JP2015082045A - 地図データ配信システム、サーバ、及びナビゲーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】地図データを読み出す度に差分データと元地図データとを結合して更新地図データを生成するナビゲーション装置において読み出し速度の低下を抑制しつつ、かつ、ナビゲーション装置が備える地図データにおいて道路の接続性が保証されうる地図データ配信システムを提供する。【解決手段】サーバ2は、コアエリアの最新版の全地図データと、コアエリア外において全地図データと依存関係にある差分データ(依存差分データ)と、を含む更新用データを生成してナビゲーション装置1に配信する。ナビゲーション装置1は更新用データを受信すると、ナビ側地図DB17に記憶されているコアエリアの全地図データを、受信した最新版の全地図データで置換する。また、コアエリア外の依存差分データも更新用データとして受信した場合には、そのコアエリア外の依存差分データをナビ側地図DB17に追加保存する。【選択図】図1
Description
本発明は、ナビゲーション装置が備える地図データを更新する地図データ配信システム、サーバ、及びナビゲーション装置に関する。
近年、サーバとナビゲーション装置とが通信を実施することで、ナビゲーション装置の備える地図データを、道路の接続関係などの変更に伴って随時更新することができる地図データ配信システムが提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1に開示の地図データ配信システムでは、収録領域を複数の区画に分割して地図データを備えている。そして、ある区画の地図データを更新した場合には、サーバは、その区画の更新前の地図データと更新済の地図データとの差分を表す差分データを作成し、車両ナビゲーション装置へ配信する。この差分データは、更新毎に異なるバージョンの差分データとして生成される。ナビゲーション装置は、自身が持っていないバージョンの差分データを取得することで、自身の地図データを新しくすることが出来る。
また、この種の地図データ配信システムで用いられるナビゲーション装置には、取得した差分データと元地図データとを、それぞれ記憶装置に保持しておくものがある(これを従来装置とする)。この従来装置では、経路計算処理などの読出要求元から地図データの読出要求を受け付ける度に、読出要求で指定された区画の差分データと元地図データとを結合して更新を反映させた地図データ(これを更新地図データとする)を生成し、読出要求元に提供する。
ある区画の地図データが複数回更新されると、その回数に応じた数のバージョンの差分データが配信されることになる。したがって、従来装置においては、更新される毎に、当該記憶装置に記憶されている差分データが増大していくことになる。
そして、差分データが増加するに連れて、更新地図データを生成するために読み出す差分データが増大するため、読出要求を受けてから更新地図データを読出要求元に提供するまでの速度(これを読み出し速度とする)が低下するといった問題が生じる。
また、道路が跨る連続する区画のうち一方の区画を更新するだけでは(他方の区画を更新しないと)、道路が途切れて表示される等、区画をまたぐ道路の接続性が保証されないという問題が生じる。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、地図データを読み出す度に差分データと元地図データとを結合して更新地図データを生成するナビゲーション装置において読み出し速度の低下を抑制しつつ、かつ、ナビゲーション装置が備える地図データにおいて道路の接続性が保証されうる地図データ配信システム、サーバ、及びナビゲーション装置を提供することにある。
その目的を達成するための地図データ配信システムの発明は、サーバ(2)と、サーバと通信するナビゲーション装置(1)と、を備える地図データ配信システム(100)であって、サーバは、地図収録地域を分割してなる区画毎の地図データとして、地図要素が更新される前の地図データである更新前地図データと、更新前地図データが備える地図要素を更新した後の地図データである更新済地図データと、更新前地図データから更新された地図要素の変化分を示す差分データと、を記憶しているサーバ側地図記憶部(22)と、ナビゲーション装置が備える所定の区画の地図データを更新するための更新用データを生成する更新用データ生成部(S213)と、更新用データ生成部が生成した更新用データをナビゲーション装置に配信する配信処理部(S215)と、を備え、更新用データは、当該更新の対象とする区画である対象区画の更新済地図データと、対象区画以外の区画である対象外区画の差分データに含まれる地図要素であって、ナビゲーション装置が備える対象区画の更新前地図データを更新済地図データで置き換えた場合に、当該地図要素を備えていないと、対象区画において更新される地図要素が他の地図要素と不整合となってしまう関係にある地図要素である依存地図要素を含む差分データと、を備えており、ナビゲーション装置は、配信処理部が配信した更新用データを受信するナビ側通信部(11)と、複数の区画の更新前地図データを予め記憶しており、更に、サーバから配信された更新済地図データ及び差分データを記憶する書き換え可能なナビ側地図記憶部(17)と、更新用データを受信すると、ナビ側地図記憶部に記憶されている対象区画の全ての地図データを、更新用データに含まれている、対象区画の更新済地図データに置換するとともに、対象外区画の差分データをナビ側地図記憶部に保存するナビ側更新部(10B)と、読出要求で指定された区画の地図データを読出要求元に提供する地図提供部(10A)と、を備え、地図提供部は、ナビ側地図記憶部に読出要求により指定された区画の、更新済地図データが記憶されている場合には、更新済地図データを読出要求元に提供し、更新済地図データが記憶されておらず、差分データが記憶されている場合には、更新前地図データと差分データとを結合して生成される、更新済地図データに相当する更新地図データを読出要求元に提供し、更新済地図データ及び差分データの両方が記憶されていない場合には、更新前地図データを読出要求元に提供することを特徴とする。
以上の構成では、ナビ側地図記憶部に記憶されている対象区画の地図データを更新する場合、サーバは、対象区画の更新済地図データと、依存地図要素が含まれる対象外区画の差分データと、を含む更新用データを生成してナビゲーション装置に配信する。
ナビゲーション装置は更新用データを受信すると、ナビ側更新部が、ナビ側地図記憶部に記憶されている対象区画の更新前地図データを、更新用地図データに含まれていた更新済地図データで置換する。また、依存地図要素を含む対象外区画の差分データは、ナビ側地図記憶部に保存する。
以上の構成によれば、地図提供部は、読出要求で対象区画が指定された場合、その更新済地図データを読み出して読出要求元に提供すればよい。すなわち、更新前地図データと差分データとを結合して更新地図データを生成する必要がないため、読み出し速度の低下を抑制することができる。
また、対象区画において更新される地図要素と依存関係にある依存地図要素は、対象外区画の差分データとして保存されているため、変更された地図要素と他の地図要素との整合が取れた状態となっている。たとえば、地図要素が道路である場合には、道路の接続性を保証することができる。
サーバの発明は、上述した地図データ配信システムで用いられるサーバの機能を備えることを特徴とする。
また、ナビゲーション装置の発明は、上述した地図データ配信システムで用いられるナビゲーション装置の機能を備えることを特徴とする。
以下、本発明の実施形態の一例について図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1、及びサーバ2を備える地図データ配信システム100の概略的な構成の一例を示す図である。本実施形態におけるナビゲーション装置1は、車両に搭載されているものとし、このナビゲーション装置1が搭載されている車両を自車両と呼ぶ。なお、本実施形態ではナビゲーション装置1は、車両に搭載されているものとするが、もちろん車両に持ち込み可能な携帯型ナビゲーション装置であってもよい。ナビゲーション装置1と、サーバ2とは、相互に無線通信を実施し、データの送受信可能な構成となっている。
ここで、地図データ配信システム100が備えるナビゲーション装置1及びサーバ2の構成について説明する前に、本地図データ配信システム100が利用する地図データの構成について先に説明する。
(地図データ全体の構造)
本地図データ配信システム100で用いられる地図データは、図2に示すように、地図収録地域を複数区画に分割してなる区画毎の地図データを備える。以下では、地図データが備える区画毎の地図データを、主区画データと言う。これらの主区画データの一群は、例えば区画の地理的配置と対応付けられて保存されている。ここで、地理的配置に従う順序において第K番目の主区画データを、第K主区画データと表現する。また、ここでは、地図収録地域は、N(Nは正の整数)個の主区画からなるものとする。
本地図データ配信システム100で用いられる地図データは、図2に示すように、地図収録地域を複数区画に分割してなる区画毎の地図データを備える。以下では、地図データが備える区画毎の地図データを、主区画データと言う。これらの主区画データの一群は、例えば区画の地理的配置と対応付けられて保存されている。ここで、地理的配置に従う順序において第K番目の主区画データを、第K主区画データと表現する。また、ここでは、地図収録地域は、N(Nは正の整数)個の主区画からなるものとする。
主区画データの夫々は、対応する主区画内の道路網を道路格によって階層表現してなる地図データとして構成される。一例として道路格を、上位、中位、下位の3段階に定めた場合には、主区画データは、対応する区画内における道路格が上位の道路網を表す第3層データ、道路格が中位の道路網を表す第2層データ、及び、道路格が下位の道路網を表す第1層データからなる。
<道路格について>
ここで、上述した道路格と道路の種類との関係について説明する。道路の種類としては、高速道路、国道、県道、一般道及び細街路を挙げることができ、道路格は、これらの道路の種類を、長距離移動向け、中距離移動向け及び短距離移動向けのいずれかに分類して3段階に定めることができる。例えば、高速道路及び国道を道路格が上位の道路、県道を道路格が中位の道路、一般道及び細街路を道路格が下位の道路として定めることができる。このような分類によれば、主区画データは、第3層データによって、その区画における高速道路及び国道の道路網が表現され、第2層データによって、その区画における県道の道路網が表現される。また、第1層データによって、その区画における一般道及び細街路の道路網が表現されたデータとして構成される。
ここで、上述した道路格と道路の種類との関係について説明する。道路の種類としては、高速道路、国道、県道、一般道及び細街路を挙げることができ、道路格は、これらの道路の種類を、長距離移動向け、中距離移動向け及び短距離移動向けのいずれかに分類して3段階に定めることができる。例えば、高速道路及び国道を道路格が上位の道路、県道を道路格が中位の道路、一般道及び細街路を道路格が下位の道路として定めることができる。このような分類によれば、主区画データは、第3層データによって、その区画における高速道路及び国道の道路網が表現され、第2層データによって、その区画における県道の道路網が表現される。また、第1層データによって、その区画における一般道及び細街路の道路網が表現されたデータとして構成される。
<第2層データについて>
次に、主区画データを構成する第2層データについて述べる。第2層データは、対応する主区画を、さらに複数に分割してなる区画(以下「中区画」と表現する)単位で管理される。中区画単位で分割された第2層データのそれぞれ(これを中区画データとする)は、対応する中区画における中位の道路格の道路網を表す地図データとして構成される。より具体的には、本実施形態において中区画データは、図3に示すように主区画に対応する地域を16分割した構成とする。主区画データは、図3において太線で囲まれた区画に対応し、1つの中区画データは、図3において第2層データの1マスに対応する。これらの中区画データの一群(すなわち、第2層データ)は、例えば中区画の地理的配置に従う順序で、対応する中区画データが配列されたデータ群として構成される。
次に、主区画データを構成する第2層データについて述べる。第2層データは、対応する主区画を、さらに複数に分割してなる区画(以下「中区画」と表現する)単位で管理される。中区画単位で分割された第2層データのそれぞれ(これを中区画データとする)は、対応する中区画における中位の道路格の道路網を表す地図データとして構成される。より具体的には、本実施形態において中区画データは、図3に示すように主区画に対応する地域を16分割した構成とする。主区画データは、図3において太線で囲まれた区画に対応し、1つの中区画データは、図3において第2層データの1マスに対応する。これらの中区画データの一群(すなわち、第2層データ)は、例えば中区画の地理的配置に従う順序で、対応する中区画データが配列されたデータ群として構成される。
<第1層データについて>
また、第1層データは、対応する中区画をさらに複数に分割してなる区画(以下「小区画」と表現する)単位で管理される。小区画単位で分割された第1層データのそれぞれ(これを小区画データとする)は、対応する小区画における下位の道路格の道路網を表す地図データとして構成される。本実施形態において小区画は、対応する中区画を16分割した構成としている。1つの小区画データは、図3において第1層の各マスに対応する。このため、1つの主区画の第1層データは、256個の小区画データを備える構成となる。これらの小区画データの一群(すなわち第1層データ)は、小区画の地理的配置に従う順序で、対応する小区画データが配列されたデータ群として構成される。以下では、主区画データ、中区画データ、及び小区画データのそれぞれを、単に「区画データ」とも表現する。
また、第1層データは、対応する中区画をさらに複数に分割してなる区画(以下「小区画」と表現する)単位で管理される。小区画単位で分割された第1層データのそれぞれ(これを小区画データとする)は、対応する小区画における下位の道路格の道路網を表す地図データとして構成される。本実施形態において小区画は、対応する中区画を16分割した構成としている。1つの小区画データは、図3において第1層の各マスに対応する。このため、1つの主区画の第1層データは、256個の小区画データを備える構成となる。これらの小区画データの一群(すなわち第1層データ)は、小区画の地理的配置に従う順序で、対応する小区画データが配列されたデータ群として構成される。以下では、主区画データ、中区画データ、及び小区画データのそれぞれを、単に「区画データ」とも表現する。
<区画データの詳細な説明>
続いて、区画データの構成について説明する。各区画データは、区画内に存在する、該当する道路格(例えば中区画データであれば中位格道路)の道路網を構成する各道路の接続関係を、複数の道路が交差、合流、分岐する地点に関するノードデータと、その地点間を結ぶ道路に関するリンクデータで表す。
続いて、区画データの構成について説明する。各区画データは、区画内に存在する、該当する道路格(例えば中区画データであれば中位格道路)の道路網を構成する各道路の接続関係を、複数の道路が交差、合流、分岐する地点に関するノードデータと、その地点間を結ぶ道路に関するリンクデータで表す。
ノードデータは、ノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標(緯度及び経度)、ノード名称、ノードに接続する全てのリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、及び交差点種類などの各データから構成される。
リンクデータは、道路毎に固有の番号を付したリンクID、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノードID、リンク内地点の座標、高速道路などの道路種別、道路幅員、リンク方位、道路名称、車線数、および制限速度等の各データから構成される。これらノードデータ及びリンクデータを、併せて道路形状データとも称する。
また、各区画データは、背景データや、テキストデータ、音声データ、イメージ(2D画像や3D画像やポリゴン画像)データなどを備える。
背景データは、地図上の各施設や地形等と、それに対応する地図上の座標を関連付けたデータとして構成している。なお、施設に関しては、その施設に関連付けて電話番号や、住所等のデータも記憶されている。また、テキストデータは、地名、施設名、道路名等を地図上に表示するものであって、その表示すべき位置に対応する座標データと関連付けて記憶されている。音声データは、音声を出力するためのデータであり、イメージデータは地図画像を描画するための画像データである。
以上で述べた、リンクデータや、ノードデータ、背景データなどの種々のデータが表す地図上の要素を、以降では地図要素と称する。地図要素は、更新とともに変化しうるものである。なお、区画データは、地図要素としてPOI(Points Of Interest)を備えていても良い。
<全地図データと差分データについて>
地図データは、区画毎に管理されており、区画単位で更新される。例えば、ある区画が備える地図要素の更新は、道路の開通や閉鎖、施設の追加や削除や変更、交差点や方面や道路等の名称の追加や削除や変更などによって生じる。
地図データは、区画毎に管理されており、区画単位で更新される。例えば、ある区画が備える地図要素の更新は、道路の開通や閉鎖、施設の追加や削除や変更、交差点や方面や道路等の名称の追加や削除や変更などによって生じる。
ここで、地図データの更新に伴って生じる2種類の地図データ、すなわち、全地図データと差分地図データについて説明する。なお、差分地図データの詳細については後で説明するため、ここでは概要について述べる。
全地図データは、前述した地図データに相当するものであって、その区画が収録するべき全ての地図要素を備えている。全地図データは、地図要素の更新に伴って、複数の版数(以下、バージョン)として配信される。例えば、最初のバージョン(すなわち初版)の全地図データは、地図データ配信システム100の運用開始時に配信された全地図データである。なお、ここでは初版の全地図データをバージョン1の全地図データまたは初版全地図データと言い、初版の全地図データに対する更新が反映された、次のバージョンの全地図データをバージョン2の全地図データまたは第2版全地図データと称する。すなわち、バージョンXとは、X番目のバージョンであることを意味する。
差分地図データとは、地図要素のデータを更新する前のバージョンの全地図データと、地図要素のデータを更新した後のバージョンの全地図データとの差分を表すデータである。この差分は、言い換えると、各バージョンで更新された地図要素のデータに相当する。差分地図データも、全地図データと同様に、地図要素の更新に伴って、複数のバージョンを備える。
これら全地図データと、差分地図データとの関係を図4に示す。図中の全地図データ(Ver1)は、バージョン1の全地図データを表し、全地図データ(Ver2)は、バージョン2の全地図データを表している。すなわち、Verに続く数字が、何番目のバージョンの全地図データであるかを指し示している。
図4に示すように、バージョン1の差分地図データは、バージョン1の全地図データと、バージョン2の全地図データとの差分を表す。言い換えれば、バージョン2の全地図データは、バージョン1の全地図データと、バージョン1の差分地図データとを結合した地図データに相当する。
ここで、相対的にバージョンが古い全地図データが、請求項に記載の更新前地図データに相当し、相対的にバージョンが新しい全地図データが、請求項に記載の更新済地図データに相当する。例えば、最新バージョンの全地図データ及び差分地図データが配信された時点を基準とすると、最新バージョンの全地図データが、更新済地図データに相当し、それよりも以前に配信された全地図データが、更新前地図データに相当する。
なお、あるバージョンの全地図データに、それ以降に配信されたバージョンの差分地図データを結合することによって更新が反映された地図データを、更新地図データと称する。更新地図データを生成する処理については、図8を用いて後述するが、生成された更新地図データは、当該データの使用が終了すると、保存せずに削除するものとする。
また、複数の連続したバージョンの差分地図データは、積み重ねて使用することができる。例えば、バージョン1の全地図データに、バージョン1から4までの全ての差分地図データを結合することで、バージョン5の全地図データに相当する更新地図データを得ることが出来る。
以上で述べた全地図データは、区画毎のデータ群からなり、それぞれ区画単位で管理(データの移動、置換、削除など)ができる構成とする。本実施形態では、一例として主区画単位で管理できる構成とするが、もちろん、この他、更に小さい区画の単位で管理出来る構成としても良い。差分地図データもまた、区画毎のデータ群からなり、それぞれ区画単位で管理ができる構成となっている。ただし、差分地図データは、その一部のデータだけを複製及び移動などのデータ処理をすることもできる。
<差分地図データの構成>
上述したように差分地図データは、区画毎のデータ群から構成される。以降では、あるバージョンの、ある主区画内の全てのデータが揃っているデータ群を、差分地図データと称する一方、差分地図データの一部や、複数の差分地図データのまとまりなど、ある全地図データからの変化分を示すデータを、差分データと称する。差分地図データも、この差分データに含まれる。この差分データが請求項に記載の差分データに相当する。
上述したように差分地図データは、区画毎のデータ群から構成される。以降では、あるバージョンの、ある主区画内の全てのデータが揃っているデータ群を、差分地図データと称する一方、差分地図データの一部や、複数の差分地図データのまとまりなど、ある全地図データからの変化分を示すデータを、差分データと称する。差分地図データも、この差分データに含まれる。この差分データが請求項に記載の差分データに相当する。
また、以下では、ある区画についての差分データを、区画差分データとも表現する。例えば第1主区画についての差分データは第1主区画差分データと表し、第1中区画についての差分データは、第1中区画差分データと表す。従って、第N主区画差分データとは、第N主区画についての差分データであることを表す。
区画差分データは、図5に示すように、第3層差分データ、第2層差分データ、および第1層差分データを備えており、第3層差分データは、対応する区画内における道路格が上位の新規道路網を、前バージョンからの差分により表している。また、第2層差分データは、対応する区画内における道路格が中位の新規道路網を、前バージョンからの差分により表し、第1層差分データは、対応する区画内における道路格が下位の新規道路網を、前バージョンからの差分により表している。
差分データにおける道路格及び区画の定義は、全地図データと同じである。例えば、バージョン1の差分データを構成する第3/2/1層差分データは、対応する区画における上/中/下位道路格の道路網の、バージョン1の全地図データからの変化分を表す。
ただし、各層の差分データは、全地図データを構成する各層データとは異なり、前バージョンの全地図データにおいて対応する層データに対する修正箇所及び修正内容を表すコマンド群で記述される。各バージョンの差分データにおいて、修正箇所がない区画の区画差分データは空データとして構成されればよい。
<差分グループ>
また、差分地図データは、その差分地図データが配信されたバージョン毎に、更新された地図要素のデータのグループ(差分グループ)に対して、その差分グループを特定するID(以下、差分グループID)を備えている。
また、差分地図データは、その差分地図データが配信されたバージョン毎に、更新された地図要素のデータのグループ(差分グループ)に対して、その差分グループを特定するID(以下、差分グループID)を備えている。
差分グループは、例えば更新された地図要素が交差点を挟んだ道路区間だった場合、その道路区間を表すリンクデータ及びノードデータといった道路形状データ、及びこの道路区間の属性データの集合となる。また、更新された地図要素が交差点だった場合、交差点を表すノードデータ及び交差点に接続されるリンクデータといった道路形状データ、及びこの道路区間の属性データの集合となる。
また、差分地図データを構成する差分データには、地図要素同士の依存関係を表すデータも含んでいる。次に、この依存関係についての説明を行う。
<依存関係>
依存関係とは、あるバージョンの差分地図データに含まれる地図要素(以下、第1地図要素)のデータを利用する場合に、予め他の地図要素(以下、第2地図要素)のデータを更新しておかないと、第1地図要素が他の地図要素と不整合となる関係にあることを指す。第1地図要素が他の地図要素と不整合となっている状態とは、例えば、ある道路(第1地図要素)が他のいずれの道路(他の地図要素)とも接続していない状態を指す。
依存関係とは、あるバージョンの差分地図データに含まれる地図要素(以下、第1地図要素)のデータを利用する場合に、予め他の地図要素(以下、第2地図要素)のデータを更新しておかないと、第1地図要素が他の地図要素と不整合となる関係にあることを指す。第1地図要素が他の地図要素と不整合となっている状態とは、例えば、ある道路(第1地図要素)が他のいずれの道路(他の地図要素)とも接続していない状態を指す。
ここで、図6を用いて依存関係についての説明を行う。図6では、初版全地図データに対して更新が2回行われた場合、すなわち、バージョン2、バージョン3の全地図データが配信された場合を表している。なお、図6に示す地図の模式図は、全地図データのものを示しており、各バージョンにおける前バージョンからの変化分が、バージョン1及びバージョン2の差分地図データを表している。
初版全地図データが作成される当初から道路区間「a」〜「d」が敷設されている場合には、図6の最下段に示すように、道路区間「a」〜「d」が含まれる初版全地図データが作成される。この状態から道路区間「e」〜「h」が開通した場合、図6の中段に示すように、道路区間「e」〜「h」の追加を初版全地図データに反映した第2版全地図データが作成される。
ここでは、更新された地図要素である道路区間「e」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA1、道路区間「f」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA2とする。また、道路区間「g」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA3、道路区間「h」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA4とする。
道路区間「e」は道路区間「c」から分岐するように開通し、道路区間「f」は道路区間「e」から伸長するように開通し、道路区間「g」は道路区間「b」に交差するように開通し、道路区間「h」は道路区間「g」から伸長するように開通するものとする。
さらに、この状態から道路区間「i」〜「l」が開通した場合に、道路区間「i」〜「l」の追加を第2版全地図データに反映した第3版全地図データが作成される。以降では、更新された地図要素である道路区間「i」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB1、道路区間「j」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB2とする。また、道路区間「k」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB3、道路区間「l」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB4とする。
図6の上段に示すように、道路区間「i」は道路区間「f」から伸長するように開通し、道路区間「j」は道路区間「i」から伸長するように開通し、道路区間「k」、「l」のそれぞれは道路区間「g」から伸長するように開通するものとする。
第2版全地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「f」は、道路区間「e」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまう。このため、道路区間「f」と道路区間「e」との間には、道路区間「f」が道路区間「e」を依存先とする依存関係がある。よって、差分グループA1と差分グループA2とは依存関係にある。以降では、依存先を「親」と呼び、依存する側を「子」と呼ぶ。差分グループA1と差分グループA2との依存関係を親子で表すと、差分グループA1が「親」、差分グループA2が「子」となる。
第2版全地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「h」は、道路区間「g」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまう。このため、道路区間「h」と道路区間「g」との間にも、道路区間「h」が道路区間「g」を依存先とする依存関係がある。よって、差分グループA3が「親」、差分グループA4が「子」となる依存関係がある。
第3版全地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「i」は、第2版全地図データで更新された地図要素である道路区間「f」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまう。このため、道路区間「f」と道路区間「i」との間にも、道路区間「i」が道路区間「f」を依存先とする、バージョンを跨いだ依存関係がある。よって、差分グループA2が「親」、差分グループB1が「子」となる依存関係がある。
第3版全地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「j」は、道路区間「i」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまうので、道路区間「i」と道路区間「j」との間にも、道路区間「j」が道路区間「i」を依存先とする依存関係がある。よって、差分グループB1が「親」、差分グループB2が「子」となる依存関係がある。
また、第3版全地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「k」、「l」は、第2版地図データで更新された地図要素である道路区間「h」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまう。このため、道路区間「k」、「l」と道路区間「i」との間にも、道路区間「k」、「l」が道路区間「h」を依存先とする、バージョンを跨いだ依存関係がある。よって、差分グループA4が「親」、差分グループB3、B4が「子」となる依存関係がある。なお、差分グループB3と差分グループB4との間には依存関係はない。
図7に、各差分地図データに含まれる地図要素の依存関係を示す。前述した差分グループA1〜A4、B1〜B4の依存関係は、図7に示すように、異なるバージョンについての差分グループにまで遡ることになる。具体的には、「親」から順にA1−A2−B1−B2、A3−A4−B3・B4という依存関係になる。
図7に示すように、あるバージョン(ここではバージョン1)とその次のバージョン(ここではバージョン2)の差分地図データ間だけでなく、ある区画とその他の区画との間にも依存関係は存在しうる。例えば差分グループA1が第K−1主区画に属しており、差分グループA2が第K主区画に属しており、差分グループA4が第K+1主区画に属している場合を想定する。
この想定において第K主区画の地図データにバージョン1の差分地図データを追加する場合、差分グループA1−A2間の依存関係から、第K主区画だけでなく、第K−1主区画においてもまた、少なくとも差分グループA1を含む差分データを追加する必要がある。これは、「子」に相当する差分グループA2を含む差分データを追加する際には、「親」に相当する差分グループA1を含む差分グループも追加しなければ、「子」に相当する差分グループA1が他の地図要素と整合が取れなくなってしまうからである。「親」に相当する差分グループを構成する地図要素が、請求項に記載の依存地図要素に相当する。
一方、第K−1主区画においてバージョン1の差分地図データを追加する際に、第K主区画を更新する必要はない。これは、依存関係において、「子」に相当する差分グループA2を含む差分データを追加しなくても、差分グループA1の地図要素は他の地図要素と整合がとれているからである。また、図7に示すように差分グループA3が第K主区画及び第K+1主区画にまたがっている場合には、第K主区画だけでなく、第K+1主区画も更新する必要がある。
なお、図6及び図7では、地図要素として道路区間が更新された場合の依存関係について説明を行ったが、道路区間以外の地図要素についても同様であるものとする。例えば、地図要素として施設が更新される場合にも、その施設が面する道路区間が先に更新されていないとその施設が他の地図要素と不整合となる場合には、その施設とその道路区間との間に依存関係があることになる。また、地図要素として、ある場所である画像データを表示するという案内データが更新される場合にも、その案内データが用いる画像データが先に更新されていないとその案内データが不整合なものとなってしまう場合には、その案内データとその画像データとの間に依存関係があることになる。
さらに、図7ではバージョン1の全地図データに、差分地図データを追加する場合の、地図要素間の依存関係について説明したが、もちろん、ある区画の全地図データをより新しい全地図データによって置き換える場合にも、同様の依存関係について留意する必要がある。すなわち、ある区間の地図データを、より新しいバージョンの全地図データで置換した場合には、その全地図データで追加された地図要素が依存関係を備える他の区画についても更新する必要がある。
なお、ある区画(これを対象区画とする)において、既存の全地図データに差分地図データを追加することによって変化する地図要素の依存関係を満たすために、他の区画(これを対象外区画とする)に差分データを追加する必要がある場合、対象外区画には、少なくともその依存関係がある差分グループを含む差分データを追加すればよい。
すなわち、対象外区画においては、差分地図データ単位で追加する必要はなく、依存関係を満たすために必要な差分グループを含む差分データ(これを依存差分データとする)だけを追加すれば良い。もちろん、対象区画をより新しいバージョンの全地図データで置き換えることによって、変化する地図要素の依存関係を満たすために、対象外区画に差分データを追加する必要がある場合も同様である。
以降では図1に戻り、上述した地図データを用いる地図データ配信システム100が備えるナビゲーション装置1及びサーバ2の構成について説明する。
(ナビゲーション装置1の構成)
ナビゲーション装置1は、図1に示すように、ナビ側制御装置10、ナビ側通信装置11、外部入出力インターフェース(以降、外部I/Fと略す)12、入力装置13、位置検出器14、表示装置15、音声出力装置16、ナビ側地図データベース17を備えている。なお、以降においてデータベースはDBと略して記す。
ナビゲーション装置1は、図1に示すように、ナビ側制御装置10、ナビ側通信装置11、外部入出力インターフェース(以降、外部I/Fと略す)12、入力装置13、位置検出器14、表示装置15、音声出力装置16、ナビ側地図データベース17を備えている。なお、以降においてデータベースはDBと略して記す。
ナビ側制御装置10と、ナビ側通信装置11、外部I/F12、入力装置13、位置検出器14、表示装置15、音声出力装置16、及びナビ側地図DB17とは、周知の通信技術によって相互通信可能にそれぞれ接続されている。
ナビ側通信装置11は、送受信アンテナを備え、例えば電話回線やインターネットなどの通信ネットワークを介して、サーバ2と通信する。ナビ側通信装置11は、ここでは一例としてテレマティクス通信に用いられるDCM(Data Communication Module)といった車載通信モジュールを採用する。もちろん、この他、公知の第3世代移動体通信システムで用いられる通信モジュールを採用してもよい。このナビ側通信装置11が請求項に記載のナビ側通信部に相当する。
ナビ側通信装置11は、ナビ側制御装置10からの指示に基づいて、種々の信号をサーバ2に送信するとともに、サーバ2から送信された信号を受信して、ナビ側制御装置10に出力する。例えばナビ側通信装置11は、ナビゲーション装置1に電力が供給されて起動すると、ナビゲーション装置1が起動したことを示す起動通知信号をサーバ2に送信する。
なお、起動通知信号などのナビ側通信装置11からサーバ2に送信される信号には、自身のナビゲーション装置1と他のナビゲーション装置とを区別させるための識別子(車両IDとする)、や後述する位置検出器14が検出した車両位置が含まれている。車両IDは、車両やナビゲーション装置1の製造番号の他、ナビ側通信装置11に割り当てられているMACアドレスなどを用いればよい。
外部I/F12は、自車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit)やセンサから、車両状態の情報をナビ側制御装置10が取得するためのインターフェースである。例えば、外部I/F12には、所定の通信プロトコルに準拠した車内LAN(Local Area Network)を介して自車両に搭載されたECUやセンサから車両状態の情報が入力されてくる。車両状態の情報の一例としては、シフトポジションセンサの信号、イグニッション電源のオンオフの信号等がある。
入力装置13は、例えば表示装置15と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、ユーザはこれらのスイッチを操作することによりナビ側制御装置10へ各種機能の実行指示を行う。
位置検出器14は、周知のジャイロスコープ、車速(距離)センサ、及び衛星からの電波に基づいて自装置の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS受信機(いずれも図示略)を備えている。位置検出器14はこれらのセンサの出力に基づいて自車両の現在位置(以下、車両位置)を逐次検出する。車両位置は、例えば緯度及び経度で表される座標とする。
これら位置検出器14が備えるセンサ群は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器14を、上述したセンサの一部で構成しても良い。
表示装置15は、ナビ側制御装置10からの入力に基づいてテキストや画像を表示し、種々の情報をユーザに報知する。表示装置15は、例えばインスツルメントパネルの中央、又は運転席の前方に設けられたコンビネーションメータ内等に配置されている。表示装置15は、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成することができる。また、音声出力装置16は、スピーカやアンプ等から構成され、ナビ側制御装置10の指示に基づいて案内音声等を出力する。
ナビ側地図DB17は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等、書き換え可能な記憶媒体を用いて構成される記憶装置であって、上述した地図データを記憶している。ナビ側地図DB17には地図データとして、ナビゲーション装置1の購入時に配信されていたバージョンの全地図データが格納されている他、ナビ側通信装置11を通じてサーバ2から受信した差分地図データ、依存差分データ等を記憶する。また、ナビ側地図DB17には、各区画の地図データを管理するための地図管理データを備えている。地図管理データには、各区画に備えられている全地図データのバージョンと、その区画に差分データが存在するか等が示されている。このナビ側地図DB17が請求項に記載のナビ側地図記憶部に相当する。
ナビ側制御装置10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU、ROMやEEPROMなどの不揮発性メモリ、RAMなどの揮発性メモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(何れも図示略)などを備えている。不揮発性メモリには、種々の処理を実行するためのプログラムが格納されている。ナビ側制御装置10は、ナビ側通信装置11、外部I/F12、入力装置13、位置検出器14から入力される各種情報とメモリに格納されているプログラムに基づいて種々の処理を実施する。ナビ側制御装置10が実行する処理としては、例えば、地図表示処理、経路計算処理、経路案内処理などがある。
地図表示処理では、位置検出器14により検出された現在位置周辺又は入力装置13を通じてユーザから指定された地域周辺の道路地図を、ユーザから指定された縮尺で表示装置15の画面に表示させる。
経路計算処理では、例えば現在の車両位置などの出発地から目的地までの、距離優先、時間優先等の予め設定された条件を満たす推奨経路を、ダイクストラ法など公知の探索法を用いて計算する。
経路案内処理では、案内経路の走行を案内する。案内経路は、経路計算処理によって計算した推奨経路であって、ユーザの経路確定操作により確定された経路である。例えば経路案内処理では、案内経路及び自車両の車両位置を示した電子地図を表示装置15に逐次表示させるとともに、目的地までの案内音声を音声出力装置16から逐次出力させることで、案内経路の走行を案内する。
また、ナビ側制御装置10は、上述した以外の処理を実施するための機能ブロックとして、図1に示すように、地図提供部10A、及び更新処理部10Bを備えている。地図提供部10Aは、地図表示処理や経路案内処理等の読出要求元からの読出要求に応じて、当該読出要求により指定された区画の地図データを、元地図データおよび差分データから生成して読出要求元に提供する地図提供処理を実行する。この地図提供部10Aについては図8を用いて後述する。
更新処理部10Bは、サーバ2から取得した地図データに基づいてナビ側地図DB17に格納されている地図データを更新する処理(これをナビ側更新処理とする)を実行する。この更新処理部10Bについては、図13を用いて後述する。この更新処理部10Bが請求項に記載のナビ側更新部に相当する。
(サーバ2の構成)
サーバ2は、図1に示すようにサーバ側制御装置20、サーバ側通信装置21、サーバ側地図DB22、及び記憶部23を備えている。サーバ側通信装置21は、公知の無線通信技術によってナビゲーション装置1と通信する。例えばナビゲーション装置1と、サーバ2とは、ナビゲーション装置1が起動している状態において、逐次通信を実施する。
サーバ2は、図1に示すようにサーバ側制御装置20、サーバ側通信装置21、サーバ側地図DB22、及び記憶部23を備えている。サーバ側通信装置21は、公知の無線通信技術によってナビゲーション装置1と通信する。例えばナビゲーション装置1と、サーバ2とは、ナビゲーション装置1が起動している状態において、逐次通信を実施する。
サーバ側制御装置20は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU、ROMやEEPROMなどの不揮発性メモリ、RAMなどの揮発性メモリ、I/O、及びこれらの構成を接続するバスライン(何れも図示略)などを備えている。不揮発性メモリには、種々の処理を実行するためのプログラムが格納されている。サーバ側制御装置20は、サーバ側通信装置21、サーバ側地図DB22、及び記憶部23と、それぞれ相互通信可能に接続されており、不揮発性メモリに格納されているプログラムに基づいて種々の処理を実施する。
サーバ側地図DB22は、HDD等を用いて実現される記憶装置であって、全バージョンの全地図データ及び差分データの他、各差分データ間の依存関係を示したデータ(依存関係対応データとする)も格納されている。このサーバ側地図DB22が請求項に記載のサーバ側地図記憶部に相当する。
記憶部23は、HDD等を用いて実現される記憶装置であって、自車両が頻繁に走行する区画(コアエリアとする)を、自車両の車両IDと対応付けられて記憶されている。コアエリアは、ユーザがその区画の地図データを利用する頻度から自動的に決定されても良いし、ユーザによって設定されたものであってもよい。自動的に決定する場合には、区画毎に、その区画の地図データを利用する頻度を算出し、利用頻度が一定値以上となっている区画をコアエリアと決定すればよい。区画毎の地図データの利用頻度は、その区画が備える道路を自車両が走行した回数や、その区画が備える道路のうち、自車両が走行したことがある道路の割合などの走行履歴から算出すれば良い。このコアエリアを構成する主区画を、請求項に記載の対象区画の一例とする。
また、記憶部23には、コアエリアの他、そのナビゲーション装置1に配信済みの地図データのリスト(これを配信済みリストとする)が、車両IDに対応付けられて保存されている。例えば、ナビゲーション装置1に既にバージョン3までの全地図データが配信済みである場合には、その旨を記憶している。従って、サーバ側制御装置20は、記憶部23に記憶されている配信済みリストを参照することで、ナビゲーション装置1が取得済みの地図データを認識することができる。
(比較構成について)
ここで、本実施形態の作動及び効果について説明する前に、図8及び図9を用いて従来の地図データ配信システムの構成(これを比較構成とする)における作動及びその課題点について説明する。
ここで、本実施形態の作動及び効果について説明する前に、図8及び図9を用いて従来の地図データ配信システムの構成(これを比較構成とする)における作動及びその課題点について説明する。
比較構成は、主として図1に示す本実施形態の地図データ配信システム100と同様の構成となっている。ただし、比較構成におけるナビゲーション装置は、予め自身が備えている地図データを更新する必要が生じた場合には、その更新分を表すバージョンの差分地図データを取得し、それぞれをナビ側地図DBに保持していく。したがって、予め備えられていた全地図データに対して複数回更新が為された場合には、それらの更新に対応する為の複数のバージョンの差分データがナビ側地図DBに蓄積される。
そして、経路計算処理など、他のアプリケーションから地図データを要求された場合には、全地図データと差分地図データを結合することによって地図の更新を反映した更新地図データを生成し、要求元に提供する。以降、この地図提供処理について、図8を用いて簡単に説明する。なお、ここでは比較構成における地図提供処理として説明するが、本実施形態の地図提供部10Aが実施する地図提供処理も同様の流れで実施される。
また、この地図提供処理の説明において、比較構成のナビ側地図DBには、全区画に対してバージョン1の全地図データと、バージョン1からバージョン4までの差分地図データが備えられているものとする。
<地図提供処理>
図8に示すフローチャートは、他の処理(地図表示処理、経路探索処理及び経路案内処理等)からの読出要求があった場合に開始されるものとする。以降では、読出要求をしたアプリケーションを読出要求元とする。
図8に示すフローチャートは、他の処理(地図表示処理、経路探索処理及び経路案内処理等)からの読出要求があった場合に開始されるものとする。以降では、読出要求をしたアプリケーションを読出要求元とする。
まず、ステップS101では、指定区画取得処理を実施してステップS103に移る。ステップS101の指定区画取得処理では、読出要求により指定された読出対象の各主区画(これを指定区画とする)についての情報を取得する。指定区画の情報とは、例えば、主区画の番号や、その主区画の地図データが記憶されているナビ側地図DB17上のアドレスなどである。読出要求によっては、主区画の地図データのうちの、より細かい区画(中区画や小区画)が読出対象として指定されるが、ここではそれらの区画が属する主区画を指定区画とする。
S103では、まず、読出要求の種類に基づいて、指定区画に対応する差分データの読出が必要であるか否かを判断する。ここでは、例えば、読出要求が差分データの利用を要求するものである場合に、差分データの読出が必要であると判断し、読出要求が差分データの利用を要求しないものである場合に、差分データの読出が不要であると判断する。差分データの読み出しが必要な読出要求の種類は、予めナビ側制御装置10が備えるメモリに記憶させておけば良い。
また、S103では、指定区画となっている区画毎に、地図管理データを参照し、その区画に差分データが存在するか否かを判定する。読出要求の種類が、差分データの読み出しを必要とする種類であっても、指定区画となっている区画に差分データがない場合には、差分データを読み出す必要はない。したがって、読出要求の種類が、差分データの読み出しが必要な種類であって、かつ、指定区画となっている区画に差分データがある場合に、その指定区画については読み出しが必要であると判定する。
指定区画に対応する差分データの読み出しが必要である場合には、ステップS105がYESとなってステップS107に移る。また、指定区画に対応する差分データの読出が不要である場合には、ステップS105がNOとなってステップS113に移る。
ステップS107では、ナビ側地図DBに備えられている指定区画に対応する差分データの一群を読み出す。ここでは、便宜上、指定区画の差分データは、いずれも差分地図データの単位で存在するものとしている。すなわち、指定区画の全てのバージョンの差分地図データを読み出す。
ステップS109では、更新地図生成処理を実行してステップS111に移る。このステップS109の更新地図生成処理では、ステップS101で読み出した区画データ毎に、当該区画データと、ステップS107で読み出した区画データに対応する区画差分データと、を結合し、各区画に対して更新地図データを生成する。以下では、この更新地図生成処理によって得られる各区画の更新地図データを、更新区画データとも表現する。
この更新区画データは、各バージョンの差分地図データに含まれる区画差分データを順に参照し、全地図データから読み出した区画データを、この区画差分データが示す修正箇所及び修正内容を表すコマンド群に従って修正することにより、生成することができる。
たとえば、指定区画に含まれている第α主区画データを、当該主区画に対応するバージョン1からバージョン4までの差分データが示す修正箇所及び修正内容を表すコマンド群に従って修正する。これによって、全地図データの主区画データに、区画差分データが示す地図要素の変更を反映させた更新区画データを生成する。このステップS109で得られる更新区画データは、バージョン5の全地図データにおいて対応する区画データと同様の地図要素を備えている。
中区画や小区画の区画データに対しても、ステップS107で読み出した同一区画の差分データが示す修正箇所及び修正内容を表すコマンド群に従って修正する。これら更新区画データは、揮発性メモリに一時保存される。
ステップS111では、前ステップS109で生成した更新区画データからなる更新地図データを読出要求元に提供して、本地図提供処理を終了する。また、ステップS113では、指定区画の全地図データを提供して、本地図提供処理を終了する。もちろん、全地図データが備える全てのデータを提供する必要はなく、読出要求で指定されていた区画が中区画や小区画であれば、その区画についてのデータを読出要求元に提供すればよい。
読出要求元であるアプリケーションは、このようにして提供される地図データを用いて、種々の処理を実施する。たとえば、地図表示処理が読出要求元であった場合には、地図提供処理によって提供される地図データを用いて、ユーザから指定された地域や現在地周辺の道路地図を、ユーザから指定された縮尺で表示装置15の画面に表示する。なお、揮発性メモリに保存されている更新地図データは、読出要求元のアプリケーションでの利用が終了すると消去される。
なお、以上で述べた比較構成の動作例では、ナビ側地図DBに格納されている全地図データをバージョン1のものとしたため、この全地図データに対してバージョン1からバージョン4までの差分地図データを結合して更新地図データを生成した。もちろん、ナビ側地図DBに格納されている全地図データがバージョン4のものであれば、この全地図データに対して1つの(すなわち、バージョン4)の差分地図データを結合して更新地図データを生成すればよい。
<比較構成の課題>
比較構成では、ナビ側地図DBに格納されている全地図データが相対的に古くなるにつれて、更新地図データを生成するために読み出す差分データの量が増大してしまう。そして、更新地図データを生成するために読み出す差分データが増大することによって、読み出し要求を受けてから更新地図データを読出要求元に提供するまでの遅延が増大してしまうといった問題(すなわち、読み出し速度の低下)が生じる。
比較構成では、ナビ側地図DBに格納されている全地図データが相対的に古くなるにつれて、更新地図データを生成するために読み出す差分データの量が増大してしまう。そして、更新地図データを生成するために読み出す差分データが増大することによって、読み出し要求を受けてから更新地図データを読出要求元に提供するまでの遅延が増大してしまうといった問題(すなわち、読み出し速度の低下)が生じる。
もちろん、ナビ側地図DBに格納されている全地図データが相対的に新しいバージョン(例えばバージョン4など)であれば、その時点においては、結合する必要のある差分データのバージョンの数が小さいため、読み出し速度の低下は相対的に小さくなる。しかしながら、その後の地図の更新に伴って差分地図データのバージョン数は増加していくため、やはり将来的には読み出し速度の低下が問題となってしまう。
(本実施形態の作動について)
以下、本実施形態の作動について、図10〜14を用いて説明する。なお、以降の説明の前提として、全地図データはバージョン5まで、差分データはバージョン4まで、それぞれ配信されており、サーバ側地図DB22には、それらの全てのデータが格納されている。
以下、本実施形態の作動について、図10〜14を用いて説明する。なお、以降の説明の前提として、全地図データはバージョン5まで、差分データはバージョン4まで、それぞれ配信されており、サーバ側地図DB22には、それらの全てのデータが格納されている。
また、図10は、ナビ側地図DB17が備えている区画毎の地図データのバージョンについて説明するための図であって、第1主区画から第N主区画までの各主区画を横軸に並べ、縦軸は、それぞれの主区画が備える地図データのバージョンを表している。なお、図中のΔVer1が、バージョン1の差分地図データを、ΔVer2は、バージョン2の差分地図データを表している。ΔVer3、ΔVer4についても同様である。
図10に示すように本実施形態においてナビ側地図DB17は、全ての主区画において、バージョン3までの全地図データを備えている。さらに、第K−1主区画、第K主区画、第K+1主区画からなるコアエリアについては、それぞれの主区画に対してバージョン3の差分地図データを備えている。また、第K−2主区画と、第K+2主区画には、コアエリアが備えるバージョン3の差分地図データと依存関係を有する依存差分データが備えられている。
これらの依存差分データによって、コアエリアが備えるバージョン3の差分地図データの地図要素は、コアエリア外の地図要素と整合が取られている。
<更新用データ配信処理>
まず、サーバ側制御装置20が実施する更新用データ配信処理について図11を用いて説明する。図11に示すフローチャートは、ナビゲーション装置1から起動通知信号を受信した場合に開始される。
まず、サーバ側制御装置20が実施する更新用データ配信処理について図11を用いて説明する。図11に示すフローチャートは、ナビゲーション装置1から起動通知信号を受信した場合に開始される。
まず、ステップS201では、ナビゲーション装置1が送信した起動通知信号を受信して、ステップS203に移る。ステップS203では、ステップS201で受信した起動通知信号を送信したナビゲーション装置1に設定されているコアエリアを取得して、ステップS205に移る。
例えばサーバ側制御装置20は、起動通知信号に含まれる車両IDから、本地図データ配信システム100のサーバ2と通信可能な複数のナビゲーション装置のうち、当該起動通知信号を送信したナビゲーション装置1を特定する。そして、そのナビゲーション装置1に対応づけて記憶されているコアエリアを記憶部23から読み出す。ここでは、第K−1主区画、第K主区画、及び第K+1主区画の3つの主区画が、ナビゲーション装置1のコアエリアに相当する。また、記憶部23を参照して、ナビゲーション装置1が取得済みの地図データについても取得する。
ステップS205では、サーバ側地図DB22が備えるコアエリアに相当する区画の全ての差分データのうち、ナビゲーション装置1が未取得のバージョンの差分地図データを読み出し、ステップS207に移る。ステップS207では、コアエリア外の差分データのうち、ステップS205で取得した差分地図データと依存関係を有する差分データ、すなわち依存差分データを、依存関係対応データを参照して決定する。そして該当する依存差分データを読み出してステップS209に移る。
ステップS209では、コアエリアに相当する各区画の最新バージョンの全地図データを読み出して、ステップS211に移る。ステップS211では、ステップS207で読み出した依存差分データから、ナビゲーション装置1が取得済みの部分を取り除いて、ステップS213に移る。
ステップS213では、ステップS209で読み出した全地図データ、及びステップS211で生成された依存差分データを纏めて1つのデータにし(すなわち、パッキングし)、ステップS215に移る。なお、パッキングとは、複数のデータを合成/統合するわけではなく、複数のデータを1つの指示で移動などのデータ処理ができる状態にすることを示す。このステップS213でパッキングされたデータが、ナビ側地図DB17が備える地図データを更新するためのデータであって、更新用データとも称する。このステップ213を実施するサーバ側制御装置20が請求項に記載の更新用データ生成部に相当する。
ステップS215では、ステップS213でパッキングされた更新用データを、サーバ側通信装置21を介してナビゲーション装置1に配信して、更新用データ配信処理を終了する。前ステップS213で、配信すべき全地図データ、及び依存差分データをパッキングしておくことで、1つの配信指示でそれらを纏めて配信することができる。なお、纏めて配信するとは、フレームなどの1つのデータ単位で送るという意味ではなく、1つの配信指示でパッキングされている全てのデータを配信する、という意味である。実際に配信されるデータは、所定のデータ単位で分割されて送信される。このステップS215を実施するサーバ側制御装置20が請求項に記載の配信処理部に相当する。
ここで、図12を用いて、以上で述べた更新用データ生成処理について引き続き説明する。図12の最上段に示す図の縦軸及び横軸は、図10と同様のものであって、サーバ側地図DB22が備える地図データのうち、ステップS205及びステップS207に関係する部分に対してハッチングを施している。ハッチングの態様が指し示すデータの種類も、図10と同様である。
まず、ステップS205での作動について説明する。本実施形態においてナビゲーション装置1は、コアエリアに相当する区画、すなわち第K−1主区画、第K主区画、及び第K+1主区画に対しては、バージョン3の全地図データ、及びバージョン3の差分地図データを取得済みである。したがって、ステップS205においてサーバ側制御装置20は、コアエリアに相当する区画のバージョン4の差分地図データを、ナビゲーション装置1が未取得の差分地図データとして読み出す。
また、本実施形態においてナビゲーション装置1は、コアエリア外の区画、例えば第K−2主区画などに対しては、バージョン3の全地図データを取得済みである。したがって、ステップS207では、コアエリア外の区画においてバージョン3以上の差分データのうち、そのステップS205で取得された差分データと依存関係を有する差分データを依存差分データとして取得する。ここでは、図12の最上段に示すように、第K−3主区画、第K−2主区画、第K+2主区画、第K+3主区画において、依存差分データが存在する。
図12の中段左側に示すように、ステップS209では、コアエリアに相当する各区画における最新バージョンの全地図データを読み出す。また、コアエリア外の区画に存在するデータ、すなわち、ステップS207で読み出された依存差分データに対しては、ステップS211で、ナビゲーション装置1が取得済みの部分を取り除くことで、図12の中段右側に示す部分が残る。ナビゲーション装置1が取得済みの部分とは、図10に示す依存差分データの部分に相当する。このステップS211を実施することによって、重複する依存差分データの配信を抑制することができる。
そして、図12の中段に示した全地図データと依存差分データとをパッキングすることによって、図12下段に示す更新用データが生成される。
以上のようにして更新用データを生成することで、コアエリアの地図要素を全て最新の状態にし、かつ、そのコアエリアのデータが地図データとして保証されるために必要な差分データが含まれた更新用データを作成することができる。なお、データが地図データとして保証された状態とは、前述した依存関係を満たし、更新によって変化した地図要素が他の地図要素と整合が取れている状態を指す。例えばコアエリアの道路網が、コアエリア外の道路網と接続している、すなわち、コアエリア外の道路形状データと整合している状態を指す。
<ナビ側更新処理>
次に、図13に示すフローチャートを用いて、更新処理部10Bが実施するナビ側更新処理の流れについて説明する。図13に示すフローチャートは、サーバ2が送信した更新用データをナビ側通信装置11が受信した場合に開始される。
次に、図13に示すフローチャートを用いて、更新処理部10Bが実施するナビ側更新処理の流れについて説明する。図13に示すフローチャートは、サーバ2が送信した更新用データをナビ側通信装置11が受信した場合に開始される。
まず、ステップS301では、サーバ2が送信した更新用データを受信(復調など)してステップS303に移る。ステップS303は、更新用データに含まれる区画毎の地図データ(全地図データまたは差分データ)に対応する全ての区画に対して、以降で述べる処理を実施したか否かを判定する。本実施形態では、第K−3、K−2、K−1、K、K+1、K+2、K+3主区画が処理の対象となる。
全ての区画に対して処理が実施されている場合には、ステップS303がYESとなって、ナビ側更新処理を終了する。一方、未処理の区画が残っている場合には、ステップS303がNOとなって、ステップS305に移る。
ステップS305では、更新用データに含まれる区画毎の地図データに対応する全ての区画のうち、未処理となっている区画のうちの1つを、以降の処理の対象(これを処理区画とする)として、ステップS307に移る。未処理の区画が複数残っている場合は、例えば区画の番号が小さいほうから処理の対象としていけば良い。
ステップS307では、更新用データに含まれるデータのうち、処理区画用のデータが全地図データであるか否かを判定する。処理区画用のデータが全地図データである場合には、ステップS307がYESとなってステップS309に移る。一方、処理区画用のデータが全地図データでない場合にはステップS307がNOとなって、ステップS311に移る。ここでは、第K−1、K、K+1主区画が処理区画となっている場合にステップS307がYESとなる一方、第K−3、K−2、K+2、K+3主区画が処理区画となっている場合にはステップS307がNOとなる。
ステップS309では、ナビ側地図DB17に格納されている処理区画の全地図データを、更新用データに含まれている処理区画の全地図データで置換して、ステップS303に戻る。なお、ナビ側地図DB17に処理区画の差分データが記憶されている場合は、その差分データを削除する。
ステップS311では、ナビ側地図DB17に格納されている処理区画の区画データに、更新用データに含まれている処理区画の差分データを、その処理区画と対応付けて保存し、ステップS303に戻る。言い換えれば、コアエリア外の区画については、それまでに取得している地図データの上に、今回の処理で取得した依存差分データを積み上げて保存する。
以上の処理を、ステップS303がYESと判定するまで、すなわち、全ての区画に対して実施することで、ナビ側地図DB17に保存されているコアエリアの地図データが、地図データとして保証された状態で更新された状態となる。
ここで、図14に、ナビ側更新処理を実施した後の、ナビ側地図DB17に保存されている地図データの状態を示す。図14に示すように、ステップS309を実施することでコアエリアに相当する第K−1、K、K+1主区画の地図データは、最新版(すなわち、バージョン5)の全地図データに置換される。また、コアエリア外の区画においては、そのコアエリアの地図要素が他の区画の地図要素と整合が取れるように、依存差分データが積み上げられている。
(本実施形態のまとめ)
以上の構成では、サーバ2は、ナビゲーション装置1のコアエリアを構成する各区画の最新バージョンの全地図データと、その全地図データと依存関係にあるコアエリア外の区画の依存差分データと纏めた更新用データを生成してナビゲーション装置1に配信する。
以上の構成では、サーバ2は、ナビゲーション装置1のコアエリアを構成する各区画の最新バージョンの全地図データと、その全地図データと依存関係にあるコアエリア外の区画の依存差分データと纏めた更新用データを生成してナビゲーション装置1に配信する。
更新処理部10Bは、更新用データを受信すると、ナビ側地図DB17に記憶されているコアエリアの地図データを、更新用地図データに含まれていた最新の全地図データで置換する。すなわち、ここでは、ナビ側地図DB17に記憶されているコアエリアを構成する各区画のバージョン3の全地図データ及びバージョン3の差分地図データを、更新用地図データに含まれていたバージョン5の全地図データで置換する。また、コアエリア外の各区画の依存差分データは、ナビ側地図DB17に保存する。
以上のようにしてナビ側地図DB17の地図データを更新することで、コアエリアの地図データは最新の状態であって、かつ、全地図データで構成されるようになる。これによって、コアエリアを構成する区画の地図データを読み出す際には、比較構成のように、全地図データに対して差分データを読み出し、結合する必要が生じない。なお、コアエリア外の地図データを読み出す際には、比較構成同様、全地図データに対して差分データを結合して更新地図データを生成すれば良い。
したがって、以上の構成によれば、更新地図生成処理(図8 S109)を実施する区画を、コアエリアの周囲に限定可能となるため、読み出し速度の低下を抑制することが可能となる。
なお、ナビ側更新処理において変更された地図要素と依存関係にある依存地図要素は、依存差分データとして保存されているため、変更された地図要素と他の地図要素との整合が取れた状態となっている。したがって、道路の接続性も保証することができる。
なお、本実施形態では、説明の都合上、更新前において全区画に対してバージョン3の全地図データが備わっており、コアエリアに対しては、更に、バージョン3の差分データを備えている構成としたが、これに限らない。図15に示すように、コアエリア以外の区画については、バージョン3の全地図データを備える一方、コアエリアについてはバージョン4の全地図データを備えている状態から、上述したナビ側更新処理を実施してもよい。
すなわち、コアエリアに含まれる区画に対して新しいバージョンの全地図データが利用可能となった場合には、逐次、新しいバージョンの全地図データによって古い全地図データを置き換えていってもよい。
また、ある区画において差分地図データのバージョン数が一定数以上蓄積した場合に、その区画の地図データを最新バージョンの全地図データで置き換える構成としても良い。最新バージョンの全地図データに置き換えるべきか否かを判定する閾値は、読み出し速度として許容できなくなるバージョンの数とすればよい。
例えば、ある主区画に対して、3つのバージョンの差分地図データがナビ側地図DB17に蓄積されている状態において、より新しいバージョンの全地図データが利用可能となった場合には、その新しいバージョンの全地図データで置換する構成とすればよい。このような構成によれば、新しいバージョンの全地図データが利用可能となる度に、上述したナビ側更新処理を実施するよりも、通信量を低減することが出来る。
また、以上では、コアエリアに含まれる区画の地図データを全地図データで置き換える処理を例示したが、もちろん、コアエリア以外の主区画に対しても同様の処理を実施しても良い。
なお、本実施形態では、サーバ2側でユーザのコアエリアを構成する主区画を特定する構成としたが、これに限らない。ナビゲーション装置1内において、コアエリアを決定しておき、更新処理を実施する場合に、コアエリアをサーバ2に通知しても良い。サーバ2は、ナビゲーション装置1より受信したコアエリアの情報を用いて配信用データを生成すればよい。
また、本実施形態では、ナビゲーション装置1の起動時に起動通知信号を送信し、配信すべきデータが存在する場合には、自動的に更新用データの生成及び配信を開始する構成としたがこれに限らない。ユーザから地図データの更新を実施する旨の操作を受け付けた場合に、更新するための一連の処理、すなわち配信用データ生成処理や更新処理を実施する構成としても良い。
100 地図データ配信システム、1 ナビゲーション装置、2 サーバ、10 ナビ側制御装置、10A 地図提供部、10B 更新処理部(ナビ側更新部)、11 ナビ側通信装置(ナビ側通信部)、17 ナビ側地図DB(ナビ側地図記憶部)、20 サーバ側制御装置(S213 更新用データ生成部、S215 配信処理部)、22 サーバ側地図DB(サーバ側地図記憶部)
Claims (7)
- サーバ(2)と、前記サーバと通信するナビゲーション装置(1)と、を備える地図データ配信システム(100)であって、
前記サーバは、
地図収録地域を分割してなる区画毎の地図データとして、地図要素が更新される前の前記地図データである更新前地図データと、前記更新前地図データが備える地図要素を更新した後の前記地図データである更新済地図データと、前記更新前地図データから更新された地図要素の変化分を示す差分データと、を記憶しているサーバ側地図記憶部(22)と、
前記ナビゲーション装置が備える所定の前記区画の前記地図データを更新するための更新用データを生成する更新用データ生成部(S213)と、
前記更新用データ生成部が生成した前記更新用データを前記ナビゲーション装置に配信する配信処理部(S215)と、を備え、
前記更新用データは、
当該更新の対象とする前記区画である対象区画の前記更新済地図データと、
前記対象区画以外の前記区画である対象外区画の前記差分データに含まれる地図要素であって、前記ナビゲーション装置が備える前記対象区画の前記更新前地図データを前記更新済地図データで置き換えた場合に、当該地図要素を備えていないと、前記対象区画において更新される地図要素が他の地図要素と不整合となってしまう関係にある地図要素である依存地図要素を含む前記差分データと、を備えており、
前記ナビゲーション装置は、
前記配信処理部が配信した前記更新用データを受信するナビ側通信部(11)と、
複数の前記区画の前記更新前地図データを予め記憶しており、更に、前記サーバから配信された前記更新済地図データ及び前記差分データを記憶する書き換え可能なナビ側地図記憶部(17)と、
前記更新用データを受信すると、前記ナビ側地図記憶部に記憶されている前記対象区画の全ての前記地図データを、前記更新用データに含まれている、前記対象区画の前記更新済地図データに置換するとともに、前記対象外区画の前記差分データを前記ナビ側地図記憶部に保存するナビ側更新部(10B)と、
読出要求で指定された前記区画の前記地図データを読出要求元に提供する地図提供部(10A)と、を備え、
前記地図提供部は、
前記ナビ側地図記憶部に、前記読出要求により指定された前記区画の、
前記更新済地図データが記憶されている場合には、前記更新済地図データを前記読出要求元に提供し、
前記更新済地図データが記憶されておらず、前記差分データが記憶されている場合には、前記更新前地図データと前記差分データとを結合して生成される、前記更新済地図データに相当する更新地図データを前記読出要求元に提供し、
前記更新済地図データ及び前記差分データの両方が記憶されていない場合には、前記更新前地図データを前記読出要求元に提供することを特徴とする地図データ配信システム。 - 請求項1において、
前記対象区画は、前記地図収録地域を構成する前記区画のうち、前記ナビゲーション装置を利用するユーザが利用する頻度が一定値以上となっている前記区画であることを特徴とする地図データ配信システム。 - 請求項1又は2において、
前記更新用データに含まれる前記差分データは、前記依存地図要素を表す依存差分データであることを特徴とする地図データ配信システム。 - 請求項1又は2において、
前記更新用データに含まれる前記差分データは、前記依存地図要素以外の地図要素も含んでいることを特徴とする地図データ配信システム。 - 請求項1から4の何れか1項において、
前記更新用データ生成部は、前記対象区画が複数ある場合には、それら複数の前記対象区画それぞれの前記更新済地図データを纏めた前記更新用データを生成することを特徴とする地図データ配信システム。 - 地図収録地域を分割してなる区画毎の地図データとして、地図要素が更新される前の前記地図データである更新前地図データと、前記更新前地図データが備える地図要素を更新した後の前記地図データである更新済地図データと、前記更新前地図データから更新された地図要素の変化分を示す差分データと、を記憶しているサーバ側地図記憶部(22)と、
ナビゲーション装置が備える所定の前記区画の前記地図データを更新するための更新用データを生成する更新用データ生成部(S213)と、
前記更新用データ生成部が生成した前記更新用データを前記ナビゲーション装置に配信する配信処理部(S215)と、を備え、
前記更新用データは、
当該更新の対象とする前記区画である対象区画の前記更新済地図データと、
前記対象区画以外の前記区画である対象外区画の前記差分データに含まれる地図要素であって、前記ナビゲーション装置が備える前記対象区画の前記更新前地図データを前記更新済地図データで置き換えた場合に、当該地図要素を備えていないと、前記対象区画において更新される地図要素が他の地図要素と不整合となってしまう関係にある地図要素である依存地図要素を含む前記差分データと、を備えていることを特徴とするサーバ。 - 地図収録地域を分割してなる区画毎に、地図要素が更新される前の地図データである更新前地図データと、前記更新前地図データが備える地図要素を更新した後の前記地図データである更新済地図データと、前記更新前地図データから更新された地図要素の変化分を示す差分データと、を備えるサーバから配信される更新用データを受信するナビ側通信部(11)と、
複数の前記区画に対して、前記更新前地図データを予め記憶しており、更に、前記サーバから配信された前記更新済地図データ及び前記差分データを記憶する書き換え可能なナビ側地図記憶部(17)と、
前記更新用データに基づいて前記ナビ側地図記憶部に記憶されているデータを更新するナビ側更新部(10B)と、
読出要求で指定された前記区画の前記地図データを読出要求元に提供する地図提供部(10A)と、を備え、
前記更新用データは、
当該更新の対象とする前記区画である対象区画の前記更新済地図データと、
前記対象区画以外の前記区画である対象外区画の前記差分データに含まれる地図要素であって、前記ナビゲーション装置が備える前記対象区画の前記更新前地図データを前記更新済地図データで置き換えた場合に、当該地図要素を備えていないと、前記対象区画において更新される地図要素が他の地図要素と不整合となってしまう関係にある地図要素である依存地図要素を含む前記差分データと、を備えており、
前記ナビ側更新部は、
前記ナビ側地図記憶部に記憶されている前記対象区画の全ての前記地図データを、前記更新用データに含まれている、前記対象区画の前記更新済地図データに置換するとともに、前記対象外区画の前記差分データを前記ナビ側地図記憶部に保存し、
前記地図提供部は、
前記読出要求により指定された前記区画において、
前記更新済地図データが前記ナビ側地図記憶部に記憶されている場合には、前記更新済地図データを前記読出要求元に提供し、
前記更新済地図データが前記ナビ側地図記憶部に記憶されておらず、前記差分データが前記ナビ側地図記憶部に記憶されている場合には、前記更新前地図データと前記差分データとを結合して生成される、前記更新済地図データに相当する更新地図データを前記読出要求元に提供し、
前記更新済地図データ及び前記差分データの両方を備えていない場合には、前記更新前地図データを前記読出要求元に提供することを特徴とするナビゲーション装置。
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