JP2015075616A - 平面光導波路の製造方法及びモード合分波器 - Google Patents

平面光導波路の製造方法及びモード合分波器 Download PDF

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Abstract

【課題】コアの形状を限定せず、且つコアを損傷させずに同一平面内に異なる径のコアを形成できる平面光導波路の製造方法及びこの製造方法で製造したモード合分波器を提供する。【解決手段】クラッドとなる下部クラッド層142を必要な高さだけ積層し、下部クラッド層142の形状をフォトリソグラフィー法や反応性イオンエッチング法などにより所望の形状に加工し、コアとなるクラッドよりも屈折率が高いコア層143を必要な高さだけ積層し、下部クラッド層142の形状の加工と同様にコアの形状をエッチングし所望の光導波路111、113の幅や間隔を作製し、さらにクラッド層となる上部クラッド層144で光導波路全体を覆う。【選択図】図2

Description

本発明は、平面光導波路の製造方法、及び当該製造方法で製造されたモード合分波器に関する。
現在、光ファイバネットワークにおけるトラフィックは増大しており、伝送速度の高速化や波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術による波長多重数の増加、多値変調など様々な手法を用いて伝送容量の拡大を図ってきた。しかし、将来的に既設の伝送路、従来の伝送方式を用いての伝送容量の拡大が困難になると予想されるため、波長領域の拡大、新たな伝送ファイバ、及び新たな伝送方式が検討されている。
波長領域を拡大する方法として、現在利用されていない波長帯を利用して、広波長域のWDMを実現し伝送容量を増大させる検討もなされている。しかし、伝送損失が波長帯により異なるため、使用できる波長帯は限定されると考えられ、さらに、広波長域にわたり増幅が可能な光増幅器も実現が困難なため、広波長域のWDMが実用に至るためには多くの課題がある。
新たな伝送ファイバに関しては、ファイバ非線形による波形歪を抑圧するために実効断面積(Aeff)が拡大できるファイバ構造が提案されている。ファイバ非線形の抑圧はファイバへ入力できる入力パワーの増加につながり、入力パワーの増加が可能になれば伝送速度の高速化、更なる多値化が可能になるなどの優位性が得られる。しかし、非特許文献1に示されるようにAeffの拡大は単一モード動作を前提としているため、曲げ損失と単一モード動作がトレードオフの関係にあることからAeffの大幅な拡大が困難という課題がある。
新たな伝送方式に関しては、非特許文献2に示されている無線の伝送方式において周波数利用効率を向上させるために利用されている直交した周波数成分を利用するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)や、非特許文献3に示されているようにMIMO(Multiple Input Multiple Output)をマルチモード光ファイバに適用することが検討されているが、送受信機において複雑な信号処理を必要とするため、演算処理の高速化などの課題がある。
さらには、特許文献1に光ファイバの伝搬モードを利用した多重方法も提案されているが、所望の高次モードを励振する方法が提案されておらず、単一波長で利用することを前提としているため、大容量化の実現が困難という課題がある。光ファイバの伝搬モードを利用するためのモード分波器として非特許文献3に示されるように受光する位置を変化させてモードの分波を行う方法が提案されているが、多くの高次モードが存在する状況では、モード間の漏話が大きくなり、受光器の設計も複雑になるため、伝搬モードをキャリアとして利用するモード多重伝送においての利用については好ましくない。
伝搬モードが複数存在する光ファイバを利用して、光ファイバの伝搬モードそれぞれをキャリアとして利用するモード多重伝送において、既存のデバイスは基本モードでの動作が前提であるため、既存のファイバデバイスをそのまま用いてモード多重伝送を実現することは困難である。また、これまで提案されているモード合分波器は、分波効率が悪いため、長距離伝送や高速な信号の伝送が困難であり、また空間系を利用するため構成が複雑になるなどの課題がある。空間系を用いた方法では、非特許文献4に記載されているようにモードごとに高い分波効率を実現することが可能であるが、挿入損失が8dB以上と大きくデバイスの小型化が困難であるなどの課題もある。
近年、非特許文献5に示されるように非対称平行光導波路を用いた2モード合分波器が提案されており、非対称平行光導波路を用いることで送受信端では基本モードのみで信号を扱うことが可能であり、既存のデバイスをそのまま用いることが可能になる。しかしながら、現状の光導波路の作製方法では同一平面内でコアの高さ方向の大きさが異なる平行光導波路を実現することは困難である。
特許文献2、特許文献3に示されるようにコア径の異なる平行光導波路を実現する方法が提案されている。特許文献2に記載の方法は、高さが等しい平行光導波路において、コアの幅を異なる場合にエッチングを複数回繰り返し、コア形状が三角形になるまでエッチングを行うことでコアの高さが異なる三角形の平行光導波路を作製方法が提案されている。
特許文献3においては、異なる高さのコア径の平行光導波路を作製するために、複数のコア層を堆積させて反応性イオンエッチングなどを複数回用いることで、コアの高さが異なる矩形形状の平行光導波路の作製方法が提案されている。
特開平8−288911号公報 特開2002−006162号公報 特開2002−277662号公報
松井 他、"Single−mode photonic crystal fiber with low bending loss and Aeff of > 200 μm2 for ultra high−speed WDM transmission"、OFC2010、PDPA2. Benn C. Thomsen、"MIMO enabled 40Gb/s transmission using mode division multiplexing in multimode fiber"、OFC2010、OthM6. C. P. Tsekrekos、他、"Mode−selective spatial filtering for increased robustness in a mode group diversity multiplexing link"、OPTICS LETTERS、Vol.32、No.9、2007. R.Ryf、他、"Optical Coupling Components for Spatial Multiplexing in Multi−Mode Fibers"、ECOC2011、Th.12.B.1. N.Hanzawa、他、"Asymmetric parallel waveguide with mode conversion for mode and wavelength division multiplexing transmission"、OFC2012、OTu1l.4.
同一平面内に異なるコア径を形成する方法はいくつか提案されているが課題がある。特許文献2に記載された方法は、幅の異なる矩形の光導波路に対して、エッチングを続けると三角形の形状になりコアの幅に比例して高さが異なるコア径を作製できるというものであるが、形状が三角形に制限されるという課題がある。特許文献3に記載された方法では、フォトリソグラフィー法や反応性イオンエッチング法を使い分ける必要があり、大きさの異なるコアの数だけ、コアを作製する工程が増えるため、2つめ以降のコアの作製工程において先に作製したコアが損傷されやすいという課題がある。
そこで、本発明は、コアの形状を限定せず、且つコアを損傷させずに同一平面内に異なる径のコアを形成できる平面光導波路の製造方法及びこの製造方法で製造したモード合分波器を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、クラッドとなる第1層目を必要な高さだけ積層し、第1層目の形状をフォトリソグラフィー法や反応性イオンエッチング法などにより所望の形状に加工し、コアとなるクラッドよりも屈折率が高い第2層目を必要な高さだけ積層し、第1層目の形状の加工と同様にコアの形状をエッチングし所望の光導波路の幅や間隔を作製し、さらにクラッド層となる第3層目で光導波路全体を覆うこととした。
具体的には、本発明にかかる平面光導波路の製造方法は、平面光導波路を製造する平面光導波路の製造方法であって、
下部クラッド層となる基板又は基板上にクラッド材を一様に堆積した下部クラッド層を深さ方向にエッチングして所望のベースパターンを形成する下部クラッド層エッチング工程と、
前記下部クラッド層を覆うようにコア材を一様に堆積してコア層を形成するコア層堆積工程と、
前記コア層を深さ方向にエッチングして光導波路パターンを形成するコア層エッチング工程と、
前記コア層及び前記下部クラッド層を覆うように前記クラッド材を一様に堆積して上部クラッド層を形成する上部クラッド層堆積工程と、
を順に行うことを特徴とする。
ベースパターンを形成する際に下部クラッド層の基板からの高さを考慮することで、断面において径の異なるコアや所望の形状のコアを同時に形成することができる。従って、本発明は、コアの形状を限定せず、且つコアを損傷させずに同一平面内に異なる径のコアを形成できる平面光導波路の製造方法を提供することができる。
本発明にかかる平面光導波路の製造方法では、前記クラッド材と前記コア材とは、前記コア層エッチング工程での前記下部クラッド層と前記コア層とのエッチングレートが異なる材質であることを特徴とする。
本発明にかかる平面光導波路の製造方法では、1の断面に現れる、前記コア層エッチング工程で形成される前記光導波路パターンのコア層の、前記クラッド材と前記コア材の堆積方向における位置を、前記下部クラッド層エッチング工程で形成する前記ベースパターンの前記下部クラッド層で決定することを特徴とする。下部クラッド層の厚みやエッチング量を考慮してベースパターンを形成し、さらにベースパターンと光導波路パターンとの関係を考慮することで、基板からの高さが異なるコアを形成することができる。
本発明にかかる平面光導波路の製造方法では、前記コア層エッチング工程終了後に、1の断面に現れる、前記光導波路パターンの前記コア層が前記ベースパターンの前記下部クラッド層の周囲を覆う形状になることを特徴とする。ベースパターンの下部クラッドをコアが完全に覆うようにベースパターンと光導波路パターンとの関係を考慮することで、断面が任意の形状のコアを形成することができる。
本発明にかかるモード合分波器は、前記平面光導波路の製造方法で製造され、1の断面に現れる前記光導波路パターンの複数の前記コア層の、前記クラッド材と前記コア材の堆積方向における位置が異なる平行導波路を備える。前記製造方法で、2以上の任意の数の伝搬モードの合分波を高効率に実現するための、同一平面内でコア径が異なるモード合分波器を提供できる。
本発明にかかるモード合分波器は、前記平面光導波路の製造方法で製造され、1の断面に現れる前記光導波路パターンの前記コア層が前記ベースパターンの前記下部クラッド層の周囲を覆う形状であるモード回転子を備える。前記製造方法で、モード回転子を含むモード合分波器を提供できる。
本発明は、コアの形状を限定せず、且つコアを損傷させずに同一平面内に異なる径のコアを形成できる平面光導波路の製造方法及びこの製造方法で製造したモード合分波器を提供することができる。
本発明に係るモード合分波器の構成例を示す図である。 本発明に係る光導波路の製造方法を説明する図である。 基本モードから第4高次モードまでの実効屈折率の変化の一例を示す。 光導波路幅の決定例を示す。 第1高次モードの結合効率の波長依存性の一例を示す。 第2高次モードの結合効率の波長依存性の一例を示す。 光導波路の設計方法の手順について示したフロー図を示す。 本発明に係るモード合分波器を説明する図である。 本発明に係る光導波路の製造方法を説明する図である。 本発明に係る光導波路の製造方法を説明する図である。 光導波路幅の決定例を示す。 光導波路幅の決定例を示す。 LP11aモードからLP11bモードへの結合効率の波長依存性を説明する図である。 LP01モードからLP11aモードへの結合効率の波長依存性を説明する図である。 LP11bモードからLP21モードへの結合効率の波長依存性を説明する図である。 本発明に係るモード合分波器を設計する方法を説明する図である。 本発明に係るモード合分波器を設計する方法を説明する図である。 本発明に係るモード合分波器を設計する方法を説明する図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。また、本実施形態の説明では、基板側を「下」、クラッド材やコア材を堆積する方向を「上」として説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の平面光導波路の製造方法で製造されたモード合分波器を説明する図である。このモード合分波器は同一平面内にコア径の異なる光導波路が存在している。
(光導波路の構成)
本実施形態においては、光ファイバ中の伝搬モードである基本モード、第1高次モード、第2高次モードを用いた3モード多重伝送について説明する。多重するモードの組み合わせは任意であり、例えば、基本モード、第1高次モード及び第3高次モードの組み合わせであってもよいし、基本モード、第2高次モード及び第3高次モードの組み合わせであってもよい。光導波路中の伝搬モードに関しても任意の組み合わせが可能である。本実施形態では、便宜上、基本モード、第1高次モード、第2高次モードをそれぞれLP01、LP11、LP21モードとして説明する。
図1のモード合分波器は、光導波路111、光導波路112及び光導波路113を備える。光導波路111及び光導波路112は単一モード光導波路であり、光導波路113はマルチモード光導波路である。本実施形態のモード合分波器は、相互作用長Lを有する光導波路111と光導波路113との結合部と、相互作用長Lを有する光導波路112と光導波路113との結合部とを有する。
各結合部は、光導波路113の長手方向に縦続に配列される。光導波路111と光導波路113との結合部では、非対称平行光導波路を用いて、光導波路111のLP01モードと光導波路113のLP11モードを位相整合させる。光導波路112と光導波路113との結合部では、非対称平行光導波路を用いて、光導波路112のLP01モードと光導波路113のLP21モードを位相整合させる。これにより、本実施形態のモード合分波器は、モード変換を行うモード合波器として機能するとともに、モード分波を行うモード分波器として機能する。非対称平行光導波路は、光導波路の大きさ、つまりコア径やコア形状が異なるようにすれば、比屈折率差Δを等しくしてもよいし。また、光導波路の大きさが異なるだけではなく、光導波路の比屈折率差が異なる構成としても良い。
本説明においては、LP01モード、LP11モード及びLP21モードの3モードに限定して説明を行うが、本モード合分波器はこれに限定されない。例えば、1本のマルチモード光導波路は、単一モード光導波路の本数よりも多いモード数の多モード光を伝搬すればよく、LP21モード以上の高次モードに対しても同様にモード合波およびモード分波が可能である。また、2以上の任意のモード数に適用することができ、例えば、単一モード光導波路をN本とすれば(N+1)モードのモード合分波器を構成することができる。
光導波路111と光導波路112と光導波路113は比屈折率差Δが等しい平行光導波路である。Δは、光導波路の屈折率nと光導波路周囲の媒質の屈折率nを用いて次式であらわされる。
Figure 2015075616
光導波路111と光導波路112は、使用波長域において単一モードとなるような光導波路幅wとwを有する。ここで、光導波路の高さhと比屈折率差Δを決定し、光導波路幅wと使用波長帯を決定し、例えば有限要素法などを用いて光導波路解析を行うことで、遮断波長を求めることができる。本実施形態では、一例として、光導波路の高さhは光導波路幅と等しく設定した。
(光導波路の製造方法)
本実施形態の平面光導波路の製造方法は、平面光導波路を製造する平面光導波路の製造方法であって、
下部クラッド層となる基板又は基板上にクラッド材を一様に堆積した下部クラッド層を深さ方向にエッチングして所望のベースパターンを形成する下部クラッド層エッチング工程と、
前記下部クラッド層を覆うようにコア材を一様に堆積してコア層を形成するコア層堆積工程と、
前記コア層を深さ方向にエッチングして光導波路パターンを形成するコア層エッチング工程と、
前記コア層及び前記下部クラッド層を覆うように前記クラッド材を一様に堆積して上部クラッド層を形成する上部クラッド層堆積工程と、
を順に行うことを特徴とする。
図1のようなモード合分波器は、本製造方法で製造できる。図2は、本製造方法をより詳しく説明する図である。図2の製造例にあっては、幅及び高さが同一である光導波路111と、光導波路111とは幅及び高さが異なる寸法に設定された光導波路113を作製する場合について述べるが、光導波路の間隔、形状、幅、高さ、配置、個数等についてはさまざまに設定して製造する場合も含む。また、光導波路の加工法をエッチングとするが、エッチングの方法は様々な方法があり、加工精度に合わせて任意の方法を利用することができる。
図2は光導波路110の作製工程を概念的に示している。本実施例では、光導波路を作製する基板とクラッドの屈折率は一致しているものとして説明を行うが、本発明はこれに制限されるものではなく、基板とクラッドの屈折率が異なっていても良く、作製する光導波路特性に合わせて屈折率は調整すればよい。図2(a)は、光導波路を作製する基板141上に下部クラッド142となるSiOの層を積層する下部クラッド層堆積工程を概念的に示す断面図、図2(b)は、下部クラッド142の形状をエッチングする下部クラッド層エッチング工程を概念的に示す断面図、図2(c)は、コア143となるSiO+GeOを積層するコア層堆積工程を概念的に示す断面図、図2(d)、(d)’は、光導波路111と光導波路113を作製するためのエッチングを行うコア層エッチング工程を概念的に示す断面図、図2(e)は、上部クラッド144を積層する上部クラッド層堆積工程を概念的に示す図である。
光導波路110の作製にあたっては、まず図2(a)に示すように、平面内で光導波路の高さを変えるための下部クラッド層142を積層する。下部クラッド142の積層する厚さは光導波路111と光導波路113の高さの差と等しくする。光導波路111と光導波路113の高さを異なるものとするために、図2(b)に示すように下部クラッド層142を光導波路の大きさが小さい光導波路111を配置する側を残すようにエッチングを行う。
次に図2(c)に示すように、コア部143となるSiO+GeOを積層する。このコア部143を積層する厚さは基板141からの高さが光導波路113の高さに等しくなるように積層する。コア部143を積層した後に図2(d)又は図2(d)’に示すように、光導波路111と光導波路113を作製するためのエッチングを行う。
コアと下部クラッドの材質の違いによりエッチング量に大きな差がある場合には、図2(d)のように光導波路の高さを低くするコア(光導波路111)の下部クラッド全体が残ることになる。一方、コアと下部クラッドの材質にエッチング量に大きな差がない場合には、図2(d)’のように高さを低くするコア(光導波路111)以外の下部クラッド全体がエッチングされることになる。図2(d)と(d)’のいずれの場合でも光導波路111と光導波路113を形成後に図2(e)に示すように、上部クラッド144を積層する。以上の作製工程により同一平面内に大きさの異なる光導波路111と光導波路113が作製可能となる。
図2に示すように、1の断面に現れる、前記コア層エッチング工程で形成される前記光導波路パターンのコア層の、前記クラッド材と前記コア材の堆積方向における位置を、前記下部クラッド層エッチング工程で形成する前記ベースパターンの前記下部クラッド層で決定することを特徴とする。すなわち、径の異なるコアを形成するために、下部クラッド層エッチング工程で下部クラッド層の厚みを変化させる。径の大きなコアの部分は下部クラッド層を大幅に削除し、径の小さなコアの部分は下部クラッド層をあまり削除しない。このようにコアの径に応じて下部クラッド層のエッチングを行い、下部クラッド層のベースパターンを形成する。
なお、ベースパターンとして下部クラッド層142を残す範囲は、図2(b)のように光導波路111が配置される位置から光導波路113が配置される位置と反対側全てとしたが、これに制限されるものではなく、光導波路111が配置される位置と光導波路113が配置される位置の中心から光導波路111側全てとしても良い。さらには、下部クラッド層142を残す範囲は、光導波路113が配置される位置から光導波路111側全て(光導波路113の下は除く)の中心側の端に合わせても良いし、光導波路111の下部にのみとしても良い。
また、本実施例においては、基板上141に下部クラッド層142を積層して加工(エッチング)を行い、下部クラッド層の形状を変化させているが、使用する基板141そのものを下部クラッド層として直接エッチング加工を施して、上記の作製方法を実施しても良い。
光導波路113は少なくともLP21モード以上の伝搬モードが伝搬可能であり、光導波路幅wは光導波路113のLP11モードと光導波路111のLP01モードの実効屈折率が等しく設計し、かつ光導波路113のLP21モードと光導波路112のLP01モードの実効屈折率が等しくなるように設計する。以下に光導波路111と光導波路112と光導波路113の設計方法を具体的に説明する。
光導波路111と光導波路112は複数のモードが伝搬可能な状態でも前記記載の基本モードと高次モードの結合は可能であるが、本実施形態では単一モードで設計を行った。
例として、各光導波路の比屈折率差Δを0.4%にした場合の光導波路幅wに対する波長1530nmのLP01モードからLP02モード(光ファイバ中における第3高次モード)までの実効屈折率の変化を図3に示す。図3は光導波路幅w(光導波路の高さhはwに等しい)を横軸として、光導波路の伝搬モードの実効屈折率を縦軸に示している。図3から、比屈折率差Δが0.4%では光導波路幅wを12.0μm以上に設定することで3モード伝搬を実現できることがわかる。
図4に光導波路幅wと光導波路幅wと光導波路幅wを決定する図を示す。図4は例として波長1550nmでの伝搬モードの実効屈折率の値を示している。ここでは、光導波路幅wは3モード以上伝搬可能な13.7μmとする。この時、光導波路幅wと光導波路幅wは単一モードとなる領域で幅を決定すれば良いので、光導波路幅は8μm以下で設定すれば良い。光導波路幅wは光導波路113のLP11モードの実効屈折率と等しい幅に設定すれば良いので、wは7.17μmとなる。また、光導波路幅wは光導波路113のLP21モードと実効屈折率が等しくなれば良いので、wは4.35μmとなる。
図4に示した光導波路幅wとwとwを用いた場合に、光導波路111のLP01モードを光導波路113のLP11モードに変換するために必要な相互作用長Lと光導波路112のLP01モードを光導波路113のLP21モードに変換するために必要な相互作用長Lを例えばビーム伝搬法などにより計算し、光導波路111のLP01モードが光導波路113のLP11モードへの結合効率と光導波路112のLP01モードが光導波路113のLP21モードへの結合効率が最大となるように適切な相互作用長を設計する。ここで、光導波路111と光導波路113の光導波路間隔gと光導波路112と光導波路113の光導波路間隔gを4.0μmと等しい場合にビーム伝搬法によりLP11モード、LP21モードそれぞれの結合効率が最大となる相互作用長を求めるとLは1.6mm、Lは1.7mmであった。
本実施形態では、LP21モードまでで設計を行ったが、本発明はこれに限定されることはなく、LP11モードとLP02モードを利用するなど、所望の伝搬モードの合分波器を実現することが可能である。
光導波路間隔g、gを4.0μm、光導波路幅wを7.17μm、光導波路幅wを4.35μm、光導波路幅wを13.7μm、各光導波路の比屈折率差Δを0.4%、各光導波路の曲げ半径Rを50mm、相互作用長Lを1.6mm、相互作用長Lを1.7mmとした場合に得られる第1高次モードの結合効率の波長依存性を図5に示し、第2高次モードの結合効率の波長依存性を図6に示す。図5は、光導波路111に基本モードであるLP01モードの光を入射した場合に光導波路113に第1高次モードであるLP11モードとして出力される結合効率(実線)と光導波路111に基本モードであるLP01モードとして出力される結合効率(破線)を示している。図6は、光導波路112に基本モードであるLP01モードの光を入射した場合に光導波路113に第2高次モードであるLP21モードとして出力される結合効率(実線)と光導波路112にそのまま基本モードであるLP01モードとして出力される結合効率(破線)を示している。
図5及び図6より、波長1530nmから1565nmの波長帯において95%以上の結合効率を有する非常に高効率な3モード合分波器を実現できることがわかる。ここで、3モード以上を伝搬可能な光ファイバとしてコア直径18μm、コアの比屈折率差Δを0.4%としたファイバを過程すると、光ファイバのLP01モードのモードフィールド径(MFD)は15.3μmで上記記載の光導波路113のMFDは13.7μmでMFD不整合損失を下記記載の近似式(2)を用いて見積もると、およそ0.15dB程度であった。このことから、本発明の非対称平行光導波路と伝送用ファイバとの接続損失は非常に小さいと予想され、伝送用ファイバと光導波路のMFDが極端に異なる場合には、光導波路とファイバとの接続部においてどちらか一方もしくは両者をテーパ状に加工するなどしてMFDの不整合を小さくすることで接続損失の低減を図ることも可能である。前記記載のMFDはファイバ、光導波路ともにLP01モードのフィールドをガウシアン近似して算出している。
Figure 2015075616
ここで、W,Wはそれぞれ光ファイバのMFD、光導波路のMFDとし、ηは結合損失を示す。
実施形態1は光導波路のΔが等しく、光導波路間隔が等しい条件下で設計を行ったが、本発明はこれに制限されることはなく、3つの光導波路それぞれのΔが異なっていても良く、また光導波路間隔gとgが異なっていても良い。
次に、本発明のモード合分波器の設計方法について説明する。図7に、本実施形態に係る光導波路の設計方法の手順について示したフロー図を示す。
はじめに、使用する波長帯を決定する(S101)。
次に、使用する波長帯の下限波長において3モード動作以上となるように、比屈折率差Δと光導波路幅wを決定する(S102、S103)。Δとwの決定には、例えば、有限要素法などの光導波路解析を用いて遮断波長を求めることで決定する。以下のステップでは、使用波長帯の中心波長を用いて光導波路解析を行い、光導波路のパラメータを決定する。
次に、光導波路111のLP01モードと光導波路113のLP11モードの実効屈折率が等しくなるような光導波路幅wを決定する(S104、S105)。wの決定においても、有限要素法などの光導波路解析を用いて実効屈折率を算出する。
次に、光導波路113のLP21モードの実効屈折率と光導波路112のLP01モードの実効屈折率が等しくような光導波路幅wを決定する(S106、S107)。
次に、光導波路間隔g、gを決定し(S108)、決定した光導波路間隔g、gを用いて相互作用長L、Lを決定する(S109)。相互作用長L、Lの算出にはビーム伝搬法などの伝搬解析を行い相互作用長を算出する。
相互作用長L、Lを算出したら、所望の結合効率を有するか否かを判定し(S110)、所望の結合効率を有さない場合はステップS108へ移行する。例えば使用波長帯において80%以上の結合効率を所望しており、それに満たない結合効率が得られた場合には、光導波路間隔g、gを再設定し(S108)、相互作用長L、Lの算出を行う(S109)。所望の結合効率が得られたところで(S110においてYes)、モード変換特性又は分波特性を抽出する(S111)。所望のモード変換特性又は分波特性が得られていれば、これまで決定した各パラメータの確定となる。
以上説明したように、本実施形態のモード合分波器は、Cバンド(1530nmから1565nm)の波長帯域において、基本モードと2つの高次モードの分波効率も95%以上を実現することが可能であることから、2以上の任意の数の伝搬モードを利用したモード多重伝送の高速・長距離化が可能になる。
また、モード合波の前段、モード分波の後段、つまり伝送路以外の区間では、基本モードで伝搬されるため、ファイバデバイスについては基本モードで動作させることができることから、既存のファイバデバイスを利用して2以上の任意のモード数のモード多重伝送を実現することが可能になる。このため、簡易な構成で波長多重など既存の多重技術と併用した2以上の任意のモード数のモード多重伝送を実現することも可能になる。
(実施形態2)
図8は、本実施形態の平面光導波路の製造方法で製造されたモード合分波器を説明する図である。このモード合分波器は図1で説明したコアと形状が異なるコアの光導波路を有する。
(光導波路の構成)
図8は、本実施形態のLP21モードまでを合分波するためのモード合分波器の構成を説明する図である。第1の平行光導波路部210は、光導波路211、光導波路212及び光導波路213を備える。光導波路211はLP01モード光を伝搬し、光導波路212はLP11bモード光を伝搬し、光導波路213はLP21以上を伝搬する。第1の平行光導波路部210は、相互作用長L1を有する光導波路211と光導波路213との結合部C1と、相互作用長L2を有する光導波路212と光導波路213との結合部C2とを有する。
第2の平行光導波路部220は、光導波路214及び光導波路215を備える。光導波路214はLP01モード光を伝搬し、光導波路215はLP11aモード光を伝搬する。第2の平行光導波路部220は、相互作用長L3を有する光導波路214と光導波路215との結合部C3を有する。
モード回転子230は、光導波路の幅w8、高さhを有する光導波路216であり、断面の少なくとも一部に溝を設けたトレンチ層を備える。トレンチ層は、幅w8においてそれぞれ光導波路の幅w81とw82の間に、幅s、深さdの溝を備える。溝は、断面における幅w8上の中央に対して非対称に設けられ、w81とw82は異なる。溝は、図8に示すように光導波路の下面に設けられていてもよいが、上面に設けられてもよい。溝の形状は任意であり、図8に示すような矩形であってもよいし、三角形であってもよい。
光導波路212と光導波路215がモード回転子230により接続される。LP01モード光が光導波路214に入力され、LP11aモード光が光導波路215から出力される。モード回転子230は、光導波路215から出力されるLP11aモード光を90度回転する機能を有している。このため、光導波路212にはLP11bモード光が入力される。
結合部C1及びC2は、光導波路213の長手方向に縦続に配列される。結合部C1では、非対称平行光導波路を用いて、光導波路211のLP01モードと光導波路213のLP11aモードを位相整合させる。結合部C2では、非対称平行光導波路を用いて、光導波路212のLP11bモードと光導波路213のLP21モードを位相整合させる。これにより、本実施形態のモード合分波器は、モード変換を行うモード合波器として機能するとともに、モード分波を行うモード分波器として機能する。非対称平行光導波路は、光導波路の大きさが異なるようにすれば、比屈折率差Δを等しくしてもよい。また、光導波路の大きさが異なるだけではなく、光導波路の比屈折率差が異なる場合も含む。
光導波路211は、使用波長域において少なくともLP01モードを伝搬する光導波路の幅w1を有し、光導波路212は使用波長域において少なくともLP11bモードを伝搬する光導波路の幅w2を有する。ここで遮断波長は、光導波路の高さhと比屈折率差Δを決定し、光導波路幅wと使用波長帯を決定し、例えば有限要素法などを用いて光導波路解析を行うことで遮断波長を求める。本実施形態では光導波路の高さhは中央の光導波路213の幅と等しく設定した。
(光導波路の作製方法)
本実施形態の平面光導波路の製造方法は、実施形態1で説明した製造方法において、前記コア層エッチング工程終了後に、1の断面に現れる、前記光導波路パターンの前記コア層が前記ベースパターンの前記下部クラッド層の周囲を覆う形状になることを特徴とする。
図8のようなモード合分波器は、本製造方法で製造できる。図9は、本製造方法をより詳しく説明する図である。図9の作製例にあっては、第1の平行光導波路部210と第2の平行光導波路部220と高さが同一である第3の光導波路部230のコア形状を異なるものを作製する場合について述べるが、光導波路の間隔、形状、幅、高さ、配置、個数等についてはさまざまに設定して製造する場合も含む。また、光導波路の加工法をエッチングとするが、エッチングの方法は様々な方法があり、加工精度に合わせて任意の方法を利用することができる。
図9は第3の光導波路部230の作製工程を概念的に示している。本実施例では、光導波路を作製する基板とクラッドの屈折率は一致しているもので説明を行うが、本発明はこれに制限されるものではなく、基板とクラッドの屈折率が異なっていても良く、作製する光導波路特性に合わせて屈折率は調整すればよい。図9(a)は、光導波路を作製する基板241上に下部クラッド242となるSiOの層を積層する下部クラッド層堆積工程を概念的に示す断面図、図9(b)は、下部クラッド242の形状をエッチングする下部クラッド層エッチング工程を概念的に示す断面図、図9(c)は、コア243となるSiO+GeOを積層するコア層堆積工程を概念的に示す断面図、図9(d)は、光導波路216を作製するためのエッチングを行うコア層エッチング工程を概念的に示す断面図、図9(e)は、上部クラッド244を積層する上部クラッド層堆積工程を概念的に示す図である。
光導波路230の作製にあたっては、まず図9(a)に示すように、光導波路の形状を変えるための下部クラッド層242を積層する。下部クラッド242の積層する厚さは光導波路216の形状を変化させるのに必要な厚さを積層する。光導波路216を均一な矩形形状とは異なるものとするために、図9(b)に示すように下部クラッド層242の1部だけを残すようにエッチングを行う。
次に図9(c)に示すように、コア部243となるSiO+GeOを積層する。このコア部を積層する厚さは基板241からの高さが、第1の平行光導波路部210と第2の平行光導波路部220の高さに等しくなるように積層する。コア部243を積層した後に図9(d)に示すように、光導波路216を作製するためのエッチングを行う。光導波路216を形成後に図9(e)に示すように、上部クラッド244を積層する。
以上の作製工程により同一平面内にコア形状の異なる光導波路216が作製可能となる。第1の平行光導波路部210と第2の平行光導波路部220は、光導波路の高さが等しい平行光導波路であるため、従来の方法で作製可能である。図8のモード回転子230を作製する場合には、基板上241において、光導波路216を作製する部分にのみ上記記載の下部クラッド層242の加工を行った後に、従来の光導波路の作製方法を用いることで同一平面内の1部のコア形状が異なる光導波路を作製することが可能となる。
本実施例では、下部クラッド層242を残す範囲は光導波路216の1部としたが、これに制限されるものではなく、光導波路216の複数個所に合わせても良い。
また、本実施例においては、基板上241に下部クラッド層242を積層してエッチング加工を行い、下部クラッド層242の形状を変化させているが、使用する基板そのものに下部クラッドのエッチング加工を施して、上記の作製方法を実施しても良い。
光導波路213は少なくともLP21モード以上の伝搬モードが伝搬可能であり、光導波路213の光導波路の幅w3は光導波路213のLP11aモードと光導波路211のLP01モードの実効屈折率が等しく設計し、かつ光導波路213のLP21モードと光導波路212のLP11bモードの実効屈折率が等しくなるように設計する。以下に光導波路211と光導波路212と光導波路213の設計方法を具体的に説明する。
例として、各光導波路の比屈折率差Δを0.4%にした場合の光導波路の幅wに対する波長1550nmのLP01モードからLP21モードまでの実効屈折率の変化を図11に示す。図11は光導波路の幅w(光導波路の高さhは13.7μmで一定)を横軸として、光導波路の伝搬モードの実効屈折率を縦軸に示している。図11から、比屈折率差Δが0.4%では光導波路幅wを11.0μm以上に設定することでLP21モード伝搬を実現できることがわかる。
図12に第1の平行光導波路部210の光導波路211と光導波路212と光導波路213の幅を決定する図を示す。ここでは、光導波路213の幅w3はLP21モード以上が伝搬可能な13.7μmとする。この時、光導波路211の幅w1は光導波路213のLP11aモードの実効屈折率と等しい幅に設定すれば良いので、w1は4.79μmとなる。また、光導波路212の幅w2は光導波路213のLP21モードの実効屈折率と光導波路212のLP11bモードの実効屈折率が等しくなれば良いので、w2は4.62μmとなる。
図12に示した光導波路幅w1と光導波路幅w2と光導波路幅w3を用いた場合に、LP01モードをLP11aモードに変換するために必要な相互作用長L1とLP11bモードをLP21モードに変換するために必要な相互作用長L2を例えばビーム伝搬法などにより計算し、光導波路211のLP01モードが光導波路213のLP11aモードへの結合効率と光導波路212のLP11bモードが光導波路213のLP21モードへの結合効率が最大となるように適切な相互作用長を設計する。ここで、光導波路211と光導波路213の光導波路間隔g1と光導波路212と光導波路213の光導波路間隔g2を5.0μmと等しい場合にビーム伝搬法によりLP11aモード、LP21モードそれぞれの結合効率が最大となる相互作用長を求めるとL1は1.5mm、L2は1.0mmであった。
本実施形態では、第1の平行光導波路部210においてLP21モードを励振するために、光導波路212のLP11bを利用している。LP11bの励振には、図8に示したモード回転子230を用いる。第2の平行光導波路部220はLP01モードが伝搬可能な光導波路214とLP11aモード以上が伝搬可能な光導波路215で構成される。LP11aを励振するための光導波路214と光導波路215の光導波路パラメータは、第1の平行光導波路部210の光導波路211と光導波路213の結合部のパラメータを用いればよい。すなわち、光導波路幅w4は光導波路幅w1と等しく、光導波路幅w5は光導波路幅w3と等しく、結合部C3の光導波路間隔g3は光導波路間隔g1と等しく、相互作用長L3は相互作用長L1と等しい。
モード回転子230は光導波路の高さhと比屈折率差Δを平行光導波路部210と平行光導波路部220と等しくそれぞれ13.7μm、0.4%とした。今回は以下のパラメータでモード回転子230を構成した。本実施形態では、光導波路部230の幅w8を14.0μm、光導波路部230の幅w82を3.0μm、トレンチ層の幅sを1.0μm、深さdを6.8μm、相互作用長L4を2.57mmとした。本パラメータで算出したLP11aモードからLP11bモードへの結合効率の波長依存性を図13に示す。図13は、光導波路216にLP11aモードが入力された場合に、フィールド分布が回転してLP11bモードへ結合する効率(実線)と回転しきれずにLP11aモードとして出力される効率(破線)を示している。モード回転子230のパラメータはこれに制限されるものではなく、以下で示す光導波路部230の設計にしたがって構成することで所望のモードの回転が実現できれば良い。
本発明においては、第1の平行光導波路部210と第2の平行光導波路部220を図8に示すように、第2の平行光導波路部220の光導波路215と第1の平行光導波路部210の光導波路212との間にモード回転子230を接続することで光導波路212のLP11bモードを励振してLP21モードの合分波を行う。従って、光導波路211、光導波路213、光導波路214を入出力ポートとして利用し、モード合波器の入力部およびモード分波器の出力部では基本モードであるLP01モードのみでLP01、LP11、LP21の3モードの合分波が可能になる。
光導波路間隔g1、g2を5.0μm、光導波路211の光導波路の幅w1を4.79μm、光導波路212の光導波路の幅w2を4.62μm、光導波路213の幅w3を13.7μm、光導波路の高さhを13.7μm、比屈折率差Δを0.4%、光導波路の曲げ半径Rを50mm、相互作用長L1を1.5mm、相互作用長L2を1.0mmとした場合に得られるLP11aモードの結合効率の波長依存性を図14に示し、LP21モードの結合効率の波長依存性を図15に示す。
図14は、光導波路211にLP01モードの光を入射した場合に光導波路213にLP11aモードとして出力される結合効率(実線)と光導波路211にLP01モードとして出力される結合効率(破線)を示している。図15は、光導波路212にLP11bモードの光を入射した場合に光導波路213にLP21モードとして出力される結合効率(実線)と光導波路212にそのままLP11bモードとして出力される結合効率(破線)を示している。
図13から図15より、波長1530nmから1565nmの波長帯において98%以上の結合効率を有する非常に高効率な3モード合分波器を実現できることがわかる。
第2の実施形態は光導波路の比屈折率差Δが等しく、光導波路の間隔が等しい条件下で設計を行ったが、本発明はこれに制限されることはなく、3つの光導波路それぞれの比屈折率差Δが異なっていても良く、また光導波路間隔g1とg2が異なっていても良い。また、第2の平行光導波路部220は第1の平行光導波路部210のパラメータを用いずに改めてLP01モードとLP11aモードの合分波が可能な光導波路パラメータを設計しても良い。
次に、本発明のモード合分波器の設計方法について説明する。図16、図17及び図18に光導波路の設計方法の手順について示したフロー図を示す。設計手順は第1の平行光導波路部設計手順と、第2の平行光導波路部設計手順と、モード回転子設計手順と、を有する。
図16に示す第1の平行光導波路部設計手順では、第1の平行光導波路部210の設計を行う。
はじめに、モード合分波器で使用する波長帯を決定する(S101)。
次に、使用する波長帯においてLP21モード以上が伝搬可能となるように、比屈折率差Δと光導波路幅w3を決定する(S102、S103)。比屈折率差Δと光導波路幅w3の決定には、例えば、有限要素法などの光導波路解析を用いて遮断波長を求めることで決定する。
次に、光導波路211のLP01モードと光導波路213のLP11aモードの実効屈折率が等しくなるような光導波路幅w1を決定する(S104、S105)。光導波路幅w1の決定においても、有限要素法などの光導波路解析を用いて実効屈折率を算出する。
次に、光導波路213のLP21モードの実効屈折率(S108)と光導波路212のLP11bモードの実効屈折率が等しくような光導波路幅w2を決定する(S106、S107)。
次に、光導波路間隔g1、g2を決定し(S108)、決定した光導波路間隔g1、g2を用いて相互作用長L1、L2を決定する(S109)。相互作用長L1、L2の算出にはビーム伝搬法などの伝搬解析を行い相互作用長を算出する。
相互作用長L1、L2を算出したら、所望の結合効率を有するか否かを判定し(S110)、所望の結合効率を有さない場合はステップS108へ移行する。例えば使用波長帯において80%以上の結合効率を所望しており、それに満たない結合効率が得られた場合には、光導波路間隔g1、g2を再設定し(S108)、相互作用長L1、L2の算出を行い(S109)、所望の特性が得られたところで(S110においてYes)、これまで決定した各パラメータの確定となる。
図17に示す第2の平行光導波路部設計手順では、第2の平行光導波路部220の設計を行う。
本手順では、第1の平行光導波路部210で用いた使用波長帯で設計を進める(S201)。使用する波長帯においてLP11aモード以上が伝搬可能となるように(S203においてYes)、比屈折率差Δと光導波路幅w5を決定する(S202)。比屈折率差Δと光導波路幅w5の決定には、第1の平行光導波路部210と同様に有限要素法などの光導波路解析を用いて遮断波長を求めることで決定する。
次に光導波路214のLP01モードと光導波路215のLP11aモードの実効屈折率が等しくなるような光導波路幅w4を決定する(S204、S205)。光導波路幅w4の決定においても光導波路解析を用いて実効屈折率を算出する。
次に、光導波路間隔g3を決定し(S206)、相互作用長L3を決定する(S207)。L3の算出には伝搬解析を行い相互作用長を算出する。
相互作用長L3を算出したら、所望の結合効率を有するか否かを判定し(S208)、所望の結合効率を有さない場合はステップS206へ移行する。例えば使用波長帯において80%以上の結合効率を所望しており、それに満たない結合効率が得られた場合には、光導波路間隔g3を再設定し(S206)、相互作用長L3の算出を行い(S207)、所望の特性が得られたところで(S208においてYes)、これまで決定した各パラメータの確定となる。
図18に示すモード回転子設計手順では、モード回転子230の設計を行う。
本手順では、第1の平行光導波路部210及び第2の平行光導波路部220で用いた波長帯で設計を進める(S301)。使用する波長帯においてLP11aモード及びLP11bモードの両縮退モードが伝搬可能となるように(S303においてYes)、光導波路の高さh、比屈折率差Δと光導波路幅w8を決定する(S302)。光導波路の高さh、比屈折率差Δと光導波路幅w8の決定には、第1の平行光導波路部210及び第2の平行光導波路部220と同様に有限要素法などの光導波路解析を用いて遮断波長を求めることで決定する。
次に光導波路にトレンチ層を設けるための手順を実施する。トレンチ層の位置を決定するために光導波路の端からの幅w82を決定する(S304)。w82はある程度任意に決定し、以下の手順を実施する。w82を決定後にトレンチ層の幅sと深さdを決定し(S305、S306)、LP11aモードがLP11bモードに回転するように相互作用長L4を決定する(S307)。L4の決定にはビーム伝搬法などの光導波路解析を用いて算出を行う。S305からS307までのパラメータの微調整を行い、LP11aモードからLP11bモードへの所望の結合効率が得られたところで(ステップS308においてYes)、これまで決定した各パラメータの確定となる。S305からS307のパラメータの調整で所望の特性が得られない場合には(ステップS308においてNo)、ステップS304においてw82を決定した際に想定した結合効率であるか否かを判定し(S309)、想定した結合効率である場合にはステップS305へ移行し、想定した結合効率でない場合にはステップS304へ移行する。そして再度、S305からS307の手順を実施し、所望の特性が得られるまでS304からS307の手順を繰り返すことで、各パラメータが確定となる。
本実施形態は、3モード多重に限定して記載したが、本発明によれば、実施形態2で説明したように2以上のモードの合分波が可能なモード合分波器を構成できるので、3モード多重に限定されず、2以上のモード数のモード多重伝送が可能になる。
(他の実施形態)
図2と図9に示した下部クラッド層の加工については、可能な限り組み合わせることが可能である。図10は、図2と図9に示した下部クラッド層の加工を組み合わせて平面光導波路を製造する方法を説明する図である。図10の平面光導波路は、断面内で中央の光導波路と左側の光導波路とが光導波路高さを違え、かつ断面内で中央の光導波路と右側の光導波路とが光導波路高さを等しくするがコア形状を違えるものである。さらに、光導波路の高さと形状を異なるものとすることも可能である。
また、実施形態1、2では、クラッドをSiO、コアをSiO+GeOとして説明したが、本発明は、材料をこれらに制限されることはない。
[付記]
本発明は、光導波路の作製方法に係り、特に、大きさの異なるコア及び形状の異なるコアを同一面上に混在させた光導波路の作製方法に関する。
(課題)
光導波路型モード合分波器の作製において、同一平面内でコア径あるいはコア形状の異なる光導波路を簡易に作製し、2以上の伝搬モードの合分波を高効率に実現することを目的とする。
ここで、
本発明のモード合分波器は、
光導波路の大きさが異なる複数の単一モード光導波路と、
前記単一モード光導波路の本数よりも多いモード数の多モード光を伝搬し、各単一モード光導波路との結合部が長手方向に配列された1本のマルチモード光導波路と、を備え、
各単一モード光導波路は、基本モードの実効屈折率が前記マルチモード光導波路の伝搬する高次モードの1つの実効屈折率と等しくなるような光導波路の大きさを有し、
使用波長帯における各単一モード光導波路と前記マルチモード光導波路との結合効率が所望の値以上になるような前記結合部の相互作用長を有する。
本発明のモード合分波器の設計方法は、
光導波路幅が異なる複数の単一モード光導波路と、
前記単一モード光導波路の本数よりも多いモード数の多モード光を伝搬し、各単一モード光導波路との結合部が長手方向に配列された1本のマルチモード光導波路と、を備えるモード合分波器の設計方法であって、
使用波長帯において前記単一モード光導波路の本数よりも多いモード数を伝搬するように、マルチモード光導波路の光導波路幅を決定するステップと、
基本モードの実効屈折率が前記マルチモード光導波路を伝搬する高次モードの1つの実効屈折率と等しくなるように、各単一モード光導波路の光導波路幅を決定するステップと、
使用波長帯における結合効率が所望の値以上になるように、前記結合部の相互作用長を決定するステップと、
を有する。
単一モード光導波路における基本モードの実効屈折率をマルチモード光導波路における高次モードのどの実効屈折率と等しく設計するかに応じて、任意の高次モードの合分波を行うことができる。また、使用波長帯における各単一モード光導波路とマルチモード光導波路との結合効率が所望の値以上になるような相互作用長を有するため、伝搬モードの合分波を高効率で行うことができる。したがって、本発明は、2以上の任意の数の伝搬モードの合分波を高効率で行うことができる。
このようなモード合分波器は、次の製造方法で製造することができる。
(1):
下部クラッドと上部クラッドとその間にコア層を有する複数の層を堆積させる構造の光導波路の作製方法において、下部クラッド層の形状を加工し所望の形状に変化させた後にコア層を堆積させてコアの形状や高さを同一平面内で変化させることを特徴とする光導波路の作製方法。
(2):
上記(1)に記載の光導波路の作製方法において、下部クラッド層とコア層との材質あるいは材料を異なるものを用いることにより、エッチングを受ける領域を切り分けることを特徴とし、同一平面内でコアの形状やコアの高さが異なる光導波路の作製方法。
(3):
上記(1)または(2)に記載の光導波路の作製方法において、同一平面内で光導波路の高さを異なるものとするために、光導波路の高さを低くする光導波路部の下部クラッドの高さを他の光導波路の下部クラッドに対して高くするように加工を行った工程の後にコア層を堆積させて光導波路の作製工程を進めることを特徴とする光導波路の作製方法。
(4):
上記(1)から(3)のいずれかに記載の光導波路の作製方法において、同一平面内で光導波路の形状を異なるものとするために、形状を変化させる光導波路の下部クラッドの一部の形状を加工した後に、コア層を堆積させて光導波路の作製工程を進めることを特徴とする光導波路の作製方法。
また、本作製方法では、次のモード合分波器も製造できる。
(5):
上記(1)から(4)のいずれかに記載の光導波路の作製方法により作製される、同一平面内で光導波路の高さが異なることを特徴とするモード合分波器及び、同一平面内で光導波路の形状を異なるものとし、伝搬モードが回転するモード回転子を備えたモード合分波器及び、同一平面内で光導波路の高さと形状が異なる平行光導波路により構成されるモード合分波器。
本発明は情報通信産業に適用することができる。
110、111、112、113、114、211、212、213、214、
215、216:光導波路
141、241:基板
142、242:下部クラッド、下部クラッド層
143、243:コア層
144、244:上部クラッド、上部クラッド層
210、220:平行導波路部
230:モード回転子

Claims (6)

  1. 平面光導波路を製造する平面光導波路の製造方法であって、
    下部クラッド層となる基板又は基板上にクラッド材を一様に堆積した下部クラッド層を深さ方向にエッチングして所望のベースパターンを形成する下部クラッド層エッチング工程と、
    前記下部クラッド層を覆うようにコア材を一様に堆積してコア層を形成するコア層堆積工程と、
    前記コア層を深さ方向にエッチングして光導波路パターンを形成するコア層エッチング工程と、
    前記コア層及び前記下部クラッド層を覆うように前記クラッド材を一様に堆積して上部クラッド層を形成する上部クラッド層堆積工程と、
    を順に行うことを特徴とする平面光導波路の製造方法。
  2. 前記クラッド材と前記コア材とは、前記コア層エッチング工程での前記下部クラッド層と前記コア層とのエッチングレートが異なる材質であることを特徴とする請求項1に記載の平面光導波路の製造方法。
  3. 1の断面に現れる、前記コア層エッチング工程で形成される前記光導波路パターンのコア層の、前記クラッド材と前記コア材の堆積方向における位置を、前記下部クラッド層エッチング工程で形成する前記ベースパターンの前記下部クラッド層で決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の平面光導波路の製造方法。
  4. 前記コア層エッチング工程終了後に、1の断面に現れる、前記光導波路パターンの前記コア層が前記ベースパターンの前記下部クラッド層の周囲を覆う形状になることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の平面光導波路の製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれかの平面光導波路の製造方法で製造され、1の断面に現れる前記光導波路パターンの複数の前記コア層の、前記クラッド材と前記コア材の堆積方向における位置が異なる平行導波路を備えるモード合分波器。
  6. 請求項4に記載の平面光導波路の製造方法で製造され、1の断面に現れる前記光導波路パターンの前記コア層が前記ベースパターンの前記下部クラッド層の周囲を覆う形状であるモード回転子を備えるモード合分波器。
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