JP2015083793A - 内燃機関の制御装置、鞍乗型車両のパワーユニット、および、鞍乗型車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】鞍乗型車両において、小石等の衝突によりノックセンサの出力に外来ノイズが混入した場合でも、ノッキングの対応を良好に行うことができる。【解決手段】この鞍乗型車両は、ノッキングが発生する可能性のある第1期間にノックセンサから出力された信号を取り込む第1取得手段と、第1期間および内燃機関の機械振動によるノイズの発生期間を除く第2期間にノックセンサから出力された信号を取り込む第2取得手段と、第1取得手段により取り込まれた信号に基づきノッキングの発生を判定し、ノッキングが発生した場合にノッキングを抑制するように内燃機関を制御する第1制御手段と、第2取得手段により取り込まれた信号に基づき、鞍乗型車両の外的状況に起因する外来ノイズの発生を判定し、判定結果に基づいて第1制御手段による内燃機関の制御内容を変化させる第2制御手段と、を具備する構成を採る。【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関の制御装置、鞍乗型車両のパワーユニット、および、鞍乗型車両に関する。
特許文献1には、モーターサイクル又は自動三輪車において、内燃機関の運転状態を検出するセンサを、カバーで覆って小石等から保護することが提案されている。
現在、本発明者らは、鞍乗型車両において、内燃機関のノッキングの発生を監視しながら、ノッキングが多発しないように内燃機関を制御するノッキング対策制御の適用を検討している。
ノッキングの発生を監視するための構成としては、内燃機関の振動を検出するノックセンサを車両に搭載し、ノックセンサの出力に基づいてノッキングの発生を判定する構成が検討できる。
しかしながら、鞍乗型車両においては、悪路を走行しているときに、小石等が内燃機関またはクランクケース等に当たるなどの外的状況に起因して、ノックセンサの出力に影響を及ぼす可能性がある。小石等が当たった場合、この衝撃によりノックセンサの出力に外来ノイズが混入し、ノッキングの発生を正確に判定することが困難になることが考えられる。
小石等の衝突によるノックセンサへの影響は、小石等がノックセンサに直接に当たらなくても、ノックセンサへ振動が伝わる部位に小石等が当たれば発生する。このため、特許文献1に示されるように、ノックセンサをカバーで覆う構成だけでは、小石等の衝突による影響は無くならない。
本発明の目的は、鞍乗型車両において、小石等の衝突によりノックセンサの出力に外来ノイズが混入した場合でも、ノッキングの対応を良好に行うことのできる内燃機関の制御装置、鞍乗型車両のパワーユニット、および、鞍乗型車両を提供することである。
本発明の一態様に係る内燃機関の制御装置は、鞍乗型車両に搭載される内燃機関の振動を検出するノックセンサから検出信号が入力される内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関の1サイクル期間内において、ノッキングが発生する可能性のある第1期間に前記ノックセンサから出力された信号を取り込む第1取得手段と、前記内燃機関の1サイクル期間内において、前記第1期間および前記内燃機関の機械振動によるノイズの発生期間を除く第2期間に前記ノックセンサから出力された信号を取り込む第2取得手段と、前記第1取得手段により取り込まれた信号に基づきノッキングの発生を判定し、ノッキングが発生した場合にノッキングを抑制するように前記内燃機関を制御する第1制御手段と、前記第2取得手段により取り込まれた信号に基づき、前記鞍乗型車両の外的状況に起因する外来ノイズの発生を判定し、判定結果に基づいて前記第1制御手段による前記内燃機関の制御内容を変化させる第2制御手段と、を具備する構成を採る。
本発明の一態様に係る鞍乗型車両のパワーユニットは、鞍乗型車両に搭載される内燃機関と、前記内燃機関の振動を検出するノックセンサと、上記の内燃機関の制御装置と、を具備する構成を採る。
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、シート座面より下方に少なくとも一部が配置された内燃機関と、前記内燃機関の振動を検出するノックセンサと、上記の内燃機関の制御装置と、を具備する構成を採る。
本発明によれば、小石等の衝突によりノックセンサの出力に外来ノイズが混入した場合でも、ノッキングの対応を良好に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る鞍乗型車両を示す外観図である。図2は、本発明の実施の形態に係るECUおよびその周辺の構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る鞍乗型車両を示す外観図である。図2は、本発明の実施の形態に係るECUおよびその周辺の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の鞍乗型車両1は、運転者がシートにまたがって搭乗する車両であり、例えば自動二輪車である。図1に示すように、鞍乗型車両1は、前輪3、後輪4、内燃機関であるエンジン51、動力伝達部52、ECU(Engine Control Unit:内燃機関の制御装置に相当)20、ハンドル6、乗員が着座するシート7、および、ノックセンサ10等を備える。さらに、図2に示すように、鞍乗型車両1は、クランク角センサ60、点火ユニット40、燃料噴射ユニット30、および、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ50を備える。
本発明の実施の形態のパワーユニットは、鞍乗型車両1の動力源となる要素をユニット化したものであり、上記鞍乗型車両1の構成要素のうち、エンジン51、および、ECU20から構成される。パワーユニットには、動力伝達部52、発電機、又は、これらの両方が含まれていてもよい。
エンジン51は、単一の気筒を有する単気筒エンジンであり、空冷のエンジンである。エンジン51は、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、および排気行程を順次繰り返す4ストロークエンジンである。エンジン51は、シリンダヘッド、シリンダブロック、ピストン、コンロッド、および、クランク軸等を有する。エンジン51のシリンダヘッドには、吸気バルブ、排気バルブ、および、点火プラグが設けられている。
シリンダブロックのシリンダ内には、ピストンが往復動可能に配置され、ピストンは、コンロッドを介して、クランク軸に接続されている。吸気バルブは、吸気行程で開閉してシリンダ内に空気と燃料との混合気を吸入させる。排気バルブは、排気行程で開閉して燃焼ガスを排出させる。吸気バルブが閉じる際、および、排気バルブが閉じる際には、着座ノイズと呼ばれる振動が発生する。点火プラグの点火により、シリンダ内で混合気が燃焼することで、ピストンが往復運動してクランク軸が回転駆動する。混合気の燃焼がシリンダ内で広がっていく過程で、シリンダ壁の近傍で混合気が発火してしまう異常が生じる場合がある。この異常な発火による振動がノッキングである。
エンジン51は、前輪3と後輪4との間に配置され、少なくとも一部がシート7の座面より下方に配置されている。エンジン51の前部及び下部の少なくとも一部は外部に露出して、走行時に外気が直接当たるように構成されている。
動力伝達部52は、変速機、ドライブシャフト、および、これらとクランク軸とを収容するクランクケースを有する。クランク軸の回転力は、変速機を介してドライブシャフトに伝達され、ドライブシャフトからチェーン等を介して後輪4に伝達される。
エンジン51のシリンダブロックと、動力伝達部52のクランクケースとは一体的に接続され、エンジン51および動力伝達部52により一体化されたエンジンユニット5が構成されている。これらは一体化されない場合もある。
ECU20は、エンジン51の燃焼に関わる制御を主に行う制御装置である。詳細は後述するが、ECU20は、エンジン51にノッキングが発生した否かを判定するノッキングの判定処理、ノッキングが多発しない範囲でエンジン51の効率的な燃焼を実現させるノッキング対策制御処理を実行する。さらに、ECU20は、悪路ノイズの発生を判定する処理、悪路ノイズが発生した場合にノッキング対策制御処理の制御内容を変更する悪路ノイズ対策制御処理を実行する。
点火ユニット40(図2)は、シリンダヘッドに配置された点火プラグを含み、ECU20の制御信号に基づいて点火プラグを点火させる。
燃料噴射ユニット30(図2)は、吸入空気量を制御するスロットル弁、および、吸気通路に燃料を噴射供給する燃料噴射装置を含む。燃料噴射ユニット30は、ECU20の制御信号に基づくタイミングおよび量で吸気通路へ燃料を噴射させる。吸気通路に供給された空気および燃料からなる混合気は、吸気バルブが開いたときにエンジン51のシリンダ内へ供給される。
EGRバルブ50(図2)は、エンジン51のシリンダから排気通路へ排出された燃焼ガスの一部を吸気通路に再循環させるバルブであり、ECU20の制御信号に基づいて開度を変化させる。なお、EGRバルブ50およびEGRバルブ50の制御は省略しても良い。
クランク角センサ60(図2)は、エンジン51のクランク軸の回転角度を検出するセンサであり、ECU20にクランク角信号を出力する。ECU20は、クランク角信号に基づいて、クランク軸の回転角度およびエンジン回転数を計数することができる。
ノックセンサ10(図2)は、ノッキング発生の判定のためにエンジン51において発生する振動を検出する振動検出センサである。ノックセンサ10は、例えば、エンジン51に生じる振動加速度が印加される圧電素子を有し、検出信号として振動加速度に応じた交流電圧を圧電素子から出力する。ノックセンサ10は、例えば、検出対象の周波数範囲でゲインがフラットになる非共振型のセンサである。ノックセンサ10は、例えば、エンジン51のシリンダブロックに取り付けられ、且つ、センサカバー53により覆われる。ノックセンサ10の検出信号はECU20に入力される。
<ECU20の詳細>
次に、ECU20の詳細な構成を説明する。
次に、ECU20の詳細な構成を説明する。
ECU20は、図2に示すように、ノック特徴抽出回路21と、インターフェース回路22と、マイクロコンピュータ23とを有する。マイクロコンピュータ23は、ノック判定値演算部231、ノック判定部232、悪路ノイズ判定部233、点火時期演算部234、燃料噴射演算部235、アクチュエータ制御部236、および、ウインドウ制御部237を有する。
上記構成要素のうち、ノック判定値演算部231、ノック判定部232、および、点火時期演算部234が、ノッキングの発生の判定およびノッキングを抑制するようにエンジン51の制御を行う第1制御手段に相当する。悪路ノイズ判定部233および点火時期演算部234は、悪路ノイズの発生を判定して悪路ノイズの発生に基づきエンジン51の制御内容を変化させる第2制御手段の機能を兼ねている。
マイクロコンピュータ23の各部は、CPU(中央演算処理装置)により実行されるソフトウェアにより構成されてもよいし、DSP(デジタル信号処理回路)等のハードウェアにより構成されてもよい。
ノック特徴抽出回路21は、ノックセンサ10の検出信号からノッキングを判定するための信号成分、並びに、ノッキングに近い周波数を有する悪路ノイズを判定するための信号成分を抽出する回路である。ノック特徴抽出回路21は、ウインドウ制御部237からのタイミング信号によって指定された信号抽出期間に上記の信号成分を抽出し、抽出された信号成分をノック判定値演算部231、ノック判定部232、および、悪路ノイズ判定部233へ出力する。信号抽出期間については、後述する。
図3は、ノック特徴抽出回路21の一例を示すブロック図である。
ノック特徴抽出回路21は、図3に示すように、ゲイン調整部211、フィルタ処理部212、整流処理部213、および、ピークホールド処理部214から主に構成される。
ゲイン調整部211は、ノックセンサ10の検出信号のゲインを調整する。ゲインの調整は、例えば、エンジン回転数に応じて変化する検出信号のレベルの調整、或いは、ノックセンサ10の個体差に基づき変化する検出信号のレベルの調整のために行われる。
フィルタ処理部212は、例えばバンドパスフィルタ回路を有し、検出信号からノッキング振動が多く含まれる周波数成分を他の周波数成分より多く通過させる。
整流処理部213は、交流波形の検出信号を整流する。
ピークホールド処理部214は、ウインドウ制御部237のタイミング信号によって指定される信号抽出期間における検出信号のピーク電圧を保持および出力する。
なお、ノック特徴抽出回路21の具体的な構成は、図3の例に限られず、ノックセンサ10の検出信号から、ノッキング振動に多く含まれる信号成分を、指定された信号抽出期間に抽出できれば、どのような構成であってもよい。
インターフェース回路22(図2)は、クランク角センサ60の出力信号の波形を調整してマイクロコンピュータ23へ出力する。
ウインドウ制御部237は、クランク角センサ60からクランク角信号を受けて、各部の処理タイミングを制御する。具体的には、ウインドウ制御部237は、ノック特徴抽出回路21へ信号抽出期間を示すタイミング信号を出力する。さらに、ウインドウ制御部237は、ノック判定値演算部231、ノック判定部232、および、悪路ノイズ判定部233へ信号を取り込ませるタイミング信号を出力する。これらのタイミングについては後述する。
ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、後述のノック判定処理を実行して、ノッキング発生の判定する。ノック判定部232は、判定結果を、点火時期演算部234、燃料噴射演算部235、および、アクチュエータ制御部236へ通知する。
点火時期演算部234は、後述するノッキング対策制御処理、および、悪路ノイズ対策制御処理を実行して、点火ユニット40を制御する。
燃料噴射演算部235は、実施の形態2で説明するノッキング対策制御処理、および、悪路ノイズ対策制御処理を実行して、燃料噴射ユニット30を制御する。実施の形態1においては、燃料噴射演算部235は省略してもよい。
アクチュエータ制御部236は、実施の形態3で説明するノッキング対策制御処理、および、悪路ノイズ対策制御処理を実行して、EGRバルブ50を制御する。実施の形態1においては、アクチュエータ制御部236は省略してもよい。
悪路ノイズ判定部233は、後述する悪路ノイズ判定処理を実行し、悪路ノイズ発生の判定する。悪路ノイズ判定部233は、判定結果を、点火時期演算部234、燃料噴射演算部235、および、アクチュエータ制御部236へ通知する。
<ノック判定処理>
次に、ノック判定値演算部231およびノック判定部232によって実行されるノック判定処理について説明する。
次に、ノック判定値演算部231およびノック判定部232によって実行されるノック判定処理について説明する。
図4は、ノック判定処理を示すフローチャートである。
図4のノック判定処理は、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。
ノック判定処理が開始されると、まず、ステップS41において、ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、ウインドウ制御部237のタイミング信号に基づいて、ノック特徴抽出回路21の出力レベルをノック振動検出値として取得する。具体的には、マイクロコンピュータ23がノック特徴抽出回路21の出力電圧をA/D(アナログ・デジタル)変換して、変換後のデジタル値を取得する。ノック振動検出値を取得するタイミングは、エンジン51の1サイクル期間内におけるノッキング振動が発生する可能性のある期間(図9の検出ウインドウKW)の経過直後のタイミングである。ノック振動検出値は、ノック特徴抽出回路21によりこの期間に抽出された信号値を示す。
ステップS42では、ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、取得したノック振動検出値を対数変換して対数ノック振動検出値を算出する。
ステップS43では、ノック判定部232は、対数ノック振動検出値を、ノック判定閾値(=閾値オフセット+対数平均値)と比較して、対数ノック振動検出値の方が大きいか否かを判定する。ステップS43の処理がノッキングの発生を判定する処理の一例である。対数平均値は、ステップS46でノック判定値演算部231により算出される値である。閾値オフセットは、実験等により予め定められた値である。
比較の結果、対数ノック振動検出値の方が大きければ、ノック判定部232は、ノッキング発生が有りの判定結果をメモリ等に保持する(ステップS44)。ノック判定部232に保持された判定結果は、点火時期演算部234、燃料噴射演算部235、および、アクチュエータ制御部236へ出力される。
一方、対数ノック振動検出値の方が小さければ、ノック判定部232は、ノッキング発生無しの判定結果をメモリ等に保持する(ステップS45)。ノック判定部232に保持された判定結果は、点火時期演算部234、燃料噴射演算部235、および、アクチュエータ制御部236へ出力される。
なお、ステップS44およびステップS45の処理は、ステップS43の判定処理に続いて、ノッキングの発生に応じた制御処理へ移行する構成とすることで、省略することができる。
ステップS46では、ノック判定値演算部231は、過去の複数のエンジンサイクルでそれぞれ取得された複数のノック振動検出値の平均値およびこれを対数変換した対数平均値を算出する。そして、1回のノック判定処理が終了する。
図5は、ノック判定処理を説明する図である。図5の横軸は対数ノック振動検出値を示し、縦軸は過去複数回のエンジンサイクルにおける頻度を示す。
ノック振動検出値は、上述したように、ノックセンサ10の検出信号からノッキングが発生する可能性のある期間において抽出された信号値である。よって、複数のエンジンサイクルにわたって対数ノック振動検出値を取得および算出した場合、図5のヒストグラムに示されるように、対数ノック振動検出値は低い範囲に分布する。また、少ない頻度でノッキングが発生すると、対数ノック振動検出値は分布と比較して高い値となる。
一方、対数ノック振動検出値の分布の傾向は余り変化しないが、対数ノック振動検出値が分布する範囲の絶対値は、エンジン回転数またはノックセンサ10の個体バラツキ等の外的要因によって変化する。
従って、図4のノック判定処理では、複数のエンジンサイクルにわたって取得されるノック振動検出値の母集団から対数平均値を算出し(ステップS46)、対数平均値に閾値オフセットを加算してノック判定閾値を決定している(ステップS43)。さらに、図4のノック判定処理では、ノック判定閾値と対数ノック振動検出値との大小比較によって(ステップS43)、ノッキングにより通常分布と比較して値が大きくなるノック振動検出値を判別して、ノッキングの発生を判定することが可能になっている。
上記のノック判定処理により、悪路ノイズなどの異常なノイズが発生していない場合には、ノッキングの発生が精度よく判定できる。
<ノッキング対策制御処理>
次に、点火時期演算部234により実行されるノッキング対策制御処理について説明する。
次に、点火時期演算部234により実行されるノッキング対策制御処理について説明する。
図6は、ノッキング対策制御処理を示すフローチャートである。図7は、図6のステップS66の算出処理を説明する演算条件テーブルである。図8は、ノッキング対策制御処理の一例を説明するタイミングチャートである。
ノッキング対策制御処理は、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。
ノッキング対策制御処理は、図8に示すように、ノッキング発生の判定に基づいて、点火時期を基準点火時期から補正する処理である。
具体的には、図8に示すように、ノッキングの発生が判定されたら、点火時期を一定量(以下では「ノック判定時遅角量」と呼ぶ)だけ遅角させる。さらに、ノッキングの発生と判定されない期間が所定期間(以下では「復帰サイクルC」と呼ぶ)続いたら、ノック判定時遅角量より小さな進角量(以下では「復帰時進角量」と呼ぶ)で、点火時期を進角させる。
基準点火時期とは、エンジン51の回転数等に基づいて決定される基準的な点火時期である。
図6のノッキング対策制御処理が開始されると、点火時期演算部234は、先ずステップS61で、エンジンサイクルをカウントするサイクルカウンタが、復帰サイクルC(図8の期間Cの終端サイクル)になったか否かを判定する。
判定の結果が肯定であれば、点火時期演算部234は、ステップS62で復帰タイミングであるとの判定結果をメモリ等に保持する。
続いて、点火時期演算部234は、ステップS64でサイクルカウンタをクリアする。
一方、ステップS61の判定結果が否であれば、点火時期演算部234は、ステップS63で復帰タイミングでないとの判定結果をメモリ等に保持する。
なお、ステップS62およびステップS63の処理は、ステップS61の判定処理に続いて、直ぐに判定結果に応じた制御処理へ移行する構成とすることで、省略することができる。
続いて、点火時期演算部234は、ステップS65でサイクルカウンタをインクリメントする。
ステップS66では、点火時期演算部234は、演算条件テーブル70(図7参照)に従って、点火時期補正値を算出する。演算条件は、図4のノック判定処理でメモリ等に保持されているノッキングの判定結果と、図6のステップS62又はステップS63でメモリ等に保持した復帰タイミングか否かの判定結果とから決定される。
すなわち、図7の(1)の欄に示すように、復帰タイミングであり、ノッキングの発生有りの判定であれば、点火時期演算部234は、点火時期補正値を「1サイクル前補正値−ノック判定時遅角量+復帰時進角量」として算出する。この算出により、ノッキング発生有りと判定されたサイクルで、点火時期が「ノック判定時遅角量−復帰時進角量」だけ遅角して(図8のサイクルC1を参照)、ノッキングの多発が防止される。
図7の(2)の欄に示すように、復帰タイミングであり、ノッキングの発生無しの判定であれば、点火時期演算部234は、点火時期補正値を「1サイクル前補正値+復帰時進角量」として算出する。この算出により、ノッキングがしばらく発生しないサイクルでは、点火時期が徐々に進角して(図8のサイクルC2、C3、C4、C5)、より効率的なエンジン51の燃焼が行われる。
図7の(3)の欄に示すように、復帰タイミングでなく、ノッキング発生有りの判定であれば、点火時期演算部234は、点火時期補正値を「1サイクル前補正値−ノック判定時遅角量」として算出する。この算出により、ノッキング発生有りと判定されたら、遅延なく、点火時期が「ノック判定時遅角量」だけ遅角して、ノッキングの多発が防止される(図8のサイクルN1を参照)。
図7の(4)の欄に示すように、復帰タイミングでなく、ノッキングの発生無しの判定であれば、点火時期演算部234は、点火時期補正値を1サイクル前の補正値と同値とし、点火時期補正値を変更しない。
このように点火時期補正値が算出されたら、点火時期演算部234は、補正値が反映されたタイミングで点火ユニット40にタイミング信号を出力して点火プラグを点火させる。
なお、図6の点火時期補正値の算出処理(ステップS66)においては、点火時期が適正な範囲を超えないように、点火時期補正量の最大値と最小値とを定めておいてもよい。そして、点火時期補正量が最大値を超えた場合には最大値とし、最小値を下回った場合には最小値となるように制御してもよい。
上述したノック判定処理(図4)およびノッキング対策制御処理(図6)によれば、図8に示すように、ノッキングの発生と判定された場合に遅延なく点火時期が遅角されて、その後にノッキングが多発してしまうことが防止される。さらに、ノッキングの発生と判定されない場合には、点火時期が徐々に進角される。これらの制御により、点火時期がノッキング限界付近に制御され、エンジン51の燃費および出力特性が向上される。
<悪路ノイズおよび検出ウインドウ>
次に、ノックセンサ10の出力に混入する可能性のある悪路ノイズと、ノック特徴抽出回路21(図2)が信号の抽出を行う検出ウインドウについて説明する。
次に、ノックセンサ10の出力に混入する可能性のある悪路ノイズと、ノック特徴抽出回路21(図2)が信号の抽出を行う検出ウインドウについて説明する。
鞍乗型車両1が砂利道等の悪路を走行する場合、跳ねた石がエンジン51或いは動力伝達部52のクランクケースに当たり、この振動がノックセンサ10に伝わって、ノックセンサ10の検出出力に外来ノイズ(「悪路ノイズ」と呼ぶ)となって混入するおそれがある。悪路ノイズが、ノッキング振動の周波数と近い成分を有していると、ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、ノッキング発生の判定が正確にできなくなる可能性が生じる。
例えば、悪路ノイズの強度が高い場合に、ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、悪路ノイズをノッキングと誤って判定してしまう可能性がある。
また、小さな悪路ノイズが多く混入した場合に、図5の対数ノック振動抽出値の分布に大きな誤差が生じることで、ノック判定値演算部231が算出するノック判定閾値(図5)に大きな誤差が含まれてしまう。ノック判定閾値が正常値より大きく設定されてしまうと、ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、比較的に小さなノッキングが発生したときにこれをノッキングと判定することが困難になる。
図9は、ノック特徴抽出回路の信号抽出期間を示す検出ウインドウを説明する図である。図9は、エンジン51の1サイクル期間(−360°〜360°)におけるノックセンサ10の検出信号波形の一例を示している。図9の波形図の横軸は上死点を0°としたクランク角度を示し、縦軸は検出信号の信号強度を示している。
本実施の形態では、ノッキングの振動信号と共に悪路ノイズを判定するため、ノック特徴抽出回路21(図2)は、図9に示す検出ウインドウKW,NW1,NW2において信号の抽出を行う。ウインドウ制御部237(図2)は、これら検出ウインドウKW,NW1,NW2に合わせてピークホールド処理部214がピークホールド処理を行うタイミング信号を出力する。
検出ウインドウKWは、ノッキングが発生する可能性のある第1期間に対応する。例えば、検出ウインドウKWは、上死点の僅か手前からシリンダ内の燃焼が広がり終わる60°程度の期間に設定されている。
検出ウインドウNW1は、検出ウインドウKW,NW2と重ならず、且つ、エンジン51の機械振動の発生期間と比較してエンジン51の振動が少ない第2期間に対応する。例えば、検出ウインドウNW1は、排気行程中の振動の発生が少ない期間に設定されている。
検出ウインドウNW2は、エンジン51の機械振動が発生する第3期間に対応する。例えば、検出ウインドウNW2は、排出バルブの着座ノイズが発生する期間に設定されている。
検出ウインドウKWで抽出された信号は、前述のように、ノッキング発生の判定のために、ノック判定値演算部231およびノック判定部232(図2)により取り込まれる。ノック判定値演算部231およびノック判定部232は、ウインドウ制御部237のタイミング信号により、この信号の取り込みを行う。
一方、検出ウインドウNW1,NW2で抽出された信号は、悪路ノイズ発生の判定のために、悪路ノイズ判定部233により取り込まれる。悪路ノイズ判定部233は、ウインドウ制御部237のタイミング信号により、この信号の取り込みを行う。悪路ノイズ判定部233は、取り込んだ信号に基づいて、続いて説明する2種類の悪路ノイズ判定処理を実行する。
ノック特徴抽出回路21、ウインドウ制御部237、ノック判定値演算部231およびノック判定部232のうち、検出ウインドウKWの信号を取り込む構成が第1取得手段に相当する。ノック特徴抽出回路21、ウインドウ制御部237、および、悪路ノイズ判定部233のうち、検出ウインドウNW1の信号を取り込む構成が第2取得手段に相当し、検出ウインドウNW2の信号を取り込む構成が第3取得手段に相当する。
<第1の悪路ノイズ判定処理>
図10は、第1の悪路ノイズ判定処理のフローチャートである。
図10は、第1の悪路ノイズ判定処理のフローチャートである。
第1の悪路ノイズ判定処理は、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。
第1の悪路ノイズ判定処理が開始されると、悪路ノイズ判定部233は、ステップS101で、検出ウインドウNW1で抽出された信号レベル(以下では「悪路ノイズ検出値」と呼ぶ)の取り込みを行う。具体的には、マイクロコンピュータ23がノック特徴抽出回路21の出力電圧を、指定されたタイミングでA/D変換して、変換後のデジタル値を取得する。
ステップS102では、悪路ノイズ判定部233は、取得した悪路ノイズ検出値が、悪路ノイズ閾値より大きいか否かを判定する。ステップS102の処理が外来ノイズとしての悪路ノイズの発生を判定する処理の一例である。悪路ノイズ閾値は、ステップS106で算出される値である。
判定の結果が肯定であれば、ステップS103で、悪路ノイズ判定部233は、悪路ノイズ状態(1)が発生との判定結果をメモリ等に保持する。ここで、悪路ノイズ状態(1)とは、悪路ノイズが少ない頻度で発生したことを意味している。この理由は後で説明する。
一方、判定の結果が否であれば、ステップS104で、悪路ノイズ判定部233は、悪路ノイズ状態(1)が非発生の判定結果をメモリ等に保持する。
ステップS105では、悪路ノイズ判定部233は、過去の複数サイクルで取得された複数の悪路ノイズ検出値を母集団として、悪路ノイズ検出値の平均値を算出する。
ステップS106では、悪路ノイズ判定部233は、悪路ノイズ検出値の平均値を用いて、悪路ノイズ状態の発生の判定する閾値(以下では、悪路ノイズ閾値と呼ぶ)を算出する。例えば、悪路ノイズ判定部233は、悪路ノイズ閾値として、「悪路ノイズ検出値の平均値×予め実験等で定められた係数」を算出する。
悪路ノイズ検出値は、上述したように、エンジンサイクル内の振動の少ない期間(検出ウインドウNW1の期間)において抽出された信号値である。よって、悪路ノイズが少ない頻度で発生する状況においては、複数のエンジンサイクルにわたって悪路ノイズ検出値を取得した場合、悪路ノイズ検出値は低いレベル範囲に分布する。このとき、悪路ノイズが発生すると、悪路ノイズ検出値は分布と比較して高い値となる。
一方、悪路ノイズ検出値の分布は、分布の傾向については余り変化しないが、分布範囲の絶対値については、エンジン回転数またはノックセンサ10の個体バラツキ等の外的要因によって変化する。
従って、図10の悪路ノイズ判定処理では、複数のエンジンサイクルにわたって取得される悪路ノイズ検出値の母集団から平均値を算出し(ステップS105)、平均値に係数を乗算して悪路ノイズ閾値を決定している(ステップS106)。そして、悪路ノイズ検出値と悪路ノイズ閾値とを比較することで、悪路ノイズが少ない頻度で発生する状況において、悪路ノイズの発生を判定することが可能になっている。
ステップS102,S105,S106の処理は、悪路ノイズ検出値の散らばり度合いを判定する統計処理手段として機能している。
図11は、第1の悪路ノイズ判定処理の変形例を示すフローチャートである。
図10の第1の悪路ノイズ判定処理は、図11のように変更することができる。すなわち、図10の悪路ノイズ検出値と悪路ノイズ閾値との比較は、母集団における悪路ノイズ検出値の標準偏差と所定の閾値との比較と同値である。よって、図11に示すように、悪路ノイズ判定部233は、取得した悪路ノイズ検出値の標準偏差を算出し(ステップS112)、算出した値と予め試験等で決定された悪路ノイズ設定閾値とを比較する(ステップS113)。これにより、悪路ノイズ判定部233は、図10の処理と同様に、悪路ノイズが少ない頻度で発生する状況において、悪路ノイズの発生の有り又は無しを判定することができる。ステップS111、S114、S115の処理は、図10のステップS101、S103、S104の処理と同様である。
ステップS112の処理は、悪路ノイズ検出値の散らばり度合いを算出する統計処理手段として機能する。
以上のように、第1の悪路ノイズ判定処理は、悪路ノイズが少ない頻度で発生する状況において、悪路ノイズの発生の正確に判定できる。一方、第1の悪路ノイズ判定処理では、悪路ノイズが頻繁に発生している場合に、悪路ノイズ検出値の母集団に、悪路ノイズ発生時の値が多く含まれてしまうため、悪路ノイズの正確な判定が困難となる。例えば、徐々に悪路ノイズが多くなっていく場合、徐々に悪路ノイズが大きくなっていく場合、又は、これらが複合するような場合には、第1の悪路ノイズ判定処理では正確な悪路ノイズの発生の判定が困難になる。
そこで、悪路ノイズ判定部233は、続いて説明する第2の悪路ノイズ判定処理を、第1の悪路ノイズ判定処理と併せて実行する。
<第2の悪路ノイズ判定処理>
図12は、第2の悪路ノイズ判定処理を示すフローチャートである。
図12は、第2の悪路ノイズ判定処理を示すフローチャートである。
第2の悪路ノイズ判定処理は、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。
第2の悪路ノイズ判定処理が開始されると、悪路ノイズ判定部233は、ステップS121で、検出ウインドウNW2(図9)で抽出された信号レベル(以下では「機械振動ノイズ検出値」と呼ぶ)の取り込みを行う。具体的には、マイクロコンピュータ23が、指定されたタイミングでノック特徴抽出回路21の出力電圧をA/D変換して、変換後のデジタル値を取得する。
ステップS122では、悪路ノイズ判定部233は、過去複数サイクルで取得された機械振動ノイズ検出値を母集団とする平均値(第2統計値に相当)を算出する。
ステップS123では、悪路ノイズ判定部233は、検出ウインドウNW1で抽出された悪路ノイズ検出値を取得する。このデータの取得処理は、図10のステップS101の処理と共通にしてもよい。
ステップS124では、悪路ノイズ判定部233は、過去複数サイクルで取得された悪路ノイズ検出値を母集団とする平均値(第1統計値に相当)を算出する。
ステップS125では、悪路ノイズ判定部233は、悪路ノイズ検出値の平均値と機械振動ノイズ検出値の平均値とを、所定の係数で重み付けした上で比較する。ステップS125の処理が悪路ノイズの発生を判定する処理の一例である。係数は、悪路ノイズが適宜判定できるように予め実験等で定めた値である。
ステップS122,S124の処理は、統計情報を算出する統計処理手段として機能する。
比較の結果、「悪路ノイズ検出値の平均値×係数」の方が大きければ、悪路ノイズ判定部233は、ステップS126で、悪路ノイズ状態(2)が発生の判定結果をメモリ等に記憶する。悪路ノイズ状態(2)とは、悪路ノイズが高い頻度で発生している状態を意味する。
一方、「悪路ノイズ検出値の平均値×係数」の方が大きければ、悪路ノイズ判定部233は、ステップS127で、悪路ノイズ状態(2)が非発生の判定結果をメモリ等に記憶する。
そして、第2の悪路ノイズ判定処理が終了する。
悪路ノイズの発生が頻繁に発生する状況では、通常時に振動の少ない検出ウインドウNW1の信号値は、悪路ノイズの大きな信号値が多く含まれることになり、その平均値が大きくなる。一方、機械ノイズが毎回発生する検出ウインドウNW2の期間に抽出される信号値は、大きな機械ノイズの成分が大勢を占めるため、平均値は悪路ノイズの発生が無い状況から大きく変化しない。
よって、第2の悪路ノイズ判定処理では、これらの平均値を比較することで、悪路ノイズの発生が頻繁に発生している状況の判定を行うことができる。
<最終悪路ノイズ判定処理>
次に、悪路ノイズ判定部233により実行される最終悪路ノイズ判定処理について説明する。
次に、悪路ノイズ判定部233により実行される最終悪路ノイズ判定処理について説明する。
図13は、最終悪路ノイズ判定処理を説明する判定条件テーブルである。
最終悪路ノイズ判定処理は、悪路ノイズ判定部233により、例えばエンジン51の1サイクル毎に実行される。
悪路ノイズ判定部233は、第1の悪路ノイズ判定処理の判定結果と、第2の悪路ノイズ判定処理の判定結果とから、図13の判定条件テーブルに従って、最終的な悪路ノイズの発生の有り又は無しを判定する。
すなわち、第1悪路ノイズ判定処理の判定結果と、第2の悪路ノイズ判定処理の判定結果との少なくとも一方が発生の判定結果である場合に、最終的な判断として悪路ノイズが発生したと判定する。
悪路ノイズ判定部233は、最終的な判定結果を保持して、点火時期演算部234等に通知する。
<検出ウインドウの変形例>
ここで、悪路ノイズの判定に使用される検出ウインドウの変形例を説明する。
ここで、悪路ノイズの判定に使用される検出ウインドウの変形例を説明する。
図14は、ノック特徴抽出回路の信号抽出期間を示す検出ウインドウの変形例を説明する図である。
悪路ノイズの判定に使用する信号は、上述の検出ウインドウNW1,NW2に限られず、振動発生の条件がこれらと同様な他の期間に設けてもよい。
通常時に振動が少なくなる期間が複数あれば、図14に示すように、複数の期間に複数の検出ウインドウNW1,NW3をそれぞれ設定してもよい。検出ウインドウNW3は、吸気行程中の期間に対応している。
この場合、検出ウインドウNW1,NW3の両方で取得された悪路ノイズ検出値を用いて、第1悪路ノイズ判定処理を行ってもよい。さらに、検出ウインドウNW1,NW3の各々で取得された悪路ノイズ検出値ごとに、独立した第1悪路ノイズ判定処理を行ってもよい。
同様に、エンジン51の機械振動が恒常的に発生する期間が複数あれば、図14に示すように、複数の期間に複数の検出ウインドウNW2,NW4をそれぞれ設定してもよい。検出ウインドウNW4は、吸気バルブの着座ノイズが発生する期間に対応している。
この場合、検出ウインドウNW2,NW4の両方で取得された機械振動ノイズ検出値を用いて、第2悪路ノイズ判定処理を行ってもよい。さらに、検出ウインドウNW2,NW4の各々で取得された機械振動ノイズ検出値ごとに、独立した第2悪路ノイズ判定処理を行ってもよい。
<悪路ノイズ対策制御処理>
次に、点火時期演算部234により実行される悪路ノイズ対策制御処理について説明する。
次に、点火時期演算部234により実行される悪路ノイズ対策制御処理について説明する。
図15は、悪路ノイズ対策制御処理のフローチャートである。図16は、悪路ノイズ対策制御処理の一例を説明するタイミングチャートである。図16は、悪路ノイズ対策制御処理により、ノッキング対策制御処理の点火時期の制御動作が切り換わる例を示している。
悪路ノイズ対策制御処理は、例えば、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。悪路ノイズ対策制御処理は、点火時期演算部234により、ノッキング対策制御処理と並行して実行される。
悪路ノイズ対策制御処理が開始されると、点火時期演算部234は、ステップS151で、悪路ノイズ判定部233から通知された最終的な判定結果が「発生」であるか否か判別する。
判別の結果が「発生」であれば、点火時期演算部234は、ステップS152で、復帰サイクルを、悪路ノイズ発生時の長いサイクルDに変更する。復帰サイクルとは、図6および図7で説明した点火時期を徐々に進角させていく際のサイクルである。
図16に示すように、復帰サイクルDへの変更により、ノッキング対策制御処理においてノッキング非発生の判定に基づく点火時期の進角スピードが遅くなる。
続いて、点火時期演算部234は、ステップS154で、タイマーTをリセットして、処理をステップS156へ進める。
一方、ステップS151の判別の結果が「非発生」であれば、点火時期演算部234は、ステップS153で、タイマーTの値から最終的な悪路ノイズの判定が「非発生」のまま所定時間STを経過したか判定する。所定時間STは、復帰サイクルに比べて非常に長い時間である。
判定の結果、所定時間STを経過していなければ、点火時期演算部234は、処理をステップS156へ進める。
一方、所定時間STを経過していれば、点火時期演算部234は、ステップS155で、復帰サイクルを悪路ノイズ非発生時のサイクルCに戻した後、処理をステップS156へ進める。
図16に示すように、復帰サイクルCへの変更により、ノッキング対策制御処理においてノッキング非発生の判定に基づく点火時期の進角スピードが元に戻る。
ステップS156では、ECU20は、タイマーTをインクリメントして、1回の悪路ノイズ対策制御処理を終了する。
このような悪路ノイズ対策制御により、悪路ノイズの発生により、ノッキング発生の判定精度が少し低下し、ノッキングの発生が見逃された場合でも、点火時期の進角スピードが遅くなる。これにより、その後にノッキングが多発してしまうことを回避することができる。
なお、本実施の形態1における悪路ノイズ対策制御処理は、次の変形例1,2のように変更が可能である。
図17は、悪路ノイズ対策制御処理の変形例1を示すフローチャートである。
図17の例は、点火時期の進角スピードを調整する方法として、悪路ノイズの発生状況に応じて、点火時期の復帰時進角量を小さい値と元の値とに切り換える方法(ステップS172,S175)を採用した例である。
図18は、悪路ノイズ対策制御処理の変形例2を示すフローチャートである。
図18の例は、悪路ノイズの発生と判定された場合に、ノック判定閾値を決定する閾値オフセットを小さい値に切り換えることで(ステップS182)、ノッキングが発生しているのに、ノッキングの発生なしと判定されることを回避するようにした例である。悪路ノイズか所定期間非発生となったら、閾値オフセットを小さい値に戻す(S185)。
図18の悪路ノイズ対策制御処理は、ノック判定値演算部231により実行される。この場合、悪路ノイズ判定部233の最終的な悪路判定結果は、ノック判定値演算部231に通知される。
図17および図18中のその他のステップは、図15の対応するステップと、同様の処理であり、説明は省略する。
本実施の形態の悪路ノイズ対策制御処理によれば、悪路走行等により小石等が衝突してノックセンサ10の出力信号に外来ノイズが混入しても、ノッキング対策制御処理が誤動作してノッキングが多発してしまうことを回避することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、ノッキング対策制御処理および悪路ノイズ対策制御処理として、実施の形態1のように点火時期を調整する代わりに、燃料噴射量を調整する方法が採用されている。
実施の形態2では、ノッキング対策制御処理および悪路ノイズ対策制御処理として、実施の形態1のように点火時期を調整する代わりに、燃料噴射量を調整する方法が採用されている。
燃料噴射演算部235は、混合気の空燃比を最適値に近づくように燃料噴射ユニット30の燃料噴射装置を駆動することで、燃費および出力特性を向上できる。一方、ノッキングが発生する場合には、燃料の比率が上がるように燃料噴射ユニット30の燃料噴射装置を駆動することにより、燃焼室の温度を下げてノッキングの発生を抑制できる。
以下では、実施の形態1と異なる箇所を主に説明する。
<ノッキング対策制御処理>
図19は、本発明の実施の形態2のノッキング対策制御処理を説明する演算条件テーブルである。
図19は、本発明の実施の形態2のノッキング対策制御処理を説明する演算条件テーブルである。
図19において、「燃料噴射量補正値」とは、エンジン回転数およびスロットルハンドルの回転量等に基づき決定される基準的な燃料噴射量からの調整量を示す。「ノック判定時増加量」とは、ノッキングの発生と判定されたときの燃料噴射量の増加量を示す。「復帰時減少量」とは、ノッキングの発生と判定されずに復帰サイクルが経過したときの燃料噴射量の減少量を示す。
本実施の形態2では、燃料噴射演算部235が、図6のノッキング対策制御処理を実行する。燃料噴射演算部235は、ノッキング対策制御処理(図6)のステップS66において、図19の演算条件テーブル72に従って、燃料噴射量の補正値を演算する。
例えば、図19の(1)の欄に示すように、復帰タイミングであり、ノッキングの発生有りの判定であれば、燃料噴射演算部235は、燃料噴射量補正値を「1サイクル前補正値+ノック判定時増加量−復帰時減少量」として算出する。
図19の(2)の欄に示すように、復帰タイミングであり、ノッキングの発生無しの判定であれば、燃料噴射演算部235は、燃料噴射量補正値を「1サイクル前補正値−復帰時減少量」として算出する。
図19の(3)の欄に示すように、復帰タイミングでなく、ノッキング発生有りの判定であれば、燃料噴射演算部235は、燃料噴射量補正値を「1サイクル前補正値+ノック判定時増加量」として算出する。
図19の(4)の欄に示すように、復帰タイミングでなく、ノッキングの発生無しの判定であれば、燃料噴射演算部235は、燃料噴射量を1サイクル前の補正値と同値とし、燃料噴射量補正値を変更しない。
このように燃料噴射量補正値が算出されたら、燃料噴射演算部235は、基準的な燃料噴射量から燃料噴射量補正値で補正した量で燃料が噴射されるように、燃料噴射ユニット30の燃料噴射装置を駆動する。
このようなノッキング対策制御処理によれば、ノッキングが検出された場合には、遅延なく燃料噴射量が増加されて、その後にノッキングが多発してしまうことが防止される。さらに、ノッキングが検出されない場合には、燃料噴射量が徐々に減少される。これらの制御により、燃料噴射量がノッキング限界付近に制御され、エンジン51の燃費および出力特性が向上される。
なお、燃料噴射量補正値の算出処理においては、燃料噴射量が適正な範囲を超えないように、燃料噴射量補正量の最大値と最小値とを定めておいてもよい。そして、燃料噴射量補正量が最大値を超えた場合には最大値とし、最小値を下回った場合には最小値となるように制御してもよい。
<悪路ノイズ対策制御処理>
図20は、実施の形態2の悪路ノイズ対策制御処理のフローチャートである。
図20は、実施の形態2の悪路ノイズ対策制御処理のフローチャートである。
悪路ノイズ対策制御処理は、例えば、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。悪路ノイズ対策制御処理は、燃料噴射演算部235により、ノッキング対策制御処理と並行して実行される。
悪路ノイズ対策制御処理が開始されると、燃料噴射演算部235は、ステップS201で、悪路ノイズ判定部233から通知された最終的な判定結果が「発生」であるか判別する。
判別の結果が「発生」であれば、燃料噴射演算部235は、ステップS202で、燃料噴射量の復帰時減少量を、悪路ノイズ発生時用の小さい値に変更する。これにより、ノッキング対策制御においてノッキング非発生の判定に基づく燃料噴射量の減少スピードが遅くなる。
続いて、燃料噴射演算部235は、ステップS204で、タイマーTをリセットして、処理をステップS206へ進める。
一方、ステップS201の判別の結果が「非発生」であれば、燃料噴射演算部235は、ステップS203で、タイマーTの値から最終的な悪路ノイズの判定が「非発生」のまま所定時間STを経過したか判定する。
判定の結果、所定時間STを経過していなければ、燃料噴射演算部235は、処理をステップS206へ進める。
一方、所定時間STを経過していれば、燃料噴射演算部235は、ステップS205で、燃料噴射量の復帰時減少量を悪路ノイズ非発生時の値に戻した後、処理をステップS206へ進める。ステップS205の処理により、ノッキング対策制御においてノッキング非発生の判定に基づく燃料噴射量の減少スピードが元に戻る。
ステップS206では、ECU20は、タイマーTをインクリメントして、1回の悪路ノイズ対策制御処理を終了する。
このような悪路ノイズ対策制御により、悪路ノイズの発生により、ノッキング発生の判定精度が少し低下し、ノッキングの発生が見逃された場合でも、燃料噴射量の減少スピードが遅くなる。これにより、その後にノッキングが多発してしまうことを回避することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、ノッキング対策制御処理および悪路ノイズ対策制御処理として、実施の形態1のように点火時期を調整する代わりに、混合気中に含有させるEGRガスの量(以下では、EGR量と呼ぶ)を調整する方法が採用されている。
実施の形態3では、ノッキング対策制御処理および悪路ノイズ対策制御処理として、実施の形態1のように点火時期を調整する代わりに、混合気中に含有させるEGRガスの量(以下では、EGR量と呼ぶ)を調整する方法が採用されている。
アクチュエータ制御部236は、EGRバルブ50の開度を変更してEGR量を調整することで、窒素酸化物(NOx)の発生量を低減できるとともに、燃料消費率を向上できる。また、ノッキングが発生する場合には、EGR量を多くして混合気の燃焼温度を低くすることでノッキング発生を抑制できる。
以下では、実施の形態1と異なる箇所を主に説明する。
<ノッキング対策制御処理>
図21は、本発明の実施の形態3のノッキング対策制御処理を説明する演算条件テーブルである。
図21は、本発明の実施の形態3のノッキング対策制御処理を説明する演算条件テーブルである。
図21において、「EGR量補正値」とは、エンジン回転数等に基づき決定される基準的なEGR量からの調整値を示す。「ノック判定時増加量」とは、ノッキングの発生と判定されたときのEGR量の増加量を示す。「復帰時減少量」とは、ノッキングの発生と判定されずに復帰サイクルが経過したときのEGR量の減少量を示す。
本実施の形態3では、アクチュエータ制御部236が、図6のノッキング対策制御処理を実行する。アクチュエータ制御部236は、ノッキング対策制御処理(図6)のステップS66において、図21の演算条件テーブル73に従って、EGR量の補正値を演算する。
例えば、図21の(1)の欄に示すように、復帰タイミングであり、ノッキングの発生有りの判定であれば、アクチュエータ制御部236は、EGR量補正値を「1サイクル前補正値+ノック判定時増加量−復帰時減少量」として算出する。
図21の(2)の欄に示すように、復帰タイミングであり、ノッキングの発生無しの判定であれば、アクチュエータ制御部236は、EGR量補正値を「1サイクル前補正値−復帰時減少量」として算出する。
図21の(3)の欄に示すように、復帰タイミングでなく、ノッキング発生有りの判定であれば、アクチュエータ制御部236は、EGR量補正値を「1サイクル前補正値+ノック判定時増加量」として算出する。
図21の(4)の欄に示すように、復帰タイミングでなく、ノッキングの発生無しの判定であれば、アクチュエータ制御部236は、EGR量を1サイクル前の補正値と同値とし、EGR量補正値を変更しない。
このようにEGR量補正値が算出されたら、アクチュエータ制御部236は、補正されたEGR量の燃焼ガスの再循環が行われるようにEGRバルブ50を駆動する。
このようなノッキング対策制御処理によれば、ノッキングの発生と判定された場合に遅延なくEGR量が増加されて、その後にノッキングが多発してしまうことが防止される。さらに、ノッキングの発生と判定されない場合には、EGR量が徐々に減少される。これらの制御により、EGR量がノッキング限界付近に制御され、エンジン51の燃費および出力特性が向上される。
なお、EGR量補正値の算出処理においては、EGR量が適正な範囲を超えないように、EGR量補正量の最大値と最小値とを定めておいてもよい。そして、EGR量補正量が最大値を超えた場合には最大値とし、最小値を下回った場合には最小値となるように制御してもよい。
<悪路ノイズ対策制御処理>
図22は、実施の形態3の悪路ノイズ対策制御処理のフローチャートである。
図22は、実施の形態3の悪路ノイズ対策制御処理のフローチャートである。
悪路ノイズ対策制御処理は、例えば、エンジン51の1サイクル内の所定タイミングに開始され、エンジン51の1サイクルごとに繰り返し実行される。悪路ノイズ対策制御処理は、アクチュエータ制御部236により、ノッキング対策制御処理と並行して実行される。
悪路ノイズ対策制御処理が開始されると、アクチュエータ制御部236は、ステップS221で、悪路ノイズ判定部233から通知された最終的な判定結果が「発生」であるか判別する。
判別の結果が「発生」であれば、アクチュエータ制御部236は、ステップS222で、EGR量の復帰時減少量を、悪路ノイズ発生時用の小さい値に変更する。これにより、ノッキング対策制御においてノッキング非発生の判定に基づくEGR量の減少スピードが遅くなる。
続いて、アクチュエータ制御部236は、ステップS224で、タイマーTをリセットして、処理をステップS226へ進める。
一方、ステップS221の判別の結果が「非発生」であれば、アクチュエータ制御部236は、ステップS223で、タイマーTの値から最終的な悪路ノイズの判定が「非発生」のまま所定時間STを経過したか判定する。所定時間STは、復帰サイクルに比べて非常に長い時間である。
判定の結果、所定時間STを経過していなければ、アクチュエータ制御部236は、処理をステップS226へ進める。
一方、所定時間STを経過していれば、アクチュエータ制御部236は、ステップS225で、EGR量の復帰時減少量を悪路ノイズ非発生時の値に戻した後、処理をステップS226へ進める。ステップS225の処理により、ノッキング対策制御においてノッキング非発生の判定に基づくEGR量の減少スピードが元に戻る。
ステップS226では、ECU20は、タイマーTをインクリメントして、1回の悪路ノイズ対策制御処理を終了する。
このような悪路ノイズ対策制御により、悪路ノイズの発生により、ノッキング発生の判定精度が少し低下し、ノッキングの発生が見逃された場合でも、EGR量の減少スピードが遅くなる。これにより、その後にノッキングが多発してしまうことを回避することができる。
以上のように、本実施の形態のECU20、パワーユニット、および、鞍乗型車両1によれば、エンジン51や動力伝達部52のクランクケースに小石等が衝突して、ノックセンサの出力に悪路ノイズが混入した場合でも、これを検知することができる。さらに、悪路ノイズ対策制御処理により、悪路ノイズが検知された場合にノッキング対策制御処理の内容が切り換えられる。これにより、悪路ノイズの発生によりノッキング発生の判定精度が少し低下しても、ノッキングが多発してしまうことを回避することができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態で具体的に説明した構成および方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更可能である。
例えば、本発明に係る鞍乗型車両は、図1に示したタイプの自動二輪車に限られず、膝を閉じて搭乗することもできるスクータ型の車両も包含する。また、本発明に係る鞍乗型車両は、鞍乗型であれば二輪に限られず、三輪または四輪等の車両であってもよい。
また、上記実施の形態では、内燃機関として、4ストローク且つ空冷のエンジンを採用した例を説明したが、内燃機関は2ストロークエンジンでもよく、また、水冷のエンジンに本発明を適用することもできる。
また、上記実施の形態では、ノックセンサとして非共振型のセンサを採用した構成を例にとって説明した。しかしながら、共振周波数帯の検出レベルが高くなる共振型のノックセンサが採用されてもよく、この場合、上記共振周波数帯を、実施の形態のフィルタ処理部212の通過域と同様の帯域に設定することで、フィルタ処理部212を省略することができる。
また、上記実施の形態では、悪路ノイズの発生と判定された場合に、制御パラメータを変更した上でノッキング対策制御処理を続行させる例を説明した。しかしながら、悪路ノイズの発生と判定された場合には、ノッキング発生又は非発生の判定結果に拘らずに、ノッキングが余裕をもって発生しないように制御パラメータ(点火時期、燃料噴射量、又はEGR量等)を安定領域に退避させる制御を行ってもよい。
また、ノッキング対策制御処理および悪路ノイズ対策制御処理は、上記実施の形態1〜3の各処理を複合させた処理としてもよい。
また、上記実施の形態では、第1取得手段、第2取得手段、および、第3取得手段として、エンジンの1サイクル期間内の特定期間にノックセンサの信号を取り込む構成を、ハードウェアにより構成した例を示した。しかし、これらはソフトウェアにより構成してもよい。また、上記実施の形態では、第1制御手段として、ノッキングの発生の判定、および、この判定結果に基づくエンジンの燃焼制御を行う構成を、主にソフトウェアにより実現する形態を示した。また、第2制御手段として、悪路ノイズの発生の判定、および、この判定結果に基づくエンジンの燃焼制御の内容を変更する構成を、主にソフトウェアにより実現する形態を示した。しかしながら、第1制御手段、および、第2制御手段は、例えばデジタルシグナルプロセッサ或いはシーケンサなどを用いて、ハードウェアにより実現してもよい。
また、上記実施の形態では、ノックセンサ10の検出信号を特定の期間に取り込む構成、ノッキングの発生を判定する構成、ノッキングが発生した場合にノッキングを抑制するようにエンジン51を制御する構成、悪路ノイズの発生を判定する構成、および、悪路ノイズ発生の判定結果に基づいてエンジン51の制御内容を変化させる構成が、1つのECU20に収容された構成を例にとって説明した。しかしながら、これらの構成のうち1つ又は複数を、互いに分け離して信号線等により結んで構成してもよい。
また、本発明において、「ノッキングの発生の判定」とは、種々の形態を含む。例えば、ノッキングの発生の判定とは、ノックセンサの検出信号からノッキングが発生していることを判定する形態を含む。また、ノッキングの発生の判定とは、ノックセンサの検出信号からノッキングが発生していないことを判定する形態も含む。ノッキング発生の判定方法は、ノックセンサの検出信号を処理して得た値を、ノッキングが発生した値として予め実験的に定められた基準値と比較する形態を含む。基準値としては、ノッキングが発生した値として、予め実験的に定められた方法によって算出された値を用いてもよい。さらに、ノッキング発生の判定方法は、ノックセンサの検出信号を処理して得た値と基準値との比較の結果、前者が大きい場合にノッキングが発生したと判定する形態を含む。また、ノッキング発生の判定方法は、ノックセンサの検出信号を処理して得た値と基準値との比較の結果、前者が小さい場合にノッキングが発生していないと判定する形態を含む。
また、本発明において、「外来ノイズの発生の判定」とは、種々の形態を含む。例えば、外来ノイズの発生の判定とは、外来ノイズが発生していることを判定する形態、外来ノイズが発生していないことを判定する形態、或いは、これら両方の判定を行う形態を含む。外来ノイズの発生の判定方法は、ノックセンサの検出信号を処理して得た値を、外来ノイズが発生した値として予め実験的に定められた基準値と比較する形態を含む。基準値としては、外来ノイズが発生した値として、予め実験的に定められた方法によって算出された値を用いてもよい。さらに、外来ノイズの発生の判定方法は、ノックセンサの検出信号を処理して得た値と基準値との比較の結果、前者が大きい場合に外来ノイズが発生したと判定する形態を含む。また、ノッキング発生の判定方法は、ノックセンサの検出信号を処理して得た値と基準値との比較の結果、前者が小さい場合に外来ノイズが発生していないと判定する形態を含む。
本発明は、例えば自動二輪車などの鞍乗型車両、そのパワーユニット、および、ECUに利用することができる。
1 鞍乗型車両
3 前輪
4 後輪
5 エンジンユニット
7 シート
10 ノックセンサ
20 ECU
21 ノック特徴抽出回路
23 マイクロコンピュータ
30 燃料噴射ユニット
40 点火ユニット
50 EGRバルブ
51 エンジン
52 動力伝達部
60 クランク角センサ
214 ピークホールド処理部
231 ノック判定値演算部
232 ノック判定部
233 悪路ノイズ判定部
234 点火時期演算部
235 燃料噴射演算部
236 アクチュエータ制御部
237 ウインドウ制御部
3 前輪
4 後輪
5 エンジンユニット
7 シート
10 ノックセンサ
20 ECU
21 ノック特徴抽出回路
23 マイクロコンピュータ
30 燃料噴射ユニット
40 点火ユニット
50 EGRバルブ
51 エンジン
52 動力伝達部
60 クランク角センサ
214 ピークホールド処理部
231 ノック判定値演算部
232 ノック判定部
233 悪路ノイズ判定部
234 点火時期演算部
235 燃料噴射演算部
236 アクチュエータ制御部
237 ウインドウ制御部
Claims (12)
- 鞍乗型車両に搭載される内燃機関の振動を検出するノックセンサから検出信号が入力される内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の1サイクル期間内において、ノッキングが発生する可能性のある第1期間に前記ノックセンサから出力された信号を取り込む第1取得手段と、
前記内燃機関の1サイクル期間内において、前記第1期間および前記内燃機関の機械振動によるノイズの発生期間を除く第2期間に前記ノックセンサから出力された信号を取り込む第2取得手段と、
前記第1取得手段により取り込まれた信号に基づきノッキングの発生を判定し、ノッキングが発生した場合にノッキングを抑制するように前記内燃機関を制御する第1制御手段と、
前記第2取得手段により取り込まれた信号に基づき、前記鞍乗型車両の外的状況に起因する外来ノイズの発生を判定し、判定結果に基づいて前記第1制御手段による前記内燃機関の制御内容を変化させる第2制御手段と、
を具備する内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の1サイクル期間内における、前記機械振動の発生期間に重なる第3期間に、前記ノックセンサから出力された信号を取り込む第3取得手段、
をさらに具備し、
前記第2制御手段は、前記第2取得手段により取り込まれた信号と、前記第3取得手段により取り込まれた信号とに基づいて、前記外来ノイズの発生を判定する、
請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第2制御手段は、
前記第2取得手段によって取り込まれた信号の統計情報を算出する統計処理手段を具備し、
前記統計情報に基づいて外来ノイズの発生を判定する、
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記統計処理手段は、
前記統計情報として、前記第2取得手段によって取り込まれた信号レベルの散らばり度合いを算出する、
請求項3記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第2制御手段は、
前記第2取得手段および前記第3取得手段によって取り込まれた信号の統計情報を算出する統計処理手段を具備し、
前記統計情報に基づいて外来ノイズの発生を判定する、
請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記統計処理手段は、前記統計情報として、前記第2取得手段によって複数のサイクル期間にそれぞれ取り込まれた複数の信号レベルを平均化した第1統計値と、前記第3取得手段によって複数のサイクル期間にそれぞれ取り込まれた複数の信号レベルを平均化した第2統計値とを算出し、
前記第2制御手段は、前記第1統計値と前記第2統計値との関係に基づいて、外来ノイズの発生を判定する、
請求項5に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第2制御手段は、外来ノイズの発生と判定された場合に、前記内燃機関の制御内容をノッキングの発生が抑制される方向へ変化させる、
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第1制御手段は、ノッキングの発生の判定が連続して無い場合に、内燃機関の燃焼タイミングを段階的に進角する進角制御を行い、
前記第2制御手段は、外来ノイズの発生と判定された場合に、前記進角制御における前記燃焼タイミングを進角する速度を遅くする、
請求項7に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第1制御手段は、前記第1取得手段により取り込まれた信号レベルを閾値と比較してノッキングの発生を判定する処理が含まれ、
前記第2制御手段は、外来ノイズの発生と判定された場合に、前記閾値の決定方法を変化させる、
請求項7に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第2制御手段は、外来ノイズの発生と判定された場合に、前記内燃機関の制御を、ノッキングの判定結果に拘わらずにノッキングが抑制される制御に切り替える、
請求項7に記載の内燃機関の制御装置。 - 鞍乗型車両に搭載される内燃機関と、
前記内燃機関の振動を検出するノックセンサと、
請求項1記載の内燃機関の制御装置と、
を具備する鞍乗型車両のパワーユニット。 - シート座面より下方に少なくとも一部が配置された内燃機関と、
前記内燃機関の振動を検出するノックセンサと、
請求項1記載の内燃機関の制御装置と、
を具備する鞍乗型車両。
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