JP2015083394A - ストロークシミュレータ - Google Patents

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Motoyasu Nakamura
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Abstract

【課題】部品の組み付け作業が容易になるとともに、製造コストを低減することができ、さらに、耐久性を高めることができるストロークシミュレータを提供することを課題とする。
【解決手段】ストロークシミュレータ30であって、シリンダ穴31を有するシリンダ30aと、シリンダ穴31に挿入されたピストン32と、シリンダ穴31の開口部31bを閉塞する蓋部材33と、ピストン32と蓋部材33との間に配置された第一コイルばね40Aと、を備えている。第一コイルばね40Aは、第一ばね部41および第二ばね部42を有し、第二ばね部42の線径は、第一ばね部41から離れるに従って漸次大きく形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用ブレーキシステムに用いられるストロークシミュレータに関する。
ブレーキ液圧を発生させる液圧発生装置としては、ブレーキ操作子を駆動源とするマスタシリンダと、モータを駆動源とするモータシリンダと、ブレーキ操作子に操作反力を付与するストロークシミュレータと、を備えているものがある。
従来のストロークシミュレータとしては、有底のシリンダ穴を有するシリンダと、シリンダ穴に挿入されたピストンと、シリンダ穴の開口部を閉塞する蓋部材と、ピストンと蓋部材との間に配置された二つのコイルばねと、を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
前記した従来のストロークシミュレータでは、二つのコイルばねがガイド部材を介して直列に配置されている。そして、一方のコイルばねの線径よりも他方のコイルばねの線径が大きく形成されており、一方のコイルばねのばね定数よりも他方のコイルばねのばね定数が大きくなっている。この構成では、ブレーキ操作子の操作量に応じて反力特性が切り替わる。
また、従来のストロークシミュレータでは、ガイド部材とピストンとの間にゴム製のブッシュが配置されている。この構成では、一方のコイルばねの反力特性から他方のコイルばねの反力特性に切り替わるときに、両コイルばねの反力特性にブッシュの反力特性が付加されるため、ブレーキ操作子の操作反力を緩やかに変化させることができる。
特開2012−206711号公報
前記した従来のストロークシミュレータのように、ブッシュを設けた場合には、部品点数が多くなるため、部品の組み付け作業が煩雑になるとともに、製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は、部品の組み付け作業が容易になるとともに、製造コストを低減することができるストロークシミュレータを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明はブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータである。前記ストロークシミュレータは、有底のシリンダ穴を有するシリンダと、前記シリンダ穴に挿入されたピストンと、前記シリンダ穴の開口部を閉塞する蓋部材と、前記ピストンと前記蓋部材との間に配置されたコイルばねと、を備えている。前記コイルばねは、第一ばね部および第二ばね部を有し、前記第二ばね部の線径は、前記第一ばね部から離れるに従って漸次大きく形成されている。
この構成では、第一ばね部のばね定数と第二ばね部のばね定数とが異なっており、ブレーキ操作子の操作量に応じて反力特性が切り替わるため、ブレーキ操作子の操作量に応じて適正な操作反力をブレーキ操作子に付与することができる。
また、第二ばね部の線径が第一ばね部から離れるに従って漸次大きく形成されているため、第二ばね部の収縮量が増加するに従って、第二ばね部からピストンに作用する反力は緩やかに大きくなる。したがって、本発明のストロークシミュレータでは、ブレーキ操作子の操作反力を緩やかに変化させることができ、ブレーキ操作時の違和感を緩和させることができる。
このように、本発明のストロークシミュレータでは、コイルばねによってブレーキ操作子の操作反力を緩やかに変化させることができる。したがって、ストロークシミュレータの部品点数を低減することができる。
また、本発明のストロークシミュレータでは、金属製のコイルばねを用いることで、ゴム製のブッシュを用いた場合に比べて、ストロークシミュレータの耐久性を高めることができる。
前記したストロークシミュレータの前記ピストンに、前記コイルばねの端部を支持するガイド部を設けた場合には、コイルばねを安定して伸縮させることができる。
なお、ガイド部をピストンの端部に突設した場合には、部品点数を低減するとともに、ピストンとコイルばねとを組み付け易くなる。
前記したストロークシミュレータに、前記ピストンに取り付けられた第一ガイド部材と、前記第一ガイド部材と前記蓋部材との間に配置された第二ガイド部材と、前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材とを連結するロッドと、を設けてもよい。この場合には、前記第二ガイド部材を前記第一ガイド部材に対して前記ロッドの軸方向に移動自在とし、前記第一ガイド部材に前記コイルばねの一端を支持させ、前記第二ガイド部材に前記コイルばねの他端を支持させてもよい。この構成では、コイルばねを安定して伸縮させることができる。
前記したストロークシミュレータの前記第二ばね部と前記蓋部材との間に、前記第二ばね部の最大線径よりも線径が大きく形成された他のコイルばねを介設してもよい。
この構成では、他のコイルばねによってブレーキ操作子に対して大きな操作反力を付与することができる。さらに、第一ばね部の反力特性から他のコイルばねの反力特性に切り替わる切替点の近傍範囲において、第一ばね部および他のコイルばねの反力特性に第二ばね部の反力特性が付加されるため、ブレーキ操作子の操作反力を緩やかに変化させることができる。
前記したストロークシミュレータにおいて、前記コイルばねの少なくとも一部を前記他のコイルばねに挿入することが望ましい。このように、両コイルばねの少なくも一部をシリンダ穴の径方向に重複させた場合には、両コイルばねの収容スペースを小さくすることができ、ひいては、ストロークシミュレータを小型化することができる。
本発明では、ストロークシミュレータの部品点数を低減することができるため、部品の組み付け作業が容易になるとともに、製造コストを低減することができる。さらに、ストロークシミュレータの耐久性を高めることができる。
第一実施形態のストロークシミュレータを用いた車両用ブレーキシステムを示した模式図である。 第一実施形態のストロークシミュレータを示した側断面図である。 第二実施形態のストロークシミュレータを示した側断面図である。
本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
[第一実施形態]
第一実施形態では、本発明のストロークシミュレータを図1に示す車両用ブレーキシステムAに適用した場合を例として説明する。
車両用ブレーキシステムAは、原動機(エンジンや電動モータ等)の起動時に作動するバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、非常時や原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムの双方を備えるものである。
車両用ブレーキシステムAは、ブレーキペダルP(特許請求の範囲における「ブレーキ操作子」)の操作量に応じてブレーキ液圧を発生させる液圧発生装置1と、モータを駆動源としてブレーキ液圧を発生させるモータシリンダ2と、車両挙動の安定化を支援する液圧制御装置3と、を備えている。
車両用ブレーキシステムAは、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車のほか、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等にも搭載することができる。
液圧発生装置1は、ブレーキペダルPを駆動源とするマスタシリンダ20と、ブレーキペダルPに操作反力を付与するストロークシミュレータ30と、制御装置50と、を備えている。
マスタシリンダ20は、シリンダ穴21が形成された基体10と、シリンダ穴21に挿入されたセコンダリピストン22およびプライマリピストン23と、シリンダ穴21内に収容された二つのコイルばね24,25と、を備えている。
基体10は、車両に搭載される略直方体状の金属部品であり、内部に有底のシリンダ穴21および複数の液圧路11a,11b,12,14a,14bが設けられている。また、基体10にはリザーバ26等の各種部品が取り付けられる。
シリンダ穴21の底面21aと、底面21a側のセコンダリピストン22との間には底面側圧力室21cが形成されている。底面側圧力室21cにはコイルばね24が収容されている。
セコンダリピストン22と、開口部21b側のプライマリピストン23との間には開口側圧力室21dが形成されている。また、開口側圧力室21dにはコイルばね25が収容されている。
ブレーキペダルPのロッドP1は、開口部21bからシリンダ穴21内に挿入されている。ロッドP1の先端部はプライマリピストン23に連結されている。両ピストン22,23は、ブレーキペダルPの踏力を受けてシリンダ穴21内を底面21a側に摺動し、両圧力室21c,21d内のブレーキ液を加圧する。
シリンダ穴21にはリザーバ26が接続されている。リザーバ26はブレーキ液を貯溜する容器であり、基体10の上面に取り付けられている。
ストロークシミュレータ30は、シリンダ穴31が形成されたシリンダ30aと、シリンダ穴31に挿入されたピストン32と、シリンダ穴31の開口部31bを閉塞する蓋部材33と、シリンダ穴31内に収容された第一コイルばね40Aおよび第二コイルばね40Bと、を備えている。
ストロークシミュレータ30では、マスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧によって、ピストン32が両コイルばね40A,40Bの付勢力に抗して蓋部材33側に移動する。そして、両コイルばね40A,40Bによって付勢されたピストン32によってブレーキペダルPに擬似的な操作反力が付与される。
モータシリンダ2は、図示は省略するが、シリンダ内を摺動するピストンと、モータおよび駆動力伝達部を有するアクチュエータと、を備えている。駆動力伝達部は、モータの回転動力を進退運動に変換したうえでピストンに伝達する。ピストンは、モータの駆動力を受けてシリンダ内を摺動し、シリンダ内のブレーキ液を加圧する。
次に、車両用ブレーキシステムAの各液圧路について説明する。
二つのメイン液圧路11a,11bは、マスタシリンダ20のシリンダ穴21を起点とする液圧路である。
第一メイン液圧路11aは、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cに通じている。また、第二メイン液圧路11bは、マスタシリンダ20の開口側圧力室21dに通じている。両メイン液圧路11a,11bの終点である二つの出力ポート16,16には、液圧制御装置3に至る配管Ha,Hbが連結されている。
分岐液圧路12は、第一メイン液圧路11aを起点する液圧路であり、分岐液圧路12の終点となる出力ポート18には、ストロークシミュレータ30に至る配管Heが連結されている。マスタシリンダ20とストロークシミュレータ30とは、第一メイン液圧路11a、分岐液圧路12および配管Heを介して連通している。また、分岐液圧路12には常閉型電磁弁13が設けられている。
第一連絡液圧路14aは、第一メイン液圧路11aを起点とする液圧路である。また、第二連絡液圧路14bは、第二メイン液圧路11bを起点とする液圧路である。両連絡液圧路14a,14bの終点である二つの出力ポート17,17には、モータシリンダ2に至る配管Hc,Hdが連結されている。
第一メイン液圧路11aにおいて、第一連絡液圧路14aとの連結部位よりも上流側(マスタシリンダ20側)には、第一常開型電磁弁15aが設けられている。
第二メイン液圧路11bにおいて、第二連絡液圧路14bとの連結部位よりも上流側(マスタシリンダ20側)には、第二常開型電磁弁15bが設けられている。
二つの圧力センサ19a,19bは、ブレーキ液圧の大きさを検知するものであり、両圧力センサ19a,19bで取得された情報は、制御装置50に出力される。
第一圧力センサ19aは、第二常開型電磁弁15bよりも上流側に配置されており、マスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧を検知する。
第二圧力センサ19bは、第一常開型電磁弁15aよりも下流側に配置されており、モータシリンダ2で発生したブレーキ液圧を検知する。
制御装置50は、両圧力センサ19a,19bやストロークセンサ等の各種センサから得られた情報や予め記憶させておいたプログラム等に基づいて、モータシリンダ2の作動および各電磁弁13,15a,15bの開閉を制御する。
液圧制御装置3は、車輪ブレーキの各ホイールシリンダWに付与するブレーキ液圧を適宜制御することで、アンチロックブレーキ制御や挙動安定化制御等の各種液圧制御を実行し得る構成を備えており、配管を介して各ホイールシリンダWに接続されている。
なお、図示は省略するが、液圧制御装置3は、電磁弁やポンプ等が設けられた液圧ユニット、ポンプを駆動するためのモータ、電磁弁やモータ等を制御するための制御装置等を備えている。
次に車両用ブレーキシステムAの動作について概略説明する。
車両用ブレーキシステムAでは、車両のイグニッションスイッチがONになると、第一常開型電磁弁15aおよび第二常開型電磁弁15bが閉弁する。なお、ブレーキペダルPが僅かに操作されたことをストロークセンサ(図示せず)が検出したときに、第一常開型電磁弁15aおよび第二常開型電磁弁15bを閉弁してもよい。
これにより、第一メイン液圧路11aの上流側と下流側とが遮断されるとともに、第二メイン液圧路11bの上流側と下流側とが遮断される。また、常閉型電磁弁13は開弁する。
この状態では、ブレーキペダルPの操作によってマスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧は、ホイールシリンダWに伝達されずに、ストロークシミュレータ30に伝達される。そして、ストロークシミュレータ30では、ピストン32が両コイルばね40A,40Bの付勢力に抗して蓋部材33側に移動することで、ブレーキペダルPのストロークが許容される。このとき、両コイルばね40A,40Bによって付勢されたピストン32によって擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
また、ストロークセンサ(図示せず)によってブレーキペダルPの踏み込みが検出されると、モータシリンダ2が駆動する。制御装置50は、モータシリンダ2から出力されたブレーキ液圧(第二圧力センサ19bで検知されたブレーキ液圧)と、マスタシリンダ20から出力されたブレーキ液圧(第一圧力センサ19aで検知されたブレーキ液圧)とを対比し、その対比結果に基づいてモータシリンダ2の駆動を制御する。このようにして、モータシリンダ2ではブレーキペダルPの操作量に応じてブレーキ液圧を発生させる。
モータシリンダ2で発生したブレーキ液圧は、液圧制御装置3を介して各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより、各車輪に制動力が付与される。
また、モータシリンダ2が作動しない状態(例えば、電力が得られない場合や非常時など)においては、第一常開型電磁弁15aおよび第二常開型電磁弁15bが開弁している。これにより、第一メイン液圧路11aの上流側と下流側とが通じるとともに、第二メイン液圧路11bの上流側と下流側とが通じる。また、常閉型電磁弁13は閉弁する。この状態では、マスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧が各ホイールシリンダWに伝達される。
次に、第一実施形態のストロークシミュレータ30の具体的な構成について説明する。
ストロークシミュレータ30は、図2に示すように、有底のシリンダ穴31を有するシリンダ30aと、シリンダ穴31に挿入されたピストン32と、シリンダ穴31の開口部31bを閉塞する蓋部材33と、ピストン32と蓋部材33との間に配置された金属製の第一コイルばね40Aおよび第二コイルばね40B(特許請求の範囲における「コイルばね」および「他のコイルばね」)と、を備えている。
シリンダ30aは、車両に搭載される金属部品である。シリンダ30aの先端部には連絡液路30cが形成されている。連絡液路30cの一端は、シリンダ30aの外面に開口しており、配管He(図1参照)が連結されている。
シリンダ穴31は、段付きの円筒状の穴であり、シリンダ30aの基端面30bに開口している。シリンダ穴31には、底面31aから軸方向の略中央部に亘って第一収容室34が形成されるとともに、第一収容室34の基端部から開口部31bに亘って第二収容室35が形成されている。すなわち、シリンダ穴31の先端側に第一収容室34が配置され、基端側に第二収容室35が配置されている。また、第一収容室34よりも第二収容室35が拡径されている。
第一収容室34は、ピストン32が収容される部位である。第一収容室34の内周面において、軸方向の略中央部には、保持溝34aが全周に亘って形成されている。保持溝34aには環状のシール部材34bが嵌め込まれている。
第一収容室34の内周面において、保持溝34aよりも先端側には、連絡液路30cが開口している。図1に示すように、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cと、ストロークシミュレータ30の第一収容室34とは、第一メイン液圧路11a、分岐液圧路12、配管Heおよび連絡液路30cを通じて連通している。
ピストン32は、図2に示すように、有底の円筒状の部材であり、第一収容室34内に収容されている。ピストン32は第一収容室34内で軸方向に往復動自在である。
また、シール部材34bの内周部がピストン32の外周面に接することで、ピストン32の外周面と第一収容室34の内周面との間が液密にシールされている。
ピストン32は、開口部32aが先端側に配置され、底部32bが基端側に配置されている。
ピストン32の基端面32cの中央部にはガイド部32dが突設されている。ピストン32の先端部が第一収容室34の底面31aに当接した状態では、ガイド部32dは第二収容室35内に突出している。
ピストン32の周壁部において先端側の部位には複数の連通穴32eが貫通している。各連通穴32eは、ピストン32の周方向に等間隔に配置されている。
ピストン32の基端面32cには、ガイド部材36が取り付けられている。ガイド部材36には、有底の円筒部36bと、円筒部36bの先端側の開口縁部に形成されたフランジ36aと、が形成されている。
ガイド部材36の円筒部36bは、ピストン32のガイド部32dに外嵌される部位であり、ピストン32側が開口し、蓋部材33側に底部が形成されている。また、円筒部36bは第一コイルばね40Aの先端部に挿入される部位である。
蓋部材33は、第二収容室35の基端部に内嵌されており、シリンダ穴31の開口部31bを閉塞している。第二収容室35の内周面の溝に嵌め込まれたクリップ33cによって、蓋部材33の抜け止めが構成されている。
蓋部材33の本体部33aの先端側の面の中央部には、円柱状のガイド部33bが突設されている。ガイド部33bは第二コイルばね40Bの基端部に挿入される部位である。
蓋部材33のガイド部33bの先端面の中央部には、凹部33dが形成されている。この凹部33dは第一コイルばね40Aの基端部が挿入される部位である。
第一コイルばね40Aは、第二収容室35内に収容されており、ガイド部材36と蓋部材33との間に介設されている。第一コイルばね40Aは、一本の線材を螺旋状に巻いたものである。
第一コイルばね40Aは、先端側に配置された第一ばね部41と、基端側に配置された第二ばね部42と、を有している。
第一ばね部41の先端部には、ガイド部材36の円筒部36bが挿入されている。第一ばね部41の先端部は、ガイド部材36のフランジ36aに当接している。
第一コイルばね40Aの基端部は、蓋部材33のガイド部33bの凹部33dに挿入されている。第一コイルばね40Aの基端部は、凹部33dの底面に当接している。
第一コイルばね40Aは、ガイド部材36の円筒部36bおよび蓋部材33のガイド部33bによって、第二収容室35内に位置決めされている。
第一ばね部41の線径は、第一ばね部41の先端部から基端部に亘って同じ大きさに形成されている。
第二ばね部42は、第一ばね部41の基端部に連続して形成されており、第一ばね部41および第二ばね部42は同径に形成されている。
第二ばね部42の線径は、第一ばね部41から離れるに従って漸次大きく形成されている。すなわち、第二ばね部42の線径は、第二ばね部42の先端部(始端)から基端部(終端)に向かうに従って漸次大きく形成されている。これにより、第二ばね部42のばね定数は、収縮量が増加するに従って大きくなる。したがって、第二ばね部42の圧縮変形による反力特性は、第二ばね部42の収縮量に応じて緩やかに変化する。
第二コイルばね40Bは、第二収容室35内に収容されており、ガイド部材36と蓋部材33との間に配置されている。第二コイルばね40Bは、一本の線材を螺旋状に巻いたものである。第一コイルばね40Aの径D1よりも第二コイルばね40Bの径D2が大きく形成されている。
なお、第一コイルばね40Aおよび第二コイルばね40Bの径とは、両コイルばね40A,40Bの軸線に対して垂直な方向において、両コイルばね40A,40Bの軸線の両側に配置された線材の断面中心間の距離である。
第二コイルばね40Bの先端部以外の部位には、蓋部材33のガイド部33bが挿入されている。また、第二コイルばね40Bの外周部は、第二収容室35の内周面の近くに配置されている。これにより、第二コイルばね40Bは第二収容室35内に位置決めされている。
第二コイルばね40Bの先端部は、蓋部材33のガイド部33bよりも先端側に突出している。第二コイルばね40Bの先端部には、第一コイルばね40Aの基端側の部位が挿入されている。
このように、第一コイルばね40Aと第二コイルばね40Bとの一部がシリンダ穴31の径方向に重複している。
第二コイルばね40Bは、ピストン32が最も先端側に位置した状態(初期状態)において、ガイド部材36のフランジ36aと蓋部材33の本体部33aとの間の間隔よりも小さく形成されている。
そして、ピストン32が基端側に移動すると、第二コイルばね40Bの両端部がガイド部材36のフランジ36aおよび蓋部材33の本体部33aにそれぞれ当接し、第二コイルばね40Bがピストン32と蓋部材33との間で収縮する。
第二コイルばね40Bの線径は、第二ばね部42の最大線径よりも大きく形成されている。第二コイルばね40Bの線径は、第二コイルばね40Bの先端部から基端部に亘って同じ大きさに形成されている。これにより、第一コイルばね40Aのばね定数よりも第二コイルばね40Bのばね定数が大きくなっている。
図1に示すように、マスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧は、第一メイン液圧路11a、分岐液圧路12、配管Heおよび連絡液路30cを通じて、ストロークシミュレータ30の第一収容室34内に伝達される。
そして、第一収容室34内のブレーキ液圧によって、ピストン32が基端側(蓋部材33側)に押し出されると、図2に示すように、第一コイルばね40Aがガイド部材36と蓋部材33との間で収縮される。
このとき、第一コイルばね40Aの先端部はガイド部材36に支持され、第一コイルばね40Aの基端部は蓋部材33のガイド部33bに支持されているため、第一コイルばね40Aを安定して収縮させることができる。
第一コイルばね40Aが収縮し始めたとき、すなわち、第一収容室34内のブレーキ液圧が小さいときは、第一ばね部41が大きく収縮し、第二ばね部42および第二コイルばね40Bは殆ど収縮しない。したがって、第一収容室34内のブレーキ液圧が小さいときには、ピストン32に対して主に第一ばね部41の反力特性による反力が作用する。
第一収容室34内のブレーキ液圧が大きくなると、第二ばね部42が大きく収縮し、第二ばね部42の収縮量が増加するに従って、第二ばね部42からピストン32に作用する反力が緩やかに大きくなる。
第一収容室34内のブレーキ液圧が更に大きくなると、ガイド部材36および蓋部材33に挟まれて第二コイルばね40Bが大きく収縮する。これにより、ピストン32に対して主に第二コイルばね40Bの反力特性による反力が作用する。
なお、第一ばね部41の反力特性から第二コイルばね40Bの反力特性に切り替わる切替点の近傍範囲では、第一ばね部41および第二コイルばね40Bの反力特性に第二ばね部42の反力特性が付加されるため、両コイルばね40A,40Bからピストン32に作用する反力が緩やかに変化する。
以上のようなストロークシミュレータ30では、図2に示すように、第一ばね部41、第二ばね部42および第二コイルばね40Bのばね定数が異なっており、ブレーキペダルP(図1参照)の操作量に応じて反力特性が切り替わるため、ブレーキペダルPの操作量に応じて適正な操作反力をブレーキペダルPに付与することができる。
また、第二ばね部42の線径は第一ばね部41から離れるに従って漸次大きく形成されているため、第二ばね部42の収縮量が増加するに従って、第二ばね部42からピストン32に作用する反力は緩やかに大きくなる。
そして、第一ばね部41の反力特性から第二コイルばね40Bの反力特性に切り替わる切替点の近傍範囲において、第一ばね部41および第二コイルばね40Bの反力特性に第二ばね部42の反力特性が付加される。
これにより、第一実施形態のストロークシミュレータ30では、ブレーキペダルP(図1参照)の操作反力を緩やかに変化させることができ、ブレーキ操作時の違和感を緩和させることができる。
このように、第一実施形態のストロークシミュレータ30では、二つのコイルばね40A,40Bを用いて、ブレーキペダルP(図1参照)の操作反力を緩やかに変化させることができる。したがって、ストロークシミュレータ30の部品点数を低減することができ、部品の組み付け作業が容易になるとともに、製造コストを低減することができる。
また、金属製の二つのコイルばね40A,40Bによって、ブレーキペダルPに操作反力を付与しているため、ゴム製のブッシュを用いた場合に比べて、ストロークシミュレータ30の耐久性を高めることができる。
また、第一コイルばね40Aと第二コイルばね40Bとの一部がシリンダ穴31の径方向に重複しているため、両コイルばね40A,40Bの収容スペースを小さくすることができ、ひいては、ストロークシミュレータ30を小型化することができる。
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第二コイルばね40Bを設けることなく、第一コイルばね40Aのみをピストン32と蓋部材33との間に配置してもよい。
また、第一ばね部41を基端側(蓋部材33側)に配置し、第二ばね部42を先端側(ピストン32側)に配置してもよい。
また、ガイド部材36を設けることなく、第一コイルばね40Aの端部にピストン32のガイド部32dを直接挿入してもよい。この構成では、ストロークシミュレータ30の部品点数を低減するとともに、ピストン32と第一コイルばね40Aとを組み付け易くなる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のストロークシミュレータ30について説明する。
第二実施形態のストロークシミュレータ30は、図3に示すように、第一ガイド部材36、第二ガイド部材37およびロッド38を備えている点で、第一実施形態のストロークシミュレータ30(図2参照)と異なっている。
第一ガイド部材36は、第一実施形態のガイド部材36(図2参照)と同じ構成の部材である。第一ガイド部材36の円筒部36bは、第一コイルばね40Aの先端部に挿入され、第一コイルばね40Aの先端部がフランジ36aに当接している。また、第一ガイド部材36の円筒部36bの底部の中央部には貫通穴36cが形成されている。
第二ガイド部材37は、第一ガイド部材36と蓋部材33との間に配置されている。第二ガイド部材37には、有底の円筒部37bと、円筒部37bの先端側の開口縁部に形成されたフランジ37aと、が形成されている。第二ガイド部材37の円筒部37bは、ピストン32側が開口し、蓋部材33側に底部が配置されている。
第二ガイド部材37の円筒部37bの内径は、第一ガイド部材36の円筒部36bの外径よりも大きく形成されており、第二ガイド部材37の円筒部37bに第一ガイド部材36の円筒部36bの底部が挿入されている。
第二ガイド部材37の円筒部37bの底部の中央部には貫通穴37cが形成されている。第二ガイド部材37の貫通穴37cには、ロッド38の基端部38bが固定されている。
ロッド38の先端部38aは、第一ガイド部材36の円筒部36bの貫通穴36cに挿通されている。
ロッド38は第一ガイド部材36に対して軸方向に移動自在である。これにより、第二ガイド部材37は、第一ガイド部材36に対して、ロッド38の軸方向(シリンダ穴31の軸方向)に移動自在となっている。
第二ガイド部材37の円筒部37bには、第一コイルばね40Aの基端部が挿入されている。第一コイルばね40Aの基端部は円筒部37bの底面に当接している。
また、第二ガイド部材37の円筒部37bは、第二コイルばね40Bの先端部に挿入されている。第二コイルばね40Bの先端部はフランジ37aに当接している。
このように、第一コイルばね40Aの基端部と第二コイルばね40Bの先端部との間に第二ガイド部材37が介設されている。
第二実施形態のストロークシミュレータでは、第一収容室34内のブレーキ液圧が小さいときは、第一ガイド部材36と第二ガイド部材37との間で、第一ばね部41が大きく収縮し、ピストン32に対して主に第一ばね部41の反力特性による反力が作用する。
第一収容室34内のブレーキ液圧が大きくなると、第二ばね部42が大きく収縮し、第二ばね部42の収縮量が増加するに従って、第二ばね部42からピストン32に作用する反力が緩やかに大きくなる。
そして、第一収容室34内のブレーキ液圧が更に大きくなると、第二ガイド部材37および蓋部材33の間で第二コイルばね40Bが大きく収縮し、ピストン32に対して主に第二コイルばね40Bの反力特性による反力が作用する。
第一ばね部41の反力特性から第二コイルばね40Bの反力特性に切り替わる切替点の近傍範囲では、第一ばね部41および第二コイルばね40Bの反力特性に第二ばね部42の反力特性が付加されるため、両コイルばね40A,40Bからピストン32に作用する反力が緩やかに変化する。
以上のような第二実施形態のストロークシミュレータでは、第一ガイド部材36および第二ガイド部材37はロッド38にガイドされながら移動するため、両コイルばね40A,40Bを安定して伸縮させることができる。
なお、第二実施形態についても第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第二コイルばね40Bを設けることなく、第二ガイド部材37を蓋部材33に取り付け、第一コイルばね40Aのみを第一ガイド部材36と第二ガイド部材37との間に配置してもよい。
この構成では、第一収容室34内のブレーキ液圧が小さいときには、主に第一ばね部41の反力特性による反力がピストン32に作用する。そして、第一収容室34内のブレーキ液圧が大きくなり、第二ばね部42の収縮量が増加するに従って、第二ばね部42からピストンに作用する反力が緩やかに大きくなる。
1 液圧発生装置
2 モータシリンダ
3 液圧制御装置
10 基体
11a 第一メイン液圧路
11b 第二メイン液圧路
12 分岐液圧路
13 常閉型電磁弁
14a 第一連絡液圧路
14b 第二連絡液圧路
15a 第一常開型電磁弁
15b 第二常開型電磁弁
20 マスタシリンダ
21 シリンダ穴
21c 底面側圧力室
21d 開口側圧力室
22 セコンダリピストン
23 プライマリピストン
30 ストロークシミュレータ
30a シリンダ
31 シリンダ穴
32 ピストン
32d ガイド部
33 蓋部材
33a 本体部
33b ガイド部
33d 凹部
34 第一収容室
35 第二収容室
36 ガイド部材(第一ガイド部材)
36a フランジ
36b 円筒部
36c 貫通穴
37 第二ガイド部材
37a フランジ
37b 円筒部
37c 貫通穴
38 ロッド
40A 第一コイルばね
40B 第二コイルばね
41 第一ばね部
42 第二ばね部
50 制御装置
A 車両用ブレーキシステム
P ブレーキペダル
W ホイールシリンダ

Claims (5)

  1. ブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータであって、
    有底のシリンダ穴を有するシリンダと、
    前記シリンダ穴に挿入されたピストンと、
    前記シリンダ穴の開口部を閉塞する蓋部材と、
    前記ピストンと前記蓋部材との間に配置されたコイルばねと、を備え、
    前記コイルばねは、
    第一ばね部および第二ばね部を有し、
    前記第二ばね部の線径は、前記第一ばね部から離れるに従って漸次大きく形成されていることを特徴とするストロークシミュレータ。
  2. 前記ピストンには、前記コイルばねの端部を支持するガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。
  3. 前記ピストンに取り付けられた第一ガイド部材と、
    前記第一ガイド部材と前記蓋部材との間に配置された第二ガイド部材と、
    前記第一ガイド部材と前記第二ガイド部材とを連結するロッドと、を備え、
    前記第二ガイド部材は、前記第一ガイド部材に対して前記ロッドの軸方向に移動自在であり、
    前記第一ガイド部材に前記コイルばねの一端が支持され、
    前記第二ガイド部材に前記コイルばねの他端が支持されていることを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。
  4. 前記第二ばね部と前記蓋部材との間に、前記第二ばね部の最大線径よりも線径が大きく形成された他のコイルばねが介設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のストロークシミュレータ。
  5. 前記コイルばねの少なくとも一部が前記他のコイルばねに挿入されていることを特徴とする請求項4に記載のストロークシミュレータ。
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