以下、本発明の実施形態について説明する。なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の要部構成を示す概略側面図である。
同図に示されるように、画像形成装置10には、記録媒体である記録用紙Pを給紙搬送する給紙搬送部12が設けられている。この給紙搬送部12の記録用紙Pの搬送方向下流側には記録用紙Pの搬送方向に沿って、記録用紙Pの記録面(表面)に処理液を塗布する処理液塗布部14、記録用紙Pの記録面に画像を形成する画像形成部16、記録面に形成された画像を乾燥させるインク乾燥部18、乾燥した画像を記録用紙Pに定着させる画像定着部20、及び画像が定着した記録用紙Pを排出部22へ搬送する排出搬送部24が設けられている。
給紙搬送部12は、記録用紙Pを収容した収容部26を備えている。また、収容部26にはモータ30が設けられている。更に、収容部26には給紙装置(図示省略)が設けられており、当該給紙装置によって記録用紙Pは収容部26から処理液塗布部14へ送り出される。
なお、給紙搬送部12は、例えばA4といった比較的家庭やオフィス等で用いられることの多い用紙サイズから、A1、A2といった比較的印刷業界等で用いられることの多い用紙サイズまでの記録用紙Pを搬送する。
処理液塗布部14は、中間搬送ドラム28A及び処理液塗布ドラム36を備えている。中間搬送ドラム28Aは、収容部26と処理液塗布ドラム36との間で、処理液塗布ドラム36と接触する位置に配置され、中間搬送ドラム28Aの回転軸とモータ30の回転軸とにベルト32が架け渡されている。従って、モータ30の回転駆動力がベルト32を介して中間搬送ドラム28Aに伝達されることにより、中間搬送ドラム28Aは円弧矢印A方向に回転する。
また、中間搬送ドラム28Aには、記録用紙Pの先端部を挟み込み記録用紙Pを保持する保持部材34が設けられている。従って、収容部26から処理液塗布部14へ送り出された記録用紙Pは、保持部材34を介して中間搬送ドラム28Aの周面に保持され、中間搬送ドラム28Aの回転によって処理液塗布ドラム36へ搬送される。
なお、後述する中間搬送ドラム28B、28C、28D、28E、処理液塗布ドラム36、画像形成ドラム44、インク乾燥ドラム56、画像定着ドラム62、及び排出搬送ドラム68についても、中間搬送ドラム28Aと同様に保持部材34が設けられている。そして、この保持部材34によって、記録用紙Pの搬送方向上流側のドラムから下流側のドラムへ記録用紙Pの受け渡しが行われる。
処理液塗布ドラム36は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
中間搬送ドラム28Aによって搬送された記録用紙Pは、処理液塗布ドラム36の保持部材34を介して処理液塗布ドラム36に受け渡され、処理液塗布ドラム36の周面に保持された状態で搬送される。
処理液塗布ドラム36の上部には、処理液塗布ローラ38が処理液塗布ドラム36の周面に接触した状態で配置されており、処理液塗布ローラ38によって、処理液塗布ドラム36の周面上の記録用紙Pの記録面に処理液が塗布される。なお、上記処理液は、インクと反応して色材(顔料)を凝集し、色材と溶媒を分離促進するものである。
処理液塗布部14により処理液が塗布された記録用紙Pは、処理液塗布ドラム36の回転によって画像形成部16へ搬送される。
画像形成部16は、中間搬送ドラム28B及び画像形成ドラム44を備えている。中間搬送ドラム28Bは、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
処理液塗布ドラム36によって搬送された記録用紙Pは、画像形成部16の中間搬送ドラム28Bの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Bに受け渡され、中間搬送ドラム28Bの周面に保持された状態で搬送される。
回転体としての画像形成ドラム44は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
中間搬送ドラム28Bによって搬送された記録用紙Pは、画像形成ドラム44の保持部材34を介して画像形成ドラム44に受け渡され、画像形成ドラム44の周面に保持された状態で搬送される。
画像形成ドラム44の上方には、画像形成ドラム44の周面に近接して、ヘッドユニット46が配置されている。このヘッドユニット46は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の各々に対応した4つのインクジェット記録ヘッド48を備えている。これらのインクジェット記録ヘッド48は、複数の記録ヘッドモジュールを含んで構成され、複数の記録ヘッドモジュールが画像形成ドラム44の周方向に沿って配列されている。そして、処理液塗布部14で記録用紙Pの記録面に形成された処理液層に重なるように、画像形成ドラム44と対向する面に設けられた各記録ヘッドモジュールのノズルから、記録用紙Pの搬送方向と直交する方向(記録用紙Pの幅方向)にインク滴を吐出することにより画像を形成する。
また、画像形成ドラム44は、ロータリエンコーダ52を備えている。画像形成装置10は、ロータリエンコーダ52が出力するクロックを基準にして、インクジェット記録ヘッド48のノズルからインク滴を吐出するタイミングクロックを生成する。
画像形成部16により記録面に画像が形成された記録用紙Pは、画像形成ドラム44の回転によってインク乾燥部18へ搬送される。
インク乾燥部18は、中間搬送ドラム28C及びインク乾燥ドラム56を備えている。中間搬送ドラム28Cは、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
画像形成ドラム44によって搬送された記録用紙Pは、中間搬送ドラム28Cの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Cに受け渡され、中間搬送ドラム28Cの周面に保持された状態で搬送される。
インク乾燥ドラム56は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
中間搬送ドラム28Cによって搬送された記録用紙Pは、インク乾燥ドラム56の保持部材34を介してインク乾燥ドラム56に受け渡され、インク乾燥ドラム56の周面に保持された状態で搬送される。
インク乾燥ドラム56の上方には、インク乾燥ドラム56の周面と対向する位置に、温風ヒータ58が配置される。インク乾燥部18では、温風ヒータ58による温風によって、記録用紙Pに形成された画像における余分な溶媒を除去する。
そして、インク乾燥部18により記録面の画像が乾燥された記録用紙Pは、インク乾燥ドラム56の回転によって画像定着部20へ搬送される。
画像定着部20は、中間搬送ドラム28D及び画像定着ドラム62を備えている。中間搬送ドラム28Dは、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
インク乾燥ドラム56によって搬送された記録用紙Pは、中間搬送ドラム28Dの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Dに受け渡され、中間搬送ドラム28Dの周面に保持された状態で搬送される。
画像定着ドラム62は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
中間搬送ドラム28Dによって搬送された記録用紙Pは、画像定着ドラム62の保持部材34を介して画像定着ドラム62に受け渡され、画像定着ドラム62の周面に保持された状態で搬送される。
画像定着ドラム62の上部には、内部にヒータを有する定着ローラ64が画像定着ドラム62の周面と接触した状態で配置されている。画像定着ドラム62の周面に保持された記録用紙Pは、定着ローラ64と圧接した状態でヒータによって加熱されると、記録用紙Pの記録面に形成された画像の色材が記録用紙Pに融着し、記録用紙Pの記録面上に画像が定着する。画像定着部20により画像が定着された記録用紙Pは、画像定着ドラム62の回転によって排出搬送部24へ搬送される。
排出搬送部24は、中間搬送ドラム28E及び排出搬送ドラム68を備えている。搬出搬送ドラム68の上方には、画像読取装置50が配置される。中間搬送ドラム28Eは、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
そして、画像読取り装置50によって記録用紙Pの記録面に形成された画像の記録情報を読み取り、後述する制御装置60へ読み取った画像の色情報を出力して、記録用紙Pの記録面に形成した画像に、色ムラ等の欠陥がないか否か監視する。なお、ここでいう色情報とは、画像の色を一意に指定する情報である。
画像定着ドラム62によって搬送された記録用紙Pは、中間搬送ドラム28Eの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Eに受け渡され、中間搬送ドラム28Eの周面に保持された状態で搬送される。
排出搬送ドラム68は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転に伴って回転する。
中間搬送ドラム28Eによって搬送された記録用紙Pは、排出搬送ドラム68の保持部材34を介して排出搬送ドラム68に受け渡され、排出搬送ドラム68の周面に保持された状態で排出部22へ搬送される。
なお、本実施形態に係る記録媒体の素材は記録用紙Pのような紙に限られず、例えば、中間搬送ドラム28A〜28E等のドラムの周面に沿って搬送されるシート状の素材で、且つ、記録媒体の記録面にインクが定着するような素材であればよい。
以上、説明した記録用紙Pへの一連の画像形成処理は、例えば、画像形成部16に設けられた制御装置60によって制御される。
こうした画像形成動作を実施する本実施形態に係る画像形成装置10の制御装置60は、図2に示すように、例えばコンピュータ60として構成される。コンピュータ60は、CPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read Only Memory)602、RAM(Random Access Memory)603、不揮発性メモリ604、及び入出力インターフェース(I/O)605がバス606を介して各々接続された構成であり、I/O605には給紙搬送部12、処理液塗布部14、画像形成部16、インク乾燥部18、画像定着部20、排出部22、排出搬送部24、インクジェット記録ヘッド48、画像読取装置50、温風ヒータ58、及び通信回線I/F66が接続され、各々コンピュータ60と相互にデータ通信を行う。
通信回線I/F66は図示しない通信回線に接続され、当該通信回線に接続されている図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置と、相互にデータ通信を行うためのインターフェースである。この図示しない通信回線は有線回線及び無線回線の何れであってもよく、例えば、図示しない端末装置から、原画像の色情報を含む原画像情報を受け付ける。
なお、原画像情報の受け付け手段はこれに限らず、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の着脱可能な記憶媒体に記憶される原画像情報を受け付けるようにしてもよいことは言うまでもない。また、制御装置60の設置場所は画像形成部16に限られず、例えば、処理液塗布部14や画像読取装置50の内部等、設置スペースがある場所であれば何れの場所に設けてもよい。
次に、画像読取装置50の作用について詳細に説明する。
インクジェット記録ヘッド48を搭載した画像形成装置10では、記録ヘッドモジュールの取り付け状態、記録ヘッドモジュールのノズル配置角度、ノズルにおけるインクのつまり、及びインクドロップ量の変動等の関係から、記録用紙Pの記録面に形成した画像に、インクが着弾しなかった部分が白スジとなって現れるかすれや、着弾インク量の変動などによる色ムラ等が発生する場合がある。
従って、本実施形態に係る画像形成装置10は画像読取装置50を備え、記録用紙Pに形成された画像の色情報と、原画像の色情報とが予め定めた範囲を超えて異なる場合に、次回の画像形成の際、記録用紙Pに形成される画像の色情報が原画像の色情報に近づくように、記録用紙Pに形成された画像の色情報と原画像の色情報との差分に基づいて、記録用紙P上の色情報が異なる箇所にインク滴を吐出したノズルに対応する画像の色情報を予め補正したり、ノズルから吐出するインク滴の大きさを変更したりする等により、記録用紙Pに形成される画像品質の維持を図っている。
図3は、画像読取装置50の要部構成を示した概略図である。図3(A)は、画像読取装置50を排出搬送ドラム68に対向した面から眺めた概略図であり、図3(B)は、画像読取装置50の概略側面図である。
画像読取装置50は図3に示すように、例えば、記録用紙Pの記録面を照射するキセノンランプ40A、40B、及び40C(以下、キセノンランプを個々に区別して説明する必要がない場合には、単にキセノンランプ40という)、キセノンランプ40から照射された光を、記録用紙Pの記録面に反射する反射ミラー42A、42B、及び42C(以下、反射ミラーを個々に区別して説明する必要がない場合には、単に反射ミラー42という)、記録用紙Pからの反射光を通過させるスリット54、並びにスリット54から入光した記録用紙Pからの反射光を受光する読取りレンズ78及びCCDセンサ70を含んで構成される。
本実施形態に係るキセノンランプ40A、40B、及び40Cは、スリット54を挟んで記録用紙Pの搬送方向に千鳥状に配置されている。キセノンランプ40A、40B、及び40Cを千鳥状に配置するのは、A1やA2といった、記録用紙Pの幅方向に長尺なサイズの記録用紙Pが排出搬送ドラム68に搬送された場合であっても、記録用紙Pの全面に光を照射するためである。このように複数のキセノンランプ40を千鳥状に配置して光源を構成したのは、各キセノンランプ40に汎用品サイズのキセノンランプを用いたためである。この場合、本実施形態に係る画像形成装置10用に、画像形成装置10が対応している最大サイズの記録用紙Pの幅以上の長さを備えたキセノンランプを製造して適用するより、部品コストが低減する。
なお、画像読取装置50の隣り合うキセノンランプ40の端部は、重なり合うように配置されている。すなわち、キセノンランプ40Aとキセノンランプ40Bの端部、及びキセノンランプ40Bとキセノンランプ40Cの端部は、スリット54を挟んで記録用紙Pの幅方向の重複する位置に配置されている。これは、白色LED光源40により発せられる光を隙間なく均一にして、記録用紙Pの幅方向に同程度の明るさを有する光で記録用紙Pを照射するため、すなわちキセノンランプ40による照射ムラを低減するためである。
しかし、キセノンランプ40A、40B、及び40Cの配置はこれに限られず、必ずしも隣り合うキセノンランプ40の端部を重ね合わせる必要はない。また、光源を構成するキセノンランプ40の本数は3本に限られず、2本以上を組み合わせて光源とする構成であれば、何れの構成を用いるようにしてもよい。
一方、反射ミラー42A、42B、及び42Cは、スリット54を挟んで記録用紙Pの幅方向に、キセノンランプ40A、40B、及び40Cと各々対応するように配置されている。そして、反射ミラー42Aはキセノンランプ40Aから照射される光を反射し、反射ミラー42Bはキセノンランプ40Bから照射される光を反射し、反射ミラー42Cはキセノンランプ40Cから照射される光を反射して、記録用紙Pの記録面にキセノンランプ40からの光を照射する。
また、反射ミラー42Aは、白色LED光源40Bの端部を目隠しし、反射ミラー42Bは白色LED光源40Aと40Cの端部を目隠しし、反射ミラー42Cは白色LED光源40Bの端部を目隠しすることで、記録用紙Pの記録面に照射する白色LED光源からの光を一つの白色LED光源からのものとすることで、記録面に照射される光量を均一化している。
以上のような構成を備えた画像読取装置50では、図3(B)に示すように、排出搬送ドラム68の周面に保持された記録用紙Pは、キセノンランプ40から直接照射される光である直接光、及び反射ミラー42を介して間接的に照射されるキセノンランプ40からの光である間接光により照射される。記録用紙Pを直接光及び間接光で照射した場合、直接光及び間接光の何れか一方の光で記録用紙Pを照射する場合と比較して、キセノンランプ40による記録用紙Pの照射幅がより広くなることから、記録用紙Pがムラなく照射される。
CCDセンサ70は、スリット54を介して、キセノンランプ40によって照射された記録用紙Pからの反射光を受光する位置に配置される。更に、画像形成装置10で使用される最大サイズの記録用紙Pの幅方向の長さ以上の長さに亘って、記録面の画像をCCDセンサ70にて撮像できるように読取りレンズ78が配置される。
CCDセンサ70は、記録用紙Pの幅方向に一列に並べられた複数の撮像素子の集合体であり、撮像素子毎に記録用紙Pからの反射光のスペクトル分布に基づいて記録用紙Pに形成された画像の色情報を検出して、記録用紙Pに形成された画像の色情報をRGB値として制御装置60に出力する。
ここで、撮像素子の1つ1つを画素といい、CCDセンサ70は、各撮像素子によって画像を画素単位に分解して、画素毎に記録用紙Pに形成された画像の色情報を検出し、一回の撮像で記録用紙Pの幅方向における画像の色情報を1ライン分検出する。なお、本実施形態に係るCCDセンサ70は、画像の色情報をRGB値として出力するが、例えばYMC値等、他の予め定めた色成分の値として出力するようにしてもよい。
一般に、画像読取装置50はレンズの周辺減光による影響や、CCDセンサ70に含まれる各撮像素子の反射光の強度に対する感度特性のばらつき等が見られる場合があるため、画像読取装置50で同じ色情報を有する画像を読み取った場合であっても、CCDセンサ70から出力される各画素のRGB値が異なる場合がある。
従って、画像読取装置50はシェーディング補正を実施する。シェーディング補正とは、CCDセンサ70で同じ色情報を有する画像からの反射光を受光した際に、各画素におけるRGB値のばらつきを低減するための補正処理である。
シェーディング補正としては、白色板を用いた白色シェーディング補正が知られており、本実施形態に係る画像読取装置50においても、記録用紙Pに形成された画像の色情報を読み取る前のタイミングで、各画素のRGB値のばらつきを低減するため白色シェーディング補正が実施される。
白色シェーディング補正とは、図3(B)に示すように、予め定めた濃度の白色に塗布された白色板72を、キセノンランプ40による直接光及び間接光が照射される位置Fへ、図示しない駆動手段によって移動させ、CCDセンサ70で白色板72からの反射光を受光して、画素毎に、画素におけるRGB値が白色板72の色情報に対応した予め定めたRGB値となるような補正値を求め、当該補正値に基づいて各画素のRGB値を補正する補正処理である。
従って、キセノンランプ40A、40B、及び40Cが共に新品の場合に、例えば図4(A)に示すような予め定めた濃度で塗り潰された複数の領域80、82、84、及び86が形成された記録用紙P(テストチャート88A)を画像読取装置50で読み取った際、白色シェーディング補正の効果により、図4(B)に示すように、何れの領域においても、各画素におけるCCDセンサ70のB成分出力値のばらつきが抑制される。
なお、ここでは一例として、領域80は濃度0%の黄色(Y色)、すなわち有彩色による塗り潰しが行われていない白色領域、領域82は濃度50%のY色で塗り潰された領域、領域84は濃度80%のY色で塗り潰された領域、領域86は濃度100%のY色で塗り潰された領域とする。
また、図4(B)の横軸は画素番号を示している。ここで画素番号とは、記録用紙Pの幅方向に長尺状のCCDセンサ70の一端の画素から他端の画素に向けて、各画素に順次割り当てた番号であり、一例として、CCDセンサ70の各画素には、画素番号1〜21300が割り当てられている。一方、図4(B)の縦軸は、各画素におけるB成分出力値を示している。そして、グラフ80Aは領域80の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値、グラフ82Aは領域82の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値、グラフ84Aは領域84の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値、グラフ86Aは領域86の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値を示している。
次に、例えば、キセノンランプ40A、40Cが共に新品、キセノンランプ40Bが中古品である場合に、画像読取装置50でテストチャート88Aを読み取った際の各画素におけるB成分出力値について説明する。
図5は、キセノンランプ40の経年劣化に伴う分光特性の変化を示したグラフである。図5の横軸は、キセノンランプ40から発せられる光の波長を示し、縦軸はキセノンランプ40から発せられる光のうち、最も強い光の強度を1.0とした場合の相対強度を示している。また、特性74は、新品のキセノンランプ40の分光特性を示し、特性76は、使用し始めてから予め定めた時間が経過した後の中古品のキセノンランプ40の分光特性を示している。
図5からわかるように、約450nmの波長を中心として、新品のキセノンランプ40と比べて中古品のキセノンランプ40の相対強度がより低くなる傾向が認められる。450nm前後の波長は、主に青色(B色)の可視光を示す波長である。B色の相対強度の変化は、B色の補色であるY色の色味に影響を与えることが知られており、同じ濃度のY色で塗り潰された領域であっても、中古品のキセノンランプ40を照射して読み取った濃度の方が、新品のキセノンランプ40を照射して読み取った濃度よりも濃い値を示すことになる。
一方、白色シェーディング補正には、キセノンランプ40による記録用紙Pの照射ムラに伴う各画素のRGB値のばらつきを低減する効果、すなわちグレースケールの変動に対する補正効果は認められるが、各キセノンランプ40の分光特性の相違に伴う各画素のRGB値のばらつきを低減する効果が認められない場合がある。
従って、白色シェーディング補正後にテストチャート88Aを読み取ったとしても、キセノンランプ40A及び40Cと、キセノンランプ40Bの分光特性の相違により、図6に示すように、キセノンランプ40Bからの光が照射される位置における画像の色情報を検出する画素(以下、キセノンランプ40Bに対応した画素という)のB成分出力値と、キセノンランプ40A及び40Cからの光が照射される位置における画像の色情報を検出する画素(以下、キセノンランプ40A、40Cに対応した画素)のB成分出力値と、のばらつきは低減されずに残ったままになることがある。
なお、図4(B)と同様に、図6の横軸は画素番号を示し、縦軸は各画素におけるB成分出力値を示している。そして、グラフ80Bは領域80の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値、グラフ82Bは領域82の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値、グラフ84Bは領域84の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値、グラフ86Bは領域86の濃度を読み取った際の各画素におけるB成分出力値を示している。
グラフ80Bの値のばらつきが他のグラフ82B、84B、及び86Bの値のばらつきよりも低減されているのは、グラフ80Bは無彩色である白色の領域80の濃度を読み取った際のグラフであるため、キセノンランプ40の分光特性の相違による影響を受けず、白色シェーディング補正により濃度のばらつきが補正されるためである。
図7は、白色シェーディング補正後、図4(A)に示したテストチャート88Aの読み取り結果に基づいて、各画素のRGB値のうち、Y色の色味を決定するB値のばらつきを低減するY色シェーディング補正を実施した結果に従って記録用紙Pに形成した、テストチャート88Bを示した図である。
既に説明したように、キセノンランプ40Bに対応した画素のB成分出力値は、キセノンランプ40A、40Cに対応した画素のB成分出力値よりも低くなるため、Y色シェーディング補正によりB値のばらつきが低減される。すなわち、キセノンランプ40Bに対応した画素のB成分出力値が、キセノンランプ40A、40Cに対応した画素のB成分出力値に近づくように補正される。その結果、テストチャート88Bに示すように、キセノンランプ40Bからの光が照射される位置におけるY色の塗り潰し領域である領域90、92、及び94の各々の濃度は、テストチャートに用いられる予め定めた濃度である50%、80%、及び100%よりも低い濃度で塗り潰されることになる。
このように、複数のキセノンランプ40の中に、新品のキセノンランプ40と中古品のキセノンランプ40とが混在している場合には、記録用紙Pに形成される画像の色ムラを低減するため、各画素におけるRGB値のばらつきを低減しようとY色シェーディング補正することで、かえって記録用紙Pに形成される画像の色ムラの度合いが高くなるという状況が発生する。
そこで以下では、図8を参照して、新品のキセノンランプ40と中古品のキセノンランプ40とが混在している光源が用いられている画像読取装置50であっても、各画素のRGB値のばらつきを低減し、画像の読取精度を向上させる画像読取装置50の作用について詳細に説明する。
図8は、制御装置60のCPU601により実行される、画像読取装置50のシェーディング補正に関する画像読取プログラムの流れを示すフローチャートである。当該画像読取プログラムは、例えば、電源投入直後のタイミングや、画像形成回数が予め定めた回数に達する毎のタイミング等、ユーザにより指定された原画像情報に対応した画像形成を実施する前のタイミングで、CPU601により実行される。
なお、画像読取プログラムは、ROM602に予めインストールされて提供される形態に限られず、CD−ROMやメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、通信回線I/F66を介して有線又は無線により配信される形態等であってもよい。
まず、ステップS10では、画像読取装置50を制御して白色シェーディング補正を実施し、キセノンランプ40の照射ムラによって発生するCCDセンサ70の各画素のRGB値のばらつきを補正する。
ステップS20では、YMCKの各インク色のうち、キセノンランプ40の経年劣化により濃度の読取精度が最も低下するY色を用いて記録用紙Pに形成されたテストチャート88Aを画像読取装置50で読み取る。
具体的には、排出搬送ドラム68の周面に保持された状態で搬送されるテストチャート88Aが、排出搬送ドラム68と画像読取装置50とで形成されたギャップを通過する際に、キセノンランプ40から光を照射し、領域80、82、84、及び86における各々の色情報を、記録用紙Pの幅方向にそれぞれ1ライン分読み取るようにCCDセンサ70を制御する。そして、CCDセンサ70によって読み取った領域80〜領域86毎の1ライン分の各画素のRGB値を、例えばRAM603の予め定めた領域に記憶する。
ステップS30では、まず、テストチャート88Aの領域82〜領域86のうちで、最も濃度が高い領域86の色情報を補正基準領域として選択し、キセノンランプ40Aに対応した画素のB成分出力値の平均値、キセノンランプ40Bに対応した画素のB成分出力値の平均値、及びキセノンランプ40Cに対応した画素のB成分出力値の平均値を各々算出する。
この場合、不揮発性メモリ604の予め定めた領域には、キセノンランプ40A、40B、及び40Cの各々に対応した画素を特定するための光源領域対応画素情報が予め記憶されているものとする。すなわち、画素番号1〜画素番号G1の範囲内の画素はキセノンランプ40Aに対応した画素、画素番号G2〜画素番号G5の範囲内の画素はキセノンランプ40Bに対応した画素、画素番号G6〜画素番号21300の範囲内の画素はキセノンランプ40Cに対応した画素といった情報が不揮発性メモリ604の予め定めた領域に予め記憶されている。従って、光源領域対応画素情報に基づいて、キセノンランプ40A、40B、及び40Cの各々に対応した画素におけるB成分出力値の平均値が算出される。また、領域82〜領域86のうちで、どの領域が最も濃度が高い領域であるかを示す情報は、例えば、不揮発性メモリ604の予め定めた領域に予め記憶されているものとする。
なお、領域82〜領域86の中から補正基準領域として領域86を選択したのは、より濃度が高い領域ほど、領域内の色ムラが低減するという傾向が見られるため、後述する補正の基準値となる差分ΔEを算出する領域として好ましいからである。
次に、こうして算出した平均値に基づいて、補正基準領域における基準色成分値を算出する。ここで基準色成分値とは、例えば、キセノンランプ40A、40B、及び40Cの各々に対応した画素毎のB成分出力値の平均値のうち、最大の平均値をいう。
なお、本実施形態の場合、Y色で形成されたテストチャート88Aを画像読取装置50で読み取るため、基準色成分値をB成分出力値の平均値に基づいて算出したが、シアン色で形成されたテストチャート88Aを画像読取装置50で読み取る場合には、基準色成分値をシアン色の補色であるR成分出力値の平均値に基づいて算出すればよい。また、マゼンタ色で形成されたテストチャート88Aを画像読取装置50で読み取る場合には、基準色成分値をマゼンタ色の補色であるG成分出力値の平均値に基づいて算出すればよい。
そして、ステップS20で読み取った領域86の色情報を示す各画素のB成分出力値と、基準色成分値との差分ΔEを画素毎に算出して、例えば、RAM601の予め定めた領域に記憶する。この際、例えば、領域86の色情報を示す画素のB成分出力値が基準色成分値以下の場合には、差分ΔEの符号をプラスにし、領域86の色情報を示す画素のB成分出力値が基準色成分値より大きい場合には、差分ΔEの符号をマイナスに設定する。
ステップS40では、ステップS30で画素毎に算出した基準色成分値との差分に基づいて、ステップS20で読み取った、補正基準領域の濃度以下のY色濃度を有する領域82及び領域84の色情報を補正する。
例えば、まず、領域82の色情報を示す各画素のB成分出力値に、領域86の出力値に対する領域82の出力値の割合に応じて各画素における差分ΔEを比例配分した値を加算する。具体的には、領域80のB成分出力値をB4、領域82の最大B成分出力値をB3、領域86の基準色成分値をB1とすると、領域82の色情報を示す各画素のB成分出力値に対して、それぞれ(B4−B3)/(B4−B1)×ΔEの値が加算される。
今、B1=50、B3=150、及びB4=250であったとして上式を計算すると、0.5×ΔEの値が加算される。
同様に領域84の最大B成分出力値B2が90であれば、領域84の色情報を示す各画素のB成分出力値に対して、0.8×ΔEが加算される。
図9は、ステップS40での処理を図示したものである。
ここで、図9(A)のグラフは、白色シェーディング補正後に、画像読取装置50でテストチャート88Aを読み取った際の領域80、82、84、及び86における各画素のB成分出力値を示したグラフの一例である。なお、B成分出力値の一例として、B1=50、B2=90、B3=150、及びB4=250であるとする。
また、画素番号1〜画素番号G1の範囲内の画素はキセノンランプ40Aに対応した画素、画素番号G2〜画素番号G5の範囲内の画素はキセノンランプ40Bに対応した画素、画素番号G6〜画素番号21300の範囲内の画素はキセノンランプ40Cに対応した画素である。
図9(A)において、画素番号G2における差分ΔEをΔE1とする。この場合、画素番号G2の画素における領域82のB成分出力値に対して、0.5×ΔE1が加算される。また、画素番号G2の画素における領域84のB成分出力値に対しては、0.8×ΔE1が加算される。
一方、画素番号G4における差分ΔEをΔE2とする。この場合、画素番号G4の画素における領域82のB成分出力値に対して、0.5×ΔE2が加算される。また、画素番号G4の画素における領域84のB成分出力値に対しては、0.8×ΔE2が加算される。
このようにして、基準色成分値より低い色成分値が検出された画素番号G2から画素番号G5までの各画素において検出された、領域82及び領域84の色情報を示すB成分出力値に、領域86の基準色成分値に対する領域82又は領域84の最大B成分出力値の割合に応じた補正値が加算されることにより、キセノンランプ40Bの分光特性の影響によるB成分出力値が補正される。
なお、基準色成分値よりも高い色成分値が検出された画素については、差分ΔEの符号がマイナスに設定されていることから、濃度に応じた補正値を加算することで、当該濃度における画素のB成分出力値は低くなるように補正される。
また、本実施形態では領域84の濃度を80%として説明したが、補正基準領域である領域86の濃度と同じ100%の濃度であっても、既に説明した処理に従って、領域84のB成分出力値が補正されることは言うまでもない。
このように、テストチャート88Aの色情報を読み取り、各濃度における画素のB成分出力値を予め補正した後、Y色シェーディング補正を実施する。
ステップS50では、ステップS30で算出した各画素における差分ΔEの絶対値のうち、警告通知差分以上の値を有する差分ΔEが存在するか否かを画素毎に判定し、否定判定の場合には、本画像読取プログラムを終了する。一方、肯定判定の場合には、ステップS60に移行する。
なお、警告通知差分とは、新品のキセノンランプ40を用いた場合に、CCDセンサ70の画素で検出されるB成分出力値と、経年劣化により交換を要するものと考えられるキセノンランプ40を用いた場合に、CCDセンサ70の画素で検出されるB成分出力値との差分を示したものであり、画像読取装置50の実機による実験や画像読取装置50の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により定められ、例えば、不揮発性メモリ604の予め定めた領域に予め記憶されている。
従って、差分ΔEが警告通知差分以上の値となっている画素が存在する場合には、当該画素が読み取っている記録用紙Pの位置を照射しているキセノンランプ40が、経年劣化により交換を要する状態となっていると考えられる。
従って、ステップS60では、例えば、図示しない画像形成装置10のディスプレイ等に交換を要するキセノンランプ40を指定した上で、キセノンランプ40の交換を促すメッセージを表示する。
なお、キセノンランプ40の交換を促す方法は、図示しない画像形成装置10のディスプレイ等に文字として表示する方法以外に限られず、例えば音声で通知する方法や、ランプの点滅又は点灯で通知する方法等であってもよい。また、通信回線I/F66を介して、図示しない通信回線に接続されている図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置に通知するようにしてもよい。
図9(B)は、本実施形態に係る画像読取プログラムを実施した後に、画像形成装置10で形成したテストチャート88Cを示した図である。
図9(B)によれば、キセノンランプ40A及び40Cと分光特性の異なるキセノンランプ40Bによって照射される範囲の濃度が、キセノンランプ40A及び40Cによって照射される範囲の濃度より低くなる現象が解消されている。
このように本実施形態では、白色シェーディング補正後に画像読取装置50でテストチャート88Aを読み取り、テストチャート88Aのうち最も高い濃度で塗り潰されている領域を補正基準領域として選択し、補正基準領域の色情報を示す各画素の色成分値と、基準色成分値との差分ΔEに基づいて、補正基準領域以外の領域の色情報読取値を補正した上で、Y色シェーディング補正を実施した。これにより、画像読取装置50に設けられた複数のキセノンランプ40の分光特性が異なる場合であっても、画像の読取精度が向上する。
なお、図8のステップS20の処理では、テストチャート88Aの領域80、82、84、及び86における各々の色情報を記録用紙Pの幅方向にそれぞれ1ライン分読み取った値を、そのまま各画素のRGB値としてRAM603の予め定めた領域に記憶したが、CCDセンサ70で読み取った各領域の色情報に対して移動平均をとった値を各画素のRGB値としてRAM603の予め定めた領域に記憶するようにしてもよい。
すなわち、移動平均の算出対象である画素(注目画素)を含むようにして定めた、記録用紙Pの幅方向に連続する予め定めた個数の画素のRGB値の平均値を注目画素のRGB値として、RAM603の予め定めた領域に記憶する。以上の処理を、記録用紙Pの幅方向に沿ったCCDセンサ70の一端の画素から他端の画素にむけて、順次実施して、算出した移動平均値を各画素のRGB値としてRAM603の予め定めた領域に記憶する。
また、本実施形態では、キセノンランプ40A、40B、及び40Cの各々に対応した画素のB成分出力値の平均値のうち、最大の平均値を基準色成分値としたが、各画素のB成分出力値のなかで最大のB成分出力値を基準色成分値としてもよい。
<第2実施形態>
第1実施形態では、白色シェーディング補正実施後、画像読取装置50でテストチャート88Aを読み取り、画像の濃度に応じてCCDセンサ70の画素の出力値を補正してから、差分ΔEの値に基づいてキセノンランプ40の交換を促すメッセージを通知した。
しかし、差分ΔEが警告通知差分以上の値になっている状況下で、記録用紙Pに形成された画像の読み取りを継続することは、更なる画像の読取精度の低下につながる可能性がある。
従って、本実施形態では、画像の濃度に応じて画素の出力値を補正する前に、キセノンランプ40の交換の可否を判定する形態について説明する。なお、本実施形態に係る画像形成装置10の構成は、第1実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
図10は、制御装置60のCPU601により実行される、画像読取装置50のシェーディング補正に関する画像読取プログラムの流れを示すフローチャートである。当該画像読取プログラムは、例えば、電源投入直後のタイミングや、画像形成回数が予め定めた回数に達する毎のタイミング等、ユーザにより指定された原画像情報に対応した画像形成を実施する前のタイミングで、CPU601により実行される。
なお、画像読取プログラムは、ROM602に予めインストールされて提供される形態に限られず、CD−ROMやメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、通信回線I/F66を介して有線又は無線により配信される形態等であってもよい。
本実施形態に係る画像読取プログラムが第1実施形態の画像読取プログラムと異なる点は、キセノンランプ40の交換の可否を判定するステップS50の処理が否定判定となった場合に限り、画素の出力値を補正するステップS40の処理を実施する点である。
これにより、ステップS50において、ステップS20で読み取ったテストチャート88Aの領域86の色情報を示す各画素のB成分出力値と、基準色成分値との差分ΔEのうち、警告通知差分以上の値を有する差分ΔEが存在する場合、すなわちステップS50の判定が肯定判定である場合は、ステップS40の処理を実施することなく、第1実施形態において説明したように、例えば、図示しない画像形成装置10のディスプレイ等に交換を要するキセノンランプ40を指定した上で、キセノンランプ40の交換を促すメッセージを表示して、本画像読取プログラムを終了する。
このように本実施形態では、予めキセノンランプ40の交換が必要であると判断された場合には、画像の濃度に応じたCCDセンサ70の画素の出力値を補正することなく、キセノンランプ40の交換を促すメッセージを通知して処理を終了させることで、ステップS40での補正範囲に制限を設けて、画像の読取精度の低減を抑制する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
第1実施形態及び第2実施形態では、画像読取装置50での画素補正処理をソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該画素補正処理をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
この場合の形態例としては、例えば、制御装置60と同等の処理を実行する機能デバイスを作成して用いる形態がある。この場合は、上記実施の形態に比較して、処理の高速化が期待される。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、インクジェット方式を用いた画像形成装置10を例にして、本実施形態に係る画像読取装置50の作用効果を説明したが、本実施形態に係る画像読取装置50はゼログラフィー方式(電子写真方式)を用いた画像形成装置10にも適用されることは言うまでもない。
更に、第1実施形態及び第2実施形態では、画像読取装置50に備えられた光源としてキセノンランプ40を例にして説明してきたが、光源はキセノンランプ40に限られない。経年劣化に伴い、分光特性が変化する光源であれば、本実施形態が適用される。