JP2015081396A - ポリ乳酸ストレッチ複合糸とその織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械物性、耐久性、湿熱安定性および耐熱性にも優れたポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いたストレッチ複合糸とその織編物を提供する。【解決手段】L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物で封鎖されたポリ乳酸樹脂からなるポリ乳酸フィラメントと、弾性繊維とが複合されてなるストレッチ複合糸。(R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基、残りはH、C1〜10のアルキル基、水酸基、又はアリル基等の官能基)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸ストレッチ複合糸とその織物または編物(以下、これらを総称して織編物ということがある)に関するものである。
衣料製品における近年のファッショントレンドや消費者のニーズは極めて多様化している中、環境低負荷素材を用いた高付加価値素材の開発が急務になっている。
高付加価値素材として、最も要望が多い機能性の一つがストレッチ性である。従来ストレッチ織編物は、主にポリウレタン等の弾性繊維を用い、弾性繊維と非弾性繊維を引き揃えて撚りを施した糸を用いて作製される。この非弾性繊維に環境低負荷素材であるポリ乳酸繊維を使用できれば良いのであるが、しかし、ストレッチ織編物は染色工程でのセット温度が高いために、耐熱性が低いポリ乳酸は使用することができなかった。また、耐加水分解性が低いため、使用において洗濯と乾燥、特にタンブラー乾燥の繰り返しを受けたり、汗や雨などにより湿潤した状態で車中や屋外等の高温環境下に放置されると次第に劣化し、色相変化、風合い硬化などを起こすなど耐久性に問題があった。
これらポリ乳酸の欠点である耐熱性および耐加水分解性を向上する一手段として、ポリ乳酸に対してカルボジイミド化合物やイソシアヌレート化合物を添加することが試みられている。ポリ乳酸の末端のカルボキシル基がこれら化合物と反応することにより末端が封鎖され、その結果、加水分解性が抑制されるというものである。
一方、ポリ乳酸の耐熱性を向上する手段として、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが注目されている。ポリ乳酸ステレオコンプレックスは、光学活性なポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合することにより、従来のホモ結晶とは異なり、ステレオコンプレックス結晶が形成される。このポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶由来の融点は、ポリ乳酸のホモ結晶由来の融点170℃に比較して50℃高い220℃に達するため、耐熱性の向上が期待できる。現在、ポリ乳酸の末端封鎖技術やステレオコンプレックスの形成技術の利用により、従来の生分解性用途のみならず衣料用途や産業資材用途への展開が試みられている(特許文献1および2を参照)。
具体的に、ポリ乳酸に対してグリシジル基を含有するイソシアヌレート化合物を添加することによりポリ乳酸末端のカルボキシル基を末端封鎖し、カルボキシル基末端濃度を低減させる提案がなされている(特許文献1参照)。この提案において、末端封鎖されたポリ乳酸から得られた繊維は、耐加水分解性試験後の強度保持率が高く、さらにはポリカルボジイミドで末端封鎖した繊維と比較して色調も優れたものであった。しかしながら、この提案においては、ポリ乳酸からなる繊維の耐加水分解性は向上されるものの、これらポリ乳酸からなる繊維の融点は170℃付近であるため、ストレッチ織編物に使用するには、耐熱性に課題が残るものであった。
これに対して、ポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸からなるポリ乳酸ステレオコンプレックスを作製し、このポリ乳酸ステレオコンプレックスに対してカルボジイミド化合物を添加することにより、耐熱性および耐加水分解性の向上を試みる提案がなされている(特許文献2参照)。この提案において、カルボジイミドにて末端封鎖したポリ乳酸繊維は200℃の温度の耐熱性テストにおいて良好な耐熱性を示しているが、カルボキシル基末端濃度が十分に低くないため長期における洗濯耐久性に課題が残る。
また別に、耐熱性と湿熱安定性を改善するために、芯部がポリ乳酸で、鞘部が石油系ポリマーで構成される芯鞘型複合繊維を用いることも提案されている(特許文献3参照)。この提案では、湿熱環境下後の強力特性は改善されているが、180℃の温度の熱セットによりポリ乳酸と石油系ポリマーの界面が剥離し、強度低下や風合い硬化する等の課題があった。
国際公開2006−104092号公報 特開2002−30208号公報 特開平2008−190057号公報
上記の状況を鑑みて、ポリ乳酸ステレオコンプレックスの耐熱性および耐加水分解性を向上し、ストレッチ織編物への用途展開をするためには、新たな技術が必要とされている。
このポリ乳酸ステレオコンプレックスについては、新たなステレオコンプレックス形成法として、ポリ乳酸ブロック共重合体が注目されつつある。このポリ乳酸ブロック共重合体は、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントと、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントとが共有結合したものであり、高分子量であってもステレオコンプレックス結晶形成性に優れ、ステレオコンプレックス結晶由来の融点が観測されるため、耐熱性や結晶化特性など熱物性に優れた材料を得ることが可能である。しかしながら、この技術においても耐熱性や結晶化特性は優れるものの、耐加水分解性や湿熱安定性については改良が必要とされている。
そこで本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明は、機械物性、耐久性および湿熱安定性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いたストレッチ複合糸とその織編物を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のポリ乳酸フィラメントと弾性繊維とが複合されたストレッチ複合糸とその織編物は、次のとおりである。
L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)
Figure 2015081396
(ここで、R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基であり、残りは水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基、またはアリル基等の官能基を表す。)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなるポリ乳酸フィラメントと弾性繊維とが複合されてなることを特徴とするストレッチ複合糸である。
本発明の好ましい態様によれば、前記の複合糸を用いてなり、ジャングルテスト後のストレッチ率が10%以上であることを特徴とする織編物である。
本発明によれば、機械物性、耐久性および湿熱安定性および耐加水分解性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸フィラメントと弾性繊維とが複合されたストレッチ複合糸が得られる。
また、本発明のストレッチ複合糸を用いることにより、その一部がポリ乳酸で構成されたにもかかわらず、耐熱性と湿熱安定性に優れた環境考慮型のストレッチ織編物を得ることができる。
次に、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、ポリ乳酸フィラメントと、弾性繊維とのストレッチ複合糸からなり、ポリ乳酸はL−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)
Figure 2015081396
(ここで、R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基であり、残りは水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基、またはアリル基等の官能基を表す。)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなるものである。
まず、本発明で用いられるポリ乳酸フィラメントのポリマーは、L−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントが共有結合したポリ乳酸ブロック共重合体である。
ここで、L−乳酸単位からなるセグメントとは、L−乳酸を主成分とする重合体であり、L−乳酸単位を70モル%以上含有している重合体をいう。L−乳酸単位は80モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがさらに好ましく、95モル%以上含有していることが特に好ましく、98モル%〜100モル%含有していることが最も好ましい態様である。
また、D−乳酸単位からなるセグメントとは、D−乳酸を主成分とする重合体であり、D−乳酸単位を70モル%以上含有している重合体をいう。D−乳酸単位は80モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがさらに好ましく、95モル%以上含有していることが特に好ましく、98モル%〜100モル%含有していることが最も好ましい態様である。
本発明において、L−乳酸単位またはD−乳酸単位からなるセグメントは、得られるポリ乳酸ブロック共重合体およびポリ乳酸ブロック共重合体を含むポリ乳酸樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、他の成分単位を含んでいてもよい。
L−乳酸単位またはD−乳酸単位以外の他の成分単位としては、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類またはそれらの誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類またはそれらの誘導体、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、およびδ−バレロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
他の成分単位としては、多価カルボン酸無水物、多価イソシアネート、多価アルコールおよび多価エポキシ化合物が好ましく、特に多価カルボン酸無水物、多価イソシアネートおよび多価エポキシ化合物が好ましく用いられる。また、これらは一種または二種以上を併用して使用することができる。
多官能性化合物の混合量、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸の合計100質量部に対して、0.01重量部以上20重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.1重量部以上10重量部以下である。多官能性化合物の添加量が上記好ましい範囲であると、多官能性化合物を使用する効果を有効に発揮することができる。
本発明において用いられるポリ乳酸ブロック共重合体は、ステレオコンプレックス形成によりステレオコンプレックス結晶に基づく融点を190〜230℃の範囲で有するため、ポリ乳酸ホモポリマーに比較して耐熱性に優れている。ステレオコンプレックス結晶由来の融点の好ましい範囲は200℃〜230℃であり、205℃〜230℃の温度範囲がさらに好ましく、210℃〜230℃の温度範囲が特に好ましい態様である。また、150℃〜185℃の範囲で、ポリ−L−乳酸単独結晶およびポリ−D−乳酸単独結晶に基づく小さな融解ピークを有する場合もある。
また、本発明で用いられるポリ乳酸ブロック共重合体は、耐熱性の観点から、ステレオコンプレックス形成率(Sc)が80〜100%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは85〜100%の範囲であり、90〜100%であることが特に好ましい範囲である。
ここで、ステレオコンプレックス形成率(Sc)とは、ポリ乳酸中の全結晶におけるステレオコンプレックス結晶の占める割合である。具体的には、示差走査型熱量計(DSC)で昇温速度20℃/minで30℃から250℃の温度まで昇温した際のポリ−L−乳酸単独結晶およびポリ−D−乳酸単独結晶の結晶融解に基づく熱量をΔHl、ステレオコンプレックス結晶の結晶融解に基づく熱量をΔHhとすると、下記式(2)で算出することができる。
Sc=ΔHh/(ΔHl+ΔHh)×100 (2)
本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体は成形性および耐熱性に優れるという点で、降温結晶化温度(Tc)が130℃以上であることが好ましい。ここで、成型体の降温結晶化温度(Tc)とは、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度20℃/minで30℃から250℃まで昇温した後、250℃の温度で3分間恒温状態に維持を行い、冷却速度20℃/minで降温した際に測定したポリ乳酸結晶由来の結晶化温度である。結晶化温度(Tc)は、耐熱性および透明性の観点から、130℃以上であることが好ましく、132℃以上であることがより好ましく、135℃以上であることが特に好ましい態様である。
本発明で用いられるポリ乳酸ブロック共重合体の重量平均分子量は、機械物性の点で10万以上30万未満であることが好ましい。重量平均分子量は、より好ましくは12万以上28万未満であり、さらに好ましくは13万以上27万未満であり、14万以上26万未満であることが成形性および機械物性の点で特に好ましい態様である。
また、ポリ乳酸ブロック共重合体の分散度は、機械物性の点で1.5〜3.0の範囲が好ましい。分散度の範囲が1.8〜2.7であることがさらに好ましく、2.0〜2.4であることが成形性および機械物性の点で特に好ましい態様である。
本発明において、重量平均分子量および分散度とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールまたはクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。
本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体の平均連鎖長は、20以上であることが好ましく、さらに好ましくは25以上であり、30以上であることが成形体の機械物性の点で特に好ましい態様である。
ポリ乳酸ブロック共重合体の平均連鎖長は13C−NMR測定により、カルボニル炭素に帰属する炭素のピークのうち、170.1〜170.3ppm付近に存在するピークの積分値を(a)、169.8〜170.0ppm付近に存在するピークの積分値を(b)としたとき、下記式(3)で算出することができる。
平均連鎖長=(a)/(b) (3)
本発明においては、ポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントおよびD−乳酸単位からなるセグメントの合計数が3以上であることが、高融点のポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成しやすいポリ乳酸ブロック共重合体が得られる点で好ましく、さらに好ましくは5以上であり、特に好ましくは7以上である。
本発明において、L−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントのそれぞれの合計の質量比は、90:10〜10:90であることが好ましく、さらに好ましくは80:20〜20:80であり、特に好ましくは75:25〜60:40あるいは40:60〜25:75である。L−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントのそれぞれの合計の重量比が上記の好ましい範囲であると、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成しやすく、その結果、ポリ乳酸ブロック共重合体の融点の上昇が十分に大きくなる。
本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体を得るために用いられるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との重量平均分子量は、ステレオコンプレックス形成率が高くなる点で、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸のうちいずれか一方の重量平均分子量が30,000〜100,000以下であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜30,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは、一方の重量平均分子量が35,000〜90,000であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜25,000である。特に好ましくは、一方の重量平均分子量が40,000〜80,000であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜20,000である。
また、上記の混合に使用されるポリ−L−乳酸の重量平均分子量と、ポリ−D−乳酸の重量平均分子量との比(ポリ−L−乳酸の重量平均分子量/ポリ−D−乳酸の重量平均分子量)は、ステレオコンプレックス形成率が高くなる観点で、2以上10未満であることが好ましく、さらに好ましくは3以上10未満であり、特に好ましくは4以上10未満である。
また、本発明で用いるポリ乳酸フィラメントは仮撚加工糸であることが好ましい。捲縮を有する仮撚加工糸はポリウレタン弾性糸のストレッチに追従することができ、ふくらみ感・表面品位で好ましいストレッチ織編物を得ることができる。
また、本発明で用いるポリ乳酸フィラメントの総繊度は、実用上の観点から、10dtex以上500dtex以下であることが好ましい。また、好ましい単繊維本数は、1本以上500本以下である。また、好ましい単繊維繊度は0.1dtex以上500dtex以下である。
本発明のストレッチ複合糸を構成する弾性糸は特に限定はないが、通常のソフトセグメントとハ−ドセグメントの共重合体であるセグメント化ポリウレタンからなるものであることが好ましい。該セグメント化ポリウレタンはまず、高分子ジオ−ルを約2倍等量のジイソシアネ−トと反応させて、両端にイソシアネ−ト基を有するプレポリマ−を得る。ついで該プレポリマ−に鎖成長剤ジアミンやジオ−ル等の二官能性活性水素化合物を反応させて高分子を得るものであるが、この際に形成されるウレタン結合、ウレア結合がハ−ドセグメントを構成する。該高分子を溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸等の各紡糸法によって繊維化してポリウレタン弾性糸を得る。
該ポリウレタン弾性糸の単糸繊度は幅広い範囲で生産され得るが、本発明に使用の衣料用としては10〜100デシテックスの範囲が好ましく、より好ましくは10〜50デシテックスであり、織物の厚さ、用途等に応じて適宜選定することか望ましい。ポリウレタン弾性糸の単糸デシテックスが10デシテックス未満では適度なストレッチ性能を織物に与えることが困難となり、キックバック性に乏しいものとなる。また100デシテックスを超過すると紡糸操業性、特に乾式紡糸法による製糸では溶媒を完全に除去するために工程速度を下げねばならず、生産性が低下するばかりでなく、織物のキックバック性能が大き過ぎるために衣服着用時の締め付け感が大き過ぎ、快適さを感じさせないものとなる。
使用するポリウレタン弾性糸の破断伸度は400〜800%、好適には550〜800%の範囲である。該破断伸度が400%未満の範囲であると、織物の引張時に該ポリウレタン弾性糸が切断され、いわゆるコア切れを誘発する。また該破断伸度が800%を超過する範囲のポリウレタン弾性糸はポリウレタンのポリマー構造及び紡糸の観点より製造が著しく困難であり、量産が著しく困難で、好ましい領域ではない。
また、本発明のストレッチ複合糸を用いて織編物を得る際に重要なことは、織編物が長期的湿熱環境に放置された場合でも、ストレッチ性が問題なく得られるかどうかということである。本発明の織編物はジャングルテスト(70℃×95%RH環境下で1週間放置)後でも10%以上のストレッチ率であることが好ましい。耐加水分解性が低いポリ乳酸織編物では、湿熱環境下でポリ乳酸糸が脆化して、織物ストレッチ時にポリ乳酸糸のフィラメントが破断し、湿熱環境下でストレッチ性を維持することができない。また、衣服にした際のストレッチバック性を考慮すると、ストレッチ率は40%以下が好ましい。
ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法については、一般のポリ乳酸の製造方法を利用することができる。具体的には、原料の乳酸から生成した環状2量体のL−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合を行い、さらにこのポリ乳酸の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合することにより、ポリ乳酸ブロック共重合体を得るラクチド法(製法1)、当該原料を直接重合またはラクチドを経由した開環重合によりポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とをそれぞれ重合し、次いで、得られたポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合後、固相重合によりポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法2)、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを、融点の高い方の成分の融解終了温度以上で長時間溶融混練を行うことにより、L−乳酸単位のセグメントとD−乳酸単位のセグメントとをエステル交換反応させたポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法3)、および多官能性化合物をポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸に混合して反応することにより、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを多官能性化合物で共有結合させポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法4)などがある。
製法についてはいずれの方法を利用してもよいが、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合後、固相重合する方法が、ポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントおよびD−乳酸単位からなるセグメントの合計数が3以上となり、結果的に耐熱性、結晶性および機械物性を兼ね備えたポリ乳酸ブロック共重合体を得られるという点において好ましい。
ここで、ポリ−L−乳酸とは、既述のとおり、L−乳酸を主成分とする重合体であり、L−乳酸単位を70mol%以上含有している重合体をいう。80mol%以上含有していることが好ましく、90mol%以上含有していることがより好ましく、95mol%以上含有していることがさらに好ましく、98mol%以上含有していることが特に好ましい。
また、ポリ−D−乳酸とは、既述のとおり、D−乳酸を主成分とする重合体であり、D−乳酸単位を70mol%以上含有している重合体をいう。80mol%以上含有していることが好ましく、90mol%以上含有していることがより好ましく、95mol%以上含有していることがさらに好ましく、98mol%以上含有していることが特に好ましい。
次に、各種ポリ乳酸ブロック共重合体の重合方法について詳細に説明する。
開環重合によってポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法1)としては、例えば、L−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合を行い、次いで他方の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合を行うことにより、ポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法を挙げることができる。
開環重合で得られるポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントの重量平均分子量とD−乳酸単位からなるセグメントの重量平均分子量の比は、耐熱性および成形体の透明性の観点から、2以上30未満であることが好ましく、さらに好ましくは3以上20未満であり、特に好ましくは5以上15未満である。ここで、L−乳酸単位からなるセグメントの重量平均分子量とD−乳酸単位からなるセグメント重量平均分子量との比は、ポリ乳酸ブロック共重合体を重合する際に用いるL−ラクチドとD−ラクチドとの重量比で制御することができる。
開環重合で得られるポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントおよびD−乳酸単位からなるセグメントの合計数は、耐熱性および結晶性が向上するという観点から、3以上であることが好ましく、さらに好ましくは5以上であり、特に好ましくは7以上である。また、1セグメントあたりの重量平均分子量は2,000〜50,000であることが好ましく、さらに好ましくは4,000〜45,000であり、特に好ましくは5,000〜40,000である。
開環重合法で用いられるL−ラクチドおよびD−ラクチドの光学純度は、ポリ乳酸ブロック共重合体の結晶性および融点を向上できるという点で、90%ee以上であることが好ましく、さらに好ましくは95%ee以上であり、特に好ましくは98%ee以上である。
開環重合法でポリ乳酸ブロック共重合体を得る場合、高分子量体を得るという観点から、反応系内の水分量はL−ラクチドおよびD−ラクチドの合計量に対して4mol%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mol%以下であり、特に好ましくは0.5mol%以下である。ここで水分量とは、カールフィッシャー法を用いて電量滴定法により測定した値である。
次に、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合後、固相重合によりポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法2)について説明する。この製法2において、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の製造方法については、開環重合法および直接重合法のいずれの方法も用いることができる。
ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合後、固相重合によりポリ乳酸ブロック共重合体を製造する場合には、固相重合後の重量平均分子量およびステレオコンプレックス形成率が高くなる点で、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸のうちいずれか一方の重量平均分子量が60,000〜300,000以下であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜50,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは、一方の重量平均分子量が100,000〜270,000であり、もう一方の重量平均分子量が15,000〜45,000である。特に好ましくは、一方の重量平均分子量が150,000〜240,000であり、もう一方の重量平均分子量が20,000〜40,000である。また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の重量平均分子量の組み合わせとしては、混合後の重量平均分子量が90,000以上となるように適宜選択することが好ましい。
また、本発明で使用するポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸は、重量平均分子量の高い方と重量平均分子量の低い方とのそれぞれの比が、2以上30未満であることが好ましく、さらに好ましくは3以上20未満であり、最も好ましくは5以上15未満である。また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との重量平均分子量の組み合わせとしては、混合後の重量平均分子量が90,000以上となるように適宜選択することが好ましい。
ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸に含有するラクチド量およびオリゴマー量は、それぞれ5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは1%以下である。また、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸に含有される乳酸量は、2%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。
混合されるポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸の酸価は、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸の内、いずれか一方の酸価が100eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは50eq/ton以下であり、さらに好ましくは30eq/ton以下であり、特に好ましくは15eq/ton以下である。また、混合されるポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸の内、もう一方の酸価は600eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは300eq/ton以下であり、さらに好ましくは150eq/ton以下であり、特に好ましくは100eq/ton以下である。
開環重合法を利用してポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を製造する方法については、高分子量体を得るという観点から、反応系内の水分量はL−ラクチドおよびD−ラクチドの合計量に対して4mol%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mol%以下であり、0.5mol%以下が特に好ましい。ここで水分量とは、カールフィッシャー法を用いて電量滴定法により測定した値である。
<イソシアヌレート化合物>
本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端を封鎖して耐加水分解性および湿熱安定性を向上させ、さらにはポリ乳酸樹脂組成物を塩素化合物等の刺激臭が発生しない良好な製造環境で製造するためには、下記一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物を基本骨格に有する1〜3官能基のグリシジル変性化合物を含むことが必要である。
Figure 2015081396
ここで、上記の一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物のうち、R1〜R3の少なくとも1つはグリシジル基である。また、グリシジル基の付加数の異なるイソシアヌレート化合物をポリ乳酸ブロック共重合体に添加しても構わない。また、R1〜R3の内、グリシジル基以外の官能基としては、水素あるいは炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基およびアリル基が選択される。
ここで、アルキル基中の炭素原子についてはその数が少ない方が好ましく、炭素原子数1〜5であることが好ましい。中でもジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(以下、DAMGICと略記することがある。)、モノアリルグリシジルイソシアヌレート(以下、MADGICと略記することがある。)、およびトリグリシジルイソシアヌレート(以下、TGICと略記することがある。)は、融点が高く耐熱性にも優れるため好ましく用いられる。
さらに、イソシアヌレート化合物を添加する際には、ポリ乳酸ブロック共重合体とイソシアヌレート化合物の反応を促進させるために、反応触媒を添加してもよい。
反応触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、同二カリウム塩、同二リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、同カリウム塩、同リチウム塩、同セシウム塩などのアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどのアルカリ土類金属化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリアミルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、ジメチルフェニルアミン、ジメチルベンジルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの3級アミン、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−フェニル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリプロピルベンジルアンモニウムクロライド、N−メチルピリジニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(p−ヒドロキシ)フェニルホスフェート、トリ(p−メトキシ)フェニルホスフェートなどのリン酸エステル、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸、および三フッ化ホウ素、四塩化アルミニウム、四塩化チタン、および四塩化錫などのルイス酸などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併用して使用することができる。
反応触媒の添加量は、ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。触媒量が上記好ましい範囲であると、重合時間の短縮効果が得られ、一方、最終的に得られるポリ乳酸樹脂組成物の分子量も大きくすることができる。
本発明において、ポリ乳酸フィラメントは耐加水分解性および湿熱安定性に優れるという点で、カルボキシル基末端の少なくとも一部が、封鎖がされている必要がある。ここで、末端カルボキシル基濃度においては低ければ低いほど好ましく、10当量/ton以下であることが好ましい。より好ましくは7当量/ton以下であり、さらに好ましくは5当量/ton以下である。
具体的に、本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、前記イソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂である。より好ましくは0.3〜1.5重量部であり、さらに好ましくは0.6〜1.2重量部である。
イソシアヌレート化合物は、ポリ乳酸ブロック共重合体との溶融混練時に添加され、カルボキシル基末端の封鎖が行われる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物を繊維(フィラメント)に成形加工する際の製造方法としては、従来公知の溶融紡糸方法を用いることができるが、ステレオコンプレックス結晶を効率的に形成させ、繊維の配向度を高める点において、高速紡糸工程および延伸工程を採用することが好ましい態様である。ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維を延伸することにより繊維を十分に配向し、機械物性が向上するだけでなく、同時に熱処理を行うことにより十分に結晶化が進行した、収縮特性にも優れた繊維を得ることが可能となる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物を高速紡糸する際の紡糸速度は、好ましくは500〜10,000m/minにすることにより分子配向が生じ、後の延伸工程での工程通過性を高めることができる。本発明における紡糸速度とは、糸条を引き取るための第1ゴデットロールの周速度をいう。また、延伸同時仮撚等を行うためには、さらに分子配向が必要であるため、紡糸速度は2,000m/min以上がより好ましく、さらに好ましくは3,000m/min以上であり、特に好ましくは4,000m/min以上である。一方、紡糸工程での工程安定性を考慮すると、紡糸速度は7,000m/min以下であることが好ましい。この高速紡糸工程で得られた未延伸糸は配向度が高く、効率的にステレオコンプレックス結晶を形成できる前駆体となり、さらには機械的強度にも優れるため、延伸工程での工程通過性に優れた性質を示す。
本発明において、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維の延伸仮撚工程では、アウトドロー工程やインドロー工程など、従来公知の延伸仮撚工程を適宜選択することが可能である。インドロー工程は、製造設備を簡略化できるため、安価に繊維を製造することができる。また、延伸仮撚工程における施撚体としては、ピン、ベルトやディスクなどを採用することができるが、ベルトもしくはディスクを採用すると、高速での延伸仮撚が可能となるため、単位時間当たりの生産量を高めることができ、結果的に繊維を安価に製造可能となる。また、延伸仮撚機のヒーターは、接触型と非接触型のどちらを採用することも可能であるが、非接触型の場合は、該ポリ乳酸樹脂組成物からなる繊維の摩耗を低減させることができる。更に、このヒーターの温度は、仮撚糸の機械的強度、寸法安定性および耐熱性を付与する観点から、100〜200℃ の範囲で適宜選択することが好ましい。この温度範囲であれば、延伸仮撚工程で得られる繊維を、糸切れなく安定性して製造可能であることと、十分に配向結晶化した機械的強度、寸法安定性および耐熱性に優れた繊維とすることができる。さらに、延伸仮撚糸の寸法安定性を高めるため、延伸仮撚後にリラックス熱処理を加えることも好適である。上記の方法で得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維は、機械的特性や寸法安定性に優れるばかりでなく、ステレオコンプレックス結晶が十分に形成されているため、アイロン耐熱性および耐久性にも優れ、高温染色も可能である。
本発明のストレッチ複合糸の生産工程では、ポリウレタン弾性糸の延伸倍率は2〜4倍が好ましく、さらに好ましくは2.5〜3.5倍の範囲である。該延伸倍率が2倍未満となると、複合糸のストレッチ性が悪く、織物がキックバックに乏しいものとなる。また4倍を超過する範囲では織物のキックバック特性が強過ぎるほか、ポリウレタン弾性糸の周囲に巻き付けたポリ乳酸糸がダブつき、外観、品位的に望ましくない。
また、上記のストレッチ複合糸は撚係数Kとして下記範囲を満足することが好ましい。
撚係数K;K=T×D1/23000≦K≦22000
但し、Tはポリ乳酸フィラメントのカバリング撚数(回/m)を、Dは繊維度(Dtex)をそれぞれ表わす。
撚係数Kが3000未満となるとポリ乳酸フィラメントがポリウレタン弾性糸を完全に被覆することができず、ポリウレタン弾性糸が表面に現れる部分がイラツキ気味になり、外観品位的に好ましくない。また撚係数Kが22000を超過すると該カバリングヤ−ンが剛直になり過ぎ、織物のドレ−プ性が欠如するほか、製織性に支障を来すため、好ましい範囲ではない。
カバリングにはアップツイスタ−と中空スピンドルを応用した市販のカバリング機を使用することができる。該カバリングはシングルカバリング或はダブルカバリングの何れであっても構わないが、撚糸コストや織物の風合いを考慮すると前者のシングルカバリングがより好ましい。
また、使用形態は、原糸でもよく、仮撚加工、ニットデニットおよび流体噴出加工などが施された加工糸でもよく、さらにダブルツイスターやリング撚糸機などを使用して得る撚糸として用いてもよい。また、他の繊維を複合してもよく、例えば、混紡糸や混繊糸などの例が挙げられる。
また、製織の際はウォータージェットルーム、フライシャットルルーム、レピアルーム、プロジェクタイルルーム、エアージェットルーム等、市販の織機を使用することができる。上記ポリ乳酸ストレッチ複合糸を織物の経糸及び/又は緯糸の少なくとも一部に使用する際は経糸及び緯糸各々の張力を適正化して製織を行う必要がある。上記カバリングヤ−ンの混率としては3本に1本程度の構成で製織しても、ストレッチ性を充分に発揮することができる。組織は平、ツイル、サテン、二重織組織等任意の設計が可能となる。
また、製編の際は丸編み機、トリコット機、ラッシェル機等市販の編機を使用することができる。上記ポリ乳酸ストレッチ複合糸を編糸の少なくとも一部に使用する際は各々の張力を適正化して製編を行う必要がある。上記カバリングヤ−ンの混率としては3本に1本程度の構成で製織しても、ストレッチ性を充分に発揮することができる。組織は天竺、スムース、ポンチ、リブ、ハーフ組織等任意の設計が可能となる。
本発明のポリ乳酸ストレッチ複合糸の用途としては、耐加水分解性が要求される衣料、例えば、アウトドアウェアやゴルフウェア、アスレチックウェア、スキーウェア、スノーボードウェアおよびそれらのパンツ等のスポーツウェア、ブルゾン等のカジュアルウェア、コート、防寒服およびレインウェア、または婦人用ドレス、スカート、パンツ、さらには紳士用アウター、ボトムなどが挙げられる。また、長時間使用による耐久性や湿老化特性に優れたものが要求される用途として、ユニフォーム、掛布団や敷布団、肌掛け布団、こたつ布団、座布団、ベビー布団、毛布等の布団類や枕、クッション等の側地やカバー、マットレスやベッドパッド、病院用、医療用、ホテル用およびベビー用のシーツ等、さらには寝袋、揺りかごおよびベビーカー等のカバー等の寝装資材用途があり、これらにも好ましく用いることができる。
本発明のストレッチ複合糸は、実用的な観点から強度は3.0cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは3.5cN/dtex以上であり、さらに好ましくは4.0N/dtex以上である。一方、強度の上限は工業的に安定して製造できる点から9.0N/dtex以下であることが好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸フィラメントは、耐加水分解性の指標である強度保持率は60〜99%であることが好ましくより好ましくは70〜99%であり、さらに好ましくは80〜99%であり、特に好ましくは85〜99%である。強度保持率は、ポリ乳酸樹脂組成物からなるマルチフィラメントを密閉容器に密閉して水中に浸漬し、その密閉容器を130℃の温度で40分間加熱処理した際の、加熱処理前後の強度比から算出した値である。
次に、実施例等をあげて本発明のストレッチ複合糸を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。ここで、実施例中の部数は、質量部を示す。物性等の測定方法は、次のとおりである。また、測定は全て10点での平均値で表示する。
(1)分子量
重量平均分子量および分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPC測定は、検出器にWATERS社製の示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社製のMODEL510を用い、カラムに昭和電工株式会社製のShodex(登録商標)GPC HFIP−806MとShodex(登録商標)GPC HFIP−LGとを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、測定では溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
(2)熱的特性
融点および融解熱量は、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/minである。
ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指し、また融解終了温度とは結晶融解ピークにおけるピーク終了温度のことを指す。得られた結果において、融点が190℃以上250℃未満に確認されたものは、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが形成されたものと判断し、融点が150℃以上190℃未満に確認されたものについてはポリ乳酸ステレオコンプレックスが形成されなかったものと判断した。ここで、示すポリ乳酸樹脂組成物の融点とは、第2昇温時に昇温速度20℃/minで30℃から250℃の温度まで昇温したときに測定される融点を示す。また、ステレオコンプレックス結晶由来融解熱量(ΔHmsc)とは、上記の方法で測定した際の、ステレオコンプレックス結晶融解ピークのピーク面積を算出したものである。
(3)ステレオコンプレックス形成率(Sc)
ポリ乳酸樹脂組成物のステレオコンプレックス形成率(Sc)は、下記式(2)から算出した。
Sc=ΔHh/(ΔHl+ΔHh)×100 (2)
ここで、ΔHlは温度150℃以上190℃未満に現れるポリ−L−乳酸単独結晶およびポリ−D−乳酸単独結晶の結晶融解に基づく熱量を示し、ΔHhは温度190℃以上250℃未満に現れるステレオコンプレックス結晶の結晶融解に基づく熱量を示す。
また、実施例におけるポリ乳酸樹脂組成物のステレオコンプレックス形成率(Sc)は、示差走査型熱量計(DSC)の第2昇温時に測定される結晶融解ピークから算出したものである。
(4)カルボキシル基末端濃度
ポリ乳酸樹脂組成物のカルボキシル基末端濃度は、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットをo−クレゾール/クロロホルム混合溶液に溶解後、0.02規定のエタノール性水酸化カリウム溶液にて滴定することにより算出した。
(5)重量平均分子量保持率
ポリ乳酸樹脂組成物の分子量保持率は、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを60℃の温度、95%RH条件下で100時間湿熱処理を行い、湿熱処理前の重量平均分子量(Mw1)と湿熱処理後の重量平均分子量(Mw2)から下記式(4)に従い算出した。
重量平均分子量保持率(%)=(Mw2/Mw1)×100 (4)
(6)ポリ乳酸糸強度
本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなるポリ乳酸糸強度は、オリエンテック社製テンシロン(TENSILON)UCT−100を用いて、JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、1998年)に従い,定速伸張条件(つかみ間隔:20cm、伸張速度20cm/分)で測定した。
(7)ポリ乳酸糸強度保持率
本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなる糸強度は、次の手順で測定を行った。ポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸糸1gを収縮しないようにボビンに巻き付け、水300mlとともに密閉可能な容器に入れた後、昇温速度4℃/分にて容器内の水温が130℃となるように加熱して130℃の温度で40分間定温保持した後、降温速度4℃/分にて冷却させた。容器内の水温が50℃以下になったところで試料をとりだして水洗を行い、熱処理前の引張強度(T1)、熱処理後の引張強度(T2)から、下記式(5)に従い強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=(T2/T1)×100 (5)
(8)ジャングルテスト後の布帛アイロン耐熱性
下記実施例で得られたポリ乳酸樹脂組成物からなるマルチフィラメント布帛に対して、70℃×95%RH環境下で1週間放置した後、中温(表面温度170℃)に設定した家庭用アイロンを10秒間押しあてて、変化が認められないものを◎、硬化がわずかに認められるものを○、硬化が明確に認められるものを△、硬化が顕著もしくは溶融してしまったものを×として4段階でアイロン耐熱性評価を行い、◎と○を合格とした。
(9)ジャングルテスト後のストレッチ率
下記実施例で得られたポリ乳酸樹脂組成物からなるマルチフィラメント布帛に対して、70℃×95%RH環境下で1週間放置した後、JIS L−1096の伸長率A法(定速伸長法)で測定し、布帛経緯方向の平均値をストレッチ率とした。ただし、ポリ乳酸ストレッチ複合糸を経または緯使いのみの織物の場合には、使用している方向のみの値とした。
[実施例1]
撹拌装置および還流装置を備えた反応容器中に、90%濃度のL−乳酸水溶液を50部入れ、温度を150℃に設定した後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応させた。その後、窒素雰囲気下で常圧に戻し、酢酸錫(II)0.02部を添加した後、170℃の温度で13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行った。続いて、得られたポリ−L−乳酸を、窒素雰囲気下で110℃の温度で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で18時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PLA1)を得た。得られたPLA1の重量平均分子量は20万であり、分散度は1.7であり、融点は170℃であった。
次に、撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90%濃度のD−乳酸水溶液を50部入れ、温度を150℃に設定した後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応させた。その後、窒素雰囲気下で常圧に戻し、酢酸錫(II)0.02部を添加した後、170℃の温度で13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行った。続いて、得られたポリ−D−乳酸を、窒素雰囲気下で110℃の温度で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で5時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDA1)を得た。得られたPDA1の重量平均分子量は4.0万であり、分散度は1.5であり、融点は156℃であった。
上記の方法で得られたPLA1とPDA1を、混合前にあらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃の温度で2時間結晶化処理を行った。続いて、結晶化した50質量部のPLA1を二軸押出機の樹脂供給口から添加し、50質量部のPDA1を、後述するL/D=30の部分に設けたサイド供給口から添加することにより溶融混練を行った。ここで、二軸押出機は、樹脂供給口からL/D=10の部分に温度190℃に設定した可塑化部分を有するとともに、L/D=30の部分にニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造を有している。二軸押出機によって、減圧下、混練温度210℃でPLA1およびPDA1の溶融混練を行い、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを得た。得られたポリ乳酸ステレオコンプレックスの重量平均分子量は11万であり、分散度は2.7であり、融点は211℃で、ステレオコンプレックス形成率は100%であった。
次に、上記で得られたポリ乳酸ステレオコンプレックス100部に対して、イソシアヌレート化合物(トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業製「TEPIC−S」、エポキシ当量100g/mol)を0.1部の割合で混合し、ベントを有する二軸押出機を用いて溶融混練を行った。二軸押出機は、樹脂供給口からL/D=10の部分に温度225℃に設定した可塑化部分と、L/D=30の部分にニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造とを有しており、この二軸押出機を用いて減圧下、混練温度220℃で溶融混練を行って、ペレット化されたポリ乳酸樹脂組成物からなるポリ乳酸樹脂組成物を得た。
続いて、上記ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを真空乾燥機中で140℃、24時間乾燥した後、溶融紡糸機に投入し、溶融温度220℃、紡糸温度230℃、口金0.3mmφ、紡糸速度5000m/分の条件にて品種110dtex−24フィラメントの未延伸糸を得た。さらにこの未延伸糸を村田機械製MACH33Hで延伸仮撚加工を実施し(加工速度400m/min、ヒータ温度140℃、仮撚数2800T/m)、90dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を得た。
次に、この仮撚加工糸と破断伸度が600%であるポリウレタン弾性糸20dtexモノフィラメントとを使用し、市販のカバリング機を使用してカバリングを実施した。ポリウレタン弾性糸の延伸倍率は2.8倍、カバリング撚数は1000回/mで、S撚方向にカバリングして複合糸を作成した。
次に、この複合糸を経糸および緯糸に用いて2/1ツイル織組織の生機を作製し、150℃のテンターでセット後、100℃の浴中でリラックス精練し、分散染料を使用して115℃で染色し、140℃で仕上げセットした。
溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物と繊維物性は、表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性、ストレッチ性に優れ、風合い、表面品位も良好であった。
[実施例2]
ポリ乳酸ステレオコンプレックス100部、イソシアヌレート化合物1.5部の割合で溶融混練を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法で品種90dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を製造し、その後、ポリウレタン弾性糸20dtexモノフィラメントと複合し、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物、繊維物性は表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性、ストレッチ性に優れ、風合い、表面品位も良好であった。
[実施例3]
イソシアヌレート化合物として、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業製「MADGIC」)を1.0部の割合で混合し、溶融混練を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法で品種90dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を製造し、その後、ポリウレタン弾性糸20dtexモノフィラメントと複合し、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物、繊維物性は表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性、ストレッチ性に優れ、風合い、表面品位も良好であった。
[実施例4]
二軸押出機に供給するPLA1を70部、PDA1を30部としたこと以外は、実施例1と同様な方法で品種90dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を製造し、その後、ポリウレタン弾性糸20dtexモノフィラメントと複合し、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物、繊維物性は表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性、ストレッチ性に優れ、風合い、表面品位も良好であった。
[比較例1]
ポリ乳酸ステレオコンプレックス100部、イソシアヌレート化合物0.03部の割合で溶融混練を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法で品種90dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を製造し、その後、ポリウレタン弾性糸20dtexモノフィラメントと複合し、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物と繊維物性は、表1に示すとおりである。その結果、比較例1ではイソシアヌレート化合物との反応後においてもカルボキシル基末端濃度は30eq/ton以上と高いことから、分子量保持率が低かった。さらに、ポリ乳酸糸の強度保持率は50%未満であり、さらにジャングルテスト後の布帛アイロン評価した生地は明らかに硬化し、ストレッチ性も低下しており、耐久性と湿熱安定性に劣る結果となった。
[比較例2]
ポリ乳酸樹脂として、ホモポリ乳酸であるPLA1を用いてポリ乳酸樹脂組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様な方法で品種90dtex−24フィラメントの仮撚加工糸を製造し、その後、ポリウレタン弾性糸20dtexモノフィラメントと複合し、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物、繊維物性は表1に示すとおりである。 ポリ乳酸樹脂がホモポリ乳酸であることもありステレオコンプレックスの形成はなく、耐熱性および結晶化特性が実施例に比較して劣る結果であった。さらに、延伸糸の強度保持率は50%未満であり、ジャングルテスト後の布帛アイロン評価した生地は明らかに硬化し、ストレッチ性も低下しており、耐久性と湿熱安定性に劣る結果となった。
Figure 2015081396

Claims (3)

  1. L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)
    Figure 2015081396
    (ここで、R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基であり、残りは水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基、またはアリル基等の官能基を表す。)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなるポリ乳酸フィラメントと、弾性繊維とが複合されてなることを特徴とするストレッチ複合糸。
  2. ポリ乳酸フィラメントが仮撚加工糸であることを特徴とする請求項1に記載のストレッチ複合糸。
  3. 請求項1または2記載の複合糸を用いてなり、ジャングルテスト後のストレッチ率が10%以上であることを特徴とする織編物。
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WO2019069660A1 (ja) * 2017-10-05 2019-04-11 株式会社村田製作所 圧電繊維

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