JP2015078247A - 放射線療法と併用して肺癌の治療に有用なラパマイシン含有高分子ナノ粒子静脈注射用抗癌組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
前記ラパマイシンが、前記A−B型ジブロック共重合体と前記ポリ乳酸またはその誘導体のアルカリ金属塩から形成されたミセル内に封入されており;
前記末端に少なくとも一つのカルボキシル基を有するポリ乳酸またはその誘導体が、ポリ乳酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、及びこれらの共重合体よりなる群から選択される一つ以上であり、その数平均分子量が500〜2,500ダルトンであり;
前記ジブロック共重合体の親水性ブロック(A)の数平均分子量が500〜20,000ダルトンであり、前記ジブロック共重合体の疎水性ブロック(B)の数平均分子量が500〜10,000ダルトンであり、前記ジブロック共重合体内の親水性ブロック(A)の含量がジブロック共重合体全体100重量%を基準に、40〜70重量%であり;
前記親水性ブロック(A)がポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールであり、前記疎水性ブロック(B)がポリ乳酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン−2−オン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、及びこれらの共重合体よりなる群から選択される一つ以上であり;
前記A−B型ジブロック共重合体と前記末端に少なくとも一つのカルボキシル基を有するポリ乳酸またはその誘導体のアルカリ金属塩との重量比が9:1〜3:7であり;かつ
放射線療法と併用して肺癌の治療に有用である;
ことを特徴とするラパマイシン含有高分子ナノ粒子静脈注射用抗癌組成物を提供する。
Aは、
であり、
Bは、
であるか、
または、
Rは、水素、アセチル基、ベンゾイル基、デカノイル基、パルミトイル基、メチル基またはエチル基であり、
Z及びYは独立して、水素、メチル基またはフェニル基であり、
Mはナトリウム、カリウムまたはリチウムであり、
nは1〜30の整数であり、
mは0〜20の整数である。
Rは水素、アセチル基、ベンゾイル基、デカノイル基、パルミトイル基、メチル基またはエチル基であり、
Xはメチル基であり、
Y’は水素またはメチル基であり、
Zは水素、メチル基またはフェニル基であり
Mはナトリウム、カリウムまたはリチウムであり、
pは0〜25の整数であり、
qは0〜25の整数であり、但し、p+qは5〜25の整数である。
本発明のポリ乳酸アルカリ金属塩は、韓国出願第2002−0063955号などに開示された方法に従って製造した。即ち、D,L−乳酸1,000gを、撹拌機を取り付けた2L三口フラスコに入れた。その後、80℃に加熱した油槽で、加熱及び減圧アスピレータで25mmHgに減圧しながら、1時間反応させ、過度に存在する水分を除去した。反応温度を160℃に上げ、圧力を5〜10mmHgに減圧した条件で、7時間反応させた後、反応を終了した。その結果、粗ポリ乳酸646gを得た。下記NMR分析法で測定した結果、製造されたポリ乳酸の数平均分子量は1,200ダルトンであった。前記ポリ乳酸500gにアセトニトリル750mLを加え、溶解した。そこに、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.1g/mL)750mLをゆっくり加えた。室温で2時間撹拌し、高分子を中和した。中和した高分子溶液に、塩化ナトリウム75gを加え、層分離した。層分離した有機溶媒層を集め、有機溶媒を分留、除去し、ポリ乳酸ナトリウム塩を製造した。
<1H−NMRスキャンのピーク面積から数平均分子量の計算>
〔式1〕
数平均分子量(ダルトン)={(A+B)/(C/N)}×72.1
式中、
AはD,L−ポリ乳酸のメチレンプロトンのピーク面積であり、
Bは高分子末端D,L−乳酸のメチレンプロトンのピーク面積であり、
Cはジカルボン酸のメチレンプロトンのピーク面積であり、
Nはジカルボン酸のメチレンプロトンの個数である。
500gのモノメトキシポリエチレングリコール(数平均分子量:2,000)を100mLの2口丸底フラスコに加え、減圧下、100℃に2〜3時間加熱し、脱水した。反応フラスコに乾燥窒素を充填し、注射器を用い、反応触媒のスタナスオクトエート(Sn(Oct)2)をD,L−ラクチドの約0.1重量%(1g、2.5モル)の量で加え、30分間撹拌した後、130℃で1時間減圧(1mmHg)し、触媒を溶解した溶媒(トルエン)を除去した。そこに精製したラクチド1,375gを加え、130℃で18時間加熱した。生成した高分子を塩化メチレンに溶解した後、ジエチルエーテルに加え、高分子を析出した。得られた高分子を真空オーブンで48時間乾燥した。前記過程を通して得られたmPEG−PLAの数平均分子量は2,000〜1,750ダルトンであり、図2の1H−NMRにより、A−B型であることが確認された。
ラパマイシン20mg、製造例2のmPEG−PLA 895mg、製造例1のD,L−PLACOONa 329mgをエタノール中で可溶化した後、真空蒸発器で有機溶媒を蒸発させた。前記乾燥物に、ラパマイシン濃度が2mg/mLになるように注射用滅菌水を加え、ミセルを形成した。D,L−PLACOONaのモル量の1/2モル量になるように、二価のカルシウム金属イオンを約26mg、精製水に溶解した後、200rpmにて撹拌中のミセル水溶液に滴下しながら、ポリ乳酸塩末端基をイオン結合で固定し、ラパマイシンが封入された高分子ナノ粒子を形成した。この溶液を0.2μmの膜にて滅菌ろ過した後、バイアルに入れ、凍結乾燥した。製造した組成物のラパマイシン含量及び高分子ナノ粒径の測定結果は、下記通りである。
−含量:99.8%
−粒径:19.5nm
実施例1のラパマイシン封入ナノ粒子組成物の薬物動態を評価した。動物実験のために、体重210〜250gのSDラットの雄を用い、ラパマイシンを基準に5mg/kg用量を静脈及び皮下注射後、5、15、30分、及び1、2、4、8、24時間毎に0.3mLの全血を尾静脈から採血した。採血した全血は、タンパク質沈澱法(PPT, Progress in Pharmaceutical and Biomedical Analysis, Volume 5, 2003, Pages 199-254)で処理した後、遠心分離し、0.15mLの上清を得、LC/MS/MS法で血中ラパマイシン濃度を分析した。
(1)HPLC条件
i)分析カラム:Zorbax XDB−C18(2.1×100mm, 3.5mm, Agilent)
ii)移動相:10mM酢酸アンモニウム/MeOH(1/99,v/v)
iii)流速:0.3mL/min
(2)タンデム質量分析
i)イオン化:エレクトロスプレーイオン化,Negative(ESI−)
ii)MS法:多重反応モニタリング(MRM)
iii)キャピラリー電圧:2.95kV
iv)コーン電圧:134V
v)衝突エネルギー:22eV
vi)温源:100℃
vii)脱溶媒和温度:200℃
viii)遷移量:シロリムス912.6→321.4amu
放射線療法と併用した時の、実施例1の組成物の抗癌活性を調べた。
〔数式1〕
腫瘍体積(TV)=0.5×L×W2
(L:長軸、W:短軸)
〔数式2〕
相対的腫瘍体積(RTV)=(Vt/Vo)×100%
(Vt:t日目のTV、Vo:0日目のTV)
ラパマイシン25mg、製造例2のmPEG−PLA 1,650mgと製造例1のD,L−PLACOONa 825mgをジクロロメタンに完全に溶解した後、減圧下にてロータリーエバポレーターを用い、有機溶媒を蒸発させた。前記乾燥物にラパマイシン濃度が1.0mg/mLになるように注射用水を加え、ミセルを形成させた。さらに塩化カルシウム溶液100mg/mLを塩化カルシウムで67.5mgになるようにし、ミセルに加え、混合液を撹拌した。この溶液を0.2μm膜にて、ろ過滅菌した後、バイアルに入れ、凍結乾燥した。製造された組成物のラパマイシン含量及び高分子ナノ粒子サイズの測定結果は下記のとおりである。
−含量:101.9%
−粒径:19.7nm
実施例2のラパマイシン含有高分子ナノ粒子組成物を用い、ラパマイシンが高分子ナノ粒子に封入された後にも、癌細胞の増殖抑制効果が保持されるか否かを評価するために、下記実験を実施した。
〔数式3〕
コロニー形成率=生理食塩水処理群のコロニー数/生理食塩水処理群の分注した細胞数×100
各実験群での生存率(surviving fraction)は下記の数式4により求めた。
〔数式4〕
生存率=処理群のコロニー数/(処理群の分注した細胞数×コロニー形成率/100)
実験結果を図5に示す。
実施例2のラパマイシン封入組成物の薬物動態を、実験例1と同様の方法で評価した。但し、上記組成物をラパマイシン基準に10mg/kg用量を経口、静脈または皮下注射した後、15、30分、及び1、2、4、8、24、48時間毎に0.3mLの全血を尾静脈から採血した。
実施例2のラパマイシン含有高分子ナノ粒子組成物の動物モデルでの抗癌効果を下記のように評価した。
〔数式5〕
腫瘍体積=0.5×(長軸の長さ)×(短軸の長さ)2
図7に示すように、ラパマイシン含有高分子ナノ粒子組成物は、コントロール群及び対照溶媒(Vehicle)投与群に比べて顕著なA549癌の増殖遅延効果を示した。週3回、4週間投与した群(q3d×3days×4weeks)が週1回、4週間投与した群(qw×4weeks)に比べて、わずかに抗癌効果に優れていたが、有意差はなかった。このことから、本発明に係る製剤は、薬物過剰投与時の薬物毒性発現の可能性を考慮する時、低用量でも効果を発揮できると判断できる。一方、薬物投与に伴うマウスの体重変化は10%未満であり、投与完了後、回復する傾向を示した。薬物を週3回、4週間投与した群は、薬物を週1回、4週間投与した群に比べて回復が遅かった。
放射線療法と併用した時の、実施例2の組成物の抗癌活性を、実験例2と同様にして評価した。その実験結果を図8に示す。本実験は実験例2とは異なって、上記組成物を5日間だけ毎日、5mg/kg用量を投与した後、放射線照射群(2Gy処理)と未処理群を比較した。
Claims (4)
- (i)親水性ブロック(A)と疎水性ブロック(B)を有するA−B型ジブロック共重合体、
(ii)末端に少なくとも一つのカルボキシル基を有するポリ乳酸またはその誘導体のアルカリ金属塩、
(iii)活性成分として、ラパマイシン、及び
(iv)二価または三価の金属イオンを含み、
前記ラパマイシンが、前記A−B型ジブロック共重合体と前記ポリ乳酸またはその誘導体のアルカリ金属塩から形成されたミセル内に封入されており;
前記末端に少なくとも一つのカルボキシル基を有するポリ乳酸またはその誘導体が、ポリ乳酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、及びこれらの共重合体よりなる群から選択される一つ以上であり、その数平均分子量が500〜2,500ダルトンであり;
前記ジブロック共重合体の親水性ブロック(A)の数平均分子量が500〜20,000ダルトンであり、前記ジブロック共重合体の疎水性ブロック(B)の数平均分子量が500〜10,000ダルトンであり、前記ジブロック共重合体内の親水性ブロック(A)の含量がジブロック共重合体全体100重量%を基準に、40〜70重量%であり;
前記親水性ブロック(A)がポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコールであり、前記疎水性ブロック(B)がポリ乳酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリマンデル酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン−2−オン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、及びこれらの共重合体よりなる群から選択される一つ以上であり;
前記A−B型ジブロック共重合体と前記末端に少なくとも一つのカルボキシル基を有するポリ乳酸またはその誘導体のアルカリ金属塩との重量比が9:1〜3:7であり;かつ
放射線療法と併用して肺癌の治療に有用である;
ことを特徴とする、ラパマイシン含有高分子ナノ粒子を含む、放射線療法と併用するための静脈注射用抗癌組成物。 - 前記アルカリ金属が、ナトリウム、カリウム、及びリチウムよりなる群から一つ以上選択される一価金属である請求項1に記載の、ラパマイシン含有高分子ナノ粒子を含む、放射線療法と併用するための静脈注射用抗癌組成物。
- 前記二価または三価の金属イオンが、カルシウム、マグネシウム、バリウム、クロム、鉄、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、及びアルミニウムよりなる群から選択される金属の二価または三価カチオンである請求項1または2に記載の、ラパマイシン含有高分子ナノ粒子を含む、放射線療法と併用するための静脈注射用抗癌組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の、ラパマイシン含有高分子ナノ粒子を含む静脈注射用抗癌組成物の、放射線療法と併用して哺乳動物の肺癌を治療するための医薬品の製造のための使用。
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