JP2015069826A - プラズマ発生電極およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマの発生による熱を利用して切断、溶射、溶融や溶接などを行う際に使用するプラズマ発生電極を長寿命化する。
【解決手段】電極先端部(プラズマ発生部)にタングステン材を使用し、そのタングステン材をNd2O3、Sm2O3、Gd2O3を0.5〜4体積%含む材料とし、タングステン材と熱伝導率の高い台金とを一体構造とする。タングステン部と台金の接合は埋設固着にて行なう。プラズマ発生温度が従来のトリエーテッドタングステンよりも低く、冷却効率に優れるために使用中の蒸発量が少ない、寿命の長いプラズマ発生電極が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】電極先端部(プラズマ発生部)にタングステン材を使用し、そのタングステン材をNd2O3、Sm2O3、Gd2O3を0.5〜4体積%含む材料とし、タングステン材と熱伝導率の高い台金とを一体構造とする。タングステン部と台金の接合は埋設固着にて行なう。プラズマ発生温度が従来のトリエーテッドタングステンよりも低く、冷却効率に優れるために使用中の蒸発量が少ない、寿命の長いプラズマ発生電極が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、通電によりプラズマを発生させるプラズマ電極に関する。
一対の電極間に高い電圧をかけて放電させ高温とし、そこに存在するガスを電離させプラズマ状態とすることが知られている。
このプラズマが発生する熱は、主として金属材の溶接、切断、加熱、溶射、溶融や蒸発、プラズマ表面処理などに利用できる。
通電によりプラズマを発生させる電極は(以後「プラズマ電極」、または、単に「電極」とも記載する)これまでに多く提案されている。
プラズマ電極は高温に晒されるために、融点の高い金属であるタングステン(W)が多用されている。単体のタングステンと並んで、タングステン中に添加物を加えた電極も現在まで多く知られている。
従来、プラズマ用タングステン電極は、タングステン中にトリウム(Th)の酸化物(ThO2)を分散させた、酸化トリウム−タングステン材料(トリエーテッドタングステン)が最も多く使用されていた。トリエーテッドタングステン電極は、タングステン単体と比較して酸化トリウムの仕事関数が低く、放電しやすいために、プラズマを発生させるのに必要なエネルギーが小さくて済み、より低温でプラズマを発生させることができる。この酸化トリウム−タングステン材料は、添加物を有さないタングステンと比較してより低温でプラズマ電極として機能し、溶融や蒸発による電極の消耗を小さくでき、寿命を延ばすことができるためにプラズマ放電電極として優れている。ところが、トリウムは放射性元素であるために、近年製造、運搬や使用に、強い規制がかかるようになっている。
そこで、酸化トリウム−タングステン材料以外の様々なタングステン材料が、それを代替するために提案されている。
特許文献1には、タングステンにSm、Nd、GdおよびLaから選択する平均粒子径が2.5μm以下の酸化物を含むタングステン材料が開示されている。これらの酸化物は仕事関数が低く、放電灯やTIG電極として有用とであるとの記載がある。
特許文献2にはThを含まないタングステン材料に、少なくとも炭化物と希土類酸化物が分散した陰極材料が開示されている。炭化物がランプ使用温度で炭素をタングステン中に拡散し、希土類酸化物を還元することにより、希土類元素の金属表面への拡散が促進されて、放電特性が向上するとの記載がある。
特許文献3にはプラズマアーク発生用電極として、銅電極ホルダーの先端部に、タングステンチップをフラッシュバット接合したプラズマアーク発生用電極が開示されている。従来のように両者を銀ロウ、抵抗溶接や摩擦圧接で接合した場合の、短時間で接合部が欠損するという欠点を解消できるとの記載がある。
特許文献4には溶鋼を加熱するためのプラズマトーチが提案されている。このプラズマトーチはタングステン、または、タングステンと銅の複合材料で先端部を作製し、先端部を薄い中空構造にして、中空部分に冷却水を循環させる構造である。溶綱の加熱に用いる電極が熱やスプラッシュによって溶損や磨耗するのを制御し、長寿命化が計れると記載がある。
特許文献5にはホウ化ランタンを1〜2重量%含有するタングステン材料が開示されている。プラズマ溶解精錬用電極、タンディッシュ用プラズマ電極、プラズマ溶射用電極などに使用でき、過酷な放電条件において酸化トリウム−タングステン材料よりも良好な点個性と体消耗性を有するとの記載がある。
特許文献6には、タングステン部材を中間層なしに直接タングステンよりも熱膨張係数の大きい基材(例えば、CuやNi)に圧入接合した接合電極が開示されている。この構造とすることにより、高温での使用時に両者が分離しない電極とできることが記載されている。
本発明は、高熱を発するプラズマ電極について、発する熱量を十分に上げた際にも使用でき、なおかつ長寿命を有するプラズマ電極を得ることである。
特許文献1の技術は、タングステン材にSm、Gd、Laなどの仕事関数が低い粒子を分散させることにより、放電灯の電極やTIG電極として優れた特性を示すことが記載されているが、プラズマを発生する電極としての記載はなく、プラズマ電極にどのような形態で使用するかについての記載も示唆もない。
特許文献2の技術は、プラズマ切断電極の負極として記載された例があるが、炭化物の添加により電極の消耗が増加し、電流値を従来の電極よりも著しく高くするには不向きである。また、特許文献1と同様に、プラズマを発生する電極としての記載はなく、プラズマ電極にどのような形態で使用するかについての記載もない。
特許文献3の技術では、銅のホルダーとタングステンチップがフラッシュバット溶接により接合されているために、両者の接合は単純な平面同士やそれに類似した形状(例えば表面に凹凸を有する面的な形状)で行うことが前提であり、形状の自由度が低い。また、タングステン以外にどのようなプラズマ電極に適した添加物を添加するかについての情報が無く、最適な電極が常に得られるとは限らない。
特許文献4の技術には、タングステンまたはタングステンと銅の複合材料によるプラズマトーチが開示されているが、プラズマ用途としてタングステンに対する適切な添加物については述べられていない。また、トーチ部分がタングステンまたはタングステンと銅の複合材料と記載されているが、タングステンのみでは熱伝導率が十分高くないために、トーチの先端部分を極めて薄くする必要が生じ、製造が難しくなり、形状も限定される。また、先端部分を厚くできないために、寿命を十分に伸ばすことができない。一方、タングステンと銅の複合材料を用いた場合は、プラズマ加熱により融点の低い銅が蒸発しやすい状態になり、やはり十分に寿命を延ばすことは難しい。
特許文献5の技術は、タングステンに対してホウ化ランタンを1〜2重量%含有すると記載されているが、ランタンのホウ化物は希土類酸化物の中でも特に仕事関数が低いわけではなく、その効果も十分ではない。また、電極を棒状とし、その先端部分を尖らせる方法が記載されているが、この形態では冷却を十分に行なうことができず、プラズマ発生中のタングステンは温度に応じて速い速度にて蒸発するために、電極寿命を上げることは困難である。
特許文献6の技術は、熱伝導率が高いCuやNiと、タングステンの先端部を組合せることで高い熱膨張を期待した技術であるが、圧入により得られる銅とタングステンの界面での熱伝導率は大きくない。そのために、プラズマを発生させる際に電極に十分大きな電流をかけることにより、電極表面付近の熱を十分にCuやNi側に逃がすことが難しい。そのために、電極表面付近のタングステンが蒸発しやすい状態となり、十分な寿命を得るのは難しい。
本発明は、上に挙げたいずれの文献に挙げられた技術をもってして得られなかった、以下の特性を有するプラズマ電極を得ることが目的である。
1.タングステンに、プラズマ電極として最適な添加物を添加することにより、比較的低温、低電力で使用できるプラズマ電極を得ること
2.電極先端部のタングステンが晒される熱を、効率的に逃がす、熱伝導率の高い部材と一体化した構造を有すること
3.熱伝導率の高い部材とタングステン分との界面における熱伝導率を高めること
4.放射線を発する元素を含有しておらず、十分な特性を有する電極を得ること
1.タングステンに、プラズマ電極として最適な添加物を添加することにより、比較的低温、低電力で使用できるプラズマ電極を得ること
2.電極先端部のタングステンが晒される熱を、効率的に逃がす、熱伝導率の高い部材と一体化した構造を有すること
3.熱伝導率の高い部材とタングステン分との界面における熱伝導率を高めること
4.放射線を発する元素を含有しておらず、十分な特性を有する電極を得ること
本発明のプラズマ電極は、プラズマを発生する先端部をタングステン材で構成する。このタングステン材は、タングステンに仕事関数の低い添加物を添加して、プラズマ発生効率を高めた材料である。
仕事関数の低い添加物としては希土類元素であるSm、NdおよびGdのうちの1種または複数の酸化物を合計で0.5〜4体積%含むのが適当である。残部はタングステンであるが、タングステン中に10〜数百ppm程度のKなどのドープ材を含んだタングステンでもよい。
これらの酸化物は仕事関数が低く、添加によりタングステン材の仕事関数を下げることができる。仕事関数が低いためにプラズマ発生がより低い電力にて起こるために、溶融や蒸発による電極の消耗を低くすることができる。また、高温での化学的な安定性が高い。
前記タングステン材で電極の先端部を構成する。タングステンの熱伝導率は約150(W/m・K)と、金属の中でも高いほうであるが、プラズマ電極では電極表面部分の温度が著しく高く上昇するために、大きな熱量を表面から速やかに逃がす工夫が必要となる。このために、本発明の電極は、タングステンよりも更に熱伝導率の高い銅、銅合金、銀または銀合金と一体的に接合した構造を有する。純銅及び純銀の熱伝導率は400〜430(W/m・K)である。この熱伝導率の高い部分を「電極の台金部」または単に「台金」と表現する。両者の接合で、最も気をつける必要があるのが両者の接合率である。接合率はタングステン部と台金の接合が完全である(隙間が全く無い)状態を100%として、実際に接合されている割合を示すものである。ロウ付けや、フラッシュバット溶接などの溶接方法は、この接合率が高くても80%程度であり、完全に接合しているとは言いがたい。また、平面同士の接合には適しているが、曲面や段差のある形状の接合には適していない。そのために、タングステン部表面の熱を逃がす働きが十分でなく、タングステンの蒸発の抑制が十分でない。本発明におけるタングステン部と台金の接合は埋設固着(鋳ぐるみ、鋳包み)とも呼ばれる、極めて接合率が高い方法を用いており、従来の電極よりも熱を逃がしやすい。埋設固着によるタングステン部と台金部の接合率は非常に高い。台金の熱伝導率は高いほど好ましく、300(W/m・K)以上が好ましく、350(W/m・K)以上がより好ましい。
埋設固着とは、融点の高い部材(ここではタングステン部)と低融点の金属(ここでは抵抗溶接用電極の台金部として使う材料)とを昇温し、溶融した低融点の金属が融点の高い部材表面の一部または全部と接触した状態とし、そのまま降温して融点の高い部材と固化した低融点金属を一体化する方法である。この接合方法は、接合率が非常に高いことが特徴であり、適切な条件で行なえばほぼ100%であり、低くてもおよそ98%以上である。
台金には冷却水が流れる冷却水通路を有するほうがよい。冷却水を用いて十分な冷却を行なうことにより、タングステン部表面の過熱を小さく留めることができ、その結果としてタングステン材の蒸発による消耗を抑えることができる。
冷却水の通る通路は、図1(1)に模式図を示すように、タングステン部と台金部にまたがって構成されていてもよいが、タングステン部と台金との熱膨張差による剥離が起こる可能性があるために、図1(2)に模式図を示すような台金のみに冷却水が流れる構造がより望ましい。
本発明は以下の効果を有する。
まず、Thなどの放射線元素を用いていないために、放射線による人体や設備の電子機器などへの悪影響を考慮する必要がなくなった。
次に、電極先端のタングステン部分の冷却が効率的に行なわれるために、比較的低い温度での使用が可能となり、電極表面のタングステンの蒸発を抑えることができ、電極寿命を長くすることが可能となった。
さらに、仕事関数の低く高温での安定性の高い添加物を添加しているために、プラズマの発生効率が上がり、エネルギー効率が向上した。
本発明のプラズマ電極は以下の方法にて製造、使用できる。
電極はタングステン部と台金部を有する。
まずタングステン部の製法について述べる。
粉末状のタングステンに添加物を添加する。タングステン粉末は純度の高いものが望ましく、99.9重量%以上の粉末がよい。粒子径については、比較的安価で入手しやすい平均粒子径が0.5〜15μm程度の粉末を使うのが一般的である。このタングステン粉末に添加物を粉末または溶液状態で添加する。添加するのは添加物の量に対して50体積%以上のSm、Nd、Gdのうちいずれか1種または複数の酸化物である。残部は周期律表の4a〜6aの金属炭化物、金属窒化物、炭窒化物、K(カリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)を添加してよい。添加物はSm、Nd、Gdの酸化物のみでもよい。添加物の合計配合量は0.5〜5体積%の割合とし、残部はタングステンである。Sm、Nd、Gdの酸化物は仕事関数が低く、これらを炭化することにより炭化タングステン材の仕事関数の値が、タングステン単体に対して大きく下がる。また、炭化物や窒化物としては炭化タングステン、窒化チタン、炭化ハフニウムなどが安定であり、仕事関数を下げる働きを有する。よってこれらの添加物はプラズマ発生温度を下げることができる。添加物を粉末状で添加する場合には、粒子径をなるべく小さいものとするほうがよい。これは、使用中の電極表面に添加物粒子が常に露出することにより、仕事関数を下げる効果が確実に得られるからである。望ましい平均粒子径は0.1〜4μm程度である。
タングステン粉末と添加物を乾式もしくは湿式で十分に添加物が均一に分散するように混合を行なう。混合はやらいかい機やブレンダーなど公知の混合機を持ちればよい。混合に必要な時間は通常0.2〜40時間程度である。こうして混合粉末を得る。
次に、得られた混合粉末をプレス成形する。プレスは金型やゴム型に粉末を詰めた状態で、5〜100MPaの圧力を掛けることにより行い、プレス体を得る。
次に得られたプレス体を焼結する。焼結には大きく2種類があり、ここでは、通電焼結により焼結体を得る方法を記載する。
プレス体の両端に電極をつけた状態とし、水素雰囲気中にて電極間に高電圧を付与する。このときの条件は2,000~15,000Aで行なえばよい。焼結後に密度が17.5(g/cm3)以上とするのが目安である。
得られた焼結体を、加熱状態で鍛造加工にて、密度がおよそ18.5(g/cm3)となるまで加工する。加工後の焼結体を、プラズマ電極用のタングステン材の形状に機械加工または電気加工などを行なうことで、タングステン材を得ることができる。
前述のように焼結については、通電を用いない粉末冶金法を用いてもよい。
この場合は、混合粉末を100〜500MPa程度の圧力にてプレス成形(金型プレス、冷間静水圧プレスなど)してプレス体を得て、得られたプレス体を水素雰囲気中で1600〜2100℃まで加熱することによってタングステンの焼結体を得る。密度が不十分で気孔が残る場合には、1500〜1900℃の温度、200〜2500MPaの圧力にてHIP(熱間静水圧プレス)処理を行なってもよい。この方法でもタングステン材を得ることができる。
次に、台金およびタングステン材との接合について説明する。
台金は前述のように銅、銅合金、銀、銀合金の中から選択が可能であるが、以下「銅」を選択したものとして説明する。ほかの金属を選んでも工程は同様である。
埋設固着方法として、まず、前述のように得られたタングステン材をカーボンやセラミックスなどの容器内に載置する。容器はタングステンや銅と1100℃程度まで反応しない材質である、グラファイトやセラミックス性のものを使用する。次に容器内に銅(後に液化するために形状は問わない)を投入する。
容器ごと不活性ガス雰囲気(Arなど)、還元雰囲気(CO雰囲気、H2雰囲気など)または真空雰囲気の炉中に投入し、銅の溶融温度である1080℃より高い温度まで昇温する。銅は溶融し、融液が接触したタングステン材と密着状態となり、冷却後に両者は隙間無く接合する。接合率は異物などの予期しないエラーが無い限り、ほぼ100%となる。こうしてタングステン材と台金が一体化する。
最後に、一体化したタングステン材と台金の、プラズマ電極形状に対して余剰な部分を切削加工や電気加工にて削除する。台金部に冷却水通路を設ける場合は、この工程で行う。
以上の工程にて本発明のプラズマ電極が得られる。
次に、プラズマ電極の使用形態について述べる。
プラズマ電極は前述のように、高い電流を一対の電極間に流すことにより、電極間をプラズマ状態とし、発生する熱にて主として金属材料の溶接、溶射、切断や溶融などを行なう電極である。この際に特に陰極側はより温度が上がるために、本発明のプラズマ電極を使うことが望ましい。
一対の電極に適当な距離を置き、そこに数100A以上の高い電流を付加することにより、電極間をプラズマ状態とすることができる。このプラズマを維持した状態で金属材料に付与することにより、金属の溶接、溶射、切断や溶解などを行なうことができる。
上記の溶接、切断、溶解などの用途は、いずれもプラズマ発生に伴う熱にて金属材などに高い熱を提供するものである。
溶鋼を加熱するためのプラズマトーチとして使用した実施例を示す。
(タングステン材の製造)
電極材料として2体積%のNd2O3と残部がタングステンのタングステン材を製造する。
(タングステン材の製造)
電極材料として2体積%のNd2O3と残部がタングステンのタングステン材を製造する。
2体積%で平均粒子径が1μmのNd2O3粉末と、純度が99.9%で平均粒子径が3μmのタングステン粉末とを混合した。混合はヘンシェルミキサーを用い、3時間かけて十分に均一にNd2O3が分散されるまで混合し、混合粉末を得た。
得られた混合粉末をゴム袋に詰め、100MPaの常温にて冷間静水圧プレスを行い、プレス体を得た。
得られたプレス体を水素雰囲気の炉中に投入し、2000℃にて焼結した。得られた焼結体を1800℃、100MPaのAr雰囲気中にてHIP処理をして、タングステン材を得た。
タングステン材を切削加工にて、円柱の一端が錘状に尖った図1の1に示すような形状に整形した。
(台金との接合)
台金の材質としてC1020(無酸素銅)の銅板を選定した。
(台金との接合)
台金の材質としてC1020(無酸素銅)の銅板を選定した。
図2に示すような、円柱状の穴を有するグラファイトの治具を作製した。円柱状の穴は台金の完成形状よりやや大きめの径を有しており、底部にはタングステン材の錐部に対応する掘り込み部を有する。
タングステン材の錘状に尖った方を下方とし、グラファイト治具の底部の掘り込み部に固定した。次に、その上部に銅板を挿入し、水素炉中に投入し、温度を1150℃まで上昇させた。融点以上に加熱された銅板は液体となり、図3に示すようにタングステン部と接触し、冷却後にも両者は強固な接合状態を保つ(埋設固着)。昇温の際にはグラファイトの治具部分とも接触するが、銅はグラファイトと濡れないために、冷却後にはそのまま剥がれ、取り出せる。
次に、図3、図4に示すように、タングステンと銅の接合体の、電極完成形状に対して余剰な銅の部分を機械加工で除去し、中心部に冷却水を流すための冷却水通路を併せて設け、プラズマ電極が完成した。
完成したプラズマ電極の埋設固着部分を超音波探傷試験にて確認したが、欠陥は発見できなかった。
このようにして得られたプラズマ電極をタンディッシュ用のカソードトーチとして用い、タンディッシュ内の溶鋼表面に配置して溶綱を加熱した。プラズマの温度は1万度以上と推定される。プラズマトーチはプラズマアークの熱及び溶鋼からの輻射熱の影響により、特に先端部(タングステン材の部分)が蒸発または溶損する。また、溶鋼の表面にプラズマアークを飛ばすために、溶鋼のスプラッシュが発生し、このスプラッシュによっても先端部が摩耗および損耗する。これらの要因により、プラズマ電極の寿命は低下しやすい。
本発明のプラズマ電極は、仕事関数の低いNd2O3の添加により、より低い電力及び温度にてプラズマが発生するために、上に挙げたいずれの寿命低下要因も、従来の電極を用いた場合より影響が小さくなる。また、電極の蒸発や消耗には、電極自体の冷却が効率よく行なえるかどうかが影響する。電極の冷却が効率的であれば、電極表面の過熱が抑えられ、それだけ蒸発量が低下し、寿命が延びる。本発明のプラズマ電極は、熱伝導率のきわめて高い台金(C1020)部分を有し、更に台金部分に冷却水が循環しているために、電極表面温度はプラズマの発生に必要な最低限の温度に抑えられており、そのために寿命を延ばせた。なお、冷却水通路はタングステン材には通さず、台金内に留める構造としたほうが、タングステン材内での温度勾配が低くできるために、破損や剥離しにくい。
タングステン部の厚さが10mmとなった時点で寿命とし、寿命までの実使用時間を比較したところ、本発明のプラズマ電極は同条件で行なったタングステンが純タングステンの電極の約3.5倍、同じくトリエーテッドタングステンの1.4倍、La2O3を2体積%添加した比較試料の1.7倍であった。
また、以上に述べた添加物が2体積%のNd2O3から、同量のSm2O3、Gd2O3に変更したところ、それぞれNd2O3をタングステンに添加した本実施例に対して95%、85%の寿命となった。これらは明らかに、従来用いられていたトリエーテッドタングステンの寿命よりも長寿命であった。
また、Nd2O3、Sm2O3、Gd2O3の添加量を1体積%、3体積%、4体積%、5体積%と変化させて同様の試験を行ったところ、それぞれ2体積%添加した試料と殆ど寿命差は無く、±5%以内であった。また、それぞれの添加物に周期律表の4〜6族の炭化物、窒化物を2〜3割置換した材質も試験したが、やはり寿命差は殆ど現れなかった。
以上に溶鋼加熱用のプラズマトーチに使用した例を示したが、本発明のプラズマ電極はプラズマを発生させてその熱によって処理を行なう溶射、切断、溶接や加熱など、いずれの用途にも同様に用いることが可能である。
プラズマを発生させてその熱によって処理を行なう溶射、切断、溶接や加熱など、いずれの用途にも同様に用いることが可能である。
1 タングステン材
2 台金
3 純銅板
4 台金素材
5 グラファイト治具
6 整形による除去部分
10 プラズマ電極
冷却水 冷却水の流れを示す
2 台金
3 純銅板
4 台金素材
5 グラファイト治具
6 整形による除去部分
10 プラズマ電極
冷却水 冷却水の流れを示す
Claims (5)
- 通電によりプラズマを発生させるプラズマ発生電極であって、
電極の先端部にNd、SmおよびGdから選択する1種または複数種の酸化物を0.5〜5体積%含むタングステン材を有しており、
前記タングステン材と銅、銅合金、銀、銀合金の中から選択する放熱部分と一体化した構造を有するプラズマ発生電極。 - 前記Nd、SmおよびGdから選択する1種または複数種の酸化物の50体積%未満を、周期律表における4〜6a族金属の炭化物、窒化物または炭窒化物から選択する1種または複数の材質と置換した請求項1に記載のプラズマ発生電極。
- 前記放熱部分が、冷却水が接触する冷却部分を有している請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のプラズマ発生電極。
- 前記冷却水が前記放熱部分と接し、前記タングステン材部分とは接さない構造を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生電極。
- 少なくとも、
Nd、SmおよびGdから選択する1種または複数種の酸化物を1〜4体積%含むタングステン材を製造する工程、
前記タングステン材を、凹部を有するグラファイト製またはセラミックス製の治具内に載置し、同凹部内に銅、銅合金、銀、銀合金から選択する放熱部分を構成する材料を投入する工程、
前記グラファイト製またはセラミックス製の治具、前記タングステン材、前記放熱部材を構成する材料を炉に投入し、水素を含有する還元雰囲気中、1080〜1500℃にて前記タングステン材と前記放熱部材を構成する材料を埋設固着する工程、
埋設固着後、少なくとも放熱部材を構成する部分を機械加工、電気加工のうち少なくともいずれかによってプラズマ発生電極の最終形状に整形する工程
とを含む、プラズマ発生電極の製造方法。
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