JP2015074697A - 褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置 - Google Patents

褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置 Download PDF

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Abstract

【課題】第1に、褐炭の石炭有機物と石炭無機物について、濡れ性の差異が確保され、第2に、もって石炭有機物が浮選により、石炭無機物から確実に分離,選別される、褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置を提案する。
【解決手段】この褐炭の脱灰選炭方法は、褐炭粉の石炭有機物8と石炭無機物9とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。そして、褐炭粉1を対象として、熱水改質工程,スラリー化工程,捕集剤添加工程,剪断力付与工程,表面改質工程,起泡剤添加工程,浮選工程等を、順に有してなる。又、褐炭の脱灰選炭装置は、褐炭粉1の石炭有機物8と石炭無機物9とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。そして、熱水改質器2,スラリータンク3,油添加手段4,表面改質マシン5,起泡剤添加手段,浮選機等を、順に有してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置に関する。すなわち、褐炭粉の石炭有機物と石炭無機物(灰分)とを、濡れ性の差を利用して選別,分離する、脱灰選炭方法および脱灰選炭装置に関する。
《技術的背景》
石炭化度の低い低品位炭である褐炭は、炭質的に酸化度合が高く脆弱なため、粉体主体の選炭にならざるを得ない。
すなわち、工業的に対象となる褐炭は、粉状をなすか粉砕されて粉状をなし、石炭有機物と石炭無機物とからなる。石炭有機物は、炭素,水素,酸素を主要構成元素とした有機高分子構造よりなり、石炭無機物は、主に粘土および鉱物よりなる。
そして褐炭粉について、燃料等として利用可能な石炭有機物(精製炭である亜瀝青炭)を、石炭無機物(灰分)から分離,選別する選炭方法としては、比重選炭法もあるが、浮選が代表的である。工業的に確立し得る選炭方法としては、浮選が挙げられる。
《従来技術》
浮選では、水を加えてスラリー化した褐炭粉に、起泡剤を加えて空気を吹き込むことにより、気泡を生成する。すると石炭有機物が、気泡周りの起泡剤に付着して浮上するのに対し、親水性の石炭無機物は沈下する。
浮選では、このようにして褐炭粉の脱灰選炭を行う。石炭有機物の石炭無機物からの分離,選別が、粒子表面の濡れ性の差を利用して行われる。
このような褐炭の浮選については、例えば、次の特許文献1中(その段落番号0013欄)に示されている。
特開平10−130669号公報
ところで、このような従来技術については、次の課題が指摘されていた。
褐炭粉について浮選を実施しても、脱灰選炭が所期の通り行われない、という問題が指摘されていた。石炭有機物の石炭無機物からの分離,選別が、スムーズに遂行されず、褐炭粉の石炭有機物を浮選により回収して有効利用することは、工業的には困難視されていた(例えば、後述する実施例中の試験方法0を参照)。
その原因については、次のとおり。すなわち、褐炭粉の浮選では、石炭有機物と石炭無機物との粒子表面の一定の濡れ性の差異を利用して、選炭を実施せんとする。しかしながら、このように必要不可欠な一定の濡れ性の差異、つまり疎水性と親水性が確保されていなかった。
褐炭粉の石炭有機物は、その粒子表面の有機物端末基・表面官能基として、含酸素官能基が多く存在する。そして特に、極めて強力な親水性のカルボキシル基やカルボニル基により、褐炭粉そして石炭有機物についても親水性が優勢となり、親水性である石炭無機物に対し、浮選に必要な一定の濡れ性の差異が確保できていなかったことが、浮選が困難視されていた原因と判断される。
《本発明について》
本発明の褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべく成されたものである。
そして本発明は、第1に、褐炭の石炭有機物と石炭無機物について、濡れ性の差異が確保され、第2に、もって石炭有機物(精製炭)が、浮選により石炭無機物(灰分)から確実に分離,選別される、褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置を提案することを、目的とする。
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の褐炭の脱灰選炭方法は、褐炭粉の石炭有機物と石炭無機物とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。
そして、次の熱水改質工程,スラリー化工程,捕集剤添加工程,剪断力付与工程,表面改質工程,起泡剤添加工程,浮選工程等を、有してなる。
すなわち、該褐炭粉の石炭有機物の濡れ性に関し、疎水性を向上させる熱水改質工程。該褐炭粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工程。該スラリーに油性の捕集剤を添加する捕集剤添加工程。該捕集剤が添加された該スラリーに攪拌剪断力を付与し、もって該石炭有機物,石炭無機物,捕集剤油滴について、添着していた水膜を剥ぎ取り、粒子表面の表面エネルギーを高める剪断力付与工程。
表面エネルギー向上に基づき、まず該石炭有機物および油滴は、粒子の疎水性,親油性が一段と高められ、もって、該石炭有機物の粒子表面に該水膜に代え該捕集剤油滴が油膜となって添着されて、表面エネルギーが低下する。該石炭無機物は、粒子表面の親水性,疎油性が一段と高められ、もって水に一層濡れ馴染んで表面エネルギーが低下する表面改質工程。
表面改質後の該スラリーに、起泡剤を添加する起泡剤添加工程。該起泡剤が、添加された該スラリーへの空気の吹き込みや吸い込みにより、気泡を生成し、もって、該気泡周りの該起泡剤に付着する該油膜と共に該石炭有機物が浮上する。これに対し、水に濡れ馴染んだ該石炭無機物が沈下することにより、該石炭有機物と石炭無機物とが選別、分離される浮選工程。請求項1の褐炭の脱灰選炭方法は、これらの工程を有してなることを、特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2の褐炭の脱灰選炭方法では、請求項1において、該褐炭粉は、粉状をなす該石炭有機物と石炭無機物とからなる。そして該石炭有機物は、炭素,水素,酸素を主要構成元素とした有機高分子構造よりなる。該石炭無機物は、主に粘土および鉱物よりなること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3の褐炭の脱灰選炭方法では、請求項2において、前記熱水改質工程とスラリー化工程とは、相前後して実施されるか、又は同一共通工程として同時に実施されるかの、いずれかよりなること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。
請求項4の褐炭の脱灰選炭方法では、請求項3において、前記熱水改質工程では、該石炭有機物の表面官能基中、親水性が特に強い含酸素官能基が、分解,消滅,除去されること、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。
請求項5の褐炭の脱灰選炭方法では、請求項4において、前記熱水改質工程では、カルボキシル基およびカルボニル基が、熱水雰囲気下での改質処理により、二酸化炭素と水に分解,消滅,除去される。
これと共に、該石炭無機物中に含有された鉄分が、熱水雰囲気下で3価の鉄イオンとなり触媒として機能し、もって該石炭有機物について、炭素原子間の共有結合が深化せしめられ、この面からも疎水性が向上すること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。
請求項6の褐炭の脱灰選炭方法では、請求項4において、前記熱水改質工程は、250℃以上〜450℃以下の加熱下、かつ15MPa以上〜20MPa以下の加圧下で、攪拌しつつ実施される。前記スラリー化工程では、褐炭濃度が10重量%以上〜30重量%以下へのスラリー化が実施される。前記気泡剤添加工程では、該気泡剤として高級アルコールが添加されること、を特徴する。
請求項7については、次のとおり。
請求項7の褐炭の脱灰選炭装置は、褐炭粉の石炭有機物と石炭無機物とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。そして、次の熱水改質機,スラリータンク,油添加手段,表面改質マシン,起泡剤添加手段,浮選機等を、有してなる
すなわち、供給された該褐炭粉中の石炭有機物の疎水性を向上させる熱水改質機。該褐炭粉を水と攪拌,混合,懸濁化して、スラリー化するスラリータンク。該スラリータンクから表面改質マシンへと供給される該スラリーに対し、油性の捕集剤を添加する油添加手段。
ドラム内の攪拌室に供給された該スラリーについて、粒子の表面エネルギーを過渡的に高めるに足る攪拌剪断力を付与し、もって、該石炭有機物および捕集剤油滴の疎水性,親油性を一段と高めると共に、該石炭無機物の親水性,疎油性を一段と高める、該表面改質マシン。
該表面改質機から浮選機へと供給される該スラリーに対し、起泡剤を添加して攪拌する起泡剤添加手段。該スラリーが供給されると共に空気が供給され、もって、生成された気泡周りの該起泡剤に付着する該捕集剤油膜と共に、該石炭有機物が浮上するのに対し、水に濡れ馴染んだ該石炭無機物が沈下するようになる該浮選機。請求項7の褐炭の脱灰選炭装置は、これらを有してなることを、特徴とする。
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)褐炭粉は、石炭有機物と石炭無機物とからなる。
(2)そして、石炭有機物を石炭無機物から浮選により選別,分離するが、本発明では、その前処理として熱水改質と表面改質を実施する。
(3)まず熱水改質機により、石炭有機物の疎水性が向上せしめられる。強力な親水性の表面官能基・含酸素官能基であるカルボニル基やカルボニル基は、二酸化炭素や水分子として分解,消滅,除去される。これと共に、石炭無機物中の鉄分が熱水雰囲気下で3価の鉄イオンとなり、その触媒機能により、石炭有機物の炭素原子間の共有結合を深化させる。
(4)なお熱水改質により、石炭有機物に結合していたアルカリ金属も、除去,離脱される。
(5)それから石炭有機物と石炭無機物は、スラリー化され、捕集剤が添加される。
(6)ところで、スラリーの石炭有機物には、表面官能基・含酸素官能基として、エーテル基,フェノール基,アルコール基等が、熱水改質後も存在している。もって、程度は低いが親水性を帯びており、水膜が添着している。
(7)そこでスラリーは、表面改質マシンに供給されて、高速で強力な攪拌剪断力が付与され、石炭有機物や石炭無機物粒子個々について、水膜が剥ぎ取られて、表面エネルギーが過渡的に高められる。石炭有機物は、疎水性,親油性が高められ、石炭無機物は、親水性,疎油性が高められる。
(8)そして、スラリーの石炭有機物は、水膜に代え捕集剤が油膜となって添着され、もって表面エネルギーが低下する。石炭無機物は、水に一層濡れ馴染み、もって表面エネルギーが低下する。
(9)しかる後、スラリーに起泡剤が添加される。
(10)それから、空気が吹き込まれるか吸い込まれて、浮選が実施され、もって起泡剤,油膜,石炭有機物が浮上し、石炭無機物が沈下する。
(11)そして本発明では、浮選の前処理として、熱水改質と表面改質とを組み合わせて採用したことにより、石炭有機物と石炭無機物について、工業的に必要十分な濡れ性の差異が確保されている。もって浮選が、精度高く確実に行われる。
(12)浮上した石炭有機物は、浮選フロスとして回収された後、固液分離され,脱水,乾燥された後、燃料等として有効利用される。石炭無機物も、浮選テールとして回収される。
(13)そこで、本発明の褐炭の脱灰選炭方および脱灰選炭装置は、次の効果を発揮する。
《第1の効果》
第1に、褐炭の石炭有機物と石炭無機物について、濡れ性の差異が確保される。本発明の褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置は、浮選の前処理として、熱水改質と表面改質とを組み合わせて採用したことを、特徴とする。
まず、褐炭の熱水改質により、その石炭有機物の疎水性を向上させる。すなわち石炭有機物表面について、強力な親水性のカルボキシル基やカルボニル基を、二酸化炭素や水として分解,消滅,除去させ、もって褐炭を亜瀝青炭化する。同時に、石炭無機物中の鉄分の触媒機能に基づき、石炭有機物の炭素原子間の共有結合を深化させ、この面からも、褐炭を亜瀝青炭化する。
次いで表面改質により、粒子表面エネルギーを過渡的に高める攪拌剪断力を付与することにより、石炭有機物の疎水性,親油性を一段と高めると共に、石炭無機物の親水性,疎油性を一段と高める。石炭有機物について、有機物端末基・表面官能基の含酸素官能基に基づく水膜は、排除される。
このように、熱水改質と表面改質とを組み合わせて採用したことにより、石炭有機物と石炭無機物の濡れ性の差異が、確実に確保される。
《第2の効果》
第2に、もって石炭有機物(精製炭)が、浮選により、石炭無機物(灰分)から確実に分離,選別されるようになる。
すなわち、本発明の褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置では、上述したように、褐炭の石炭有機物と石炭無機物との濡れ性の差異が確保される。そこで浮選に際し、石炭有機物の石炭無機物からの分離,選別が、工業的にスムーズに実現される。石炭有機物は浮上し、石炭無機物は沈下する。前述した従来技術では困難化していた褐炭の脱灰選炭が、本発明では可能となる。
そして、このように分離,選別,回収された石炭有機物(精製炭である亜瀝青炭)は、例えばディーゼルエンジン等の燃料として、灰分の少ない燃料として有効利用される。
なお、石炭有機物に結合していたアルカリ金属も、熱水改質時に除去されており、この面からも、灰分の少ない優れた燃料となる。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
本発明に係る褐炭の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置について、発明を実施するための形態の説明に供し、工程前半のブロック図である。 同発明を実施するための形態の説明に供し、工程後半のブロック図である。 同発明を実施するための形態の説明に供し、工程要部の説明図である。そして、(1)図は、熱水改質工程、(2)図は、スラリー化工程,捕集剤添加工程、(3)図は、剪断力付与工程,表面改質工程、(4)図は、起泡剤添加工程,浮選工程を示す。 同発明を実施するための形態の説明に供し、表面改質マシンを示す。そして、(1)図は、一部を透視した側面説明図、(2)図は、(1)図のX―X線に沿った矢視断面図、(3)図は、(1)図のY―Y線に沿った矢視断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《本発明の概要》
まず、本発明の褐炭の脱灰選炭方法は、褐炭粉の石炭有機物8と石炭無機物9とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。そして、褐炭粉1を対象として、熱水改質工程,スラリー化工程,捕集剤添加工程,剪断力付与工程,表面改質工程,起泡剤添加工程,浮選工程等を、順に有してなる。
又、本発明の褐炭の脱灰選炭装置Aは、褐炭粉1の石炭有機物8と石炭無機物9とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。そして、熱水改質機2,スラリータンク3,油添加手段4,表面改質マシン5,起泡剤添加手段6,浮選機7等を、順に有してなる。
対象となる褐炭粉1は、粒径3mm以下程度の粉状をなす。元々粉状をなすか、粉砕されて粉状をなし、石炭有機物8と石炭無機物9とからなる。
石炭有機物8は、炭素(C),水素(H),酸素(O)の3元素を主要構成元素とした、含酸素炭化水素の有機高分子構造よりなる。褐炭の場合、[H]−[O]コールバンドの[O]値、つまり有機構造の骨格となる炭素原子100個当たりの酸素原子数(原子比表示)が、15個程度以上となっている。
石炭無機物9は、主に粘度および鉄を含む鉱物よりなり、事後燃焼されると灰化するので、灰分とも称される。
本発明の概要は、以上のとおり。以下、このような本発明について詳細に説明する。
《熱水改質工程(その1)》
まず、図1,図3を参照して、熱水改質工程について説明する。熱水改質工程(スティームリフォーミングプロセス)では、熱水改質機2を使用して、褐炭粉1の石炭有機物8の粒子表面の濡れ性に関し、疎水性を向上させる。
すなわち、熱水改質工程では、石炭有機物8の有機物端末基・表面官能基中、親水性が特に強い含酸素官能基が、分解,除去される。石炭有機物8表面のカルボキシル基およびカルボニル基が、熱水雰囲気下での改質処理により、二酸化炭素と水に分解,消滅,除去せしめられる。もって、褐炭粉1が亜瀝青炭化される。
このような熱水改質工程について、更に詳述する。熱水改質機2としては、エバポレータやオートクレーブ等、熱源を備えた高温高圧の耐熱耐圧炉が使用される。そして、準備容器10から褐炭粉1が供給されると共に、水槽11等の水供給設備から水12が供給される。
そして、このような熱水改質機2により、褐炭粉1の石炭有機物8について、粒子表面のカルボキシル基やカルボニル基の熱水改質が行われる。
この熱水改質は、250℃以上〜450℃以下、代表的には350℃程度の加熱下、かつ15MPa以上〜20MPa以下の加圧下で、攪拌しつつ実施される。250℃未満や15MPa未満では、熱水改質が困難化する。450℃を越えると、発生するタール分等により取扱性が悪化し、20MPaを越えるとコスト過剰,コスト高となる。
褐炭粉1の石炭有機物8の親水性は、粒子表面の表面官能基のカルボキシル基に由来すると言っても、過言ではない。褐炭粉1の特性である親水性は、[O]値で言えば、カルボキシル基由来の[O]値に由来する。そして、このカルボキシル基(−COOH)(示性式表示では−C(=O)(−OH))は、水環境下では、次の化1の化学式に示したように部分的に電離し、特に熱水環境下では、式の平衡が右に進むと共に、プロトン(H)の拡散が進む。
Figure 2015074697
そして、プロトンが拡散,離散した化1右辺の残基は、−Oが陰イオンの対電子を移動して炭素原子(C)と二重結合化する。もって、炭素原子の原子価4が満たされ、二酸化炭素(CO)となって遊離する。
他方、化1の左辺は、プロトンの存在で電離を進める熱水(HO⇔H+OH)の加水分解力により、カルボニル基(C=O)の二重結合のπ分子軌道(被占軌道・π軌道と空軌道・π)を、解消せしめる。
すなわち、空軌道の炭素原子(C)側に、水域の水酸イオン(OH)が付加和合すると共に、被占軌道上の対電子が酸素原子(O)端へ移動して、これをアニオン化せしめ、水域からプロトン(H)を引き寄せ,付加せしめる。
その結果、左辺は水分子(HO)を遊離して、新たなカルボニル基(C=O)となり、右辺が再生される。このような反応を繰り返し、カルボキシル基は、分解,消滅,除去される。
又、表面官能基のカルボニル基(−CO−)の分解,消滅,除去については、次のとおり。まず、カルボキシル基の左辺について上述した所に準じ、水域の水酸イオン(OH)とプロトン(H)が付加する。しかる後、プロトンが熱水中に拡散することに基づき、カルボキシル基が生成されるので、後は、上述したカルボキシル基の分解,消滅,除去に準じる。
熱水改質工程(その1)については、以上のとおり。
《熱水改質工程(その2)》
熱水改質工程(その1)では、このように、粒子表面のカルボキシル基やカルボニル基が分解,消滅,除去せしめられ、もって石炭有機物8の疎水性が向上し、褐炭粉1の亜瀝青炭化が進行する。
これと共に熱水改質工程では、石炭無機物9中に含有されていた鉄分が、熱水雰囲気下で3価の鉄イオンとなり、触媒として機能する。
もって、石炭有機物8について、炭素原子間の共有結合が深化せしめられ、この面からも疎水性が向上し、褐炭粉1の亜瀝青炭粉化が進行する。このような鉄分の触媒機能について、熱水改質工程(その2)として説明する。
前述した熱水改質工程(その1)において、石炭有機物8について、表面官能基のカルボキシル基(−COOH)やカルボニル基(−CO−)を、二酸化炭素(CO)や水分子(HO)として分解,消滅,除去すると、石炭有機物8の有機質端側に、過渡的に結合対電子が残される。
すなわち、有機質端の炭素原子側に、対電子が付随して残り(模式的表現はC:)(なお:は、対電子を表す)、対電子中の1電子を他者に付与せんとする還元性が生じる。
他方、石炭無機物9中には鉄(Fe)が含まれている。この鉄分は、プロトン過多の酸性の熱水雰囲気下では、3価の鉄イオン(Fe3+)となって、次のように触媒として機能する。
そこで、次の化2の化学式に示したように、カルボキシル基やカルボニル基が抜けた有機質端(の炭素原子は)は、この3価の鉄イオンに、対電子中の1電子を一時的に付与して、2価の鉄イオン(Fe2+)に還元する。そして、自身は過渡的に、対電子中の残った1電子である不対電子を有する不対電子端,ラジカル(−C・)(なお・は、不対電子を表す)になる。有機質端は、過渡的に不対電子端となる。
Figure 2015074697
そして、このように生成された不対電子端つまりラジカル(−C・)は、別のラジカル(−C・)と相互反応して、炭素−炭素結合(−C:C−)を深化させて行く。つまり、不対電子端同士の有機質端を、双方の不対電子に基づく対電子をもって共有結合させ、もって炭素−炭素結合を深化させて行く。
このようにして、石炭有機物8全体として炭化水素(HC)が疎水化し、褐炭粉1が亜瀝青炭化される。
なお、生成された2価の鉄イオン(Fe2+)は、プロトン(H)過多の酸性の熱水雰囲気下において、自然性向で酸化して、元の3価の鉄イオン(Fe3+)に戻る。そして、上述した触媒機能を繰り返し、炭素−炭素結合(−C:C−)や炭素−水素結合を、深化させて行く。
熱水改質工程(その2)については、以上のとおり。
《熱水改質工程(その3)》
熱水改質工程では、更に、石炭有機物8に結合しているアルカリ金属が、除去される。このようなアルカリ金属の除去について、熱水改質工程(その3)として説明する。
ナトリウム(Na)やカリウム(K)等のアルカリ金属は、褐炭(褐炭粉1)に限らず石炭一般において、石炭無機物9側に含まれる分は極く僅かであり、その殆どが石炭有機物8側に含まれている。そして石炭有機物8では、殆どの場合、そのカルボキシル基に接続し、カルボン酸(有機酸)の塩として含まれている(例えば−COONa)。
このようなアルカリ金属も、勿論、灰分の一種であり、事後、石炭有機物8を燃料等として燃焼させると、灰化して残留するので(例えばNaO,KO)、予め除去しておく必要がある。
そして熱水改質工程では、熱水改質つまり熱エネルギー付与の加水分解反応に基づき、前述したカルボキシル基と共に、アルカリ金属も系外に遊離,離脱する。例えばナトリウムの場合は、炭酸水素ナトリウム(Na+HCO⇔NaHCO)となって、石炭有機物8から、離脱,除去される。
なお、離脱,除去した後の石炭有機物8の有機質端側には、過渡的に結合対電子が残るが、前述したところに準じ、3価の鉄イオンの触媒機能により、炭素原子間の共有結合が深化せしめられる。
熱水改質工程(その3)については、以上のとおり。
《その他の含酸素官能基の影響》
ここで、褐炭粉1の石炭有機物8の含酸素官能基について、説明しておく。熱水改質工程(その1)において述べたように、褐炭粉1そして石炭有機物8の親水性は、その粒子表面の含酸素官能基のカルボキシル基に由来すると言っても過言ではない。
そして、この強力な親水性のカルボキシル基更にはカルボニル基は、熱水改質により分解,消滅,除去せしめられる。もって石炭有機物8は、濡れ性に関し疎水性が向上し、親水性の石炭無機物9との濡れ性の差異が、一応は明確化される。
しかしながら石炭有機物8には、その他の含酸素官能基が依然として多く存在する。そこで、その親水性,疎水性,濡れ性への影響については、次のとおり。
まず、最大の含酸素官能基であるエーテル基(−O−)は、相対的に不活性であり、まずは親水性には寄与しない。
フェノール基(芳香環−OH)は、プロトン(H)が部分電離する親水基であるが、芳香環やそれに連なるメチレン(−CH−)鎖の疎水性の方が、圧倒的に優勢である。もって、フェノール基の親水性は潜在化する。
アルコール基(−OH)も、連なるメチレン(−CH−)鎖の疎水性が、圧倒的に優勢である。メトキシ基(−O−CH)も、これらに準じる。
その他の含酸素官能基は、上述したように疎水性の高分子炭化水素と結合しているので、親水性が潜在化し疎水性が顕在化している。
しかしながら、このようなその他の含酸素官能基は、上述したように一応は潜在化しているものの、程度の差はあれ親水性が維持されており、石炭有機物8中での含有量も多い。そこで、前述した熱水改質工程(その1)において、親水性が特に強いカルボキシル基やカルボニル基等を除去しても、なお浮選において阻害要因となる。
すなわち、その他の含酸素官能基は、その親水性に基づき、水との界面において水膜が張り付くようになる。表面官能基に水膜が張り付くことにより、石炭有機物8も、水膜が張り付き,添着された状態となっている。(因に石炭無機物9にも、その親水性に基づき当然ながら水膜が張り付いている。)
このような水膜の存在は、濡れ性の差異に基づき、石炭有機物8と石炭無機物9とを分離,選別する浮選の阻害要因となる。少なくとも工業的には、必要十分な濡れ性の差異が確保できず、浮選の阻害要因となり選炭効果が低下する。
そこで本発明では、熱水改質工程の後に浮選工程の前処理として、このような水膜を剥ぎ取る剪断力付与工程を、後述するように実施する。もって、工業的にも必要十分な濡れ性が確保され、浮選が良好に実施可能となる。
その他の含酸素官能基の影響については、以上のとおり。
《スラリー化工程》
次に、図1,図3を参照して、スラリー化工程について、説明する。スラリー化工程では、スラリータンク3において、供給された褐炭粉1に、水槽13等の水供給設備から水12を加え、攪拌,混合,懸濁化してスラリー14化する。褐炭濃度が10重量%以上〜30重量%以下のスラリー14とする。
すなわち褐炭粉1は、スラリー14中の濃度が10重量%〜30重量%となるように、供給される。
褐炭濃度が30重量%を越えると、後述する表面改質マシン5を用いた剪断力付与工程において、スラリー14による閉塞傾向,固化傾向が顕著となり、流動性が失われて攪拌剪断力付与が困難化する。攪拌翼そしてモータの回転にも、支障が生じる。これに対し、褐炭濃度が10重量%未満の場合は、機械効率低下が顕著化し、ランニングコストが嵩む等、工業化した場合の採算性,コスト面,経済性に問題が生じる。
もって、流動性確保および経済性の点から、代表的には褐炭濃度15重量%〜20重量%程度に設定される。
ところで、前記熱水改質工程とスラリー化工程とは、相前後して実施されるか、又は同一共通工程として同時に実施されるかの、いずれかよりなる。図示例では、熱水改質機2にて熱水改質された褐炭粉1が、スラリータンク3へと供給される。しかし本発明は、このような図示例に限定されるものではない。
例えば、準備容器10から供給される褐炭粉1に、多量の水分が含まれている場合は、事後にスラリータンク3において水12を供給する必要はなく、スラリー化工程は、熱水改質工程の前に既に実施されていることになる。
又、熱水改質工程の前に、スラリータンク3を置いてスラリー化工程を実施することも可能である。更に、熱水改質工程における水槽11からの水12供給に際し、スラリー14化を見込んだ量の水12を供給し、もって熱水改質工程とスラリー化工程とを共通工程として、同時兼用実施することも考えられる。
スラリー化工程については、以上のとおり。
《捕集剤添加工程》
次に、図1,図2,図3等を参照して、捕集剤添加工程について説明する。捕集剤添加工程では、スラリー14に油性の捕集剤15が添加される。図示例では、スラリータンク3から表面改質マシン5へと供給されるスラリー14に対し、油添加手段4の油槽18から、油性の捕集剤15が添加される。
捕集剤15としては、灯油,軽油,重油等が代表的に用いられる。そして捕集剤15は、コレクター油としてスラリー14に添加され、界面張力により油滴16となって表面改質マシン5へと供給されるが、この油滴16は事後、石炭有機物8に付着する油膜17となる。
捕集剤15の添加量は微量であり、スラリー14中の石炭有機物8に対し、例えば、濃度0.5重量%〜10重量%程度とされる。
濃度が0.5重量%未満の場合は、後述する浮選機7を用いた浮選工程において、石炭有機物8に付着すべき油膜17の量が不足し、浮選に支障が生じる。濃度が10重量%を越えると、過剰添加された油滴16等にて液面層が形成されて、石炭有機物8の浮選の邪魔になり、浮選に支障が生じる。更に不経済であり、コスト面にも問題が生じる。なお、図中19は配管、20はポンプである。
捕集剤添加工程については、以上のとおり。
《剪断力付与工程》
次に、図1,図2,図3,図4等を参照して、剪断力付与工程について、説明する。剪断力工程では、捕集剤15が添加されたスラリー14に攪拌剪断力を付与し、もって、石炭有機物8,石炭無機物9,捕集剤15油滴16について、添着していた水膜を剥ぎ取り、粒子表面の表面エネルギーを高める。
すなわち、表面改質マシン5において、円筒ドラム21内の攪拌室22に供給されたスラリー14について、粒子表面の表面エネルギーを過渡的に高めるに足る攪拌剪断力,接触摩擦力を付与する。
捕集剤15が油滴16として添加されたスラリー14は、表面改質マシン5の円筒ドラム15内の仕切板23にて分割された攪拌室22に、供給される。もって攪拌により、捕集剤15の油滴16が、スラリー14中に高度に分散,混合されると共に、スラリー14への攪拌剪断力付与により、スラリー14の石炭有機物8や石炭無機物9の粒子表面の表面エネルギーが、過渡的に高められる。
このような剪断力付与工程について、更に詳述する。まず表面改質マシン5について、説明する。表面改質マシン5は、円筒ドラム21内に形成された攪拌室22内に、高速回転可能な円板状の攪拌板24が設けられると共に、攪拌板24の板面に攪拌翼25が凸設されている。そしてスラリー14が、表面改質マシン5の入口26から出口27へと流れる。
すなわち、表面改質マシン5の入口26と出口27を備えて横設された円筒ドラム21内には、円板環状のバッフル仕切板23が、水平軸方向に等間隔を存しつつ複数個列設されている。そして、各仕切板23にて分割形成された間隔が、それぞれ攪拌室22となっている。
各仕切板23の中央連通穴28を貫遊して、軸方向にシャフト29が設けられている。シャフト29には、各攪拌室22毎に、シャフト穴付の円板リング状の攪拌板24が外嵌密着されており、各攪拌板24の前後両面には、略弧状,帯状の攪拌翼25がそれぞれ凸設されている。シャフト29は、減速機30,モータ31に接続されている。
そこで、上流側の攪拌室22から下流側の攪拌室22へと流れるスラリー14は、各攪拌板24そして攪拌翼25が高速強力回転されることにより、高速で強力な攪拌剪断力が付与される。
なお、図示の表面改質マシン5は、円筒ドラム21内に複数の攪拌室22が分割形成されているが、これによらず、円筒ドラム21内に攪拌室22そして攪拌翼25付の攪拌板24が、1セットのみ設けられたバッチ式の表面改質マシン5も、勿論可能である。
表面改質マシン5内では、攪拌板24そして攪拌翼25の攪拌回転により、スラリー14の石炭有機物8,石炭無機物9,捕集剤15の油滴16等が、攪拌板24,攪拌翼25等の回転部分や、円筒ドラム21内面,仕切板23等の固定部分に対し、強制的に接触,衝突せしめられる。
もって、石炭有機物8,石炭無機物9,捕集剤15の油滴16等は、シェアーリングされ高速かつ強力な攪拌剪断力が付与される。そして、スラリー14のダイラタンシー性に基づき、これらの各粒子毎に局部充填密度そして表面エネルギーが、それぞれ過渡的に高められる(含.表面エネルギーの生成)。
すなわち、ダイラタント流体であるスラリー14の各粒子、つまり石炭有機物8,石炭無機物9,油滴16等の各粒子は、表面改質マシン5内で瞬間的に発生する高速強力な攪拌剪断力場において、充填密度が高められて高濃度化,高集合化する。もって、相互間の水12が排除されると共に、相互間の表面接触摩擦により削り合って、剪断面,活生面が形成されることにより、粒子表面が活性化され、その表面エネルギーのレベルが過渡的に高められる。
石炭有機物8や石炭無機物9に張り付き,添着していた水膜が剥ぎ取られて、表面エネルギーのレベルが過渡的に高められる。スラリー14の石炭有機物8は、粒子表面の疎水性,親油性が一段と高められ、石炭無機物9は、本来の粒子表面の親水性,疎油性が一段と高められる。
剪断力付与工程については、以上のとおり。
《表面改質工程》
次に、図3を参照して、表面改質工程について説明する。上述したように、剪断力付与工程における表面エネルギー向上に基づき、まず、石炭有機物8および油滴16は、粒子表面の疎水性,親油性が一段と高められる。もって、石炭有機物8の粒子表面について、剥ぎ取られた水膜に代え、捕集剤15の油滴16が油膜17となって添着されることにより、表面エネルギーが低下する。
これに対し石炭無機物9は、粒子表面の親水性,疎油性が一段と高められ、もって水に一層濡れ馴染んで表面エネルギーが低下する。
このような表面改質工程について、更に詳述する。表面改質工程では、高速強力な攪拌剪断力場におけるスラリー14への攪拌剪断力付与に基づき、石炭有機物8および油滴16は、まず、前述したように粒子表面が活性化され、表面エネルギーのレベルが過渡的に高められて、粒子表面の疎水性,親油性が一段と高められる。
石炭有機物8は、表面改質マシン5内で強剪断力場と、交互に瞬時瞬間的に発生する弱剪断力場とにおいて、粒子表面に付着して覆っていた水膜が剥ぎ取られ,剥離されると共に、油滴16を捕捉して濡れ馴染み、油滴16が極めて薄い油膜17となって、石炭有機物8の粒子表面に付着して覆う。
これにより、石炭有機物8や油膜17は、過渡的に一旦高まっていた表面エネルギーのレベルを低下させて、安定化する。
これに対し石炭無機物9は、粒子表面の活性化,表面エネルギーの過渡的高まりにより、親水性,疎油性が一段と高められて、水12に一層濡れ馴染むようになり、一段と強力な水膜が形成される。これにより石炭無機物9は、過渡的に一旦高まっていた表面エネルギーのレベルを低下させて、安定化する。
表面改質マシン5内では、このように、スラリー14への攪拌剪断力が付与に基づき、表面エネルギーが高められた石炭有機物8に対し、油滴16が捕捉され薄膜状の油膜17となり、水膜と置換して付着する。石炭有機物8は、油膜17にて全体的に覆われコーティング添着されるか、油膜17が部分的に添着される。
表面改質工程については、以上のとおり。
《起泡剤添加工程》
次に、図2,図3を参照して、起泡剤添加工程について、説明する。起泡剤添加工程では、表面改質後のスラリー14に起泡剤32が添加される。スラリー14は、石炭有機物8や石炭無機物9の粒子表面の表面エネルギーが低下した後、表面改質マシン5から浮選機7へと供給されるが、その途中において、起泡剤添加手段6にて起泡剤32が添加される。
起泡剤32としては、MIBC(メチルイソブチルカルビノール),その他の高級アルコール類が用いられ、起泡剤添加手段6の起泡剤槽33から調整槽34へと供給され、スラリー14中へと少量添加,攪拌されて、スラリー14中に均一分散する。
起泡剤添加工程については、以上のとおり。
《浮選工程》
次に、図2,図3を参照して、浮選工程について説明する。浮選工程では、浮選機7にスラリー14が供給されると共に、空気33が供給される。
もって、起泡剤32が添加されたスラリー14への空気35の吹き込みや吸い込みにより、気泡36が生成される。
そして、生成された気泡36周りの起泡剤32に付着する油膜17と共に、石炭有機物8が浮上するのに対し、水に濡れ馴染んだ石炭無機物9が沈下する。ことにより、石炭有機物8と石炭無機物9とが、選別,分離される。
このような浮選工程について、更に詳述する。浮選機7には、スラリー14が調整槽34から供給されると共に、空気35が吹き込みや吸い込みにより供給される。この空気35は、浮選機7内に強制的に吹き込まれる方式の空気供給装置によるか、又は、例えば浮選機7内の攪拌板24の回転に伴い吸い込まれる機械攪拌方式の空気供給装置により、浮選機7内に導入される。
このような空気35導入に伴い、生成された空気35の粒について、気液界面に起泡剤32にて薄膜が形成され、もって空気35の気泡36が生成される。
そして、気泡36表面周りで薄膜を形成する起泡剤32が親油性であることに基づき、起泡剤32の薄膜に油膜17が付着するが、この油膜17には前述により石炭有機物8が付着している。つまり石炭有機物8は、油膜17をバインダーとして、気泡36周りの起泡剤32に付着する。
そこで、気泡36の上昇,液面浮上に伴い、付着した起泡剤32,油膜17,そして石炭有機物8も、上昇,液面浮上する。
これに対し、親水性,疎油性が向上し水12に濡れ馴染んだ石炭無機物9は、気泡36に付着して上昇することなく、スラリー14中に残留,沈下する。
浮選工程については、以上のとおり。
《作用等》
本発明の褐炭1の脱灰選炭方法および脱灰選炭装置Aは、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)褐炭粉1は、炭素,水素,酸素を主要構成元素とした有機高分子構造の石炭有機物8と、主に粘土および鉱物よりなる石炭無機物(灰分)と、からなる(図3の(1)図を参照)。
(2)そして、このような褐炭粉1の石炭有機物8を、石炭無機物9から、後述するように浮選により、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する。
そして本発明では、このような浮選の前処理として、以下の工程により熱水改質と表面改質とが実施される。
(3)まず、褐炭粉1は準備容器10から熱水改質機2に供給され、熱水改質により、石炭有機物8の粒子表面の濡れ性に関し、疎水性が向上せしめられる(図1,図3の(1)図を参照)。
すなわち、石炭有機物8の有機物端末基・表面官能基・含酸素官能基であると共に、特に強力な親水性のカルボキシル基(−COOH)やカルボニル基(−CO−)が、二酸化炭素(CO)や水分子(HO)として、分解,消滅,離脱せしめられる。もって、褐炭粉1が亜瀝青炭粉化される。
これと共に、石炭無機物9中の鉄分が、熱水雰囲気下で3価の鉄イオン(Fe3+)となり、その触媒機能に基づき、石炭有機物8の炭素原子間の共有結合を深化させる。この面からも、褐炭粉1が亜瀝青炭粉化される。
(4)なお熱水改質により、石炭有機物8に結合しているアルカリ金属も、除去される。すなわち、石炭有機物8が事後に燃料等として燃焼された場合に灰化する、ナトリウム(Na)やカリウム(K)等も、カルボキシル基の分解,消滅,除去と共に、系外に離脱せしめられる。
(5)そして、このような熱水改質の後、石炭有機物8と石炭無機物9は、スラリータンク3においてスラリー14化されると共に、油性の捕集剤15が微量添加されて油滴16となる(図1,図3の(2)図を参照)。
(6)ところで、このようなスラリー14において、褐炭粉1の石炭有機物8は、その有機物端末基・表面官能基・含酸素官能基中、特に強い親水性のカルボキシル基やカルボニル基は、熱水改質により前述したように分解,消滅,除去される。
しかしながら、エーテル基,フェノール基,アルコール基等の多くの含酸素官能基が残存しており、程度は低いが親水性を帯びている。もって、このような含酸素官能基に水膜が張り付き、石炭有機物8は、粒子表面に水膜が添着された状態となっている。このままでは、スムーズな浮選実施は困難である。
(7)そこでスラリー14は、表面改質マシン5へと供給され、もって高速で強力な攪拌剪断力が付与される。
スラリー14の石炭有機物8や石炭無機物9は、個々の粒子の局部充填密度が高められ、粒子相互間の表面接触摩擦により、個々の粒子表面の表面エネルギーが、過渡的に高められる(図1,図2,図3の(3)図,図4等を参照)。石炭有機物8は、粒子表面に張り付き,添着していた水膜が剥ぎ取られて、表面エネルギーが過渡的に高められる。
(8)そして、スラリー14の石炭有機物8は、剥ぎ取られた水膜に代え、捕集剤15の油滴16が油膜17となって添着され、もってその表面エネルギーが低下する。親水性,疎油性が高められた石炭無機物9は、水12に一層濡れ馴染み、もってその表面エネルギーが低下する。
(9)スラリー14は、このように表面エネルギーが低下し安定化した後、調整槽34にて起泡剤32が添加される(図2,図3の(3)図を参照)。
(10)そしてスラリー14は、浮選機7へと供給され、空気35が吹き込まれるか吸い込まれて、浮選処理される(図2,図3の(4)図を参照)。
すなわち、生成された気泡36と共に、疎水性,親油性の起泡剤32,油膜17,そして石炭有機物8等が、浮上する。これに対し、水12に濡れ馴染んだ親水性,疎油性の石炭無機物9は、沈下する。
(11)そして、この浮選は、精度高く確実に実施される。石炭有機物8と石炭無機物9について、濡れ性の差異が、工業的にも必要十分な程度まで確保され、両者が精度高く確実に分離,選別されるようになる。
すなわち前述したように、熱水改質と表面改質とを組み合わせて採用したことにより、石炭有機物8は、疎水性,親油性が向上し、張り付いていた水膜が剥ぎ取られ,排除されており、石炭無機物9は、親水性,疎油性が向上し水に濡れ馴染んでいる。
(12)なお、浮上した石炭有機物8は、浮選フロスの浮上産物として回収され、沈下した石炭無機物9は、浮選テールの沈降産物として回収される。
回収された石炭有機物8は、濾過機,濃縮機,フィルタープレス等にて、水12と固液分離され、脱水,乾燥された後、燃料等として有効利用される。
本発明の作用等については、以上のとおり。
以下、本発明の実施例について、説明する。
すなわち、褐炭の脱灰選炭方法について、本発明の実施例で得られた試験結果と、本発明には属さない比較参考例で得られた試験結果とについて、説明する。
《試験方法》
まず、試験方法については、次のとおり。すなわち、次の4タイプの試験方法(No.0,1,2,3の各試験方法)により、それぞれ褐炭粉1の脱灰選炭試験を実施した。サンプル中の灰分(石炭無機物9)を除去する脱灰確認試験を実施した。
○試験方法0(比較参考例):
原料の褐炭粉1を対象として使用し、浮選のみを実施した。つまり、褐炭粉1→浮選。
○試験方法1(比較参考例):
原料の褐炭粉1を対象として使用し、表面改質後に浮選を実施した。つまり褐炭粉1→表面改質→浮選。
○試験方法2(比較参考例):
熱水改質した褐炭粉1を対象として使用し、浮選のみを実施した。つまり、褐炭粉1→熱水改質→浮選。
○試験方法3(本発明実施例):
熱水改質した褐炭粉1を対象として使用し、表面改質後に浮選を実施した。つまり、褐炭粉1→熱水改質+表面改質→浮選。
《試験サンプル》
Figure 2015074697
次に、試験サンプルについては、次のとおり。すなわち、試験対象として使用した褐炭粉1については、上記表1の試験サンプルのとおり。
○表1中の工業分析欄に示したように、原料の褐炭粉1の灰分(石炭無機物9)は、4.7重量%よりなる。これを熱水改質した後の褐炭粉1の灰分(石炭無機物9)は、5.0重量%よりなる。
○又、表1中の工業分析欄において、水分(気乾ベース)は、褐炭粉1について、表面が乾燥した状態の雰囲気で、気化した水分の重量%である。灰分(ドライベース)は、褐炭粉1について、水分を0とした状態での灰分の重量%である。
○表1中の元素分析欄において、問題の酸素に関しては次のとおり。酸素の重量%は、原料の褐炭粉1においては、22.1重量%である。熱水改質した後の褐炭粉1においては、18.8重量%である。これを[H]−[C]コールバンドの[O]値、つまり炭素原子100個当りの酸素原子数(原子比表示)で換算すると、原料の褐炭粉1において、[O]値は23.4個となる。熱水改質した後の褐炭粉1において、[O]値は19.0個となる。
○このように、熱水改質した後の褐炭粉1の[O値]が、原料の(熱水改質する前の)褐炭粉1の[O値]より、4.4個分低減されている。この差が、前述したようにカルボキシル基等が、分解,離脱,消滅した分に相当する。
《試験条件》
又、試験条件については、次のとおり。まず、表面改質については、次のとおり。
・表面改質マシン5 : 回分式、有効容積2.0L
・スラリー14中の褐炭濃度(褐炭粉1の濃度) : 15重量%
・捕集剤15 : 灯油、0.1重量%
・改質時間 : 3分間
・攪拌回転数 : 873rpm
次に、浮選に関しては、次のとおり。
・浮選機7 : 回分式,有効容積1.8L
・スラリー14中の褐炭濃度(褐炭粉1の濃度) : 10重量%
・起泡剤32 : メチルイソブチルアルコール(MIBC)、100ppm
・浮選時間 : 5分間
・なお、浮選のみ実施する場合、捕集剤15(灯油,0.1重量%)を添加した。
《試験結果》
Figure 2015074697
試験結果については、次のとおり。すなわち、上述した試験方法,試験サンプル,試験条件等のもとに、褐炭粉1の脱灰選炭試験を実施した所、上記表2に示した試験結果が得られた。
まず、試験方法3(本発明実施例:褐炭粉1→熱水改質→表面改質→浮選)については、次の結果が得られた。
すなわち、褐炭粉1を熱水改質および表面改質した後に、浮選を行った所、上記表2中に示したように、回収率32重量%で、回収灰分2.6重量%の好データが得られた。
すなわち本発明実施例では、まずフロス回収率であるフロス割合、つまり回収された浮選フロス(浮上産物)の浮選テール(沈降産物)に対する割合は、32重量%と高いデータが得られた。
そして本発明実施例では、このように回収された浮選フロス(浮上産物)は、殆ど精製炭である亜瀝青炭(石炭有機物8)よりなり、灰分(石炭無機物9)の割合つまりフロス灰分は、僅か2.6重量%まで低減されていた。
これに対し、比較参考例の試験方法1(褐炭粉1→表面改質→浮選)、および、比較参考例の試験方法2(褐炭粉1→熱水改質→浮選)については、次の結果となった。
すなわち、回収された浮選フロスの割合つまりフロス回収率,フロス割合は、12重量%〜15重量%と、低いデータとなった。そして、灰分(石炭無機物9)の割合つまりフロス灰分は、依然として3.7重量%〜4.0重量%と高かった。
なお、比較参考例の試験方法0(褐炭粉1→浮選)では、浮選フロス(浮上産物)が得られなかった。すなわち、石炭有機物8は全く浮上せず、石炭無機物9(灰分)との選別,分離は達成できなかった。石炭有機物8は、石炭無機物9と選別,分離されることなく、浮選テール(沈降産物)に含まれていた。
以上により、本発明実施例の作用効果が、試験によってもデータ的に裏付けられた。
前処理として熱水処理と表面改質とを組み合わせて採用した本発明によって始めて、浮選に必要な濡れ性の差異が確保されるようになる。もって、精製炭である亜瀝青炭(石炭有機物8)と、灰分(石炭無機物9)とが、各比較参考例に比し、遥かに精度高く、より確実に分離,選別されるようになる。
上述したように本発明によると、浮選フロスが高回収率で回収されると共に、この浮選フロスは、殆ど精製炭である亜瀝青炭(石炭有機物8)よりなり、灰分(石炭無機物9)は極く僅かであった。このように、本発明の作用効果が、試験データによっても裏付けられた。
実施例については、以上のとおり。
1 褐炭粉
2 熱水改質機
3 スラリータンク
4 油添加手段
5 表面改質マシン
6 起泡剤添加手段
7 浮選機
8 石炭有機物
9 石炭無機物
10 準備容器
11 水槽
12 水
13 水槽
14 スラリー
15 捕集剤
16 油滴
17 油膜
18 油槽
19 配管
20 ポンプ
21 円筒ドラム
22 攪拌室
23 仕切板
24 攪拌板
25 攪拌翼
26 入口
27 出口
28 中央連通穴
29 シャフト
30 減速機
31 モータ
32 起泡剤
33 起泡剤槽
34 調整槽
35 空気
36 気泡
A 脱灰選炭装置

Claims (7)

  1. 褐炭粉の石炭有機物と石炭無機物とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する褐炭の脱灰選炭方法であって、
    該褐炭粉の石炭有機物の濡れ性に関し、疎水性を向上させる熱水改質工程と、
    該褐炭粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工程と、該スラリーに油性の捕集剤を添加する捕集剤添加工程と、
    該捕集剤が添加された該スラリーに攪拌剪断力を付与し、もって該石炭有機物,石炭無機物,捕集剤油滴について、添着していた水膜を剥ぎ取り、粒子の表面エネルギーを高める剪断力付与工程と、
    表面エネルギー向上に基づき、まず該石炭有機物および油滴は、粒子表面の疎水性,親油性が一段と高められ、もって、該石炭有機物の粒子表面に該水膜に代え該捕集剤油滴が油膜となって添着されて、表面エネルギーが低下すると共に、該石炭無機物は、粒子表面の親水性,疎油性が一段と高められ、もって水に一層濡れ馴染んで表面エネルギーが低下する表面改質工程と、
    表面改質後の該スラリーに、起泡剤を添加する起泡剤添加工程と、
    該起泡剤が、添加された該スラリーへの空気の吹き込みや吸い込みにより、気泡を生成し、もって、該気泡周りの該起泡剤に付着する該油膜と共に該石炭有機物が浮上するのに対し、水に濡れ馴染んだ該石炭無機物が沈下することにより、該石炭有機物と石炭無機物とが選別、分離される浮選工程と、を有してなること、を特徴とする褐炭の脱灰選炭方法。
  2. 請求項1において、該褐炭粉は、粉状をなす該石炭有機物と石炭無機物とからなり、該石炭有機物は、炭素,水素,酸素を主要構成元素とした有機高分子構造よりなり、該石炭無機物は、主に粘土および鉱物よりなること、を特徴とする褐炭の脱灰選炭方法。
  3. 請求項2において、前記熱水改質工程とスラリー化工程とは、相前後して実施されるか、又は同一共通工程として同時に実施されるかの、いずれかよりなること、を特徴とする褐炭の脱灰選炭方法。
  4. 請求項3において、前記熱水改質工程では、該石炭有機物の表面官能基中、親水性が特に強い含酸素官能基が分解,消滅,除去されること、を特徴とする褐炭の脱灰選炭方法。
  5. 請求項4において、前記熱水改質工程では、カルボキシル基およびカルボニル基が、熱水雰囲気下での改質処理により、二酸化炭素と水に分解,消滅,除去される共に、
    該石炭無機物中に含有された鉄分が、熱水雰囲気下で3価の鉄イオンとなり触媒として機能し、もって該石炭有機物について、炭素原子間の共有結合が深化せしめられ、この面からも疎水性が向上すること、を特徴とする褐炭の脱灰選炭方法。
  6. 請求項4において、前記熱水改質工程は、250℃以上〜450℃以下の加熱下、かつ15MPa以上〜20MPa以下の加圧下で、攪拌しつつ実施され、
    前記スラリー化工程では、褐炭濃度が10重量%以上〜30重量%以下へのスラリー化が実施され、前記気泡剤添加工程では、該気泡剤として高級アルコールが添加されること、を特徴する褐炭の脱灰選炭方法。
  7. 褐炭粉の石炭有機物と石炭無機物とを、粒子表面の濡れ性の差を利用して選別,分離する褐炭の脱灰選炭装置であって、
    供給された該褐炭粉中の石炭有機物の疎水性を向上させる熱水改質機と、該褐炭粉を水と攪拌,混合,懸濁化して、スラリー化するスラリータンクと、
    該スラリータンクから表面改質マシンへと供給される該スラリーに対し、油性の捕集剤を添加する油添加手段と、
    ドラム内の攪拌室に供給された該スラリーについて、粒子の表面エネルギーを過渡的に高めるに足る攪拌剪断力を付与し、もって、該石炭有機物および捕集剤油滴の疎水性,親油性を一段と高めると共に、該石炭無機物の親水性,疎油性を一段と高める、該表面改質マシンと、
    該表面改質機から浮選機へと供給される該スラリーに対し、起泡剤を添加して攪拌する起泡剤添加手段と、
    該スラリーが供給されると共に空気が供給され、もって、生成された気泡周りの該起泡剤に付着する該捕集剤油膜と共に、該石炭有機物が浮上するのに対し、水に濡れ馴染んだ該石炭無機物が沈下するようになる該浮選機と、を有してなること、を特徴とする褐炭の脱灰選炭装置。
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