JP7116420B2 - 組成分析方法及び組成分析装置、硬度算出方法及び硬度算出装置 - Google Patents

組成分析方法及び組成分析装置、硬度算出方法及び硬度算出装置 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 平成30年5月12日公開 第78分析化学討論会の案内 [刊行物等] 第78分析化学討論会のプログラム(一部) [刊行物等] 第78分析化学討論会の予稿(B1001)のコピー [刊行物等] 第78分析化学討論会の予稿(B1003)のコピー
本発明は、金属を主成分とする材料中におけるホウ素(B)と酸素(O)の組成を調べる組成分析方法、組成分析装置、及びこれらを用いたこの材料の硬度算出方法、硬度算出装置に関する。
各種の金属を主成分とした素材の硬度を算出するためには、この素材を抽出して機械的な方法で硬度を調べることが一般的に行われている。原子炉を構成する核燃料や制御棒等が事故等によって溶融、再固化することによって生成された燃料デブリについても、その処理をするに際しては硬度に関する情報が重要である。しかしながら、燃料デブリの一部を抽出してその硬度を機械的に調べることは、燃料デブリが存在する環境や自身が発する放射線のために実際には非常に困難である。
また、燃料デブリには、制御棒として用いられる炭化ホウ素(BC)が含まれるため、ホウ素(B)が多く含まれる。また、同様に多く含まれる元素として酸素(O)がある。燃料デブリの各種の特性は金属材料に対するB、Oの組成比の影響を特に大きく受ける。このため、燃料デブリ中のB、O組成を調べることも有効であるが、上記と同様の理由により、この分析も試料と非接触で行うことが必要となる。
一般的に金属を主成分とする材料中のB、Oの組成を精密に調べるための手法としては、各種のものがあり、例えば、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)やICP-MS(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometer)が知られている。ただし、EPMAにおいては、金属元素とOの組成を精密に求めることができるが、原子番号の小さなホウ素の組成を精密に求めることは困難である。一方、ICP-MSにおいては、金属元素とBの組成を精密に求めることができるが、他の元素と共に同様にプラズマ化することが困難な酸素の組成を精密に求めることは困難である。更に、EPMA、ICP-MSのどちらにおいても、小規模ながら分析用の試料を取り出す必要があるため、少なくとも非接触で組成の分析を行うことは困難である。
一方、LIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy)は、非破壊ではないが遠隔した場所からレーザー光を照射して試料をプラズマ化し、このプラズマからの発光スペクトルを分析することによって組成分析を行うため、非接触かつその場で試料の組成分析が可能である。また、LIBSにおける一定の波長域における発光スペクトルは1回のレーザー光の照射によって取得可能であるため、この測定を試料における複数の箇所で行い、非接触で組成のマッピング結果を得ることも容易である。LIBSを用いた組成の算出方法は、例えば特許文献1に記載されている。
特開2014-119457号公報
しかしながら、LIBSを用いた場合でも、O、Bの発光ピークは、そのピーク強度が低い、あるいはその波長が金属元素の発光ピークの波長と近いという問題があるため、金属材料中のO、Bの組成を精密に算出することは困難であった。
このため、金属を主成分とする材料中のO、Bの組成や材料の硬度を非接触で精密に算出できることが望まれた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の組成分析方法は、試料における金属元素に対するホウ素(B)及び酸素(O)の組成比を算出する組成分析方法であって、レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)によって前記試料をプラズマ化し、当該プラズマからの発光スペクトルを取得する発光スペクトル取得工程と、前記発光スペクトルにおける、前記金属元素に対応するピークの強度である第1の強度と、208.9nmの波長に対応するホウ素(B)の単一のピークの強度である第2の強度と、酸素(O)の複数のピークが含まれる776.8nm~777.8nmの波長帯の平均強度である第3の強度と、を算出し、前記第2の強度の前記第1の強度の対する比率であるB/M値から前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比を、前記第3の強度の前記第1の強度に対する比率であるO/M値から前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を、それぞれ算出する分析工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の組成分析方法は、前記発光スペクトル取得工程において、1回の測定により、前記金属元素に対応するピーク、前記208.9nmの波長に対応するホウ素(B)の単一のピーク、及び前記酸素(O)の複数のピークが含まれる776.8nm~777.8nmの波長帯、が含まれる波長範囲で前記発光スペクトルを取得することを特徴とする。
本発明の組成分析方法は、前記試料における複数の測定点において前記発光スペクトルを取得し、ホウ素(B)及び酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を前記測定点毎に算出することを特徴とする。
本発明の組成分析方法は、前記第1の強度より、前記試料における前記金属元素の組成を算出することを特徴とする。
本発明の硬度算出方法は、前記組成分析方法を用いて前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比、及び前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比、をそれぞれ算出することにより、前記試料の硬度を算出する硬度算出方法であって、前記金属元素、ホウ素(B)及び酸素(O)を含む模擬試料の硬度と、前記模擬試料におけるホウ素(B)の酸素(O)に対する組成比の前記金属元素の組成に対する比率との関係を、当該比率の増加に伴い前記硬度が増大する第1の領域と、当該比率の増加に伴い前記硬度が減少する第2の領域とに区分されるように、予め取得し、前記B/M値又は前記O/M値に基づき、前記試料が前記第1の領域、前記第2の領域のどちらに該当するかを判定し、前記第2の強度の前記第3の強度に対する比率の、前記第1の強度に対する比率である(B/O)/M値を算出し、前記第1の領域、前記第2の領域のうちの前記試料が該当するとされた側における前記 (B/O)/M値より、前記硬度を算出することを特徴とする
本発明の硬度算出方法において、前記試料は放射性物質を含有することを特徴とする。
本発明の組成分析装置は、試料における金属元素に対するホウ素(B)及び酸素(O)の組成比を前記試料が発する発光の発光スペクトルから算出する組成分析装置であって、前記発光スペクトルにおける、前記金属元素に対応するピークの強度である第1の強度と、208.9nmの波長に対応するホウ素(B)の単一のピークの強度である第2の強度と、酸素(O)の複数のピークが含まれる776.8nm~777.8nmの波長帯の平均強度である第3の強度と、を算出し、前記第2の強度の前記第1の強度の対する比率であるB/M値から前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比を、前記第3の強度の前記第1の強度に対する比率であるO/M値から前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を、それぞれ算出する解析部を具備することを特徴とする。
本発明の組成分析装置は、レーザー光を前記試料に対して発する光源と、前記レーザー光が照射された前記試料から前記発光スペクトルを入手する光検出器と、を具備し、前記解析部は、単一の前記発光スペクトルから前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比、及び前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を、それぞれ算出することを特徴とする。
本発明の硬度算出装置は、前記組成分析装置を用いて前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比、及び前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比、をそれぞれ算出することにより、前記試料の硬度を算出する硬度算出装置であって、前記金属元素、ホウ素(B)及び酸素(O)を含む模擬試料の硬度と、前記模擬試料におけるホウ素(B)の酸素(O)に対する組成比の前記金属元素の組成に対する比率との関係を、当該比率の増加に伴い前記硬度が増大する第1の領域と、当該比率の増加に伴い前記硬度が減少する第2の領域とに区分されるように、予め取得されたデータを記憶する記憶部を具備し、前記解析部は、前記B/M値又は前記O/M値に基づき、前記試料が前記第1の領域、前記第2の領域のどちらに該当するかを判定し、前記第2の強度の前記第3の強度に対する比率の、前記第1の強度に対する比率である(B/O)/M値を算出し、前記第1の領域、前記第2の領域のうちの前記試料が該当するとされた側における前記 (B/O)/M値と前記データより、前記硬度を算出することを特徴とする。
本発明の硬度算出装置において、前記解析部は、前記試料における複数の箇所で得られた前記発光スペクトルより、前記複数の箇所における前記硬度を算出することを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、金属を主成分とする材料中のO、Bの組成や材料の硬度を非接触で精密に算出できる。
本発明の実施の形態に係る組成分析方法を実行する組成分析装置(硬度算出装置)の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る組成分析方法で用いられる発光スペクトルの例である。 実測されたB/M組成とB/M値の関係を調べた図である。 実測されたO/M組成とO/M値の関係を調べた図である。 複数の模擬試料における、ビッカース硬度と(B/O)/M値の関係を調べた結果である。 本発明の実施の形態に係る硬度算出方法を示すフローチャートの例である。
本発明の実施の形態に係る組成分析方法、硬度測定方法を実行する組成分析装置の構成を図1に示す。この組成分析装置1は、同時に、試料の高度を非接触で算出する硬度測定装置にもなっている。この組成分析方法はLIBSを用いるため、図1に示された構成は、通常知られるLIBSの分析装置と共通し、この構成は特許文献1に記載されたものと同様である。
ここでは、光源10から発せられたレーザー光100が照射光学系20を介して試料Sの所望の箇所に照射される。この際に試料Sにおけるレーザー光100に照射された狭い領域が気化、プラズマ化される。このプラズマから発せられた主に可視光域の発光(プラズマ発光200)は検出光学系30を介して光検出器40で検出される。光検出器40では所定の波長域におけるプラズマ発光200のスペクトル強度が検出される。解析部50は例えばパーソナルコンピュータであり、光源10における光照射のタイミングと光検出器40における検出タイミングを制御する。また、解析部50は、照射光学系20、検出光学系30の制御も行い、試料Sにおけるレーザー光100が照射される箇所を調整し、この箇所から発せられる発光を光検出器40に適切に導くことができる。また、解析部50には、組成や硬度を算出する際の各種のデータを記憶する記憶部60が接続されている。
解析部50においては、特に試料Sにおける金属元素(Fe、Zr等、以下ではMと記載)、ホウ素(B)、酸素(O)の組成分析を行う。ここでは、上記の発光スペクトルから各組成の絶対値ではなく、B/M、O/M等に対応する組成比が求められる。図2は、この発光スペクトルの例であり、下段は200~900nmの波長帯における発光スペクトル全体を示し、上段は、この中におけるB、Mg、Zr、Fe、Oの発光ピークに対応した部分を拡大した図である。ここで、分析対象となる金属元素(Zr、Fe)のピークにおける発光強度は高いため、その認識は容易であり、解析部50において、対応するピークの強度を容易に算出することができる。このピーク強度としては、例えば、例えばガウス分布形状と仮定した単一のピークの積分強度をこのピーク強度(第1の強度)として算出することができる。具体的には、図2におけるZrに対しては343.5~344.1nmの波長帯の発光強度の積分値をZrのピーク強度とすることができ、438.0~438.1nmの波長帯の積分値をFeのピーク強度とすることができる。
Bのピークのうちで最も発光強度の高いピークの波長は249.6~249.8nmであるが、その周辺には金属元素のピークが存在しているために、このピークの強度をこの金属元素の存在下で上記のZrやFeと同様に算出することは困難である。このため、ここでは、この最も発光強度の高いピークではなく、発光強度は高くないが金属元素のピークからは離間した波長約209nmの単一のピークが上記と同様に用いられる。具体的には、このピーク強度は、208.7~209.1nmの波長帯の積分値をBのピーク強度(第2の強度)とすることができる。
一方、Oのピークの発光強度は金属元素やBと比べて低いため、その単一のピーク強度の認識を上記と同様に行うことは困難である。しかしながら、図2の上段に示されるように、Oのピークは波長777nm付近で隣接して複数存在している。このため、ここでは、金属元素(Zr、Fe)やBとは異なり、3つのピークが含まれる波長範囲となる776.8nm~777.8nmの波長帯における積分値をOのピーク強度(第3の強度)とすることができる。
このように、上記の組成分析方法においては、ます、金属元素(Zr)に対応するピーク、上記のBの一つのピーク、上記のOの隣接する3つのピークが全て含まれる発光スペクトルをLIBSにより取得する(発光スペクトル取得工程)。その後、以下に説明するように、第2の強度の第1の強度の対する比率であるB/M値からホウ素の金属元素(Zr)に対する組成比を、第3の強度の第1の強度に対する比率であるO/M値から酸素の金属元素(Zr)に対する組成比を、それぞれ算出する(分析工程)。
上記のように算出された金属元素M(Zr、Fe)、B、Oのピーク強度(第1~第3の強度)を基に、組成比を定量的に算出した結果について説明する。このために、組成の判明している複数の試料Sに対してこの測定を行い、上記のピーク強度の比として、第2の強度の第1の強度の対する比率であるB/M値、第3の強度の第1の強度に対する比率であるO/M値と、判明している組成との関係を調べた。図3(a)は、横軸を他の分析手法により判明しているB/Zrの組成比、縦軸を上記のように算出したB/Zrに対応するピーク強度比(B/M値:M=Zr)とした結果であり、図3(b)は、B/Fe(B/M値:M=Fe)についての同様の結果である。ここで、前記の通り、図3における横軸(B/Zr、B/Fe)の組成比はICP-MSにより算出された。また、図4(a)はO/Zr(M=Zr)について、図4(b)はO/Fe(M=Fe)についての同様の結果である。図4における横軸(O/Zr、O/Fe)の組成比はEPMAの一種であるWDX(波長分散型X線分析)により算出された。
図3、4のどの結果においても、各測定点はほぼ直線上にある。このため、上記のようなピーク強度比(縦軸の値)を、図3、4における組成比(横軸の値)に換算することができる。
図1の構成においては、図2のような発光スペクトルは、レーザー光100の1回の照射によって取得することができる(発光スペクトル取得工程)ため、試料Sにおけるレーザー光100の照射箇所を順次変更する(走査する)ことによって、試料Sの表面における複数の箇所で発光スペクトルを取得し、非接触で各箇所におけるB/M値、O/M値を算出し、組成比を上記の通りに算出する(分析工程)ことができる。すなわち、組成比のマッピングを行うことができる。
次に、上記の結果を基にした硬度算出方法について説明する。ここで、例えば燃料デブリが試料Sである場合には、その硬度を非接触で算出することが望まれる。燃料デブリにおいては、上記のように主成分となる金属(Zr、Fe)中に上記のようにB、Oが含まれ、硬度はこれらの組成比に依存する。この場合、上記と同様にそのマッピングも行うことができる。
上記のB/M値、O/M値と同様に、第2の強度の第3の強度に対する比率の、更に第1の強度に対する比率である(B/O)/M値を各模擬試料で算出し、これを縦軸とし、予め機械的な手法で計測された各模擬試料のビッカース硬度を横軸とした結果を図5に示す。この結果より、ビッカース硬度が10GPaとなる点(図5におけるZ)付近を境として、これよりもビッカース硬度の大きな領域(第1の領域)では(B/O)/M値とビッカース硬度との間には正の一次係数をもつ一次式の関係(直線関係)が見られるのに対し、これよりもビッカース硬度の小さな領域(第2の領域)では、(B/O)/M値とビッカース硬度との関係は逆転し、(B/O)/M値とビッカース硬度との間には負の一次係数をもつ一次式の関係が見られる。このため、一般的には(B/O)/M値のみからビッカース硬度を算出することは困難である。図5において、Zよりも右側の領域(第1の領域)にある試料Sでは、ビッカース硬度Hは、(B/O)/Mの値をxとすると、H=k×x+c(k>0)となり、Zよりも左側の領域(第2の領域)にある試料Sでは、H=k×x+C(k<0)となる。
ビッカース硬度がこのような(B/O)/M値依存性をもつことは、以下のように説明できる。燃料デブリを初めとするこのように金属を主成分とする母材中にO、Bが存在している試料においては、その硬度に影響を与える物質は、試料中の(1)金属(合金、金属間化合物)、(2)金属酸化物、(3)金属ホウ化物、のいずれかと考えられる。具体的には、燃料デブリにおいては、(1)金属(合金、金属間化合物)としてはFe-Cr-Ni、(Fe,Cr,Ni)(U,Zr)等が、(2)金属酸化物としてはUO、(U,Zr)O等のセラミックス等が、(3)金属ホウ化物としてはFe,Cr,Ni)B、ZrB等がある。(1)金属のビッカース硬度は概ね10GPa以下、(2)金属酸化物のビッカース硬度は概ね6~13GPa程度、(3)金属ホウ化物のビッカース硬度は概ね14~20GPa程度である。ここで、O、Bの組成比が小さな場合には、明らかに(1)により硬度は定まる。また、(3)金属ホウ化物の硬度は(2)金属酸化物よりも高い。
O又はBの組成比が無視できない場合において、特にOの組成比が大きな場合(B/Oが小さい場合)には、(2)金属酸化物の影響が支配的となる。金属酸化物の硬度はOの組成比に応じて高くなり、これは図5におけるZよりもビッカース硬度が低い領域(第2の領域)に対応する。このため、ここでは、(B/O)/M値の上昇に従ってビッカース硬度が低下する。
一方、Bの組成比が大きな場合(B/Oが大きい場合)には、(3)金属ホウ化物の影響が支配的となる。(3)金属ホウ化物の硬度はBの組成比に応じて高くなり、これは図5におけるZよりもビッカース硬度が高い領域に対応する。このため、ここでは、(B/O)/M値の上昇に従ってビッカース硬度が増大する。
このように(B/O)/M値の依存性が逆である2つの領域が存在するために、図5の関係から(B/O)/M値のみによりビッカース硬度を推定することは一般的には困難である。しかしながら、試料Sが図5におけるZを挟んだどちらの領域にあるかを判定することができれば、(B/O)/M値からビッカース硬度を推定することができる。前記の通り、図5におけるZよりも左側の領域はOの組成比が大きな場合であり、Zよりも右側の領域はBの組成比が大きな場合に対応する。このため、前記のO/M値、B/M値に応じてこの試料Sがどちらの領域に属するかを認識することができる。
この際、この試料Sが上記のどちらの領域に属するかの閾値となるO/M値あるいはB/M値は、含まれる金属に応じて異なるが、上記の傾向はどの金属元素を含む場合においても同様であると考えられる。試料Sにどの金属元素が主として含まれるかは、前記の通りに、例えば図2の発光スペクトルにおける各金属元素に対応するピーク強度を認識することによって認識することができる。解析部50は、この金属の種類や合金組成毎に上記の閾値を記憶部60に記憶していれば、これに応じてこの試料Sが上記の領域のどちらに属するかを認識することができる。この際、前記のパラメータである(k、c)、(k、c)の値もこの閾値の値と共に金属の種類や合金組成毎に定まる。解析部50がこれらの値をデータとして記憶部60に記憶しておけば、結局、(B/O)/M値から前記の一次式を用いてビッカース硬度を算出することができる。
図6は、このような硬度算出方法を説明するフローチャートである。この操作は、解析部50によって実行される。ここでは、まず、前記の通り、図1の構成の装置を用いてLIBSの発光スペクトルが取得される(S1)。この中における金属元素(Zr、Fe等)に対応するピーク、ピーク強度を認識し、含有する金属及び金属組成を認識することができる(S2)。また、上記のO/M値、B/M値も発光スペクトルから認識する(S3)。
次に、解析部50は、これに応じて、上記の領域の判定のために用いるO/M値あるいはB/M値に対する閾値、及びこれに対応した上記のパラメータ((k、c)、(k、c))を記憶部60から入手し(S4)、その閾値とO/M値あるいはB/M値の大小関係から、試料Sが図5におけるどちらの領域に属するかを認識する(S5)。その後、解析部50は、(B/O)/M値を算出し(S6)、この値と上記のように認識されたパラメータ((k、c)、(k、c)のいずれか)とを用いてビッカース硬度を算出する(S7)。
図6の動作は、パーソナルコンピュータ等である解析部50を用いて容易に行わせることができる。この際、1回の測定で取得された一つの発光スペクトルのみから、上記のようにO/M値、B/M値、(B/O)/M値を算出し、これらの値からビッカース硬度を算出することができる。前記の通り、試料Sにおける複数の点からそれぞれ発光スペクトルを得ることは容易であるため、結局、ビッカース硬度の値をこの各点毎に算出することも容易である。このため、上記の硬度算出方法においては、試料Sにおけるビッカース硬度のマッピングも容易に行うことができる。この際、試料Sに対しては非接触でこの測定を行うことができるために、特に試料Sが施設等に固定された状態でも離間した箇所からこの測定を行うことができる。このため、特に燃料デブリ等に対してこの硬度算出方法は有効である。
ただし、上記のように金属元素に対してO、Bが混合している任意の試料に対して、上記の組成分析方法、硬度算出方法は同様に有効であることも明らかである。このような試料としては、例えば同様にO、Bが含まれる金属及びセラミックス材料等がある。
また、上記の例では、LIBSによって上記のB/M値、O/M値、(B/O)/M値が算出された。しかしながら、B、O、Mの発光ピークが同時に非接触で確認できる限りにおいて、LIBS以外の測定方法も同様に用いることができる。特に、これらの元素の発光ピークが単一の発光スペクトル中でそれぞれ得られる場合には、上記の例と同様に、この単一の発光スペクトルからB/M値、O/M値、(B/O)/M値を同時に算出することができるため、特に硬度のマッピングを非接触で行うことも容易である。
1 組成分析装置(硬度算出装置)
10 光源
20 照射光学系
30 検出光学系
40 光検出器
50 解析部
60 記憶部
100 レーザー光
200 プラズマ発光
S 試料

Claims (10)

  1. 試料における金属元素に対するホウ素(B)及び酸素(O)の組成比を算出する組成分析方法であって、
    レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)によって前記試料をプラズマ化し、当該プラズマからの発光スペクトルを取得する発光スペクトル取得工程と、
    前記発光スペクトルにおける、前記金属元素に対応するピークの強度である第1の強度と、208.9nmの波長に対応するホウ素(B)の単一のピークの強度である第2の強度と、酸素(O)の複数のピークが含まれる776.8nm~777.8nmの波長帯の平均強度である第3の強度と、を算出し、前記第2の強度の前記第1の強度の対する比率であるB/M値から前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比を、前記第3の強度の前記第1の強度に対する比率であるO/M値から前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を、それぞれ算出する分析工程と、
    を具備することを特徴とする組成分析方法。
  2. 前記発光スペクトル取得工程において、
    1回の測定により、前記金属元素に対応するピーク、前記208.9nmの波長に対応するホウ素(B)の単一のピーク、及び前記酸素(O)の複数のピークが含まれる776.8nm~777.8nmの波長帯、が含まれる波長範囲で前記発光スペクトルを取得することを特徴とする請求項1に記載の組成分析方法。
  3. 前記試料における複数の測定点において前記発光スペクトルを取得し、ホウ素(B)及び酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を前記測定点毎に算出することを特徴とする請求項2に記載の組成分析方法。
  4. 前記第1の強度より、前記試料における前記金属元素の組成を算出することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の組成分析方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の組成分析方法を用いて前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比、及び前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比、をそれぞれ算出することにより、前記試料の硬度を算出する硬度算出方法であって、
    前記金属元素、ホウ素(B)及び酸素(O)を含む模擬試料の硬度と、前記模擬試料におけるホウ素(B)の酸素(O)に対する組成比の前記金属元素の組成に対する比率との関係を、当該比率の増加に伴い前記硬度が増大する第1の領域と、当該比率の増加に伴い前記硬度が減少する第2の領域とに区分されるように、予め取得し、
    前記B/M値又は前記O/M値に基づき、前記試料が前記第1の領域、前記第2の領域のどちらに該当するかを判定し、
    前記第2の強度の前記第3の強度に対する比率の、前記第1の強度に対する比率である(B/O)/M値を算出し、
    前記第1の領域、前記第2の領域のうちの前記試料が該当するとされた側における前記 (B/O)/M値より、前記硬度を算出することを特徴とする硬度算出方法。
  6. 前記試料は放射性物質を含有することを特徴とする請求項に記載の硬度算出方法。
  7. 試料における金属元素に対するホウ素(B)及び酸素(O)の組成比を前記試料が発する発光の発光スペクトルから算出する組成分析装置であって、
    前記発光スペクトルにおける、前記金属元素に対応するピークの強度である第1の強度と、208.9nmの波長に対応するホウ素(B)の単一のピークの強度である第2の強度と、酸素(O)の複数のピークが含まれる776.8nm~777.8nmの波長帯の平均強度である第3の強度と、を算出し、前記第2の強度の前記第1の強度の対する比率であるB/M値から前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比を、前記第3の強度の前記第1の強度に対する比率であるO/M値から前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を、それぞれ算出する解析部を具備することを特徴とする組成分析装置。
  8. レーザー光を前記試料に対して発する光源と、
    前記レーザー光が照射された前記試料から前記発光スペクトルを入手する光検出器と、
    を具備し、前記解析部は、単一の前記発光スペクトルから前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比、及び前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比を、それぞれ算出することを特徴とする請求項に記載の組成分析装置。
  9. 請求項又はに記載の組成分析装置を用いて前記試料におけるホウ素(B)の前記金属元素に対する組成比、及び前記試料における酸素(O)の前記金属元素に対する組成比、をそれぞれ算出することにより、前記試料の硬度を算出する硬度算出装置であって、
    前記金属元素、ホウ素(B)及び酸素(O)を含む模擬試料の硬度と、前記模擬試料におけるホウ素(B)の酸素(O)に対する組成比の前記金属元素の組成に対する比率との関係を、当該比率の増加に伴い前記硬度が増大する第1の領域と、当該比率の増加に伴い前記硬度が減少する第2の領域とに区分されるように、予め取得されたデータを記憶する記憶部を具備し、
    前記解析部は、
    前記B/M値又は前記O/M値に基づき、前記試料が前記第1の領域、前記第2の領域のどちらに該当するかを判定し、
    前記第2の強度の前記第3の強度に対する比率の、前記第1の強度に対する比率である(B/O)/M値を算出し、
    前記第1の領域、前記第2の領域のうちの前記試料が該当するとされた側における前記 (B/O)/M値と前記データより、前記硬度を算出することを特徴とする硬度算出装置。
  10. 前記解析部は、前記試料における複数の箇所で得られた前記発光スペクトルより、前記複数の箇所における前記硬度を算出することを特徴とする請求項に記載の硬度算出装置。
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