(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構造体を示す。このSOFCは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このSOFCの全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmの長方形である。このSOFCの全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCの図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCの詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、支持基板10の上下面における複数の発電素子部Aに対応する位置に、凹部12がそれぞれ形成されている。各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。各凹部12の長さ(x軸方向の寸法)は5〜50mmであり、幅(y軸方向の寸法)は2〜95mmであり、深さ(z軸方向の寸法)は0.03〜1.5mmである。
支持基板10は、MgO(酸化マグネシウム)と、第1酸化物セラミックスと、を含んで構成される。なお、支持基板10が第1酸化物セラミックスを含んでいるのは、MgO単独の熱膨張係数(約14ppm/K)が、通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて大きいことに起因して、支持基板10の等価熱膨張係数を通常の電極材料の熱膨張係数に近づけるため、である。従って、第1酸化物セラミックスとしては、熱膨張係数が通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて小さいものが好適である。具体的には、「第1酸化物セラミックス」としては、Y2O3(イットリア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)等が好適である。支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含んでいてもよい。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性の酸化物セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。なお、後述するように、支持基板10と各燃料極集電部21との境界部分(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分)には、多孔質の焼成体である中間層15が介装されている。
各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極集電部21は、NiO(酸化ニッケル)と、第2酸化物セラミックスと、を含んで構成される。なお、燃料極集電部21が第2酸化物セラミックスを含んでいるのは、NiO単独の熱膨張係数(約14ppm/K)が、通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて大きいことに起因して、燃料極集電部21の等価熱膨張係数を通常の電極材料の熱膨張係数に近づけるため、である。従って、第2酸化物セラミックスとしては、熱膨張係数が通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて小さいものが好適である。具体的には、「第2酸化物セラミックス」としては、Y2O3(イットリア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)等が好適である。燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。燃料極集電部21の気孔率は15〜55%である。なお、気孔率の値は、後述する還元処理後の値である(他の気孔率の値についても同様)。
なお、気孔率の測定は,樹脂埋めしたサンプル(還元処理後)の断面を研磨し、同断面についてのSEM(走査型電子顕微鏡)による画像(2次電子像)を解析することによって行われた。SEMの加速電圧は5kV、SEMの倍率は5000倍、又は7500倍に設定された。気孔率の測定は、サンプルの任意の10箇所の断面について行われ、それらの平均値が気孔率の値として採用された。
燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と、酸素イオン伝導性を有する物質と、を含んで構成される。「電子伝導性を有する物質」としては、NiO(酸化ニッケル)が好適である。「酸素イオン伝導性を有する物質」としては、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)等が好適である。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmである。燃料極活性部22の気孔率は15〜55%である。
なお、燃料極集電部21内、並びに、燃料極活性部22内のNiOは、後述する還元処理によってNiに変化して、電子伝導性を獲得する。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。なお、本願において「緻密」とは、「ガスが通過しない程度に高密度であること」を指し、具体的には、「気孔率が10%以下であること」を指す。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との境界部分に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCに対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に改質後の燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e− (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFC全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの製造方法の一例について図6〜図15を参照しながら簡単に説明する。図6〜図15において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、MgOとY2O3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図15を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部12の底面及び側面に、中間層の成形膜15gがそれぞれ形成される。この中間層の成形膜15gの形成については後述する。
次に、図9に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された「中間層の成形膜15gが形成された各凹部12」に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとY2O3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図11に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図12に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図13に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCにおいて空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図14に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図15に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCが得られる。なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20(集電部21+活性部22)中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20(集電部21+活性部22)の電子伝導性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図1に示したSOFCの製造方法の一例について説明した。
(中間層の介在)
上記実施形態では、図16に示すように、支持基板10と各燃料極20(集電部21)との境界部分(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分)に、中間層15が介在している。この中間層15は、支持基板10と各燃料極集電部21との境界部分の全域(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分の全域)に亘って設けられていても、前記境界部分の一部のみに設けられていてもよい。中間層15の厚さについては後述する。また、支持基板10と中間層15との境界の定義、並びに、中間層15と燃料極集電部21との境界の定義については後述する。
図17に示すように、この中間層15は、上記還元処理後において、「MgOを含む粒子」(第1粒子。典型的には、固溶体(Mg,Ni)Oの粒子)と、「第1酸化物セラミックスを含む粒子及び第2酸化物セラミックスを含む粒子」(第2粒子。典型的には、Y2O3粒子)と、「Niを含む金属微粒子」(第3粒子。典型的には、Ni粒子)と、を含む。この中間層15内では、第1粒子の表面に第3粒子が固着している。そして、隣接する第1粒子同士、及び、隣接する第1粒子及び第2粒子が、第3粒子を介して結合されている。なお、この第3粒子(固着したNi粒子)の存在によって、燃料ガスの「メタン(CH4)→水素(H2)の改質反応」が促進され得る。中間層15全体についての気孔率の平均は、10〜40%である。
換言すれば、この中間層15は、MgOとNiOとの固溶体である(Mg,Ni)Oと、「第1酸化物セラミックス」と、「第2酸化物セラミックス」と、Niと、を含む。加えて、中間層15における(中間層15の厚さ方向において)燃料極集電部21に近い部分(近い側)では、中間層15における(中間層15の厚さ方向において)支持基板10に近い部分(近い側)と比べて、「Niの含有モル比率」及び「第2酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に大きく、且つ、「Mgの含有モル比率」及び「第1酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に小さい。「中間層15における燃料極集電部21に近い側」の気孔率は15〜50%であり、「中間層15における支持基板10に近い側」の気孔率は10〜35%である。
以下、「MgO、Ni、及び、固溶体(Mg,Ni)Oからなる群」を「物質群」と呼ぶ。中間層15内における物質群の粒子の空間占有率を「X1」、支持基板10内における物質群の粒子の空間占有率を「X2」、燃料極集電部21内における物質群の粒子の空間占有率を「X3」とする。中間層15内における物質群以外の粒子の空間占有率を「Y1」、支持基板10内における物質群以外の粒子の空間占有率を「Y2」、燃料極集電部21内における物質群以外の粒子の空間占有率を「Y3」とする。中間層15内における気孔の空間占有率を「Z1」、支持基板10内における気孔の空間占有率を「Z2」、燃料極集電部21内における気孔の空間占有率を「Z3」とする。ここで、部材A内におけるBの「空間占有率」とは、「部材A内の任意の空間の全体積」に対する、「前記空間内に存在するBが占める総体積」の割合を指す。従って、部材A内の場所(領域)によってBの「空間占有率」が変動し得る。
具体的には、「空間占有率」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られた「サンプルの断面についての微構造写真」について画像解析を行って、前記物質群の粒子、前記物質群以外の粒子、および気孔の空間占有率をそれぞれ数値化することによって得られる。数値化に際しては、前記断面の任意の10箇所についてそれぞれ得られた値の平均値が採用された。この平均値が、その断面に対応する領域(サンプル全体の一部)についての「空間占有率」となる。上記還元処理後において、50%≦X1≦75%、30%≦X2≦60%、15%≦X3≦50%、15%≦Y1≦35%、10%≦Y2≦30%、15%≦Y3≦50%、10%≦Z1≦35%、30%≦Z2≦50%、15%≦Z3≦55%、という関係が成立する。
物質群の粒子の空間占有率については、「X1>X2」、及び、「X1>X3」という関係が成立する。典型的には、中間層15内において、支持基板10に近い側のX1は、燃料極集電部21に近い側のX1より大きい。支持基板10内において、X2は略一定である。燃料極集電部21内において、X3は略一定である。従って、上記関係は、中間層15内において「X1>X2」が成立する場所(即ち、X1が大きい場所)が存在する、及び、中間層15内において「X1>X3」が成立する場所(即ち、X1が大きい場所)が存在する、という意味である。中間層15内の全ての領域について(即ち、中間層15内の任意の領域と支持基板10内の任意の領域との如何なる組み合わせについても)「X1>X2」が成立することが好適である。同様に、中間層15内の全ての領域について(即ち、中間層15内の任意の領域と燃料極集電部21内の任意の領域との如何なる組み合わせについても)「X1>X3」が成立することが好適である。
この中間層15は、以下のように形成される。先ず、中間層15の原料粉末としてのMgO粉末とNiO粉末がモル比で1:1になるように秤量された。次いで、これらの混合物が大気雰囲気1400℃で5時間焼成された。これにより、MgOとNiOの固溶体((Mg,Ni)O)が作製された。この固溶体は、還元雰囲気において非常に還元され難い性質を有する。なお、完全に固溶が完了していることは、粉末X線回折等によって確認された。この固溶体がポットミルで粉砕され、D50=0.52μmの粉末が得られた。得られた粉末に溶剤、バインダーを添加してスラリーが作製された。このスラリーがスプレーコート法によって、上述した支持基板の成形体10g(図6を参照)の各凹部にそれぞれ塗布されて、中間層の成形膜15gが形成された(図8を参照)。その後、上述のように、中間層の成形膜15gが、支持基板の成形体10g、及び燃料極集電層の成形体21gと、共焼成される(図13→図14を参照)。この共焼成の際、支持基板10内の「MgO、及び、第1酸化物セラミックス」、並びに、燃料極集電部21内の「NiO、及び、第2酸化物セラミックス」が、中間層15内に拡散により進入してくる。この結果、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」では、「中間層15における支持基板10に近い側」と比べて、「Niの含有モル比率」及び「第2酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に大きく、且つ、「Mgの含有モル比率」及び「第1酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に小さくなる。加えて、このように、支持基板10内のMgO、及び、燃料極集電部21内のNiOが中間層15内に拡散により進入することによって、中間層15内においてX1が大きくなる。この結果、「X1>X2」、及び、「X1>X3」という関係が成立するようになる。なお、拡散によって中間層15の内部に侵入してきたNiOとMgOとが反応して固溶体((Mg,Ni)O)が新たに形成され得る。その後、上述した還元処理等の実行により、固溶体(Mg,Ni)Oの還元が進行すると、図17に示すように、(Mg,Ni)Oの粒子の表面に、Niの微粒子が析出してくる。このNi微粒子の析出に伴い、隣接する(Mg,Ni)O粒子同士、及び、隣接する(Mg,Ni)O粒子及びY2O3粒子が、Niの微粒子を介して固着・結合される。この結果、図17に示す構造を有する中間層15が得られる。
上述した還元処理中において、(Mg,Ni)Oの粒子内から全てのNi微粒子が析出した場合、(Mg,Ni)Oの粒子は、純粋なMgOの粒子となる。従って、中間層15内において、「MgOを含む粒子」(第1粒子)として、(Mg,Ni)Oの粒子、及び、MgOの粒子が存在し得る。また、支持基板の成形体10gの形成に使用されるスラリー内に焼成助剤として鉄(Fe)の粉末が混入される場合、「MgOを含む粒子」の表面に固着する「Niを含む金属微粒子」(第3粒子)として、純粋なNiの微粒子に加え、「NiにFeを含んだ微粒子」が存在し得る。
上述のように、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に図16に示す中間層15が介在することによって、以下の作用・効果が奏される。即ち、一般に、固溶体である(Mg,Ni)O中の「NiOの還元による収縮速度」は、単独で存在する「NiOの還元による収縮速度」より小さい。加えて、(Mg,Ni)O中の「NiOの含有モル濃度」が小さいほど、(Mg,Ni)O中の「NiOの還元による収縮速度」が小さい。以上の知見に基づき、上記実施形態では、「燃料極集電部」→「中間層における燃料極集電部に近い部分」→「中間層における支持基板に近い部分」→「支持基板」の順に、「NiOの還元による収縮速度」が大きい。換言すれば、上記実施形態では、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に中間層が介在しない場合と比べて、中間層15(従って、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分)における、「中間層15の厚さ方向の位置」に対する「NiOの還元による収縮速度」の変化勾配、が緩やかになる。従って、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分において収縮速度の差に起因する過大な歪(従って、熱応力)が生じ難くなる。この結果、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分にクラックが発生し難くなる、と考えられる。
また、上述のように、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に図17に示す構造を有する中間層15が介在することによって、以下の作用・効果が奏される。即ち、一般に、Ni等の金属は、常温から、固体酸化物形燃料電池の作動温度(800℃前後)までの広い温度範囲に亘って、十分な延性を安定して備える。従って、図17に示す構造によれば、支持基板10と燃料極集電部21との熱膨張係数の相違等に起因して、中間層15内にて、隣接する(Mg,Ni)O粒子同士、及び、隣接する(Mg,Ni)O粒子及びY2O3粒子の間で熱応力が発生した場合、Niの微粒子(第3粒子)が柔軟に塑性変形することによってその熱応力が緩和され得る。従って、中間層15(従って、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分)に過大な熱応力が局所的に発生することが抑制され得、この結果、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分でのクラックの発生が抑制され得る。なお、上述したように、第3粒子に鉄が混入される場合、第3粒子がより一層塑性変形し易くなる。この結果、上述した「第3粒子による熱応力の緩和効果」がより一層高まり、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分でのクラックの発生がより一層抑制され得る。
また、上述のように、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に図16に示す中間層15が介在することによって、以下の作用・効果も奏される。即ち、一般に、MgOと第1酸化物セラミックスとを含む支持基板10の骨格(剛性)は、主として、MgOによって作られる。Niと第2酸化物セラミックスとを含む燃料極集電部21の骨格(剛性)は、主として、Niによって作られる。また、MgOとNiOとが出会うと、固溶体である(Mg,Ni)Oが容易に生成される。
従って、燃料極集電部21及び支持基板10の骨格(剛性)は、主として、「MgO、Ni、及び、固溶体(Mg,Ni)O」からなる群、即ち、前記物質群によって作られる、といえる。
上述した還元処理の際における「支持基板10と燃料極集電部21との境界部分でのクラックの発生」は、前記境界部分の剛性を高めることによって抑制することができると考えられる。前記境界部分の剛性を高めるためには、前記境界部分における前記物質群の粒子の空間占有率を高めることが考えられる。
この点、上記実施形態では、前記物質群の粒子の空間占有率が高い中間層15が支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に介在する(X1>X2、及び、X1>X3)。従って、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に中間層が介在しない場合と比べて、前記境界部分の剛性が高くなる。よって、還元処理の際、支持基板10と燃料極集電部21との収縮量の差に起因する前記境界部分での歪の大きさが小さくなる。この結果、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分にクラックが発生し難くなる。
上記関係(X1>X2、及び、X1>X3)に加えて、「X1>Y1」、及び、「X2>Y2」という関係が成立することが好適である。中間層15内の全ての領域について「X1>Y1」が成立し、支持基板10内の全ての領域について「X2>Y2」が成立することが好ましい。このように、中間層15及び支持基板10のそれぞれにおいて、「MgO、Ni、及び、固溶体(Mg,Ni)O」からなる物質群の粒子の空間占有率を前記物質群以外の粒子の空間占有率よりも大きくすることによって、前記境界部分の剛性のみならず、中間層15及び支持基板10そのものの剛性も向上する。この結果、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分にクラックがより一層発生し難くなる。
なお、図16に示す中間層15では、中間層15が1層で構成され、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」と、「中間層15における支持基板10に近い側」との間では、明確な境界は存在しない。これに対し、図18に示すように、中間層15が2層(又は、3層以上)で構成され、「中間層15における支持基板10に近い側」の層15aと、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」の層15bと、の間で明確な境界が存在していてもよい。層15aは、層15bと比べて、Mgの含有モル比率が相対的に大きく、且つ、Niの含有モル比率が相対的に小さい。図18に示す構成は、例えば、以下のように作成される。即ち、上述した支持基板の成形体10g(図6を参照)の各凹部に中間層の成形膜15gが形成される際、成形膜15gが、「支持基板10に近い側の膜」と、「燃料極集電部21に近い側の膜」、との2層で構成される。「支持基板10に近い側の膜」用のスラリー((Mg,Ni)Oを含む)では、「燃料極集電部21に近い側の膜」用のスラリー((Mg,Ni)Oを含む)と比べて、「Mgの含有モル比率」及び「第1酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に大きく、且つ、「Niの含有モル比率」及び「第2酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に小さい。この2層からなる「中間層の成形膜15g」が、支持基板の成形体10g、及び燃料極集電層の成形体21gと、共焼成される。その後、これらの焼成体が上述した還元処理に供される。この結果、図18に示した中間層15(=層15a+層15b)が得られる。層15a、及び層15b共に、図17に示す構造を有する。
(適正な中間層の厚さの範囲)
上記実施形態に係るSOFCでは、通常の環境下で稼働される場合には、中間層15にクラック(又は、剥離)が発生しない。しかしながら、このSOFCが熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、中間層15にクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が、中間層15の厚さT(図16又は図18を参照)と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験について説明する。
(試験)
この試験では、図1に示したSOFCについて、中間層15の材質、及び、中間層15の厚さTの組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、25種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。各サンプルについて、中間層15の境界は、以下のように定義された。先ず、サンプルの断面におけるEDS(エネルギー分散型X線分析)を用いたNiとMgについての元素定量分析(ライン分析)を、支持基板側から燃料極集電部側に向けて積層方向に関して連続的に行う。前記断面について、モル比で「Ni/(Ni+Mg)」の値が0.30を超えた位置を「中間層と支持基板との界面」と定義し、モル比で「Ni/(Ni+Mg)」の値が0.90を超えた位置を「中間層と燃料極集電部との界面」と定義する。中間層15の厚さとしては、前記断面の任意の10箇所でそれぞれ測定された「両界面間の距離」の平均値を採用する。表1に記載された厚さTの値は、上記還元処理後の値(N=10の平均値)である。
各サンプル(図1に示すSOFCのスタック構造体)にて、中間層15は、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分の全域(即ち、各凹部12の底壁及び側壁の全域)に亘って形成された。中間層15は、「中間層の成形膜15g」が支持基板の成形体10g及び燃料極集電層の成形体21gと共焼成され、その後、その焼成体に対して還元処理が施されることよって形成された。中間層15の厚さの調整は、支持基板の成形体10gの各凹部に形成される「中間層の成形膜15g」(図8を参照)の厚さを調整することによってなされた。
そして、上記還元処理後の各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、中間層15におけるクラック(又は、剥離)の発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、中間層15の厚さTが3μmより小さいと、理由は不明であるが、中間層15にクラックが発生し易い。また、試験の都合等により、厚さTが100μmより大きい中間層15を有するサンプルは作製されなかった。以上より、中間層15の厚さTが3〜100μmの範囲内であると、前記クラックが発生し難い、ということができる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)にて上記実施形態が使用される場合、中間層15の厚さTが3〜100μmの範囲外であっても、中間層15にクラックが発生しないことを別途確認している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図6等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。また、支持基板10は平板状を呈しているが、円筒状であってもよい。
また、上記実施形態においては、各凹部12にはインターコネクタ30の全体が埋設されているが、インターコネクタ30の一部のみが各凹部12に埋設され、インターコネクタ30の残りの部分が凹部12の外に突出(即ち、支持基板10の主面から突出)していてもよい。
また、上記実施形態において、凹部12における底壁と側壁とのなす角度θが90°になっているが、図19に示すように、角度θが90〜135°となっていてもよい。また、上記実施形態においては、図20に示すように、凹部12における底壁と側壁とが交差する部分が半径Rの円弧状になっていて、凹部12の深さに対する半径Rの割合が0.01〜1となっていてもよい。
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、図21に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板10の一つの主面上に、電気的に直列に接続された複数の発電素子部Aが配置された所謂「横縞型」と呼ばれる構成が採用されているが、支持基板10の一つの主面上に一つの発電素子部Aが配置される構成(所謂「縦縞型」)が採用されてもよい。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層(Ni+酸化物セラミックス)で構成されてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板10の主面に複数の凹部12が形成され、各凹部12に燃料極20がそれぞれ埋設されているが、図22に示すように、支持基板10の主面上に燃料極20がそれぞれ積層されていてもよい。この場合、図22に示すように、中間層15は、支持基板10の主面上における、支持基板10と燃料極20との境界部分に形成される。
加えて、上記実施形態においては、図3に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(支持基板10の材料からなる長手方向に沿う2つの側壁と、燃料極集電部21の材料からなる幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みとなっている。この結果、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
これに対し、図23に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。これによれば、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の4つの側面の全てと底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触する。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との界面の面積をより一層大きくできる。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との間における電子伝導性をより一層高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力をより一層高めることができる。