JP2015076408A - Sf6ガス回収精製装置及びsf6ガス回収精製方法 - Google Patents

Sf6ガス回収精製装置及びsf6ガス回収精製方法 Download PDF

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Junichi Terakado
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Abstract

【課題】回収したSF6ガスは、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSF6の性質を利用することで、精製設備は簡便な構成で十分かつ確実に精製することのできる、SF6ガス回収精製装置を提供する。【解決手段】SF6ガス回収精製装置100は、SF6ガス封入機器10からのSF6ガス2から水分を除去する水分除去部20と、SF6ガス2から酸性ガスを分離する酸性ガス分離部30と、水分を除去または酸性ガスを分離したSF6ガス2を冷却し、SF6ガス2に含まれる不純物ガス6が気体の状態のままでSF6ガス2を凝固してSF6ガス2に含まれる不純物ガス6から分離するSF6ガス凝固分離部80と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、SFガス回収精製装置及びSFガス回収精製方法に関する。
従来、高電圧を有する受変電設備に用いられるガス遮断器などの電気機器において、遮断動作を行う際、機器内での放電、アークの発生を防止するために電気絶縁、消弧の効果のある絶縁ガスが用いられている。
この絶縁ガスとしては、取り扱いが容易であり、しかも絶縁性能及び消弧能力が優れている六フッ化硫黄ガス(以下、SFガスと略称する。)が用いられている。このSFガスは、受変電設備に用いられるガス遮断器、変圧器及び加速器など高電圧で使用する電気機器内に封入されて用いられている。以下、このようなSFガスを封入した機器をSFガス封入機器と称する。
SFガス封入機器に封入されたSFガスは、SFガス封入機器が遮断器である場合、機器の遮断動作に基づく放電およびアークにより、機器内部の樹脂とSFガスの一部が分解し反応してフッ化水素(HF)や二酸化硫黄(SO)などの分解ガスを発生する。SFガス封入機器がガストランスである場合は、長時間の運転時や放電およびアークの無い状態の時にトランスの発熱とトランス内の金属の触媒作用により、上記のSF分解ガスが発生する。
また、このようなアーク等で発生した分解ガスが機器内に設けられた樹脂等と高温下で反応して、HF、SO、またそれ以外では四フッ化メタン(CF)、メタン(CH)、フッ化スルフリル(SO)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)などの分解ガスを発生し、遮断器やガストランス等に封入されたSFガス中に不純物として含有することがある。
また、遮断機等に封入されたSFガスを再使用するためのSFガス回収、充填作業において、空気中の窒素(N)、酸素(O)、水分(HO)およびCOが回収したSFガス中に上記分解ガスとは別の要因にて、SFガス中に混入する事が少なくない。以下、これらSFガスとは異なるSFガス中に含有するガスを不純物ガスと称する。
上記のように回収したSFガスを、使用機器に再封入するためには、絶縁性能を満足する純度が要求される。この純度としては、一般的に容量パーセント濃度(以下、単に純度と称する。)が97vol%以上であり、水分は100ppm以下であり、酸性分解ガスが検出されないことが社団法人電気協同研究会「電力用SFガス取扱基準」電気協同研究第54号第3号に記載されており、この回収したSFガスは上記純度以上を維持するように管理され用いることが求められている。ここで、分解ガス及び空気成分によって混入したCO、CF、CH、N、Oの除去精製は難しいと云われている。
回収した低純度のSFガスは、上記純度以上に維持するために、上記不純物ガスを除去する必要があり、このためSFガスの精製が行われる。回収したSFガスを精製する技術としては、例えば特許文献1に記載がされている。特許文献1には、電気機器からのSFガス中の分解ガスを加水分解して除去し、水分を除去し、残留している水分、加水分離性ガス、有機性ガスおよび加水分解性ガスを除去し、冷却して液化する手段について記載されている。
特開平09−290147号公報
上述した特許文献1に記載の手段では、SFガス封入機器から回収したSFガスを精製するために、加水分解、水分除去、加水分離性ガスの除去、有機性ガスの除去および加水分解性ガスの除去、さらには回収作業中等にSFガス封入機器内に混入したN、OやCOの除去を行うための精製手段がそれぞれ必要となる。近年は、より簡便な構成で、十分かつ確実なSFガスを精製することができる手段が求められている。
本発明の目的は、回収したSFガスは、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSFの性質を利用することで、精製設備は簡便な構成で十分かつ確実に精製することのできる、SFガス回収精製装置を提供することである。
本発明の目的は、また、回収したSFガスは、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSFの性質を利用することで、簡潔な方法で十分かつ確実に精製することのできる、SFガス回収精製方法を提供することである。
本発明のSFガス回収精製装置は、SFガスが封入されているSFガス封入機器から前記SFガスを回収し、前記回収したSFガスを精製するSFガス回収精製装置であって、前記SFガス封入機器からの前記SFガスから水分を除去する水分除去部と、前記SFガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離部と、前記水分を除去または酸性ガスを分離した前記SFガスを冷却し、前記SFガスに含まれる不純物ガスが気体の状態のままで前記SFガスを凝固して前記SFガスに含まれる不純物ガスから分離するSFガス凝固分離部と、を備えることを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製装置は、また、前記水分を除去して前記酸性ガスを分離または前記酸性ガスを分離した前記SFガスから水分を除去する第2の水分除去部を備えることを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製装置は、また、前記水分除去部または前記酸性ガス分離部による前記SFガスの水分の除去または酸性ガスの分離には、ゼオライト、アルミナ、ソーダライム、アルカリ金属剤もしくはこれらの混合物が用いられることを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製装置は、また、前記SFガスを冷却する温度は、前記SFガスの昇華温度である−63.9℃以下であることを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製装置は、また、前記SFガス封入機器からの前記SFガスの圧力を調整するための真空ポンプもしくは圧縮機を備えることを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製装置は、また、前記ガス凝固分離部は、前記酸性ガスを分離した前記SFガスを収容するSFガス収容容器と、前記SFガス収容容器を内包し、前記SFガス収容容器を冷却する冷却媒体を含んだSFガス冷却容器とからなることを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製方法は、SFガスが封入されているSFガス封入機器から前記SFガスを回収し、前記回収したSFガスを精製するSFガス回収精製装置によって行うSFガス回収精製方法であって、水分除去部が、前記SFガス封入機器からの前記SFガスから水分を除去し、酸性ガス分離部が、前記SFガスから酸性ガスを分離し、SFガス凝固分離部が、前記水分を除去または前記酸性ガスを分離した前記SFガスを冷却し、前記SFガスに含まれる不純物ガスが気体の状態のままで前記SFガスを凝固して前記SFガスに含まれる不純物ガスから分離すること、を特徴としている。
本発明のSFガス回収精製方法は、また、第2の水分除去部が、前記水分を除去して前記酸性ガスを分離または前記酸性ガスを分離した前記SFガスから水分を除去することを特徴としている。
本発明のSFガス回収精製装置によれば、回収したSFガスは、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSFの性質を利用することで、精製設備は簡便な構成で十分かつ確実に精製することのできる、SFガス回収精製装置を提供することができる。
本発明のSFガス回収精製方法によれば、回収したSFガスは、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSFの性質を利用することで、簡潔な方法で十分かつ確実に精製することのできる、SFガス回収精製方法を提供することができる。
本発明の実施例であるSFガス回収精製装置の構成を示す全体概略図である。 本発明の別の実施例であるSFガス回収精製装置の構成の一部分を示す部分拡大図である。 本発明の実施例であるSFガス回収精製装置による回収したSFガスの精製結果を表で説明する図である。 本発明の実施例であるSFガス回収精製装置で行うSFガス回収精製方法の手順をフローチャートで説明する図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、略同じ動作をなし略同じ機能を有する構成、あるいは略同じ処理を行うステップには、同一の符号を付す。同じ構成や同じステップについて、説明の繰り返しを省略する場合がある。また、以下SFガスを回収するとは、SFガス封入機器からのSFガスがガスホースなどのガス伝達手段を介してSFガス凝固分離部やSFガス回収容器に送ることの意味で説明する。
図1は、本発明の実施例であるSFガス回収精製装置100の構成を示す全体概略図である。一部は断面を示している。本実施例のSFガス回収装置100の基本構成は、SFガス2が封入されているSFガス封入機器10からSFガス2を回収し、回収したSFガス2を精製するSFガス回収精製装置100であって、SFガス封入機器10からのSFガス2から水分を除去する水分除去部20と、SFガス2から酸性ガスを分離する酸性ガス分離部30と、水分を除去または酸性ガスを分離したSFガス2を冷却し、SFガス2に含まれる不純物ガスが気体の状態のままでSFガス2を凝固してSFガス2に含まれる不純物ガス6から分離するSFガス凝固分離部80とから構成されている。
SFガス封入機器10は、機器内に電気絶縁効果のある絶縁ガスとしてSFガス2を封入し小型化された構成となっており、高電圧を有する受変電設備に用いられるガス遮断器、変圧器及び加速器等のガス絶縁電気機器として適用されているものである。SFガス封入機器10と水分除去部20との間には、SFガス封入機器10からのSFガス2を水分除去部20に送るためのガスホース12、16と、ガスホース12からガス回収ホース16へのSFガス2の量を調整するための弁14が設けられる。
水分除去部20は、水分(HO)を分子吸着により除去するための除去剤または吸着材を充填した水分除去筒からなっており、SFガス封入機器10からのSFガス2を通して、SFガス2中の水分を除去する。水分除去部20と酸性ガス分離部30との間には、水分を除去したSFガス2を送るためのガスホース22が設けられる。
酸性ガス分離部30は、SFガス2に含まれる酸性を示す酸性ガスHF、SO、SO、COを中和反応または分子吸着により分離するための除去剤または吸着剤を充填した酸性ガス分離筒からなっており、SFガス2を通して、SFガス2中の酸性ガスを分離する。上記酸性ガスを中和反応により分離する際は、安定した塩化物が形成される。形成された塩化物は、固体であり、反応後、フィルタリングにより容易に除去でき反応後に精製SFガス中に固形物として混入することはない。
ここで、上記分離された酸性ガスは、除去剤または吸着剤との反応により水分を形成するものがある。この場合に、酸性ガス分離部30の後段に第2の水分除去部40を設けて、上記酸性ガスを分離したSFガス2を通すことで、SFガス2中の水分を除去することができる。第2の水分除去部40は、上記水分除去部20と同様の構成である。上記分離された酸性ガスに、除去剤または吸着剤との反応により水分を形成するものが無い場合には、第2の水分除去部40は設けなくともよい。これは、水分除去部20でSFガス封入機器10からのSFガス2中の水分の除去が完了するためである。
第2の水分除去部40を設けない場合は、酸性ガス分離部30とSFガス凝固分離部80との間に酸性ガスを分離したSFガス2を送るためのガスホースが設けられ、第2の水分除去部40を設ける場合は、酸性ガス分離部30と第2の水分除去部40との間に酸性ガスを分離したSFガス2を水分除去部20に送るためのガスホース32が設けられる。以下の説明では、上記第2の水分除去部40を設ける場合について説明する。
ここで、SFガス凝固分離部80へ送るSFガス2中の水分が20volppm以下となっていれば、水分除去部20、酸性ガス分離部30を設ける順序は、どちらが先にあってもよい。
水分除去部20、第2の水分除去部40で用いられる除去剤または吸着剤としては、ゼオライト、アルミナ、シリカゲルおよび生石灰が用いられる。ゼオライトとアルミナは単体もしくはこれらの混合体が用いられ、アルミナとシリカゲルは上記ゼオライト、アルミナ、もしくはこれらの混合体との組み合せで用いられる。
また、酸性ガス分離部30で用いられる除去剤または吸着剤としては、ゼオライト、アルミナ、ソーダライムおよびアルカリ金属剤が用いられる。これらゼオライト、アルミナ、ソーダライムおよびアルカリ金属剤は、単体もしくはこれらの混合体が用いられる。
ここで、ソーダライムは、水酸化カルシウムを主成分とした炭酸ガス、各種酸性ガス等の吸収剤であり、日本工業規格 ソーダ石灰(試薬)K8603に適合し、ガス吸収能力の優秀性が保証されている。HF、SOの酸性ガスとの反応例を以下に示す。
SO+Ca(OH)+1/2O→CaSO+H
2HF+Ca(OH)→CaF+2H
また、上述のように、ゼオライトと、アルミナ、アルカリ金属剤により、水分除去と酸性ガス分離をすることができる。ここで、ゼオライトは、合成ゼオライト系吸着剤であるゼオラム(登録商標)の使用が好ましい。このゼオラムは、ゼオライト種により吸着する水分やガスの分子径が違っており、分子径を選択することで、SFガス中の水分や酸性ガスおよびその他の中性を示すCO、CF、CH、N、Oを吸着除去することができる。これにより、酸性ガス分離部30の吸着剤にゼオライトを用いる場合、吸着圧力を制御する事により、純度の低いSFガスにおいても吸着剤の吸着分離でNおよびOの含有量を100volppm程度にする事ができる。
SFガス凝固分離部80は、上記水分を除去または酸性ガスを分離したSFガス2を冷却し、SFガス2に含まれる不純物ガスが気体の状態のままでSFガス2を凝固してSFガス2に含まれる不純物ガス6から分離する機能を有している。
上記水分を除去または酸性ガスを分離したSFガス2は、上記その他の中性を示すCO、CF、CH、N、Oを含んだ状態となっている。これらの凝固温度に注目すると、SFガスは−51℃以下で凝固するのに対し、SFガス以外の上記中性ガスの凝固点はそれぞれCO:−205℃、CF:−184℃、CH:−182℃、N:−210℃およびO:−205℃であり、SFガスの凝固点に比べて低温の領域に存在する。
本願の発明者はこの点に注目し、本発明をしたのであり、上記水分を除去または酸性ガスを分離したSFガス2を−51℃以下の低温雰囲気に連続的に通過させれば、SFのみが高純度の状態で凝縮固化し、上記CO、CF、CH、N、Oガスは凝縮固化されずに気体の状態のままSFガス2から分離することとなる。これら分離した中性ガスを断続的に排出することにより、容易に高純度のSFガスを凝縮固化し濃縮することができる。本実施例のSFガス回収精製装置100では、上記の処理をSFガス凝固分離部80でおこなうので、容易に高純度のSFガス2を凝縮固化し濃縮することができる。
本実施例におけるSFガス精製装置100によれば、水分除去部20、酸性ガス分離部30で、SFガス封入機器10から回収したSFガス2に含まれる水分と酸性ガス成分がほとんど除去されるため、SFガス凝固分離部80に送られるSFガス2に含まれる残りの不純物は、上記CO、CF、CH、N、Oの中性ガス成分がほとんどを占める。このような状態で、SFガス凝固分離部80でSFガス2を上述のように凝縮固化することでSFガス2から残りの不純物ガスを除去するので、回収したSFガス2は、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSFの性質を利用することで、精製設備は簡便な構成で十分かつ確実に精製することができる。
ここで、SFは、−51℃以下で固体化するものの、ドライアイスと同様に固化した状態でも昇華する性質を持っている。固体SFの昇華温度は大気圧下で−63.9℃である。従って、固体SFを−63.9〜−51度の範囲の温度雰囲気では、SFは固体を形成するが、同時に昇華してしまうため上記CO、CF、CH、N、Oガスと共にSFが排出されることになってしまい、SFの凝縮固化でのSF回収率を低下させてしまう恐れがある。
このため、SFガス凝固分離部80によるSFガス2を冷却する温度は、−63.9℃以下であることが好ましい。このようにすれば、上記昇華に基づくSFガスの排出を防止することができる。SFガス2を−63.9℃以下にするためには、ドライアイス(−79℃)または液化窒素(−196℃)等の冷却媒体を使用した低温固化凝縮器を用いることで容易に−63.9℃以下の低温雰囲気を確保する事ができる。
上記SFガス2を−63.9℃以下にするための具体的な構成例を以下説明する。SFガス凝固分離部80は、図1に示すように、上記酸性ガスを分離したSFガス2を収容するSFガス収容容器82と、SFガス収容容器82を内包し、SFガス収容容器82を冷却する冷却媒体4を含んだSFガス冷却容器84とから構成される。
SFガス収容容器82およびSFガス冷却容器84としては、極低温の状態でも高圧ガス保安法の技術上の基準を満足する、高圧ガス保安法に定めるステンレス鋼材(SUS304、SUS316等)による特定則容器、および容器則に準じたものを使用することが好ましい。
また、第2の水分除去部40とSFガス収容容器82との間には、上記水分を除去して酸性ガスを分離したSFガス2を送るためのガスホース72、112とガスホース72からガスホース112へのSFガス2の量を調整するための弁112が設けられる。
また、SFガス冷却容器84には、冷却媒体4をSFガス冷却容器84内部に送るためのガスホース122、126とガスホース122からガスホース126への冷却媒体4の量を調整するための弁124が設けられる。ここで、冷却媒体4としては、上述したように、ドライアイスや液化窒素などの媒体が用いられる。この冷却媒体4は、図示しない外部の供給手段によりガスホース122を介して供給される。
また、SFガス凝固分離部80には、上記凝縮固化されずに気体の状態のままSFガス2から分離されたCO、CF、CH、N、Oガスである不純物ガス6を排出するためのガスホース132、136とガスホース132からガスホース136への不純物ガス6の量を調整するための弁134が設けられる。また、SFガス凝固分離部80には、上記と同様にして不純物ガス6を排出するためのガスホース142、146とガスホース142からガスホース146への不純物ガス6の量を調整するための弁144と、ガスホース142から不純物ガス6を排出させるための真空ポンプ140が設けられる。本実施例では、SFガス収容容器82に設けられる図示しない圧力スイッチによりSFガス収容容器82内圧力が検知され、圧力が大気圧を超える場合には不純物ガス6はガスホース132を介して排出され、圧力が大気圧以下の場合には不純物ガス6は真空ポンプ140の動作によりガスホース142から排出される。
上記のように凝縮固化することで不純物ガスが分離されたSFガス2は、SFガス冷却容器84に注入されていた冷却媒体4が排出されることにより、SFガス収容容器82内の温度は常温になり、液化する。液化したSFガス2は、SFガス収容容器82に設けたホース154、158を介して、液化SFガス収容容器150内に回収される。ガスホース154からガスホース158への液化したSFガス2の送る量は弁156によって調整される。また、液化SFガス収容容器150による液化したSFガス2の取入れは、取り出し口152によってガスホース158からの液化したSFガス2を取り入れることにより行われる。
ここで、ガスホース12、16、22、32、72、114、122、126、132、136、142、146およびホース154、158は、加圧状態から真空状態までの圧力範囲においても使用するのに耐えることができる材質のものが用いられ、運搬、設置のハンドリングおよび接続時のガス気密性を考慮して、所定重量若しくは所定長さで区切るなどして分割して用いられる。ここで、加圧状態とは、SFガス封入機器内のSFガスが大気圧である101.3kPa以上の圧力雰囲気にある状態をいい、真空状態とは、SFガス封入機器内のSFガスが1Pa〜100kPaの大気圧下の負圧力下にある状態をいう。
本実施例においては、SFガス封入機器10より、SFガス収容容器82へのSFガス2の移送は、SFガス封入機器10内の圧力が大気圧以上の圧力の状態ではSFガス封入機器10内の圧力でSFガス2を移送することができる。本実施例では、SFガス2の凝縮固化によるSFの分圧の低下現象による負圧下作用のみで、SFガス封入機器10とSFガス収容容器82との間に後述する真空ポンプ50や圧縮機70を用いることを要せずSFガス2のSFガス収容容器82へ移送することができる。この場合には、不純物ガス6がSFガス収容容器82の上部に濃縮するので、真空ポンプ140で不純物ガス6を排気すればSFガス収容容器82の内部は凝縮固化した高純度の固化SFガス2のみとなる。
特に、SFガス2中の分解ガスの含有量が少ないときには、SFガス2の凝縮固化により、SFガス収容容器82に供給されるSFガス2の圧力が大気圧以下の真空状態になり、SFガス封入機器10からのSFガスとSFガス収容容器82間の接続配管やガスホースのコンダクタンス(圧力損失抵抗)が少なければ、SFガス封入機器10とSFガス収容容器82との間に真空ポンプ50や圧縮機70を必要としない。
また、SFガス封入機器10内の圧力が大気圧状態以上のときには、吐出圧力が1MPa以下の圧縮ポンプ70を用いてSFを輸送し、またSFガス封入機器10内の圧力が大気圧以下の場合のSFガスを回収する時には、真空回収ポンプ50を用いてSFガス収容容器82に移送する事ができる。SFガス収容容器82にCO、CF、CH、N、Oガスを分離濃縮した時点で、真空回収ポンプ140によりSFガス収容容器82の不純ガスを全量排出ができる。
図2は、本発明の別の実施例であるSFガス回収精製装置の構成の一部分を示す部分拡大図である。この実施例では、SFガス封入機器10からのSFガス2の圧力を調整するための真空ポンプ50もしくは圧縮機70を備えている。
SFガス封入機器内のSFガス2圧力が大気圧力以下である状態の場合は、SFガス封入機器10内は負圧状態となる。この時、真空回収ポンプ50を用いてSFガス封入機器10からのSFガス2を引き出して、圧縮機を介して引き出したSFガスをSFガス収容容器82に加圧して充填することで、より確実にSFガス封入機器内のSFガス2を回収することができる。
具体的な構成としては、ガスホース72の間に設けるものであり、ガスホース72からのSFガス2の量を調整もしくは遮断するための弁52と58の間に真空ポンプ50が設けられ、また中継点54、56から分岐してガスホース62、66とガスホース62からガスホース66へのSFガス2の量を調整もしくは遮断するための弁64からなり、その後段には更に弁74を介して圧縮機70が設けられる。このような構成によれば、SFガス封入機器内のSFガス2圧力が大気圧力を超える場合は、真空ポンプ50を動作せず、弁52と58を閉じ、弁64を開けることで、ガスホース62へとSFガス封入機器からのSFガス2をバイパス通過させ、SFガス2を圧縮機70によりSFガス収容容器82に加圧して充填することを行う。また、SFガス封入機器内のSFガス2圧力が大気圧力以下である場合は、真空ポンプ50を動作させ、弁52と58を空け、弁64を閉じることで、ガスホース52へとSFガス封入機器からのSFガス2を通過させ、SFガス2を圧縮機70によりSFガス収容容器82に加圧して充填することを行う。以上の構成によっても、上述の実施例と同様の効果を奏することができる。
図3は、本発明の実施例であるSFガス回収精製装置による回収したSFガスの精製結果を表で説明する図である。まず図3の表について説明すると、試験(1)と試験(2)と二つの例についてのSFガスの精製結果を示しており、“−”の表記は、該当ガス組成のガスの測定をしていないことを示す。また、“<10”の表記は、測定器の測定下限値が10ppm、含有値は0〜10ppmの範囲であることを示し、“<50”の表記は、測定器の測定下限値が50ppm、含有値は0〜50ppmの範囲であることを示す。また、図中の6番目の「SF、SO」の表記は、ガス組成がSFとSOの混合体であることを示す。
図3によれば、いずれの結果においても、以下の様となっている。
・電気絶縁性能で最も性能を低下させる要因となるHOの精製後の純度は、20ppm以下となっており、精製されたSFガスは高純度ガスとなったと言える。
・HF、SO、CF、CH、SO、SF、CO、SF、COの酸性分解ガスは零値または測定器の検出下限値以下を示す結果となっており、実質0ppmとなっている。
・不純物のうち中性であるCF、CH、CO、N、Oも検出下限値を示している。
・以上の結果によれば、市販のSFガスと同等の高純度SFの純度および不純物ガスの含有規制値に入っている。
図4は、本発明の実施例であるSFガス回収精製装置100で行うSFガス回収精製方法の手順をフローチャートで説明する図である。ここで、同じ符号の構成は、上述の説明と同様の構成、機能を有する。
まず、SFガス回収精製装置100のガスホースの接続により、SFガス封入機器10からSFガス2の引き出しを行う(S101)。
次に、水分除去部20が、SFガス封入機器10からのSFガス2から水分を除去する(S102)。
次に、酸性ガス分離部30が、SFガス2から酸性ガスを分離する(S103)。
次に、SFガス凝固分離部80が、上記酸性ガスを分離したSFガス2を冷却する(S104)。また、酸性ガス分離部30を水分除去部20の前段に設け、回収したSFガス2の酸性ガスを分離した後に水分を除去した場合は、上記水分を除去したSFガス2を冷却する。そして、SFガス2に含まれる不純物ガス6が気体の状態のままでSFガス2を凝固してSFガス2に含まれる不純物ガス6から分離する(S105)。
そして、収容容器82に分離したSFガス2を液化し、液化したSFガス2を液化SFガス収容容器に回収する(S106)。
以上のようにして、SFガス封入機器10からSFガス2の精製が行われる。また、本発明の実施例であるSFガス回収精製装置100で行うSFガス回収精製方法は、上述したように、第2の水分除去部40が、水分を除去して酸性ガスを分離または酸性ガスを分離したSFガス2から水分を除去することを行ってもよい。
このように、本発明のSFガス回収精製方法によれば、回収したSF6ガスは、SF6と不純物ガスとの凝固点の差異を利用することで、簡潔な方法で十分かつ確実に精製することのできるSF6ガス回収精製方法を提供することができる。
従来では、ゼオライト単体でSFガスからの不純物を吸着除去することが提案されていたが、そのためにはゼオライトの吸着圧力を制御した吸着装置が必要となり、吸着圧力の制御は、ガスの加圧用の圧縮器と吸着ガスの脱着用の真空回収ポンプ等によるガス圧力の調整システムが必要となってしまい、さらにこれらを用いてもSFガス中に100ppm程度のN、Oが残留してしまうことがあった。また、分子口径の異なる上述の多種類の不純物ガスを全て吸着するためには、ガス種毎に吸着剤種と吸着圧力の複雑な制御が必要となり、機器構成及び圧力純度管理するための構成を備えるために大型な構成を要し更に不経済であった。また、従来不純物の除去方法として大型の精製プラントによる液化蒸留精製法が用いられているが、この手法では分留するガス種毎の蒸気圧が異なるため、ガス種毎の蒸留設備を作る必要があった。特に、液化蒸留精製では、蒸留のために多量の液化ガスを製造した上で、蒸留する必要があり、小量のSFガスの精製には不適であった。
これに対し、本実施例のSFガス回収精製装置100は、上述の構成により、水分除去部20、酸性ガス分離部30およびSFガス凝固分離部80によって、上述のようにSFガスからの不純物を除去するのであるので、回収したSFガスは、不純物ガスとの凝固点の差異を有するSFの性質を利用することで、精製設備は簡便な構成で十分かつ確実に精製することのできる、SFガス回収精製装置を提供することができる。
2…SFガス、4…冷却媒体、6…不純物ガス、10…SFガス封入機器、20、40…水分除去部、30…酸性ガス分離部、50、140…真空ポンプ、70…圧縮機、80…SFガス凝固分離部、82…SFガス収容容器、84…SFガス冷却容器、100…SFガス回収精製装置、150…液化SFガス収容容器。

Claims (7)

  1. SFガスが封入されているSFガス封入機器から前記SFガスを回収し、前記回収したSFガスを精製するSFガス回収精製装置であって、
    前記SFガス封入機器からの前記SFガスから水分を除去する水分除去部と、
    前記SFガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離部と、
    前記水分を除去および酸性ガスを分離した前記SF ガスを凝固して前記SF ガスに含まれる不純物ガスを分離するSF ガス収容容器と、該SF ガス収容容器を内包し、SF ガス収容容器を冷却する冷却媒体を含んだSF ガス冷却容器とを備えたSF 凝固回収部と、からなり、
    前記水分を除去および酸性ガスを分離された前記SF ガスの全部が前記SF ガス冷却容器に内包されたSF ガス収容容器に収容され、前記SF ガス冷却容器の冷却媒体が前記SF ガスの全部が供給された前記SF ガス収容容器の周囲に冷却媒体層を形成し、前記SF ガス収容容器内で、前記収容されたSF ガスの全部が前記冷却媒体層により−51℃以下に冷却されて凝固され、凝固されたSF ガスが回収され、前記水分除去および酸性ガスが分離されたSF ガスに含まれる不純物ガスが気体の状態のままで分離されること
    特徴とするSFガス回収精製装置。
  2. 請求項1に記載のSFガス回収精製装置において、前記水分を除去して前記酸性ガスを分離または前記酸性ガスを分離した前記SFガスから水分を除去する第2の水分除去部を備えることを特徴とするSFガス回収精製装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のSFガス回収精製装置において、前記水分除去部または前記酸性ガス分離部による前記SFガスの水分の除去または酸性ガスの分離には、ゼオライト、アルミナ、ソーダライム、アルカリ金属剤もしくはこれらの混合物が用いられることを特徴とするSFガス回収精製装置。
  4. 請求項1に記載のSFガス回収精製装置において、前記SFガスを冷却する温度は、前記SFガスの昇華温度である−63.9℃以下であることを特徴とするSFガス回収精製装置。
  5. 請求項1に記載のSFガス回収精製装置において、前記SFガス封入機器からの前記SFガスの圧力を調整するための真空ポンプもしくは圧縮機を備えることを特徴とするSFガス回収精製装置。
  6. SFガスが封入されているSFガス封入機器から前記SFガスを回収し、前記回収したSFガスを精製するSFガス回収精製装置によって行うSFガス回収精製方法であって、
    水分除去部が、前記SFガス封入機器からの前記SFガスから水分を除去し、
    酸性ガス分離部が、前記SFガスから酸性ガスを分離し、
    単体のSF ガス冷却容器のSF ガス収容容器を内包するSF ガス冷却容器の冷却媒体が形成した冷却媒体層が、前記水分を除去および酸性ガスを分離した前記SF ガスの全部を収容するSF ガス収容容器内で、前記収容したSF ガスの全部を−51℃以下で冷却して凝固し、SF ガス収容容器が、凝固したSF ガスを回収し、前記水分除去および酸性ガスが分離したSF ガスに含まれる不純物ガスを気体の状態のままで分離すること、
    を特徴とするSFガス回収精製装置のSFガス回収精製方法。
  7. 請求項6記載のSFガス回収精製装置のSFガス回収精製方法において、第2の水分除去部が、前記水分を除去して前記酸性ガスを分離または前記酸性ガスを分離した前記SFガスから水分を除去することを特徴とするガス回収精製装置によって行うSFガス回収精製方法。
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