図1(a)には、本発明に係る加圧容器の第1実施例の構成が、模式的な縦断面図により示されている。同図に示すように、本実施例の加圧容器30は、略円筒形状で、かつ、加圧容器30にかけられる高い圧力に耐えられるように、断面形状が略楕円形の繭型形状と成しており、加圧容器30には、空気を含む水が加圧導入される(空気を含まない水と空気とが加圧導入される構成でもよい:以下、同じ)タンク31の上端中央部に、当該空気を含む水を前記タンク31内に注ぎ込む(吐出する)水の注入口32が下向きに向けて形成されている。タンク31の下端部側には水の導出口33と、長期未使用時にタンク内の水を抜く水の排出口37とが形成されており、排出口37は通常は閉状態と成している。
なお、本実施例の加圧容器30は、例えば図4に示すようなシステム構成を備えた風呂装置に適用されるものである。この風呂装置の構成の詳細は後述するが、浴槽26に接続されている追い焚き循環通路25に、浴槽湯水を循環させるポンプである循環ポンプ21が設けられて、この循環ポンプ21の駆動によって循環させる浴槽湯水に、空気導入弁38を介して外部から導入される空気を加圧溶存させて吐出し、加圧容器30に加圧導入する構成と成している。つまり、空気を含む水が循環ポンプ21内で撹拌されて加圧容器30に加圧導入されるが、溶解しきれない空気は、一部そのまま(気液2相混相流のまま)加圧容器30のタンク注入口32に至る。
また、空気の混入量(混入比率)は、空気の見かけの流速(WGO)と液体の見かけの流速(WLO)の比である気体体積流量比を用いて表すことができる。本実施例および後述する第2実施例〜第4実施例において、WLOは5.5〜7リットル/分、WGOは、1気圧換算で約400〜700cc/分であり、Griffith−Wallis液体様式線図の縦軸で示されるβ(WGO/(WGO+WLO))は0.2以下であることから、圧縮されて圧力が高められれば、βが必ず0.2以下となるため、各実施例での気液2相混相流は全てBubbleflowと考えられる。
図1(a)、(c)に示すように、加圧容器30の注入口32の下側に間隔を介し、タンク31内を上下に仕切る金属製の仕切り板(ターゲット板)34が設けられている。なお、仕切り板34とタンク31の内周壁との間には、仕切り板34の上から下へ水を流下させるための隙間Sが形成されている。また、加圧容器30には、仕切り板34よりも下部側の水の水位を検出するための水位検出手段として、電極35,36と、図1には図示されていないグラウンド電極とが設けられている。なお、図26には、電極を3本設けた場合の加圧容器30の外観斜視図が示されており、同図における符号137がグランド電極である。また、電極35は低水位電極であり、電極36は高水位電極であり、グランド電極137を含め、いずれもカーボン電極により形成されている。
本実施例の加圧容器30が設けられる風呂装置においては、電極35により水位が検出されなくなると前記空気導入弁38を閉とし、電極36により水位が検出されると空気導入弁38を開として、図1(c)に示すような、タンク31内の水の上に形成される空気層(未溶存空気層)A(斜線部分)の容積が調整される。つまり、電極35,36,137は空気層Aの容積の大小を判断するために設けられ、この判断に基づき、空気層Aの容積が調整されるものであり、また、水の加圧容器30への加圧導入タイミングは後述するが、その加圧導入される水は、空気を含む水の場合と水のみの場合の2通りが存在する。なお、電極35,36,137が検出する水位は水面の場合もあるが、多くの場合、水面上に広がる気泡上端が電極35,36,137により水位として検出され、その検出水位に基づいて空気導入弁38が開閉制御される。
また、図1(b)の横断面図に示すように、前記仕切り板34の外周縁と前記タンク31の内周壁との間の隙間Sは、予め定められた設定間隔に形成されている。なお、仕切り板34には、前記各電極35,36およびグランド電極137を通過する通過部の穴が形成されているが、図1(b)においては、これらの穴の図示は省略されている。本実施例において、例えばタンク31の内壁の径が45mmであるのに対し、仕切り板34の直径は42mmに形成されており、隙間(タンク内壁と仕切り板34の外周と間の隙間)の径Sは1.5mm、隙間の面積は204.885mm2に形成されている。この隙間の面積が、直径8mmの注入口32の断面積50mm2よりも大きく形成されるように、隙間Sの大きさが決定されている。すなわち、隙間Sは仕切り板34とタンク内壁の径の差を利用した隙間ノズルとなっている。
そして、図1(c)の模式的な動作図に示すように、注入口32から注ぎ込まれる空気を含む水が、図の矢印に示すように仕切り板34の中央部上に落下して該仕切り板34上を通った後に、前記隙間Sを通り、その後、(ベルヌーイの定理と水の粘性による水流曲げ力の反力による吸い寄せ効果による吸着現象によって)タンク内周壁の被添面(タンク側周壁の内壁面)に付着しながら、空気層A中も水滴が四散しないで流下するように、前記隙間Sを通った水をタンク内周壁の被添面に添わせて、水の流れをまとめて流下させている。注入口32から流動様式Bubbleflowで注ぎ込まれた空気を含む水は、仕切り板34で仕切られた上部空間内で拡大し、隙間Sで縮小されて空気層A中に放出される。この拡縮により、気体の溶解が促進されると共に、前記上部空間は隙間Sから放出される空気を含む水(または空気を含まない水)の均圧室の役割も担っている。
なお、空気を含む水の注ぎ込み開始からすぐに、仕切り板34で仕切られた上部空間は空気を含む水で満たされる(前記の如く、β<0.2なので、ほぼ水で満たされる)。そして、その水は流下中に周りの空気層A中の空気を取り込みながらタンク31の下部側に落下する。本願発明者は、タンク31の下部に貯留する水面下で跳水現象と見られる渦運動と気泡発生を確認していることから、タンク内周壁の被添面(内側面)に添わせた流れは射流(乱流)と考えている。そして、射流のまま、タンク下部に貯留する水面に至った空気を含む水は、貯留水との衝突により速度が落ちて常流となるとともに、射流から常流への不連続変化時に発生する跳水現象で激しい渦運動が発生する。
この渦運動をタンク下部に貯留する水中で発生させるために、本実施例では、気液2相混相流を、設定角度以上(例えば50度以上。本実施例では垂直である90度)で、あたかもタンク下部に貯留する水中に押し込んで、跳水現象を水面で水封するようにしながら(跳水現象が空気層A中で発生しないようにしながら渦運動を水中で)発生させ、前記渦運動で気液が攪拌されながら貯留されることによって、水にタンク31内の空気が溶存されると共に、水中から未溶解の気泡が浮上してくるようにして、仕切り板34の下側に貯留される水の水面と仕切り板34の下面との間には、タンク34内の未溶存空気の空気層Aが形成される構成と成している。
なお、気液2相混相流を、50度より小さい角度で注入口32から注ぎ込むと、水切りや反跳水と同じような現象が発生し、水面上で跳水現象が発生し、発生した気泡が水面上を移動した後で水面下に沈み、その後、勢いを失って水面に上昇する。このとき、水面を水が叩く音や、水面上で発生する跳水現象に伴って音が発生する。また、後述の追い焚き循環路25の配管距離の問題があるので、本実施例の場合には注入口32から空気を含む水を注ぎ込む場合には、しだいに空気層Aが増加する(水位が下がる)ようにしている。
また、注入口32から注ぎ込まれるものが水のみの場合であっても、前記隙間Sを通った水は、タンク内周壁の被添面に添って周りの空気層A中の空気を巻き込みながらタンクの下部側に落下するので、タンク31内の未溶存の空気が溶存され、しだいに空気層Aは減少していく(水位が上がる)。
以上のように、高圧下で、気体と液体を射流から常流への不連続変化で放出される運動エネルギーで出来る前記渦運動の渦に巻き込んで気体を溶解させることで、効率良く空気を溶存でき、かつ、空気を水中で巻き込んで溶解させることで、水しぶきが飛び交わない綺麗な空気層Aができる。この結果、本実施例では、前記電極は水しぶきを浴びることなく、未溶存の空気量を誤検出なしに適切に検出することができた。さらに、気泡が過運動に巻き込まれて破砕するときに発する音も水封し、あたかも、水で遮音するような形となるので、静かな溶解が可能となる。
ところで、本実施例では、加圧容器30の注入口32を下向きに形成し、タンク30の下部に貯留する水面に対して垂直である90度で空気を含む水を押し込んでいるが、その理由は以下の通りである。つまり、流速が速い場合には例えば水面に対して水を注入する角度が50度であっても跳水現象を水封できるが、タンクの幅寸法が大きくなり、小型化には向かないのに対し、前記角度が垂直である90度に近くなるにしたがい、流速が遅くなっても跳水現象を水封できるからである。なお、流速が速い場合に垂直である90度で水を注入しても跳水現象を水封できるが、水中奥深くで前記渦運動が発生するため(後述の、泡層長さ−エア層長さが大きくなるため)、タンク31の縦寸法が大きくなり小型化には向かない。
また、前記渦運動の水中発生位置(以下、泡層長さという)を最短にする(小さくする)水面衝突流速は、前記隙間Sによって決まるものであり、この水面衝突流速は、フルード数が1に近い1より大きい値であって、例えば空気混入時のフルード数が1より大きく(渦を有効に形成するためには、フルード数が1.7以上で)32以下(Griffith−Wallis液体様式線図の横軸フルード数の2乗((WGO+WLO)2/gS)が1000以下)となる速度であるが、前記隙間Sを通過するのは、高圧下で、かつ気液2相混相流であり、気液二相流流れ加速現象が発生するため隙間Sでの通過流速を計算できない。
ただし、本実施例においては、図3で後述するように、空気を除いた水のみが隙間Sを通過する(空気導入弁38の電磁弁65の閉時の)流速としては、約440mm/sec(秒)以上の流速(流量約5.5リットル/分)となるような隙間が好ましいことを実験で確認しており、本願発明者は、空気混入時の(空気導入弁38の電磁弁65の開時の)流速が、空気を除いた水のみが隙間Sを通過する流速(約440mm/秒以上)の数倍となるものと推定している。
なお、前記隙間Sは、(45mm−42mm)/2=1.5mmであり、水面下の水流の厚みh(水深に相当)が0.0015mであるため、この水流の厚みhを通過する限界水流の流速(限界流速)は、g(重力加速度:9.8m/sec2)を用いて、限界流c=√(gh)=√(9.8×0.0015)=0.12124m/秒として表すことができる。すなわち、隙間Sを通る流速が440mm/秒位であっても、隙間Sを通る水流の限界流速は約121mm/秒以上であり、かつ、タンク内周壁流下中に跳水現象特有の水流の膨らみ(射流から常流変化時にできる前記渦運動でできる膨らみ)を見ることができないことからも、空気導入弁38の電磁弁65の開閉にかかわらず、タンク内周壁の被添面に添って流下する水流は常流ではなく(流速が440mm/秒であって、限界流速121mm/秒より小さくなく)、射流(乱流)(流速は流速440mm/秒であるので、限界流速121mm/秒より大きく、射流である)と考えられる。なお、流速440mm/秒、限界流速121mm/秒の場合、隙間S通過時または通過直後のフルード数は3.6(流速440mm/秒÷限界流速121mm/秒)以上となる。なお、空気を除かない場合(空気混合時の場合)は、フルード数は、この値よりも大きくなると推定される。
また、図1(c)に示す水流の流れに乗って、水面上部にはタンク略中央部分より気泡が上昇し、時間と共に水面上を覆ってくる。このとき、タンク略中央部分の気泡は下から上に上昇してきている最中なので、上方への運動エネルギーを所有しているが、水面上に広がった、すなわちタンク側壁がわであり、タンク周囲部(タンク内周壁近傍)にある気泡は上方への運動エネルギーを所有していない。射流のままタンク下部に貯留する水面に至った空気を含む水は、タンク側壁がわにある気泡を巻き込むことがあるが、気泡が上方への運動エネルギーを所有していないので(気泡の移動方向と射流の方向が対向していないので)、気泡を容易に水面下に押し込むことができる。
すなわち、本実施例では、タンク内周壁の被添面に添って流下する水流によって生じてタンク側壁がわにある(下側に移動する)気泡と、タンクの下部から水面側に上昇していく気泡とが衝突することによって前記水流の速度が落ちて常流となり、気泡上で跳水現象が発生して、空気層A中を水しぶきが飛び交うといった事態が生じることを防止している。この結果、本実施例では、フルード数を気泡押し込み必要相当分、増やさなくてもよいような構造となっている。また、水中を上昇してくる気泡を空気層Aまで上昇しきる前に再度水流で押し込むことがないので、空気層Aが気泡で満たされてしまうこと(貯留水に入った気泡が空気層A中に出ることができずに再循環を繰り返し、気泡量が増え続けること)も防止できる構造となっている。
さらに、本実施例の加圧容器30は、タンク31内に固定された仕切り板34上に水が落ちて当たる構成であり、水を当てる部材をタンク31内の水の上に浮かせているような構成がないため、そのような部材が水の流れに沿って移動するといったことはない。したがって、電極35,36やグランド電極137が衝撃に弱いカーボン電極により形成されていても、これらの電極35,36,137に前記部材が当たって電極35,36,137が破損するといったことを防ぐことができる。
さらに、本実施例の加圧容器30は、水の流れが図1(c)に示すように流れてタンク31内で攪拌されるので、タンク31の下部側から上部側に流れてきた水が電極35,36,137に当たらないようにすることができるので、水流による電極35,36,137の破損を防止し、水位を誤検出するといったことも防ぐことができる。さらに、貯留水中に(加圧容器30の貯留水が溜まる部分に)流れを妨げる突起物が無いので、前記突起物が跳水現象で振動(加圧容器30が振動)することもなく、また、前記突起物が圧力腐食割れを起こして水中に落下し、その落下した突起物が電極35,36,137に当たってこれらの電極35,36,137を破壊するといったことも防ぐことができる。
なお、本発明者は、本実施例の加圧容器30について、図2に示すエア層の長さ(エア長)と泡層の長さ(泡長)と濁度を、加圧容器30に導入される水の流量を変えて検討した。ここで、濁度とは、空気の溶解(溶存)濃度である。図3には、その検討結果が示されており、本検討では、フルード数3.6以上である4〜4.7に相当する流量6リットル/分〜7リットル/分の試験データが示されている。
図3において、特性線a、b、cは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの泡層の長さを示し、特性線d、e、fは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さを示し、特性線g、h、iは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの濁度を示している。また、3分後と4分後について、流量(リットル/分)と、エア長(cm)、泡長(cm)、エア長/泡長、泡長−エア長(cm)、濁度、フルード数、流速(mm/秒)の関係を表1に示す。
図3のグラフおよび表1から分かるように、仕切り板34の外周縁と前記タンク31の内周壁との間の隙間面積が同じでも、加圧容器30に導入される水の流量によって、エア層の長さ、泡層の長さ、濁度に違いがあることが分かった。また、加圧容器30に注入する水の注入時間が4分までの間は、その時間が増えるに従い、エア層の長さ、泡層の長さ、濁度は全て大きくなることが分かった。
ところで、タンク31内の未溶存空気が同じ体積の場合において、エア層の長さ(仕切り板34からエア層下端までの長さ)が長いほうが、電極35,36,137が水(または気泡)に濡れにくくなる。そのため、未溶存空気量検出の誤検出が少なくなるし、より多くの未溶存空気をタンク31にためていることになるため、空気導入弁38のオンオフ(開閉)頻度を少なくできる。また、タンク31内の未溶存空気が同じ体積の場合において、泡層の長さ(仕切り板から泡層下端までの長さ)が長いほうが、未溶存空気がタンク31外に噴出する恐れが高くなり、空気導入弁38を早くオフする(閉じる)必要がある。したがって、エア層が長く、泡層が短いほうが、タンク31内の未溶存空気が同じ場合、未溶存空気量の検出が有利となる。この観点から、エア層長さ÷泡層長さ(エア長/泡長)が大きいほど空気導入弁38の開閉制御がしやすい。
ちなみに、図3に示した結果が得られた前記検討において、白濁度合い計測は、OPTEX社製の濁度チェッカーSC−T3を用いている。白濁度合い(濁度)は、180リットルの浴槽中央部水面下5cmにおける計測器の数値をそのまま示しており、数値が大きいほど白濁していることを示す。そして、濁度が高く、浴槽の水の白さが増したほうが、入浴感が向上してよい。
次に、本実施例の加圧容器30が適用される風呂装置の例として、図4に示す風呂装置のシステム構成について説明する。この風呂装置は、給湯動作機能と、浴槽26への湯張りを含む自動運転の動作機能と、浴槽湯水の追い焚き動作機能と、浴槽26内の湯水に微細気泡を発生させる機能とを備えている。以下、この風呂装置のシステム構成について簡単に説明する。
この風呂装置は屋外に設置され、同図に示すように、器具ケース27内に、追い焚きバーナ16と、3つの燃焼面を持つ給湯バーナ10とを設けた風呂給湯装置であり、給湯バーナ10の上側には給湯熱交換器7(7a,7b)が、追い焚きバーナ16の上側には、浴槽湯水の追い焚き用の追い焚き熱交換器15(15a,15b)が、それぞれ設けられている。バーナ10,16の燃料としてはこの風呂装置ではガスが用いられており、ファン76で燃焼用の空気をバーナ10,16に送っている。給湯熱交換器7aと追い焚き熱交換器15aは一次熱交換器であり、給湯熱交換器7bと追い焚き熱交換器15bは二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)である。給湯熱交換器7の入側には給水通路5が設けられ、該給水通路5には、入水温度センサ6と流量センサ4とが介設されている。給湯熱交換器7の出側には給湯通路11が接続されており、給湯通路11には給湯温度センサ8が設けられている。
前記追い焚き熱交換器15の入側には、管路19と、浴槽湯水を循環させるポンプである追い焚き循環ポンプ21と、戻り管23とが接続され、追い焚き熱交換器15の出側には往管24が接続されている。往管24と戻り管23とは浴槽26に接続されており、これら往管24、戻り管23、追い焚き熱交換器15、管路19を有して前記追い焚き循環通路25が形成されている。追い焚き循環路25には、循環ポンプ21の吸い込み側(つまり、戻り管23)に、流水スイッチ22と、水位センサ20と、追い焚き循環路25に空気を導入する空気導入弁38とが設けられており、循環ポンプ21は、該循環ポンプ21の駆動によって循環させる浴槽湯水に空気導入弁38を介して外部から導入される空気を加圧溶存させて吐出する。
循環ポンプ21は、カスケードポンプにより形成されており、空気を吸い込んでも駆動できる構成と成している。したがって、空気溶存と湯水循環との両方を1台の循環ポンプ21によって行えるので、湯水循環用のポンプと空気溶存用のポンプとの2つのポンプを設ける構成に比べ、装置構成を簡略化でき、風呂装置の小型化、低価格化を実現できる。
また、追い焚き循環路25には、循環ポンプ21の吐出側の管路19に、本実施例の加圧容器30が設けられ、該加圧容器30の下流側に、前記追い焚き熱交換器15が設けられている。加圧容器30は、循環ポンプ21によって加圧された浴槽湯水をタンク31内に吐出導入し、前記の如く攪拌しながら貯留することによって、タンク31内の未溶存空気を前記浴槽湯水に追加溶存させる。追い焚き循環路25の浴槽26との接続部には、前記空気が溶存された浴槽湯水を浴槽26内に噴出させることにより、浴槽26内の湯水に微細気泡を噴出させる微細気泡噴出装置39が設けられている。
このように、浴槽26内の湯水に微細気泡を発生させるシステム構成において、カスケードポンプにより形成された循環ポンプ21の下流側に本実施例の加圧容器30を設け、さらにその下流側に追い焚き熱交換器15を設けることにより、以下の効果を奏することができる。
つまり、循環ポンプ21により吸い込まれた湯水内には、循環ポンプ21の駆動によって空気の溶存が行われるが、十分ではなく、未溶存の空気が湯水内に泡の形で含まれた状態であり、その状態の湯水が銅製の追い焚き熱交換器15内に導入されると、追い焚き熱交換器15内にさび(気液2相流流れ加速腐食)や割れ(2相流による流力弾性振動応力腐食割れ)が生じるおそれがある。それに対し、循環ポンプ21の下流側に本実施例の加圧容器30を設けることにより、湯水内に空気を追加溶存させて空気を湯水内に十分にとけ込ませた状態(未溶存空気の気泡を含まない状態)で、この湯水を追い焚き熱交換器15内に導入すれば、追い焚き熱交換器15内にさびが生じるといった問題を防ぐことができる。
なお、戻り管23の空気導入弁38が設けられている位置から加圧容器30のタンク31に至る部品の配管は、タンク31も含めて、配管、循環ポンプ21、循環ポンプ21のエンペラーに至るまで、さびや割れを防止するため軟質架橋ポリエチレン管やPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等樹脂配管、樹脂部材を用いる構成と成している。
また、図4に示す構成の風呂装置において、追い焚き循環通路25は、注湯通路14を介して前記給湯通路11に接続されており、注湯通路14には、注湯電磁弁13が介設されている。なお、図4において、符号9は給湯バーナ10へのガス通路、符号51,52はガス電磁弁、符号17は追い焚きバーナ16へのガス通路、符号98はドレン管、符号97はドレンの中和器を、それぞれ示している。
次に、この風呂装置の動作について簡単に説明する。風呂装置には制御装置3が設けられ、図4には図示されていないが、制御装置3には風呂リモコン装置と台所リモコン装置が信号接続されている。この風呂装置において、風呂リモコン装置または台所リモコン装置の運転スイッチをオンした状態で給湯管路11から給湯先に設けられている給湯栓(図示せず)を開くことにより、給湯機能の動作が開始される。この動作は、制御装置3内の燃焼制御部(図示せず)の制御によって、入水温度センサ6による入水温と、流量センサ4による給湯量に基づき、給湯温度センサ8により検出される給湯温(出湯温)が給湯設定温度となるように、給湯バーナ10を燃焼して行われる。
また、風呂装置における自動運転の機能は、風呂と台所のリモコン装置の少なくとも一方に設けられている自動スイッチをオンすることにより開始するものであり、注湯電磁弁13が開かれ、給湯機能の動作と同様に給湯熱交換器7を通って加熱された湯が、給湯管路11から注湯路14に入り、戻り管23と往管24を有して構成される追い焚き循環路25を通して浴槽26へ落とし込まれる。
湯張りが完了したときに注湯電磁弁13が閉じられ、風呂温度センサ18によって検出される検出温度が湯張り設定温度(風呂設定温度)よりも低いときには追い焚き機能の動作が行われる。この追い焚き機能の動作は、循環ポンプ21が駆動されて浴槽26の湯水が追い焚き循環路25を通して循環されて行われるものであり、風呂温度センサ18により検出される検出温度が風呂設定温度になるように追い焚きバーナ16を燃焼させ、追い焚き熱交換器15を加熱して行われる。自動運転の動作においては、引き続き、予め設定された設定時間だけ、浴槽湯水の温度が風呂の設定温度よりも許容範囲を越えて低くならないように、保温機能の動作が行なわれる。追い焚き単独運転の機能は、通常、風呂リモコン装置に設けられている追い焚きスイッチが押されたときに、前記追い焚き機能の動作を行うものである。
また、制御装置3は、図5に示す微細気泡発生制御構成を有しており、該微細気泡発生制御構成は、ポンプ駆動制御手段41と空気導入弁開閉制御手段42と燃焼制御手段77を有している。これらの制御手段41,42,77は、風呂リモコン装置1に設けられた微細気泡発生操作部43に信号接続され、微細気泡発生操作部43を介して追い焚き動作指令操作部44に信号接続されている。
微細気泡発生操作部43は、風呂装置の微細気泡噴出動作をオンオフする操作部である。微細気泡発生操作部43は、例えば風呂リモコン装置1に、泡発生スイッチとして設けられ、このスイッチのオンオフに応じて微細気泡吐出動作のオン操作とオフ操作が行えるようになっている。また、スイッチがオンされてから予め定められた設定時間が経過したときには自動的にスイッチがオフされるようになっている。スイッチのオンオフ信号は、ポンプ駆動制御手段41と空気導入弁開閉制御手段42に加えられる。このように、風呂リモコン装置1に微細気泡発生操作部43を設けることにより、この微細気泡発生操作部43の操作によって、容易に、微細気泡噴出動作のオンオフを操作でき、簡単な操作で快適な入浴タイムを実現できる。
追い焚き動作指令操作部44は、風呂装置の追い焚き動作をオンする操作部である。追い焚き動作指令操作部44は、風呂リモコン装置1に、前記追い焚きスイッチとして設けられ、このスイッチがオンされると、追い焚き指令が微細気泡発生操作部43に伝わり、微細気泡発生操作部43から追い焚き動作指令に応じた動作指令をポンプ駆動制御手段41と空気導入弁開閉制御手段42と燃焼制御手段77に加える。追い焚き機能の動作中に微細気泡発生操作部43から微細気泡噴出動作のオン操作が加えられると(又は微細気泡噴出動作中に例えば保温機能からの追い焚き機能動作のオン操作が行われると)、ポンプ駆動制御手段41と空気導入弁開閉制御手段42による(空気導入弁38の開閉制御、循環ポンプ21の駆動制御等の)微細気泡噴出動作を優先させながら、燃焼制御手段77が、風呂温度センサ18により検出される検出温度が風呂設定温度になるまで追い焚きバーナ16を燃焼させ、追い焚き熱交換器15を加熱する。
前記追い焚き機能の動作と微細気泡噴出動作を同時に行っている最中に微細気泡噴出動作のオフ操作が行われると、一度追い焚きバーナ16の燃焼を停止させ、循環ポンプ21を一度オフするか、流量をゼロに近いくらい少なくなるような回転数にまで低下させ、後述の流量対応開閉弁48が(切替圧力以下となって)開いたのち、前記追い焚き機能の動作を再開する。前記追い焚き動作と微細気泡噴出動作を同時に行っている最中に追い焚き機能の動作オフ操作が行われると、追い焚きバーナ16の燃焼を停止させる。
このように、追い焚き動作と微細気泡噴出動作を同時に行なった場合には、湯水を追い焚き熱交換器15内で加温することになるが、空気を多量に溶解させた液体を加温すると溶解度が下がるため、特に溶け込ませた空気の中の窒素が追い焚き熱交換器15内以降の配管内で気泡を再形成し、これがさび(気液2相流流れ加速腐食)の原因となる場合がある。本実施例の加圧容器30を適用している風呂装置は、微細気泡噴出装置39から浴槽26内に噴出する際に減圧して浴槽26内に微細気泡を発生させるようにし、すなわち、循環ポンプ21から細気泡噴出装置39間の圧力が高くなる部分に銅製の追い焚き熱交換器15を設け、かつ、追い焚き熱交換器15内でさび(気液2相流流れ加速腐食)や割れ(2相流による流力弾性振動応力腐食割れ)の原因となる空気を多量に溶解させた液体を加温する場合は、流量対応開閉弁48を閉じるように、後述のようなポンプ駆動制御手段41による制御を行うことで、気泡の再形成を防止している。したがって、空気を多量に溶解させていない液体を加温する場合(通常の追焚き)は、流量対応開閉弁48を開くように、後述のようなポンプ駆動制御手段41による制御を行って、効率的な追い焚きの高速化を図っている。
ポンプ駆動制御手段41は、微細気泡噴出動作時には循環ポンプ21の回転数を高くして、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量を予め定められる設定流量以上にし、追い焚き動作時には循環ポンプ21の回転数を低くして微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量を前記設定流量未満にする。本実施例の加圧容器30を適用している風呂装置において、このポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の回転制御等による流量制御によって、微細気泡発生装置39の流量対応開閉弁48が前記の如く開閉し、微細気泡発生動作、追い焚き動作および、これらの同時動作の機能を可能にしている。
なお、風呂装置と浴槽26との間は、往管24、戻り管23で接続するが、風呂装置と浴槽26の間の距離は各取付現場毎で異なる。浴槽26のすぐ近傍に風呂装置がある場合もあるし、浴槽26から20mといった離れた場所に風呂装置が設置される場合もある。本実施例の加圧容器30を適用している風呂装置において、循環ポンプ21は、モーターの能力が少し高いものを用い、配管距離の違いによるモーター負荷変動しても回転数があまり影響をうけないように設計している。その結果、配管距離(流量抵抗)の如何に関わらず、加圧容器30への吐出容量が6.5リットル±0.5リットルを維持することで、前記フルード数が大きく変わらないようにしている。
さらに、回転数を維持できるように、循環ポンプ21に適用するモーターとして、例えばDCブラシレスモーター等を用い、配管距離の違いによるモーター負荷が変動しても回転数が変化しないようにしてもよい。ただし、上述の場合よりも負荷変動による吐出容量変化が大きくできるので、電流等を監視して負荷変動に応じて回転数を可変できるようにして、吐出容量を設定流量である6.5±0.5リットル/分以下に維持できるような構成とすることが望ましい。なお、流量が少ない条件(配管距離が長い場合等で例えば流量6リットル/分のときが流量が少ない条件)であっても、多い条件であっても、本実施例の加圧容器30において、注入口32から空気を含む水を注ぎ込む場合には、しだいに空気層Aが増加する(水位が下がる)ようにしている。
さらに、微細気泡噴出装置39の構成は特に限定されるものではないが、例えば図6(a)および図6(b)に示す構成とすることができる。この例では、微細気泡噴出装置39は、本体部49とカバー部材50とを有し、カバー部材50には直径0.8mmの多数の円形小径貫通穴が設けられたフィルタ54が設けられている。また、本体部49には、追い焚き循環路25の往管24と戻り管23とに接続される管路接続口55と、浴槽26側への吐出口56が設けられており、これらの間に微細気泡発生用流路46と追い焚き用流路47が設けられている。また、微細気泡発生用流路46と追い焚き用流路47の間に、流量対応開閉弁48が設けられている。この流量対応開閉弁48は、バネで弁体を可動可能にし、弁体に当たる流量に応じて所定の圧力を弁の上流に生じ、設定流量以上で弁体が弁座にたどり着くと流れを閉止して弁上流圧力が急上昇し、この圧力急上昇でより閉止を確実にする。
循環ポンプ21を駆動させると、フィルタ54を通して微細気泡噴出装置39の本体部49内に浴槽湯水が吸い込まれ、追い焚き循環路25の戻り管23に導かれる。一方、往管24側から本体部49に導入される湯水は、微細気泡発生用流路46と追い焚き用流路47の少なくとも一方を通り、吐出口56から吐出する。なお、微細気泡発生用流路46は、追い焚き循環路25を通って循環した浴槽湯水を、図6(b)の矢印に示すように、ノズル45を通して浴槽26内に噴出させることにより浴槽26内に微細気泡を発生させる。追い焚き用流路47は、前記浴槽湯水を、図6(a)の矢印に示すように、ノズル45を通さずに(あるいは殆ど通さずに)浴槽26内に導出する。
流量対応開閉弁48は、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量に応じて開閉弁48の上流側に水圧上昇が生じる構造の弁なので、該水圧が前記設定流量時に生じる閉弁設定圧力以上の時に閉じる弁であり、一度弁が閉じると流路が狭い微細気泡発生用流路46にのみ湯水が導出されるので、圧力が急上昇する。そして、流量を少なくすることで開弁設定圧力以下にすると開く弁であり、ポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の回転数(圧力)制御によって、以下のように動作し、この流量対応開閉弁48の動作に応じて、湯水が、前記の如く、微細気泡発生用流路46、追い焚き用流路47の少なくとも一方を通って浴槽26内に導出される。
つまり、追い焚き動作時には、ポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の制御(回転数や印加電圧制御)によって、一時的にほぼ停止位にとなるくらい循環ポンプ21の循環水量を少なくするか停止するかし、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量によって生じる圧力が開弁設定圧力以下となると、図6(a)および図7(a)に示すように、流量対応開閉弁48がスプリング53に付勢されて開いた状態となる。開弁後、循環ポンプ21の回転数を上げ(又は通電を再開し)、追焚き回転数(又は電圧)とすることにより、前記湯水は、実線矢印に示すように、追い焚き用流路47を通して浴槽26内に導出され、通常の浴槽湯水の追い焚き動作が行われる。なお、この追い焚き動作時には、湯水は、追い焚き用流路47を通ることに加え、微細気泡発生用流路46は追い焚き用流路47と比べ非常に狭いため、流量対応開閉弁48が閉じていない場合、追い焚き用流路47を優先的に通る(微細気泡発生用流路46を通る湯水の流量が小さい)。したがって、追い焚き動作時に微細気泡は発生しない。
一方、微細気泡噴出動作時には、ポンプ駆動制御手段41による循環ポンプ21の制御(回転数や印加電圧制御)によって、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量を閉弁圧力以上となる設定流量以上にすることにより、図6(b)および図7(b)に示すように、流量対応開閉弁48が水圧によってスプリング53の付勢力に抗して押されて閉じられる。そして、このことにより、前記湯水が、破線矢印に示すように、微細気泡発生用流路46を通して浴槽26内に噴出されることによって、微細気泡が浴槽26内に噴出されて白濁化が行われる。
このように、流量対応開閉弁48を適用して微細気泡噴出装置39を形成することにより、循環ポンプ21の回転数制御等を行うだけで、微細気泡噴出装置39内に電気配線等の構成を設けることなく、追い焚き動作時と微細気泡発生動作時との微細気泡噴出装置39内の流路を切り替えることができ、装置構成および制御構成を簡単にできる。
なお、流量対応開閉弁48は、図8に示す切り替え特性を有しており、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量が小さいときには、管路接続口55から導入される湯水が追い焚き用流路47を通って浴槽26内に導出され、その流量圧力特性は、図8の特性線bに示すように、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量が多くなるにつれて圧力が大きくなる。
ただし、微細気泡噴出装置39に導入される湯水の流量が設定流量(ここでは約6リットル/分)以上となると、流量対応開閉弁48は、図7(b)に示したように、スプリング53の付勢力に抗して閉じられるので、前記湯水は、追い焚き用流路47を通れなくなり、微細気泡発生用流路46を通して浴槽26内に噴出される。なお、微細気泡発生用流路46を通じて浴湯水が循環する場合、その流量と、微細気泡発生用流路46に加わる圧力の関係は特性線aのようになる。微細気泡発生用流路46は非常に微小なため、わずかな流量であっても大きな圧力を生じる為、流量対応開閉弁48が開くには流量をゼロに近いくらい少なくしなければならない(切替圧力以下になるような流量がそれくらい少ない)。
また、空気導入弁開閉制御手段42は、循環ポンプ21の回転数に連動させて、例えば図9のエアオンのタイミングに示すように、例えば2階に浴槽26がある場合等を予め想定し、負圧になりにくい設置条件下でも追い焚き循環路25内が負圧になるようなポンプ回転数を定め、循環ポンプ21の回転数がその予め定めた弁開設定値まで上がったら、空気導入弁38を開く(エアオン)。また、同図のエアオフのタイミングに示すように、循環ポンプ21の停止操作が行われて、循環ポンプ21の回転数が予め定めた弁閉設定値まで下がったら、空気導入弁38を閉じる(エアオフ)。
なお、電極を3本でなく、2本で構成した場合には、空気導入弁開閉制御手段42は、微細気泡発生動作時に、予め定めた設定間隔毎に、空気導入弁38の開閉動作を行い、その際、加圧容器30の電極35,36の検出結果に基づいて、タンク31内の湯水の水位が設定水位を超えたときには空気導入弁38を開く時間を長くし、タンク31内の湯水の水面と容器上端部との間の空気層の容積を大きくして、前記湯水の水位を設定水位以下にするように前記空気導入弁38の開閉制御を行う。また、2本の電極35、36を、予め定められた水位で導通するような長さ(同じ長さ)とし、水位チェック時に電極35と電極36とが導通したら水位が電極35,36の先端位置に達するまで高くなっているので、エアオンで空気導入弁38を開いて空気導入(エアオン)、電極35と電極36とが絶縁状態なら水位が電極35,36の先端位置に達するまで高くなっていないのでエアオフとする(空気導入弁38を閉じる)といったように、空気導入弁38の開閉制御をしてもよい。
空気導入弁38の構成は特に限定されるものではないが、例えば、図10に示すような構成とすることができる。この空気導入弁38は、本体部57とカバー部材58とを有し、本体部57は、循環路接続部62を介して追い焚き循環路25に接続され、注湯路接続部63を介して前記注湯路14(図4、参照)に接続されている。また、本体部57には電磁弁65と逆止弁61が設けられ、カバー部材58には、空気導入口60とフィルタ59が設けられている。
所定の時期に電磁弁65を開にすることにより、空気導入弁38内に空気が取り入れられる。つまり、例えば循環ポンプ21の回転数に対応して制御を行うものにおいては、回転数が規定値に達すると電磁弁65を開にし、循環ポンプ21の回転数に対応する制御を行わないものにおいては、循環ポンプ21の起動後、所定時間後に電磁弁65を開くことにより、循環ポンプ21で作り出される負圧によって空気が取り入れられる。そうすると、逆止弁61は吸入される空気の力で図の右側に移動し、フィルタ59を介して空気導入口60から導入される空気が、図の矢印Cに示すようにして通路64内に導入される。本実施例および後述する第2〜第4実施例において、追い焚き循環路25を5.5〜7リットル/分の湯水循環時に導入される空気量は、約400cc/分〜700cc/分(1気圧時)となっている。この通路64は、追い焚き循環路25に接続されており、追い焚き循環路25内を通る湯水が図の矢印Aに示すように流れるため、この湯水に前記空気が溶存される。なお、図の矢印Bに示すように、注湯路14から湯水が導入された場合は、この湯水が通路64内に導入されて追い焚き循環路25を通して浴槽26に落とし込まれる。
なお、図11、図12には、前記風呂装置の動作例がフローチャートにより示されている。図11に示すように、ステップS1Aで、追い焚きスイッチがオンされる(追い焚き動作指令操作部44の操作が行われる)と、ステップS2Aで、微細気泡発生運転が行われているか否かの確認が行われる。この微細気泡発生運転確認は、循環ポンプ21の高回転動作、空気導入弁38の開閉制御等が行われて、微細気泡発生運転が行われているか否かを確認する動作である。そして、この確認が行われたら(微細気泡発生運転が行われていたら)、ステップS3Aで、追い焚き熱交換器15の加熱を行って風呂の追い焚き燃焼を開始し、ステップS4Aで、図12のステップS1[A]に進む。また、ステップS2Aで微細気泡発生運転が確認されなかった(微細気泡発生運転が行われていなかったと判断された)ときには、ステップS5Aで、循環ポンプ21をオンして低回転で運転し、ステップS6Aで追い焚き熱交換器15の加熱を行って風呂の追い焚き燃焼を開始し、ステップS7Aで、図12のステップS1[A]に進む。
また、ステップS1Bで、微細気泡発生スイッチがオンされる(微細気泡発生操作部43の操作が行われる)と、ステップS2Bで、追い焚き運転が行われているか否かの確認が行われる。この追い焚き運転確認は、循環ポンプ21が低回転動作され、追い焚きバーナ16の燃焼等が行われて、追い焚き運転が行われているか否かを確認する動作である。そして、この確認が行われたら(追い焚き運転が行われていたら)、ステップS3Bで、循環ポンプ21の運転を高回転運転とし、ステップS4Bで、微細気泡発生運転を開始する。そして、ステップS5Bで、図12のステップS1[A]に進む。また、ステップS2Bで追い焚き運転が確認されなかったときには(追い焚き運転が行われていなかったら)、ステップS6Bで、循環ポンプ21をオンして高回転で運転し、ステップS7Bで微細気泡発生運転を開始し、ステップS8Bで、図12のステップS1[A]に進む。
図12のステップS1に進んだら、ステップS2で、風呂温度センサ18により検出される風呂温度(風呂検出温度)が設定温度以上か否かを判断し、風呂温度が設定温度以上のときには、ステップS3で、微細気泡発生運転が行われているか否かの確認を行い、微細気泡発生運転が行われていたら、ステップS4で、追い焚きバーナ16の燃焼を停止し、ステップS5で追い焚き運転を終了して、ステップS6に進む。なお、ステップS3での微細気泡発生運転が行われていなかったときには、ステップS12で、追い焚きバーナ16の燃焼を停止し、ステップS13で循環ポンプ21をオフし、ステップS14で、追い焚き運転を終了する。
また、ステップS6では、微細気泡発生運転時間が設定時間以上行われているか否かを判断し、行われているときには、ステップS7で、追い焚き運転の確認を行う。なお、微細気泡発生運転時間が設定時間以上行われていないときには、ステップS2に戻る。ステップS7で、追い焚き運転が確認されたときには、ステップS8で循環ポンプ21をオフし、ステップS9で、微細気泡発生運転を停止し、ステップS10で、微細気泡発生運転を終了し、ステップS11で、循環ポンプ21をオンして低回転で運転し、ステップS2に戻る。また、ステップS7で、追い焚き運転確認が行われないときには、ステップS15で循環ポンプ21をオフし、ステップS16で、微細気泡発生運転を停止し、ステップS17で、微細気泡発生運転を終了する。
以下、本発明の加圧容器の第2実施例について、図13を参照して説明する。なお、第2実施例を初めとし、以下に述べる実施例において、前記第1実施例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
図13(a)には、第2実施例の加圧容器30の上端側の部位の縦断面構成が模式的に示されている。第2実施例は前記第1実施例とほぼ同様に構成されており、第2実施例が第1実施例と異なる特徴的なことは、仕切り板34の上から下へ水を流下させるための隙間を、仕切り板34の中央部に形成したことである。つまり、第2実施例では、仕切り板34の中央部に貫通孔29が形成され、該貫通孔29の上部側を覆うテーブル板部28が仕切り板34の板面と上下方向に隙間tを介して設けられており、注入口32から注ぎ込まれる水がテーブル板部34の上に落下した後、隙間tを通り、テーブル板部28の下の被添面(図13(e)のB、参照)に添って通った後、貫通孔29を水流が接触することなく(貫通孔29を囲む仕切り板34の内壁に接触することなく)通ってタンク31の下部側に落下する構成と成している。つまり、水(空気を含む水と含まない水それぞれ)が貫通孔29を通る際、この貫通孔29の周りの仕切り板34の壁(仕切り板34の内壁)には非接触で通り、仕切り板34の下側に落下する。
なお、図13(b)には、仕切り板24とテーブル板部28の結合構成が側面図により示されており、図13(c)には、その平面構成が示されている(電極通過部の穴は表示省略)。これらの図に示すように、テーブル板部28は、脚部65を介して仕切り板34に連結されており、この脚部65の幅W(図13(c)、参照)は3mmに形成されている。また、仕切り板34とテーブル板部28との隙間tは、例えば3mmに形成され、テーブル板部28と貫通孔29の直径は共に20mmに形成されている。したがって、隙間tの総面積(テーブル板部28の外周に沿った領域の隙間面積から脚部65の形成領域を除く領域の面積)は、20×π×3−3×3×4=152.4mm2となり、注入口32の断面積50mm2よりも大きく形成されている。
第2実施例は以上のように構成されており、第2実施例においては、注入口32からタンク31内に注ぎ込まれる水が、図13(d)の模式的な動作図に示すように、テーブル板部28の上に落下して該テーブル板部28上を通った後、該テーブル板部28と仕切り板34との間隔tを通り、テーブル板部28の下の被添面に沿って通った後、貫通孔29を通って略垂直に螺旋を描きながらタンク31の下部側に落下して攪拌されながら貯留されることによって、前記水にタンク31内の空気が溶存されると共に、仕切り板34の下側に貯留される水の水面と仕切り板34の下面との間にはタンク31内の未溶存空気の空気層Aが形成される構成と成している。なお、前記第1実施例では、空気層Aが略円柱形であるのに対し、第2実施例では前記テーブル板部28の下も空気層であることから、空気層Aは、略凸型、すなわち大小2つの円柱を重ねたような形の空気層となっている。
また、図15(a)には、第2実施例の加圧容器30の変形例が示されており、この図に示すように、貫通孔29の下端からタンク31の下部に貯留する水面に至る間に棒状の流下添わせ棒66を設け、水をこの流下添わせ棒66に添わせて流下させる構成を適用することもできる。しかし、第2実施例においては、隙間tを出た後も、テーブル板部28の裏面を添わせることで、棒に添わせることなく流下させても、後述の通り、棒に添わせて流下させる場合と同等以上の効果があることが分かっている(水を、一度、何かに添わせて空気層中を流下させると、流れをまとめることができるので、空気層A中に水滴を四散させずに滴下できる)。そして、第2実施例において、水は、隙間tを通ってテーブル板部28の下面(裏面)に添って流れた後に、螺旋を描きながらタンク31の略中央部を下部側に落下していき、この流下中に周りの空気層A中の空気を取り込みながらタンクの下部側に落下する。
なお、空気を除いた水のみが隙間tを通過する流速としては、約650〜770mm/秒位の流速(6リットル/分〜7リットル/分)となるような隙間tが好ましいことを実験で確認しており、空気混入時には、空気を除いた水のみが隙間tを通過する流速の数倍となるものと推定している。なお、隙間3mm(水流の厚みh=0.003m)を通過する水流の流速が、約650〜770mm/秒位の流速であっても、限界流c=√(gh)=√(9.8×0.003)=0.17146、すなわち約171mm/秒以上であることからも射流(乱流)と考えられ、第2実施例の場合では、隙間t通過時または通過直後のフルード数3.8以上としている。なお、空気を除かない場合(空気混合時の場合)は、フルード数はこの値よりも大きくなると推定される。
本願発明者は、第2実施例の形態でも、空気層A中で落下する水流形状が変わらず、跳水現象が水の落下中に発生すると、水流の太さが均一でなくなり、かつ、跳水発生地点で水流から分離した水滴が貯留する水面に落下するのが観察される。また、タンク31の下部に貯留する水面下で、跳水現象と見られる渦運動と気泡発生を確認している。すなわち、前記渦運動の渦に巻き込んで溶解させることで効率良く空気を溶存でき、かつ、空気を水中で巻き込んで溶解させることで、水しぶきが飛び交わない綺麗な空気層Aが第2実施例の形態でもできる。
ところで、タンク31の下端部側には、水の導出口33と、長期未使用時にタンク内の水を抜くために設けられている、通常は閉状態の水の排出口37とが形成されているが、この水の排出口37は、タンク31内の完全水抜きのためにはタンク31の最下端部に設けることが好ましい。したがって、第2実施例において、水の導出口33は、タンク31の下端のサイドに設けられている。
第2実施例が前記第1実施例と異なることの一つは、第1実施例においては、水流をタンク31の壁面に添わせて落下させる構成であるのに対し、第2実施例では、水流をタンク31の中央部分に落下させていることである。タンク31内の水流は、第1実施例では、図1(c)に示したように、タンク31の壁面に添わせて落下した水流が水面を通過後、側面を下った後、中央に集まり上昇するのに対し、第2実施例では、図13(d)に示すように、タンク31の中央部分を落下した水流が水面を通過後、中央を下った後、側面を上昇する。
この結果、貯留水中を移動する気泡を含む水流の下端の位置は、前記第1実施例ではタンク壁面となり、第2実施例ではタンク31の中央となる。そして、第2実施例では、タンク内壁面における気泡を含む水流の下端は、タンク中央部に比べると、ごくわずか上になるので、水の排出口37の入り口部近傍における泡層の長さが実質的に短くなり(図1(c)のH1と図13(d)のH1を比較参照)、未溶存空気がタンク31の外に噴出する恐れがごくわずか低くなる。つまり、泡層長さが長いほうが未溶存空気のタンク外部への噴出の恐れが高くなるが、第2実施例は、第1実施例と同様に水の導出口33をタンク31の側部に形成した場合に、水の流下位置を第1実施例と異なる(水をタンク中央部に流下させる)ことにより、タンク31の長さを変えることなく泡層長さが長くても未溶存空気がタンク外に噴出する恐れが低い実施例である。
さらに、第2実施例では、隙間tを3mmと大きくとれるので、前記微細気泡噴出装置39のフィルタ54の小径貫通口を通過したゴミや髪の毛等が隙間で目詰まりする可能性がないという利点がある。なお、水面上部にはタンク側壁近傍(タンク内周壁近傍)より気泡が上昇してきて水面上を覆っている。このとき、タンク側壁近傍の気泡は、下から上に上昇してきている最中なので、上方への運動エネルギーを所有しているが、水面上に広がっているタンク31の中央部にある気泡は、上方への運動エネルギーを所有していない。したがって、射流のままタンク31の下部に貯留する水面に至った空気を含む水が、その気泡を容易に水面下に押し込むことができる。つまり、第2実施例でも気泡の移動方向と射流の方向が対向していないので、射流が気泡との衝突によって速度を落として常流となり、気泡上で跳水現象が発生して空気層中を水しぶきが飛び交うといった事態を防止している。
本発明者は、第2実施例の加圧容器30についても、図2に示したエア層の長さと泡層の長さと濁度を加圧容器30に導入される水の流量を変えて検討した。その検討結果が図14に示されており、本検討ではフルード数3.8〜4.5に相当する流量6リットル/分〜7リットル/分の試験データが示されている。なお、図14において、特性線a、b、cは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの泡層の長さを示し、特性線d、e、fは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときのエア層の長さを示し、特性線g、h、iは、それぞれ、前記流量を6リットル/分、6.5リットル/分、7リットル/分としたときの濁度を示している。
また、3分後と4分後について、流量(リットル/分)と、エア長(cm)、泡長(cm)、エア長/泡長、泡長−エア長(cm)、濁度、フルード数、流速(mm/秒)の関係を表2に示す。
図14に示すグラフおよび表2から分かるように、加圧容器30に導入される水の流量によって、エア層の長さ、泡層の長さ、濁度に違いがあることが分かった。また、加圧容器30に注入する水の注入時間が4分までの間は、その時間が増えるに従い、エア層の長さ、泡層の長さ、濁度は全て大きくなることが分かった。
また、この図14および表2に示す第2実施例の検討結果を前記第1実施例の図3および表1に示した検討結果と比較すると、第2実施例は、流量6.5リットル/分において、3分で濁度440(泡層長さが15cm)となっており、第1実施例に比べて濁るのが早く強くなっている。すなわち、前記第1実施例では、図3において、流量6.5リットル/分での3分での濁度は330(泡層長さが13cm)、4分でも390(泡層長さが15cm)となっており、明らかに第2実施例の方が濁るのが早く強くなっている。なお、流量7リットル/分では、前記第1実施例と第2実施例とで優位差がみられないことから、第2実施例の方が前記配管距離によって変化する吐出容量、すなわち流量変化に強い構造であることがわかる。
さらに6.5リットル/分の時の、泡層長さ−エア層長さは、前記第1実施例では3分後に7cmであるのに対し、第2実施例では3分後に11cmとなっている。すなわち、フルード数が4.4の第1実施例よりフルード数が4.1の第2実施例のほうが、フルード数が低いにもかかわらず、泡層長さ−エア層長さが長いことから、第1実施例では、水をタンク31の内周壁面に添わせて流下させている間に流速が落ちる(フルード数が小さくなる)ものと推測され、タンク31の略中央部を添わせるものなく突っ切る第2実施例のほうが、水の流速の減少が少ない(水面到達時のフルード数が第2実施例の方が高い、第2実施例の速度低下<第1実施例の速度低下)ものと考えられる。
このことを示すように、泡長−エア長は、前記第1実施例では5−7cmであり、第2実施例では10−11cmとなっており、第2実施例は、図1(c)のH1と図13(d)のH1で示される、未溶存空気がタンク外に噴出する恐れのごくわずかな差をうまく利用して、流量6.5リットル/分の性能を引き上げ、流量7リットル/分から流量6.5リットル/分に下がっても、濁度の急激な低下をさけられるようにしている。ただし、エア層/泡層の値は、第1実施例が0.46〜0.6であるのに対し、第2実施例では、0.21〜0.27で、明らかに悪くなっており、第2実施例では制御面で難易度が上がっている。
以下、本発明の加圧容器の第3実施例について、図16を参照して説明する。第3実施例は前記第1実施例とほぼ同様に構成されており、第3実施例が第1実施例と異なる特徴的なことは、仕切り板34の上から下へ水を流下させる隙間を、図16(a)に示すように、仕切り板34の外周端において該仕切り板34の外周方向に互いに間隔を介して複数形成された切り欠きKと、タンク31の内周壁との間に形成したことである(図16(b)、参照)。なお、図16においても、電極通過部の穴は表示省略している。また、この例において、切り欠きKは矩形状に形成されて互いに等間隔で配置され、仕切り板34は歯車形状と成しており、仕切り板34をタンク31内に配置した加圧容器30の断面図が、図16(b)に示すようになる。
第3実施例では、注入口32から注ぎ込まれる水は、仕切り板34の中央部上に落下して該仕切り板34上を通った後に、切り欠きKを通り、タンク内周壁の被添面に添ってタンク31の下部側に落下する。すなわち、第3実施例でも、水をタンク内周壁の被添面に添わせて流下させ、水の流下中に周りの空気層A中の空気を取り込みながらタンクの下部側に落下させる。本願発明者は第3実施例でもタンク31の下部に貯留する水面下で跳水現象と見られる渦運動と気泡発生を確認している。そして前記渦運動で攪拌されながら貯留されることによって、前記水にタンク31内の空気が溶存されると共に、仕切り板34の下側に貯留される水の水面と仕切り板34の下面との間にはタンク31内の空気の空気層Aが形成される構成と成している。第3実施例も前記第1実施例と同様の効果を奏することができる。
なお、第3実施例では、図21で後述するように、空気を除いた水のみが切り欠きKを通過する流速としては、約550mm/秒以上位の流速(流量約6リットル/分)となるような隙間を持つことが好ましいことを実験で確認しており、空気混入時には前記流速の数倍となるものと推定している。このような条件を満たす切り欠きKの形成例として、図16(c)に示すように、切り欠きKを仕切り板34に30個形成する例があり、ここで、複数の切り欠きKの総面積(隙間の総面積)が注入口32の断面積50mm2よりも大きい180mm2となるように、幅(タンク31の周方向の長さ)(図16(a)、参照)が2mmで、奥行き(タンク31の直径方向の長さ)(図16(a)、参照)が3mmとする。
なお、隙間3mm(水流の厚みh=0.003m)を通過する水流の流速が約550mm/秒位の流速であっても、限界流c=√(gh)=√(9.8×0.003)=0.17146、すなわち約171mm/秒以上であることからも射流(乱流)と考えられ、第3実施例の場合では、フルード数3.2(流速550mm/秒÷限界流171mm/秒)以上としている。なお、空気を除かない場合(空気混合時の場合)は、この値より大きくなると推定される。
第3実施例では、フルード数を3.2として、前記第1実施例のフルード数3.6よりも小さいフルード数を実現しているのも関わらず、第1実施例では、隙間Sが1.5mmであったのに対し、第3実施例における切り欠きKとタンク31内壁との隙間を3mmと大きくとれるので、前記微細気泡噴出装置39のフィルタ54の小径貫通口を通過したゴミや髪の毛等が隙間で目詰まりする可能性がないという利点がある。
つまり、前記第1実施例の構成において、隙間Sを狭くすれば高いフルード数を得られ、ポンプも小型のものを用いることができるが、一方、隙間Sを小さくすると、微細気泡噴出装置39に設けられているフィルタ54の小径貫通口を通過したゴミや髪の毛等が目詰まりする可能性があり、故障の原因となることが予想されるが、第3実施例では、この点も合わせて解決している。すなわち、第3実施例は、前記第1実施例に比して、隙間Sを狭くするのではなく、間隔を介して複数の切り欠きKを設けることで高いフルード数を得ることができるので、加圧容器30を風呂装置に適用したときの循環ポンプ21も小型のものを用いることができ、しかも、第1実施例では、隙間Sを小さくすると前述のフィルタ54の小径貫通口を通過したゴミや髪の毛等が目詰まりする可能性があるのに対し、第3実施例は、切り欠きKとタンク31内壁との空間を2mm×3mmとして大きくとることで、故障の原因を取り除いた実施形態である。
本発明者は、第3実施例において、切り欠きKの面積(仕切り板34の板面方向の面積)を様々に変えて、前記エア層の長さと泡層の長さと濁度について検討した。本検討では、フルード数3.2(隙間の総面積180mm2、流量6リットル/分のときの値であり、流速550mm/秒÷限界流171mm/秒)〜10.7(隙間の総面積90mm2、7リットル/分のときの値であり、流速1296.3mm/秒÷限界流121mm/秒)に相当する、流量6リットル/分〜7リットル/分の試験データを示す。その結果を、図17〜図19に示す。なお、第1〜第3実施例および後述の第4実施例中で、フルード数の最大値は10.7であるが、空気を除かない場合(空気混合時の場合)は、この値より大きくなると推定される。しかし、フルード数の2乗は、1000(フルード数約32)を超えないものと考えられる。
図17は、複数の切り欠きKの総面積を注入口32の断面積50mm2よりも大きい90mm2(幅2mm×奥行き1.5mmの切り欠きKを30個配設)とし、図18は、複数の切り欠きKの総面積を注入口32の断面積50mm2よりも大きい120mm2(幅2mm×奥行き2mmの切り欠きKを30個配設)とし、図19は、複数の切り欠きKの総面積を180mm2として検討したものであり、それぞれの図において、特性線aは泡層の長さ、特性線bはエア層の長さ、特性線cは濁度を示している。なお、タンク31内に注入する水の流量は、いずれも6.5リットル/分としている。
また、図17、図18、図19において、3分後の値と4分後の値をそれぞれ表3〜表5に示す。
また、図20には、タンク31内に注入する水の流量を6リットル/分とし、複数の切り欠きKの総面積(すなわち、仕切り板34とタンク31の内周壁との隙間の総面積)を変えたときの、泡層の長さに対するエア層の長さの割合(エア長/泡長)の検討結果が特性線aに、濁度平均値が特性線bにそれぞれ示されている。特性線aに示すエア長/泡長の割合は、複数の切り欠きKの総面積が大きくなるにつれて大きくなる傾向を示しており、特性線bに示す濁度平均値は、複数の切り欠きKの総面積が大きくなるにつれて小さくなる傾向を示している。
なお、この検討では、総面積120mm2における検討結果が、エア長/泡長の割合および濁度の両方において、総面積90mm2における値に比べてかなり小さくなっているが、実際には、エア長/泡長の割合は特性線a’に示すように比例的に大きくなり、濁度平均値は、特性線b’に示すように、比例的に小さくなるものと考えられる。これら特性線a’と特性線b’の交点における隙間面積になるように、複数の切り欠きKの総面積を形成することにより、エア長/泡長の割合と濁度とのバランスに優れた加圧容器30が形成されると考えられる。
また、図21には、複数の切り欠きKの総面積を90mm2、120mm2、180mm2としたときの、タンク31内に注入される水の流量と流速との関係を検討した結果が示されている。特性線aは切り欠きKの総面積を90mm2としたときの検討結果、特性線bは切り欠きKの総面積を120mm2としたときの検討結果、特性線cは切り欠きKの総面積を180mm2としたときの検討結果である。これらの特性線に示されるように、切り欠きKの総面積により、タンク31内に注入される水の流量に対する流速が変化するため、この流速が、エア長/泡長の割合と濁度の値に関係していると考えられる。
以上のように、第3実施例の場合、フルード数を第1実施例よりも広範囲に広げたにも関わらず、濁度は低くなったが毛詰まりを防止できた上で、タンク内周壁の被添面を添わせて流下させる一実施例として上げることができる。
なお、複数の切り欠きKの形成に当たり、その総面積が180mm2となるようにするには、幅2mm、奥行き3mmの切り欠きKを30個形成し、切り欠きKの総面積が120mm2となるようにするには、幅2mm、奥行き2mmの切り欠きKを30個形成し、切り欠きKの総面積が90mm2となるようにするには、幅2mm、奥行き1.5mmの切り欠きKを30個形成するというごとく、幅2mm、奥行き1.5mm〜3mmの切り欠きKを30個、互いに間隔を介して形成する。切り欠きKを通った水が、その切り欠きKの幅と同じ幅でもって流下すれば、タンク内周壁には、仕切り板34の切り欠きK同士の間隔に対応する位置に、水の流れのない部分が存在することになるが、水は、タンク内周壁の被添面を添っての流下中に、前記流れのない部分にも広がる。このことから、第3実施例は、水の流下中に、その水の速度が落ちる割合が大きい(第2実施例の速度低下割合<第1実施例の速度低下割合<第3実施例の速度低下割合)と考えられる。したがって、第3実施例で濁度を上げるには、水の流下中の抵抗や、速度の落ちる割合を少なくすればよいと考えられる。
そこで、例えば図22(a)、(b)に示す変形例のように、切り欠きKを仕切り板34の周方向に長い形状としてその個数を例えば4個程度に減らし、切り欠きKと隣り合う切り欠きKとの間隔も広く形成した仕切り板34を形成することが好ましい。この例において、仕切り板34とタンク31の内壁との隙間総面積(仕切り板34の切り欠きKの総面積)を180mm2とする場合は、タンク31の内壁の径が45mmであるのに対し、図22(a)に示すような、仕切り板34の切り欠きKが形成されていない領域の直径D1は略45mm、切り欠きKの奥行き(厚み)tk(切り欠きKの仕切り板直径方向の長さ)を3mmとして、切り欠きKが形成されている領域の直径D2は39mmとする。
そして、切り欠きKの仕切り板周方向の長さは、仕切り板34の中心角α(ここでは40〜46度程度)に対応する値とし、第3実施例で形成した幅2mmの切り欠きKを7〜8個位まとめた形状とし、切り欠きKの間隔の仕切り板周方向の長さは仕切り板34の中心角β’(ここでは50〜44度程度)に対応する値とする。なお、前記隙間総面積が120mm2の場合には、切り欠きKの奥行きtkを2mmとし、切り欠きKが形成されている領域の直径D2は41mmとし、前記隙間総面積が90mm2の場合には、切り欠きKの奥行きtkを1.5mmとして、切り欠きKが形成されている領域の直径D2は42mmとして、同様に仕切り板34を形成する。なお、切り欠きKの形成数を適宜増減させて、その数に対応させて中心角α、β’を適宜大きくしたり小さくしたりしてもよい。
また、切り欠きKを通った水の水流が、隣り合う切り欠きK同士の間隔に広がるのを防止するために、図22(b)に示すように、タンク31の壁面に凹凸を形成するとよい。つまり、切り欠きKと対向する壁面74を凹部に形成し、切り欠きK同士の間隔に対向する壁面75を凸部に形成して、これらの凹部と凸部はタンク31の長手方向に伸設する。また、壁面74が形成されている領域の内壁径を45mmとし、壁面75が形成されている領域の内壁径を39mmとし(仕切り板34における切り欠きKが形成されている領域の直径D2が39mmであることに対応させて)、この段差によって水流が広がることを防止する(凸部を水流広がり防止壁とする)ようにしてもよい。