JP2015071798A - アルミニウム合金および摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性を向上させたアルミニウム合金および摺動部材を提供する。【解決手段】アルミニウム合金は、4.0〜10.0質量%のSnと、4.0〜8.0質量%のSiと、0.3〜2.0質量%のCuと、Alとを含み、所定の断面において、粒径が4.0μm未満のSi粒子の面積割合が2.0%未満であることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、アルミニウム合金および摺動部材に関する。
自動車および産業用機械のエンジンのすべり軸受においては、Al−Sn−Si三元系合金をベースとしたアルミニウム合金が軸受合金として広く用いられている。一般に、アルミニウム系の軸受合金においては、Snはなじみ性を与えるために添加され、Siは耐摩耗性、および耐焼付性を与えるために添加される。Al−Sn−Si三元系合金においてはSiの析出物(以下「Si粒子」という)が形成されるが、軸受合金の特性はSi粒子の大きさの影響を受ける。具体的には、大きい(例えば粒子径4μm以上の)Si粒子は、耐摩耗性を与え、さらにいわゆるラッピング効果によって耐焼付性を向上させる。
特許文献1は、摺動表面において、小さいSi粒子と大きいSi粒子の割合を特定の範囲(面積割合で、小さいSi粒子が20〜60%、大きいSi粒子が40%以上)に制御することにより、耐摩耗性および耐疲労性を改善することを開示している。特許文献2は、大きいSi粒子のSn相に対する割合を特定の範囲に制御することにより、耐摩耗性を向上させることを開示している。
特許文献1のように、粒子径4μm未満のSi粒子が20〜60%存在すると、高負荷条件において摩耗が進行する場合があった。
これに対し本発明は、耐摩耗性を向上させたアルミニウム合金および摺動部材を提供する。
これに対し本発明は、耐摩耗性を向上させたアルミニウム合金および摺動部材を提供する。
本発明は、4.0〜10.0質量%のSnと、4.0〜8.0質量%のSiと、0.3〜2.0質量%のCuと、Alとを含み、所定の断面において、粒径が4.0μm未満のSi粒子の面積割合が2.0%未満であることを特徴とするアルミニウム合金を提供する。
前記断面において、前記断面において、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が4.9%以上であってもよい。
前記断面において、Si粒子の平均粒径が5.0〜15.0μmであってもよい。
このアルミニウム合金は、0.1〜0.5質量%のFeをさらに含んでもよい。
また、本発明は、上記のアルミニウム合金で形成された合金層を有する摺動部材を提供する。
本発明によれば、耐摩耗性を向上させたアルミニウム合金および摺動部材が提供される。
1.すべり軸受
図1は、一実施形態に係る摺動部材1の外観を例示する図である。摺動部材1は、例えばすべり軸受として用いられる。このすべり軸受は、例えば、内燃機関のクランクシャフトとコネクティングロッドとの間におけるコンロッドベアリング、またはクランクシャフトとエンジンブロックとの間における主軸受またはメインベアリングとして用いられる。この例で、摺動部材1は半円筒状の形を有している。2つの摺動部材1を組み合わせ、円筒状のすべり軸受として用いる。あるいは、円筒状の摺動部材をすべり軸受として用いてもよい。なお、摺動部材1は、トランスミッションやオイルポンプなどの補機に組み込まれるブシュとして使用してもよい。
図1は、一実施形態に係る摺動部材1の外観を例示する図である。摺動部材1は、例えばすべり軸受として用いられる。このすべり軸受は、例えば、内燃機関のクランクシャフトとコネクティングロッドとの間におけるコンロッドベアリング、またはクランクシャフトとエンジンブロックとの間における主軸受またはメインベアリングとして用いられる。この例で、摺動部材1は半円筒状の形を有している。2つの摺動部材1を組み合わせ、円筒状のすべり軸受として用いる。あるいは、円筒状の摺動部材をすべり軸受として用いてもよい。なお、摺動部材1は、トランスミッションやオイルポンプなどの補機に組み込まれるブシュとして使用してもよい。
図2は、摺動部材1の、A−A断面を示す図である。摺動部材1は、裏金11と、ライニング層12(軸受合金層)と、オーバーレイ層13(コーティング層)と、接着層14とを有する。裏金11は、ライニング層12の機械的強度を補強するための層である。裏金11は、例えば鋼で形成される。
ライニング層12は、軸受の摺動面(軸と接触する面)に沿って設けられ、軸受としての特性、例えば、摩擦特性(摺動特性)、耐焼付性、耐摩耗性、なじみ性、異物埋収性(異物ロバスト性)、および耐腐食性等の特性を与えるための層である。ライニング層12は、軸受合金で形成されている。軸との凝着を防ぐため、軸受合金は軸といわゆる「ともがね(ともざい)」となることを避け、軸とは別の材料系が用いられる。この例では、鋼で形成された軸の軸受として用いるため、軸受合金としてアルミニウム合金が用いられる。軸受合金の詳細は後述する。
オーバーレイ層13は、ライニング層12の摩擦係数、なじみ性、耐腐食性、および異物埋収性(異物ロバスト性)等の特性を改善するための層である。オーバーレイ層13は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散された固体潤滑剤および硬質物の少なくとも一方を含む。バインダー樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂が用いられる。具体的には、バインダー樹脂は、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケーテルケトン樹脂、エポキシ樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂のうち少なくとも一種を含む。固体潤滑材は、摩擦特性を改善するために添加される。固体潤滑剤は、例えば、MoS2、WS2、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、h−BN、およびSB2O3のうち少なくとも一種を含む。硬質物は、耐摩耗性を改善するために添加される。硬質物は、例えば、SiC、Al2O3、TiN、AlN、CrO3、Si3N4、ZrO2、Fe2Pのうち少なくとも一種を含む。
接着層14は、裏金11とライニング層12とを接着させるための層である。この例で、接着層14には、Snを含まないアルミニウム合金または純アルミニウムが用いられる。
なお、摺動部材1の構造は図2で例示したものに限定されない。例えば、裏金11、オーバーレイ層13、および接着層14のうち少なくとも1層は省略されてもよい。また、図2に例示した層以外の層、例えばライニング層12とオーバーレイ層13との間に接着層が追加されてもよい。さらに、摺動部材の形状は図1で例示したものに限定されない。軸を受けるすべり面を有するものであれば、どのような形状を有していてもよい。
2.軸受合金
本実施形態に係る軸受合金は、Al−Sn−Si系のアルミニウム合金である。詳細には、この軸受合金はSn、Si、Cu、およびFeを含み、残部が実質的にAlからなる合金である。
本実施形態に係る軸受合金は、Al−Sn−Si系のアルミニウム合金である。詳細には、この軸受合金はSn、Si、Cu、およびFeを含み、残部が実質的にAlからなる合金である。
Snは、軸受になじみ性、耐焼付性、および異物埋収性を与える。Snは、軸受合金において4.0〜10.0質量%含まれることが好ましい。SnはAlにほとんど固溶せず、Snが単独で晶出し、製造過程で分断され微細に分布する。Snは、アルミニウム合金において4〜10質量%含まれることが好ましい。Snの含有量が4.0質量%未満では、なじみ性や耐焼付き性が不足する場合がある。Snの含有量が10.0質量%を超えると、熱処理時に材料表面に発汗するSnが多くなり、板厚精度が確保できなくなる場合がある。なおここで発汗とは、低融点の融液が合金層表面に染み出すことをいう。
Siは、軸受に耐摩耗性、および耐焼付性を与える。SiはAlに固溶するが、一方でSi粒子が析出する。大きいSi粒子は、耐摩耗性を与え、さらにいわゆるラッピング効果によって耐焼付性を向上させる。Siは、アルミニウム合金において4.0〜8.0質量%含まれることが好ましい。Siの含有量が4.0質量%未満では面積割合やSi粒子数が少なく、耐摩耗性が不足する場合がある。Siの含有量が8.0質量%を超えると、冷間圧延時に割れが生じ製造が困難になる場合がある。
Cuは、マトリックスの強度を向上させる。Cuは、アルミニウム合金において0.3〜2質量%含まれることが好ましい。Cuの含有量が0.3質量%未満ではアルミニウム合金の硬さが低くなり耐摩耗性が不足する場合がある。Cuの含有量が2.0質量%を超えると、アルミニウム合金の伸びが低下し、冷間圧延時に割れが生じる場合がある。
Feは、アルミニウム合金の加工性、より具体的には被切削性を向上させる(切屑が切断されやすく細切れになりやすい)。Feはアルミニウム合金において0.1〜0.5質量%含まれることが好ましい。Feの含有量が0.1質量%未満では金属間化合物の析出量が少なく良好な被切削性が得られない場合がある。Feの含有量が0.5質量%を超えると金属間化合物が粗大となり、なじみ性や耐焼付き性が低下する場合がある。なお、Feはアルミニウム合金に添加されなくてもよい。
図3は、軸受合金の組織を例示する図である。軸受合金においては、Si粒子およびSn相が析出している。これらの析出物は、マトリックス中に分散している。Si粒子には、粒径の小さいものと大きいものがある。本実施形態において、Si粒子は、以下の(1)〜(6)の少なくともいずれか1つを満たすことが好ましい。
(1)摺動方向に平行な断面(例えば図1のB−B断面)におけるSi粒子の平均粒径が5.0〜15μmであり、かつ、この断面において、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が4.9%以上である。なお、ここでいう粒径は、面積基準の円相当径rであり、次式(1)で算出される。
r=Σ(NV)/Σ(Nd2) …(1)
ここで、Nは分級した粒子数を、Vは分級した粒子の体積を、dは分級値を、それぞれ表す。また、面積割合とは、測定視野の面積に対するSi粒子の面積の割合をいう。
r=Σ(NV)/Σ(Nd2) …(1)
ここで、Nは分級した粒子数を、Vは分級した粒子の体積を、dは分級値を、それぞれ表す。また、面積割合とは、測定視野の面積に対するSi粒子の面積の割合をいう。
平均粒径が5.0μm未満だと耐摩耗性が不足する場合がある。一方、平均粒径が15μmを超えると耐疲労性が低下したり、相手軸が摩耗したりする場合がある。なお、Si粒子の平均粒径は6.0μm以上であることがより好ましい。さらに前段の条件が満たされた場合でも、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が少なくなると耐摩耗性が不足する場合がある。なお、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が多くなっても耐摩耗性に悪影響を与えることはないが、成分の含有量からして粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合は15%程度が上限となる場合がある。
(2)上記の断面において、Si粒子の平均粒径が5.0〜15μmであり、かつ、この断面において、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が4.9%以上(好ましくは5.0%以上)である。なお、ここでいう粒径は、体積基準の円相当径rであり、次式(2)で算出される。
r=Σ(NVd)/Σ(NV) …(2)
なお、Si粒子の平均粒径は6.0μm以上であることがより好ましい。
r=Σ(NVd)/Σ(NV) …(2)
なお、Si粒子の平均粒径は6.0μm以上であることがより好ましい。
平均粒径については(1)で説明したとおりである。さらに前段の条件が満たされた場合でも、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が少なくなると耐摩耗性が不足する場合がある。なお、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が多くなっても耐摩耗性に悪影響を与えることはないが、成分の含有量からして粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合は15%程度が上限となる場合がある。
(3)上記の断面において、粒径が4.0μm未満のSi粒子の面積割合が2%未満である。なお、ここでいう粒径は、面積基準の円相当径である。
粒径が4.0μm未満のSi粒子が増えすぎると耐摩耗性が不足する場合がある。
(4)上記の断面におけるSi粒子の平均粒径が5.0〜15μmであり、かつ、この断面において、Si粒子の総数に対する、粒径が4.0μm以上のSi粒子の割合が30%以上である。なお、ここでいう粒径は、面積基準の円相当径である。
平均粒径については(1)で説明したとおりである。また、粒径が4.0μm以上のSi粒子の割合が少なくなると、耐摩耗性が不足する場合がある。
(5)上記の断面において、Si粒子の総数に対する、粒径が6.0μm以上のSi粒子の割合が10%以上である。なお、ここでいう粒径は、面積基準の円相当径である。
粒径が6.0μmのSi粒子が少なすぎると耐摩耗性が不足する場合がある。
(6)上記の断面におけるSi粒子の平均粒径が5.0〜15μmであり、かつ、この断面において、Si粒子の総数に対するアスペクト比が1.5以上のSi粒子の割合が35%以上である。
Si粒子の長手方向を制御することにより、軸とSi粒子との接触面積が低減される。ひいては凝着が抑制され、耐摩耗性および耐焼付性が向上する。アスペクト比が1.5以上のSi粒子が少ないと、耐摩耗性が不足する場合がある。なお、Si粒子のアスペクト比とは、所定の方向(例えば摺動方向または圧延方向)の長さと、これと直交する方向の長さの比をいう。
図4は、Si粒子のアスペクト比を説明する図である。図4において、横軸は摺動方向(圧延方向)に伸びており、縦軸は摺動方向と直交する方向に伸びている。Si粒子は等方的ではなく、ある方向に長く延びた形状を有している。図4では楕円形状の4つのSi粒子が図示されている。Si粒子の長手方向は、複数のSi粒子間で必ずしも摺動方向と一致していないが、摺動方向を向いているものが多い。長手方向がどのような向きであっても、アスペクト比rは(横軸方向の長さx)/(縦軸方向の長さy)で定義される。なお、実際のSi粒子は必ずしも正確な楕円形をしているわけではないが、粒子のx軸への射影の長さおよびy軸への射影の長さが、それぞれ横軸方向の長さおよび縦軸方向の長さとして用いられる。
なお、上記の(1)〜(6)における平均粒径は、円相当径の体積平均または面積平均である。
3.製造方法
図5は、軸受合金の製造方法を例示する図である。ステップS101において、材料が計量される。材料としては、単体または合金のインゴットが用いられる。ステップS102において、計量された材料が溶解される。材料の溶解は、例えば高周波溶解炉を用いて行われる。ステップS103において、脱ガス処理が行われる。脱ガス処理は、溶融合金中のガスおよび不純物を除去するために行われる。
図5は、軸受合金の製造方法を例示する図である。ステップS101において、材料が計量される。材料としては、単体または合金のインゴットが用いられる。ステップS102において、計量された材料が溶解される。材料の溶解は、例えば高周波溶解炉を用いて行われる。ステップS103において、脱ガス処理が行われる。脱ガス処理は、溶融合金中のガスおよび不純物を除去するために行われる。
ステップS104において、溶融合金は板材に成形される。板材への成形は、例えば、金型への鋳造または水平方向への連続鋳造により行われる。連続鋳造が用いられた場合、板材は所定の長さ(例えば20m程度)で切断される。ステップS105において、面削処理が行われる。面削処理は、表面の欠陥層を除去するために行われる。面削処理においては、板材の6面のそれぞれにおいて、表面から所定の厚さ(例えば1〜5mm)の合金が削りとられる。面削処理は、例えば特殊フライス盤を用いて行われる。ステップS106において、冷間圧延が行われる。冷間圧延は、板材を所定の厚さにするまで、必要に応じて複数回行われる。なお、板材が所定の厚さを有していれば、冷間圧延を行わなくてもよい。
ステップS107において、熱処理が行われる。この熱処理は、Si粒子を粗大化させるために行われる。この熱処理条件を調整することにより、Si粒子の特性(粒径や面積比率等)を制御することができる。熱処理温度が共晶温度を超えると液相が出現してしまうので、熱処理は共晶温度を超えない温度範囲で行うことが好ましい。具体的には、共晶温度より5〜30℃低い温度で熱処理を行うことが好ましい。より詳細には、熱処理は、例えば、500℃〜550℃の温度で2〜50時間行われる(なおこの時間および温度は保持温度および保持時間であり、昇温および降温の時間は含まない)。熱処理温度を上げると、または熱処理時間を延ばすと、Si粒子がより大きくなる傾向がある。
ステップS108において、冷間圧延が行われる。ここで軸受合金は接着層14の材料と合わされ、複合化(接合)される。冷間圧延は、板材を所定の厚さにするまで、必要に応じて複数回行われる。ステップS109において、焼鈍が行われる。この焼鈍は圧延による歪みを除去するために行われる。また、圧延により硬化した材料の延性を回復させる効果もある。この焼鈍は、例えば300℃〜420℃の範囲で行われる。なお、接着層14が用いられない場合、軸受合金が単独で圧延される。また、1または複数回の圧延と、圧延後の焼鈍の組み合わせ(例えば、2回の圧延と1回の焼鈍の組み合わせ)を複数回、繰り返してもよい。
ステップS110において、軸受合金と裏金が圧接される。ここで軸受合金(および接着層)は裏金11の材料と合わされ、圧接される。圧接は、例えば冷間圧延機を用いて行われる。冷間圧延は、板材を所定の厚さにするまで、必要に応じて複数回行われる。ステップS111において、焼鈍が行われる。この焼鈍は、接合界面における相互拡散を促し、接着性を高めるために行われる。圧延による歪みを除去する目的もある。この焼鈍は、例えば300℃〜420℃の範囲で行われる。
ステップS112において、板材が成形される。この例では、板材は、所望の幅に切断後、油圧プレス機を用いて、円筒状に成形される。この例では、圧延方向が摺動方向となるように成形される。なお、オーバーレイ層13を形成する場合は、ステップS112の成形の後、軸受内面に切削加工を行い、その後、オーバーレイ層13を形成する工程を追加する。オーバーレイ層13は、液状のバインダー樹脂に固体潤滑剤を分散させた樹脂組成物を合金層の上に塗布し、塗布された樹脂組成物を熱硬化させることにより形成される。
4.実施例
4−1.試料の作製
表1は、実施例1〜8および比較例1〜7におけるアルミニウム合金の組成を示す。表1に示す組成のアルミニウム合金を、上記の製造方法で製造した。
4−1.試料の作製
表1は、実施例1〜8および比較例1〜7におけるアルミニウム合金の組成を示す。表1に示す組成のアルミニウム合金を、上記の製造方法で製造した。
作製した試料について、摺動方向に平行な断面を光学顕微鏡を用いて撮影し、この画像に対する画像解析によりSi粒子の特性を測定した。画像解析には、株式会社ニレコ製のルーゼックスIIを用いた。測定視野は0.0366mm2であり、測定パラメータはHE
YWOODを用いた。Si粒子の検出可能な最小径は0.4761μmであった。
YWOODを用いた。Si粒子の検出可能な最小径は0.4761μmであった。
4−2.試料の評価
耐摩耗性の評価のため、摩耗試験を行った。試験は、静荷重摩耗試験機を用いて、以下の条件で行った。試験後、摩耗深さを測定した。
回転数:0−1000rpm
試験パターン:起動・停止(スタート・ストップ)
面圧:8MPa
サイクル数:2000
潤滑油:CVT(Continuously Variable Transmission)フルード
潤滑油温度:90℃
軸粗さ:0.695〜0.705μmRa
軸硬さ:700〜800HV
耐摩耗性の評価のため、摩耗試験を行った。試験は、静荷重摩耗試験機を用いて、以下の条件で行った。試験後、摩耗深さを測定した。
回転数:0−1000rpm
試験パターン:起動・停止(スタート・ストップ)
面圧:8MPa
サイクル数:2000
潤滑油:CVT(Continuously Variable Transmission)フルード
潤滑油温度:90℃
軸粗さ:0.695〜0.705μmRa
軸硬さ:700〜800HV
4−3.評価結果
表2は、実施例1〜8および比較例1〜7におけるSi粒子の特性および摩耗試験の結果を示す。
表2は、実施例1〜8および比較例1〜7におけるSi粒子の特性および摩耗試験の結果を示す。
表2において、Si粒子の特性(a)〜(f)は以下の事項を表している。
(a)Si粒子の平均粒径(μm)
(b)面積基準の粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合(%)
(c)体積基準の粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合(%)
(d)面積基準の粒径が4.0μm未満のSi粒子の面積割合(%)
(e)面積基準の粒径が4.0μm以上のSi粒子の個数割合(%)
(f)面積基準の粒径が6.0μm以上のSi粒子の個数割合(%)
(g)アスペクト比が1.5以上のSi粒子の個数割合(%)
なお(a)〜(g)は測定視野における値である。
(a)Si粒子の平均粒径(μm)
(b)面積基準の粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合(%)
(c)体積基準の粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合(%)
(d)面積基準の粒径が4.0μm未満のSi粒子の面積割合(%)
(e)面積基準の粒径が4.0μm以上のSi粒子の個数割合(%)
(f)面積基準の粒径が6.0μm以上のSi粒子の個数割合(%)
(g)アスペクト比が1.5以上のSi粒子の個数割合(%)
なお(a)〜(g)は測定視野における値である。
表2に示されるように、上記の条件(1)〜(6)のうち少なくとも1つを満たす試料は、良好な耐摩耗性を示した。例えば、摩耗深さが50μm以下のものを良品と判定すると、上記の条件(1)〜(6)のうち少なくとも1つを満たすものはいずれも良品であった。このように、Si粒子の大きさ、分布状態、またはアスペクト比を制御することにより、耐摩耗性を向上させることができる。なお(1)と(2)の違いはSi粒子の粒径の定義の違いであるが、Si粒子の粒径はどちらの定義を用いてもよい。
1…摺動部材、11…裏金、12…ライニング層、13…オーバーレイ、14…接着層
Claims (5)
- 4.0〜10.0質量%のSnと、
4.0〜8.0質量%のSiと、
0.3〜2.0質量%のCuと、
Alと
を含み、
所定の断面において、粒径が4.0μm未満のSi粒子の面積割合が2.0%未満である
ことを特徴とするアルミニウム合金。 - 前記断面において、粒径が4.0μm以上のSi粒子の面積割合が4.9%以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。 - 前記断面において、Si粒子の平均粒径が5.0〜15.0μmである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金。 - 0.1〜0.5質量%のFeをさらに含む
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアルミニウム合金。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金で形成された合金層
を有する摺動部材。
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