JP2015081819A - 分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】XPSにおいて、分析する者に依存することなく、バラツキの少ないピークフィッティングを行なうことのできる分析方法を提供する。【解決手段】X線光電子分光法による分析方法において、分析対象となる試料における2つの異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2つの異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち一方の内殻準位において、前記一方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第1の測定工程と、前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち他方の内殻準位において、前記他方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第2の測定工程と、を有することを特徴とする分析方法により上記課題を解決する。【選択図】 図8

Description

本発明は、分析方法に関するものである。
X線光電子分光法(XPS:X-ray photoelectron spectroscopy)は、特性X線を固体試料表面に照射し、光電効果によって発生する光電子を検出する分析方法である。具体的には、検出された光電子の運動エネルギから元素の種類、内殻準位、化学結合状態を分析することができる。
XPSにおいて、試料における化学結合状態を分析する場合、化学結合状態の変化で光電子の運動エネルギに変化がでやすい、ピーク形状が解析しやすい等の理由から注目する元素1つに対して1種類の内殻準位を選択し、分析が行なわれることが多い。即ち、選択された1種類の内殻準位から放出された光電子について、分析が行なわれることが殆どである。
この場合、検出された光電子ピークに、いくつかの異なる化学結合状態が含まれるかを予測し、ピークフィッティングを行うことで化学結合状態を決定する。この際、検出されることが予想される化学結合状態に相当する標準試料を同じ測定条件で測定し、ピークフィッティング用の要素ピークとする。しかし、XPSにより測定される表面から10nm程度の深さの領域では表面が酸化している場合もあり、必要な標準試料が入手できない場合がある。また、標準試料の作り方や、吸着ハイドロカーボンによる補正によって結合エネルギは、ばらついてしまう。そのため、標準試料が必ずしも絶対的な要素ピークとならない場合もある。
特開平6−3295号公報 特開平6−160314号公報
ところで、標準試料が準備できない場合等においては、文献値等を参考にするが、文献等には結合エネルギの記載はあるものの、半値幅や非対称パラメーター等ピーク形状を決定する要素の開示はなされていない。従って、ピーク形状決定する要素が不明であることから、分析する者の主観が入った要素ピークの設定や、フィッティング結果となる場合が多くなるため、バラツキも生じやすい。
従って、XPSにより、同一装置、同一測定条件で測定された光電子ピークにおいて、分析する者に依存することなく、バラツキの少ないピークフィッティングを行なうことのできる分析方法が求められている。
本実施の形態の一観点によれば、X線光電子分光法による分析方法において、分析対象となる試料における2つの異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2つの異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち一方の内殻準位において、前記一方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第1の測定工程と、前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち他方の内殻準位において、前記他方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第2の測定工程と、を有することを特徴とする。
また、本実施の形態の他の一観点によれば、X線光電子分光法による分析方法において、分析対象となる試料における2以上の異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2以上の異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、前記試料にX線を照射し、各々の前記内殻準位において、各々の前記内殻準位に対応する前記光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう測定工程と、を有することを特徴とする。
開示の分析方法によれば、XPSにおいて、分析する者に依存することなく、バラツキの少ないピークフィッティングを行なうことができる。
XPSによる分析装置の構造図 XPSのワイドスキャンにより得られた結合エネルギと光電子の個数との相関図 従来のピークフィッティングの説明図(1) 従来のピークフィッティングの説明図(2) 取り出し角度と光電子の脱出深さとの関係の説明図 本実施の形態における分析方法におけるピークフィッティングのフローチャート 本実施の形態における分析方法に用いられるXPSによる分析装置の構造図 本実施の形態における分析方法におけるピークフィッティングの説明図(1) 本実施の形態における分析方法におけるピークフィッティングの説明図(2)
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
最初に、図1に基づき、一般的なXPSについて説明する。図1に示されるように、一般的なXPSは、X線源10、アナライザ20、ディテクタ30、試料ステージ40等を有しており、試料ステージ40に、分析対象となる試料50が設置されている。XPSによる分析を行う際には、X線源10よりX線を試料ステージ40に設置されている試料50に照射する。これにより、試料50において、光電子が発生し、発生した光電子は、アナライザ20を介しディテクタ30において、エネルギごとに検出される。
図2は、試料50がGaNの場合において、XPSによりワイドスキャンさせた場合における結合エネルギと光電子の強度(光電子の個数)との関係を示す。尚、試料50は大気中に放置されており、表面が酸化しているものである。このような試料50においては、Ga2p、Ga3p、Ga3d等におけるピークが検出される。本実施の形態においては、X線源10から発せられるX線はAlKα線(1486.6eV)である。
ここで、内殻準位がGa2p3/2における測定結果を用いて、ピークフィッティングを行なう場合について説明する。尚、光電子の取り出し角度は28°である。一般的には、ピークフィッティングは、重複したピークの分離やピーク位置の推定などの目的で行なわれている。内殻準位がGa2p3/2であって、光電子の取り出し角度が28°の場合において測定により得られた結合エネルギと光電子の個数との関係を図3(a)に示す。このように測定により得られた結合エネルギと光電子の強度との関係に基づき、ピークフィッティングを行なった結果を図3(b)に示す。この結果に基づくならば、試料50の表面における酸化物となるGaの割合は48%と推察される。
一方、内殻準位がGa3dにおける測定結果を用いて、ピークフィッティングを行なう場合について説明する。尚、光電子の取り出し角度は28°である。内殻準位がGa3dであって、光電子の取り出し角度が28°の場合において測定により得られた結合エネルギと光電子の強度との関係を図4(a)に示す。このように測定により得られた結合エネルギと光電子の強度との関係に基づき、ピークフィッティングを行なった結果を図4(b)に示す。この結果に基づくならば、試料50の表面における酸化物となるGaの割合は17%と推察される。
このように、内殻準位がGa2p3/2における測定結果を用いた場合と、内殻準位がGa3dにおける測定結果を用いた場合とでは、ピークフィッティングを行なった結果により得られる酸化物の割合が大きく異なる。このように、内殻準位がGa2p3/2とGa3dとにおいて、得られる酸化物の割合が大きく異なる理由は、後述するように、内殻準位がGa2p3/2の場合と、内殻準位がGa3dの場合とでは、試料50における光電子の脱出深さが異なるからである。
一方、XPSにおいては、アナライザ20に対して試料ステージ40を回転させること等により、試料50の表面とアナライザ20とのなす角を変化させることができる。これにより、試料50からの光電子の脱出深さを変えることができ、非破壊で試料50における深さ方向の分析を行うことが可能となる。
具体的には、図5(a)に示されるように、試料50の表面の法線となる方向にアナライザ20を設置した場合、光電子の取り出し角度TOA(Take-Off Angle)は0°であり、試料50からの光電子の脱出深さDは深くなる。これに対し、図5(b)に示すように、試料50の表面における法線に対し傾斜して、アナライザ20を設置した場合、試料50からの光電子の脱出深さDは、図5(a)に示す場合と比べて浅くすることができる。尚、光電子の取り出し角度TOAとは、試料50の表面における法線に対する角度を意味している。また、試料50における光電子の取り出し深さDは、平均自由行程をλ、光電子の取り出し角度TOAをθとした場合に、D=3λcosθにより得ることができる。尚、後述するGa2p3/2における光電子の平均自由行程は、0.95nmであり、Ga3dにおける光電子の平均自由行程は、2.57nmである。
試料50の表面にGaNが形成されている場合における光電子の取り出し角度TOAと光電子の脱出深さとの関係を表1に示す。表1に示されるように、光電子の取り出し角度TOAが大きくなると、Ga2p3/2における脱出深さ及びGa3dにおける脱出深さは、ともに徐々に浅くなる。また、試料50からの光電子の脱出深さは、内殻準位によって異なっており、内殻準位がGa2p3/2における脱出深さとGa3dにおける脱出深さは、同じ光電子の取り出し角度TOAであっても異なっている。
Figure 2015081819
本実施の形態は、異なる2以上の内殻準位について、脱出深さが略同じとなるように光電子の取り出し角度TOAを設定してピークフィッティングを行なう。これにより、バラツキのないピークフィッティングを行なうことができる。
具体的には、光電子の取り出し角度TOAが28°の場合におけるGa2p3/2の脱出深さは2.5nmであり、光電子の取り出し角度TOAが68°の場合におけるGa3dの脱出深さは2.9nmである。よって、光電子の取り出し角度TOAが28°の場合におけるGa2p3/2の脱出深さと、光電子の取り出し角度TOAが68°強の場合におけるGa3dにおける脱出深さは、略同じ2.5nmとなる。このように、試料50の同じ脱出深さにおける情報を異なる条件により測定することにより、後述するように、バラツキのないピークフィッティングを行なうことが可能となる。即ち、試料50において測定される深さにおける情報が同じであれば、例えば、Gaの酸化物と窒化物の比率は同じであるため、これに基づきピークフィッティングを行なうことにより、バラツキを減少させることができる。
また、光電子の取り出し角度TOAが58°の場合におけるGa2p3/2の脱出深さは1.5nmであり、光電子の取り出し角度TOAが78°の場合におけるGa3dの脱出深さは1.6nmである。よって、光電子の取り出し角度TOAが58°の場合におけるGa2p3/2の脱出深さと、光電子の取り出し角度TOAが78°強の場合におけるGa3dにおける脱出深さは、略同じ1.5nmとなる。この場合についても上記と同様である。
(分析方法)
次に、本実施の形態における分析方法について図6に基づき説明する。
最初に、ステップ102(S102)に示すように、試料50における光電子の脱出深さが略同じとなるように、内殻準位と取り出し角度を設定する。具体的には、表1等に示される複数の内殻準位における取り出し角度と脱出深さとの関係に基づき、脱出深さが略同じとなるような内殻準位と取り出し角度の組み合わせを複数選択し、測定条件として設定する。具体的には、内殻準位がGa2p3/2の場合における光電子の取り出し角度TOAが28°を第1の条件とし、内殻準位がGa3dの場合における光電子の取り出し角度TOAが68°を第2の条件とする。光電子の取り出し角度TOAが28°の場合におけるGa2p3/2の脱出深さは2.5nmであり、光電子の取り出し角度TOAが68°の場合におけるGa3dの脱出深さは2.9nmであり、双方における脱出深さの値は、略同じである。このようにして、2つの異なる測定条件を設定する。
次に、ステップ104(S104)に示すように、第1の条件において、結合エネルギと光電子の強度との関係を測定する。具体的には、内殻準位がGa2p3/2の場合において、光電子の取り出し角度TOAが28°における測定を行なう。この際、図1に示される装置において、取り出し角度が変化するように、アナライザ20を移動させる不図示の移動機構を設け、取り出し角度が28°となるようにアナライザ20を移動させて測定を行なってもよい。また、図7に示されるように、複数のアナライザ20a、20bが設置されている装置を用い、例えば、光電子の取り出し角度TOAが28°となる位置に設置されているアナライザ20aにより測定を行ってもよい。尚、アナライザ20aは、ディテクタ30aに接続されており、ディテクタ30aは、制御部60に接続されていてもよい。制御部60には、インターフェース、制御部本体、表示装置等が含まれている。尚、一般的には、試料50を試料ステージ40とともに回転させ、アナライザ20a、20bとの角度を変化させる。
次に、ステップ106(S106)に示すように、第2の条件において、結合エネルギと光電子の強度との関係を測定する。具体的には、内殻準位がGa3dの場合において、光電子の取り出し角度TOAが68°における測定を行なう。この際、図1に示される装置において、取り出し角度が変化するように、アナライザ20を移動させる不図示の移動機構を設け、取り出し角度が68°となるようにアナライザ20を移動させて測定を行なってもよい。また、図7に示されるように、複数のアナライザ20a、20bが設置されている装置を用い、例えば、光電子の取り出し角度TOAが68°となる位置に設置されているアナライザ20bにより測定を行ってもよい。尚、アナライザ20bは、ディテクタ30bに接続されており、ディテクタ30bは、制御部60に接続されていてもよい。
次に、ステップ108(S108)に示すように、制御部60等において、ピークフィッティングを行なう。具体的には、ステップ104において得られた第1の条件における結合エネルギと光電子の強度との関係と、ステップ106において得られた第2の条件における結合エネルギと光電子の強度との関係に基づき、ピークフィッティングを行なう。この際、Gaの酸化物と窒化物との比率が、双方において略同じとなるように要素ピークを定めてピークフィッティングを行なう。具体的には、測定において得られた結合エネルギと光電子の強度との関係のグラフにおいて、Gaの酸化物における面積とGaの窒化物における面積との比率が、双方において略同じとなるようにピークフィッティングを行なう。
図8(a)には、内殻準位がGa2p3/2の場合において、光電子の取り出し角度TOAを28°として測定を行ない得られた結合エネルギと光電子の強度との関係を示す。図8(b)には、内殻準位がGa3dの場合において、光電子の取り出し角度TOAを68°として測定を行ない得られた結合エネルギと光電子の強度との関係を示す。図8(a)及び図8(b)において、Gaの酸化物と窒化物との比率が、双方において略同じとなるように要素ピークを定めてピークフィッティングを行なった。この結果、図8(a)に示される場合における酸化物の割合は18%であり、図8(b)に示される場合における酸化物の割合は16%であり、双方における酸化物の割合は、略同じ値となった。
このように、本実施の形態においては、ピークフィッティングの確からしさを向上させることができる。
(分析方法の他の例)
次に、上記とは異なる内殻準位と取り出し角度を測定条件として設定した場合の例について、図6に基づき説明する。
最初に、ステップ102(S102)に示すように、試料50における光電子の脱出深さが略同じとなるように、内殻準位と取り出し角度を設定する。具体的には、内殻準位がGa2p3/2の場合における光電子の取り出し角度TOAが58°を第1の条件とし、内殻準位がGa3dの場合における光電子の取り出し角度TOAが78°を第2の条件とする。光電子の取り出し角度TOAが58°の場合におけるGa2p3/2の脱出深さは1.5nmであり、光電子の取り出し角度TOAが78°の場合におけるGa3dの脱出深さは1.6nmであり、双方における脱出深さの値は略同じである。このようにして、2つの異なる測定条件を設定する。
次に、ステップ104(S104)に示すように、第1の条件において、結合エネルギと光電子の個数との関係を測定する。具体的には、内殻準位がGa2p3/2の場合において、光電子の取り出し角度TOAが58°における測定を行なう。この際、図1に示される装置において、取り出し角度が変化するように、アナライザ20を移動させる不図示の移動機構を設け、取り出し角度が58°となるようにアナライザ20を移動させて測定を行なってもよい。また、図7に示されるように、複数のアナライザ20a、20bが設置されている装置を用い、例えば、光電子の取り出し角度TOAが58°となる位置に設置されているアナライザ20aにより測定を行ってもよい。
次に、ステップ106(S106)に示すように、第2の条件において、結合エネルギと光電子の個数との関係を測定する。具体的には、内殻準位がGa3dの場合において、光電子の取り出し角度TOAが78°における測定を行なう。この際、図1に示される装置において、取り出し角度が変化するように、アナライザ20を移動させる不図示の移動機構を設け、取り出し角度が78°となるようにアナライザ20を移動させて測定を行なってもよい。また、図7に示されるように、複数のアナライザ20a、20bが設置されている装置を用い、例えば、光電子の取り出し角度TOAが78°となる位置に設置されているアナライザ20bにより測定を行ってもよい。
次に、ステップ108(S108)に示すように、ピークフィッティングを行なう。具体的には、ステップ104において得られた第1の条件における結合エネルギと光電子の個数との関係と、ステップ106において得られた第2の条件における結合エネルギと光電子の個数との関係に基づき、ピークフィッティングを行なう。この際、Gaの酸化物と窒化物との比率が、双方において略同じとなるように要素ピークを定めてピークフィッティングを行なう。
図9(a)には、内殻準位がGa2p3/2の場合において、光電子の取り出し角度TOAを58°として測定を行ない得られた結合エネルギと光電子の強度との関係を示す。図9(b)には、内殻準位がGa3dの場合において、光電子の取り出し角度TOAを78°として測定を行ない得られた結合エネルギと光電子の強度との関係を示す。図9(a)及び図9(b)において、Gaの酸化物と窒化物との比率が、双方において略同じとなるように要素ピークを定めてピークフィッティングを行なった。この結果、図9(a)に示される場合における酸化物の割合は37%であり、図9(b)に示される場合における酸化物の割合は35%であり、この場合においても、双方における酸化物の割合は略同じ値となった。
尚、上記においては、装置の制約より、試料50における脱出深さが略同じになるように、取り出し角度を設定する場合について説明したが、装置等の制約がなければ、光電子の脱出深さがより均一となるように取り出し角度を設定してもよい。表2には、試料50における脱出深さが略同じになるように設定した場合における光電子の脱出深さと、内殻準位がGa2p3/2の場合における取り出し角度及び内殻準位がGa3dの場合における取り出し角度との関係を示す。
Figure 2015081819
表2に示されるように、試料50における光電子の脱出深さが、ともに0.5nmとなる条件で測定する場合には、内殻準位がGa2p3/2の場合における取り出し角度を80°とし、内殻準位がGa3dの場合における取り出し角度86°として測定を行なう。
また、試料50における光電子の脱出深さが、ともに1.0nmとなる条件で測定する場合には、内殻準位がGa2p3/2の場合における取り出し角度を69°とし、内殻準位がGa3dの場合における取り出し角度83°として測定を行なう。
また、試料50における光電子の脱出深さが、ともに1.5nmとなる条件で測定する場合には、内殻準位がGa2p3/2の場合における取り出し角度を58°とし、内殻準位がGa3dの場合における取り出し角度79°として測定を行なう。
また、試料50における光電子の脱出深さが、ともに2.0nmとなる条件で測定する場合には、内殻準位がGa2p3/2の場合における取り出し角度を45°とし、内殻準位がGa3dの場合における取り出し角度75°として測定を行なう。
また、試料50における光電子の脱出深さが、ともに2.5nmとなる条件で測定する場合には、内殻準位がGa2p3/2の場合における取り出し角度を29°とし、内殻準位がGa3dの場合における取り出し角度71°として測定を行なう。
尚、上記においては、2つの異なる内殻準位を選択し、光電子の脱出深さが略同じとなるように、取り出し角度を設定する場合について説明した。しかしながら、本実施の形態は、3つの異なる内殻準位を選択し、光電子の脱出深さが略同じとなるように、取り出し角度を設定してもよい。これにより、より一層ピークフィッティングの精度を向上させることができる。
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
X線光電子分光法による分析方法において、
分析対象となる試料における2つの異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2つの異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、
前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち一方の内殻準位において、前記一方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第1の測定工程と、
前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち他方の内殻準位において、前記他方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第2の測定工程と、
を有することを特徴とする分析方法。
(付記2)
前記第1の測定工程及び前記第2の測定工程の後、
前記一方の内殻準位において測定により得られた結果及び前記他方の内殻準位において測定により得られた結果に基づき、前記試料におけるピークフィッティングを行なうピークフィッティング工程を有することを特徴とする付記1に記載の分析方法。
(付記3)
前記試料には、2つの異なる物質が含まれており、
前記ピークフィッティング工程は、前記第1の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の比率と、第2の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の比率とが、略同じとなるように行なうことを特徴とする付記2の記載の分析方法。
(付記4)
前記ピークフィッティング工程は、前記第1の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の面積比と、第2の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の面積比とが、略同じとなるように行なうことを特徴とする付記3の記載の分析方法。
(付記5)
前記2つの異なる物質は、酸化物と窒化物であることを特徴とする付記3または4に記載の分析方法。
(付記6)
X線光電子分光法による分析方法において、
分析対象となる試料における2以上の異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2以上の異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、
前記試料にX線を照射し、各々の前記内殻準位において、各々の前記内殻準位に対応する前記光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう測定工程と、
を有することを特徴とする分析方法。
(付記7)
前記測定工程の後、
前記測定において得られた結果に基づき、前記試料におけるピークフィッティングを行なうピークフィッティング工程を有することを特徴とする付記6に記載の分析方法。
(付記8)
前記試料には、複数の異なる物質が含まれており、
前記ピークフィッティング工程は、前記測定工程により得られた結果において、前記複数の異なる物質の比率が、略同じとなるよう行なうことを特徴とする付記7の記載の分析方法。
(付記9)
前記ピークフィッティング工程は、前記測定工程により得られた結果において、前記複数の異なる物質における面積比が、略同じとなるように行なうことを特徴とする付記8の記載の分析方法。
(付記10)
前記試料は、Gaを含む材料により形成されていることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の分析方法。
10 X線源
20 アナライザ
20a アナライザ
20b アナライザ
30 ディテクタ
30a ディテクタ
30b ディテクタ
40 試料ステージ
50 試料
60 制御部

Claims (10)

  1. X線光電子分光法による分析方法において、
    分析対象となる試料における2つの異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2つの異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、
    前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち一方の内殻準位において、前記一方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第1の測定工程と、
    前記試料にX線を照射し、前記2つの異なる内殻準位のうち他方の内殻準位において、前記他方の内殻準位に対応する光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう第2の測定工程と、
    を有することを特徴とする分析方法。
  2. 前記第1の測定工程及び前記第2の測定工程の後、
    前記一方の内殻準位において測定により得られた結果及び前記他方の内殻準位において測定により得られた結果に基づき、前記試料におけるピークフィッティングを行なうピークフィッティング工程を有することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. 前記試料には、2つの異なる物質が含まれており、
    前記ピークフィッティング工程は、前記第1の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の比率と、第2の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の比率とが、略同じとなるように行なうことを特徴とする請求項2の記載の分析方法。
  4. 前記ピークフィッティング工程は、前記第1の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の面積比と、第2の測定工程により得られた結果における前記2つの異なる物質の面積比とが、略同じとなるように行なうことを特徴とする請求項3の記載の分析方法。
  5. 前記2つの異なる物質は、酸化物と窒化物であることを特徴とする請求項3または4に記載の分析方法。
  6. X線光電子分光法による分析方法において、
    分析対象となる試料における2以上の異なる内殻準位を選択して、前記試料にX線を照射した際の前記試料からの光電子の脱出深さが略同じとなるように、前記2以上の異なる内殻準位における光電子の取り出し角度を各々設定する条件設定工程と、
    前記試料にX線を照射し、各々の前記内殻準位において、各々の前記内殻準位に対応する前記光電子の取り出し角度により、光電子の測定を行なう測定工程と、
    を有することを特徴とする分析方法。
  7. 前記測定工程の後、
    前記測定において得られた結果に基づき、前記試料におけるピークフィッティングを行なうピークフィッティング工程を有することを特徴とする請求項6に記載の分析方法。
  8. 前記試料には、複数の異なる物質が含まれており、
    前記ピークフィッティング工程は、前記測定工程により得られた結果において、前記複数の異なる物質の比率が、略同じとなるよう行なうことを特徴とする請求項7の記載の分析方法。
  9. 前記ピークフィッティング工程は、前記測定工程により得られた結果において、前記複数の異なる物質における面積比が、略同じとなるように行なうことを特徴とする請求項8の記載の分析方法。
  10. 前記試料は、Gaを含む材料により形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の分析方法。
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