JP2015080931A - スタンパの製造方法 - Google Patents

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Tsutomu Iwasaki
力 岩崎
正毅 青谷
Masatake Aotani
正毅 青谷
諭男 木村
Satoo Kimura
諭男 木村
佐野 孝史
Takashi Sano
孝史 佐野
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Abstract

【課題】プラスチック成形体の表面に、種々の液体に対して優れた撥液性が持続して発揮される撥液面を転写により容易に形成することが可能なスタンパの製造法を提供する。
【解決手段】フォトリソグラフィー法により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を備えた階層構造面を有するスタンパ形成用マスタを作製し、該マスタを用いての電鋳法により、一次凹凸と該一次凹凸の凹部底面に微細な二次凹凸を有する階層構造面を賦形面とするスタンパを得ることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

発明の分野
本発明は、転写用治具として使用されるスタンパの製造方法に関するものであり、より詳細には、プラスチック成形体表面に優れた撥液性面を形成することができるスタンパを製造する方法に関する。
一般にプラスチックは、ガラスや金属等に比して成形が容易であり、種々の形状に容易に成形できるため、種々の用途に使用されている。その中でも、ボトルなどの容器や容器に装着されるキャップ等の包装の分野は、プラスチックの用途の代表的な分野である。
ところで、上記の容器に液体が収容されている場合には、必ず液垂れの問題があり、容器内に収容された液体を口部から注出するとき、注ぎ出された液体が容器口部の外壁面に沿って外部に垂れ落ちないような工夫が要求される。
また、キャップも同様であり、液体が収容されている容器に装着されているキャップでは、これを取り付けたままの状態で容器内容液を注出するタイプのものが、飲料や調味液などを収容する容器用のキャップとして広く使用されている。この種のキャップでは、キャップの頂板部に、プルリングを持っての引張りにより内容液注出用開口が形成され、この開口を通して内容液が注ぎ出されるわけであるが、注ぎ出される内容液が開口周辺に流れ落ちないように、該開口を取り囲むように注出筒が形成されており、開口通って容器内から注出される内容液は、この注出筒の内面に沿って流れ、その先端から外部に排出されるようになっている。即ち、このようなキャップでは、注出筒の先端での液垂れを防止する工夫が要求される。
撥水性を向上させて液垂れを防止する手段としては、種々の提案がなされており、例えば、特許文献1には、キャップに設けられている注出筒に、液の流れ方向に延びている多条の微細溝を設けることにより、液垂れを防止することが提案されている。
特許文献1のように、キャップの注出筒に多数の微細溝(即ち、凹凸面)を設けるという手段は、理論上は撥液性を著しく高めることができ、最も好ましい手段である。即ち、凹凸面上を液が流れるときには、凹凸面と液体との接触状態は、固液接触及び気液接触となり、しかも、気体(空気)は最も疎水性の高い物質である。このため、凹凸の粗密を適宜設定することにより、著しく高い撥液性(液切れ性)が発現し、液垂れを効果的に防止できるわけである。
しかしながら、このような凹凸面を形成した場合において、全ての液体について高い撥液性が得られるわけではなく、液によって撥液性についてかなりのばらつきが認められる。また、撥液性の寿命も短いという問題がある。例えば、上記の転落角αでの転落試験を繰り返し行うと、水では50回ほどは安定な転落を示すが、醤油やソースでは、10回程度で転落しなくなってしまう。
このように、凹凸面を形成したからといって、高い撥液性が長期にわたって安定に発現するものではない。
また、特許文献2には、断面形状が三角形状の凸条(或いはV溝)からなる第1の凹凸と、第1の凹凸内に形成され且つ第1の凹凸よりも小さな粗さの第2の凹凸が形成されている撥水性高輝度透明材が提案されている。
即ち、特許文献2は、このような階層構造の凹凸の形成により優れた撥水性を発現させているのであるが、第1の凹凸は輝度向上のために形成されていることもあり、撥水性の発現については、詳細な検討はなされておらず、水についての転落角の実験がなされているに過ぎず、また、このような階層構造は耐摩耗性を有しており、第2の微細な凹凸が摩耗により消滅したとしても、第1の凹凸により撥水性が確保されることは示されているが、液の転落を繰り返したとき、転落角αがどの程度持続性されるかについての検討もなされていない。
また、第1の凹凸上に形成される第2の凹凸は、シリカなどの無機粒子が分散されたフッ素樹脂などの撥水性樹脂の薄膜により形成されるため、その製造が極めて面倒であり、生産性が悪いという問題もある。
特開2009−113831 特開2003−1736
従って、本発明の目的は、プラスチック成形体の表面に、種々の液体に対して優れた撥液性が持続して発揮される撥液面を容易に形成することが可能なスタンパを製造する方法を提供することにある。
本発明によれば、
フォトリソグラフィー法により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を備えた階層構造面を有するスタンパ形成用マスタを作製し、
該マスタを用いての電鋳法により、一次凹凸と該一次凹凸の凹部底面に微細な二次凹凸を有する階層構造面を賦形面とするスタンパを得ることを特徴とするスタンパの製造方法が提供される。
階層構造面を有するスタンパ形成用マスタを用いる上記製造方法において、かかるマスタは、次の2つの方法によって作製することができる。
第1の方法では、下記工程;
透明基板の表面にフォトレジストを塗布する工程;
一次凹凸に対応するマスクを介しての光照射により、露光を行い、該フォトレジストの光照射部を硬化する工程;
前記露光後に、ブラスト処理を行い、フォトレジスト表面に二次凹凸に対応する微細な凹凸を形成する工程;
ブラスト処理後に現像を行い、フォトレジストの未硬化部分を除去することにより、残存するフォトレジスト硬化部により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を有する階層構造面を形成する工程;
を経て上記のスタンパ用マスタが作製される。
第2の方法では、下記工程;
透明基板の表面にフォトレジストを塗布し、次いで該フォトレジストの全面に光を照射して下地レジスト硬化層を形成する工程;
前記下地レジスト硬化層の表面をブラスト処理して二次凹凸に対応する微細な凹凸を形成する工程;
ブラスト処理後、前記下地レジスト硬化層の表面に、フォトレジストを塗布し、一次凹凸に対応するマスクを介しての光照射による露光及び現像を行い、該下地レジスト硬化層表面に、一次凹凸に対応する凹凸を形成する工程;
前記一次凹凸が形成された下地レジスト硬化層を下地としての電鋳法により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を備えた階層構造面を有するスタンパ形成用マスタとする工程;
を経て上記のスタンパ用マスタが作製される。
本発明により製造されるスタンパでは、賦形面が階層構造面となっており、一次凹凸と該一次凹凸の少なくとも凹部底面に形成された微細な二次凹凸とから形成されている。このため、このスタンパを転写用の治具として用いての転写によってプラスチック成形体の表面に該賦形面に対応する面を形成すると、プラスチック成形体の表面に形成される面は、該賦形面の一次凹凸の凹部と凸部が反転した凹凸面(一次凹凸面)と、該一次凹凸面の凸面に形成された微細な二次凹凸面とから形成された階層構造面となる。
即ち、このようにしてプラスチック成形体の表面に形成される階層構造面は、後述する実施例に示されるように、優れた撥液性面となり、種々の液体に対して優れた撥液性を示し、しかも、このような撥液性は、液を繰り返し流した場合にも安定に保持され、液を数回流した程度では損なわれない。
また、本発明により製造されるスタンパによれば、その賦形面をプラスチック成形体の表面に加熱下に押し当てるという転写法によって、該成形体の表面に撥液性面(凹凸面)を形成するため、この撥液性面が残留歪により寸法が変化するという問題は生じない。また、プラスチック表面を形成するプラスチックとは異なる他の材料(例えばフッ素樹脂など)を凹凸面にコーティングして二次凹凸を形成するなどの手段、即ち、面倒で且つ材料費が高い手段により撥液性面を形成するものではないため、生産性も高く、且つ製造コストも安価である。
凹凸面での液滴の接触パターンをCassie−Baxterモデル及びWenzelモデルで示す模式図。 液滴のエネルギー解析結果を示す図。 プラスチック成形体に形成されている撥液性表面を部分的に拡大して液滴と共に示す図。 本発明により製造されるスタンパの賦形面を拡大して示す図。 本発明のスタンパの製造方法のフローチャート。 図5の製造方法において使用されるスタンパ形成用マスタの作製工程の一例を示す図。 図5の製造方法において使用されるスタンパ形成用マスタの作製工程の他の例を示す図。
発明が実施しようとする形態
<階層構造面による転落性、繰り返し転落性の原理>
先ず、本発明により製造されるスタンパを用いてプラスチック成形体表面に形成される階層構造面による撥液性、転落性、繰り返し転落性について説明する。
凹凸面での液滴の接触パターンを示す図1を参照して、液滴が凹凸面上に載ったCassieモードでは、凹凸面の凹部がエアポケットとなっており、液滴は固体と気体(空気)との複合接触となる。即ち、このような複合接触では、疎水性が最も高い空気に液体が接触するため、高い撥液性が発現する。
このようなCassieモードでの凹凸表面の接触角の理論式は次のとおりである。
cosθ=(1−φ’)cosπ+φ’cosθ
=φ’−1+φ’cosθ (1)
θ:接触角
θ:見かけの接触角
φ’:単位面積当たりの凸部頂部の面積
この理論式(1)から理解されるように、φ’が小さいほど、見かけの接触角θは180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
一方、液滴が凹凸面の凹部に侵入した場合には、液滴は複合接触ではなく、固体のみとの接触であり、Wenzelモードで示される。このようなWenzelモードでの凹凸表面の接触角の理論式は次のとおりである。
cosθ=rcosθ (2)
θ:接触角
θ:見かけの接触角
r:実接触面積/液滴の投影面積
この理論式(2)から理解されるように、rが大きいほど見かけの接触角θは180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
ここで、撥液性については、上記の通り、WenzelモードとCassieモードのいずれの状態でも、撥液性が向上することは知られているが、転落性及び繰り返し転落性を向上させるためには、Wenzelモードではなく、Cassieモードを安定的に維持する、すなわち、凹部のエアポケットを安定に維持することが有効であると、考えられる。すなわち、Wenzelモードは液相と固相の界面が大きく、結果、界面に働く物理的な吸着力も大きくなるので、接触角は大きく撥液はしているが、液滴が容易に転落することはない。Cassieモードは界面が小さいため、液滴が転落する際乗り越えなければならないエネルギー障壁が低く、容易に転落し、何度でも繰り返し転落すると考えられる。
安定的にCassieモードを維持するための条件を探索するため、液滴のエネルギーに関する下記の式(3)を用いて、シミュレーションを行うと、以下に述べる結果を得た。
G/((9π)1/3×V2/3×σLV
=(1−cosθ2/3×(2+cosθ1/3 (3)
式中、Gは、基板上に置かれた液滴のエネルギー、
Vは、液滴の体積、
σLVは、液相−気相間の表面張力である。
また、シミュレーションの条件は、
凹凸パターン:ライン&スペース形状
凸部頂幅:20μm
凹凸パターン深さ:50μm
とした。
上記の式(3)のシミュレーションによれば、図2(a)に示すように、θ=94°では、凹凸の疎密を表すφs’(単位面積当たりの凸部頂部の面積)に依らず、Wenzelモードの方が常に安定であり、そのようなプラスチック表面では、転落性、繰り返し転落性は低いと考えられる。しかし、図2(b)に示すように、初期の接触角を向上させ、θ=105°では、φ’≧0.5の範囲において、Cassieモードの方が常に安定であり、転落性、繰り返し転落性の向上が期待出来ることが分かった。すなわち、図3に示すように、全体として1で表され、一次凹凸3(凹部3a,凸部3b)と、一次凹凸の表面に形成された微細な二次凹凸5とからなっているプラスチック表面(階層構造面)に依れば、微細な二次凹凸5の効果によって、初期の接触角を向上させ、一次凹凸3によりCassieモードが常に安定的な領域を作り出せると推察される。
尚、ポリプロピレン製の平板に対する市販の醤油の初期の接触角θは、θ=94°である。
即ち、階層構造面1では、一次凹凸面3の上に液滴10が載った状態で転落を生じることとなり、一次凹凸面3の凹部3aがエアポケット(一次エアポケット)となり、前述したCassieモードでの転落となり、所定の転落性、繰り返し転落性が発現することとなる。
この場合、このような一次凹凸面3のみでの転落では、液滴10が一次凹凸面3の凹部3aに侵入してしまい、前述したWenzelモードでの転落となり、一次エアポケットが消失して界面が大きくなり、界面に働く物理的な吸着力も大きくなるので、転落性、繰り返し転落性は低下することになる。
しかるに、上記の階層構造面1では、一次凹凸面3の上(特に凸部3b上)に微細な二次凹凸5が形成されているため、二次凹凸面5上に液滴10が載った状態となり、液滴10と二次凹凸面5との間にもエアポケット(二次エアポケット)が形成される。即ち、液滴10と二次凹凸面5との間の二次エアポケットが、一次凹凸面3の凹部3a内への液滴10の侵入を阻止し、一次凹凸面3と液滴10との間に形成されるエアポケットの消失を効果的に防止することができ、Cassieモードでの状態が安定に保持されることとなる。
かくして、優れた転落性を確保し、しかも、転落動作が繰り返し行われても、一次エアポケットが安定に保持されるため、繰り返し転落性も向上する。
このような階層構造面1において、二次凹凸面5は、この二次凹凸面5上の液滴10が一次凹凸面3の凹部3a内への侵入を阻止するような二次エアポケットが形成される大きさの表面粗さを有していればよく、例えば算術平均粗さRaが5nm〜6μm、特に100nm〜1μmの範囲にあればよい。
また、上述した二次凹凸面5の形状は特に制限されないが、繊毛状が好ましい。繊毛状のような高いアスペクト比の形状であると、上述した式(1)、(2)の中の、単位面積当たりの凸部頂部の面積φs’は小さく、実接触面積/液滴の投影面積rは大きくなるので、見かけの接触角θが大きくなり、二次凹凸面5自体の撥液性が向上する。
さらに、一次凹凸面3は、Cassieモードによる撥液性が十分に発揮されるようなものであればよく、例えば一次凹凸面3における単位面積当たりの凸部頂部の面積で表される一次凹凸比Φs’が0.05以上、好ましくは0.1以上の範囲にあることが好ましく、さらに、成形或いは機械的強度等の観点から、一次凹凸比Φs’は0.8以下、特に0.5以下の範囲にあることが好ましい。
さらに、一次凹凸面3における深さ(凸部の高さ)dは、5〜200μm、特に10〜50μmの範囲にあることが好適である。
上述した一次凹凸面3の形状は特に制限されないが、一次凹凸面3の凹部3a内への侵入を効果的に阻止するという観点から、図3に示されているように、凹部3a(凸部3b)が矩形上に形成されていることが好ましい。凹部3aがV字形状のような形態となっていると、液滴10が凹部3a内に入り込みやすくなるからである。
尚、2次凹凸面5は、少なくとも一次凹凸面3の凸部3bの上端に形成されていればよい。
<スタンパ>
上記のような階層構造面1を転写により形成するためのスタンパは、金属等の高剛性且つ高熱伝導性の材料で形成されており、後述する製造方法によっても異なるが、通常、Ni製或いはNi合金製である。また、その賦形面は、上記の階層構造面1が反転した形態を有する。
このようなスタンパを用いての転写法により撥液性面となる階層構造面1を形成することにより、残留歪による寸法変化に起因する撥液性の変化を有効に回避することが可能となる。また、膜形成材料等の他の材料を用いる必要がないため、コスト的にも有利であり、且つ生産性も高い。
例えば、図4を参照して、スタンパ20の賦形面21は、前述した一次凹凸面3を反転した形態の一次凹凸23(凸部23a、凹部23b)を有しており、この一次凹凸23の凹部23bの底面には、前述した二次凹凸面5に対応する微細な二次凹凸25が形成されている。
図4から理解されるように、このスタンパ20を加熱し、上記の賦形面21を、プラスチック成形体の所定の表面(撥液性面とすべき部分)に押し当て、冷却することにより、該プラスチック成形体の表面には、前述した階層構造面1が形成されることとなる。
このようなスタンパ20において、その賦形面21は、前述した階層構造面1を反転した形態を有していることから、一次凹凸23及び微細な二次凹凸25の好適な形態は、階層構造面1の一次凹凸面3及び二次凹凸面5について説明したとおりである。
例えば、一次凹凸23における単位面積当たりの凹部底部の面積で表される一次凹凸比Φsは、0.05〜0.8、好ましくは0.1〜0.5の範囲にあることが好ましい。
また、一次凹凸23における深さdは、5〜200μm、特に10〜50μmの範囲にあることが好適である。
さらに、二次凹凸25の算術平均粗さRaは5nm〜6μm、特に100nm〜1μmの範囲にあればよい。
このような階層構造の賦形面を有するスタンパ20は、各種のプラスチック(例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など)により表面が形成されているプラスチック成形体の表面に、優れた撥液性面を形成することができる。例えば、キャップやスパウト、或いはボトルなどの容器の所定の部位(内容液が注ぎ出される部分)に、この撥液性面を形成することにより、優れた液切れ性を確保でき、このような包装分野での大きな課題である液垂れを有効に防止することができる。
<スタンパの製造>
本発明によれば、上述した構造のスタンパ20は、電鋳法を用いて製造されるが、微細な二次凹凸25を形成するための表面処理加工は、電鋳に供するマスタについて行われる。
この方法では、図5に示されているように、一次凹凸と共に二次凹凸Aが形成されているマスタ100を予め作製しておき、このマスタ100を母型として電鋳を行うことにより、この一次凹凸及び二次凹凸が転写された階層構造面を有するスタンパ20が得られる。即ち、この方法は、スタンパ20を形成するための型材であるマスタに表面処理加工を行って二次凹凸に相当する面Aを形成するため、凹凸の凹んだ部分は表面処理されず、凹凸の凸部が表面処理されることとなる。このことから理解されるように、ブラスト等の表面処理加工により二次凹凸に相当する面Aを形成する際、表面処理される部分に投射材を供給し易いという利点がある。
また、マスタ100を母型として行われる電鋳は、それ自体公知の方法で行われる。例えば、マスタ100の表面を導電処理した後、Ni電鋳やNi合金電鋳などにより、これらの金属乃至合金をマスタ100の表面(一次凹凸及び二次凹凸に相当する粗面Aが形成されている)に電着させることにより行われる。
尚、Ni合金電鋳は、Ni母相に、不純物原子(例えばCo,P,W,Pd、Zn,B,Cr,Mo或いはTi)を合金化したものであり、特にNi−Co合金が好適である。
かかる方法において、上記マスタ100は、以下に述べる一段レジスト或いは二段レジストにより作製される。
1.一段レジスト;
図6を参照して、一段レジスト法では、ガラス基板等の透明基板50を用意し、この透明基板50にフォトレジストを塗布し、レジスト層51を形成する。このレジスト層51の厚みが、前述したスタンパ20が有する一次凹凸23の深さdに相当する。
このレジスト層51に、一次凹凸23に対応するパターンのフォトマスク52を介して紫外光等を照射して露光を行い、光照射部を硬化せしめる。このようにしてレジスト層51に形成された硬化部53が、スタンパ20における一次凹凸23の凹部23bに相当する。
次いで、上記の硬化部53を含め、レジスト層51の全面を表面処理し、二次凹凸に相当する粗面Aを形成する。この表面処理は、フラットな面について行われる為、ブラスト(サンドブラスト)により容易に行うことができる。凹部のような狭い部分に投射材を供給するものではなく、投射材(メディア)を容易に供給することができるからである。
さらに、ブラストに際して用いる投射材の粒径は、ブラストがフラットな面に対して行われるので特に制限はなく平均粒径が1〜100μm程度のものが使用される。投射材の種類としては、その自由度はかなり広く、例えばアランダム、ホワイトアランダム等のアルミナ系の硬質セラミックに加え、その他のセラミック類やスチール等の金属系の粒子なども好適に使用することができる。この態様では、表面処理される面が、金属乃至合金のような硬質材料ではなく、光硬化性樹脂(或いはその硬化物)で形成されているからである。
また、角張った外形を持つアルミナ系メディアでブラスト加工を行うと、レジスト層51の表面には、マイクロクラックやチッピングが発生し、尖った形状の粗面A(二次凹凸)が形成される。このような形状の二次凹凸は、最終的に得られるスタンパ20の賦形面に反映され、例えば、スタンパ20を用いての転写の際、溶融したプラスチックがマイクロクラックにより形成された二次凹凸形状に侵入し、それが引き抜かれることにより、繊毛状の微細な二次凹凸が転写、形成されることとなる。
このようにして硬化部53を含むレジスト51の全面に二次凹凸に相当する粗面Aが形成された後、現像を行い、レジスト層51から非硬化部(光が照射されていない部分)を除去し、硬化部53を残すことにより、目的とするスタンパ100が得られる。
即ち、硬化部53の上端面は、二次凹凸に相当する粗面Aとなっており、このマスタ100を母型として、前述した電鋳を行うことにより、得られるスタンパ20では、硬化部53に対応する凹部23bの底面に二次凹凸25が形成されることとなる。
2.二段レジスト;
二段レジストによりスタンパ20の母型となるマスタ100を作製する場合には、レジスト塗布が2回行われる。
即ち、図7を参照して、前記と同様、ガラス基板等の透明基板50の表面にフォトレジストを塗布し、レジスト層51を形成するが、この方法では、次いで全面露光を行い、レジスト層51の全体を硬化し、レジスト硬化層53を形成する。
このレジスト硬化層53を表面処理し、スタンパ20の二次凹凸25に対応する粗面Aを形成する。この表面処理は、前述した一段レジストと全く同様、サンドブラストにより行われる。
この方法では、上記のような二次凹凸に対応する粗面Aを有するレジスト硬化層53上に、さらにレジストが塗布され、2層目のレジスト層60が形成される。このレジスト層60について、一次凹凸23に対応するパターンのフォトマスク63を介して紫外光等を照射して露光を行い、光照射部を硬化せしめる。このようにして2層めのレジスト層60に形成された硬化部65が、スタンパ20における一次凹凸23の凹部23bに相当するものであり、この露光後、現像を行うことにより、粗面A上に一次凹凸23の凹部23bに対応する凸部(硬化部65に相当)を備えた母型70が得られる。
従って、この母型70を用いて電鋳(例えばNi電鋳)を行うことにより、凸部72を備えたマスタ100を得ることができる。
即ち、このマスタ100では、凸部72は、スタンパ20における一次凹凸23の凹部23bに対応するものであり、その先端には、前述したスタンパ20における二次凹凸25に対応する粗面Aが転写された形態となっている。
このような方法によりスタンパ20形成用マスタ100を形成するときには、レジスト硬化層53について二次凹凸25を形成するための表面処理(サンドブラスト)を行うため、工程数が多いながら、二次凹凸25の粗さの調整が容易であるという利点がある。
上述した一段レジスト或いは二段レジストにより形成されたスタンパ形成用マスタ100は、先に述べたように、これを電鋳に供することにより、目的とする階層構造を有する賦形面を備えたスタンパ20が得られる。
本発明によれば、かかるスタンパ20を転写用治具として用いての転写により、種々の形態のプラスチック成形体(例えばプラスチックボトルやキャップ)の表面の所望の位置に、撥液性に優れ、持続した液切れ性を示す撥液性面を形成することができる。
以下に示す実験は、本発明により製造されたスタンパを用いての転写により形成される階層構造の面が優れた撥液性を有していることを示すためのものである。
<実験例>
石英ガラス基板の上にフォトレジスト(日本化薬KMPR)をスピンコートし、レジスト層を得た。
このレジスト層に、一次凹凸に対応するパターンが描画されたフォトマスクを介し、紫外線光を露光し、露光部を硬化させた。
続いて、レジスト層全面をブラスト加工し、二次凹凸を形成した。
さらに、レジスト層の現像処理を行い、硬化していない非露光部を除去し、階層構造を持つマスタを製作し、このマスタを型にしてNi電鋳を行うことにより、以下、賦形面に階層構造を持つスタンパを得た。
(一次凹凸)
φs:0.2
凹部底面幅:20μm
ピッチ:100μm
パターン深さ:30μm
(二次凹凸)
Ra:500nm
一方、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマーJ246M)を材料に射出成形を行い、縦58mm×横58mm×厚さ3mmの基板を得た。
該基板の表面に対し、前記スタンパを250℃に加熱した状態で押し付け、スタンパの賦形面に形成された階層構造を転写した。
続いて、アルミ製冷却板をスタンパ裏面に押し付け、スタンパ温度30℃まで冷却した後、該基板をスタンパより離型して、転落性及び繰り返し転落性評価用サンプル基板を得た。
その後、基板表面に転写された一次凹凸をデジタルマイクロスコープ(キーエンスVHX1000)で測定し、二次凹凸を白色干渉計(ZYGO社NewView7300)にて、対物レンズ50倍、接眼レンズ1.5倍、低周波側のカットオフ値λc=17.6μm、高周波側のカットオフ値λs=441nmの条件で測定したところ、以下の形状であった。
(一次凹凸)
φs’:0.2
凸部頂幅:20μm
ピッチ:100μm
パターン深さ:30μm
(二次凹凸)
Ra:800nm
形状:繊毛状
次に、該基板を用いて転落性の評価を行った。
該基板の上に、実液(純水、醤油、及び、中濃ソース)を滴下し、成形体を徐々に傾けて行った際の、液滴が転落を開始した時の角度である転落角を測定した。なお、滴下量及び測定するための装置は、以下の通りであった。
滴下量:
純水: 17mg
醤油: 14mg
中濃ソース: 16mg
装置: 協和界面科学社製DropMaster700
次に、繰り返し転落性の評価を行った。
該基板を30°に傾けて固定し、実液(上記の純水、醤油、中濃ソース)を繰り返し滴下した。なお、液滴が成形体に固着し、転落しなくなった時の滴下回数がn(nは自然数。)のとき、繰り返し転落可能回数をn−1とした。
評価結果を表1に記載した。
Figure 2015080931
20:スタンパ
23:一次凹凸
25:二次凹凸
100:マスタ
A:二次凹凸に相当する粗面

Claims (3)

  1. フォトリソグラフィー法により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を備えた階層構造面を有するスタンパ形成用マスタを作製し、
    該マスタを用いての電鋳法により、一次凹凸と該一次凹凸の凹部底面に微細な二次凹凸を有する階層構造面を賦形面とするスタンパを得ることを特徴とするスタンパの製造方法。
  2. 前記スタンパ形成用マスタは、下記工程;
    透明基板の表面にフォトレジストを塗布する工程;
    一次凹凸に対応するマスクを介しての光照射により、露光を行い、該フォトレジストの光照射部を硬化する工程;
    前記露光後に、ブラスト処理を行い、フォトレジスト表面に二次凹凸に対応する微細な凹凸を形成する工程;
    ブラスト処理後に現像を行い、フォトレジストの未硬化部分を除去することにより、残存するフォトレジスト硬化部により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を有する階層構造面を形成する工程;
    を経て作製される請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記スタンパ形成用マスタは、下記工程;
    透明基板の表面にフォトレジストを塗布し、次いで該フォトレジストの全面に光を照射して下地レジスト硬化層を形成する工程;
    前記下地レジスト硬化層の表面をブラスト処理して二次凹凸に対応する微細な凹凸を形成する工程;
    ブラスト処理後、前記下地レジスト硬化層の表面に、フォトレジストを塗布し、一次凹凸に対応するマスクを介しての光照射による露光及び現像を行い、該下地レジスト硬化層表面に、一次凹凸に対応する凹凸を形成する工程;
    前記一次凹凸が形成された下地レジスト硬化層を下地としての電鋳法により、一次凹凸と該一次凹凸の凸面に微細な二次凹凸を備えた階層構造面を有するスタンパ形成用マスタとする工程;
    を経て作製される請求項1に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016046346A (ja) * 2014-08-21 2016-04-04 株式会社東芝 テンプレート、テンプレート形成方法および半導体装置の製造方法

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JP2016046346A (ja) * 2014-08-21 2016-04-04 株式会社東芝 テンプレート、テンプレート形成方法および半導体装置の製造方法

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