以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、排気ガス流入側を単に左側と称し、排気ガス排出側を単に右側と称する。
(1).DPFの全体構造
まず、図1〜図3を参照しながら、排気ガス浄化装置の全体構造を説明する。図1〜図3に示す如く、排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPFという)を備えている。DPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を物理的に捕集するためのものである。実施形態のDPF1は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒2と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ3とを、排気ガスの移動方向(図1の左側から右側方向)に直列に並べた構造になっている。DPF1は、スートフィルタ3が連続的に再生されるように構成している。DPF1によって、排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減できる。
(2).ディーゼル酸化触媒の取付け構造
図1〜図3を参照して、ディーゼル酸化触媒2の取付け構造を説明する。図1〜図3に示す如く、後述するディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製で略筒型の触媒内側ケース4内に設けられている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製で略筒型の触媒外側ケース5内に設けられている。即ち、ディーゼル酸化触媒2の外側にマット状のセラミックファイバー製触媒断熱材6を介して触媒内側ケース4を被嵌させている。また、触媒内側ケース4の外側に端面I字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。なお、触媒断熱材6によってディーゼル酸化触媒2が保護される。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(変形力)を薄板製支持体7にて低減させる。
図1〜図3に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の左側端部に円板状の左側蓋体8を溶接にて固着している。左側蓋体8に座板体9を介してセンサ接続プラグ10を固着している。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8とをガス流入空間用一定距離L1だけ離間させて対向させる。ディーゼル酸化触媒2の左側端面2aと左側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成している。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5における排気ガス流入空間11の部位には、センサ接続プラグ10が固着されている。センサ接続プラグ10には、排気ガス流入空間11内における排気ガスの圧力を検出する排気圧検出手段としての差圧センサ60の入口側感知体64が差し込み装着される(図4、図6及び図7参照)。
図1及び図3に示す如く、排気ガス流入空間11が形成された触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の左側端部に楕円形状の排気ガス流入口12を開口させている。楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の中心線方向)を短尺直
径とし、排気ガス移動方向(前記ケース4,5の円周方向)に直交する方向を長尺直径に形
成している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間に閉塞リング体15を挟持状に固着している。触媒内側ケース4の開口縁13と触媒外側ケース5の開口縁14の間の隙間が閉塞リング体15によって閉鎖される。触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを、閉塞リング体15によって防止している。
図1及び図3に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置している。排気ガス入口管16の小径側の真円形の開口端部16aに排気接続フランジ体17を溶接している。詳細は後述するが、排気接続フランジ体17は、ボルト18を介して、ディーゼルエンジン70の排気絞り装置86につながる第1中継管84に接続されている。排気ガス入口管16の大径側の真円形の開口端部16bは、触媒外側ケース5の外側面に溶接されている。排気ガス入口管16は、小径側の真円形の開口端部16aから大径側の真円形の開口端部16bに向けて末広がり形状(ラッパ状)に形成されている。
図1及び図3に示す如く、触媒外側ケース5における外側面の左側端部には、真円形に形成された大径側の開口端部16bが、排気ガス入口管16にて開口縁14を覆うように溶接されている。この場合、楕円形状の排気ガス流入口12に対して、排気ガス入口管16(大径側の開口端部16b)は、排気ガス移動下流側(触媒外側ケース5の右側)にオフセットして配置されている。すなわち、楕円形状の排気ガス流入口12は、排気ガス入口管16(大径側の開口端部16b)に対して、排気ガス移動上流側(触媒外側ケース5の左側)にオフセットされている。
上記の構成により、ディーゼルエンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り込み、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り込み、ディーゼル酸化触媒2にこの左側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。なお、ディーゼルエンジン70にDPF1を組付ける場合は、ディーゼルエンジン70のフライホイールハウジング78に、支持脚体19を介して触媒外側ケース5を固着させる。
(3).スートフィルタの取付け構造
図1及び図3を参照して、スートフィルタ3の取付け構造を説明する。図1及び図3に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとしてのスートフィルタ3は、耐熱金属材料製で略筒型のフィルタ内側ケース20内に設けられている。内側ケース4は、耐熱金属材料製で略筒型のフィルタ外側ケース21内に設けられている。即ち、スートフィルタ3の外側にマット状のセラミックファイバー製フィルタ断熱材22を介してフィルタ内側ケース20を被嵌させている。なお、フィルタ断熱材22によってスートフィルタ3が保護される。
図1及び図3に示す如く、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)の端部に触媒側フランジ25を溶接する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の中間と、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部にフィルタ側フランジ26を溶接する。触媒側フランジ25と、フィルタ側フランジ26とを、ボルト27及びナット28によって着脱可能に締結している。なお、円筒形の触媒内側ケース4の直径寸法と、円筒形のフィルタ内側ケース20の直径寸法とが略同一寸法である。また、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法とが略同一寸法である。
図1に示す如く、触媒側フランジ25とフィルタ側フランジ26を介して、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21が連結された状態では、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(右側)の端部に、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、センサ取付け用一定間隔L2だけ離間して対峙する。即ち、触媒内側ケース4の排気ガス移動下流側(右側)の端部と、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部との間に、センサ取付け空間29が形成される。センサ取付け空間29位置の触媒外側ケース5に、センサ接続プラグ50を固着している。センサ接続プラグ50には、例えば入口側排気ガス温度センサ(サーミスタ、図示省略)等が接続される。
図3に示す如く、触媒内側ケース4の排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成している。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6を短く形成している。センサ取付け空間29の一定間隔L2と、触媒内側ケース4の円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)が、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)に略等しくなるように構成している。
フィルタ外側ケース21の排気ガス移動上流側(左側)の端部から、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、それらの長さの差(L7=L5−L6)だけ突出する。即ち、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した場合、フィルタ内側ケース20の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、オーバーラップ寸法L7だけ、触媒外側ケース5の排気ガス移動下流側(右側)に内挿される。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3にこの左側端面3aから供給される。スートフィルタ3に捕集されたディーゼルエンジン70の排気ガス中の捕集粒状物質(PM)が、二酸化窒素(NO2)によって、比較的低温で連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
なお、上記のように、エンジンが排出した排気ガスを浄化するガス浄化フィルタとして、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を設けたが、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3に代えて、尿素(還元剤)の添加にて発生したアンモニア(NH3)によってエンジン70の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)と、NOx選択還元触媒から排出される残留アンモニアを取り除くアンモニア除去触媒とを設けてもよい。
上記のように、ガス浄化フィルタとして、触媒内側ケース4にNOx選択還元触媒(NOx除去触媒)を設け、フィルタ内側ケース20にアンモニア除去触媒を設けた場合、エンジンが排出した排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が還元され、無害な窒素ガス(N2)として排出できる。
(4).消音器の取付け構造
図1〜図3を参照して、消音器30の取付け構造を説明する。図1〜図3に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製で略筒型の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製で略筒型の消音外側ケース32と、消音内側ケース31及び消音外側ケース32の右側端部に溶接にて固着した円板状の右側蓋体33とを有する。消音外側ケース32内に消音内側ケース31を設けている。なお、円筒形の触媒外側ケース5の直径寸法と、円筒形のフィルタ外側ケース21の直径寸法と、円筒形の消音外側ケース32とが略同一寸法である。
消音内側ケース31及び消音外側ケース32には、排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の一端側が出口蓋体35によって閉塞されている。消音内側ケース31の内部における排気ガス出口管34の全体に多数の排気孔(図示省略)が開設されている。消音内側ケース31の内部が、前述した多数の排気孔を介して、排気ガス出口管34に連通されている。後述するテールパイプ135や既設の消音部材(図示省略)が排気ガス出口管34の他端側に接続される。
なお、消音内側ケース31の内部は、多数の消音孔(図示省略)を介して、消音内側ケース31と消音外側ケース32との間に連通されている。消音内側ケース31と消音外側ケース32との間の空間は、右側蓋体33等によって閉塞されている。消音内側ケース31の排気ガス移動上流側(左側)の端部が、薄板製支持体(図示省略)を介して、消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(左側)の端部に連結されている。上記の構成により、消音内側ケース31内から排気ガス出口管34を介して排気ガスが排出される。
図1及び図3に示す如く、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21の排気ガス移動下流側(右側)の端部にフィルタ側出口フランジ40を溶接する。消音外側ケース32の排気ガス移動上流側(左側)の端部に、消音側フランジ41を溶接する。フィルタ側出口フランジ40と、消音側フランジ41とを、ボルト42及びナット43によって着脱可能に締結している。なお、フィルタ内側ケース20とフィルタ外側ケース21とにセンサ接続プラグ44を固着している。センサ接続プラグ44には、消音内側ケース31内における排気ガスの圧力を検出する排気圧検出手段としての差圧センサ60の出口側感知体65が差し込み装着される(図4、図6及び図7参照)。
(5).ディーゼルエンジンにDPF及びEGR装置を設けた構造
次に、図4〜図12を参照しながら、ディーゼルエンジン70にDPF1及びEGR装置91を設けた構造を説明する。図4〜図7に示す如く、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72の左側面に排気マニホールド71が配置されている。シリンダヘッド72の右側面には吸気マニホールド73が配置されている。シリンダヘッド72は、エンジン出力軸74(クランク軸、図7参照)とピストン(図示省略)を有するシリンダブロック75に上載されている。シリンダブロック75の前後両側面からエンジン出力軸74の前後先端部をそれぞれ突出させている。シリンダブロック75の前側面には冷却ファン76が設けられている。エンジン出力軸74の前端側からVベルト77を介して冷却ファン76に回転力を伝達するように構成している。
図4〜図8に示す如く、シリンダブロック75の後側面にフライホイールハウジング78を固着している。フライホイールハウジング78内にフライホイール79を設ける。エンジン出力軸74の後端側にフライホイール79を軸支させている。作業車両(バックホウ100やフォークリフト120等)の作動部に、フライホイール79を介してディーゼルエンジン70の動力を取り出すように構成している。
また、シリンダブロック75の下面にはオイルパン95が配置されている。オイルパン95内には潤滑油が貯留されている。オイルパン95内の潤滑油は、シリンダブロック75内における右側面寄りの部位に配置されたオイルポンプ156にて吸引され、シリンダブロック75の右側面に配置されたオイルフィルタ157を介して、ディーゼルエンジン70の各潤滑部に供給される。各潤滑部に供給された潤滑油はその後オイルパン95に戻される。オイルポンプ156はエンジン出力軸74の回転にて駆動するように構成されている。
シリンダブロック75の右側面のうちオイルフィルタ157の上方(吸気マニホールド73の下方)には、シリンダブロック75内の燃焼室内に燃料を供給するための燃料噴射ポンプ158が取り付けられている。燃料噴射ポンプ158は、燃料噴射量を調整するための電子ガバナと燃料フィードポンプとを備えている。燃料フィードポンプの駆動にて、燃料タンク内の燃料が燃料フィルタを介して燃料噴射ポンプ158に送り込まれる。
シリンダブロック75の前面左寄りの部位には、冷却水潤滑用の冷却水ポンプ159が冷却ファン76のファン軸80と同軸状に配置されている。冷却水ポンプ159はエンジン出力軸74の回転にて冷却ファン76と共に駆動するように構成されている。作業車両に搭載されたラジエータ134(詳細は後述する)内の冷却水が、冷却水ポンプ159の上部に設けられたサーモスタットケース160を介して、冷却水ポンプ159に供給される。そして、冷却水ポンプ159の駆動にて、冷却水がシリンダヘッド72及びシリンダブロック75に形成された水冷ジャケット(図示省略)に供給され、ディーゼルエンジン70を冷却する。ディーゼルエンジン70の冷却に寄与した冷却水はラジエータ134に戻される。
実施形態では、エンジン出力軸74と冷却ファン76のファン軸80とが上下に並んで平行状に延びている。そして、図6に示すように、平面視でエンジン出力軸74(ファン軸80)を挟んで排気マニホールド71側に冷却水ポンプ159が、吸気マニホールド73側にオイルポンプ156が配置されている。位置関係上、冷却水ポンプ159は冷却ファン76に対峙していて、冷却ファン76からの冷却風が冷却水ポンプ159に当たることになる。なお、冷却水ポンプ159の左側方にはオルタネータ161が設けられている。
シリンダブロック75の左右側面とフライホイールハウジング78の左右側面とには、機関脚取付け部96がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部96には、防振ゴムを有する機関脚体97がボルト締結されている。ディーゼルエンジン70は、各機関脚体97を介して、作業車両(バックホウ100、フォークリフトカー120)等のエンジン取付けシャーシ81に防振支持されている。
図5に示すように、吸気マニホールド73の入口部は、当該吸気マニホールド73の略中央部から上向きに突出している。そして、吸気マニホールド73の入口部は、EGR装置91(排気ガス再循環装置)を構成するコレクタ145(詳細は後述する)を介してエアクリーナ(図示省略)に連結されている。エアクリーナに吸い込まれた新気(外部空気)は、当該エアクリーナにて除塵・浄化されたのち、コレクタ145を介して吸気マニホールド73に送られ、そして、ディーゼルエンジン70の各気筒に供給される。
図5及び図6に示すように、EGR装置91は、ディーゼルエンジン70の排気ガスの一部(排気マニホールド71からのEGRガス)と新気(エアクリーナ88からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド73に供給するコレクタ(EGR本体ケース)145と、エアクリーナにコレクタ145を連通させる吸気スロットル部材146と、排気マニホールド71にEGRクーラ147を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管148と、再循環排気ガス管148にコレクタ145を連通させるEGRバルブ部材149とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド73と新気導入用の吸気スロットル部材146とがコレクタ145を介して接続されている。そして、コレクタ145には、排気マニホールド71から延びる再循環排気ガス管148の出口側が連通している。図6に示すように、コレクタ145は長筒状に形成されている。吸気スロットル部材146は、コレクタ145の長手方向の一端部にボルト締結されている。コレクタ145のうち吸気スロットル部材146と反対側の部位に形成された下向きの開口端部が、吸気マニホールド73の入口部に着脱可能にボルト締結されている。
図4〜図6に示すように、コレクタ145には、温度検出手段としての2つの温度センサ151,153が取り付けられている。コレクタ145のうち吸気スロットル部材146寄りの部位に、エアクリーナからの新気の温度を検出する新気温度センサ151が配置されている。吸気マニホールド73の入口部73a寄りの部位には、混合ガスの温度を検出する混合ガス温度センサ153が配置されている。また、EGRバルブ部材149(再循環排気ガス管148)には、排気マニホールド71からのEGRガスの温度を検出する温度検出手段としてのEGRガス温度センサ152が取り付けられている。温度センサ151〜153群は、混合ガスのEGR率を求めるのに用いられるものである。ここで、EGR率とは、EGRガス量と新気量との和で、EGRガス量を割った値(=EGRガス量/(EGRガス量+新気量))のことを言う。
実施形態では、再循環排気ガス管148の出口側が、EGRバルブ部材149を介してコレクタ145に連結されている。EGRバルブ部材149は、その内部にあるEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、コレクタ145へのEGRガスの供給量を調節するものである。EGRバルブ部材149の外周面から斜め下向きに突出した開口端部がコレクタ145の長手中途部に連結されている。再循環排気ガス管148の入口側は、EGRクーラ147を介して排気マニホールド71の下面側に連結されている。
図5及び図6に示すように、吸気スロットル部材146とEGRバルブ部材149とは、共通のコレクタ145に組み付けられている。換言すると、吸気スロットル部材146とコレクタ145とEGRバルブ部材149とは、1つの部材としてユニット化されている。また、吸気スロットル部材146とコレクタ145とEGRバルブ部材149とは、吸気マニホールド73上に位置(露出)していて、冷却ファン76からの冷却風がこれらの部材145,146,149に当たるように構成されている。
上記の構成により、エアクリーナから吸気スロットル部材146を介してコレクタ145内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド71からEGRバルブ149を介してコレクタ145内にEGRガス(排気マニホールド71から排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナからの新気と、排気マニホールド71からのEGRガスとが、コレクタ145内で混合された後、コレクタ145内の混合ガスが吸気マニホールド73に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン70から排気マニホールド71に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド73からディーゼルエンジン70に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン70からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
以上の構成から明らかなように、実施形態のEGR装置91によると、吸気マニホールド73と新気導入用の吸気スロットル部材146とがコレクタ145を介して接続されており、コレクタ145には、排気マニホールド71から延びる再循環排気ガス管148の出口側が連通しているから、新気とEGRガスとは、吸気マニホールド73に送り込まれる前に混合されることになる。このため、混合ガス中においてEGRガスを広く分散でき、吸気マニホールド73に送り込まれる前段階で、混合ガスにおける混合状態のバラツキ(ムラ)が少なくなる。従って、ディーゼルエンジン70の各気筒にムラの少ない混合ガスを分配でき、各気筒間のEGR率のバラツキを抑制できる。その結果、黒煙の発生を抑制して、ディーゼルエンジン70の燃焼状態を良好に保ちながら、NOx量を効率よく低減できる。
また、吸気スロットル部材146とコレクタ145とEGRバルブ部材149とは、1つの部材としてユニット化されているから、各種作業車両(例えばバックホウ100やフォークリフトカー120等)の異なる機種間であっても、これらの部材145,146,149をガス混合用ユニットとして共用化できる。従って、同型のディーゼルエンジン70を搭載した各機種に対して、1種類のガス混合用ユニットの構成で対処できるから、同型のディーゼルエンジン70を搭載した機種毎のEGR率がばらつくことを抑制して、これら機種毎に試験確認したり出荷申請したりする手間等を省略できる。その結果、製造コストを抑制できる。EGR装置91とディーゼルエンジン70との性能マッチングのための組付け調整工数を低減することも可能になる。
更に、吸気スロットル部材146とコレクタ145とEGRバルブ部材149とは、吸気マニホールド73上に位置(露出)していて、冷却ファン76からの冷却風がこれらの部材145,146,149に当たるように構成されているから、冷却風によるガス混合用ユニット、ひいてはその内部の混合ガス温度の上昇を抑制でき、混合ガスによるNOx量低減効果を適正な状態に維持し易い。その上、冷却ファン76からの冷却風にて、ガス混合用ユニットひいてはその内部の混合ガス温度の上昇を抑制できる分だけ、EGRクーラの冷却性能を落とせるから、EGRクーラ147の小型化が可能になる。
図4〜図6に示す如く、触媒外側ケース5には、フィルタ支持体としての板状の支持脚体19の一端側が溶接固定されている。支持脚体19の他端側は、フライホイールハウジング78の上面に形成されたDPF取付け部82にボルト83にて着脱可能に締結されている。このため、上記したDPF1は、両支持脚体19を介して、高剛性のフライホイールハウジング78に支持されることになる。
図4〜図7に示すように、実施形態のDPF1は、エンジン出力軸74と直交する方向に長い形態になっていて、フライホイールハウジング78より上方において、排気ガス移動方向がエンジン出力軸74と直交する方向になるように、ディーゼルエンジン70の上面から離して配置されている。従って、シリンダヘッド72、排気マニホールド72及び吸気マニホールド73の上面は露出していて、メンテナンス作業をし易い状態になっている。この場合のDPF1はシリンダヘッド72の近傍に位置している。具体的には、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78寄りの後側面に相対向して配置されている。
また、図4に示すように、DPF1の上端はディーゼルエンジン70(シリンダヘッド72)の上端より低い位置になっている。ディーゼルエンジン70を冷却ファン76側から見ると(図8参照)、DPF1のほとんどがディーゼルエンジン70にて隠れることになる。また、DPF1における長手方向一端側と長手方向他端側とには、排気ガス入口管16と排気ガス出口管34とが左右振り分けて配置されている。
図4〜図7に示すように、DPF1の外面側には、DPF1の長手方向に沿って延びるプレート部材53が取り付けられている。プレート部材53は、差圧センサ60のハーネス62,63群(詳細は後述する)を支持するためのものであり、長板状の長尺本体54と、当該長尺本体54の両端から同じ向きに突出する連結アーム部55,56とにより構成されている。左連結アーム部55は、DPF1の左側蓋体8に座板体9を固定するボルト及びナットにて、座板体9と共に締結されている。右連結アーム部56は、ボルト27及びナット28にて、触媒側フランジ25及びフィルタ側フランジ26と共に締結されている。
実施形態では、DPF1の外面側にプレート部材53を取り付けた状態で、DPF1(触媒外側ケース5)の外面とプレート部材53の基部(長尺本体54)との間の間隔が空くように設定されている。この場合、プレート部材53を、DPF1の座板体9と、触媒側フランジ25及びフィルタ側フランジ26とに跨るような姿勢で配置することにより、DPF1(触媒外側ケース5)の外面とプレート部材53の基部(長尺本体54)との間の間隔を空けている。
図4に示すように、排気マニホールド71の出口部は、当該排気マニホールド71の左端部側から上向きに突出している。排気マニホールド71の出口部は、ディーゼルエンジン70の排気圧を調節するための排気絞り装置86を介して、排気ガス入口管16に着脱可能に連結されている。実施形態では、排気マニホールド71の出口部に、第1中継管84の入口側がボルト締結されており、第1中継管84の出口側が排気絞り装置86の入口側にボルト締結されている。排気絞り装置86の出口側は第2中継管85の入口側にボルト締結されており、第2中継管85の出口側が排気ガス入口管16の排気接続フランジ体17にボルト18締結されている。従って、上記したDPF1は、第1及び第2中継管84,85及び排気絞り装置86を介して高剛性の排気マニホールド71に支持される。
排気絞り装置86は前述の通り、ディーゼルエンジン70の排気圧を高めるためのものである。すなわち、スート(すす)がスートフィルタ3に堆積したときは、排気絞り装置86の作動制御にてディーゼルエンジン70の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン70からの排気ガス温度を高温にして、スートフィルタ3に堆積したスート(すす)が燃焼する。その結果、スートが消失し、スートフィルタ3が再生することになる。
このため、負荷が小さく排気ガスの温度が低くなり易い作業(スートが堆積し易い作業)を継続して行っても、排気絞り装置86による排気圧の強制上昇にてスートフィルタ3を再生でき、DPF1の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ3に堆積したスートを燃やすためのバーナー等も不要になる。
また、エンジン始動時も、排気絞り装置86の制御にてディーゼルエンジン70の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン70からの排気ガスの温度を高温にして、ディーゼルエンジン70の暖機を促進できる。
排気マニホールド71の出口部から、排気ガス入口管16を介してDPF1内に移動した排気ガスは、DPF1にて浄化されたのち、排気ガス出口管34からテールパイプ(図示省略)に移動して、最終的に機外に排出されることになる。
以上の構成から明らかなように、実施形態のDPF1は、エンジン70の排気マニホールド71に連結されると共に、複数のフィルタ支持体(支持脚体19)を介してフライホイールハウジング78に連結されている。このため、ディーゼルエンジン70の構成部品の一つとして、ディーゼルエンジン70にDPF1を高剛性に配置でき、作業車両等の機器毎の排気ガス対策を不用にし、ディーゼルエンジン70の汎用性を向上できるという効果を奏する。
すなわち、ディーゼルエンジン70の高剛性部品であるフライホイールハウジング78の利用にてDPF1を高剛性に支持して、振動等によるDPF1の損傷を防止できる。また、ディーゼルエンジン70の製造場所でディーゼルエンジン70にDPF1を組み込んで出荷することが可能になり、ディーゼルエンジン70とDPF1をまとめてコンパクトに構成できるという利点もある。
また、排気マニホールド71にDPF1を至近距離で連通できるから、DPF1を適正温度に維持し易く、高い排気ガス浄化性能が維持できる。その上、DPF1の小型化にも寄与できる。
図4〜図7に示す如く、DPF1は、エンジン出力軸74と直交する方向に長い形態になっていて、ディーゼルエンジン70の上面から離して配置されているから、シリンダヘッド72、排気マニホールド72及び吸気マニホールド73の上面側を露出でき、ディーゼルエンジン70関連のメンテナンス作業がし易い。
図4〜図7に示す如く、DPF1は、ディーゼルエンジン70の上部に位置するシリンダヘッド72の近傍に配置されているから、DPF1は、ディーゼルエンジン70の冷却ファン76の風下において、シリンダヘッド72の陰に隠れることになる。従って、冷却ファン76からの風がDPF1に直接当たるのを抑制して、冷却ファン76からの風によるDPF1ひいてはDPF1内部の排気ガス温度の低下を抑制でき、排気ガス温度の維持を図れることになる。
さて、ディーゼルエンジン70の外面には、排気圧検出手段である差圧センサ60の検出本体61が支持ブラケット59を介して取り付けられている。実施形態では、シリンダヘッド72のうちフライホイールハウジング78寄りの後側面に、断面く字状の支持ブラケット59がボルト締結されている(図6及び図7参照)。支持ブラケット59の上部は、平面視でシリンダヘッド72の上面を覆うヘッドカバー90の上面に被さるように延びている。支持ブラケット59の上部表面側に検出本体61がねじ止めされている。従って、検出本体61はヘッドカバー90の上面から離れた位置にあることになる。
排気圧検出手段である差圧センサ60は、DPF1内におけるスートフィルタ3を挟んだ上流側及び下流側間の圧力差を検出するためのものである。差圧センサ60にて検出された圧力差に基づいて排気絞り装置86を作動させることにより、スートフィルタ3の再生制御が実行される。
実施形態の差圧センサ60は、前述の検出本体61と、検出本体61からDPFに向けて延びる2本のハーネス62,63と、左ハーネス62の先端部に設けられた入口側感知体64と、右ハーネス63の先端部に設けられた出口側感知体65とを備えている。左ハーネス62側の入口側感知体64は、DPF1の入口側(触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5における排気ガス流入空間11の部位)にあるセンサ接続プラグ10に差し込み装着されている。右ハーネス63側の出口側感知体65は、DPF1の出口側(フィルタ内側ケース20及びフィルタ外側ケース21)にあるセンサ接続プラグ44に差し込み装着されている。
図6及び図7に示すように、各ハーネス62,63の長手中途部はプレート部材53に支持されている。実施形態では、各ハーネス62,63の長手中途部は、クランプ体66にて挟持された状態で長尺本体54上に載置されていて、クランプ体66を長尺本体54にボルト67締結することにより、長尺本体54に強固に固定されている。このように、DPF1(触媒外側ケース5等)の外面から適宜離れた位置にあるプレート部材53の基部(長尺本体54)に、両ハーネス62,63の長手中途部を支持させることにより、両ハーネス62,63とDPF1(触媒外側ケース5等)の外面との間の間隔が空くように設定されている。換言すると、両ハーネス62,63がDPF1(触媒外側ケース5等)の外面に接触しないように設定されている。
なお、排気圧検出手段は、差圧センサ60に限らず、DPF1内におけるスートフィルタ3上流側の圧力を検出する排気圧センサでもよい。この場合、感知体付きのハーネスは1本だけになり、当該1本のハーネスの長手中途部をプレート部材にて支持するようにすればよい。排気圧センサを採用した場合は、スートフィルタ3にスートが堆積していないときのスートフィルタ3上流側の圧力(基準圧力)と、排気圧センサにて検出された現在の圧力とを比較することによって、スートフィルタ3の詰まり状態を判断することになる。
以上の構成から明らかなように、差圧センサ60の検出本体61が支持ブラケット59を介してディーゼルエンジン70(ヘッドカバー90)の外面に取り付けられているから、差圧センサ60の検出本体61がディーゼルエンジン70自体からは離れて配置されることになる。このため、ディーゼルエンジン70の発する熱は検出本体61に伝わり難く、ディーゼルエンジン70に検出本体61を組み付けたものでありながら、過熱による検出本体61の故障を抑制できる。
また、検出本体61から延びる両ハーネス62,63の先端部に設けられた感知体64,65はDPF1に取り付けられており、DPF1の外面と両ハーネス62,63との間の間隔が空くようにして、DPF1の外面側に設けられたプレート部材53に両ハーネス62,63の長手中途部を支持しているから、ディーゼルエンジン70の振動に起因する両ハーネス62,63の振れを抑制できる。このため、両ハーネス62,63及び感知体64,65の緩みや外れを防止でき、差圧センサ60での検出を正常に行える。しかも、プレート部材53の存在により、DPF1の外面と両ハーネス62,63との間の間隔が空くことになるから、DPF1の発する熱の悪影響は両ハーネス62,63に及び難くなる。従って、過熱による両ハーネス62,63の損傷を抑制する効果もある。
更に、ディーゼルエンジン70の一側部に設けられたフライホイールハウジング78上には、DPF1がディーゼルエンジン70の上部にあるシリンダヘッド72の近傍に位置するように設けられており、シリンダヘッド72に支持ブラケット59が上向きに突出するように取り付けられており、支持ブラケット59の上部に検出本体61を取り付けることによって、検出本体61を、シリンダヘッド72の上面を覆うヘッドカバー90の上面から離しているから、過熱による検出本体61の損傷を抑制する効果が高い。その上、DPF1と差圧センサ60とが近接することになるから、DPF1と検出本体61とをつなぐ両ハーネス62,63の長さを短く設定でき、組み付け作業性の改善やコストダウンを実現できるのである。
次に、図4、図6及び図8〜図12を参照しながら、EGRクーラ147の詳細構造及びEGRクーラ147周辺の冷却水流通系統について説明する。
図4及び図9〜図12に示すように、シリンダブロック75の左側面には、排気マニホールド71の下方に、ディーゼルエンジン70の冷却水を冷媒としてEGRガスを冷却するEGRクーラ147が配置されている。EGRクーラ147は、円筒形の外ケース165と、当該外ケース165内に設けられた蛇腹状の熱交換チューブ166の複数個(図12参照)とからなる周知の構造である。外ケース165内部の両端寄りの部位は目抜き板167にて仕切られている。両目抜き板167の間に各熱交換チューブ166がそれぞれのパンチ穴を介して連通するように配置されている。従って、各熱交換チューブ166の内部空間は、EGRクーラ147(外ケース165)のEGRガス入口部168及び出口部169に連通している。
外ケース165内部における両目抜き板167の間の領域は密閉空間となっている。外ケース165のうち両目抜き板167の間の部位には、冷却水入口部170と冷却水出口部171とが設けられている。冷却水入口部170から外ケース165の密閉空間内に供給された冷却水にて、各熱交換チューブ166の周囲を満たすことによって、各熱交換チューブ166内を流通するEGRガスが熱交換され、EGRガス温度が低下する。その結果、燃焼時の黒煙(スモーク)の発生を抑制しながら燃焼温度が低く抑えられ、排気ガス中のNOx量低減効果を高めることになる。外ケース165の密閉空間に供給された冷却水は、冷却水出口部171から排出される。
図9に詳細に示すように、ディーゼルエンジン70の左側方(排気マニホールド側)には、冷却水ポンプ159からEGRクーラ147及び排気絞り装置86に向かう冷却水流通経路172が設けられている。冷却水ポンプ159からの冷却水はディーゼルエンジン70の水冷ジャケットに供給されるだけでなく、一部を冷却水流通経路172に送るように構成されている。すなわち、冷却水流通経路172は、ディーゼルエンジン70自体への冷却水系統(水冷ジャケットに向かう経路)とは別系統に構成されている。
この場合、冷却水流通経路172中においては、EGRクーラ147及び排気絞り装置86が直列に接続されている。そして、冷却水流通経路172中では、EGRクーラ147は排気絞り装置86より冷却水ポンプ159に近い上流側に位置している。すなわち、冷却水ポンプ159からオルタネータ161に向けて突出する冷却水吐出部173が送りパイプ174を介してEGRクーラ147の冷却水入口部170に連通接続されている。EGRクーラ147の冷却水出口部171は、中継パイプ175を介して排気絞り装置86の冷却水入口部に連通接続されている。排気絞り装置86の冷却水出口部88は、戻しパイプ176を介してサーモスタットケース161に連通接続されている。従って、冷却水ポンプ159からの冷却水の一部は、EGRクーラ147→排気絞り装置86→サーモスタットケース160の順に供給され、循環することになる。
図10〜図12に示すように、EGRクーラ147における外ケース165のEGRガス入口部168は、筒状のEGRガス取出し管177を介して、排気マニホールド71の下面側に連通接続されている。実施形態では、外ケース165のEGRガス入口部168がEGRガス取出し管177の下フランジ部にボルト締結されている。EGRガス取出し管177の上フランジ部が排気マニホールド71の下面側に形成された下向き開口部にボルト締結されている。
EGRクーラ147における外ケース165のEGRガス出口部169は、シリンダブロック75に取り付けられた支持部材180に連結されている。このように、EGRクーラ147の長手両端部(EGRガス入口部168及び出口部169)をEGRガス取出し管177及び支持部材180にて支持することにより、EGRクーラ147はシリンダブロック75(具体的には左側面)から適宜離して配置されている(図10及び図12参照)。
支持部材180は、取付けボルト184が挿入されるナット部181と、EGRクーラ147と再循環排気ガス管148とを連通させる排気ガス出口管路183を有する筒状部182とを一体に設けてなるものである。実施形態の支持部材180は、さびや腐食に強いアルミニウム等の素材製である。ナット部181に差し込まれた取付けボルト184にて、支持部材180がシリンダブロック75の左側面に着脱可能に締結されている。
支持部材180における筒状部182の根元側は、EGRクーラ147における外ケース165のEGRガス出口部169に横側方から連通接続されている。筒状部183の上部側は、再循環排気ガス管148の出口側に連通接続されている。従って、外ケース165のEGRガス出口部169は、筒状部182内のEGRガス排出管路183を介して再循環排気ガス管148に連通している。EGRクーラ147を通過して適宜冷却されたEGRガスは、EGRガス出口部169から筒状部182内のEGRガス排出管路183を経て再循環排気ガス管148に送り込まれ、吸気マニホールド73側に供給される。
実施形態では、筒状部182における根元寄りの中途部に、EGRガス出口部169とEGRガス排出管路183とをつなぐ連通穴185が形成されている(図12参照)。すなわち、EGRガス排出管路183は連通穴185の箇所より更に奥側にまで延びている。EGRガス排出管路183における奥側の底部の高さ位置は、連通穴185の底より低くなっている。換言すると、EGRガス排出管路183における奥側の底部と連通穴185の底との間は段差が形成されている。EGRガス排出管路183における奥側の部位は、EGRガス冷却に伴い発生する凝縮水を貯留するための凝縮水受け部186として機能している。このため、EGRガス冷却に伴い発生した凝縮水は、凝縮水受け部186に流れ込み、再循環排気ガス管148ひいては吸気マニホールド73側には排出され難くなっている。
以上の構成から明らかなように、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71側に、EGRクーラ147と排気絞り装置86とが配置されており、冷却水ポンプ159から延びる冷却水流通経路172中に、EGRクーラ147と排気絞り装置86とが直列に接続されているから、EGRクーラ147に供給される冷却水を利用して排気絞り装置86を冷却でき、EGRクーラ147と排気絞り装置86とのヒートバランスを良好な状態に維持できる。また、EGRクーラ147と排気絞り装置86とが近接配置されることになるから、冷却水流通経路172をコンパクトに構成できる。
しかも、EGRクーラ147は、冷却水流通経路172のうち排気絞り装置86より上流側に位置しているから、冷却水ポンプ159から直接送られてくる冷たい冷却水が、排気絞り装置86より先にEGRクーラ147に供給されるから、効率よくEGRガスを冷却でき、ディーゼルエンジン70からのNOx排出量低減効果をより一層向上できる。
更に、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71側に冷却水ポンプ159が配置されていて、EGRクーラ147及び排気絞り装置86に対する冷却水流通経路172は、ディーゼルエンジン70自体への冷却水系統(水冷ジャケットに向かう経路)とは別系統に構成されているから、ディーゼルエンジン70の冷却に寄与した(温度が上昇した)後の高温になった冷却水がEGRクーラ147及び排気絞り装置86側に供給されることがない。従って、冷却水の温度上昇に伴う不具合を防止でき、特にEGRクーラ147の冷却性能の向上を図れる。
その上、冷却水流通経路172がディーゼルエンジン70の排気マニホールド71側に設けられているから、EGRクーラ147及び排気絞り装置86に対する冷却水流通経路172がこれら147,86のある排気マニホールド71側にまとまることになる。従って、冷却水流通経路172の取り回しが容易になり、組み立て作業性の向上に寄与できる。
実施形態では、排気マニホールド71と吸気マニホールド73とをつなぐ再循環排気ガス管148中に、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ147が配置されており、EGRクーラ147のガス入口側は、EGRガス取出し管177を介して排気マニホールド71に連通接続されている一方、EGRクーラ147のガス出口側は、ディーゼルエンジン70に取り付けられた支持部材180に連結されており、EGRクーラ147は、EGRガス取出し管177及び支持部材180にて、ディーゼルエンジン70の外面から適宜離して配置されている。このため、ディーゼルエンジン70の発する熱がEGRクーラ147に伝わり難くなる。従って、過熱によるEGRクーラ147の損傷を抑制できる。
また、支持部材180には、EGRクーラ147と再循環排気ガス管148とを連通させるEGRガス排出管路183が形成されているから、EGRクーラ147を支持する支持部材180をEGRガスの流通経路の一部として流用でき、EGR装置91関連の部品点数の削減に寄与できる。
更に、支持部材180のEGRガス排出管路183内には、EGRガス冷却に伴い発生する凝縮水を貯留するための凝縮水受け部186が形成されているから、さびや腐食等の原因になる凝縮水をEGRガス排出管路183内の凝縮水受け部186に溜めることによって、凝縮水が吸気マニホールド73に排出されたりEGRクーラ147に溜まったりするのを抑制でき、これらの部材73,147がさび付いたり腐食したりするのを防止できるのである。
(6).ディーゼルエンジンのバックホウへの搭載構造
図13及び図14を参照して、図4〜図12に示すディーゼルエンジン70をバックホウ100に搭載した構造を説明する。図13及び図14に示す如く、バックホウ100は、左右一対の走行クローラ103を有する履帯式の走行装置102と、走行装置102上に設けられた旋回機体104とを備えている。旋回機体104は、旋回用油圧モータ(図示省略)によって、360°の全方位にわたって水平旋回可能に構成されている。走行装置102の後部には、対地作業用の土工板105が昇降動可能に装着されている。旋回機体104の左側部には、操縦部106とディーゼルエンジン70とが搭載されている。旋回機体104の右側部には、掘削作業のためのブーム111及びバケット113を有する作業部110が設けられている。
操縦部106には、オペレータが着座する操縦座席108と、ディーゼルエンジン70等を出力操作する操作手段や、作業部110用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。作業部110の構成要素であるブーム111には、ブームシリンダ112とバケットシリンダ114とが配置されている。ブーム111の先端部には、掘削用アタッチメントとしてのバケット113が、掬い込み回動可能に枢着されている。ブームシリンダ112又はバケットシリンダ114を作動させて、バケット113によって土工作業(作溝等の対地作業)を実行するように構成している。
(7).ディーゼルエンジンのフォークリフトカーへの搭載構造
図15及び図16を参照して、図4〜図12に示すディーゼルエンジン70をフォークリフトカー120に搭載した構造を説明する。図15及び図16に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とディーゼルエンジン70とが搭載されている。ディーゼルエンジン70はカバー体133にて上方から覆われており、カバー体133上に操縦部125が設けられることになる。
走行機体124の前部側には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。走行機体124の後部側には、作業部127との重量バランスを取るためのカウンタウェイト131が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、ディーゼルエンジン70や作業部127用の操作手段としてのレバー及びスイッチ等が配置されている。
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に装着されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
ディーゼルエンジン70は、フライホイールハウジング78が走行機体124の前部側に、冷却ファン76が走行機体124の後部側に位置するように配置されている。すなわち、エンジン出力軸74の向きが作業部127とカウンタウェイト131とが並ぶ前後方向に沿うように、ディーゼルエンジン70が配置されている。走行機体124を構成するエンジン取付けシャーシ81に、機関脚体97を介してディーゼルエンジン70が防振支持されている。フライホイールハウジング78の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン70からフライホイール79を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122及び後輪123やフォーク126の油圧駆動源に伝達されることになる。
カバー体133内であって操縦座席128とこれより後方に配置されたカウンタウェイト131との間には、カウンタウェイト131寄りの高位置に、エンジン冷却用のラジエータ134が冷却ファン76に相対向するように配置されている。冷却ファン76の回転駆動にてラジエータ134に冷却風を吹き付けることにより、ラジエータ134が空冷されることになる。
なお、本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明に係る作業車両搭載用のエンジン装置は、前述のようなバックホウ100及びフォークリフトカー120に限らず、コンバイン、トラクタ等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業車両に対して広く適用できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。