても、当該回転筒6に設けられたピストン102は円筒状空間内を軸方向へ移動することができず、回転筒6は固定筒3に対して軸方向に変位することはない。このため、前記第一連結部1と第二連結部2との間の相対振動に伴ってねじ軸4が軸方向へ押し引きされると、当該ねじ軸4に螺合するナット部材5が回転を生じ、その回転はナット部材5に固定された回転筒6に伝達される。
一方、ねじ軸4から回転筒6に作用する軸方向荷重によって、図8に示すように、回転筒6が固定筒3に対して矢線X方向に押圧されると、ピストン102の押圧方向に位置する圧力室103A内の作動油の圧力が高まってくる。矢線X方向への軸方向荷重が過大なものとなり、前記圧力室103A内の作動油の圧力がリリーフ弁63に設定された開放圧力を上回ると、図8中に黒矢印で示すように、移送路62を通じて高圧の作動油が圧力室103Aからこれに隣接するリザーブ室105Aに流動する。これにより、ピストン102が形成された回転筒6は固定筒3に対して軸方向(矢線X方向)へ移動することになる。また、リザーブ室105A内の作動油の圧力も上昇し、加圧板107は弾性部材106を押し退けて後退し、リザーブ室105Aの容積が拡大する。
このとき、ピストン102を挟んで圧力室103Aと隣接する圧力室103Bではその容積が拡大し、当該圧力室103B内の作動油の圧力が負圧となるので、図8中に白抜き矢印で示すように、リザーブ室105B内の作動油が前記吸引路34を通じて圧力室103Bに流動する。これに伴い、リザーブ室105B内の加圧板107は弾性部材106の付勢力で前進し、リザーブ室105Bの容積が減少する。
また、相対振動の加速度方向が変化すると、一対の圧力室103A,103Bに満たされた作動油の低圧/高圧の関係が逆転し、依然として作動油の圧力がリリーフ弁63の開放圧力を上回るのであれば、ピストン102は円筒状空間内を先程とは逆方向へ移動し、圧力室103B内の作動油は移送路を通じてリザーブ室105Bに流入し、リザーブ室105A内の作動油は吸引路34を通じて圧力室105Aに流入することになる。
従って、この軸受機構においても、前記第一連結部1と第二連結部2との間に過大な加速度の相対振動が作用するのであれば、回転筒6は軸方向荷重を制限荷重の範囲内で負担しながら固定筒3に対して軸方向へ変位し、かかる回転筒6の軸方向変位の分だけ、入力された相対振動の回転振動への変換を減じることができる。
一方、過大な軸方向荷重によって回転筒6が固定筒3の軸方向へ変位を生じた後、この回転慣性質量ダンパに作用する相対振動が収まると、前記リリーフ弁63及び逆止弁35が閉塞した状態となるので、圧力室103Aと103Bの容積に差が生じ、固定筒3に対する回転筒6の変位が残留してしまう場合がある。この場合、相対振動の収束後、各リザーブ室105A,105Bに設けられた加圧板107が弾性部材106の付勢力によって当該リザーブ室105A,105B内の作動油を加圧し、その圧力はリザーブ室105A,105Bで均等になる。このため、図9に白抜き矢印で示すように、各圧力室103A,103Bとこれに隣接するリザーブ室105A,105Bとの間では弁が設けられていない復帰路36を通じて長い時間をかけて徐々に作動油が流動し、最終的には圧力室103A,103B内の油圧が均等になり、ピストン102が一対の区画壁104の中央位置に復帰する。これにより、想定外の巨大地震への対応として、回転筒6が固定筒3の軸方向に変位を生じた場合であっても、当該地震の収束後には回転筒6を自動的に当初の位置へ復帰させることが可能となる。
尚、前記復帰路36はその断面積を前記移送路62や吸引路34の断面積よりも極めて微小なものとし、かかる復帰路36に弁機構を設けないようにしても良いが、移送路62や吸引路34と同程度の断面積とし、地震等の収束後に手動で開放可能な弁を設けるようにしても良い。
また、以上説明してきた軸力制限機構の変形例は、本発明を適用した前述の第一乃至第四実施形態の総ての慣性質量ダンパに適用可能である。
次に、図10を用いて本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第五実施形態を説明する。
この第五実施形態の回転慣性質量ダンパは、前述の第四実施形態のダンパの構造を変更したものであり、所謂ボールねじ装置を利用して回転筒の回転量を増幅させ、もって相対振動の制振効果を高めたものである。このため、第四実施形態に係る回転慣性質量ダンパと同一の構成については同一の符号を付し、ここではその説明は省略する。この第五実施形態では、第一連結部1に接続された軸部材12と回転筒6との間に前記軸力制限機構900を設けているが、この軸力制限機構900がボールねじ装置として構成されている。
すなわち、前記軸部材12の外周面には螺旋状のねじ溝が形成され、この軸部材12にはピストン900bが螺合している。この軸部材12のねじ溝は螺旋状に形成されており、このねじ溝のリードは前記ねじ軸4に形成されたねじ溝のそれよりも小さく設定されている。ここで、リードとは軸部材12が一回転した際に軸部材12が軸方向へ進行する距離であり、換言すれば、軸部材12の一回転によってピストン900bが軸方向へ送られる距離である。また、この軸部材12と回転筒6との間には一対の円板13によって密閉されたシリンダ900aが存在し、このシリンダ900aには作動油が充填されている。
前記ピストン900bは前記回転筒6に固定された一対の円板13の間に位置している。このピストン900bの外周面にはオイルシールが設けられており、このオイルシールは回転筒6の内周面に摺接している。すなわち、第四実施形態と同様に、作動油が充填された前記シリンダ900aは前記ピストン900bによって二つの圧力室910に分割されており、作動油は各圧力室910に密閉された状態となっている。
また、前記ピストン900bには二つの圧力室910を連通する移送路62が設けられると共に、かかる移送路62には前記圧力室910の内圧に応じて当該移送路62を開放するリリーフ弁63が設けられている。リリーフ弁63の構造は図2を用いて説明したものと同じである。
更に、前記ピストン900bには円筒状のナット部材901bが固定されている。このナット部材901bの内周面には前記軸部材12のねじ溝に対向するナット部材側ねじ溝が形成されている。このナット部材901bにより前記ピストン900bは前記軸部材12に螺合し、所謂ボールねじ装置を構成している。前記回転筒6の内周面には当該回転筒6に対するピストン900bの回転を防止する案内レール902bが設けられ、前記ピストン900bはこの案内レール902bにより、前記シリンダ900a内を回転することなく軸方向へ移動することが可能となっている。
また、本実施形態の回転慣性質量ダンパには、二つの圧力室910を繋ぐ連通管108が設けられている。この連通管108は復帰手段109によって二つに分割されている。この復帰手段109は例えば歯車ポンプとして構成されており、一方の圧力室910内に設けられた作動油は連通管108及び復帰手段109内を通過して他方の圧力室910内へと移動できるようになっている。
このように構成された本実施形態の回転慣性質量ダンパでは、前記第一連結部1と第二連結部2との間に相対振動が生じ、これに伴ってねじ軸4が回転筒6に対して軸方向へ押し込まれると、当該ねじ軸4に螺合するナット部材5が回転を生じ、その回転はナット部材5に固定された回転筒6に伝達される。このとき、前記軸部材12は前記回転筒6の回転に対応して当該回転筒6から繰り出されるようになっている。その一方で、前記ねじ軸4が回転筒6に対して軸方向へ引き出されると、前記軸部材12は前記回転筒6に対して引き込まれるようになっている。
そして、前記ねじ軸4が軸方向へ押し引きされることにより、回転筒6に設けられたピストン900bはシリンダ900aに充填されている作動油を押圧し、前述の相対振動の加速度方向に応じ、ピストン900bによって二分された一対の圧力室910の作動油はその圧力が交互に高まることになる。前記リリーフ弁63が閉塞されている状態では、前記ピストン900bはシリンダ900a内を軸方向へ移動することができず、各圧力室910の作動油は前記ねじ軸4に作用する軸方向荷重の大きさに応じた反力を回転筒6及びこれに固定されたナット部材5に及ぼす。
ここで、本実施形態の回転慣性質量ダンパでは、前記軸部材12に形成されたねじ溝のリードは前記ねじ軸4に形成されたねじ溝のそれよりも小さく設定されている。このため、例えばねじ軸4が距離L1だけ回転筒6に対して押し込まれ、これに対応して回転筒6が回転すると、前記軸部材12は回転筒6の回転により距離L1よりも短い距離L2だけ回転筒6から繰り出される。つまり、前記軸部材12とピストン900bがボールねじ装置の構成をなしている分、前記第一連結部1と第二連結部2の間の回転慣性質量ダンパの相対変位量は距離L1から距離L2を引いた長さとなる。このため、前記第一連結部1と第二連結部2の間を距離L1分だけ縮めようとすると、ボールねじ装置の構成を有しない第一乃至第四実施形態に係る回転慣性質量ダンパに比べ、前記回転筒6の回転量が増加する。換言すると、本実施形態に係る回転慣性質量ダンパによれば、前記第一連結部1と第二連結部2との間に相対振動が生じた際、他の回転慣性質量ダンパに比べて前記回転筒6の慣性質量効果を上げることが可能となる。これにより、前記第一連結部1と第二連結部2との間に作用する相対振動をより減少させることができる。
一方、本実施形態に係る回転慣性質量ダンパに作用する相対振動が収まると、前記リリーフ弁63が閉塞した状態となるので、回転筒6に対するピストン900bの変位が残留してしまう場合がある。この場合、前記歯車ポンプ109を作動させることにより圧力室910内の油圧が均等となり、ピストン900bが圧力室910の中央位置に復帰することが可能となっている。尚、本実施形態に係る回転慣性質量ダンパでは、復帰手段109が歯車ポンプの構成をなしているが、前述の相対振動が収まった際、ピストン900bを圧力室910の中央位置に復帰することができるものであれば、他の手段を用いても差し支えない。
次に、図11及び図12を用いて本発明を適用した回転慣性質量ダンパの第六実施形態を説明する。
この第六実施形態に係る回転慣性質量ダンパは、第五実施形態に係る回転慣性質量ダンパと同様にボールねじ装置を利用して回転筒の回転量を増幅させ、もって相対振動の制振効果を高めたものである一方、その軸力制限機構は、図6乃至図9で説明してきた軸力制限機構と類似するものである。このため、第五実施形態に係る回転慣性質量ダンパと同一の構成については同一の符号を付し、ここではその説明は省略する。
本実施形態の軸力制限機構では、ピストン900bの両側に互いに独立した2系統の油圧系を設け、当該ダンパに作用する軸方向荷重が過大なものとなった場合は、その軸方向荷重の向きに応じていずれか一方の油圧系が動作し、他方の油圧系がそれに追随するように構成されている。
すなわち、作動油が充填された前記シリンダ900aは前記ピストン900bによって二つの圧力室910に分割されている。そして、各圧力室910の隣には、区画壁104を挟んでリザーブ室105が設けられている。前記区画壁104は円板状に形成され、各区画壁104の中心に設けられた貫通孔には前記軸部材12が挿通されている。また、各区画壁104の貫通孔の内周面にはオイルシールが設けられており、前記オイルシールは前記軸部材12の外周面に摺接している。更に、各区画壁104には移送路62及びリリーフ弁63が設けられている。これによりダンパに作用する軸方向荷重が過大なものとなった場合は、各圧力室910からこれに隣接するリザーブ室105に対して作動油が流動するように構成されている。前記リリーフ弁63の構造は図2を用いて説明したものと同じである。
また、各区画壁104にはリザーブ室105内の作動油を圧力室910に吸い込む吸引路34が設けられている。この吸引路34には逆止弁35が取り付けられている。これら吸引路34及び逆止弁35の構造は図7を用いて説明したものと同じである。更に、前記回転筒6には、前記圧力室910とリザーブ室105を連通する復帰路136が設けられている。この復帰路136は、本実施形態の回転慣性質量ダンパに対して何ら軸方向荷重が作用していない状態で、ピストン900bの両側に位置する一対の圧力室910の容積を均等にするために使用される。
一方、前記リザーブ室105は、前記構成からなる区画壁104と、中心に貫通孔の開いた円板107と、によって区画されている。前記円板107の中心に設けられた貫通孔には前記軸部材12が挿通されている。この円板107は前記軸部材12と共に前記回転筒6の軸方向に移動自在に取り付けられている。更に円板107の外周面にはオイルシールが設けられ、このオイルシールは前記回転筒6の内周面に摺接している。これにより、前記リザーブ室105内には作動油が充填されるようになっている。
また、前記円板107と区画壁104との間には弾性部材106が設けられ、前記区画壁104はこの弾性部材106により付勢されている。これにより、作動油の温度上昇による体積膨張等に応じて前記円板107が回転筒6の軸方向へ移動し、当該リザーブ室105の容積が変化するようになっている。
このように構成された本実施形態に係る回転慣性質量ダンパでは、前述の第四実施形態と同様に、前記リリーフ弁63が閉塞されている状態では、回転筒6に対して軸方向荷重が作用したとしても、前記ピストン900bは円筒状空間内を軸方向へ移動することができない。このため、前記第一連結部1と第二連結部2との間の相対振動に伴ってねじ軸4が軸方向へ押し引きされると、当該ねじ軸4に螺合するナット部材5が回転を生じ、その回転はナット部材5に固定された回転筒6に伝達される。
一方、ねじ軸4からピストン900bに作用する軸方向荷重によって、ピストン900bが回転筒6に対して矢線Y方向に押圧されると、矢線Y方向に位置する圧力室910A内の作動油の圧力が高まってくる。矢線Y方向への軸方向荷重が過大なものとなり、前記圧力室910A内の作動油の圧力がリリーフ弁63に設定された開放圧力を上回ると、移送路62を通じて高圧の作動油が圧力室910Aからこれに隣接するリザーブ室105Aに流動する。これにより、ピストン900bが係合された回転筒6は矢線Y方向へ移動することになる。また、矢線Y方向に位置する円板107Aは弾性部材106の付勢力に抗して後退し、リザーブ室105Aの容積が拡大する。
このとき、ピストン900bを挟んで圧力室910Aと隣接する圧力室910Bではその容積が拡大し、当該圧力室910B内の作動油の圧力が負圧となる。その一方で、前記ピストン900bの軸方向移動に伴ってリザーブ室105Bを区画する円板107Bが矢線Y方向へと移動する。その結果、リザーブ室105B内の作動油の圧力が逆止弁35に設定された開放圧力を上回ると、高圧の作動油が前記吸引路34を通じてリザーブ室105Bから圧力室910Bに流動する。これに伴い、前記円板107Bは弾性部材106の付勢力により前進し、リザーブ室105Bの容積が減少する。
また、相対振動の加速度方向が変化すると、一対の圧力室910A,910Bに満たされた作動油の低圧/高圧の関係が逆転し、依然として作動油の圧力がリリーフ弁63の開放圧力を上回るのであれば、ピストン900bは円筒状空間内を先程とは逆方向へ移動し、圧力室910B内の作動油は移送路を通じてリザーブ室105Bに流入し、リザーブ室105A内の作動油は吸引路34を通じて圧力室910Aに流入することになる。
従って、この軸受機構においても、前記第一連結部1と第二連結部2との間に過大な加速度の相対振動が作用するのであれば、回転筒6は軸方向荷重を制限荷重の範囲内で負担しながらピストン900bに対して軸方向へ変位し、かかる回転筒6の軸方向変位の分だけ、入力された相対振動の回転振動への変換を減じることができる。
一方、過大な軸方向荷重によって回転筒6がピストン900bに対して軸方向へ変位を生じた後、この回転慣性質量ダンパに作用する相対振動が収まると、前記リリーフ弁63及び逆止弁35が閉塞した状態となるので、圧力室910Aと910Bの容積に差が生じ、ピストン900bに対して回転筒6の変位が残留してしまう場合がある。この場合、相対振動の収束後、各リザーブ室105A,105Bに設けられた円板107が弾性部材106の付勢力によって当該リザーブ室105A,105B内の作動油を加圧し、その圧力はリザーブ室105A,105Bで均等になる。最終的には、復帰路136を作動させることで各圧力室910A,910Bとこれに隣接するリザーブ室105A,105Bとの間で作動油を流動させ、圧力室910A,910B内の油圧を均等にする。これにより、ピストン900bが一対の区画壁104の中央位置に復帰する。このため、想定外の巨大地震への対応として、回転筒6がピストン900bに対して軸方向に残留変位を生じた場合であっても、当該地震の収束後には回転筒6を自動的に当初の位置へ復帰させることが可能となる。
ここまで、図を参照しながら本発明の具体的な適用例を説明してきたが、本発明の適用例はこれらに限られるものではない。例えば、第一乃至第三実施形態の回転慣性質量ダンパでは、特開2012−37005号公報や特開平10−184757号公報の開示を参考にして、固定筒と回転筒との間に粘性流体を密閉する作用室を設け、回転筒の回転に対して粘性減衰力が作用するように構成しても良い。
また、前述の第一乃至第五実施形態では、前記回転筒が慣性質量効果を得るための回転マスとして機能していたが、例えば本発明を特開2011−80543号公報に開示される発明と組み合わせ、前記回転筒の外側に当該回転筒の回転に伴い振動する第2回転マス、第3回転マスを順次設けるようにしてもよい。
1…第一連結部、2…第二連結部、3…固定筒、4…ねじ軸、5…ナット部材、6…回転筒、12…軸部材、8,9,101…軸力制限機構、8a,9a,90a…シリンダ、8b,9b,90b…ピストン、15,61,91…圧力室、62…移送路、63…リリーフ弁

Claims (5)

  1. 構造物を含む系内の別々の部位に固定される第一連結部及び第二連結部と、
    前記構造物の振動に伴い生じる前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位を回転運動に変換するねじ変換機構と、
    前記ねじ変換機構によって生成された回転運動が伝達される慣性質量要素としての回転筒と、
    作動油が充填されたシリンダ及び当該シリンダ内を二つの圧力室に分割するピストンを有し、前記圧力室内の作動油の油圧を介して前記第一連結部とねじ変換機構との間で軸方向荷重を伝達する軸力制限機構と、
    を備え、
    前記軸力制限機構は、いずれか一方の圧力室内における作動油の圧力が制限値を超えた場合に開放されて前記シリンダに対する前記ピストンの移動を許容するリリーフ弁を有し、かかるリリーフ弁が開放されることにより前記第一連結部と第二連結部との間の相対変位の一部が当該軸力制限機構で吸収されることを特徴とする回転慣性質量ダンパ。
  2. 前記第一連結部に接続されると共に前記回転筒に対してその半径方向に重ねて配置される固定筒を有し、
    前記軸力制限機構のシリンダは前記固定筒と回転筒との間に設けられる一方、前記ピストンは前記回転筒又は固定筒のいずれか一方に設けられ、
    前記回転筒は前記シリンダ内に充填された作動油の油圧によって前記固定筒に対して回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1記載の回転慣性質量ダンパ。
  3. 前記第一連結部に接続されると共に前記回転筒の中心に配置された軸部材を有し、
    前記軸力制限機構のシリンダは前記軸部材と回転筒との間に設けられる一方、前記ピストンは前記回転筒又は軸部材のいずれか一方に設けられ、
    前記回転筒は前記シリンダ内に充填された作動油の油圧によって前記軸部材に対して回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1記載の回転慣性質量ダンパ。
  4. 前記軸力制限機構は、前記二つの圧力室を連通する移送路、及びこの移送路を開閉する前記リリーフ弁を含む単一の油圧系を有することを特徴とする請求項2又は3記載の回転慣性質量ダンパ。
  5. 前記軸力制限機構は前記ピストンを挟んで互いに独立した2系統の油圧系を有し、各油圧系は前記圧力室及びリリーフ弁を含むと共に、前記リリーフ弁が閉塞している状態において各油圧系の圧力室内の油圧を均等にする予圧機構を有していることを特徴とする請求項2又は3記載の回転慣性質量ダンパ。
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