<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る塗布装置、基板装置の製造方法の一例について図1〜図23に従って説明する。なお、各図のX(−X)方向、Y(−Y)方向、Z(−Z)方向は、互いに直交する座標軸を示しており、X方向、−X方向、Y方向、−Y方向、Z方向(上方)及び−Z方向(下方)は、図中に示す矢印方向である。また、特記する場合を除き、「X方向」は「X方向または−X方向」、「Y方向」は「Y方向または−Y方向」、「Z方向」は「Z方向または−Z方向」の意である。また、図中の「○」の中に「×」が記載されたものは、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味し、図中の「○」の中に「・」が記載されたものは、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
(製造装置10の全体構成)
先ず、本実施形態に係る塗布装置が用いられる製造装置10について説明する。
製造装置10は、基板装置の一例としてのプリント配線基板装置11を製造する製造装置であり、図23に示されるように、電子部品の一例としての半導体素子12を供給する供給部13と、半導体素子12を位置決めする位置決め装置としての素子位置決め装置20と、基板の一例としてのプリント配線基板44(以下単に「配線基板44」と記載する)を位置決めする基板位置決め部40と、供給部13から素子位置決め装置20へ半導体素子12を移送する移送装置50と、素子位置決め装置20で位置決めされた半導体素子12を基板位置決め部40で位置決めされた配線基板44へ移送する移送装置60と、を備えている。
さらに、製造装置10は、製造装置10の各構成部分(供給部13、素子位置決め装置20、基板位置決め部40、移送装置50、移送装置60)の動作(駆動)を制御する制御手段としての制御部89を備えている。
製造装置10では、半導体素子12を配線基板44に実装する実装装置100が、素子位置決め装置20と、基板位置決め部40と、移送装置60と、を有して構成されている。
配線基板44に実装(搭載)される半導体素子12としては、例えば、長尺に形成された断面四角形状の半導体素子(例えば、LEDチップ)が用いられる(図17参照)。具体的には、半導体素子12は、例えば、幅(Y方向長さ)135μm、長さ(X方向長さ)8mm、高さ(Z方向長さ)350μmとされている。また、半導体素子12の表面(上面)には、回路パターンや発光素子等の機能部が設けられている。さらに、半導体素子12は、断面形状が平行四辺形をしている(図18参照)。
〔供給部13〕
図23に示されるように、供給部13は、ウエハ14を保持する保持部15と、保持部15をX方向及びY方向へ移動させる移動機構17と、を備えている。供給部13では、保持部15が保持するウエハ14が切断されることにより、ウエハ14から複数の半導体素子12が切り出されるようになっている。また、供給部13では、移動機構17が保持部15をX方向及びY方向へ移動させることで、実装対象の半導体素子12を移送装置50による予め定められたピックアップ位置に位置させるようになっている。
〔移送装置50〕
図23に示されるように、移送装置50は、半導体素子12を保持する保持具の一例としてのコレット90と、コレット90が装着されコレット90が半導体素子12を保持するための吸引力を発生させる吸引器52と、吸引器52(コレット90)を移動させる移動機構53と、を備えている。
吸引器52は、具体的には、コレット90が装着される吸引ノズル54を有している。コレット90は、図21及び図22に示されるように、コレット本体92と、吸引ノズル54と接続される接続部94と、吸引器52の吸引力により半導体素子12を保持する保持部96と、後述の位置決め台30上に半導体素子12を移送する際に位置決め台30上に接触する一対の接触部98と、を備えている。
接続部94は、円筒状に形成されており、円筒状の吸引ノズル54に挿し込まれることで接続されるようになっている。この接続部94には、吸引ノズル54と通じる接続口94Aが形成されている。
コレット本体92は、接続部94と一体に構成された第1本体部92Aと、保持部96及び接触部98と一体に構成された第2本体部92Bと、を備えている。第1本体部92Aは、図22に示されるように、X方向に長さを有し下方側(−Z方向側)に凸状とされた凸部93Aを有している。第2本体部92Bは、凸部93Aが嵌め込まれX方向に長さを有する凹部93Bを有している。凸部93Aが凹部93Bに対して嵌め込まれると共に接着されることにより、第1本体部92Aと第2本体部92Bとが固定されている。
保持部96は、図21に示されるように、第2本体部92Bの長さ方向(X方向)中央部における下面から下方側へ突出するように、第2本体部92Bに設けられている。保持部96の下面は、吸引口96Bが形成された吸引面96Aとなっている。この吸引口96Bは、コレット本体92及び接続部94に形成された吸引路97によって、接続部94の接続口94Aと通じている。
吸引口96Bは、円孔で構成されており、吸引面96Aに対してX方向に沿って複数配置されている。複数の吸引口96Bは、図20(吸引面96Aを下方から見た図)に示されるように、X方向に隣接する吸引口96BがY方向にずれて配置されている。すなわち、複数の吸引口96Bは、X方向に沿って一列に配置されるのではなく、Y方向に分散しつつ(Y方向にずれながら)X方向に沿って配置されている。なお、複数の吸引口96Bのうち、少なくとも、一の吸引口96Bが他の吸引口96Bに対してY方向にずれていれば良い。
一対の接触部98は、図21に示されるように、保持部96に保持された状態の半導体素子12に対して間隔を有して挟むように、半導体素子12の長手方向両端側に配置されている。また、一対の接触部98は、保持部96に保持された状態の半導体素子12よりも下方に突出するように形成されている。これにより、接触部98が後述の位置決め台30上に接触した状態において、保持部96に保持された状態の半導体素子12と位置決め台30上との間に、予め定められた隙間が形成されるようになっている。
そして、移送装置50では、吸引器52が、供給部13におけるピックアップ位置に位置する半導体素子12を、コレット90の吸引口96Bを通じて吸引することで半導体素子12を保持部96に保持するようになっている。さらに、移送装置50では、半導体素子12を保持部96に保持した状態で、図23に示されるように、移動機構53によって吸引器52が矢印A方向に移動する。これにより、後述の位置決め台30のプレート34上に半導体素子12を移送して、吸引器52が吸引を停止すると共に吸引口96Bから空気を放出することで、半導体素子12をプレート34上に仮置きするようになっている。
なお、移送装置50の移動機構53としては、例えば、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能な三軸ロボットが用いられる。
〔素子位置決め装置20〕
図23に示されるように、素子位置決め装置20は、半導体素子12が載せられる台としての位置決め台30と、位置決め台30上に仮置きされた半導体素子12を予め定められた位置決め位置に位置決めする位置決め部材22と、位置決め部材22をX方向及びY方向へ移動させる移動機構29と、を備えている。
位置決め台30は、上部に開口部33を有する円筒部32と、円筒部32の開口部33に設けられたプレート34と、円筒部32の内部空間の空気を吸引して該内部空間を負圧にする吸引装置36と、を備えている。プレート34には、複数の吸引孔38が形成されている。この複数の吸引孔38は、プレート34を貫通しており、円筒部32の内部空間と通じている(図18参照)。
位置決め部材22は、図23に示されるように、板状をしており、本体部22Aと、本体部22AからX方向に延び出た一対の爪部22Bと、を備えて構成されている。一対の爪部22Bは、その間に半導体素子12を配置可能にY方向に離れて設けられている。この一対の爪部22Bと本体部22Aとによって、位置決め部材22は、平面視(−Z方向視)にてコの字状(Uの字状)に構成されている。なお、位置決め部材22は、プレート34に吸着されて移動抵抗を受けないように、プレート34に対して非接触な状態を保って移動するようになっている。
位置決め部材22では、図19に示されるように、爪部22Bに半導体素子12の側面12Aを突き当てて、半導体素子12を移動させ、予め定められた位置に半導体素子12を位置決め(位置出し)するようになっている。
なお、各爪部22Bには、下面に開口する溝部23が形成されており、吸引孔38を通じた吸引力が溝部23を介して半導体素子12の側面12Aが作用し、爪部22Bに突き当てられた半導体素子12の側面12Aが、爪部22Bに吸引されるようになっている。
また、本実施形態では、一対の爪部22Bのいずれか一方を選択して半導体素子12の位置決めを行うようになっている。従って、位置決め部材22としては、一対の爪部22Bの一方を有さない構成であってもよい。
〔基板位置決め部40〕
図23に示されるように、基板位置決め部40は、配線基板44をX方向に搬送する一対の搬送部材(例えば、コンベア)42を備えている。一対の搬送部材42は、その間に配線基板44が導入可能にY方向に離れて配置されている。
基板位置決め部40では、一対の搬送部材42の間に導入された配線基板44が、一対の搬送部材42に対してX方向、Y方向、Z方向に位置決めされるようになっている。そして、一対の搬送部材42が配線基板44をX方向に搬送することで、配線基板44は、後述のコレット70に対して、Y方向に位置決めされた状態でX方向へ相対移動するようになっている。
また、基板位置決め部40は、配線基板44上において半導体素子12を実装する位置に、接合剤の一例としての接着剤116を配線基板44上に塗布する塗布装置の一例としての塗布機構110を有している。なお、塗布機構110については詳細を後述する。
〔移送装置60〕
図23に示されるように、移送装置60は、半導体素子12を保持する保持具の一例としてのコレット70と、コレット70が装着されコレット70が半導体素子12を保持するための吸引力を発生させる吸引器62と、吸引器62(コレット70)を配線基板44に対して相対移動させる移動機構63と、を備えている。
吸引器62は、具体的には、コレット70が装着される吸引ノズル64を有している。コレット70は、図17に示されるように、本体の一例としてのコレット本体72と、吸引ノズル64と接続される接続部74と、半導体素子12の第1稜線12Eに突き当たる第1面81を有する突当部76と、半導体素子12の第2稜線12Bに突き当たる第2面82を有する突当部86と、を備えている。
コレット本体72のX方向端部には、図14に示されるように、半導体素子12のX方向側の稜線12Gに突き当たる突当部の一例としての突当爪80が設けられている。突当爪80は、半導体素子12のX方向側の端面12Fが突き当たるようになっていても良い。
接続部74は、図17に示されるように、円筒状に形成されており、円筒状の吸引ノズル64に挿し込まれることで接続されるようになっている。接続部74には、吸引ノズル64と通じる接続口74Aが形成されている。第2面82と第1面81との間には、図16に示されるように、接続口74Aと通じる吸引口78が形成されている。
突当部76及び突当部86は、互いにY方向に対向して、X方向に複数(具体的には2つ)配置されている(図13参照)。コレット70では、半導体素子12の上面の第2稜線12Bが第2面82に突き当たり、且つ、半導体素子12の上面の第1稜線12Eが第1面81に突き当たることにより、半導体素子12がY方向及びZ方向で位置決めされるようになっている。
また、コレット70では、半導体素子12のX方向側の稜線12Gが突当爪80に突き当たることにより、半導体素子12がX方向で位置決めされるようになっている。すなわち、突当爪80は、半導体素子12をX方向で位置決めする位置決め部として機能している。
さらに、コレット70では、吸引器62により、吸引口78を通じて半導体素子12が吸引されて、Y方向、Z方向及びX方向で位置決めされた状態の半導体素子12が保持されるようになっている。また、コレット70では、吸引器62による吸引を停止することにより、コレット70による半導体素子12の保持状態が解除されるようになっている。
移動機構63は、吸引器62をY方向に移動させることにより、コレット70を配線基板44に対してY方向へ相対移動させるようになっている。すなわち、本実施形態では、移動機構63によって吸引器62がY方向に移動し、基板位置決め部40の搬送部材42によって配線基板44がX方向に移動することで、コレット70を配線基板44に対してX方向、Y方向に相対移動させるようになっている。
また、移動機構63は、吸引器62を上下方向(Z方向)に移動させることにより、コレット70を配線基板44に対して上下方向(Z方向)へ相対移動させるようになっている。本実施形態では、コレット70を配線基板44に対して、X方向、Y方向に相対移動させた後、コレット70を下方(−Z方向)に降下させることで、半導体素子12を配線基板44に置く(実装する)ようになっている。
ここで、本実施形態に係るコレット70では、図15に示されるように、第1面81及び第2面82の−X方向端の角部(稜線)88、89(丸められた部分の一例)が丸められている。すなわち、コレット70に保持される半導体素子12の長手方向一端部がはみ出す側とされる−X方向端における角部(稜線)88、89が、R状に形成されている。なお、−X方向端の角部(稜線)88、89は、丸められるのではなく、面取りされる構成であってもよい。
また、本実施形態では、突当爪80は、図16に示されるように、そのY方向幅が、半導体素子12のY方向幅よりも小さくされている。具体的には、突当爪80のY方向両端部は、半導体素子12の長手方向一端から見て(X方向視にて)、コレット70に保持された半導体素子12のY方向幅内に納まっている。すなわち、突当爪80は、コレット70に保持された半導体素子12の第1稜線12E側の側面12Aよりも外側へ張り出しておらず、かつ、半導体素子12の第2稜線12B側の側面12Cよりも外側へ張り出していない。
さらに、突当爪80は、コレット70に保持された状態の半導体素子12の上面に設けられた機能部としての発光部(発光素子)11から、半導体素子12の長手方向一端から見て(X方向視にて)、ずれた位置に配置されている。
なお、移動機構63としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。
(製造装置10の作用)
次に、製造装置10の作用を、プリント配線基板装置の製造方法(基板装置の製造方法の一例)によって説明する。
プリント配線基板装置の製造方法では、図23に示されるように、まず、供給部13において、移動機構17が保持部15をX方向及びY方向へ移動させることで、実装対象の半導体素子12を予め定められたピックアップ位置に位置させる(位置調整工程)。
次に、供給部13のピックアップ位置に位置する半導体素子12を、移送装置50が位置決め台30のプレート34上に移送して、プレート34上の仮置き位置に半導体素子12を仮置きする(仮置工程)。仮置工程は、具体的には、以下のように行われる。
すなわち、まず、供給部13のピックアップ位置に位置する半導体素子12を、複数の吸引口96Bを通じて吸引器52が吸引することにより、コレット90の保持部96で保持し、該保持状態でコレット90が、プレート34上の仮置き位置に移動する。このとき、保持部96で保持された半導体素子12は、プレート34の上方に位置する。
次に、図18(A)に示されるように、コレット90をプレート34に対して降下させる。コレット90の接触部98(図21参照)がプレート34上に接触し、コレット90の降下が停止する。これにより、半導体素子12の底面12Dとプレート34の上面との間に、予め定められた隙間が形成される。
そして、吸引装置36(図23参照)が複数の吸引孔38を通じた吸引を開始すると共に、吸引器52による吸引を停止し、かつ、吸引器52によって複数の吸引口96Bから空気を放出する。これにより、半導体素子12がコレット90から離脱すると共に、当該半導体素子12に対して、吸引孔38による下方への吸引力が作用して、図18(B)に示されるように、プレート34上の仮置き位置に仮置きされる。
次に、プレート34上の仮置き位置に仮置きされた半導体素子12をプレート34上の予め定められた位置決め位置に移動させて位置決め(位置出し)する(素子位置決め工程)。素子位置決め工程は、具体的には以下のように行われる。
すなわち、プレート34上の仮置き位置に仮置きされた半導体素子12の側面12Aから退避した退避状態(図18(B)に示す状態)から、図19(A)に示されるように、位置決め部材22がY方向へ移動して、爪部22Bを半導体素子12の側面12Aに突き当てる。このとき、半導体素子12の底面12Dには、吸引孔38による下方への吸引力が作用し、半導体素子12の側面12Aには、爪部22Bの溝部23及び吸引孔38を通じて吸引力が作用する。
そして、図19(B)に示されるように、爪部22Bの当該突き当て状態で半導体素子12をプレート34上の予め定められた位置決め位置に移動させて位置決め(位置出し)する。なお、位置決め部材22は、プレート34に吸着されて移動抵抗を受けないように、プレート34に対して非接触な状態を保って移動する。
次に、基板位置決め部40において、一対の搬送部材42が配線基板44を位置決めする(基板位置決め工程)。なお、この基板位置決め工程は、素子位置決め工程の後に行う必要は無く、素子位置決め工程の前又は同時に行っても良い。
次に、基板位置決め部40で位置決めされた配線基板44に塗布機構110を用いて接着剤を塗布し(塗布工程)、半導体素子12を配線基板44に実装する(実装工程)。なお、半導体素子12を配線基板44に実装する実装方法(電子部品の実装方法の一例)については、詳細を後述する。
なお、本実装工程では、複数の半導体素子12が、図13に示されるように、配線基板44に対して千鳥状に配置される。すなわち、上記位置調整工程、仮置工程、素子位置決め工程、塗布工程、保持工程、実装工程が、半導体素子12の数に応じて行われる。
次に、接着剤116を固化させる(固化工程)。具体的には、例えば、接着剤116を、例えば、1〜2時間、110〜120℃で加熱することで、接着剤116を固化させる。これにより、プリント配線基板装置11が製造される。
(要部構成)
次に、配線基板44上の半導体素子12を実装する位置に、接着剤116を塗布する塗布機構110について説明する。
塗布機構110は、図3に示されるように、収容皿112に収容された接着剤116を配線基板44に塗布する機構である。なお、接着剤116としては、例えば、エポキシ系の接着剤が用いられる。
塗布機構110は、図示せぬ三軸ロボットに取り付けられることでX方向、Y方向及びZ方向に移動可能となっている。そして、塗布機構110は、図9に示されるように、接着剤116(図3参照)を端面に保持する保持部120が形成される保持部材122と、保持部材122を揺動可能に支持すると共に前述した三軸ロボットに取り付けられる支持部材124と、を備えている。
〔保持部材122〕
保持部材122は、図9に示されるように、X方向に延びており、周縁U字形状の保持部120が一端(図中−Z方向の端部)に形成される先端部位126と、凹部の一例としての溝部138が形成される基端部位130と、を備えている。
[先端部位126]
先端部位126は、図3、図9に示されるように、−Z方向側が先細りとなる先細り部132と、先細り部132に固定される保持部120と、を備えている。保持部120は、図8に示されるように、X方向(一方向の一例)に延びると共にX方向に離間して配置される一対の第一保持部120Aと、X方向において一対の第一保持部120Aの間に配置され、第一保持部120Aに対して−Y方向(直交方向の一例)にずれて配置される第二保持部120Bと、を有している。第二保持部120Bは、Y方向において第一保持部120A側が開放されたV字形状とされている。
この構成において、保持部120の端面が収容皿112に収容された接着剤116に付着されることで、保持部120が配線基板44に塗布される接着剤116を保持するようになっている(図3参照)。
[基端部位130]
基端部位130は、図3、図9に示されるように、先端部位126の他端が固定される底面134A(平面部の一例)が形成される底板134と、底板134のY方向の両端部に基端が固定される一対の側板136と、を備えている。
一対の側板136は、板面がY方向を向くように互いに離間して配置され、一対の側板136及び底板134で囲まれることで、保持部120に対して反対側(図中上側)が開放される溝部138が形成されている。
さらに、一対の側板136には、Y方向に延びるピン140が嵌め込まれる円状の貫通孔136Aが夫々形成されている。
〔支持部材124〕
支持部材124は、図9に示されるように、X方向に延びており、保持部材122に形成された溝部138に先端から挿入される挿入部142と、挿入部142の基端が固定される天板144と、前述した三軸ロボットに取り付けられる円柱部146と、を備えている。
挿入部142は、板面がY方向を向く板状とされ、挿入部142の先端(−Z方向側)の角部は溝部138への挿入性を考慮して面取りされている。また、挿入部142には、ピン140が挿入される円状の貫通孔142Aが形成されている。そして、挿入部142が溝部138に挿入されてピン140が貫通孔136A及び貫通孔142Aに嵌め込まれ又は挿入された状態で(図10(A)(B)参照)、保持部材122がピン140を軸に揺動するように、挿入部142の板厚と、溝部138の溝幅とが決められている。
天板144は、板面がZ方向を向く板状とされ、天板144の下面(−Z方向を向いた面)に、挿入部142の基端が固定されている。
円柱部146は、Z方向に延び、天板144において挿入部142が固定される下面とは反対側の上面における長手方向端側に固定されている。
(要部構成の作用)
次に、塗布機構110の作用を、半導体素子12を配線基板44に実装する方法(電子部品の実装方法)を用いて説明する。なお、「実装」とは、半導体素子12を配線基板44に接着剤116を用いて接合することである。
先ず、三軸ロボットを稼働させることで、図3に示されるように、収容皿112の上方に塗布機構110が移動する。さらに、塗布機構110を上下移動させることで、保持部120の端面を収容皿112に収容された接着剤116に付着させる。これにより、保持部120が配線基板44に塗布される接着剤116を保持する。
次に、図4(A)に示されるように、配線基板44における接着剤116の塗布位置の上方に、塗布機構110が移動する。
さらに、図4(A)(B)(C)に示されるように、塗布機構110を上下移動させることで、保持部120が接着剤116を介して配線基板44に押し付けられ、さらに、保持部120が配線基板44から離間することで、保持部120に保持されていた接着剤116が配線基板44の塗布位置に塗布(転写)される(塗布工程)。
なお、保持部120を配線基板44から離間させる際は、配線基板44に塗布される接着剤116の断面(長手方向に対して交差する方向の断面)の中央側が断面の端側に比して突出するように、保持部120の離間速度が決められている。
ここで、配線基板44に塗布された接着剤116について説明する。
図1には、配線基板44の平面視(物を水平面に置いて、上方から見た状態)が示され、図1中の二点鎖線が示しているのは、配線基板44に実装される際の半導体素子12の底面12D(図5(A))である。
図1、図2に示されるように、接着剤116は、X方向に延びると共にX方向に離間する一対の第一接合剤の一例としての第一接着部150、及びX方向において一対の第一接着部150の間に配置され、第一接着部150に対して−Y方向にずれて配置される第二接合剤の一例としての第二接着部152として配線基板44に塗布される。
具体的には、第二接着部152は、Y方向において第一接着部150側が開放されたV字形状とされ、V字形状とされた第二接着部152の両端部と夫々の第一接着部150の端部とが繋がっている。また、配線基板44に実装される際の半導体素子12の底面12Dと、第一接着部150及び第二接着部160とを比較すると、図1に示されるように、第一接着部150は、X方向に延びる底面12DのY方向の一方側に配置される。これに対して、V字形状の第二接着部152の頂部(角部)は、底面12DのY方向の他方側に配置される。
次に、移送装置60のコレット70によって、図11(A)に示されるように、前述した素子位置決め工程で位置決めされた半導体素子12を保持する(保持工程)。保持工程は、具体的には、以下のように行われる。
先ず、位置決め位置に位置する半導体素子12に対してコレット70が降下して、コレット70の第1面81が最初に半導体素子12の第1稜線12Eに突き当たる。
さらに、コレット70が降下して、コレット70の第1面81で半導体素子12の第1稜線12Eを押すことで、図11(B)に示されるように、半導体素子12が爪部22Bから離間すると共に、コレット70の第2面82が、半導体素子12の第2稜線12Bに突き当たる。このとき、コレット70の突当爪80も半導体素子12の稜線12Gに突き当たった状態となる(図14参照)。これにより、コレット70に対して半導体素子12をY方向、Z方向及びX方向で位置決めされる。
そして、移送装置60の吸引器62による吸引を開始すると共に、複数の吸引孔38を通じた位置決め台30での吸引を停止する。これにより、図12(A)に示されるように、第2面82、第1面81及び突当爪80によりY方向、Z方向及びX方向で位置決めされた状態の半導体素子12が、コレット70に保持される。
次に、コレット70で保持された半導体素子12を、基板位置決め工程で位置決めされた配線基板44に実装する(実装工程)。
以下、実装工程について図5、図6、図7を用いて説明する。なお、図5、図6、図7では、第一接着部150、第二接着部152、及び半導体素子12の状態が容易に分かるように、コレット70(移送装置60)を省略して示す。また、図5(A)、図6(A)、図7(A)は、図1のA−A線断面図を示し、図5(B)、図6(B)、図7(B)は、図1のB−B線断面図を示す。
先ず、移送装置60によって半導体素子12は、図5(A)(B)に示されるように、第一接着部150、第二接着部152の上方に移動する。具体的には、第一接着部150の上方には、底面12DのY方向の一方側が位置し(図5(A)参照)、第二接着部152の頂部(角部)の上方には、底面12DのY方向の他方側が位置する(図5(B)参照)。
さらに、移送装置60によって半導体素子12が配線基板44に押し付けられることで、図6(A)(B)に示されるように、第一接着部150及び第二接着部152が底面12Dに押されて第一接着部150及び第二接着部152の断面が変形する。具体的には、第一接着部150は、底面12DにおけるY方向の一方側の部分に押され、第一接着部150の断面は、底面12Dと配線基板44との間でY方向に広がるように変形する(図6(A)参照)。一方、第二接着部152は、底面12DにおけるY方向の他方側の部分に押され、第二接着部152の断面は、底面12Dと配線基板44との間でY方向に広がるように変形する(図6(B)参照)。これにより、半導体素子12の長手方向に亘って、図7(A)(B)に示されるように、底面12Dと配線基板44との間に、接着剤116が広がる。以上により、半導体素子12が配線基板44に実装される。
さらに、前述したように、接着剤116を、例えば、1〜2時間、110〜120℃で加熱することで、接着剤116を固化させる(固化工程)。この後必要な工程を経て、プリント配線基板装置11が製造される。
(まとめ)
以上説明したように、実装工程では、第一接着部150が底面12DにおけるY方向の一方側の部分に押され、第二接着部152が底面12DにおけるY方向の他方側の部分に押される。換言すれば、X方向から見て、図6(A)示されるように、第一接着部150によって半導体素子12には、半導体素子12を紙面左側に傾く力が作用する(矢印D参照)。一方、図6(B)に示されるように、第二接着部152によって半導体素子12には、半導体素子12を紙面右側に傾く力が作用する(矢印E参照)。このように、半導体素子12には、半導体素子12を紙面左側に傾く力と、半導体素子12を紙面右側に傾く力と、が作用する。これにより、一方の力が他方の力を打ち消そうとするため、配線基板44に半導体素子12を実装する際に、配線基板44に対して半導体素子12が傾くことが抑制される。
また、第二接着部152は、配線基板44の平面視でV字形状とされている。このため、第二接着部が、配線基板44の平面視で、Y方向に複数回往復する形状(W字形状等)である場合と比して、底面12Dに押されて配線基板44に沿って広がる第二接着部152同士の干渉が抑制される。これにより、配線基板44に対して半導体素子12が傾くことが効果的に抑制される。
また、プリント配線基板装置の製造方法によれば、配線基板44に対して半導体素子12が傾くことが抑制されることで、半導体素子12が発光素子であった場合に、半導体素子12が傾くことによるプリント配線基板装置11の不良率が低減する。
また、配線基板44に塗布される接着剤116の断面は、中央側が外側に比して突出している(一山形状)。これにより、同量の接着剤を用いて断面の両端側を中央側に比して突出させる(二山形状)場合と比して、配線基板44に塗付される接着剤116の高さが高くなる。このため、接着剤116が、効果的に半導体素子12の底面12Dに接する。
また、支持部材124の挿入部142が挿入される保持部材122の溝部138は、保持部120に対して反対側が開放されている。これにより、支持部材に保持部側を向いた溝部を形成し、保持部材にこの溝部に挿入される挿入部を形成する場合と比して、三軸ロボットによって塗布機構110が移動することで保持部120に保持された接着剤116が上方へ移動しても、接着剤116の溝部138への侵入が抑制される。
また、基端部位130の底板134の底面134Aに、先端部位126の他端が固定されている。これにより、三軸ロボットによって塗布機構110が移動することで保持部120に保持された接着剤116が上方に移動しても接着剤116が底面134Aに当たる。このため、接着剤116の溝部138への侵入が効果的に抑制される。
また、接着剤116の溝部138への侵入が抑制されることで、支持部材124と保持部材122とが固着するのが抑制される。
また、支持部材124と保持部材122とが固着するのが抑制されることで、配線基板44が形状ばらつき等でY方向から見て傾いてしまった場合でも、接着剤116を配線基板44に塗布する際に、保持部材122が支持部材124に対して揺動して接着剤116が配線基板44に満遍なく塗付される。
また、プリント配線基板装置の製造方法によれば、接着剤116が配線基板44に満遍なく塗付されることで、接着剤116が配線基板44に偏って塗付される場合と比して、半導体素子12が配線基板44に確実に実装される。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子部品の実装方法、基板装置の製造方法の一例について図24に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
第2実施形態に係る第二接着部180は、図24に示されるように、Y方向において第一接着部150側が開放されたU字形状とされている。第2実施形態の作用については、第1実施形態と同様である。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電子部品の実装方法、基板装置の製造方法の一例について図25に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
第3実施形態に係る第二接着部190は、図25に示されるように、X方向に延び、X方向において少なくとも一部が一対の第一接着部150の間に配置され、さらに、第一接着部150に対してY方向にずれて配置されている。第3実施形態の作用については、第1実施形態と同様である。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、第一接着部150が、X方向に延びて配置されたが、特にX方向に延びる必要はなく、第一接着部150が、底面12DのY方向の一方側に配置されていればよい。