JP2015069876A - 導電性ペースト、金属薄膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加熱処理による焼成方法で導電性の金属薄膜を製造でき、かつ焼成温度を下げることが可能で、耐熱性を有しない基材にも広く適用することができる導電性ペーストを提供する。【解決手段】 導電性金属粉、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤および溶剤を含有する導電性ペースト、前記導電性ペーストを用いて塗膜を形成し、次いで該塗膜に加熱による焼成処理を行って金属薄膜を得る、金属薄膜の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、導電性金属粉、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤を含有する導電性ペーストと、その導電性ペーストを用いて形成した塗膜を過熱水蒸気による加熱焼成により製造する導電性に優れる金属薄膜に関する。
近年、金属微粒子分散体を含む導電性ペーストを用いてスクリーン印刷法などの印刷法により所望のパターンを形成し、回路基板における配線等を形成する技術が注目を集めている。
導電性ペーストにおいて、金属微粒子としての金属は、銀、銅、ニッケルが一般的に用いられる。銀は、高価であるだけでなく、耐マイグレーション性が悪いため回路の微細化要求が高い場合には重大な欠陥となりうる。ニッケルは導電性が劣る。銅は、安価で、耐マイグレーション性が良いために、導電性ペースト用の金属微粒子として優れた特性を発揮することが期待される。しかし銅は酸化されやすく、できた酸化物は導電性が悪い。導電性銅ペースト製造時や保存時、導電性銅ペーストから銅薄膜形成する際の加熱処理時および銅薄膜保存時に銅表面に形成される酸化層により、導電性が悪くなる。
銅微粒子を含有する導電性銅ペースト塗膜を還元性雰囲気にて処理する方法が開示されている。良く知られている水素ガス3%含有窒素ガス中での加熱処理(非特許文献1)のほかにも、いくつかの方法が開示されている。例えば、マイクロ波表面波プラズマ処理(特許文献1)では、処理できる塗膜の厚みが2μm以下に制限される。また、ガス状のギ酸および/又はホルムアルデヒドによる処理(特許文献2)では200℃以下の低温で処理できるが、ギ酸ガスおよびホルムアルデヒドガスの毒性や厚い塗膜での処理の困難性が懸念される。
高エネルギーのパルス光を照射して、基板の温度を上げずに、酸化銅を含有する塗膜のみを加熱して銅被膜を形成するフォトシンタリング法が開示されている。(たとえば、特許文献3)この方法では、室温で短時間に処理できる長所はあるが、照射装置が高価で、しかも基板を損傷しない条件が狭いという問題がある。
さらに、加熱時に加圧して焼成する方法が開示されている。例えば、特許文献4や特許文献5には、導電性微粒子の分散体を熱処理した後、加熱しつつ加圧して導電性膜を形成する方法が開示されている。これらの方法は、コスト的に有利であり、銀粒子では焼結が容易であるが、銅粒子の場合には、加熱加圧時に容易に酸化反応が進み、粒子表面の酸化被膜が焼結を阻害してしまうために、高い導電性を有する膜は得られない。
特許文献6では、銅粒子を含有する塗膜の直上に遮蔽物を配置して加熱加圧処理をして銅膜を得る方法が開示されている。この方法では、ある程度は外気中の酸素との反応を抑制できるが、限界があり、しかも遮蔽物がリサイクルできなければ、廃棄物の問題が生じる。
特許文献7には、導電粉に銅を使用した導電性ペーストを基材に塗布した後に過熱水蒸気処理をすることにより、大気中で焼成処理をするよりも低酸素状態で、また、空気よりも比熱容量が大きい水蒸気を使用することで、安全にかつ、短時間に加熱焼成することができるので、塗布した金属薄膜の比抵抗を下げることができるという技術が開示されている。
金属粒子の粒径を低減することによって、金属粒子間の焼成温度を金属バルクの融点に比べて大幅に下げることができることが知られている。金属微粒子の平均粒子径が数nm〜数10nm程度であるとき、バルクの金属よりも融点が著しく降下し、低い温度で粒子同士の融着が起こることを利用し、金属微粒子を低温で焼結させて導電性薄膜を得るものである。
銅粒子を含有する銅ペーストにおいて、銅微粒子の粒子径低減による融点低下を生じさせようとした場合、銅微粒子は酸化されやすく、粒径がナノサイズの銅ナノ粒子ではその傾向がさらに顕著となる、との問題に直面する。酸化された銅微粒子では著しく導電性が低下するため、導電性銅ペーストとして用いるためには、分散性を維持しながら酸化を抑制することが大きな課題となっている。
還元剤を含有する導電性銅ペーストの塗膜を窒素雰囲気下で焼成すれば、還元剤の作用により銅微粒子の酸化銅が還元され、銅微粒子同士が接触して融着し、その結果銅薄膜の導電性は向上する。しかし、導電性銅ペースト中に配合された還元剤は保存中に酸化されてしまう問題がある。常温では酸化に対して比較的安定なポリオールやカルボン酸などの弱還元剤を含有する導電性銅ペーストも報告されているが、還元効果には限界があった。(特許文献8)
中許ほか、「新規銅ナノ粒子ペーストによる電子回路形成」、MES2006第16回マイクロエレクトロニクスシンポジウム論文集、2006年10月、p.51
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、加熱処理による焼成方法で導電性の金属薄膜を製造でき、かつ焼成温度を下げることが可能で、耐熱性を有しない基材にも広く適用することができる導電性ペーストを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、
(1) 導電性金属粉、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤および溶剤を含有する導電性ペースト。
(2) 前記熱アルデヒド発生剤がポリアルデヒド類である、(1)に記載の導電性ペースト。
(3) 前記熱アルデヒド発生剤がポリ(フタルアルデヒド誘導体)および/またはポリ(2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド誘導体)である、(1)に記載の導電性ペースト。
(4) 更に熱酸発生剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性ペースト。
(5) 前記導電性金属粉が銅、銅酸化物、銅錯体のいずれか一種以上からなる金属粉を含有することを特徴とする請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性ペースト。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて塗膜を形成し、次いで該塗膜に加熱による焼成処理を行って金属薄膜を得る、金属薄膜の製造方法。
(7) 前記加熱による焼成処理が、過熱水蒸気雰囲気または不活性ガス雰囲気のもとで行われることを特徴とする、(6)に記載の金属薄膜の製造方法。
(8) (6)または(7)に記載の製造方法によって製造された金属薄膜。
すなわち本発明は、
(1) 導電性金属粉、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤および溶剤を含有する導電性ペースト。
(2) 前記熱アルデヒド発生剤がポリアルデヒド類である、(1)に記載の導電性ペースト。
(3) 前記熱アルデヒド発生剤がポリ(フタルアルデヒド誘導体)および/またはポリ(2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド誘導体)である、(1)に記載の導電性ペースト。
(4) 更に熱酸発生剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性ペースト。
(5) 前記導電性金属粉が銅、銅酸化物、銅錯体のいずれか一種以上からなる金属粉を含有することを特徴とする請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性ペースト。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて塗膜を形成し、次いで該塗膜に加熱による焼成処理を行って金属薄膜を得る、金属薄膜の製造方法。
(7) 前記加熱による焼成処理が、過熱水蒸気雰囲気または不活性ガス雰囲気のもとで行われることを特徴とする、(6)に記載の金属薄膜の製造方法。
(8) (6)または(7)に記載の製造方法によって製造された金属薄膜。
本発明の導電性ペーストにより、加熱処理による焼成において導電性が発現する温度を下げることができるので、耐熱性を有しない基材にも広く適用することが可能である。
本発明の導電性ペーストは導電性金属粉、溶剤、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤を必須成分として含有する。各成分の割合は、それぞれ導電性金属粉100重量部に対し以下のとおりである。溶剤の上限は好ましくは400重量部であり、より好ましくは350重量部であり、さらに好ましくは300重量部である。溶剤の下限は好ましくは20重量部であり、より好ましくは30重量部であり、さらに好ましくは50重量部である。樹脂バインダーの上限は15重量部であり、より好ましくは12重量部であり、さらに好ましくは10重量部である。樹脂バインダーの下限は好ましくは3重量部であり、より好ましくは2重量部であり、さらに好ましくは1重量部である。溶剤、樹脂バイダーの割合がこの範囲より少ないとうまく分散できない、焼成後の基材との密着性が悪くなる、などの不具合を生じる場合がある。これを超えると樹脂バインダーが焼成後に残存し、導電性が発現しないか、または電気抵抗が大きくなるなどの不具合を生じる場合がある。
本発明で使用する導電性金属粉としては、加熱処理によって金属粉間が融着するものでも、融着しないものでも、いずれも使用可能である。本発明で使用する導電性金属粉に用いられる金属の種類としては、銅、ニッケル、コバルト、銀、白金、金、モリブデン、チタン等が挙げることができ、特に銅が好ましい。また、本発明における金属ナノ粒子は、金属、金属酸化物、金属錯体および金属合金のいずれか一種以上からなる金属粉を含有するものであり、銅粉、銅酸化物粉、銅錯体粉のいずれかを一つ以上を含有する金属粉が特に好ましい。また、表面の一部または全部が金属、金属酸化物、金属錯体および金属合金で被覆された金属粉、異種の金属を積層した構造のもの、有機物あるいは無機物に金属めっきを施したものでもかまわない。これらの導電性金属粉は、市販品を用いてもよいし、公知の方法を用いて調製することも可能である。
本発明に用いられる導電性金属粉の平均粒径は5μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは800nm以下である。導電性金属粉の平均粒径が5μmより大きいと、分散体での金属粒子の沈降を生じたり、微細回路の印刷適性が劣ったりする。
本発明の導電性ペーストに用いられる導電性金属粉の平均粒径の下限は特に限定されないが、10nm以上であることが好ましい。10nm未満では導電性金属粉の経済性の制限や、安定な分散物を得るためには多量の分散媒を必要とするため、高導電性の金属薄膜を得ることが困難になる場合がある。本発明で用いる導電性金属粉は、異なる粒径の物を混合して使用してもかまわない。
本発明の導電性ペーストに使用される樹脂バインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドあるいはアクリル等が挙げられる。樹脂中にエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合等を有するものが、導電性金属粉の分散安定性から好ましい。さらに好ましくはポリエステル、またはポリエステルポリウレタンが好ましい。
ポリエステル、またはポリエステルポリウレタンを重合する際のモノマーの種類としては酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA) 、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(HPPA)、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸等が挙げられる。
共重合可能なグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステルポリウレタンの重合に使用出来るジイソシアネート成分としてはイソシアネート基を分子中に2個含有する公知の脂肪族、脂環族または芳香族の有機ポリイソシアネートが包含される。具体的には例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。とりわけ、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくは2,4−トリレンジイソシアネートまたはそれらを主成分とする混合物が好ましい。
本発明の導電性ペーストに用いられる熱アルデヒド発生剤とは、焼成時の温度で熱分解して還元力を有するアルデヒドを発生する、との効果を発揮するものである。熱分解により発生したアルデヒドにより、導電性金属粉表面および導電性金属粉表面中の金属酸化物が還元されて金属となり、導電性金属粉同士がより低い焼成温度でも接触して融着するようになる。しかも、熱アルデヒド発生剤自体は熱分解により消失するので、たとえ熱アルデヒド発生剤が絶縁性物質であったとしても、導電性ペーストで形成した塗膜の導電性に悪影響を与えない。その結果、熱アルデヒド発生剤が配合されていない導電性ペーストと比較して、導電性の向上および焼成温度の低下が達成できる。
本発明の導電性ペーストに用いられる熱アルデヒド発生剤の好ましい例として、各種のアルデヒドのホモポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。本発明において、各種のアルデヒドのホモポリマーおよびコポリマーをあわせて、ポリアルデヒド類と称することとする。したがって、アルデヒドがホルマリンの場合のポリアルデヒド類について例示すると、環状三量体であるトリオキサン、オリゴマーであるパラホルムアルデヒド、ポリマーであるポリオキシメチレンなどがこれに該当し、また、ホルマリンと他のアルデヒドとの共重合体もこれに該当する。
ポリ(フタルアルデヒド誘導体)およびポリ(2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド誘導体)はポリアルデヒド類の一種であり、本発明の導電性ペーストに用いられる熱アルデヒド発生剤として特に好ましい例である。アルデヒドは一般的に可逆的な平衡反応でアニオン重合またはカチオン重合し、ポリアルデヒド類を形成する。これらの多くは室温以下の天井温度を持つ。したがって、これらのポリマーは室温ではモノマーであるアルデヒドへ解重合する。しかし、ポリマー末端をアシル化やアルキル化して保護すると安定化される。脂肪族アルデヒドに基づくポリアルデヒドは、その高い結晶性のために溶剤に不溶である。フタルアルデヒド誘導体および2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド誘導体のようなある種の芳香族アルデヒドに基づくポリアルデドは、末端保護すると、200℃近くまで安定で、しかも汎用溶剤に溶解するので、本発明の導電性ペースト用の熱アルデヒド発生剤として特に好ましく、ポリフタルアルデヒドおよびポリ(2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド)が最も好ましい。
ポリ(フタルアルデヒド誘導体)は、フタルアルデヒド誘導体の低温でのアニオン重合またはカチオン重合により重合し、末端を無水酢酸などで保護して合成することができる。フタルアルデヒド誘導体としては、フタルアルデヒド、4−クロロフタルアルデヒド、4−ブロモフタルアルデヒド、4−トリメチルシリルフタルアルデヒドなどを挙げることができる。この中で、フタルアルデヒドが好ましい。フタルアルデヒド誘導体の一部を他のアルデヒド化合物に置き換えた共重合体も好ましい例として挙げられる。前記他のアルデヒド化合物の具体例としては、2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド、2―ニトロベンズアルデヒド、2,4―ジニトロベンズアルデヒド、3,5―ジニトロベンズアルデヒド、2−ニトロ−3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、3−ブロモ−5−ニトロベンズアルデヒド、3−クロロ−4−ニトロベンズアルデヒドなどを挙げることができる。
ポリアルデヒド類の製造は、対応するモノマーであるアルデヒドを低温にて種々の触媒の存在下で重合することにより公知の方法で行うことが出来る。このような重合は、塩化メチレン、トルエンまたはテトラヒドロフランのような溶剤中で通常行う。適当な触媒は、三フッ化ホウ素エーテル錯体、トリフェニルメチルテトラフルオロボレートおよび四塩化スズなどのカチオン重合触媒、ナトリウムナフタリド、ブチルリチウムおよび臭化フェニルマグネシウムなどのアニオン重合触媒、ならびに四塩化トリエチルアルミニウム/チタニウム、四塩化トリエチルアルミニウム/バナジウム、二塩化トリエチルアルミニウム/トリクロロバナデート、二塩化トリエチルアルミニウム/コバルトのような配位重合触媒である。反応時間は特に限定されないが、典型的には1〜48時間程度である。得られたポリマーは公知の方法で末端停止剤によりを保護することができる。
本発明の導電性ペーストに用いられる熱アルデヒド発生剤の添加量は、導電性金属粉に対して、0.2重量%〜10重量%が好ましく、1重量%〜5重量%がより好ましい。熱アルデヒド発生剤が多すぎると、未分解物や分解残渣が金属薄膜の導電性や基材との密着性に悪影響する。
熱アルデヒド発生剤の熱分解反応は酸により促進される傾向にある。また、ポリアルデヒド類の熱分解反応が酸により促進されることは知られている。導電性金属粉、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤および溶剤を含有する導電性ペーストに更に熱酸発生剤を配合すると、熱により酸が発生し、その触媒作用でポリアルデヒド類が熱分解を受け易くなり、還元力のあるアルデヒドの発生が促進される。このため、熱酸発生剤を配合していない場合よりも更に焼成温度を低くすることが期待できる。導電性ペーストの保存時と塗膜形成時には酸を発生せず、焼成時にのみ酸を発生する熱酸発生剤が望ましい。
本発明に用いられる熱酸発生剤としては、焼成時の温度で酸を生成するものであれば特に限定されない。導電性ペーストの保存時や塗膜形成時には酸を生成せず、焼成時の高温でのみ酸を生成する化合物が望ましい。具体的にはN−(4−メチルベンジル)−4’−ピリジニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなどのピリジニウム塩誘導体、ヒドラジニウム塩、ホスホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェートなどのスルホニウム塩、ホスホン酸エステル、シクロヘキシル(4−メチルフェニル)スルホネート、イソプロピル(4−メチルフェニル)スルホネートなどのスルホン酸エステル、1,2,4−トリメリット酸のプロピルビニルエーテルなどのカルボン酸のビニルエーテル付加物誘導体などが挙げられる。これらの中でも、特にピリジニウム塩誘導体、スルホニウム塩、スルホン酸エステル、カルボン酸のビニルエーテル付加物誘導体が好ましい。
熱酸発生剤の添加量は熱アルデヒド発生剤に対して、0.2重量%〜10重量%が好ましく、0.5重量%〜5重量%がより好ましい。熱酸発生剤の配合比率が高すぎると、未分解物や熱分解残渣が金属薄膜中に残留し、金属薄膜の導電性や基材との密着性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の導電性ペーストに使用される溶媒は、バインダー樹脂を溶解するものから選ばれ、有機化合物であっても水であってもよい。溶媒は、分散体中で金属微粒子を分散させる役割に加えて、分散体の粘度を調整する役割がある。溶媒として好適に用いられる有機溶媒の例として、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、アミド等が挙げられる。
本発明の導電性ペーストには、必要に応じ、硬化剤を配合しても良い。本発明に使用できる硬化剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化剤の使用量はバインダー樹脂の1〜100重量%の範囲が好ましい。
導電性金属粉をペースト中に分散させる方法としては、粉体を液体に分散させる一般的な方法を用いることができる。例えば、導電性金属粉とバインダー樹脂溶液、必要により追加の溶媒からなる混合物を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法等で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げたり樹脂の溶解性を上げたりするために、加熱して行ってもよい。必要により使用する還元剤は導電性金属粉の分散前、分散中、分散後の任意の段階で添加しても良い。
本発明の導電性ペーストから塗膜を形成するには、分散体を絶縁性基材に塗布あるいは印刷する場合に用いられる一般的な方法を用いることができる。例えばスクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、ロールコート法、ダイコート法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法等の方法によって導電性ペーストを塗布または印刷し、次いで風乾、加熱あるいは減圧等により溶媒の少なくとも一部を蒸発させることにより、塗膜を形成することができる。塗膜は絶縁性基材上に全面に設けられたものでも部分的に設けられたものでもよく、また導電回路等のパターン形成物でもかまわない。
本発明の金属薄膜の厚みは、電気抵抗や接着性等の必要特性にあわせて適宜設定することができ、特に限定されない。分散体組成や塗布または印刷の方法により、形成可能な導電性薄膜の厚みの範囲は異なるが、0.05〜40μmが好ましく、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.2〜10μmである。厚い金属薄膜を得るためには塗膜を厚くする必要があり、溶剤の残留による弊害や塗膜形成速度を低速化する必要が生じる等の経済性の悪化が起こりやすい。一方、塗膜が薄すぎると、ピンホールの発生が顕著になる傾向がある。
本発明の金属薄膜の形成に際し、重ね刷りや多層印刷を行なうことが可能である。ここで、重ね刷りとは、同じパターンを多数回重ねて印刷することを指し、これにより導電性薄膜の厚さを増すことができ、あるいはアスペクト比(膜厚と線幅の比)の高い導電性薄膜を得ることができる。また、多層印刷とは、異なるパターンを重ねて印刷することを指し、これにより層ごとに異なる機能を発揮させることができる。部分的に重ね刷りおよび/または多層印刷を行なうこと、また重ね刷りと多層印刷を複合的に行うことも差し支えない。また、本発明の導電性薄膜とは異なる薄膜、例えば絶縁層との多層印刷を行うことも可能である。
本発明の導電性ペーストから形成した塗膜を、加熱による焼成処理により金属薄膜を得ることができる。ただし、導電性金属粉が、酸素により酸化されやすい銅の場合には、不活性ガス下での加熱処理により焼成する必要がある。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、過熱水蒸気などが挙げられるが、過熱水蒸気が特に好ましい。
過熱水蒸気とは、飽和水蒸気に二次的なエネルギーを加えることによって数百度まで加熱した高温蒸気のことである。過熱水蒸気は同じ温度の空気と比べて約4倍の熱容量を持っており、過熱水蒸気を用いて加熱すると短時間で物質を加熱することが知られている。本発明の導電性ペーストを用いて形成された塗膜は、乾燥処理を行った後に過熱水蒸気による焼成を行うことが好ましいい。好ましい乾燥温度は60℃〜120℃で、乾燥時間は3分〜20分である。乾燥処理と過熱水蒸気による焼成は連続して行っても、他の工程を介して行ってもよい。塗布後、乾燥工程無しで、過熱水蒸気による焼成を行うと突沸が起こりやすく好ましくない。乾燥処理と過熱蒸気処理は連続して行っても、間に他の処理を挟んで行ってもよい。乾燥処理と過熱水蒸気処理の間に挟む処理としては、例えば塗膜に還元剤を付与する処理を挙げることができる。この場合、塗膜には予め還元剤が含有されていても含有されていなくてもよく、含有されている場合には同種のもの、異種のものおよび同種のものと異種のものの混合物のいずれとすることも可能である。塗膜に還元剤を付与する処理により、塗膜の体積抵抗率の低下、過熱処理温度の低下、過熱処理時間の短縮、といった効果が発揮される場合がある。
過熱水蒸気にメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールを含有させると、導電性の向上が見られる場合がある。アルコール化合物を含有する過熱水蒸気を作る方法は、水にアルコール化合物を溶解させた溶液の飽和蒸気を加熱する方法、アルコール化合物と水、夫々の飽和蒸気を混合加熱する方法が挙げられる。過熱水蒸気中のアルコール化合物の含有率は化合物の種類により最適範囲は異なるが、0.01〜20重量%の範囲で用いる。アルコール化合物の含有率が0.01重量%未満では導電性改善効果が見られず、20重量%を超えるとバインダー樹脂の溶解や分解が顕著に起こることがある。好ましい範囲は0.1〜5重量%である。
本発明で用いる過熱水蒸気の温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、特に200℃以上が好ましい。過熱水蒸気温度の上限は用いる絶縁性基材やバインダー樹脂の耐熱特性等から決まるが、400℃以下が好ましい。加熱時間も被処理物の量や特性から選ばれるが、10秒〜30分間が好ましい。過熱水蒸気の温度が低すぎると、低比抵抗の導電層を得ることができない。過熱水蒸気の温度が高すぎると、バインダー樹脂の大半または全てが除去され、導電性薄膜と絶縁性基材の密着性が損なわれることがあり、また、絶縁性基材の劣化が生じる場合があり、特に有機材料からなる絶縁性基材を用いる場合には注意が必要である。
本発明の導電性ペーストで導電性金属粉に銅粉を使用する場合、銅粉表面は空気中で酸化されやすいので、薄膜層には、防錆処理が施すことができる。好ましい防錆処理方法としては、金属薄膜層の表面に銅に対して吸着能力のある有機化合物あるいは無機化合物の吸着層を設ける方法を挙げることができる。ここで、金属薄膜層に含まれる導電性金属粉が相互に融着していない導電性金属粉を含有する場合には、前記吸着層は個々の導電性金属粉の表面に形成されることが好ましい。また別の好ましい防錆処理方法としては、防水性のある絶縁樹脂層を金属薄膜層上に設ける方法を挙げることができる。金属薄膜層の表面に有機化合物あるいは無機化合物の吸着層を設け、さらに絶縁樹脂層で被覆する方法は、本発明の好ましい実施態様の一例である。
本発明における金属薄膜層の表面に吸着層を形成できる有機化合物あるいは無機化合物(以下、表面処理剤と称する場合がある)としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、テトラゾール等の含窒素複素環化合物、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、チオフェノール、トリアジンジチオール等の含硫黄化合物、オクチルアミン、イソブチルアミン等のアミノ化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロメート処理剤等が挙げられる。表面処理剤を溶解した処理剤に金属薄膜を浸漬する、あるいは処理剤を金属薄膜に塗布することで、吸着層の形成がなされる。表面処理剤層の厚みが増すと導電性の低下や接着加工性の悪化を起こす場合があるので、表面処理層の厚みは0.05μm以下の薄層とすることが望ましい。表面処理剤層を薄層にする方法としては、処理液の濃度を下げる、表面処理剤を溶解する溶剤で余分の表面処理剤を除去する等が挙げられる。
本発明における金属薄膜層上に設ける防水性のある絶縁樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の一種以上で金属薄膜層を被覆することにより防錆効果が発揮できる。防水性のある絶縁樹脂で導電性薄膜層を被覆する方法は特に限定されないが、樹脂溶液を金属薄膜層に塗布または印刷し次いで溶媒を揮散させる方法、樹脂フィルムに接着剤を塗布して導電性薄膜層に貼り合わせる方法を、好ましい方法として例示することができる。接着剤付きのポリイミドフィルムあるいはポリエステルフィルムを貼り合わせることは、特に好ましい実施態様の例である。絶縁樹脂層の厚みは1〜30μmが望ましい。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
1.分子量の測定
GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
2.電気抵抗率(比抵抗)の測定
電気抵抗率は、低抵抗率計(商品名:ロレスタ−CP、三菱化学製)および四探針プローブ(NSCPプローブ)を用いた四端子法で測定した。
電気抵抗率は、低抵抗率計(商品名:ロレスタ−CP、三菱化学製)および四探針プローブ(NSCPプローブ)を用いた四端子法で測定した。
3.密着性の評価
ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)「CT405AP−15」の1cm幅のものを使用し、金属薄膜面にその接着テープを5cm長貼り付け、剥がした際に金属薄膜面が損傷を受けているかどうか、目視観察により判断した。金属薄膜に剥がれ、浮き、亀裂等の何らかの損傷が認められた場合には×、損傷が認められなかった場合には○と判定した。
ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)「CT405AP−15」の1cm幅のものを使用し、金属薄膜面にその接着テープを5cm長貼り付け、剥がした際に金属薄膜面が損傷を受けているかどうか、目視観察により判断した。金属薄膜に剥がれ、浮き、亀裂等の何らかの損傷が認められた場合には×、損傷が認められなかった場合には○と判定した。
参考例1 ポリフタルアルデヒドの調製
2gのフタルアルデヒドを25gの乾燥塩化メチレンにアンプル中で溶解し、高真空下で凍結と融解を繰り返すことにより、酸素を除去した。次いで、カチオン重合開始剤であるボロントリフオライドジエチルエーテレート(BF3OET2)をフタルアルデヒドに対して0.5モル%加え、−78℃にてカチオン重合を行った。36時間後、あらかじめ冷却しておいた無水酢酸とピリジンの混合物を重合系に添加することによって反応を停止させ、末端保護したポリフタルアルデヒドを得た。以上の一連の反応は、ブレークシール法により実施した。反応液をメタノール中に再沈し、ろ取後に室温で真空乾燥して、白色粉末状のポリフタルアルデヒドを得た。収率は80%であった。得られたポリフタルアルデヒドの数平均分子量は57000であった。
2gのフタルアルデヒドを25gの乾燥塩化メチレンにアンプル中で溶解し、高真空下で凍結と融解を繰り返すことにより、酸素を除去した。次いで、カチオン重合開始剤であるボロントリフオライドジエチルエーテレート(BF3OET2)をフタルアルデヒドに対して0.5モル%加え、−78℃にてカチオン重合を行った。36時間後、あらかじめ冷却しておいた無水酢酸とピリジンの混合物を重合系に添加することによって反応を停止させ、末端保護したポリフタルアルデヒドを得た。以上の一連の反応は、ブレークシール法により実施した。反応液をメタノール中に再沈し、ろ取後に室温で真空乾燥して、白色粉末状のポリフタルアルデヒドを得た。収率は80%であった。得られたポリフタルアルデヒドの数平均分子量は57000であった。
実施例1
下記割合の組成物を3本ロールミルで分散し、導電性ペースト1を得た。
バインダー樹脂の溶液 2.5部
共重合ポリエステル1の35重量%n−ブチルカルビトールアセテート溶液
なお、共重合ポリエステル1は、テレフタル酸/イソフタル酸/セバシン酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/20/30//70/30(モル比)、数平均分子量15000の共重合ポリエステルである。
銅微粒子 20部
RCA−16、DOWAエレクトロニクス株式会社製、平均粒径0.8μm)
熱塩基発生剤 0.03部
N−(イソプロポキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペラジン
熱アルデヒド発生剤 1部
参考例1で得られたポリフタルアルデヒド
溶剤 4部
エチルカルビトールアセテート
次に、スクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に乾燥後の厚みが10μmになるように導電性ペースト1を印刷し、80℃で5分熱風乾燥し、金属薄膜積層体1Aを得た。更に、金属薄膜積層体1Aの9枚について、150、180、200、230、250、270、300、320、350℃で10分間の過熱水蒸気による焼成処理を行い、9種の焼成温度の異なる金属薄膜積層体1Bを得た。過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10kg/時間の過熱水蒸気を供給する熱処理炉で行った。焼成温度の増加とともに金属薄膜積層体の比抵抗は減少する。金属薄膜積層体1Bについて、各処理温度での比抵抗をプロットし、比抵抗50μ(Ω×cm)を発現し始める温度(導電性発現焼成温度)および接着力を評価した。評価結果を表1に示した。
下記割合の組成物を3本ロールミルで分散し、導電性ペースト1を得た。
バインダー樹脂の溶液 2.5部
共重合ポリエステル1の35重量%n−ブチルカルビトールアセテート溶液
なお、共重合ポリエステル1は、テレフタル酸/イソフタル酸/セバシン酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/20/30//70/30(モル比)、数平均分子量15000の共重合ポリエステルである。
銅微粒子 20部
RCA−16、DOWAエレクトロニクス株式会社製、平均粒径0.8μm)
熱塩基発生剤 0.03部
N−(イソプロポキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペラジン
熱アルデヒド発生剤 1部
参考例1で得られたポリフタルアルデヒド
溶剤 4部
エチルカルビトールアセテート
次に、スクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に乾燥後の厚みが10μmになるように導電性ペースト1を印刷し、80℃で5分熱風乾燥し、金属薄膜積層体1Aを得た。更に、金属薄膜積層体1Aの9枚について、150、180、200、230、250、270、300、320、350℃で10分間の過熱水蒸気による焼成処理を行い、9種の焼成温度の異なる金属薄膜積層体1Bを得た。過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10kg/時間の過熱水蒸気を供給する熱処理炉で行った。焼成温度の増加とともに金属薄膜積層体の比抵抗は減少する。金属薄膜積層体1Bについて、各処理温度での比抵抗をプロットし、比抵抗50μ(Ω×cm)を発現し始める温度(導電性発現焼成温度)および接着力を評価した。評価結果を表1に示した。
実施例2
実施例1に記載の組成物にさらに0.01部のN−(4−メチルベンジル)4’−ピリジニウムヘキサフルオロアルセネート(熱酸発生剤)を配合して導電性ペースト2を調製した。次いで、実施例1と同様にして、但し、導電性ペースト1の代わりに導電性ペースト2を用いて、金属薄膜積層体2A、金属薄膜積層体2Bを作成し、評価した。評価結果を表1に示した。
実施例1に記載の組成物にさらに0.01部のN−(4−メチルベンジル)4’−ピリジニウムヘキサフルオロアルセネート(熱酸発生剤)を配合して導電性ペースト2を調製した。次いで、実施例1と同様にして、但し、導電性ペースト1の代わりに導電性ペースト2を用いて、金属薄膜積層体2A、金属薄膜積層体2Bを作成し、評価した。評価結果を表1に示した。
実施例3
実施例2において、N−(4−メチルベンジル)4’−ピリジニウムヘキサフルオロアルセネートをジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートに代え、それ以外は同様にして、導電性ペースト3、金属薄膜積層体3A、金属薄膜積層体3Bを作成、評価した。評価結果を表1に示した。
実施例2において、N−(4−メチルベンジル)4’−ピリジニウムヘキサフルオロアルセネートをジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートに代え、それ以外は同様にして、導電性ペースト3、金属薄膜積層体3A、金属薄膜積層体3Bを作成、評価した。評価結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において、ポリフタルアルデヒドを配合しないほかは同様にして、導電性ペースト4、金属薄膜積層体4A、金属薄膜積層体4Bを作成、評価した。評価結果を表1に示した。
実施例1において、ポリフタルアルデヒドを配合しないほかは同様にして、導電性ペースト4、金属薄膜積層体4A、金属薄膜積層体4Bを作成、評価した。評価結果を表1に示した。
実施例1〜3と比較例1との対比より、本発明の導電性ペーストでは、過熱水蒸気処理による焼成において、より低い焼成温度で導電性が発現することが分かる。また、実施例1と実施例2、3の対比より、熱酸発生剤を配合することにより、更に焼成温度を低下させることができることが分かる。
実施例4〜6、比較例2
実施例1〜3および比較例1と同様にして、但し、過熱水蒸気による焼成処理の代わりに窒素雰囲気下での加熱による焼成処理を実施して、実施例4〜6および比較例2とした。評価結果を表2に示した。
実施例1〜3および比較例1と同様にして、但し、過熱水蒸気による焼成処理の代わりに窒素雰囲気下での加熱による焼成処理を実施して、実施例4〜6および比較例2とした。評価結果を表2に示した。
実施例4〜6と比較例2との対比より、本発明の導電性ペーストでは、窒素雰囲気下での加熱による焼成処理において、より低い焼成温度で導電性が発現することが分かる。また、実施例4と実施例5、6の対比より、熱酸発生剤を配合することにより、更に焼成温度を低下させることができることが分かる。
本発明により、加熱処理で導電性金属薄膜を作製する方法において、従来よりも低温で焼成することができ、所定の比抵抗値を有する金属薄膜を形成することができる。また、絶縁性基材との接着力も有することから、フレキシブルな絶縁性基材に使用しても、経時変化で絶縁性基材からの剥がれや浮きなどの問題が発生しにくい。本発明の金属薄膜は、金属/樹脂積層体、電磁シールド金属薄膜等の金属薄膜形成材料、めっき用導電層、金属配線材料、導電材料等として有用であり、導電性回路、アンテナ、電磁波シールド体、電極等に応用することができる。
Claims (8)
- 導電性金属粉、樹脂バインダー、熱アルデヒド発生剤および溶剤を含有する導電性ペースト。
- 前記熱アルデヒド発生剤がポリアルデヒド類である、請求項1に記載の導電性ペースト。
- 前記熱アルデヒド発生剤がポリ(フタルアルデヒド誘導体)および/またはポリ(2−ホルミルフェニルアセトアルデヒド誘導体)である、請求項1に記載の導電性ペースト。
- 更に熱酸発生剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 前記導電性金属粉が銅、銅酸化物、銅錯体のいずれか一種以上からなる金属粉を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて塗膜を形成し、次いで該塗膜に加熱による焼成処理を行って金属薄膜を得る、金属薄膜の製造方法。
- 前記加熱による焼成処理が、過熱水蒸気雰囲気または不活性ガス雰囲気のもとで行われることを特徴とする、請求項6に記載の金属薄膜の製造方法。
- 請求項6または7に記載の製造方法によって製造された金属薄膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013204075A JP2015069876A (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 導電性ペースト、金属薄膜及びその製造方法 |
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- 2013-09-30 JP JP2013204075A patent/JP2015069876A/ja active Pending
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