JP2015071531A - 繊維状バナジウム酸化物の製造方法及び繊維状バナジウム酸化物 - Google Patents

繊維状バナジウム酸化物の製造方法及び繊維状バナジウム酸化物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、簡易な方法で、残留炭素量が少なく、所望の平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物を得ることが可能な繊維状バナジウム酸化物の製造方法を提供する。また、該繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて製造した繊維状バナジウム酸化物を提供する。【解決手段】原料バナジウム酸化物と水を含有する溶媒とを含む原料液に、レーザー光を照射し、バナジウム酸化物微粒子の分散液を調製する第一工程と、前記バナジウム酸化物微粒子の分散液を熟成する第二工程とを有し、前記第一工程において、前記レーザー光の1パルスあたりのフルエンスを50mJ/cm2以上とし、前記第二工程において、前記分散液を酸素を含有する気体の雰囲気下で1時間以上熟成し、前記水を含有する溶媒は、溶媒全体に対する水の割合が50〜100重量%である繊維状バナジウム酸化物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、簡易な方法で、残留炭素量が少なく、所望の平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物を得ることが可能な繊維状バナジウム酸化物の製造方法に関する。また、該繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて製造した繊維状バナジウム酸化物に関する。
近年、五酸化バナジウム(V)は、リチウムイオン電池の電極材料として注目されている。五酸化バナジウムは、従来のコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、又は、ニッケル酸リチウム等の正極活物質よりも理論容量が高いため、積極的に検討されている。更に、五酸化バナジウムの形状を繊維状にすることで、その性能が更に向上することが報告されている。例えば、特許文献1には、バナジウム原子を含有するゾルを形成した後、ゾル−ゲル法によりヒドロゲルを形成し、乾燥することで、高いリチウム挿入容量を有する繊維状のV・nHO組成物が得られることが開示されている。また、非特許文献1には、Vの粉末とポリビニルピロリドンを混合し電界紡糸(Eelctrospinning)により紡糸した後、500℃で処理することで、リチウムの貯蔵性能が著しく改善された多孔質の五酸化バナジウムナノファイバーが得られることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法では、目的の繊維状V・nHO水和物を形成するために、ゾル合成、ヒドロゲル形成、凍結乾燥、及び、超臨界乾燥等の多数の工程が必要であり、工程の短縮や製造の効率化が求められていた。また、非特許文献1に開示された繊維状Vの製造方法では、特殊な紡糸装置が必要であり、得られる繊維の直径が数百nm程度と大きかった。更に、五酸化バナジウムの純度が高い方が、より電極材料として好適であるが、非特許文献1に記載の方法では、製造工程で樹脂と溶解してから紡糸するため、樹脂等の不純物が混じり、五酸化バナジウムの純度を上げることが困難であった。
米国特許第5674642号明細書
Danmei Yu et al, Energy&Environmental Science, 2011,4,p858861
本発明は上記現状に鑑み、簡易な方法で、残留炭素量が少なく、所望の平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物を得ることが可能な繊維状バナジウム酸化物の製造方法を提供することを目的とする。また、該繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて製造した繊維状バナジウム酸化物を提供することを目的とする。
本発明は、原料バナジウム酸化物と水を含有する溶媒とを含む原料液に、レーザー光を照射し、バナジウム酸化物微粒子の分散液を調製する第一工程と、上記バナジウム酸化物微粒子の分散液を熟成する第二工程とを有し、上記第一工程において、上記レーザー光の1パルスあたりのフルエンスを50mJ/cm以上とし、上記第二工程において、上記分散液を酸素を含有する気体の雰囲気下で1時間以上熟成する繊維状バナジウム酸化物の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、原料バナジウム酸化物にレーザー光を照射することで、平均粒子径の小さい微粒子を製造することができ、得られたバナジウム酸化物微粒子を酸素含有雰囲気下で熟成することで、バナジウム酸化物微粒子を所望の平均繊維直径及び平均繊維長さに繊維化できることを見出した。
具体的には、レーザー光のフルエンスを調整することで得られるバナジウム酸化物微粒子の平均粒子径を調整できること、バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径を調整することで得られる繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径を調整できること、熟成時間を調整することで得られる繊維状バナジウム酸化物の平均繊維長さを調整できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法では、所定条件でレーザー光を照射し、熟成することで繊維状とすることができるため、簡易な方法で繊維状バナジウム酸化物を得ることができる。また、原料バナジウム酸化物を微粒子化する際に、ビーズミル等の機械的粉砕法とは異なり、コンタミメーションや粒子の欠損が発生しにくいため、熟成した場合に繊維状構造をとり易くなる。更に、非特許文献1記載の電界紡糸法のように樹脂等と混合する工程を経ないため、純度の高い繊維化バナジウム酸化物を得ることができる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法は、原料バナジウム酸化物と水を含有する溶媒とを含む原料液に、レーザー光を照射し、バナジウム酸化物微粒子の分散液を調製する第一工程を有する。
図1は、本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法の概要図である。図1に示すように、本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法では、まず、第一工程を行い、原料バナジウム酸化物を微粒子化する。
上記原料バナジウム酸化物としては、二価、三価、四価、又は、五価のバナジウム原子を含有する酸化物が挙げられる。なかでも、繊維状バナジウム酸化物の形成しやすさの観点から、四価、又は、五価のバナジウム原子を含有する酸化物が好ましい。
五価のバナジウム原子を含有する酸化物としては、五酸化バナジウム(V)、メタバナジウム酸塩等が挙げられる。メタバナジウム酸塩としては、メタバナジウム酸アンモニウム(NHVO)、メタバナジウム酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられる。四価のバナジウム原子を含有する酸化物としては、二酸化バナジウム(VO)が挙げられる。
上記原料バナジウム酸化物は、粉末状、粒子状であってもよく、棒状、板状、ペレット状であってもよい。なかでも、平均粒子径が小さく、かつ、均一な微粒子が得られやすく、第二工程において繊維化しやすいため、粉末状又は粒子状であることが好ましい。
上記原料バナジウム酸化物が粒子状である場合、平均粒子径の好ましい下限は500nmであり、好ましい上限は500μmである。
上記原料バナジウム酸化物の平均粒子径が上記範囲内であることで、平均粒子径の小さいバナジウム酸化物微粒子を効率よく得ることができる。
上記原料バナジウム酸化物の平均粒子径のより好ましい下限は1μmであり、より好ましい上限は250μmである。
上記原料バナジウム酸化物の添加量は、原料液の0.001〜10重量%であることが好ましい。0.001重量%未満であると、生産性が極端に悪くなり、10重量%を超えると、原料バナジウム酸化物103をナノメートルオーダーにまで粉砕するまでに長時間のレーザー光照射が必要となる。
上記水を含有する溶媒は、溶媒全体に対する水の割合が50〜100重量%である。
上記水を含有する溶媒としては、例えば、水、水と有機溶媒とを含有する溶媒が挙げられる。
溶媒全体に対する水の割合を上記範囲内とすることで、得られるバナジウム酸化物微粒子の残存炭素量を低くすることができる。溶媒全体に対する水の割合が50重量%未満であると、レーザー光照射により有機溶媒が分解しカーボン不純物が生じ、生じたカーボン不純物が第一工程で得られるバナジウム酸化物微粒子の表面に付着することで、バナジウム酸化物微粒子同士の結着が阻害され、第二工程において繊維状バナジウム酸化物を形成できない。溶媒全体に対する水の割合の好ましい下限は55重量%である。
上記有機溶媒は、炭化水素類、ケトン類、アルコール類、グリコール類及びその誘導体、アミン類、又は、イオン性液体等を用いることができる。
中でも、ケトン類、アルコール類、グリコール類及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種類を含有することが好ましい。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、又は、アミルメチルケトン等が挙げられ、アルコール類としては、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノ―ル、又は、ドデシルアルコール等が挙げられ、グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、又は、トリエチレングリコール等が挙げられ、これらの誘導体としては、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート(3GH)、ジヘキシルアジペート(DHA)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート(4G7)、又は、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(4GO)等が挙げられる。
上記レーザー光Mの照射は、液相中で行うことが好ましい。従来の気相中でのレーザー照射による微粒子の合成法(気相レーザーアブレーション法)に比べ、液相中でのレーザー照射による合成法(液相レーザーアブレーション法)は、非真空プロセスで簡便に操作できる等の特徴を有する。
液相レーザーアブレーションでは、液相の中に,沈降又は分散させたターゲット材料に向けて,レーザー光を照射する。レーザー光のような空間的にも時間的にも非常に光子密度の高い光をターゲットに照射すると、ターゲット材料と溶媒との界面近傍にキャビテーションバッブル(Cavitation Bubble)という局所的な高温高圧の状態が形成されると同時に、プラズマが発生し得ることが報告されている。これにより、ターゲット材料のイオン化、化学結合の切断、融解、又は、蒸発等の現象が起こる。
上記レーザー光Mの1パルス当たりのエネルギー密度(フルエンス)は、50mJ/cm以上である。なお、フルエンスとは、レーザー光の1パルス当たりのエネルギーを照射面積で割って求めたエネルギー密度(J/cm)をいう。
上記レーザー光Mの1パルス当たりのフルエンスが50mJ/cm未満であると、原料バナジウム酸化物に照射されるエネルギーが低いため、原料バナジウム酸化物を微粒子化することができない。ある程度粉砕できたとしても、不均一な粒子となり、第二工程において繊維化することが困難である。
上記レーザー光Mの1パルスあたりのフルエンスの好ましい上限は5000mJ/cmであり、より好ましい下限は100mJ/cmであり、より好ましい上限は4000mJ/cmであり、更に好ましい下限は200mJ/cmであり、更に好ましい上限は2000mJ/cmである。
上記レーザー光Mの波長の好ましい下限は250nmであり、好ましい上限は2500nmである。
上記レーザー光Mの波長が、250nm未満であると、バナジウム酸化物を効率よく微粒子化することができないことがあり、2500nmを超えるとレーザー照射時の反応液の温度上昇が顕著になり、反応の制御が難しくなることがある。
上記レーザー光Mの波長のより好ましい下限は300nmであり、より好ましい上限は2000nmである。
上記レーザーM光は、パルス幅が100フェムト秒〜100ナノ秒であることが好ましい。
上記レーザー光Mの照射時間の好ましい下限は1分であり、好ましい上限は300分である。
上記レーザー光Mの照射時間が1分未満であると、得られるバナジウム酸化物微粒子の平均粒子径が大きく、不均一になることがある。
上記レーザー光Mの照射時間が300分を超えると、バナジウム酸化物微粒子の分解を引き起こすことがある。
上記レーザー光Mの照射時間のより好ましい下限は3分であり、より好ましい上限は200分であり、更に好ましい下限は5分であり、更に好ましい上限は150分である。
上記レーザー光Mを照射する際の原料液の液温は特に限定されないが、室温でも良いし、制御された一定の温度でも良い。レーザー光照射時の発熱による液温の上昇を抑える観点から、後者の方が望ましい。液温の好ましい上限は、用いた溶媒の種類や照射時の雰囲気にもよるが、通常50℃以下が好ましく、30℃以下が特に好ましい。また、液温の好ましい下限は特に限定されず、原料液の凝固点以上の温度であればよい。温度制御の難易度、設備のコスト等の観点から、−10℃が好適な下限温度である。
上記第一工程では、原料バナジウム酸化物と水を含有する溶媒とを含む原料液を不活性ガスで置換してもよい。
上記ガス置換は、レーザー光照射の前に行ってもよく、レーザー光照射工程の途中に行ってもよい。
ガス置換を行うことで、原料液中の溶存酸素が除去され、レーザー光照射過程でのバナジウム酸化物微粒子の酸化を抑制することができる。
上記ガス置換を行う時間は特に限定されないが、1〜120分間が好ましく、より好ましくは5〜60分間である。
また、上記ガス置換を行う際のガス流量は10〜1000ml/分が好ましい。
上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスや窒素が挙げられ、これらの混合ガスであってもよい。なかでも、酸素含有量を低減する観点とコストの観点からアルゴンを用いることが好ましい。
上記ガス置換の具体的な方法としては、上述した不活性ガスを直接導入する方法等が挙げられる。
また、上記ガス置換は、上記原料バナジウム酸化物を分散させた状態で行うことが好ましい。これにより、溶存酸素を効率よく除去することができる。
上記第一工程で得られるバナジウム酸化物微粒子の平均粒子径の好ましい上限は100nmである。
上記バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径が100nmを超えると、第二工程において、バナジウム酸化物微粒子が繊維化しないことがある。
上記バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径の好ましい下限は1nmであり、より好ましい上限は90nmであり、より好ましい下限は5nmであり、更に好ましい上限は70nmであり、更に好ましい下限は10nmであり、特に好ましい上限は50nmである。
上記バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径を調整することで、第二工程で得られる繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径を調整することができ、上記バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径が小さいほど、平均繊維直径が小さい繊維状バナジウム酸化物を得ることができる。
上記バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径は、例えば、粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP 380DLS)を用いて測定することができる。
上記バナジウム酸化物微粒子の粒子径のCV値は15%以下であることが好ましい。
上記バナジウム酸化物微粒子の粒子径のCV値が15%以下であると、バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径が均一であるため、第二工程において繊維化しやすくなる。上記バナジウム酸化物微粒子の粒子径のCV値のより好ましい上限は12%であり、更に好ましい上限は10%である。
粒子径のCV値(%)とは、標準偏差を平均粒子径で割った値を百分率で表したものであり、CV値が小さいほど粒子径のばらつきが小さいことを意味する。
平均粒子径及び標準偏差は、例えば、粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP 380DLS)を用いて測定することができる。
上記バナジウム酸化物微粒子の残留炭素量は15%以下であることが好ましい。上記バナジウム酸化物微粒子の残留炭素量が15%以下であることで、バナジウム酸化物微粒子同士が結着し易くなり、第二工程において繊維状バナジウム酸化物を形成することができる。上記バナジウム酸化物微粒子の残留炭素量のより好ましい上限は12%であり、更に好ましい上限は8%であり、特に好ましい上限は5%である。
上記残留炭素量は、例えば、炭素分析装置((株)堀場製作所製、EMIA−110)を用いて測定することができる。
上記第一工程について、模式図を用いて説明する。図2は、第一工程の一例を示す模式図であり、図3は第一工程の他の一例を示す模式図である。
図2及び3に示すように、液相レーザーアブレーション装置は、レーザー発振器100と、ミラー101と、処理容器102と、原料バナジウム酸化物103、水を含有する溶媒104と、スターラー台105、攪拌子106、ガスボンベ107とを備えるものである。なお、図2及び3中、符号Mはレーザー光を示す。
上記第一工程では、原料バナジウム酸化物103と水を含有する溶媒104とを含む原料液にレーザー光Mを照射する。具体的には、図2に示すように、レーザー発振器100から発生させたレーザー光Mをミラー101で反射させ、処理容器102内の原料バナジウム酸化物103に照射する。
なお、ミラー101を回転させることで、その反射面の角度を変えて、原料バナジウム酸化物103の同じ位置に繰り返し照射されないように、レーザー光Mの照射位置を移動させることもできる。
レーザー発振器100は、レーザー光Mを発生させることが可能なものであれば特に制限されず、例えば、YAGレーザー装置、エキシマレーザー装置によって構成されるものが挙げられ、中でも、YAGレーザー装置によって構成されるものが好ましい。
ミラー101は、特に制限されるものではなく、公知の反射板等(例えば鏡等)を適宜用いることができる。また、ミラー101は、ターゲットに対して、より均一にレーザー光を照射するという観点から、その反射面の角度を変えることができるように回転可能な状態にして利用することが好ましい。
処理容器102は、レーザー光Mを透過可能なものであれば特に限定されず、材質としては、石英、サファイア、又は、ガラス等が挙げられる。また、処理容器102の形状としては、例えば、コップ状の形状のもの、丸底フラスコ、ナス型のフラスコ、梨型フラスコ、試験管等を適宜使用することができる。処理容器102を温度制御可能な恒温槽の中に設置することにより、原料液の温度制御を行うことができる。
原料バナジウム酸化物103が粉末状、粒状状の場合は、図2のように原料バナジウム酸化物を溶媒の全体に分散すれば良く、板状、ペレット状の場合は、処理容器の内側面に配置すればよい。原料バナジウム酸化物103として、板状のものを用いる場合を図3に示す。原料バナジウム酸化物103は、処理容器の内側面に配置されている。
上記ガス置換は、例えば、処理容器102内の原料バナジウム酸化物103と水を含有する溶媒104とを含む原料液を、攪拌子106を用いて攪拌しながら、ガスボンベ107からガス管108を通じて不活性ガスを通気した後、排気口109を介して排出する方法を用いることができる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法は、上記バナジウム酸化物微粒子の分散液を熟成する第二工程を有する。図1に示すように、本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法では、第二工程において、分散液を熟成することで、バナジウム酸化物微粒子の繊維化を行う。
本発明において「熟成」とは、第一工程により得られたバナジウム酸化物微粒子分散液を所定の雰囲気で所定の時間放置又は攪拌することを意味する。この熟成工程により、混合液中に分散していた一個一個の単一粒子が結着して繊維化する。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法では、上記第二工程において、上記分散液を酸素を含有する気体の雰囲気下で1時間以上熟成する。熟成時間が1時間未満であると、上記第一工程で得られたバナジウム酸化物微粒子を繊維状にすることができない。
上記熟成時間の好ましい上限は、2週間であり、好ましい下限は1.5時間である。上記熟成時間を調整することで、得られる繊維状バナジウム酸化物の平均繊維長さを調整することができる。
上記熟成は、攪拌を行わず静置の状態で行ってもよいし、攪拌しながら行ってもよい。攪拌を行わず静置する場合、長い繊維を得ることができる。また、攪拌速度を変えることによって、得られる繊維状バナジウム酸化物の平均繊維長さを調整することができる。攪拌は、磁気攪拌子を用いて行ってもよいし、モーター付きの攪拌機を用いて行ってもよい。攪拌を行う場合の攪拌速度は、5〜500rpm/分であることが好ましい。
上記第二工程は、分散液の液温が−10℃〜100℃で行われることが好ましい。
上記第二工程における、分散液の液温が−10℃未満であると、繊維化する速度が遅く、均一な平均繊維直径の繊維化バナジウム酸化物が得られないことがあり、100℃を超えると、繊維化の速度が速く、繊維間の凝集や合一が生じやすいため、繊維化バナジウム酸化物の平均繊維長さが短くなることがある。
上記第二工程は、反応容器内の圧力が常圧〜10MPaで行われることが好ましい。
上記第二工程における、圧力が常圧未満であると、溶媒の揮発が生じやすく、均一な平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物が形成しにくいことがあり、10MPaを超えると、バナジウム酸化物微粒子の凝集や合一が生じ、繊維化しないことがある。なお、常圧とは86〜106kPaの圧力のことをいう。
上記第二工程は、酸素を含有する気体の雰囲気下で行う。
上記酸素を含有する気体としては、例えば、空気、酸素と窒素または酸素とアルゴンの混合気体等が挙げられる。混合気体における酸素の含有量は特に限定されないが、5%〜100%が好ましい。
上記第二工程を、酸素を含有する気体の雰囲気下で行うことで、バナジウム酸化物微粒子が五価まで酸化され、これにより、上記第一工程で得られたバナジウム酸化物微粒子が繊維化しやすくなる。
例えば、原料バナジウム酸化物が四価のバナジウム原子を含有するバナジウム酸化物の場合、第一工程のレーザー光照射後に形成されたバナジウム酸化物微粒子の価数はほとんどが四価であるが、本発明者らの検討より、四価のバナジウム原子を含有するバナジウム酸化物微粒子は繊維状になりにくい一方、上記第一工程により微粒子化し、上記第二工程で酸素を含有する気体と接触させると、四価のバナジウム原子を含有するバナジウム酸化物微粒子が容易に酸化され、同時に繊維化が進むことが明らかになった。
レーザー光照射により生成したバナジウム酸化物微粒子を熟成することで繊維化できる原因は必ずしもまだ明らかではないが、本発明に用いる液中レーザーアブレーション法は、従来の化学合成法に必要であった有機分散剤や表面保護剤の添加を必要とせず、得られるバナジウム酸化物微粒子の表面は、有機分散剤等に由来する不純物が付着しないため、残存炭素量が低く、より清浄的であり、より反応性に富む。その結果、粒子間の結着(融着や焼結)が起こりやすく、異方的に形状が形成され、繊維化すると推測される。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いることで、簡易な方法で、残留炭素量が少なく、所望の平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物を得ることができる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて得られる繊維状バナジウム酸化物も本発明の1つである。
本発明の繊維状バナジウム酸化物は、X線光電子分光法(XPS)を用いた測定において、全バナジウム原子に対する、五価のバナジウム原子の含有量が90モル%以上であることが好ましい。
上記全バナジウム原子に対する、五価のバナジウム原子の含有量が90モル%未満であると、繊維状の形状が形成されにくいことがある。また、電極材料に用いた場合に、電池性能の低下を招くことがある。
上記全バナジウム原子に対する、五価のバナジウム原子の含有量の好ましい上限は100モル%であり、より好ましい下限は95モル%であり、より好ましい上限は99モル%である。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径の好ましい下限は1nmであり、好ましい上限は、500nmである。本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径が1nm未満であると作製することが困難となり、500nmを超えると、繊維状バナジウム酸化物の表面積が小さくなるため、電極材料に用いた場合に、リチウムイオンの貯蔵性能が低下することがある。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径のより好ましい下限は5nmであり、より好ましい上限は、300nmであり、更に好ましい下限は10nmであり、更に好ましい上限は、200nmである。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維長さの好ましい下限は0.05μmであり、好ましい上限は、500μmである。本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維長さが0.05μm未満であると、繊維が細すぎて凝集しやすくなることがあり、500μmを超えると、電極材料に用いた場合に電池性能が低下することがある。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維長さのより好ましい下限は0.07μmであり、より好ましい上限は、450μmであり、更に好ましい下限は0.09μmであり、更に好ましい上限は、400μmである。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径及び平均繊維長さは、例えば、走査型電子顕微鏡(日立ハイテック社製、S−4800)を用いて測定することができる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物は、平均繊維直径が小さく、かつ、純度が高いことから、これを用いることによりリチウムの貯蔵性能に優れた電極材料を製造することができる。上記電極材料は、リチウムイオン電池等に用いることができる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物を用いて製造されるリチウムイオン電池用電極材料も本発明の1つである。本発明のリチウムイオン電池用電極材料としては、例えば、電極活物質、電極形成用スラリー、電極が挙げられる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物は、例えば、リチウムイオンをインタカレート(intercalate)して電極活物質とすることができる。
上記電極活物質は、本発明の繊維状バナジウム酸化物を単独で用いてもよいし、他の電極活物質と混合して用いてもよい。他の電極活物質と混合して用いる場合には、本発明の繊維状バナジウム酸化物は電極活物質全体に対して、5〜95質量%含まれることが好ましい。
上記電極活物質は、例えば、導電助剤、結合剤とともに分散媒に分散させることで電極形成用スラリーとすることができる。
上記導電助剤としては、例えばケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボン繊維等の導電性カーボン、銅、鉄、銀、ニッケル、パラジウム、金、白金、インジウム及びタングステン等の金属、酸化インジウム及び酸化スズ等の導電性金属酸化物等が挙げられる。
上記結合剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、アクリル系バインダ、SBR等のゴム系バインダ、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
上記分散媒としては、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
上記分散方法は、特に限定されないが、例えば、乳鉢、又は、ボールミル等を用いて、乾式混合、又は、湿式混合する方法が挙げられる。
上記電極形成用スラリーは、例えば、金属等の集電体に塗布し、溶媒を乾燥して除去することにより、電極とすることができる。
上記集電体としては、例えば、銅、金、アルミニウム若しくはそれらの合金又は導電性カーボンが挙げられる。
集電体に電極形成用スラリーを塗布する方法としては、例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、及び、ハケ塗り等の方法が挙げられる。
溶媒を乾燥する方法としては、特に制限されず、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線等の照射により乾燥する方法が挙げられる。
本発明によれば、簡易な方法で、残留炭素量が少なく、所望の平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物を得ることが可能な繊維状バナジウム酸化物の製造方法を提供することができる。該繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて製造した繊維状バナジウム酸化物を提供することができる。
本発明の繊維状バナジウム酸化物の製造方法の概要図である。 第一工程の一例を示す模式図である。 第一工程の他の一例を示す模式図である。 実施例1で得られた沈殿物を撮影したSEM写真である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(第一工程)
容積30mlのガラス製バイアル瓶に、原料バナジウム酸化物として、平均粒子径80μmの五酸化バナジウム(V)(バナジウム原子の価数:+5)粉末20mgを計量した後、溶媒として水20gを添加した。その後、原料液を攪拌しながら、空気雰囲気下で、レーザー発振器から発生したNd:YAGレーザー光(波長1064nm、パルス幅10nm、1パルス当たりのフルエンス:1500mJ/cm)で15分間照射し、懸濁液を得た。原料液の液温は20℃であった。
(第二工程)
得られた懸濁液を、空気雰囲気下、室温21℃で、2時間攪拌せずに静置し、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例2)
実施例1の(第二工程)において、熟成時間を48時間に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例3)
実施例1の(第二工程)において、熟成時間を72時間に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例4)
実施例1の(第二工程)において、熟成時間を96時間に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例5)
実施例1の(第一工程)において、原料バナジウム酸化物を板状の五酸化バナジウムに変更し、実施例1の(第二工程)において、熟成時間を48時間に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例6)
実施例1の(第一工程)において、レーザー光の波長を1064nmから532nmに変更し、実施例1の(第二工程)において、熟成時間を72時間に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例7)
実施例1の(第一工程)において、レーザー光の波長を1064nmから355nmに変更し、照射フルエンスを1500mJ/cmから60mJ/cmに変更し、実施例1の(第二工程)において、熟成時間を72時間に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例8)
(第一工程)
容積30mlのガラス製バイアル瓶に、原料バナジウム酸化物として、平均粒子径30μmの二酸化バナジウム(VO)(バナジウム原子の価数:+4)粉末20mgを計量した後、溶媒として水20gを添加した。その後、バイアル瓶のゴム栓をアルミキャップで封止し、密閉した。続いて、ゴム栓に注射針を挿入し、攪拌しながら、ガスボンベのアルゴンガスをバイアル瓶内に10分間導入することでガス置換を行った。その後、実施例1と同様にしてレーザー光照射を行い、懸濁液を得た。
(第二工程)
得られた懸濁液を、常圧、空気雰囲気下、室温22℃で、72時間攪拌せずに静置した。その後、実施例1と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例9)
実施例8の(第一工程)において、溶媒を水とアセトンの混合液(混合液全体に対する水の割合が55重量%)に変更した以外は実施例8と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例10)
実施例8の(第一工程)において、溶媒を水とアセトンの混合液(混合液全体に対する水の割合が90重量%)に変更し、実施例8の(第二工程)において、熟成時間を2時間に変更した以外は実施例8と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(実施例11)
実施例8の(第二工程)において、磁気攪拌子を用いて撹拌速度300rpm/分で攪拌
しながら熟成した以外は実施例8と同様にして、繊維状の沈殿物を得た。
(比較例1)
実施例1の(第二工程)において、熟成時間を0.5時間に変更した以外は実施例1と同様にした。繊維状の沈殿物は得られず、懸濁液のままであった。
(比較例2)
実施例1の(第一工程)において、レーザー光の照射フルエンスを1500mJ/cmから40mJ/cmに変更し、実施例1の(第二工程)において、熟成時間を48時間に変更した以外は実施例1と同様にした。溶液は、懸濁液とならず、繊維状の沈殿物も得られなかった。
(比較例3)
実施例8の(第一工程)において、溶媒をアセトンに変更した以外は実施例8と同様にした。繊維状の沈殿物は得られず、懸濁液のままであった。
(比較例4)
実施例8の(第一工程)において、溶媒を水とアセトンの混合液(混合液全体に対する水の割合が40重量%)に変更した以外は実施例8と同様にした。繊維状の沈殿物は得られず、懸濁液のままであった。
(比較例5)
(粉砕工程)
原料バナジウム酸化物として、平均粒子径80μmの五酸化バナジウム粉末1.0gと、溶媒として、ポリビニルピロリドン(PVP)0.05g及び純水40gと、ジルコニアビーズ(サイズ:50μm)120gをビーズミル用ベッセルに入れ、空気雰囲気下、室温22℃、回転数2000rpmで2時間粉砕した。ろ過によりジルコニアビーズを除去し、バナジウム酸化物微粒子の分散液を得た。
(熟成工程)
粉砕工程で得られた分散液を、実施例1の(第二工程)において、熟成時間を72時間に変更した以外は実施例1と同様にして熟成した。熟成後の分散液を電子顕微鏡で観察したところ、繊維状のものは観察されなかった。
(比較例6)
第一工程と第二工程の雰囲気を共にアルゴンとした以外は、実施例2と同様な方法で実験を行った。
(比較例7)
第一工程の雰囲気をアルゴンガス、第二工程の雰囲気を窒素ガスとした以外は、実施例2と同様な方法で実験を行った。
(評価)
実施例及び比較例の第一工程後に得られたバナジウム酸化物微粒子の平均粒子径、CV値、及び、残留炭素量、及び、第二工程後に得られた繊維状バナジウム酸化物の全バナジウム原子に対する五価のバナジウム原子の含有量、平均繊維直径、平均繊維長さ、及び、リチウムイオン電池の放電容量を以下の方法で測定し、結果を下記表1に示した。
(バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径)
実施例及び比較例の第一工程後に得られた懸濁液中の微粒子の平均粒子径を粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP 380DLS)を用いて測定した。
(バナジウム酸化物微粒子のCV値)
実施例及び比較例の第一工程後に得られた懸濁液中の微粒子の平均粒子径及び標準偏差を粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP 380DLS)用いて測定した。CV値(%)は、標準偏差を平均粒子径で割った値を百分率で表した。
(粒子表面の残留炭素量)
粒子表面の残留有機物量は、炭素分析装置((株)堀場製作所製、EMIA−110)を用いて測定した。
実施例及び比較例の第一工程後に得られた懸濁液を真空乾燥し、得られた粉末0.5gをセットしたアルミナ製燃焼ボートを管状炉に入れ、酸素ガスを流しながら700℃で30分間加熱処理し、有機成分を燃焼しガス化させた。ガス化した炭素量を赤外線吸収法により定量した。
(繊維状バナジウム酸化物の全バナジウム原子に対する五価のバナジウム原子の含有量)実施例で得られた沈殿物を真空乾燥した後に、得られた粉末を直径5mmのアルミキャップに入れ、加圧によってペレットを作製した。このペレットをアルバックファイ(株)製、PHI5000 VersaProbeを用いて、X線光電子分光法(XPS)により、バナジウム原子の2p電子(以下、V2pともいう。)の結合エネルギーを測定した。
V2p電子の結合エネルギーは、その価数が高くなるにつれてその結合エネルギーが高エネルギー側へシフトする。その結合エネルギーの値からバナジウム原子の価数が分かる。得られたV2pのスペクトルをカーブフィーティング(Curve fitting)することにより、各価数のバナジウム原子に対応したピークの面積を求めることができる。
五価のバナジウム原子の含有率(%)は、V2p全面積に対する五価のバナジウム原子のピークの面積の比で評価した。装置の検出感度は0.1%であった。バナジウム原子の価数が五価である場合のV2p3/2結合エネルギーは、516.5eV〜517.5eVである。
(繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径及び平均繊維長さ)
実施例及び比較例で得られた繊維状バナジウム酸化物の平均繊維直径及び平均繊維長さを走査型電子顕微鏡(日立ハイテック社製、S−4800)を用いて測定した。まず、実施例及び比較例で得られた沈殿物をSEMで撮影した。図4は、実施例1で得られた沈殿物を撮影したSEM写真である。図4に示すように、実施例1で得られた沈殿物は、繊維状であることが分かった。また、同様に実施例2〜11で得られた沈殿物は、繊維状であることが分かり、比較例1〜7で得られた沈殿物は、繊維状ではないことが分かった。次に、平均繊維直径及び平均繊維長さを測定するために、以下に示す手順で前処理をおこなった。実施例で得られた繊維状バナジウム酸化物20mgを5gの水に添加し、超音波槽(周波数28kHz)にて10分間超音波処理により、沈殿物を分散させた。次に、前処理後の沈殿物をSEMで撮影し、得られた画像から任意に5つの繊維状のバナジウム酸化物を選択し、スケールバーを用いて画像内の該繊維状のバナジウム酸化物の太さ及び長さを計測し、5つの太さの平均を平均繊維直径とし、5つの長さの平均を平均繊維長さとした。
(リチウムイオン電池の放電容量)
(正極活物質の作製)
実施例で得られた沈殿物及び比較例で得られた懸濁液又は分散液を真空乾燥した後に、得られた粉末1.0g、水溶性リチウム源として硫化リチウム(LiS)0.15g、有機導電性ポリマーのモノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェン0.5gを、50mlの純水中に懸濁した。
続いて、上記懸濁液を、攪拌しながら24時間加熱還流した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより黒色の固体を得た。黒色固体を100℃で真空乾燥し正極活物質を得た。
(電極形成用スラリーの作製)
得られた正極活物質、導電助剤として導電性粒子であるケッチェンブラック、結合剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、重量比90:5:5で混合した。上記混合物に分散媒としてn−メチルピロリドン(NMP)を添加し、ペイントシェーカー処理を行いスラリーペーストを作製した。
(正極の作製)
集電体としてアルミニウム板を用い、得られたスラリーペーストをアルミニウム板の両面に均一に塗布した後に、150℃でプレスしながら減圧乾燥し、20mm×20mmに切断して正極とした。
(リチウムイオン電池の作製)
負極として30mm×30mmに切断した金属リチウム板を用い、ポリオレフィン系微多孔膜よりなるセパレータを介して正極と負極とを対向させ、アルミラミネートの外装体に挿入した。外装体のラミネート一端より電解液(1M LiBF/EC:DEC=1:3混合溶媒)を注入することでリチウムイオン電池の単積層セルを作製した。
得られた単積層セルを用いて、充放電サイクル試験を行った。充電は0.1Cで4.2Vの定電流−定電圧(CC−CV)充電方式とし、放電は0.1Cの定電流(CC)放電方式とした。充放電を3回繰り返した後の値を放電容量(mAh/g)とした。
本発明によれば、簡易な方法で、残留炭素量が少なく、所望の平均繊維直径及び平均繊維長さの繊維状バナジウム酸化物を得ることが可能な繊維状バナジウム酸化物の製造方法を提供することができる。該繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて製造した繊維状バナジウム酸化物を提供することができる。
100 レーザー発振器
101 ミラー
102 処理容器
103 原料バナジウム酸化物
104 水を含有する溶媒
105 スターラー台
106 攪拌子
107 ガスボンベ
108 ガス管(In)
109 排気口

Claims (6)

  1. 原料バナジウム酸化物と水を含有する溶媒とを含む原料液に、レーザー光を照射し、バナジウム酸化物微粒子の分散液を調製する第一工程と、
    前記バナジウム酸化物微粒子の分散液を熟成する第二工程とを有し、
    前記第一工程において、前記レーザー光の1パルスあたりのフルエンスを50mJ/cm以上とし、
    前記第二工程において、前記分散液を酸素を含有する気体の雰囲気下で1時間以上熟成し、
    前記水を含有する溶媒は、溶媒全体に対する水の割合が50〜100重量%である
    ことを特徴とする繊維状バナジウム酸化物の製造方法。
  2. 原料バナジウム酸化物は、五酸化バナジウム(V)又は二酸化バナジウム(VO)であることを特徴とする請求項1記載の繊維状バナジウム酸化物の製造方法。
  3. バナジウム酸化物微粒子の平均粒子径は、100nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維状バナジウム酸化物の製造方法。
  4. 請求項1、2又は3記載の繊維状バナジウム酸化物の製造方法を用いて得られる繊維状バナジウム酸化物。
  5. X線光電子分光法(XPS)を用いた測定において、全バナジウム原子に対する、五価のバナジウム原子の含有量が90モル%以上であることを特徴とする請求項4記載の繊維状バナジウム酸化物。
  6. 請求項4又は5記載の繊維状バナジウム酸化物を用いて製造されることを特徴とするリチウムイオン電池用電極材料。
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