JP2015074768A - ペースト組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造条件に影響されず、長時間を経てもペーストの粘度特性が安定したペースト組成物の提供。【解決手段】金属粉末を含む固体粉末とOH基を有する高分子樹脂と非水溶性の溶媒とを含むペースト組成物であって、誘電率が60以上の有機溶媒を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とするペースト組成物により提供する。誘電率が60以上の有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミドまたはホルムアミドのいずれかが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ペースト組成物に関し、さらに詳しくは、経時的な粘度変化が極めて小さく、電子部品や回路基板等の導体、抵抗体を形成するのに適したぺースト組成物に関する。
厚膜ペーストは、主に有機溶剤、樹脂、金属粉、酸化物粉、有機あるいは無機添加物などが混合された流動体であり、基板上に印刷塗布後、焼成され、半導体デバイス、チップ部品など電子部品や回路基板の導体や抵抗体などを形成する。厚膜ペーストに混合される材料は、要求される特性により適宜選択され、例えば特定の導電率が要求される場合、要求に合致した導電性のある材料粉末が選択される。また、溶剤は、ペーストとしての流動性、印刷性、乾燥特性などを付与するため、また、樹脂は、印刷性、被印刷物との接着性、印刷膜の形状維持などを与えるために添加される。さらに、分散性、粘度特性の改善、沈降分離、経時安定性等を改善するため、少量の添加剤が使われる場合もある。
一般的な厚膜ペーストには、金属粉としてNi粉、Cu粉、Ag粉、Pd粉など、有機樹脂としてアクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、セルロース系樹脂など、有機溶剤としてはメチルデカリン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテートなどが使用される(例えば特許文献1、2参照)。
厚膜ペーストは、様々な要求特性を満足させるため、通常、前記のような複数の材料を組み合わせて構成されている。このため、構成される材料間の相互作用、例えば金属粉からのイオン溶出などによる他材料の酸化−還元反応や系のpH変化、粉体の表面の触媒活性による樹脂の重合反応や溶剤の分解などが起こり、その結果、ペースト特性が大幅に変化することがある。このような特性の変化のうち、最も頻繁に起こる代表的な変化は、ペースト粘度の変化である。これらの問題を解決するため、当業界では、ペースト成分の変更や組成量の調整などがなされてきた。
例えば、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(MLCC)の場合、特許文献3では、有機ビヒクルの樹脂成分である疎水性エチルヒドロキシエチルセルロース誘導体に対して、有機溶媒としてジヒドロターピネオールアセテート等を用いて導電性ペーストの経時による粘度変化を抑制することが提案されている。
しかしながら、上記のような組成的な工夫がなされたペーストにおいても、主たる変化が化学反応であるため、製造工程における温度あるいは圧力、雰囲気により影響を受ける場合がある。特に近年、半導体デバイス、チップ部品の小型化に伴い、厚膜ペーストをより微小な領域に印刷または塗布して使用する場合が多くなり、塗布形状、印刷形状に大きな影響を与える粘度変動幅の許容範囲はますます狭まってきている。このため、製造工程で、従来以上に、仕込み組成、原料特性、製造条件などを厳密に管理する必要に迫られている。
ところが、上記のような管理を行っても、構成材料が複雑多岐にわたるような場合は、なお、材料のバラツキ、製造条件のバラツキなどによって、ペーストの粘度変動が起こり、粘度減少等の粘度特性が変化することがある。特に有機ビヒクルの樹脂成分であるOH基を持つセルロース樹脂と非水溶性溶媒を組み合わせたペーストにおいては、その変動が大きい。この理由は詳細には解明されていないが、一般に製造中あるいは使用中に混入する水分の影響が甚大と考えられる。
通常、ペーストの生産現場、材料保管庫においては、外界からの水分混入を防止するため、適正な湿度管理、使用原料の含水率の検査あるいは前処理が行なわれており、またペースト製品を半導体デバイスやチップ部品に適用する際にも湿度管理が実施されており、これが製造コスト上昇の大きな要因の一つとなっている。
ところで、ペースト組成物の改良には、用いられる有機溶剤からの検討もなされており、例えば、特許文献4では、分散安定性に優れる導電性ペーストとして、誘電率が4〜24の範囲内にある有機溶媒に、特定の金属微粒子を分散させることが開示され、また、特許文献5では、ポリアニリンに誘電率22以下の非極性又は極性が低い有機溶媒を組み合わせて含む導電性ポリアニリン組成物で、導電ペースト用の金属粉末を表面処理することが開示されている。しかし、これらの文献では、ペースト粘度についての記載はなく、溶剤の誘電率とペースト粘度との関係も明らかではない。
このような状況下、製造工程において、外界からのペースト中への水分の影響を極小化させ、ペースト製品を使用する際にも厳密な湿度管理が要求されず、製造コストを抑制しながら、粘度を安定化しうるペースト組成物が必要とされていた。
特開2005−026217号公報 特開2012−124139号公報 特開2011−159393号公報 特開2007−095510号公報 特開平8−241623号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ペースト組成の工夫により、製造条件、特に製造時の湿度に影響されず、長時間を経てもペーストの粘度特性が安定したペースト組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、金属粉末を含む固体粉末とOH基を有する高分子樹脂と非水溶性の溶媒とを含むペースト組成物において、誘電率が60以上の有機溶媒を特定量含有させると、ペースト組成物製造時の湿度に影響されず、長時間を経てもペーストの粘度特性が安定するようになり、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、金属粉末を含む固体粉末とOH基を有する高分子樹脂と非水溶性の溶媒とを含むペースト組成物であって、誘電率が60以上の有機溶媒を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記の誘電率60以上の有機溶媒が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、およびN−メチルプロパンアミドからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記の高分子樹脂がセルロース系樹脂及びブチラール系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記の高分子樹脂の含有量が、0.5〜10重量%であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記の固体粉末が、Ni、Cu、Ag、Pd、Au、Pt粉末、あるいはこれらの合金粉末からなる群より選ばれる1種以上の金属粉末を含むことを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、前記の固体粉末が、さらに、チタン酸バリウム系あるいはジルコン酸ストロンチウム系からなる群より選ばれる1種以上の酸化物粉末を含むことを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、前記の固体粉末の含有量が、30〜70重量%であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、前記非水溶性の溶媒が、沸点150℃から250℃の有機溶剤、テルペン系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤及びアルコール類からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、前記非水溶性の溶媒の含有量が、30〜70重量%であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1の発明において、前記誘電率60以上の有機溶媒の含有量が、0.5〜3.0重量%であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、25℃で保管し、30日経過後に粘度をブルックフィールド粘度計にて25℃、10rpmの条件にて測定したとき、粘度変化率が−5%以下であることを特徴とするペースト組成物が提供される。
本発明によれば、金属粉末を含む固体粉末とOH基を有する高分子樹脂と非水溶性の溶媒とを含むペースト組成物が、誘電率60以上の有機溶媒を特定量含有するために、製造条件、特に製造時の湿度の影響による経時的な粘度変化が著しく低減され、安定な品質を実現できる。このためペースト生産現場の厳密な湿度管理が不要となり、製造コストを大幅に削減できる。
また、このペースト組成物は、品質が安定しているので、小型化する半導体デバイス、チップ部品への使用時にも信頼性を向上することができる。
本発明は、金属粉末を含む固体粉末、OH基を有する高分子樹脂、非水溶性の溶媒及び誘電率が60以上の有機溶媒を含有してなるペースト組成物に関する。
以下、本発明において用いられる各成分、得られるペースト組成物などについて、詳細に説明する。
1.金属粉末を含む固体粉末
本発明に用いられる金属粉末を含む固体粉末は、要求される特性に応じて、公知の金属粉末、酸化物粉末などを適宜選択して用いることができる。また、これらの固体粉末は、単独または混合して用いてもよい。
導電ペーストの場合、導電性の金属粉末としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Au、Ptあるいはこれらの合金からなる金属粉末などが挙げられ、なかでも、導電性、耐食性、価格等の観点から、Ni系、Cu系粉末が好ましい。
金属粉末は、製造方法によって限定されず、例えば、塩化物蒸気を水素ガス中で気相から直接析出させる方法、溶融金属からのアトマイズ法、水溶液を使った噴霧熱分解法等が適用できる。
また、金属粉末の平均粒径は、種類によって異なり、0.05〜5μmとすることができるが、例えば、Ni粉末の場合0.05〜3μmとすることが好ましい。3μmを超えると内部電極表面の凹凸が激しくなり、コンデンサの電気的特性を劣化させることがあり、また0.05μmより小さくなるとハンドリングが極めて困難になり、自然発火等の危険性も生じやすい。
また、上記金属粉末と併せて酸化物粉末を用いることもできる。
酸化物粉末の種類は適宜選択できるが、強誘電体のペロブスカイト型酸化物、中でもチタン酸バリウム(BaTiO3、以下BTと称す場合がある)が望ましい。また、このチタン酸バリウムを主成分とし、酸化物(例えばMn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nbおよび1種類以上の希土類元素の酸化物)を副成分として含むセラミック粉末、チタン酸バリウム(BaTiO3)のBa原子やTi原子を他原子、Sn、Pb、Zrなどで置換したようなペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉末も使用できる。さらには積層セラミックデバイスのグリーンシートを形成するセラミック粉末であるZnO、フェライト、PZT、BaO、Al2O3、Bi2O3、R(希土類元素)2O3、TiO2、Nd2O3などの酸化物粉末も選択できる。
酸化物粉末の平均粒径は、特に制限されるわけではないが、0.01〜0.5μmの範囲が望ましい。0.5μmを超えると塗布表面の凹凸が激しくなり、また0.01μmより小さくなるとハンドリングが極めて困難になり、自然発火等の危険性も生じやすいからである。
導電ペーストにおける金属粉末を含む固体粉末の含有量は、導電性の観点から、ペースト組成物全重量に対して、30〜70重量%、より好ましくは42〜60重量%であり、特に金属粉末の含有量は、好ましくは40−50重量%、金属酸化物粉末の含有量は好ましくは2〜10重量%である。
2.OH基を有する高分子樹脂
高分子樹脂は、ペースト組成物を印刷する際、適度な粘調性と粘着性を発揮し、印刷性、乾燥特性などを向上させる。
本発明においては、OH基を有する公知の高分子樹脂を用いることができ、なかでも、セルロース系及び/又はブチラール系樹脂の少なくとも一種以上から選択することが好ましい。
セルロース系樹脂としては、アセチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース、及びニトロセルロース、部分エーテル化セルロース類などが挙げられる。また、ブチラール系樹脂としては、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。
ここで一例として、エチルセルロースの化学構造式を次の式1に示す。
Figure 2015074768
セルロースの構造と比較すると両端のOH基以外がエトキシ基化されていることにより、疎水性を持ち有機溶剤との親和性が高まり多くの有機溶剤と相溶性を有している。
エトキシ基化率を表す尺度として、分子中に含まれるエトキシ基重量%(エトキシ基層分子量をエチルセルロースの分子量で割り100倍した値)がエトキシシ度と称されており、この数値によって有機溶剤への溶解性を凡そ判断できるが、この定義によれば理論上エトキシ化度の理論最大値は約55%となる。このとき置換可能なOH基が100%エトキシ基に置換したことを意味し、下限値は、0.5重量%である。本発明において、OH基の量は1〜10重量%が好ましい。
また、置換したエトキシ基の理論反応率とエトキシ度の関係を考えると、OH基が置換しない場合はセルロースに対応するが、エチルセルロースは、エトキシ度により有機溶剤と相溶性が選択でき、また反応しないOH基の比率も選択できる。OH基は有機溶剤中で水素結合によるセルロース高分子の結合を促すため、ペーストに必要なレオロジー特性をあたえる。
さらに、部分エーテル化セルロース類は、エチルセルロースの置換可能な3つの水酸基(−OH)に塩化エチルを用いてエトキシ基(−OC2H5)を部分的にエーテル化したセルロースであり、セルロースエステル(硝酸セルロース、酢酸セルロース等)に比べ、耐アルカリ性が大きかったり、耐侯性、低温衝撃性に優れる等の特徴を有する。
一方、ポリビニルブチラールは、式2のように、構造単位中に水酸基、アセチル基、ブチラール基を有しており、合成方法によってその比率を変化できる。水酸基は接着性、極性溶剤への溶解性、アセチル基は粘度特性、そしてブチラール基は相溶性、軟化性、耐水性に影響を与える。このため式中の構造単位の割合を適宜調整すれば、所望の特性をもつものになる。本発明において、ブチラール樹脂のOH基の量は、5〜40モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
Figure 2015074768
OH基を有する高分子樹脂が、以上のような構造であるため、ペースト組成物をセラミック基板、ガラス基板、PETフィルム基板上に印刷すると、基板表面のOH基と樹脂のOH基が水素結合し接着強度が生じ、さらには熱可塑性を有するために乾燥時に印刷膜に適度な柔軟性を与え、乾燥時のヒビ割れ等を防止するなどペーストとして欠かせない特性を発揮する。
高分子樹脂の含有量は、ペースト組成物全重量に対して、膜強度、脱バイ性、印刷性,粘度の観点から、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
セルロース系樹脂やポリビニルブチラール樹脂は、熱可塑性樹脂で印刷後に加温すると有機溶剤の揮発とともに熱収縮を起こし、膜強度と基体との接着性を発現させる。一般にセルロース系樹脂は膜の柔軟性向上、ポリブチラール樹脂は靭性、接着力向上に効果があるとされることから、それぞれ単独で、あるいは用途に合わせて両者を配合しペースト特性を最適化する。
配合割合は、セルロース系樹脂/(ポリビニルブチラール+セルロース系樹脂)の重量比で0〜1の範囲であり、一般にはペースト組成物を塗布する基板がセラミック、金属のようなリジットな固体の場合は、この比を1〜0.9にすることが好ましい。一方、塗布される基板が有機フィルムのような柔軟性がある場合は、この比率を低くして、MLCCのようなPETフィルム上にペースト組成物を印刷する場合は1〜0.7、好ましくは1〜0.5程度にすることが望ましい。
3.非水溶性の有機溶媒
上記金属粉末を含む固体粉末を高分子樹脂などに分散せしめ、ペーストとしての粘度を調整し、流動性、印刷性、乾燥特性などを付与するために、溶剤が使用される。本発明では、溶剤として、沸点が150℃から250℃程度の有機溶剤、テルペン系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、あるいはアルコール類など各種公知の有機溶媒(非水溶性溶媒)を用いることができる。
本発明において非水溶性溶媒とは、危険物の規制に関する政令で定義され、その別表第3の備考の9に記載されているものである。具体的には、1気圧において、温度20℃で同容量の純水と穏やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまった後も当該混合液が均一な外観を維持する水溶性溶媒に対して、それ以外のものが非水溶性溶媒ということになる。
テルペン系溶剤としては、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオールが挙げられ、脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、デカン、トリデカンなど、アルコール類としては、デカノール、トリデカノールなど、上記以外の沸点が150℃から250℃程度の有機溶剤としては、例えば、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。
非水溶性の有機溶媒の含有量は、ペースト組成物全重量に対して、蒸発量、粘性、樹脂との相溶性、印刷性の観点から、30〜70重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。
本発明において、セルロース系樹脂及び/又はブチラール系樹脂などOH基を有する高分子樹脂と非水溶性溶媒の組み合わせは、ペースト組成物で比較的一般的であり、相溶性が高く粘度特性が安定している。
ところが、かかるOH基を有する高分子樹脂は、前記したように、分子中のOH基の存在により、大気中の水分を取り込みやすく、これによりペーストの粘度性状を不安定にしてしまう。この傾向は分子にOH基を有する高分子樹脂の場合に顕著である。
4.高誘電率の有機溶媒
そのため本発明では、誘電率が高い有機溶媒をペーストの粘度性状安定剤として配合している。高誘電率の有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状ケトン系溶媒、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、およびN−メチルプロパンアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒は、誘電率がいずれも60以上、好ましくは64以上であり、誘電率が高くなるほど作用効果が高くなる傾向にある。
これら高誘電率の異なる有機溶媒は、単独でも混合して用いてもよい。混合して用いる場合、混合比は限定されず、OH基を有する高分子樹脂の種類などにも依るが、0.1:0.9〜0.9:0.1の範囲とすることができる。好ましくは、0.3:0.7〜0.7:0.3が良い。
誘電率が60以上の有機溶媒をペーストに配合すると粘度性状安定剤として機能するが、その理由はまだ十分には解明されていない。ただ、誘電率が60未満の有機溶媒、例えば、アミルアルコール(誘電率 35.5)、グリセリン(誘電率 50)では、所期の効果が得られないので、少なくとも60以上の高誘電率とすることが必要と推測される。
誘電率が60以上の有機溶媒の含有量は、ペースト組成物全重量に対して、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%である。誘電率60以上の有機溶媒の含有量が0.1重量%未満では、ほとんど効果がなく、一方、3重量%超であると、印刷性等のペースト特性が大幅に変わり望ましくない。
また、誘電率が60以上の有機溶媒の含有量は、非水溶性の溶媒100重量%に対して、好ましくは0.15〜16重量%、より好ましくは0.85〜7.5重量%含有される。
5.その他の添加成分
本発明のペースト組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて消泡剤、可塑剤、増粘剤、キレート剤、分散剤、チクソ剤などの公知の添加物を1種以上、添加してもよい。
6.ペースト組成物の製造
本発明のペースト組成物(以下、単にペーストともいう)は、製造方法によって特に限定されず、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、上記材料をミキサー、ボールミル、ニーダ、ロールミルなどの分散機で混練し、スラリー化することにより製造される。
これによって得られる本発明のペースト組成物は、その用途に応じて、適切な粘度とされる。すなわち、ペーストの粘度は、有機ビヒクルの種類や量によって異なるが、取り扱いの観点から、10〜500Pa・Sが好ましい。より好ましいのは20〜100Pa・Sである。上記粘度が10Pa・S未満であると、印刷性が低下し、500Pa・Sを超えると、通常の印刷方法では塗布できないからである。
なお、粘度は、ブルックフィールド粘度計にて25℃、10rpmの条件にて測定した値である。
本発明のペースト組成物は、誘電率が高い有機溶媒がペーストの粘度性状安定剤として配合されているので、比較的湿度が高い雰囲気下で調製しても、水分による影響を受けにくく、防湿など特殊な設備が必要とされず、また除湿などの特殊な前工程を付加する必要もない。
以下、本発明を実施例と比較例によって、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、ペースト組成物は、次の材料を用いて調製した。なお、有機溶媒の誘電率は、20(25)℃における誘電率を示す。また得られたペースト組成物は、下記に示した要領で、粘度および粘度変化率を測定した。
金属粉末を含む固体粉末:ニッケル粉(平均粒径:0.4μm、住友金属鉱山社製、商品名:SNP−350)、
金属酸化物系の固体粉末:チタン酸バリウム粉(平均粒径:0.3μm、堺化学社製、商品名:BT−01)、
OH基を有する高分子樹脂:エチルセルロース樹脂(粘度:150−250cps、OH基の量:約3−4重量%、アクアロン社製、商品名:N−200)、ブチラール樹脂(OH基の量:約22mol%、積水化学社製、商品名:BM−S)、
非水溶性溶媒:ターピネオール(日本テルペン工業、商品名:α−ターピネオール)、デカノール(昭和化学株式会社製、商品名:1−デカノール)、トリデカン(関東化学社製、商品名:n−トリデカン)、
誘電率が60以上の有機溶媒:プロピレンカーボネート(誘電率64.4、キシダ化学社製、商品名:プロピレンカーボネート)、エチレンカーボネート(誘電率95.3、三菱化学社製、商品名:エチレンカーボネート)、
誘電率が60未満の水溶性溶媒:グリセロール(誘電率47.2、関東化学社製、商品名:グリセロール)、アミルアルコール(誘電率35.5、関東化学社製、商品名:n−ペンチルアルコール)
(粘度変化率)
製造したペーストを密閉状態で25℃恒温室に保管し、1日、7日、14日、30日経過後に粘度を25℃でブルックフィールド粘度計にて10rpmの条件にて測定し、下記式で定義された粘度変化率を算出した。
製造時の湿度が変わっても、30日間に渡り、粘度変化が小さく、−5%を越えなければ粘度特性が「良好」であり、−2%を越えるものがなければ「非常に良好」な粘度特性である。
粘度変化率%=(η−η)×100/η
η:X日後の10rpm粘度
η:1日後の10rpm粘度
(実施例1〜11)
金属粉末を含む固体粉末として前記のニッケル粉(平均粒径:0.4μm);金属酸化物系の固体粉末としてチタン酸バリウム粉(平均粒径:0.3μm);OH基を有する高分子樹脂としてエチルセルロース樹脂、ブチラール樹脂;非水溶性溶媒としてターピネオール、デカノール、またはトリデカン;誘電率が60以上の有機溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートを用意した。
次に、これらを表1に記載された配合で、25℃、相対湿度35%、50%、70%の環境下、各1Kgロールミルでペーストを作製した。
こうして得られたペースト組成物の粘度および粘度変化率を測定し、結果を表2に示す。
Figure 2015074768
Figure 2015074768
(比較例1〜11)
実施例で用いた誘電率が60以上の有機溶媒の代わりに、誘電率が60未満の水溶性溶媒としてグリセロール、アミルアルコールを用いた以外は実施例と同様の成分を用いて、表3に記載されている配合で、実施例1と同様な方法によりペースト作製した。
Figure 2015074768
得られたペースト組成物は、実施例と同様な方法により粘度変化率を測定し、結果を表4に示す。
Figure 2015074768
「評価」
上記実施例、比較例の結果を示す表2,4から次のことが分かる。すなわち、実施例1〜11のペーストにおいては、誘電率が60以上の有機溶媒を特定量含有するために、製造時の湿度が変わっても、30日間に渡り、粘度変化が−2%越えるものはなく非常に安定した粘度特性を示している。
一方、比較例1〜11のペーストにおいては、有機溶媒の誘電率が60未満であったために、相対湿度35%(25℃)の環境下では製造後30日経過しても−2〜−3%と比較的安定していたが、より高い湿度50%、70%(25℃)の環境下では経過日数とともに、ペーストの粘度が下降し、−5%以上の大きな変化を示した。
また、比較例10のペーストにおいては、有機溶媒の誘電率が60以上で粘度変化は抑えられたが、その含有量が3.0重量%を超えていたため、粘度が低くなったため印刷性が悪くなってしまった。比較例11のペーストにおいては、有機溶媒の誘電率が60以上であったが、その含有量が0.1重量%未満であったため、本発明の効果が得られず、粘度変化が大きくなってしまった。
本発明のペースト組成物は、製造時の湿度に影響されず、長期間にわたり安定な品質を保つことができ、電子部品や回路基板等の導体、抵抗体を形成するのに適している。このため、ペースト生産現場において、製造コストを大幅に削減することが可能となり、産業上大いに有用である。

Claims (11)

  1. 金属粉末を含む固体粉末とOH基を有する高分子樹脂と非水溶性の溶媒とを含むペースト組成物であって、誘電率が60以上の有機溶媒を0.1〜5.0重量%含有することを特徴とするペースト組成物。
  2. 前記の誘電率60以上の有機溶媒が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、およびN−メチルプロパンアミドからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  3. 前記の高分子樹脂が、セルロース系樹脂及びブチラール系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  4. 前記の高分子樹脂の含有量が、0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  5. 前記の固体粉末が、Ni、Cu、Ag、Pd、Au、Pt粉末、あるいはこれらの合金粉末からなる群より選ばれる1種以上の金属粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  6. 前記の固体粉末が、さらに、チタン酸バリウム系あるいはジルコン酸ストロンチウム系からなる群より選ばれる1種以上の酸化物粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  7. 前記の固体粉末の含有量が、30〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  8. 前記非水溶性の溶媒が、沸点150℃から250℃の有機溶剤、テルペン系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤及びアルコール類からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  9. 前記非水溶性の溶媒の含有量が、30〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  10. 前記誘電率60以上の有機溶媒の含有量が、0.5〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  11. 25℃で保管し、30日経過後に粘度をブルックフィールド粘度計にて25℃、10rpmの条件にて測定したとき、粘度変化率が−5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
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