JP2015082881A - 不平衡補償装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、逆相電力を補償可能な不平衡補償装置を実現する。【解決手段】三相電力供給システムは、負荷電流を検出する変流器と、負荷電圧を検出する変圧器と、変流器および変圧器の検出値に基づいて、負荷による不平衡電流を補償する不平衡補償装置100とを備える。変流器および変圧器の各々は、三相交流を2つの単相交流に変換するスコット結線変圧器を含む。不平衡補償装置100は、三相交流電源1からの三相交流を2つの単相交流に変換するスコット結線変圧器3と、スコット結線変圧器3の第1および第2の出力にそれぞれ接続され、その直流側を互いに接続した2つの単相インバータ31,32と、2つの単相インバータ31,32の電流を制御することにより、負荷電流の逆相電流を補償するための補償電流を調整する制御回路6とを含む。【選択図】図1

Description

この発明は、三相交流電源から負荷に電力を供給する三相電力供給システムにおいて、三相不平衡な負荷電力に対して逆相電力を補償することに好適な不平衡補償装置に関するものである。
負荷による三相不平衡電流を補償するための不平衡補償装置として、たとえば非特許文献1には、三相交流電源に対して不平衡負荷と並列に接続された電力変換装置が開示される。この非特許文献1では、一次側が三相交流電源に接続された降圧変圧器の二次側において、線間電UV相間および線間電圧VW相間の各々にコンデンサおよびサイリスタ制御式リアクトルからなる単相無効電力補償装置を配置する。これにより、負荷が発生する逆相電力を補償する。
しかしながら、上記の単相無効電力補償装置は、逆相電力ベクトルが線間電圧UV相、VW相に直交する負荷には有効である一方で、負荷電流のベクトルの方向が異なる、すなわち力率が1とは異なる負荷に対しては、逆相電力をすべて補償できないという問題があった。
そこで、負荷電流の力率によらず逆相電力を補償可能な構成として、特許文献1には、三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換するスコット結線変圧器と、スコット結線変圧器の第1および第2の出力にそれぞれ接続され、その直流側を互いに接続した第1および第2のインバータと、第1および第2のインバータの電流を制御することにより、逆相電力を補償する制御回路とを備えた不平衡補償装置が開示されている。
特開2012−120334号公報
武政他、「パワーエレクトロニクスの応用と保守(6)静止形不平衡電力補償装置(SUC)」、「鉄道と電気技術」1996年8月号、VOL.7 No.8
上記の特許文献1に記載される不平衡補償装置によれば、力率が1と異なる負荷に対しても逆相電力をすべて補償することができる。しかしながら、その一方で、スコット結線変圧器の二次側に接続された2つの単相インバータの電流を制御するためには、三相負荷電力を2つの単相交流に変換するための演算処理(三相/二相変換処理)が必要となる。そのため、逆相電力補償のための制御ロジックが複雑化してしまい、制御回路の演算負荷が高くなる可能性がある。これにより、制御回路の高コスト化や、制御回路のスペック上制御周期を長くせざるを得なくなることによる制御精度の低下が懸念される。したがって、逆相電力補償のための制御ロジックを簡素に構築できることが求められる。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成で、逆相電力を補償可能な不平衡補償装置を提供することである。
この発明のある局面による不平衡補償装置は、三相交流電源から負荷に電力を供給する三相電力供給システムに接続され、負荷による不平衡電流を補償する不平衡補償装置であって、三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換する第1の三相/二相変換変圧器と、第1の三相/二相変換変圧器の第1および第2の出力にそれぞれ接続され、その直流側を互いに接続した第1および第2の単相インバータと、第1および第2の単相インバータの電流を制御することにより、負荷電流の逆相成分を補償するための補償電流を調整する制御回路と、負荷電流を検出する計器用変流器と、負荷電圧を検出する計器用変圧器とを備える。計器用変流器および計器用変圧器の各々は、三相交流を2つの単相交流に変換する第2の三相/二相変換変圧器を含む。制御回路は、計器用変流器および計器用変圧器の出力に基づいて第1および第2の単相インバータの電流を制御する。
この発明によれば、簡易な構成で、逆相電力を補償可能な不平衡補償装置を実現できる。
この発明の実施の形態に係る三相電力供給システムの概略構成図である。 本発明の実施の形態による不平衡補償装置における逆相電力補償を説明する機能ブロック図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
図1は、この発明の実施の形態に係る不平衡補償装置を適用した三相電力供給システムの概略構成図である。
図1を参照して、三相電力供給システムは、三相交流電源1から不平衡負荷2に電力を供給する。三相電力供給システムは、三相交流電源1と、不平衡負荷2と、不平衡補償装置100とを備える。
不平衡負荷2は、三相交流電源1に接続され、スコット結線変圧器21と、単相負荷22,23とを含む。単相負荷22,23は、例えば電車であり、それぞれ独立に電力を消費する。このため、三相側に不平衡な電流が流れる。
不平衡補償装置100は、不平衡負荷2による不平衡電流を補償する。不平衡補償装置100は、スコット結線変圧器3と、単相インバータ31,32と、制御回路6と、主変圧器(PT:Potential Transformer)41と、主変流器(CT:Current Transformer)51と、補助変圧器(補助PT)42と、補助変流器(補助CT)52とを備える。
スコット結線変圧器3は、三相/二相変換変圧器であり、三相交流電源1からの三相交流を2つの単相交流に変換する。スコット結線変圧器3には、直流側が相互に接続された単相インバータ31,32が接続される。
単相インバータ31,32は自励式インバータである。単相インバータ31,32の各々は、GTOサイリスタ等の電力用半導体スイッチング素子によって構成され、制御回路6から各々に入力されるゲートパルス信号によって動作する。単相インバータ31,32の構成には公知の構成を適用できるので、ここでは詳細な説明を繰り返さない。単相インバータ31,32により、スコット結線変圧器3のT座からM座へ、あるいはM座からT座へ電力が融通される。また、単相インバータ31,32は自励式インバータであるので、それぞれの相で無効電力を補償できる。
制御回路6は、単相インバータ31,32の電流を制御することにより、負荷電流の逆相成分を補償するための補償電流を調整する。補償電流の調整は、主変圧器41および主変流器51の検出値に基づいて行なわれる。制御回路6は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ領域と、入出力インターフェイスとを主体として構成される。そして、制御回路6は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読み出して実行することによって、逆相電力補償に係る制御を実行する。
主変圧器41は、三相負荷電圧を検出する。補助変圧器42は、主変圧器41の二次側に設けられ、検出された三相負荷電圧を制御回路6での処理に適した電圧に変換して制御回路6へ出力する。主変圧器41および補助変圧器42は「計器用変圧器」を構成する。
主変流器51は、三相負荷電流を検出する。補助変流器52は、主変流器51の二次側に設けられ、検出された三相負荷電流を制御回路6での処理に適した電流に変換して制御回路6へ出力する。主変流器51および補助変流器52は「計器用変流器」を構成する。
補助変圧器42および補助変流器52の各々は、スコット結線変圧器により構成される。具体的には、補助変圧器42において、スコット結線変圧器は、主変圧器41からの三相交流電圧を2つの単相交流電圧(T座電圧VT、M座電圧VM)に変換する。補助変圧器42は、スコット結線変圧器により変換されたT座電圧VTおよびM座電圧VMを制御回路6へ出力する。
補助変流器52において、スコット結線変圧器は、主変流器51からの三相交流電流を2つの単相交流電流(T座電流IT、M座電流IM)に変換する。補助変流器52は、スコット結線変圧器により変換されたT座電流ITおよびM座電流IMを制御回路6へ出力する。
このような構成とすることにより、三相負荷電圧および三相負荷電流はそれぞれ、T座成分とM座成分とに分解されて制御回路6に与えられる。そして、制御回路6は、このT座成分およびM座成分に従って単相インバータ31,32の電流を制御する。
図2は、本発明の実施の形態による不平衡補償装置100における逆相電力補償を説明する機能ブロック図である。なお、図2に記載された各機能ブロックについては、予め設定されたプログラムに従って制御回路6がソフトウェア処理を実行することにより実現することができる。あるいは、制御回路6の内部に、当該機能ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)を構成することも可能である。
図2を参照して、制御回路6は、M座電力検出部61と、T座電力検出部62と、差電力検出部63と、不平衡電力制御部64と、PWM制御部65とを含む。
図1で示したように、補助変圧器42は、変圧器41からの三相負荷電圧を2つの単相交流電圧(T座電圧VT、M座電圧VM)に変換する。補助変流器52は、変流器51からの三相負荷電流を2つの単相交流電流(T座電流IT、M座電流IM)に変換する。
M座電力検出部61は、補助変圧器42からM座電圧VMを受け、補助変流器52からM座電流IMを受ける。M座電力検出部61は、M座電流IMを、M座電圧VMに平行な有効電力成分と、M座電圧VMに直交する無効電力成分とに分解する。そしてM座電力検出部61は、これらの算出値に基づいて、M座有効電力PMおよびM座無効電力QMを演算する。
T座電力検出部62は、補助変圧器42からT座電圧ITを受け、補助変流器52からT座電流ITを受ける。T座電力検出部62は、T座電流ITを、T座電圧VTに平行な有効電力成分と、T座電圧VTに直交する無効電力成分とに分解する。そしてT座電力検出部62は、これらの算出値に基づいて、T座有効電力PTおよびT座無効電力QTを演算する。
差電力検出部63は、M座電力検出部61からM座有効電力PMおよびM座無効電力QMを受け、T座電力検出部62からT座有効電力PTおよびT座無効電力QTを受ける。そして、差電力検出部63は、M座有効電力PMとT座有効電力との差電力ΔP(=|PM−PT|)と、M座無効電力QMとT座無効電力QTとの差電力ΔQ(=|QM−QT|)とを算出する。
不平衡電力制御部64は、差電力検出部63により算出された差電力ΔP,ΔQに基づいて、逆相電力の有効電力成分および無効電力成分を補償するための制御を行なう。具体的には、不平衡電力制御部64は、差電力ΔPに基づいて、M相有効電力PMとT相有効電力QMとが等しくなるようにM相とT相との間で融通させる有効電力の融通量を算出する。この有効電力融通量に基づいて、逆相電力のうち、M相有効電力成分およびT相有効電力成分を補償するように、単相インバータ31,32が制御される。不平衡電力制御部64は、算出された有効電力融通量に基づいて、M座の単相インバータ31の有効電力出力指令値およびT座の単相インバータ32の有効電力出力指令値を生成する。なお、M座の単相インバータ31の有効電力出力指令値と、T座の単相インバータ32の有効電力出力指令値とは、反対極性で絶対値が同一である。
不平衡電力制御部64はさらに、M座無効電力成分がゼロになるように、M座の単相インバータ31の無効電力出力指令値を生成する。また、不平衡電力制御部64は、T座無効電力成分がゼロになるように、T座の単相インバータ32の無効電力出力指令値を生成する。具体的には、不平衡電力制御部64は、M座の単相インバータ31およびT座の単相インバータ32が差電力ΔQの1/2をそれぞれ出力するように、各々の無効電力出力指令値を生成する。
不平衡電力制御部64は、M座の単相インバータ31の有効電力出力指令値および無効電力指令値に従って単相インバータ31の出力電流を制御するための電圧指令値VM*を生成する。また、不平衡電力制御部64は、T座の単相インバータ32の有効電力出力指令値および無効電力出力指令値に従って単相インバータ32の出力電流を制御するための電圧指令値VT*を生成する。
PWM(Pulse Width Modulation)制御部65は、電圧指令値VM*に基づいて、単相インバータ31を構成する電力用半導体スイッチング素子をPWM制御するためのゲートパルス信号を生成する。また、PWM制御部65は、電圧指令値VT*に基づいて、単相インバータ32を構成する電力用半導体スイッチング素子をPWM制御するためのゲートパルス信号を生成する。単相インバータ31,32の各々は、PWM制御部65から与えられるゲートパルス信号に応じて、スコット結線変圧器3およびコンデンサ33の間で電力変換動作を実行する。
このように、不平衡補償装置100は、負荷電流の逆相成分を補償するために、単相インバータ31,32の電流を制御する。この一連の制御において、スコット結線変圧器3の二次側が2つの単相交流電圧であるため、電圧指令値VM*,VT*の生成にあたっては、三相負荷電圧および三相負荷電流の各々を2つの単相交流に変換する必要がある。すなわち、三相負荷電圧および三相負荷電流の各々を2つの単相交流に変換するための演算処理(三相/二相変換処理)が必要となる。
本発明の実施の形態においては、三相負荷電圧を検出する「計器用変圧器」および三相負荷電流を検出する「計器用変流器」の各々にスコット結線変圧器を適用したことにより、上述した逆相電力補償の制御において、この三相/二相変換処理が不要となる。換言すれば、制御回路6におけるソフトウェア処理に含まれていた三相/二相変換処理を、計器用変圧器および計器用変流器に含まれるスコット結線変圧器を用いてハードウェア上で実行する。これにより、逆相電力補償のための制御ロジックが簡素化されるため、制御回路6における演算負荷を軽減できる。その結果、簡易な構成で逆相電力を補償することが可能となる。
なお、上記の実施の形態においては、不平衡補償装置が計器用変圧器(主変圧器41および補助変圧器42)および計器用変流器(主変流器51および補助変流器52)を備える構成について説明したが、不平衡補償装置が計器用変圧器および計器用変流器の検出値を受けて、負荷電流の逆相成分を補償するための補償電流を調整する構成とすることも可能である。
また、上述した実施の形態では、三相/二相変換変圧器の一例として、スコット結線変圧器を用いた構成について説明したが、任意の形式の三相/二相変換変圧器をスコット結線変圧器に代えて適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 三相交流電源、2 不平衡負荷、3,21 スコット結線変圧器、6 制御回路、8 降圧変圧器、22,23 単相負荷、31,32 単相インバータ、41 主変圧器、42 補助変圧器、51 主変流器、52 補助変流器、100 不平衡補償装置。

Claims (4)

  1. 三相交流電源から負荷に電力を供給する三相電力供給システムに接続され、前記負荷による不平衡電流を補償する不平衡補償装置であって、
    前記三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換する第1の三相/二相変換変圧器と、
    前記第1の三相/二相変換変圧器の第1および第2の出力にそれぞれ接続され、その直流側を互いに接続した第1および第2の単相インバータと、
    前記第1および第2の単相インバータの電流を制御することにより、前記負荷電流の逆相成分を補償するための補償電流を調整する制御回路と、
    前記負荷電流を検出する計器用変流器と、
    前記負荷電圧を検出する計器用変圧器とを備え、
    前記計器用変流器および前記計器用変圧器の各々は、三相交流を2つの単相交流に変換する第2の三相/二相変換変圧器を含み、
    前記制御回路は、前記計器用変流器および前記計器用変圧器の出力に基づいて前記第1および第2の単相インバータの電流を制御する、不平衡補償装置。
  2. 前記計器用変流器は、前記負荷電流をM座成分およびT座成分に分解し、
    前記計器用変圧器は、前記負荷電圧をM座成分およびT座成分に分解し、
    前記制御回路は、前記負荷電流の逆相電流のM座成分およびT座成分に従って第1および第2の単相インバータの電流を制御する、請求項1に記載の不平衡補償装置。
  3. 前記第1および第2の単相インバータは、自励式インバータである、請求項2に記載の不平衡補償装置。
  4. 前記計器用変流器は、前記負荷電流を検出する主変流器と、前記主変流器の二次側および前記制御回路の間に設けられた前記第2の三相/二相変換変圧器からなる補助変流器とを含み、
    前記計器用変圧器は、前記負荷電圧を検出する主変圧器と、前記主変圧器の二次側および前記制御回路の間に設けられた前記第2の三相/二相変換変圧器からなる補助変圧器とを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の不平衡補償装置。
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